原作アニメ比較 7

黒巫女椿のコンプレックス
アニメ第61回放送2002年2月18日
「現れた桔梗と式神使い」

原作少年サンデー2000年11月29日(53号)第195話「向けられた矢」
原作少年サンデー2000年12月6日(1号)第196話「椿の祠」

          ☆          ☆          ☆

アニメ60回目の放送分、椿登場編が3月1日だったが、だいぶ間があいてしまった。
前回は椿に操られたかごめが犬夜叉に矢を向けるところまで。
心を乗っ取られながらも抵抗するかごめの矢ははずれ、犬夜叉の衣を射抜く。
一方椿の邪気を感じ取った桔梗が椿の祠を訪れ、椿の意図を知る。
桔梗の出現で呪術が途切れ、自分を取り戻したかごめ、犬夜叉と共に椿の元に向かう。

原作で特筆すべきなのがかごめの矢で破かれた火鼠の衣、コミック20巻127ページの移動の場面では、裂け目ができたくらいの状態になり、祠に着く頃には、すっかり元通りになっている。
並外れた再生力を持つ火鼠の衣とはいえ、ここまで明確に表現されたのははじめてではないだろうか。

タイトルにコンプレックスと書いたが、正確には次回のエピソードで使うべきだったかもしれない。
原作での椿は桔梗の霊力が弱まっている時を狙い、四魂の玉を奪おうとする。
意図するところは、もちろん永遠の若さと美しさを保つための妖力。
さらに私は椿の桔梗に対するコンプレックスを感じた。
おそらく桔梗に霊力でも美しさでもかなわない、そんな意識が根底にあるのではないかと思った。
それがアニメでは次回、オリジナルの部分で掘り下げられていく。
子供にもわかりやすいストーリー作りをする上での成功例だと思う。

ところで犬夜叉と生前の桔梗の回想シーンがまたまた登場。
私も最初の頃は好きだったが、こう何度も出されると食傷気味、素敵なシーンだからこそ安売りしないで欲しいのだが。

原作(コミック)でもうひとつ印象に残っているのが、かごめの顔。
なんだかいつもより凛々しい顔つきをしている。
特に20巻137ページの結界を破るシーン、161ページから162ページにかけてのシーン。
今まで見たことのない別人のような顔である、私はこの時の顔がとても好きだ。

さてアニメ、奈落組、楓組などオリジナルシーンの挿入以外はほぼ原作どおり。
おもしろいのが神楽まで椿をずいぶん軽んじている風な台詞を吐くこと。
奈落、桔梗共に椿がかごめにかなわないことを見越しているような雰囲気だが、たしかにかごめの霊力は、ぎりぎりまで追い詰められなければ最大限に発揮できない危うさが感じられる。
かごめにとって四魂のかけらを探す旅は、同時に巫女としての修行の旅でもあるのだろう。

椿と桔梗の会話の部分で感じた違和感が2つほど。
椿の揶揄に桔梗が手をわなわなと震わせているが、桔梗の怒りはもっと静かな抑えた怒りだろう。
アニメ特有の大げさな演出である。
もうひとつは桔梗の退場シーン。
幽霊か物の怪かといった感じに消えてしまうが、一応死人=実体である。
いくらなんでもこんなことはあり得ない。

ただし、ここまでは比較的原作に忠実に造られてきた黒巫女椿のエピソード。
次回からすばらしいオリジナルと、わけのわからないオリジナルが次々に炸裂、摩訶不思議な展開を見せることになる。
(2003年3月23日の日記)
黒巫女椿引き伸ばし作戦
アニメ第62回放送2002年3月4日
「底知れぬ椿の呪縛」

原作少年サンデー2000年12月13日(2.3合併号)第197話「式神」
原作少年サンデー2000年12月25日(4.5合併号)第198話「呪い返し」

          ☆          ☆          ☆

今回のエピソード、原作2話分をほぼそのままに作っていてそれはいいのだが、意識を失ったかごめの夢?がオリジナルとして挿入される。
夢の中でかごめは普通の生活を送り、次第に、というより唐突に戦国時代の記憶をなくす。
かごめを呼び戻すかのように登場する桔梗、「おまえは誰だ?」と問いかける。
そこで「あたしはかごめ」とまず宣言、一気に戦闘の最中に戻される。
さらに椿の揶揄に対しての「あたしはかごめ」宣言、もってまわった作り方。

現代に登場する、いやに地味な服装の弥勒と珊瑚は結婚式場の予約の帰りか仮縫いか、といった風情だし、尻尾なし七宝は楓の孫。
ここまでやるなら、かごめの祖父が楓に一目惚れもあっても良い。
精悍子猫の雲母がブヨとはいかにも重たげ。
この辺のサービスカットはオリジナルならではのおもしろさがあるので、椿とは切り離して、別のオリジナルストーリーを作ってほしかった。

前回書いた椿のコンプレックスが原作でも出てきているが、かごめが矢をはずせば桔梗ならはずさないと言い、桔梗と同じ呪い返しをしたからと本気で驚く。
何よりも、一番憎んでいたはずの桔梗が目の前に現れても、桔梗に復讐などとは考えもせずに、律儀にかごめを呪い続ける小物的性格、しょせん桔梗にかなうはずなし。
それにしては弥勒の破魔の札が効かないのは意外な気がした。
椿自身がかけら(ほとんど玉だが)を取り込んでいるわけではないので、霊力自体が増したとは思えなかったのだが、椿の霊力は弥勒の法力より上なのか。

原作では退散した椿のかけらを奈落が奪い返して椿編ジ・エンドとなるのだが、アニメではまだまだ続く。
アニメでおもしろかったのが最後の部分、奈落一家のくつろぎぶり、奈落と神楽が夫婦のようないい味出していた。
眼鏡の先生は八衛門狸の中嶋さん、目の上のたんこぶも可愛い式神は、久々登場の西前さんと言っても、吠え声?唸り声?相変わらずの芸達者ぶりを披露している。
(2003年3月24日の日記)
黒巫女椿のオリジナル
アニメ第63回放送2002年3月11日
「行く手を阻む紅白巫女」

          ☆          ☆          ☆

黒巫女椿のエピソードも原作からオリジナルへ、シリアスからお笑いへと移行する。
椿の妹弟子、紅白巫女の紅葉は菊池志穂さん、牡丹は西村ちなみさん。
式神の巨大犬夜叉&かごめも登場し、声はそれぞれ山口さんと雪乃さんが演じておられる。
弥勒も助平ぶり全開で、声優さんたちもスタッフもさぞかし楽しんだことだろう。
紅白巫女は可愛いし、七宝雲母も可愛いし、巨大犬夜叉&かごめはおかしいし、これだけ楽しんで視聴率は15.6%
アニメの絶頂期を感じさせる。

こうなると何も言うことはない。
あとは好きか嫌いかの問題だろうが、私は苦手である。
せめて原作に挿入することは止めていただきたいと思うばかり。
あと気になったのが、初心者巫女の割にはずいぶん霊力が高いということ。
椿の結界を押し切った犬夜叉が、紅白巫女にはかたなしだった。
和田薫氏の音楽も、今回ばかりはおおげさに聞こえる。

次回は巨大化である。
辻谷さん書かれるところの、巨大化即退治の法則。
救いは椿の桔梗に抱くコンプレックスが具体的に掘り下げられるところかと思う。
(2003年3月28日の日記)
黒巫女椿の最後
アニメ第64回放送2002年3月18日
「多宝塔の巨大な鬼」

          ☆          ☆          ☆

弥勒、七宝組は紅白巫女の看病のために残り、犬夜叉、かごめ、珊瑚組が椿を追う。
弥勒組はどうでもよい、犬夜叉組に楓が加わったのが久々で新鮮。
前に出たプレステRPG「犬夜叉」で楓はほとんど説明役で、狼野干、奈落戦などは、その場にいても見物人だった。
唯一裏陶戦だけ戦闘に参加し、けっこう強かったりしたことを思い出した。

今回は椿の回想として、桔梗と椿の確執が、というより椿の一方的な心理が具体的に表現される。
が、残念なことに50年前、桔梗と並び称されていた頃から、なぜか衣装は黒巫女仕様。
これは大きなミスだろう。
しかも楓の「(あの椿が)黒巫女になろうとは・・・」の台詞。
子供の頃に、すでに黒巫女姿の椿に会っているではないか。

椿の師が、椿ではなく桔梗に四魂の玉を託したことから生まれた椿のコンプレックス、そして憎悪。
わかりやすくはなったが、椿の目標が永遠の若さと美しさなのか、かごめを通した桔梗への復讐なのか、単に強くなりたかっただけなのか、絞り込めないことになってしまった。

ただこの辺は、原作でもあいまいな部分があるので仕方がないと言えるかもしれない。
式神の登場、鬼と椿の合体に関しては何も言うまい。
目から風、多種多様の攻撃(炎、電撃など)、犬夜叉の心を操る能力など、作る方はさぞ楽しかったことだろう。

それから最後のシーンの桔梗、犬夜叉との位置関係から言って草の陰でしゃがんでいたのか這いつくばっていたのか。
本当に見つからなくて良かったよかった。
アニメ奈落ばりの怪しいカットだが、それもまた良し。 先週は高みの見物だったが、いてもたってもいられなくなったのか。

アニメと原作、一番大きな違いはアニメでは老婆となった椿が死ぬこと。
原作では醜い傷を残し、椿は生き永らえる。
原作で老化までは描いていないが、今まで飼っていた妖怪も失ったのだから、老化は当然の結末だろう。
椿はその姿で生き永らえる。
いっそ残酷である。

アニメでは灰になって死ぬ。
別に死ぬほど老いさばらえていたわけではないが、アニメの結末は椿に優しい。
脚本は千葉克彦さん、男性である。
そこまで残酷にはなりきれなかったというところか。
7時台のアニメだし、と自分で自分を納得させる。

椿と合体技でしゃべりまくってくれる鬼は川津泰彦さん、老婆椿は有馬瑞香さん、少女時代の楓は1話に続き、伊藤実華さん。
式神役で西前さんも健在ぶりをアピールされていた。
(2003年3月29日の日記)
冥加の恋人 生姜登場
アニメ第65回放送2002年4月8日
「さらば青春の日々」

          ☆          ☆          ☆

第7クールはいきなりオリジナルストーリーから始まる。
実は今回のエピソード、私は大好きである。
以前九十九の蝦蟇の日記でこう書いた。

「ところで九十九の蝦蟇について調べていて、面白いものを見つけた。
歌舞伎の「滝夜叉姫と蝦蟇」である。(通称「将門」)

平将門の遺児滝夜叉姫が、大宅太郎光圀を色仕掛けで味方に引き入れようとするが失敗、最後に印を結んで蝦蟇の妖術を見せるというもの。
滝「夜叉」姫と蝦蟇のカップルから、女装した犬夜叉の色仕掛けと、最後に蝦蟇に変身するシーンを思い浮かべて吹き出してしまった。

実はあるのだ、犬夜叉の色仕掛け。
後々の話になるが、女蚤妖怪に操られるオリジナル・・・。
でもそれはまた後に書くことになる。 」

ここまで話がハチャメチャになると、かえって楽しい。
妖怪液なのか溶解液なのかわからない液を吐く大ムカデなぞ、単なる添え物に過ぎない。
犬兄弟の「団欒お食事シーン」にも笑えたが、なんと言っても主役は生姜。
冥加の恋人の蚤妖怪である。

生姜を演じる麻生美代子さん、「サザエさん」で有名な方だが、私にとってはむしろ「アルプスの少女ハイジ」のロッテンマイヤーさんである。
子供の頃は、ハイジをいじめる子どもの敵、と思っていたが、今見直してみるとロッテンマイヤーさんに共感できる部分も多い。
単なる悪役にとどまらない人間味あふれるキャラクターを好演しておられた。
プロフィールを調べてみたら、特技はスキューバダイビングとあった。
全くもって頭が下がる。

生姜に操られる珊瑚、犬夜叉にも大笑いだったし七宝を乗せた雲母が犬夜叉の視線に毛を逆立てるところなど、今思い出しても笑いがこみ上げてくる。
ところがこのエピソード、視聴率が13.4%と、前回椿編に比べて2.2%激減。
前回観てて、今回ここまで観なくなる理由って一体なんだろうと思わずにはいられない。

ただひとつだけ気になったこと、相変わらず弥勒の助平ぶりを強調していたが、弥勒は珊瑚が仲間に入ってから、かごめに対しては助平ぶりを発揮していない。
というより、最初に奈落について話し合った時からとも言える。
(珊瑚とセットの「のぞき」などは例外として)

弥勒なりに、犬夜叉とかごめの関係を(本人たちより)正確に把握していて人の恋人には手を出さない、といったようなルールを感じるのだ。
弥勒はその意味で「節度のある助平法師」なのである。
些細なことだが、表面には出ない弥勒の微妙な部分は壊さないで欲しいと思う。

前回巨大鬼と化して退治された西前さんは今度は大ムカデとして登場。
最近人間語を話されていないようである。
気のいい庄屋は田中さん、中嶋さんはなぜかお休みだった。

さて次回は原作に戻り、久々の鋼牙登場。
殺生丸、神楽と豪華キャストで一気に盛り上がる。
(2003年3月30日の日記)
朔の夜 鋼牙vs神楽+犬夜叉
アニメ第66回放送2002年4月15日
「奈落の結界 神楽の決心」

原作少年サンデー2001年1月24日(8号)第201話「奈落の臭い」
原作少年サンデー2001年1月31日(9号)第202話「骨の渦」
原作少年サンデー2001年2月7日(10号)第203話「逃亡」

          ☆          ☆          ☆

アニメでは黒巫女椿の後だが、原作では七宝の初恋「石の花」に続くのが今回のエピソード。
朔の日に犬夜叉一行、鋼牙一行、奈落一行、さらに殺生丸一行までが登場し、豪華な展開だが、今回の主役は間違いなく鋼牙と神楽だろう。
DVDのジャケットも、神楽と朔の犬夜叉をメインに、真ん中に鋼牙を配置、ファンとしては嬉しいが、鋼牙の顔が変なのが残念。
ついでに、おまけみたいに弥勒と珊瑚が配置。

こういう構図ってホラー映画に多いよね、などと思ってしまった。
鋼牙と奈落、因縁は深いはずなのに、意外に顔を合わせる場面は少ない。
「犬夜叉」の前に放送されていた「金田一少年の事件簿」は、鋼牙役の松野太紀さんが主役の金田一一(はじめ)を演じておられたが、奈落役の森川智之さんも明智警視役で出演されていた。

若手の超エリート警視で、端正な美貌、頭脳明晰、クラッシックやフェンシング、チェスなどいかにも、な特技や趣味を持ち、金田一君に言わせれば「鼻持ちならないキザなヤツ」である。
この2人のやり取りがおもしろくて、「犬夜叉」でも金田一鋼牙vs明智奈落の対決を楽しみにしていただけにちょっと残念。
もっとも今回も、代わりに登場した神楽が十分楽しませてくれる。

原作の順番を少し入れ替えただけで、あとはほぼ原作どおり。
鋼牙vs神楽の戦闘シーンもスピーディーで圧巻。
ただし神楽の作った骸骨洗濯機、中の鋼牙は大変だろうが、外から見てると妙に可愛い。
神楽役の大神さんも原作では叫んでいるように表現されている台詞を、わりに抑えた感じで淡々と表現。

そこがかえって弱いものいじめを楽しむ神楽の残虐さを際立たせていたように思う。
ここまでされているのに書くのもなんだが、私の中では鋼牙と神楽、けっこう似合いのカップルだったりする。
ところが神楽はどうやら殺生丸に「ご執心」。
原作でもほのかな関心を漂わせていたが、アニメではもっとはっきり描かれていた。

とても楽しめた今回のエピソードだったが、ただひとつだけ許せないのが、かごめの鋼牙に対する「ほめられると弱いから、おだてておけば」という台詞。
その後に「犬夜叉の匂いのことも突っ込まない」と続けているが、アニメのかごめならいかにも言いそうな言葉なのが悲しい。
原作でも八方美人的な印象は受けるが、無意識にそうなっているのと、意識して言葉に出すのとでは大違いである。
アニメでは、いつもそういうことを考えて、鋼牙と接しているんだろうな、などと思ってしまう。

ところで今回の予告は神楽と奈落。
今までの予告の中でもベスト5には入るおもしろさだった。
(2003年4月1日の日記)
神楽妖艶
アニメ第67回放送2002年4月22日
「 吹き荒れる裏切りの風」

原作少年サンデー2001年2月14日(11号)第204話「夜明け」
原作少年サンデー2001年2月21日(12号)第205話「半妖の秘密」

          ☆          ☆          ☆

鋼牙から四魂のかけらを奪った神楽は、奈落からの解放を望み、なぜか殺生丸を思い 出す。
(回想シーンの殺生丸、なぜか足がない)
神楽が殺生丸に取引を持ちかける場面は、見方によっては愛の告白のシーンに見えな いほどもない、それほど神楽は殺生丸の強さを信じ切っていたし、奈落から逃れたさ に必死だったのだろう。

基本的に他人にもかけらにも興味のない殺生丸にあっさり拒絶されて「てめえ それ でも男か!」と言い放つシーンは原作でもぞくっときたが、アニメでも今まで抑えた 演技だっただけに、神楽の激情が爆発、大神さん最高の見せ場だったと思う。
怒りに燃える神楽は再び鋼牙と遭遇する。
犬夜叉と鋼牙の2人乗り、原作では鋼牙が前だかアニメでは後、微妙な距離感がなん だかおかしい。

今回の神楽vs鋼牙の戦闘も迫力満点。
神楽のテーマに乗せて、神楽は殺生丸にふられた悔しさを鋼牙に八つ当たり。
やられっぱなしの鋼牙、実は弱い。
今週のサンデー、アニメ本の広告で「三強ー 集う!!」のコピーの元、奈落、殺生 丸、犬夜叉が揃い踏みしていて、(原画でないのが、白黒なのがとても残念)とても 良かったが、鋼牙はいない。

こういう姿を見ては、「四強でしょうが、鋼牙はどうした!」などとはファンといえ どもとても言えない、野暮は言うまい。
鋼牙を救うために、神楽の前に人間の姿をさらした犬夜叉。
鋼牙は何か感じるものがあっただろう。
神楽もまた、犬夜叉が奈落を倒すことに望みをかけて口をつぐむ。
この辺の感情描写は原作、アニメと共に見事である。
城に戻った神楽は体を解体工事中の奈落につかまり、仕置きを受ける。
今回の神楽、攻めっぷりも良かったが、この時間、ここまでやられていいの?と心配 になるほど見事なやられっぷり。
アニメでは、奈落の自分を裏切ろうとした神楽への怒りが前面に出ているが、原作 は、むしろそうした神楽の葛藤を楽しんでいるふしがあり、いっそう不気味である。

それにしても奈落に付き添っていた家老、けっこう好きだったのだが、御老体も亡 くなってしまったのだろう、記憶を消して置いてきてあげればよかったのに、と思っ たが、神楽の兵士用に連れてこられたのなら仕様がない。

最後の犬夜叉の仲間意識を語るシーンのドタバタぶりは相変わらずだったが、全体的 には見ごたえのある展開だったと思う。
今回の犬夜叉のツボ、「キャラクター図鑑」が「奈落の秘密」だった。
製作側もだんだん苦しくなってきたらしい。
(2003年4月3日の日記)
可もなく不可もなく 〜蒼天&紅竜
アニメ第68回放送2002年5月6日
「七宝へ怒りの挑戦状」

          ☆          ☆          ☆

雷獣兄弟飛天満天の生き残り「蒼天」が敵討ちのために、七宝に果し状を送ってく る(しかも達筆)。
シリアスな原作の続編を、ここまでおちゃらけにしてしまったのはどうかと思うが、 作品自体は良かったのではないかと思う。
特に、マタタビに酔っ払う雲母、七宝vs蒼天の戦いなどはおもしろかった。
蒼天の「蒼」は青、紅竜の「紅」は赤、ネーミングも秀逸。

蒼天役は水谷優子さん、紅竜役は大谷育江さん、「名探偵コナン」の少年探偵団の1 人、光彦役。
芸達者なお二人の演技が新鮮だった。

先日母と甥っ子(小学生)が遊びに来て、出しっぱなしにしていたDVDを見つけ、見 始めたのはいいが、選んだのが黒巫女椿の巨大犬夜叉&かごめ式神編、生姜登場編、 そしてこの蒼天編だったから、ちょっとがっかり。
子どもの感覚としては、やはりこういった「いかにもアニメ」的なエピソードの方が 受けがいいのだろう。
しかも一緒に見ていた母が「こんなののためにホームページ作ってんの?」とのた まうた。

いかに原作の凄さ、おもしろさを力説しても、目の前のテレビ画面がこれでは説得力 もなし。
せめて原作を読んで判断して欲しいのだが、もちろんその気もなし。
母の中での私の評価が、また1ランク下がったようである。
(2003年4月5日の日記)
顔のない男 〜無双登場
アニメ第69回放送2002年5月13日
「顔のない男の恐怖 」

原作少年サンデー2001年3月14日(15号)第208話「顔のない男」
原作少年サンデー2001年3月21日(16号)第209話「無双」

          ☆          ☆          ☆

アニメでは生姜オリジナル、鋼牙と神楽が犬夜叉の朔の秘密を知るエピソード、蒼天オリジナルに続くのが今回の無双編となる。
原作では、朔の秘密編の後、弥勒と珊瑚が山犬妖怪を退治するエピソードが続き、無双編となるところが微妙に異なっている。
無双の話は、基本的に原作をなぞりながら、細かい部分で微妙に変更がなされているので、観ていて気になる部分が非常に多い。
まずかごめが現代に戻り、その日常生活をオリジナルとして挿入する。

ワクドナルドでの会話が、かごめの自慢話にしか聞こえてこない自分の心の狭さを嘆きつつひたすら無双登場を待つが、これがまたやたらと長い。
現代風にアレンジされた?犬夜叉、鋼牙、弥勒も「受けるんだろうな、こーゆーのが・・・」と流して、やっとのことで無双モードに突入。
ここでまず出不精奈落が突然現れ、無双を生み出すシーンをサービスしてくれた。

こういったオリジナルはたまらなく嬉しい。
ちょっと先走るが、原作ではさらりと流していた無双の行動や感情をアニメではかなり膨らませ、わかりやすく表現している。
この部分は見事だと思う。

自分が何者なのか、何を求めているのかわからぬままに、無双は殺戮を続け、やがて鬼蜘蛛として過ごした楓の(桔梗の)村へと引き寄せられる。
ここで話を少し戻そう。
生まれたばかりの無双には顔がない。
なぜ顔がないのか、その正体が明かされるのは次回のことだから今回は触れずにおく。

ナルシストの極地をいく奈落の分身らしく、顔をえり好みするわ完璧なプロポーションを惜しげもなく見せてくれるわで、生みの親?奈落に負けないくらいの露出度、ちなみに次回はさらに過激に見せてくれる(はず)。
その無双が気に入った顔と「無双」の名前の持ち主が、現煉骨杉田智和さん演じるところのいい人無双。
杉田さん、悪い人煉骨とは坊主つながりである。

そして犬夜叉たちと無双がついに出会うが、ここにはなぜかかごめがいない。
アニメでは戦いの最中に明るく元気に(現代から)戻ってくる設定。
おかげで緊迫した戦闘シーンが一気に気抜けしてしまった。
ここは是非原作どおりに作って欲しかったと思う。

顔のない男から無双に変わった男の声を演じるのは久々登場の家中宏さん。
以前ちょうど家中さんと、現奈落の森川智之さんが入れ替わった頃、「奈落は家中さんの方がいい。」といった書き込みをあちこちの掲示板で見つけた。
私的には、家中さんの声は、なんだかいい人に聞こえてくるので、「気どりっこ」の森川奈落で良かったと思っている。

聞き慣れたということもあるかもしれないが、家中さんが悪役を演じると小悪党になってしまうので、鬼蜘蛛、無双くらいがちょうどいいような気がする。
西前さん、田中さん、中嶋さんも久々に揃い踏み。
何だか嬉しい。

今回は長すぎるプロローグ、無双編の本番は次回からといったところか。
ところで「無双」という言葉、私が今、夢中になっている「真・三国無双3」にも出てくるが、直訳すると、「比べるものがないほど優れていること」とある。
三国無双なら、プレイヤーが、自分の選んだ(作った)武将を三国一の武将に育て上げるといったところか。

「犬夜叉」の方の無双、華々しく活躍した割には、中途半端な最後?を遂げてしまうことになるのだが、それはまた後のこととなる。
(2003年4月24日の日記)
テンション高し 戦国無双
アニメ第70回放送2002年5月20日
「よみがえった鬼蜘蛛の記憶 」

原作少年サンデー2001年3月28日(17号)第210話「鬼蜘蛛の記憶」
原作少年サンデー2001年4月4日(18号)第211話「鬼蜘蛛と無双」

          ☆          ☆          ☆

無双編2話目。
このエピソード、アニメで3話物に作られたために今回もオリジナル部分が多い。
まずは桔梗と奈落のオリジナル。

前にアニメで「土の結界」を身につけた桔梗が奈落に会いに来るシーンをカットしていたが、アニメの解釈では土の結界を身につけようがつけまいが、奈落は桔梗に触れることはできない、ましてや殺すことなど当然できないのだから土の結界は必要なしとなるらしい。
たしかに今回人間の心を捨てた奈落が嬉々として桔梗に会いに来るシーンを観ていると、それはそれで説得力が感じられる。

桔梗に会える嬉しさで眠れなかったのか、寝不足みたいな奈落の顔と鎖でつながれていた時とはうって変わってさっぱりした神楽の顔が印象的。
「おまえにじかに会いたくなってな。」の殺し文句と「殺すのではない、壊すのだ。」が奈落なりの究極の愛の表現なのか。
雄弁奈落の真骨頂といったところ。

残念なのは、かごめの方。
前回は、いるべきはずの犬夜叉vs無双初顔合わせの場面でいなかったが、今回はいないはずの場面に登場。
無双の正体に不安を感じ、現代に返そうとするのもオリジナルなら、そこまでの用心を無にして結局無双に鉢合わせするのもアニメ版のかごめゆえ。

かごめとしても、楓ひとりを行かせるわけにはいかないという気持ちはあったのかもしれないが、どうして原作のままに作っていただけないのだろう。
何だか哀しくなってきて、この時は、もうアニメを観るのをやめようかと本気で思った。
観たくないのではなく、楽しめないなら観る資格ないかもしれないと思った。

だがそれにも増して驚いたのが、家中無双の壊れっぷり。
無双の正体は鬼蜘蛛であり、奈落に出された「人間の心」である。
記憶を取り戻した無双は桔梗への想い、犬夜叉への怒り、そして次回は自分を閉じ込めた奈落への憤りを爆発させる。
原作だともう少し大人しめな感じなのだが、家中さんのテンションがやたらと高い。

もともと声の高い方なので、壊れっぷりにも拍車がかかる。
実はこれが無性におもしろかった。
家中さんの1人芝居を観ているようで私の中では無双の好感度が急上昇。
そして仕方がないなと思った。

アニメのかごめと相性が悪いのは原作のかごめに入れ込んでるから仕方がない。
無双だって、原作の無双は好きだけど、アニメのこれはやめて欲しい、と思う人だっているだろう。
人それぞれなのだから、好きなように観たらいいと思った。
ただ、こうしてホームページ上に公開し、読んでいただいていることで、不愉快に感じる方がいないか、そればかりが心配である。

次回は無双編3話目。
家中さんのさらなる壊れっぷりに期待大である。
(2003年4月25日の日記)

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