原作アニメ比較 1

犬夜叉プロローグ〜百足上臈
アニメ第1回放送2000年10月16日
「時代(とき)を越えた少女と封印された少年」

原作少年サンデー1996年11月13日(50号)「封印された少年」
原作少年サンデー1996年11月20日 (51号)「蘇る犬夜叉」

     ☆          ☆           ☆

「そっか。金田一くん終わったんだっけ・・・。」
日テレからNHKにチャンネルを変えようとした手が、V6の 「Change The World」にふと止まった。
2000年10月16日、前日オリンピック後の倦怠感と、長く変化のない県政に疲れ果てていた長野県民が県知事選 で作家の田中康夫氏を新知事として選び、日本中が騒ぎ立てた翌日のことである。

私と「犬夜叉」、そして高橋先生との出会いだった。
後になっていろいろな大物アーティストがオープニングやエンディングを歌っているが、私はこの曲こそが一番「犬夜 叉」にふさわしいと今でも思っている。

この頃はまだ原作を読んでいなかったので、素直にアニメに溶け込めた。
監督は池田成(まさし)氏。
監督が途中で変更になり、それによりアニメの方向性も大きく変わる事になるが、もちろんまだそんなことは知らない。
犬夜叉は当然蘇るにしても、桔梗が出てくることはもうないだろうと思っていた。

犬夜叉&桔梗は山口勝平さんと日高のり子さんの乱馬&あかねコンビ。
「らんま」を見るようになってからも、しばらく桔梗=あかねに気付かず、知った時にはひどく驚いたことを覚えている。

かごめ役の雪乃五月さんは、後に「サイボーグ009」の003役で再見。
草太役の中川亜紀子さんは金田一くんの幼なじみ、七瀬美雪役だった。
楓役の京田尚子さんだけは以前からポアロやマープル物の吹き替えでお名前を知っていたように思う。

さて、アニメではかごめの家の御神木が樹齢1000年として登場する。
原作では500年だが、たしかにこれはおかしい。
かごめの時代を連載時の1996年に仮定してみよう。

作品中で「尾張のうつけ」と呼ばれる織田信長が誕生したのが1534年。
「桶狭間で今川義元を破り、大ブレイク」するのが1560年だから、犬夜叉の時代はその26年の間と推定される。
1560年と設定してもかごめの時代との差は436年。
樹齢500年なら戦国時代はまだ苗木のはず、などと突っ込みを入れたのももちろん後のこと。

原作を比べてみると、最初だけに原作に忠実に作られていることがわかる。
私の印象では、かごめがずいぶん気の強い女の子に感じられたことくらいだろうか。
たとえば後になって読んだ「犬夜叉」の原点と言われる「炎トリッパ−」。

主人公の涼子も戦国時代にタイムスリップするが、こちらはパニックに陥り、怯え、閉じこもり、戦国時代で生きる一歩 を踏み出すことがなかなかできなかった。
むしろこちらの反応の方が自然だろう、自分に置き換えてみればすぐわかることである。
それでは物語が進まないので、このような性格に設定したのであろうが、最初は少し違和感を感じた。

百足上臈、かごめを戦国時代にいざなうだけの存在だったが、四魂の玉の匂いをかぎつけて現代にまでやって来る ほどの妖力を持っていたにしてはあっけない最後だった。
ただし、巫法札合戦では体力こそ少ないものの、相手の後衛に攻撃できる特技を持つので、使いでのある御供に昇 格している。
そういえば七人隊に関連して赤間神宮を調べた時に発見したこと。
安徳天皇の入水後、女郎に身を落とした女官達が、天皇を偲んで行った参拝が、そのまま「上臈参拝」なる赤間神宮 の行事として、毎年5月3日に行われているそうである。
(2002年11月6日の日記)
かごめの「おすわり」&「矢」〜屍舞烏
アニメ第2回放送2000年10月23日
「四魂の玉を狙う者たち」

原作少年サンデー1996年 11月27日(52号)「玉を狙う者」
原作少年サンデー1996年12月4日(1号)「屍舞烏」
原作少年 サンデー1996年12月11日(2,3合併号)「かごめの矢」

          ☆          ☆          ☆

今回はかごめにより永遠に解けぬはずの封印から解き放たれた犬夜叉が、百足 上臈を倒した直後から始まる。
犬夜叉はかごめに、四魂の玉をよこせと迫り、攻撃した。

「 相変わらずのうつけ者め・・・」とつぶやいた楓が犬夜叉に言霊の念珠をかけ、かごめの「おすわり!」の一言によっ て犬夜叉は地面に叩きつけられる。

翌日屍舞烏にさらわれたかごめを助ける犬夜叉。
しかしかごめの放った矢により、四魂の玉は粉々に砕け散り、四散してしまった。
現代に帰る当てもないま まに、犬夜叉とかごめはかけらを探す旅に出ることになる。

屍舞烏はその名の通り、死体に巣食っ て死人を操る妖怪で、「カラス」のイメージそのままにいたって気味が悪い。
もっとも国によってカラスが 高貴な鳥として崇められている場合もあるので、日本のカラスは不幸なのかもしれない(ヤタガラスの例もあるので 一概には言えないが)。

巫法札合戦での屍舞烏は、体力が少なさをカバーできる防具さえ付ければ 受けたダメージ同じ数を戦に加えて攻撃できる。
ただし、百足上臈だの屍舞烏だのは、どんなにいい御供 でも使う気にはならない。

主役の犬夜叉は、戦2魂6と基本的能力は高いが、性格と同じで小細工が できないのが欠点。
本当は屍舞烏のようなクセモノ御供を使いこなしてこそ強いデッキができるのだが・・・。

ビデオ第1巻の付録として、放映前に流されていたCM劇場が入っていた。
何とそこで は犬夜叉vs鋼牙のアクションシーンがすでに登場。
しかも鋼牙の声はどう聞いても松野さん?
鋼牙 が出てくるのはだいぶ後になってからだが、松野さんの鋼牙役はすでに決まっていたのだろうか。

(2002年11月7日の日記)
現代への帰還 〜逆髪の結羅
アニメ第3回放送2000年10月30日
「骨喰いの井戸からただいまっ!」

原作少年サンデー 1996年12月24日(4号)「逆髪の結羅」
原作少年サンデー1997年1月4日(5,6合併号)「骨喰いの井戸」

          ☆          ☆          ☆

今回の主役は逆髪の結羅。
実は敵にもかかわらず、この時点で犬夜叉一行以外では一番好きなキャラ。
一言でいえば「小悪魔的 な鬼娘」、鬼なのに小悪魔的と言うのもおかしいが、まさにそんな感じだ。

髪を斬らずに肉と骨を断つ 鬼の宝刀「紅霞」で、殺した人間の髪を集めて巣を作る。
また自らも髪を操り、かごめを骨喰いの井 戸に追い込む。
結果的に結羅のおかげでかごめは現代に帰ることができた。

ここで「犬夜叉」 第1の不思議。
犬夜叉が現代にまでかごめを迎えにくるのだ。
かごめと犬夜叉に関しては、四魂のか けらがあってもなくても、その時々で、タイムスリップできたりできなかったりする。

妖怪でも、か けらなしで来れる妖怪もいるし、七宝などはかけらを持っていても現代に来る事ができない。
この辺がち ょっとひっかかるが、まあご愛嬌か。
力をあわせて結羅を倒して後、犬夜叉は初めてかごめの名前を呼ぶ。
仲間として認めたことになるのだが、実はこれ、次の回の話である。

逆髪の結羅の声は矢 島晶子さん、クレヨンしんちゃんの声優さん。
後に珊瑚の弟「琥珀」役で再登場する。

結羅 は人気キャラで、カードでもレア度5段階のうちレア4のホロカードで登場する。
基本能力も高く、備「紅霞」を 付けて特技「鬼火髪」を放つ瞬間は、自分が結羅になったかのように気分が良い。
ただし結羅に限らず、武 器を備えて特技を使うのは、強い技ほど条件が厳しいのでそうめったにあることではない。

ち なみに日暮かごめは闇の御供(風、光、水、闇に分類。闇は敵妖怪が多い)に強いが、基本能力が圧倒的に低く、 実用的な御供ではない。

巫法札合戦でおもしろいのがこの「備」で、たとえば「鉄砕牙」は犬夜叉 と殺生丸限定の武器であるが、「神楽の扇」など使い手を限定しない備もある。
そうなるとたとえば鋼牙が「神楽の扇」を使ったり、殺生丸が「火鼠の衣」で火による攻撃を無効化することもできる。

勝敗 にこだわる人なら気にならないかもしれないがあの誇り高い殺生丸が火鼠の衣をかぶったり鋼牙が扇を振り回し たりしているところを想像するだけで笑いが止まらなくなる。

鋼牙と言えば、腰の刀、抜いたところ を見たことがないので、カードにも登場しない幻の刀であるが、実は「妖狼牙」という立派な名前がある(アニメのみ の命名だが)。
初期の犬夜叉のアイキャッチ(CMの前後に一瞬登場する画面)は、犬夜叉用語がずらっと 並べてあったが、その中にちゃんと「妖狼牙」の文字を見つけることができる。

これに気付いた人は意 外に少ないらしく、私のちょっとした自慢である。
(2002年11月9日の日記)
赤い櫛 〜結羅撃退
アニメ第4回放送2000年11月6日
「逆髪の妖魔結羅」

原作少年サンデー1997年1月14日 (7号)第8話「帰還」
原作少年サンデー1月22日(8号)第9話「結羅の巣」
原作少年サンデー1月29日 (9号)第10話「窮地」
原作少年サンデー2月5日(10号)第11話「魂移し」

     ☆          ☆          ☆

どんなに切り裂かれてもけろりとしていた結羅の秘密は「魂移し」 にあった。
自分の魂をある物なり場所なりに移しておけば、肉体がどんなに傷つけられても死ぬことがない。
結羅が魂移ししていた物とは「赤い櫛」。

アニメ版では、犬夜叉が「死んだ人間の死化粧を する時にいつも使う櫛だ。
櫛がうんざりして妖怪に姿を変えたんだろうよ。」と結羅を付喪神扱いしているが、 赤い櫛にはもうひとつのいわれがある。「古事記」によると、愛する妻(イザナミ)を亡くしたイザナギが死者 の住む国「黄泉の国」に妻に会いに行く。
妻はおぞましい姿に変わり果てていたが、イザナギは妻を連れて 生者の世界に連れ帰ろうとする。

暗闇の中で櫛に火を灯し、追いかけてくる鬼や悪霊を振り切る ために櫛を投げる。
これにより2人は無事戻ることができるのだが、なぜ櫛のおかげで助かったのか。

改めて調べてみると、櫛が元の竹に戻り、邪魔をしてくれたとある。
髪は女の命、女の一念は髪 にこもるなどと言う、髪にこもった女の一念を櫛が吸い取り、霊力を持つに至ったのだろうか。
さらに赤は生 命の持つエネルギーの色。
櫛を赤く塗ることによって、櫛に生命力を注ぎこみ、悪霊から人間を守るようにし たのかもしれない。

ところでさっきから引っかかっていたのだが、イザナギの話には、もうひ とつのストーリーがあったような気がする。
子供の頃読んだ「イザナギとイザナミ」という本で、生き返るため に許しを請う妻の姿を見てはいけないと言われたイザナギがつい妻の姿をのぞいてしまうという別物語。

蛇やら地獄の炎やらにとりつかれ、見るもおぞましい姿になっている妻に対面、びっくりして「妻から」逃 げ出すのだ。
怒った妻が追いかけてくるが、すんでのところで生者の世界にたどり着き、命が助かる話で、 こちらに櫛は出てこない。

ここまで書いてきて、さらに上記とは対照的な神話を思い出した。
あれはギリシャ神話だったか、やはり男が死んだ妻を迎えに行く話である。

竪琴の名手、オルフ ェウス。
こちらはいかにも美しく、男は生者の世界につくまで振り向いてはいけないと言われたのに最後の 最後に振り返り、妻を見てしまう。

哀れな妻はあっという間に死者の世界に引 き戻され、二人は再び 引き裂かれる、そんな話だった。
オルフェウスは嘆き悲しみ、自分を慰めようと近づいてくる妖精たちを無視 するので怒った妖精たちに殺されてしまう。

これも恐ろしい話ではあるが日本版 のような陰鬱さ、おどろおどろしさはない。
向こうのホラーは日本に比べ総じてにぎやかで単純な気がする。
(2002年11月11日の日記)
犬夜叉一族 〜殺生丸登場
アニメ第5回放送2000年11月13日
「戦慄の貴公子殺生丸」

原作少年サンデー1997年2月 12日(11号)第12話「半妖」
原作少年サンデー1997年2月19日(12号)第13話「母の顔」

          ☆          ☆          ☆

犬夜叉の兄殺生丸、殺生丸の忠実な 御供邪見、犬夜叉の忠実ではない?御供冥加とレギュラー陣が続々登場。
犬夜叉の母に化けた姿で無女 も出てくるが、演じる井上喜久子さんは「らんま」で私が一番好きな女性キャラの天道かすみ役。

邪見は長島雄一さんで「サイボーグ009」の007、冥加役の緒方賢一さんは「名探偵コナン」の阿笠博士はじめ、 あちこちで声を聞く方である。
失礼ながら殺生丸の成田剣さんの作品は見たことがなく、それだけに成 田さん=殺生丸の印象は強烈だった。

この殺生丸、原作で の初登場時はちょっと寸づまりで、ずいぶんお茶目な顔をしていた。
アニメではすでに完成された顔と体 型に出来上がっていてそれはいいのだが、 とにかくよく動き、よく喋る。
喋りすぎである。
成田さんの声が素敵なだけにかえって興醒めだっ たのが残念だった。

殺生丸は犬夜叉とは異母兄弟。
人間の母を持つ半妖の弟を忌み嫌って いる、しかしある目的のために犬夜叉の母を死者の国から連れてきて(と見せかけて)犬夜叉を罠にかける。

このニセ母は牛車に乗って現れるが、ここで犬夜叉の年齢について考察できるかもしれないと気付いた。
考察といっても、高橋先生が犬夜叉は人間にたとえると15歳くらいと明言されているので年齢自体は 問題ない。
ただこの牛車と、子供時代の犬夜叉(3〜5歳くらい)が出てくる回想シーン(アニメ限定だが) では蹴鞠が行われている。

牛車、蹴鞠共に平安時代が始まりとされている。
桓武天皇が長 岡京に遷都した784年(延暦3年)に平安時代が始まり、1185年(元暦2年)平氏の滅亡により終わりを告げる。
その間約300年。

前に「屍舞烏」の項で書いたように、「犬夜叉」の時代は1534年から 1560年の間と推定される。
仮に平安時代のど真ん中、985年に犬夜叉3歳と仮定してみよう。
戦国時代も間をとって1550年頃、犬夜叉15歳である。
この間565年、犬夜叉が封印されていた50年は 年を取っていないと先生が書いておられるので515年。

犬夜叉は515年で12歳年をとっている計 算になる。
約43年にひとつずつ年をとる犬夜叉である。
頭が痛くなってきたが 、大きく見ても50年1歳ずつ年をとるのが相場だろうか。
だが、犬夜叉は半妖なので本物の妖怪ならば、1 00年に1歳くらい?

そう考えると、鋼牙は犬夜叉と同い年ぐらいに見えるので、1500年は生きていることになる。
七宝は見た目で7〜8歳くらいか、それでも700〜800年。
それだけ生きているのならいろいろ人生経験(妖 生経験?)も積んでいるだろうに、鋼牙も七宝も見た目同年齢の人間程度の精神発達しかしていないようである。

精神の成長も肉体が成長するのと同じくらい時間がかかるのだろうか。

          ☆          ☆          ☆

追記。
上記の結論に 大きな矛盾点。
犬夜叉が50年に1つ年をとるのであれば、犬夜叉3歳頃のときにまだ生きていた人間の母は すでに150歳を越えていなければならない。

しかし回想シーンの中でもニセ母も、若く美しい。
犬夜叉や殺生丸が美化しているわけでもなさそうだし、後に出てくる半妖紫織の母も若いのでどう考えても不自然で ある。

そこで思いついたもう一つの結論。
妖怪も小さな頃は自分の身を守る必要性から人間 並みの速さで成長し、大人になるにつれて成長の速度が緩やかになる、というのはどうだろうか?

そう考えると七宝は人間でも10歳程度、鋼牙クラスでも20歳程度の精神年齢。
半妖犬夜叉の見た目が 100歳くらいになったとき、妖怪鋼牙が50歳くらいの差か。
犬夜叉の成長速度は、当然人間よりは遅いが 妖怪よりは早いということで。

こんなことにこだわってみても、正解がないことなのでどうしようもないが、 おもしろいことはおもしろい。

(2002年11月13日の日記)
鉄砕牙 〜無女と鬼子母神
アニメ第6回放送2000年11月20日
「不気味な妖刀鉄砕牙」

原作少年サンデー1997年2月 26日(13号)第14話「無女」
原作少年サンデー1997年3月5日(14号)第15話「黒真珠」
原作少年 サンデー1997年3月12日(15号)第16話「鉄砕牙」

          ☆          ☆           ☆

2000年11月20日野党が森内閣不信任決議案を提出。
「やっぱり」感が 日本中に満ちていた日。

この頃から原作が揃い、アニメと平行して読むようになる。
犬夜叉の ニセ母の正体は「無女」だった。
飢えや戦で子を失った母たちの無念の魂が寄り集まってできた妖怪。

子を思う母の心と聞いてすぐに思い浮かぶのは「鬼子母神」であろう。

鬼子母神は50 0人の子供を持つ美しい女神だったが、自分の子供たちを育てるために、人間の子供をさらって食べていたとい う。
人間たちはあまりの恐れと悲しみにどうすることもできず、お釈迦様にすがった。

お釈迦 様は一計を案じて鬼子母神が一番可愛がっていた一番下の子供を隠してしまう。
鬼子母神は必死になっ て世界中を探しまわるが、見つけられずにお釈迦様の元に来る。

お釈迦様は鬼子母神に「500人 のうち、たった1人いなくなっただけで、おまえはこのように嘆き悲しみ私に助けを求めている。
たった数 人しかいない子供をおまえにさらわれた人間の親の悲しみはどれほどであっただろう。
その気持ちがおまえ にも今わかるのではないか?」と話し、子供を鬼子母神に返した。

改心した鬼子母神は子を守る神と して生まれ変わるのである。
実は私は入谷が近いので、鬼子母神は入谷にしかないもとの思っていた。
ところが調べているうちに、宮崎県吉祥寺の「さどわら鬼子母神」のホームページにたどり着き、いろいろ 学ぶことができた。

管理人は吉祥寺の住職の方だが、鬼子母「神」と言うばかりにお寺なの に神社と間違えられ、僧侶なのに神主と間違えられる悲哀をユーモアたっぷりに書き込まれている。
また、 手にした柘榴は子供の味がする代用食と思われてきたが、実は柘榴は1つの実の中にたくさんの種が入ってい ることから、「吉祥果」とも言い、子孫繁栄の象徴なのだそうだ。

「吉祥果」である、わかる人にはわか るだろう(笑)。
プレステ「犬夜叉」に出てくる体力全回復のアイテムである。
またひとつ謎が解けた。

もうひとつ、鬼子母神の「鬼」の字、正しくは上の点がないのだそうだ。
改心したから角が 取れたのだ。

さて「犬夜叉」、殺生丸が犬夜叉から父の墓のありかを聞き出すために放った無女であ るが、結局は犬夜叉を守るためにわが身を犠牲にしてしまう。
そして父の墓は「見える が見えぬ場所、”真の墓守”は決して見ることのできぬ場所」犬夜叉の右目の中の黒真珠にあった。

殺生丸が求めていた物は、墓に納められし宝刀「鉄砕牙」。
しかし妖怪殺生丸は結界に阻まれ、半妖犬夜叉も抜くことができない。
鉄砕牙を抜き取ったのは 人間かごめであった。

それにしてもこの頃は、3,4話分をアニメ1話分にまとめていることがわかる。
ずいぶん多い気がするが、余計な付け足しもせずに、原作に忠実にアニメ化しているから仕方がな いのだろうか。
そのつけが、現在のオリジナルの多発につながっていることを思えば、複雑な気持ちになる。

(2002年11月14日の日記)
鉄砕牙に認められし者
アニメ第7回放送2000年11月27日
「激対決!殺生丸vs鉄砕牙!!」

原作少年サンデー 1997年3月19日(16号)第17話「変化」
原作少年サンデー1997年3月26日(17号)第18話「形見」

          ☆          ☆          ☆

かごめだけが抜くことのできた 鉄砕牙。
犬夜叉も鉄砕牙を持つことはできたが、見た目そのままの「錆びたボロ刀」では妖犬に変化した 殺生丸には歯が立たない。

しかし犬夜叉が「俺がお前を守る!」と宣言した瞬間、鉄砕牙は大きく 脈打ち、「一振りで100人を倒せる刀」としての威力を発揮する。
殺生丸は片腕を斬り落とされ、深手を負って 去っていく。

このシーン、犬夜叉も殺生丸も戦いながら喋り、回想し、何かと忙しい。
原作にない 言葉も多かったが、おおむね戦闘の邪魔にもならず、ほどよく時間を稼いでいたように思う。
特に犬夜叉が 「半妖」の言葉に、幼い頃人間の世界で虐げられていた自分の姿と母の涙を思い出す場面は、数あるオリジナル シーンの中でも秀逸だった。

ここで犬夜叉がただの乱暴者でないこと、冷徹な妖怪殺生丸との差、 人間の心を持つ犬夜叉の優しさ、哀しみといったものが表現された。

そして場面は変わり、楓、 かごめは冥加を交えて語り合う。
「鉄砕牙は人間を慈しみ、守る心がなくては使えぬ刀、人間に対し、 慈悲の心を一切持たぬ殺生丸には使えるはずがない。」と冥加は言う。

楓も原作にはない言葉だが 「父親の血を色濃く受け継ぐものとして、犬夜叉には人を守る心が必要と父親が教えたかったのではないか。」と話す。
重みのある言葉である。

それを聞いてかごめは、犬夜叉がかごめを守る覚悟を 決めたことにより、鉄砕牙が反応したことに気付くのである。
だが犬夜叉はまだ気付いていない。
犬夜 叉が鉄砕牙を本当の意味で使いこなすのは、まだ遠い先のことである。

そして殺生丸は鉄砕牙 を狙って執拗に犬夜叉を追うが、やはり奪うことができない。
現在の殺生丸ならどうだろうか。
人間り んの命を助け、守るためには命がけで戦う「今の」殺生丸である。

神楽初登場時、画面にはないが、 七宝が犬夜叉に鉄砕牙を渡しているから、妖怪(変化)でも触ることはできるらしい。
今の殺生丸なら十 分に資格があるのではないかと思う。

人間をまだ虐げていた頃でさえ「人の腕」をつけることにより、 実は鉄砕牙を使いこなしていた殺生丸なのだ。
この矛盾にお気づきだろうか(笑)。
もっとも、今の 殺生丸は鬼刀「闘鬼神」と「一振りで100人の命を救う」と言われる「天生牙」を所持しているから、鉄砕牙に対する 欲はなさそうに見える。

何よりも「鉄砕牙に認められし者」としての犬夜叉を認めてきているのだろう。
憎み合っていた異なる母を持つ兄弟は、戦いの中で互いを認め合い、時に殺生丸は犬夜叉の「師」の ような存在にさえ見える。
(2002年11月15日の日記)
九十九の蝦蟇
アニメ第8回放送2000年12月4日
「殿様妖怪九十九の蝦蟇」

原作 少年サンデー1997年4月2日(18号)第19話「物の怪の城」
原作少年サンデー1997年4月9日(19号) 第20話「九十九の蝦蟇」
原作少年サンデー1997年4月16日(20号)第21話「残された心」
原作少年サンデー1997年4月23日(21,22合併号)第22話「命乞い」

アニメの第8話でもう 原作3巻目に入ってい る。
しかもこの回も4話をまとめてしまっており、アニメ放映始まって以来の 大幅な省略がなされている。
首を傾げざるを得ない速攻である。

犬 夜叉たちは武蔵の国に来ているが、まずそこでおとぼけな河童との会話を省略。
別になければ困るものではないが、あって困るシーンでもないので入れても良 かったのでは?と思う。
後になって時間稼ぎで苦労するよりはずっといい と思うのだが、製作側は「九十九の蝦蟇」のエピソードは何が何でも 1話で終わらせる必要があったのだろうか。

武蔵の国。
現在の地名で言えば、北は 熊谷市、深谷市、秩父市から埼玉県の大部分、葛飾区、江戸川区をのぞいた東京 都の大部分、川崎市、横浜市までを含む。
かなり大きい(埼玉、東京、神奈川 と3県にわたっている)。

四魂のかけらが飛び散ったのも大体この辺では ないだろうか。
かけらを探しに犬夜叉たちが、九州や北海道にまで行ったりした ら、それはそれでおもしろいのだが。

当時、武蔵の国を治めていたの は後北条氏らしい。
後北条氏は、鎌倉時代の執権北条氏と区別され、実は武田 信玄の甲斐の国とは犬猿の仲だった時期もある。

後に和解し、共に武蔵 松山城を攻撃するともある。
甲斐の国から武蔵の国に露姫が嫁ぐとすれば、この 頃だったはずで、戦国時代も後期と推測されるがはっきりしたことはよくわからない。
ちなみにアニメでは信長に「甘利」と姓がついているが、甘利家は武田家の家来、 初代虎泰は武田家中きっての軍事巧者と言われた人物。

キャラと声優陣の相性もぴったりで、コミ カルな猿「日吉丸(笑)」の動きも楽しめたが、やはり飛ばしすぎの感は否めな かった。

ところで九十九の蝦蟇について調べていて、面白いものを見つけ た。
歌舞伎の「滝夜叉姫と蝦蟇」である(通称「将門」)。
平将門の遺 児滝夜叉姫が大宅太郎光圀を色仕掛けで味方に引き入れようとするが失敗、最 後に印を結んで蝦蟇の妖術を見せるというもの。
滝「夜叉」姫と蝦蟇のカッ プルから、女装した犬夜叉の色仕掛けと最後に蝦蟇に変身するシーンを思い浮 かべ、吹き出してしまった。

実はあるのだ、犬夜叉の色仕掛け。
後々の 話になるが、女蚤妖怪に操られるオリジナル・・・。
でもそれはまた後に書くこ とになる。
(2002年11月16日の日記)
七宝登場 〜雷獣兄弟
アニメ第9回放送2000年12月11日
「七宝登場! 雷獣兄弟 飛天満天 !!」

原作少年サンデー1997年6月12日(28号)第28話「狐火」
原作少年サンデー1997年6月18日(29号)第29話「雷獣兄弟」
原作少年サンデー1997年6月25日(30号)第30話「惚れた女」

原作「肉付きの面」を飛ばして七宝登場のエピソードに入る。
レギュ ラーキャラを早く登場させる意図があったのだろうか。

この回で第3の主要 キャラ、子狐妖怪七宝が登場する。
渡辺久美子さんの声があまりにもぴったり で、後に高橋先生が渡辺七宝をイメージして佳作「石の花」を書かれたというエ ピソードは有名。
今でこそ可愛さが売りの七宝であるが、初期の頃は、むし ろ男の子らしさを強調している。

狐に関する伝説はあまり にも有名なので後回しにして、今回は飛天、満天の雷獣兄弟について書いてみたい。

兄飛天は、 「雷獣」というよりもむしろ「雷神」の印象が強いだろう。
有名なのは菅原道真。
「日本紀略」によると、845年に生まれた人物で公卿であり、政治家であり、 学者としても有名だった。

醍醐天皇の元、 右大臣の地位まで登りつめるが、901年左大臣藤原時平の讒訴により、太宰権 帥に左遷され、その地にて憤死する。

死して道真は「雷神」となり、時平を 苦しめたという。
都には幾度となく雷が落ち、多くの人が死んだ。
人々は 「道真の祟りだ」と恐れおののいたという。

雷神像などを見てみると、雷神 は小太鼓を輪にめぐらせ、両手にばちを持っていて、足の指は2本ずつ、手の指 は3本ずつである。
肩布を首に巻き、上半身は裸、下半身に裳(貴族が正装のと きに袴の上につけた衣)を着ており、雲を配した台座に乗っているとある。

飛天は残念ながら?上半身にもしっかり着物を着ているが、雷神像より、 ずっと華奢でハンサム、手の指もちゃんと5本ある。
アニメでは意外に声が 優しく、それだけに気違いじみた残虐さがきわだっていた。

一方まぬけな弟 満天は、日本古来の伝説に出てくる雷獣そのもの。
滝沢馬琴によれば、雷獣は犬 に似ていて頭は長く、口は突出しており、尾は狐、爪は鷲のようだという。

雷雨の時に現れ、雲に乗って飛行するともいわれる。
平素は山に住んで いてその気性は優しいが、夕立雲が起こると途端に元気になって空に駆け上がる という。
雷と共に地上に落ちれば人に害をなす。

「まぬけ」などと表現 したが、それはあくまでも飛天と比べての話であって、原作では人間の腕をがり がりかじっていたりとそれなりに残虐である。
アニメでは同じシーンで、満天は 3本しかない髪の毛を櫛でとかして?いるなど、まぬけぶりを強調していた。

ところがこの満天、 しっかり四魂のかけらの「気配」を感じ取っている。
四魂のかけらの見つけ方に関しても、いろいろと謎が多い。
たとえば後で登場する第4の主役、 弥勒なども最初は自分で四魂のかけらの気配を感じ 取っているのに、後になるとできなくなっている。
まるでかごめの霊力に吸収 されたかのように・・・。
まあこれも、今書くことではないだろうが。

満点に誘拐されたかごめを助けに行く犬夜叉と雷獣兄弟との死闘が始まったところで 今回はジ・エンド。

雷獣兄弟の兄飛天は、後に映画「紅蓮の蓬莱島」に龍羅として再登場する神奈延年さん、弟満天は七人隊の銀骨 稲田徹さん。
神奈さんと稲田さんは「三国志」を題材にしたゲーム「真・三国無双」シリーズでも曹丕(神奈さん)と呂布(稲田さん) でも共演されている。

初期の敵キャラではトップクラスの人気だったのが、この飛天と前述の逆髪の結羅。
美男美女のいい カップルである。
今回 買ったワンダースワンで、鬼娘結羅がなんと猿妖怪として再登場していた。
あ のプライドの高い結羅のことだ、このことを知ったら怒るだろう(笑)。
鬼霞を 手に、バンダイに乗り込んでいくくらいのことはするかもしれない。
(2002年11月19日の日記)
怖い漫画?
アニメ第10回放送2000年12月18日
「激対決!雷撃刃vs鉄砕牙!!」

原作少年サンデー1997年7月2日(31号)第31話「かごめの策」
原作少年サンデー1997年7月9日(32号)第32話「妖力を喰う」
原作少年サンデー1997年7月16日(33号)第33話「鞘を捨て る」
原作少年サンデー1997年7月23日(34号)第34話「鞘が呼 ぶ」

          ☆          ☆           ☆

飛天との戦いの中で、犬夜叉はかごめを襲う満天を先に倒した。
しかし、 四魂のかけらと共に満天の妖力をも喰らいとった飛天の強さは倍増し、犬夜叉も 苦戦を強いられる。

改めてビデオで見直すと、「犬夜叉」は怖い漫画 だなと、つくづく思った。
ホラー映画の怖さではなく、痛みを感じる怖さであ る。
敵キャラ飛天も怖いが、犬夜叉もけっこう怖いキャラに見えてくる。

七宝、かごめの協力を得て雷獣兄弟を倒した犬夜叉。
アニメでは原作 になかった飛天と満天の兄弟愛が強調されている。

また兄に比べ、醜く、髪の 毛も薄い満天のコンプレックスをも強調することによって何を描こうとしている のか?実はよくわからない。
同情や親しみを持たせるため?単なる時間稼ぎ?
しかし殺戮 を楽しむ満天の姿に共感の余地はない。

ところで七宝、子狐 妖怪である。
狐妖怪と言えば、九尾の狐と殺生石、これに尽きるだろう。

殺生石は九尾の狐が変化したといわれ、その姿は全身が金色の毛で覆われ、顔は白く、尾が9本に 分かれ、子牛ほどの大きさがあったと言われている。

この狐は妖術を使って美女に変化。 インド、中国で悪事を働き、奈良 時代に中国から帰ってきた遣唐使・吉備真備(きびのまきび)と一緒に日本に渡 る。

その後「玉藻の前」として鳥羽天皇の寵愛を受けるが、陰陽師の阿部 泰成に正体を見破られ、 那須野が原まで逃亡。
この地でも悪行を働いて民 を苦しめたが、追手に討伐された。

しかし、討ち果たされたあとも大きな 石に化けて毒気を発し、近寄るものは人も動物も殺したので、「殺生石」と呼び 恐れられるようになった。

その後、室町時代に源翁和尚という高僧が当地を 訪ね、殺生石を念力で一喝。
石は3つに砕けて1つは残り、あとの2つは会津と 備後まで飛んだというが、いずれも毒気を吐き続けたと言われている。
ここから金鎚(かなづち)を源翁と呼ぶようになったとも言う。

狐妖怪には、あまりいいイメージがなく、どちらかというと、人を化かすにも狸の 方が陽気な感じで好きだったが、七宝は文句なしに可愛い。

ところで鉄 砕牙、この回でもピンチになると、鞘が刀を呼んだり、不思議な力を見せてい たが、その時の犬夜叉のテンションの高さによって、変化した時の大きさも変わ るのだそうだ。
これにはしばらく気付かなかった。

無事に敵をとった七 宝は、犬夜叉、かごめと共に旅する仲間になる。
「うる星やつら」のしのぶに恋 するちびギツネと共に、すっかりキツネ好きになった私である。

(2002年11月20日の日記)

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