六太(月の影 影の海)

延国麒麟。
陽子、尚隆と同じ胎果。
麒麟のイメージとはかけ離れた腕白坊主?
尚隆とは笑えるコンビである。


「・・・んじゃ、あんたのかーちゃんか?」
「おまえは俺の妻か母でなければ礼儀を思い出せんのか」
ため息混じりに言ってから、延は呆気にとられている陽子をふり返る。


いろんな意味で衝撃的だった(笑)、六太の初登場シーン。
それまでは麒麟と言えば景麒のイメージしかなかったし。
もうひとつ気になったのは、王は王位についてから結婚してもいいんだってこと。
後でしないようなことを遠甫が言ってたし。


延がかいつまんで事情を話す。
延麒は黙って耳をかたむけ、渋い顔をした。
「痴れ者が。
麒麟に人を襲わせたな」


初めて?六太が麒麟だと意識する台詞。
「痴れ者が」
この響きがいい。


「泰麒、ということは、戴国の麒麟?」
「そう、戴極国の雛さ」
「雛、って」
「成獣じゃなかった」
「延麒は?」
「オレは成獣だよ。
麒麟は成獣すると外見の成長が止まる」
「と、いうことは、延麒のほうが景麒より早く成長したんだ」
「そおゆうこと」
なんだか得意そうに言うのがおかしかった。


治世500年の大国の麒麟だけあって、鼻っ柱の強さもなかなかのものである。(笑)
延麒が陽子の麒麟だったら、景麒が尚隆の麒麟だったら、どんな国ができただろうと想像すると笑いが止まらなくなる。


「うまいそうだぞ、麒麟は。
まぁ、死んだあとだからどうでもいいけどさ。
・・・哀れに思うなら、景麒を大事にしてやれ。
奴を失望させないでくれ」

それでも同属の景麒に優しさを示す。
麒麟の仁を象徴する名台詞。
この時期、陽子の気持ちを一番理解していたのは延麒だったのではないかと思う。
尚隆や楽俊の迷いのない王への誘いは少し重かったのではないだろうか。


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六太(風の海 迷宮の岸)

景麒の計らいで尚隆と共に戴を訪れ、驍宗、泰麒に会う。

少年は景麒のような金髪で、まるでその金髪が光の残像を残したようにごく淡く金の光が周囲に見えた。

泰麒の目に映る延麒六太の姿。
喋らなければ淡い金の光をまとった美少年、なのだが・・・(笑)。


いや、と笑って驍宗は少年を見る。
「あれは先帝が残した屑です。取り壊して官庫に穀物を買う足しにしようと思っておりますが、雁には余剰の穀物がおありだろうか」
「泰王は運がいい」
延麒は笑った。
「うちはこのところ豊作続きで、値下がりして困っていたんだ」


延王尚隆と主従で馬鹿やってても、こうした問いにはきちんと答える。
国政をきちんと把握している有能さが窺える。


「いつのお生まれですか?」
延麒はちょっと天井を見る。
「お前が生まれる五百年ばかり前」
「ええ?」


景麒のおかげで二王三麒が揃い踏み。
六太の過去は「東の海神 西の滄海」で語られることになる。


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