尚隆(月の影 影の海)

延国王。
陽子と同じ胎果だが、延麒六太に選ばれる前は「倭国」と呼ばれる昔の日本で「小松 尚隆(なおたか)」を名乗っていた。
あっちでもこっちでも、ピンクのリボンがトレードマーク。
この頃は「延」と表現されているが、私は「尚隆」の方が好き♪
「月の影−」では、まだ尚隆の見た目のかっこ良さや男らしさが強調されているが、尚隆の複雑な魅力がにじみ出てくるのはこれ以降。



目を閉じようとしたときに、突然向かってきていた鳥が消失した。
誰かが横から鳥を叩き落したのだ。
それが誰だか確認する間もなかった。


尚隆の初登場シーン。
陽子側に立って書かれているが、もうここだけで「どこの誰だかわかんないけどかっ こいい!」と惚れこんだ人。
尚隆の場合、体が大きいということが大事。

 

陽子よりは頭ひとつはゆうに大きい男だった。
「気を散じるな」
男は言って最後の鳥を無造作に斬り捨てる。


尚隆に限らず、だがこういう喋り方は好きである。
目にも耳にも心地よい。
私が現代物より昔の小説が好きなのも、こんな所に原因があるのかも。



「良い腕をしている」
血糊を払って剣をおさめた男が言った。
少しも息を乱していない。
体躯は大きいが巨漢という印象はなかった。


ここで初めて尚隆のイメージが明らかになる。
ホワイトハート文庫では、さらに読み勧めると山田氏によるイラストが挿入され、六 太、楽俊(人間モード)と一緒に尚隆も見ることができるが、私のイメージだと、む しろアニメの男っぽい印象に近い。



男は人の悪い笑みを浮かべた。
「台輔は留守だ。
用件ならば俺が聞く」

 
これがやりたくでわざわざ出向いたのではないかと思わせる一文。
しかも自分のかっこよさを十二分に意識している感じがする。
陽子はそれどころではないようだが、ここで尚隆に「惚れた」人は数知れず、と見 た。
もちろん私もその一人。(笑)



「俺は小松尚隆という」
まったくかまえる様子を見せずに答えた男を、陽子はまじまじと見返した。

ここはもう、陽子も楽俊もなく、ひたすら尚隆の声(心の中に響く声)に聞き惚れる だけ。
「もしかして」、「まさか」、そんな緊張感をたたえる陽子たちに、尚隆はさらりと 言ってのける。
「称号で言うなら俺は延王だ。
  −雁州国王、延」
絶妙の言い回し。



「礼儀を知らぬ奴で申し訳ない。
これが延麒だ。
六太、こちらは景王でいらっしゃる」 「げ」
一声言うなりその場を飛び退いて、少年は陽子を見上げる。
がまんがならずに陽子は噴き出した。

 
まじめな顔してるけど、こういう展開を予想してたんだろうな、尚隆は。(笑)


おまえはおまえ自身の王であり、己自身であることの責任を知っている。
それがわからぬ者に王者の責任を説いたところで虚しいだけだし、自らを統治できな い者に国土を統治できようはずもない」

 
尚隆にここまで言われる陽子ってすごいと思う。
同時に、これだけの時間でそこまで見抜く尚隆もすごい。



「麒麟は蝕を起こすことができる。
おまえは虚海を渡れる身体になったのだから、造作はない。
もしもおまえが是が非でも帰りたいのなら、景麒が否と言っても延麒に送らせると約 束しよう」
フェアな人物だ、と陽子は思う。

 
すごく男らしい人。
どうしてここで陽子が惚れ込まないのか不思議なくらい。(笑)



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尚隆(風の海 迷宮の岸)

偽王を選んでしまったと苦しむ泰麒の誤解を解くために、景麒に頼まれ、六太とともにゲスト出演。
以前驍宗と打ち合ったことがあるらしい。



延はといえば、半ば呆れたような、半ば興味深そうな顔つきで泰麒たちを見ていた。
「・・・・・・うるわしき同族愛だな」
「阿呆。お前がやりすぎたんだろーが!この莫迦、すっかり悪玉にひたりやがって」
泰麒はぽかんと三者を見比べた。


景麒の項でも書いたけど、二王三麒の揃い踏みの嬉しさは別として、景麒がわざわざ雁国主従をここに引っ張り出した意味がわからない。
確かに尚隆と驍宗、延麒と泰麒が顔を合わせることはストーリーを進める上で重要な伏線となる。
けれど泰麒が偽王を選んでしまったと告白した時に、ただ一言「ー麒麟は偽りの誓約など、できはしません」ときっぱり答えることではいけなかったのか。
(この言葉は本編では尚隆が「ー麒麟は偽りの誓約など、できはせぬ」と言い切っている)
感動のクライマックスというより泰麒の苦しみをいたずらに長引かせる結果になってしまったように思えるのは私だけだろうか。

 

太い笑みを浮かべた驍宗に、延もまた慶賀を述べた。
「雁からもお慶びを申しあげる」
「ありがとう存じます」


別の形で雁国主従には顔を出して欲しかったな。
即位の儀に呼ばれもしないのにやって来るとか。
(さすがにそれはあり得ないか、笑)

 

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芥瑚(月の影 影の海)

景麒の女怪。

「カイコ」
男の声に呼ばれたように、コンクリートの床からひとりの女が現れた。まるで水面に浮かびあがってくるように羽毛に覆われた女の上半身が現れる。


初読の時こそ真剣に読んでいたが、景麒の性格を知ってから読むと、芥瑚の育児の苦労がしのばれて、芥瑚登場場面ではつい笑ってしまう。
他の麒麟に比べて大変だっただろうなあ、景麒育てるのは、きっと・・・。


「あなたたちは・・・・・・何者?」
「我々はタイホの僕です。ーどうぞ、前を。お落としすると叱られます」
「・・・・・・うん」
陽子はしぶしぶ前を向く。


叱るというよりねちねち文句を言いそうだ(笑)。
でも芥瑚にとって景麒は何者にも耐え難い存在。
景麒も芥瑚になら心を許して甘えてそうだ、たぶん。



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