騶虞 (月の影 影の海)

ホワイトタイガーに似た尚隆の騎獣。
雁国では「たま」と「とら」。
利広や驍宗も連れ歩いていた。
李斎も欲しがっていたが、結局驍宗が王位に就いたことで、狩りに行く暇がなかった ようだ。
結局李斎が騶虞の仮の主人となったのは、あまりに過酷な道行きの時だった。


淡く輝いているように見える虎が二匹、毛並みは黒い縞に光線の加減によって色の変 わる白、真珠に例えるほど淡くなく、油膜に例えるほど濃くもない。
ブラック・オパールのような目が印象的で、素晴らしく尾が長かった。

美しくて誇り高い騶虞は、並の人間には扱えないしろもの。
動物園でまじかに見た虎の優美な筋肉の動きに圧倒されたが、騶虞はもっと素晴ら しいんだろうなあ。
それでも向こうでは「1匹2匹」と数えられてしまうのがおかしい。
  持ってる人はうらやましがられること確実。


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騶虞 (風の海 迷宮の岸)

「風の海 迷宮の岸」に登場するのは驍宗の騎獣「計都」。
主人に似たのか他の騶虞に比べ一番猛々しいイメージがある。


「李斎殿、とても綺麗な獣がいる」
泰麒が見やった方向を振り返って、李斎は頷いた。
「ああ、騶虞ですね。―あれは見事だ」
それは虎によく似た生き物だった。素晴らしく長い尾の先まで、不思議な五色に輝いて見える。天馬がどこか柔らかな印象を与える生き物であるのに比べ、それはあくまで猛々しく強い。

陽子や祥瓊など「十二国記」登場人物の描写は深くて厳しくて語る時もかなり緊張するのだけど、騶虞に関してはとても楽しい。
小野先生もいかに騶虞の美しさを伝えるかのみに心を砕いているように思える。
きっと可愛くてたまらないのだろう。



間近に寄ってみると、容姿よりもさらに印象的なのはその目だった。信じられないほど複雑で美しい色をしている。

以前どこかで「彗星」と書いてあるのを読んで「素敵な名前だなあ。」と感動していたのだが、大漢和辞典によると、インドより渡った仏教用語で九曜と呼ばれ、月火水木金土、そして日(太陽)に計都星、羅喉星を合わせたものを言うのだ。
彗星も間違いではないけれど全てでもないというところだろうか。
ここでも「計都」はあまり縁起のいい星ではなく、むしろ「凶」を意味するとか。
ここでも「いっそ不吉で」などと言っていたのではないだろうけど。
騶虞の流れるような飛び方の美しさを彗星に例えたのだと思いたい。
驍宗のネーミングセンスが大いなる皮肉とならないように。



最初にそれに気づいたのは騶虞だった。
驍宗は乗騎を見やった。月のあるうちに狩りをしようと、鞍の準備をしていた手を止める。
「どうした?」
騶虞は天の一角を見上げて、低く喉を鳴らしている。
最初は妖魔の夜襲かと思った。だが、それにしては騶虞の様子に緊張が見えない。

喉を鳴らすということは親愛の表現だろう。
麒麟に懐く虎、可愛い(笑)。
「風の万里 黎明の空」では楽俊に「くおん」と鳴いてたのはたま。
ネズミに懐く虎、さらに可愛い(笑)。



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櫨先新 (図南の翼)

奏国宗王。
治世は600年を越え、あと80年で歴史上最長となる。
出自は宿屋の主だが、出来物で家族で国を治めていることもあり、屈指の安定度を誇る。


「主上、お戻りなさりませ」
「おおー昭彰」
振り返って破顔した男は五十がらみ、いかにも恰幅の良い大きな男だった。
これがこの奏国の主、宗麟に昭彰と字を下した稀代の王。
ーいや稀代の王の、その要。

出番は少ないが、というよりほとんどないが存在感が凄い王。
宿の主であったことが、独裁に走らず民主主義?を大事にするやり方に役立ったのか、いずれにしても出来物である。
家族仲もよく、また一人一人が優れているので理想的な国家と言える。
惜しむらくは慶や雁、巧から遠い場所にあるためにあまり出番がないことだろうか。
奏中心の物語も読みたいのだが。




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櫨先新(帰山)

家族団欒の中で利広の口から各国の報告を聞く。

それで、と鷹揚に利広を促したのは、一家の要、宗王先新だった。
小卓に食器を下げていた手を止めて、手ずから茶を汲んで息子の前に差し出した。
これまた、奏以外ではあまり見られない光景かもしれない。

雁の尚隆と奏の利広は十二の国を歩き回って各地の情報を得る。
単なる風来坊ではなく、それぞれの国の状況を把握する上で、また対処する上で大切な事。
「帰山」でも主役は利広だが、家族の会話を通してそれそれの国の「今」が語られるのが興味深かった。
特に慶と恭がほめられているのを読んで。


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