「山海経」に見る「十二国記用語」

「山海経」とは

・「山海経(せんがいきょう)」とは、中国古代の地理書。
中国各地に存在する草木、鳥獣、虫魚、鬼神怪物を取り上げ、中国古代の神話を知る上で貴重な著。
特に「十二国記」にはこの書物が出典となる用語が多く、十二国記ファンにとっては必読の著とも言える。
著者不詳。


名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
アツ窳 アツ窳がいる。龍首で人を食う。 男と視線が合った。笑った男は妖魔と同じ赤い髪で、右の蟀谷の一房だけが白い。それがなんとなく警戒を解かせて、更夜は膝をついて身を起こした。「出てこい。何もしない。」優しげな声だった。(東の海神 西の滄海)
「アツ窳」の「アツ」は「空」の上の部分に「契約」の「契」の字。これまでの妖魔に比べ、人間であることと「斡由」と字が違いすぎて「違うだろう」と思っていたが、とりあえず「あつゆ」と呼ぶことから取り上げることにした。斡由は悪だろうか。私にはそうは思えなかった。むしろ人間の弱さ、人間の身勝手さの代表として、尚隆との違いが際立つ。 現実には尚隆型より斡由型の方が圧倒的に多いだろう。それだけに、より親近感を覚えずにはいられない。少なくとも一時期ではあるが、更夜を救い、元州の人々を救った。更夜に拒否されるかもしれない、それでも恐れず手を差し伸べる。これが斡由の原点と思いたい。上記にあげたのは「海内経」からの引用だが、「海内南経」には、「アツ窳<龍の首(かしら)で弱水の中に住む。狌狌人名を知るの西にあり、その状は龍の如くで人を食う。」とある。ところが「海内西経」になると、このアツ窳は帝により殺され、疏属(そしょく)の山にしばりつけられる。その右足には桎(あしかせ)をされ、両手と髪を後ろでしばられ、これを頂上の木につながれた。ここを読んだ時、斡由が父にした仕打ちを思い出した。 「斡由」が山海経の「アツ窳」から作られたと想像するのは危険だが、山海経により、十二国記の世界がより広がったことは書いておきたい。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
西王母 玉山に住んで、その状は人の如くで豹の尾、虎の歯をもち、よくうそぶき、おどろ髪に玉のかんざしをさし、天の災害と五つの刑を司るという。 西王母の容姿には愕然とさせられる。―醜いわけではない。あまりに凡庸だったのだ。(黄昏の岸 暁の天)
角を失った泰麒が戻ってきた時に、尚隆、陽子、李斎が対面する神。凡庸な外見に、無機質で抑揚のない声。まるで銅像のように見えるが、その力は絶大。使令を清め、泰麒の病を祓うことを約束する。
この西王母、実は来日したことがあるらしい!解説の水木しげる氏によると、武帝(中国前漢第7代皇帝)が安住の地を求めて世界中に方士を派遣し、ついに蓬莱の地として秋田県男鹿半島を選び、崑崙にすむと言う西王母と共に飛車という空飛ぶ乗り物に乗ってやってきた。
その時武帝に仕え来た五人の鬼が、後の生剥(なまはげ)のモデルとなったというもの。男鹿の赤神神社となまはげの行事にその名残が残っているというのである。秋田県は私の故郷、男鹿市(秋田県を人の横顔にたとえると、鼻みたいにちょこんと突き出している部分)はお魚がおいしいし(笑)、最高のドライブコース、なまはげももちろん何度も見に行ったが、そんな由来があるなんて全然知らなかった。
今ならさしずめ西王母饅頭とか西王母ストラップとか、ぼろぼろ出てきそう。武帝や西王母はこの後どうなったのか、残念ながら今の時点ではわからない。
ここで突然思い出したのが「犬夜叉」桃果人編の時、調べていたら西王母が出てきたことがある。天で仕える孫悟空が不老長寿の桃の実を食べてしまうが、あれは実は西王母のもの。
前述の「方士」といえば、日本では始皇帝の方士徐福が有名だが、たしかこれに関する話がゲーム「かまいたちの夜2 〜監獄島のわらべ唄」に出ていたような気がする。
そして富士山=蓬莱山、不老不死の実は「霊芝(きのこの一種」なのだそうだ。ドラッグストアなどでけっこう見かける気が・・・。不死はいらないけど不老は欲しいな。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
崑崙 仙人が住むという西方の霊山。 奏が誼の深い恭、才と協力して崑崙を引き受けてくれた。(黄昏の岸 暁の天)
十二国記の世界にとっては、崑崙は中国となり、蓬莱が日本となる。崑崙から流されてくると山客、蓬莱から流された陽子のような人は海客と呼ばれる。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
鹿蜀 その状は馬の如くで白い首(かしら)、その文(あや=模様?)は虎の如くで赤い尾、その声はうたうようその名は鹿蜀。これを佩びると子宝にめぐまれる 「だいじょうぶだ、お嬢ちゃん」答えてくれたのは頑丘ではなく、いつの間にか皺虞の脇に鹿蜀を並べている男だった。(図南の翼)
近伯の騎獣。近伯は頑丘と共に仙になって珠晶に仕えていて欲しい人。珠晶の昇山の一行にいたが、イメージ的には虎嘯に近いかも。鹿蜀に関しては、原作内に詳しい記述はない。挿絵を見ると、虎柄の馬?それにしても子宝に恵まれるとは(笑)。

名称
「山海経」にて
「 十二国記」にて
長右 東南へ四百五十里、長右の山といい、草木なく水が多い。獣がいる、その状(かたち)は禺(さる)の如くで四つの耳、その名は長右、その声は人がうめくよう。これが現れるとその郡県に洪水おこる。 路地の入り口から流れこむように猿の群れがやってくるのが見えた。(月の影 影の海)
塙麟の使令。アニメに登場する妖魔は、実はあまり気をつけて見ていなかったので、どれがどれだかよくわからないが、長右にはゲーム「紅蓮の標 黄塵の路」などの炎攻撃で苦戦させられたので印象は強い。攻略本を見たらたしかに耳が4つあった。塙麟が亡くなって野生に戻っても陽子を追い回す(「赫々たる王道 紅緑の羽化」にて、笑)。六太の山口勝平さん、尚隆の相沢正輝さん、楽俊の鈴村健一さんが声を担当された。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
蠱雕 沢更(たくこう)の水ながれて南流し滂水に注ぐ。水(衍字?)に獣がいる、名は蠱雕。その状は雕(わし)の如くで角があり、その声は嬰児の声のよう。これは人を食らう。 茶色の翼。毒々しい色あいの曲がった嘴が大きく開かれて、興奮した猫のような奇声を上げている。両翼の先までが五メートルはあろうかという巨鳥だった。(月の影 影の海)
塙麟の使令。陽子の夢と学校に現れた最初の妖魔。もちろんゲーム内でも追い回す。挿絵では羽がないように見える。どちらかというと四足の獣に近い。山口勝平さんが声を担当。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
鸚鵡 鳥がいる。その状は梟の如く、青い羽、赤い喙(くちさき)、人の舌、よくしゃべる、名は鸚鵡(おうむ)。 陽子が眉をひそめたとき、女の肩にとまっていたオウムが羽ばたいた。(月の影 影の海)
「山海経」では鸚鵡の「鵡」は「母鳥」と書いて一字。梟も「号鳥」と書いて一字だが変換できなかった。アニメで「峨城(がじょう)」と名づけられた。塙王の使令を塙麟に伝える役目を持つ。比較的普通に見られるオウムに近いように思う。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
獣がいる、その状は馬の如くで白い身、黒い尾、一つの角、虎の牙と爪、声は太鼓の音のよう、その名は駁、これは虎・豹を食う。 頑丘は手綱を受け取りそびれたが、かわりに駁のほうが首を下げた。頑丘の肩口に鼻面をのせて、それは馴らす間によく見せた、誉めてくれ、という意思表示だ。(図南の翼)
「更夜」と名前をもらった頑丘の騎獣。珠晶、頑丘、犬狼真君、駁と何もかもが素敵で、あの厚い本が、あっという間に読み終えてしまう。珠晶はアニメに登場したが、利広、頑丘、近伯、駁も是非アニメで見せて欲しい。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
飛鼠 獣がいる、その状は兎の如くで鼠の首、その背でもって飛ぶ。その名は飛鼠。 「―いかがですか?」景麒は言って、兎に似た生き物を泰麒に差し出した。-(中略)-景麒の差し出した獣は耳は短い兎のよう。―あるいは、身の細く大きな鼠のようである。(風の海 迷宮の岸)
班渠にじゃれかかる雀胡がとても可愛くて、その後は王宮の庭に放してやるしかないとされるが、「赫々たる王道 紅緑の羽化」では大活躍、声もチップとデールみたいで可愛かった。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
天馬 獣がいる、その状は白い犬の如くで黒い頭、人を見れば飛ぶ。その名は天馬。鳴くときはわが名よぶ。 犬は大きく、白身に黒頭、短めの翼を背に畳んだ様子が美しかった。(月の影 迷宮の岸)
李斎の騎獣。性格は温和で戦場に連れて行くのがかわいそうなほど。後に慶に戴を救うように頼みに行く李斎を命がけで守る。泰麒にもとても懐いていた。「鳴くときはわが名よぶ」と言うのは、その鳴き声から名前をつけることが多かったため。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
酸与 鳥がいる、その状は蛇の如くで四つの翼、六つの目、三つの足、名は酸与。鳴くときはわが名呼ぶ。これが現れるとその邑(くに)に恐慌おこる。 頑丘のかすれた声が言う。「酸與だ・・・・・・」それは人の身の丈の倍ほども長さのある蛇。四枚の翼があって、それをゆっくりと羽ばたかせて身をくねらせ、宙を泳ぐ様子は寒気を催させた。(図南の翼)
「山海経」では「酸与」、「十二国記」では「酸與」だが同じ。犬狼真君が来てくれなければ、あわやの場面。国が荒れるから酸与が現れるのか、酸与が現れたから国が荒れるのか、どっちにしても迷惑な存在。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
九尾狐 獣がいる。その状は狐の如きで九つの尾、その声は嬰児のよう、よく人を食う。(これを)食ったものは邪気におそわれぬ。 ゲームのみ使令として登場する。ちなみに「嬰児」とは生まれて間もない子どものこと。(「赫々たる王道 紅緑の羽化」)
日本にやって来て玉藻前と呼ばれた人喰い狐。鳥羽帝にとり憑き、日本国を滅亡させようとしたが、陰陽博士安部泰成に見破られ、三浦介義純やによって那須野(栃木県)に追いつめられ、ついに殺生石になる。石になっても近寄るものの命を奪う毒石と恐れられたが、玄翁和尚により断ち割られた、それでもなお祟り続けた。かなづち=玄翁の語源。私の前作のデータでは、黄色と黒2種類の九尾の狐のうち、黒い方を使令にできず、悔しかった(笑)。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
鸞鳥 鳥がいる、その状は翟(きじ)の如くで五色の文あり、名は鸞鳥。これが現れると天下太平である。 銀の粒しか食べない鳥だ。鳥の名前は楽俊も知らない。本来なら貴人の伝言に使われる鳥で、楽俊などに馴染みがある鳥ではないのだ。青い文(あや)のある羽、長い尾羽は濃い青に白の斑、嘴と脚だけが赤い。(書簡)
「書簡」の楽俊と陽子の間で交わされる鸞鳥も興味深いが、それ以上にインパクトがあったのがゲーム2作目「赫々たる王道 紅緑の羽化」。尚隆が毎朝のように(ミッションクリアごと)送ってくるわ、暁天の街に下りれば遊技場の前でいそいそと待っている和でかなり可愛い。十二国牌以外はお断りすると哀しい顔になるのがいっそう可愛い(笑)。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
朱厭 獣がいるその状は猿の如くで白い首、赤い脚、名は朱厭。これが現れると大戦がおこる。 それは、人によって朱厭と呼ばれていた。巨大な赤毛の猿に似ており、その首だけが白い。ひときわ赤いのはその足だ。良く尖った牙と、猛禽のような爪を持っており、そして狡賢な知恵を持っている。(図南の翼)
珠晶が頑丘ら専門家の助けを借りずに倒した妖魔。近伯らも玉を使えば狩ることはできたろうに、あえてそれをせず避けて通った。これは珠晶のための設定だと思われる。「狩ろうと思わなかった専門家と、狩ろうとした素人と、興味深い部分。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
挙父 獣がいる、その状は禺の如くで、文のある臂(かいな)、豹の(虎)尾、よく物を投げる、名は挙父。 ゲームオリジナルの使令。(「赫々たる王道 紅緑の羽化」)
親猿の頭に小猿が乗っているような感じの妖魔。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
橐ヒ 鳥がいる、その状は梟の如く、人面で一つの足、橐ヒという。。 ゲームオリジナルの使令。(「赫々たる王道 紅緑の羽化」)
赤い鳥のような使令。「ヒ」は上が「非」、下に「巴」。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
欽原 鳥がいる、その状は蜂の如く、大きさは鴛鴦(おしどり)のよう、名は欽原。鳥獣を刺せば死ぬし、木を刺せば枯らす。 「陽子、キンゲン!」ふと顔を上げると鶏大の鳥が群れをつくって飛んでくるところだった。十か二十か、実数は分からない。「刺されるな、毒がある!」(月の影 影の海)
塙麟の使令。鈴村健一さん(楽俊)、風間勇刀さん(鳴賢)、大島将哉さん(王師兵など)が声を担当。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
帝江 神がいる、その姿は黄色い囊(ふくろ)の如く、赤いことは丹の火のよう、六つの足、四つの翼、こんとんとして面(かお)も目もないが、この神は歌舞に詳しい。まことこれぞ帝・江である。 ゲームオリジナルの使令。(「赫々たる王道 紅緑の羽化」)
ゲームの使令名は頭の中に叩き込んであったが、帝江は耳の垂れ下がった豚みたいな感じで可愛かった。名前を忘れていたが、山海経の中で一番印象強くて絵を見て吹き出してしまった、豚みたいな体で、前もお尻、後もお尻、頭がない。後でゲームにもいたなと思い出したが、妖獣妖魔ではなく、神であるところが興味深い。神をも使令にしてのけるか、恐るべし、景麒(笑)。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
孟極 獣がいる、その状は豹の如くで文のある題(ひたい)、白い身(からだ)、名は孟極。これはよくなつく。鳴くときはわが名呼ぶ。 「おはよう、白兔」珠晶の声に柵の向こうに寝そべっていた白い獣が顔を上げた。白い豹のような騎獣、孟極。利口で人の意をよく察し、しかも温和で主人によく懐く。(図南の翼)
アニメ化されていないが、原作の挿絵でその姿を見ることができる。珠晶の旅の途中で盗まれてしまったが、その後どうなったのだろうか。王になった珠晶が宣言どおりびしびしと取り締まって白兔も取り返すことができたらいいんだけれど。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
山キ 獣がいる、その状は犬の如くで人面、よく物を投げ、人を見れば笑う。その名は山キ。走ること風の如く、これが現れると天下に大風がふく。 六太の使令。ゲーム「赫々たる王道 紅緑の羽化」にも登場。
可愛い犬のような使令。山海経では「けもの編に軍」と書くが、アニメでは「山輝」と書く。声は堀川仁さん(柴望)。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
ホウ鴞 獣がいる、その状は羊の身の如く、人面、目が脇の下にあり、虎の歯、人の爪その声は嬰児のよう、名はホウ鴞、これは人を食う。 たぶんゲームオリジナルの妖魔だと思うがよくわからない。(「赫々たる王道 紅緑の羽化」)
たしかバイソンみたいな角を持った、水属性の妖魔ではなかったろうか。アニメ「十二国記」を見ていた頃は、妖魔の種類や名前にさほど関心を持っていなかったので、よく覚えていないのが残念。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
従従 獣がいる、その状は犬の如く、六つの足、その名は従従。鳴くときはわが名呼ぶ。 ゲームオリジナルの使令。(「赫々たる王道 紅緑の羽化」)
火属性につき、驃騎と共にほとんど陽子に従っていた。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
猲狙 獣がいる、その状は狼の如く、赤い首、鼠の目、その声は豚のよう、名は[猲狙]猲タン(けもの編に旦)。これは人を食らう。 褐狙は酸與の鱗に覆われた首をくわえたまま、一瞬の間、頑丘らを振り返った。赤茶を帯びた首の毛並みが木漏れ日に緋色に透ける。(図南の翼)
犬狼真君はかつての更夜として「東の海神 西の滄海」に登場するが、この時連れていたのは天犬(ろくた)。小野先生によると、ろくたは天寿を全うしたらしい。このことから、更夜が「自分を助け、育ててくれた妖魔とだけしたしくなれる」わけではないことが窺える。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
合窳 獣がいる、その状は彘(いのこ)の如くで人面、黄色い身で赤い尾。その名は合窳、その声は嬰児のよう。この獣は人を食うし、また虫・蛇を食う。これが現れると天下に洪水おこる。 アニメオリジナル?猪型の塙麟の使令。(月の影 影の海)
声は斡由の大倉正章さん。ゲームではよく出る敵。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
馬腹 獣がいる、その名は馬腹、その状は人面の如くで虎の身、その声は嬰児のよう。これは人を食う。 どっと人の波が押し寄せて、陽子はその向こうに小山のような黒い影を見た恐ろしく大きな虎に似ている。バフク、と誰かが叫ぶのが聞こえた。(月の影 影の海)
ゲームで非常に印象の強い妖魔。緑のライオン?

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
犀渠 獣がいる、その状は牛の如くで蒼い身、その声は嬰児のよう。これは人を食う。 人々をなぎたおしながら駆けてくる巨大な虎。その背後に大きな牛に似た生き物が見える。(月の影 影の海)
塙麟の青牛型使令。声は山口勝平さんと風間勇刀さんが担当。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
驕虫 神がいる、その状は人の如くで二つの首、名は驕虫といい、まことにここは蜂、蜜(みつばち)の盧(すみか)。 ゲームオリジナル?(紅蓮の標 黄塵の路)
ゲームではカラフルな蜂だったが、首が2つある人型でしかも神・・・。神の基準がよくわからない。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
葪柏 山に木がある。その状は茨の如く、白い花で赤い実、名は葪柏。服用するものは寒がらぬ。 「荊柏・・・?」「はい。荊柏は茨のような植物で、荒地でも放任したままよく育ち、春から秋までの長い間、季節を問わず白い花をつけます。花は落ちて鶉の卵ぐらいの大きさの実を結ぶのですが、この荊柏の実を乾燥させると、炭の代わりになるのです。」(黄昏の岸 暁の天)
陽子が望んでも手に入らぬものなのだろうか。厳しい条件があったり早い者勝ちだったりする?微妙に字が違うが、どうやら特殊漢字は直されているようである。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
ジョウヨウ 水中にジョウヨウが多い。その状は黄蛇の如くで魚の翼(ひれ)、(水に)出入するときは光を放つ。これが現れるとその邑(くに)は大いに旱(ひでり)する。 アニメ「月の影 影の海」にオリジナルで登場した海蛇型妖魔。
「山海経」では変換不能だったが、脚本集では「條庸」とされた。原作では海の底にいる妖魔は滅多に現れないとされているらしいが、陽子を襲うために集まってきた妖魔を喰うために出てきたと設定されている。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
雍和 獣がいる。その状はサル(猿を意味する特殊漢字)の如くで赤い目、赤い喙、黄色い身、名は雍和。これが現れると国におおさわぎさおこる。 男に呼ばれて女が現れたのと同じように、二頭の大きな獣が現れた。一方は大型犬に、一方は狒狒に似ている。(月の影 影の海)
景麒の使令、「重朔」。「犬夜叉」で奈落が着用している狒狒の毛皮なども中国妖魔から取った物だが、陽子が「犬夜叉」ファンとは思えないので(笑)、ここでいう狒狒とは動物のヒヒと思ったがどうだろう?ゲームでは土属性に付き陽子とは相性があまり良くなく、もっぱら紫雲の専属使令だった。声は浅野&北条くん(犬夜叉)と芸達者な上田祐司さんが担当された。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
イ即 獣がいる、その状は膜(ばく、未詳)[大]犬(西域のいぬ)の如く、赤い喙、赤い目、白い尾、これが現れるとその邑に火災起こる。名はイ即。 「もう、いい」溜息まじりに言って、陽子は椅子に腰をおろす。その足元からくつくつと笑い声が聞こえた。(風の万里 黎明の空)
「・・・・・・」思わず身を引いた泰麒の前で悠々とあくびをして、そうしてくつくつと笑った。(風の海 迷宮の岸)
班渠、「十二国記」では「猗即」と表記。雀胡と共にうちに欲しい使令(笑)。ゲームで雷攻撃を出すが、実際に雷に関係があるらしいことを何かで読んだ記憶がある。何だったか思い出せないのがものすごく悔しい。陽子、景麒、泰麒より世慣れた感じが好き。「くつくつと笑う」のがいい。声は青猿&少年泰麒こと高里要の岡野浩介さん。

名称
「山海経」にて
十二国記」にて
吉量 文(あや)ある馬がいる、白い縞の身、朱い鬣、目は黄金のよう、名は吉量。これに乗れば寿命千年という。 鈴はその騎獣に目を留め、それが吉量であるのに気づき、同時に騎乗した人影を認めて前に飛び出していた。(風の万里 黎明の空)
鹿蜀といい吉量といい縁起のいい騎獣もけっこう多い。でも千年は生きなくていいかも。陽子の慶に千年でも二千年でも続いて欲しい。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
騶呉 林氏国に珍獣あり、大きさ虎の如く、五彩みなそなわり、尾は身より長い。名は騶呉。これに乗れば日に戦利を行く。 冢堂の裏手にいた騎獣は、鞍を置いたまま、身の丈ほどもある長い尾を地に這わせて寝そべり、ただ首だけを仰向けて珠晶をながめている。珠晶はその目をのぞきこんだ。「すごいわ。なんて、綺麗な目・・・・・・」(図南の翼)
「十二国記」では「騶虞」。最高にして最速の騎獣。「図南の翼」「風の海 迷宮の岸」など全ての物語において文章だけでもその美しさ、優雅さ、力強さがぐわっとあふれ出して来るような描写ばかり。小野先生も大好きなんだろうな。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
天犬 赤い犬がいる、名は天犬、それが(天から)下るところ(国)に兵乱おこる。 巨大な狼には翼があり 嘴がある。それはおそらく天犬と呼ばれる妖魔だろう。その背にも一人子供がいた。
六太と更夜(後の犬狼真君)との出会い。六太が妖魔の背にいた少年に「更夜」と名づけ、更夜は妖魔に「ろくた」と名づける。束の間心を通わせる二人だが、この出会いが後に大きな悲劇を生むことになる。「山海経」では、「妖魔」と「妖獣」の区別がなくて、むしろ「獣(鳥、魚なども含む)」と「神」として区別されているようである。「十二国記」を書くに当たって新たな分類をされたようだ。

名称
「山海経」にて
「十二国記」にて
并封 并封は巫咸(ふかん=国の名前)の東にあり、その形は彘(いのこ=いのしし)の如く、前後いずれにも首がある。黒色。 ゲームオリジナルの使令でいたように思う。
こちらはドリトル先生のオシツオサレツのように前から見ても後から見ても豚の頭。いずれ時間ができたらゲームにもう一度挑戦して他の使令も確認したい。

名称
「山海経」にて
「犬夜叉」にて
猩猩 青(衍字)獣がいる、人面、名は猩猩。 奈落の着物となった狒狒=猩猩という説がある。
猿のヒヒとはもちろん違うが、中国に猿のような妖怪がいて名を狒狒と言う。これが九尾の狐(玉藻の前)などと共に来日、運悪く奈落に見つかり退治されてしまったかな?ただし猩猩=狒狒説には異論も多く、「山海経」でも明言していないので、あくまでも管理人の好みということで入れた(笑)。全身に黒い毛が生え、人を見ると笑う(実は威嚇)など、猿の特徴も確かに備えている。趣味に合わず、脱色したのか?奈落。解説には「海内南経」には「髴髴」が出てくると書いてあったが見つけることができなかった。解説によると、日本の狒狒は大猿妖怪で笑いながら人を喰ったとされる。奈落の着物はこっちかも。

名称
「山海経」にて
「三国志」にて
祝融 南方(神)は祝融、獣身人面、双竜に乗る。 南蛮王孟獲の妻。
ゲームで「火の神の末裔」だったかな?と名乗るがたしかに火の神と関係があるらしい。「山海経」にも記述があったと思うが、わからなくなってしまった。いずれ確認予定。


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