過去のレポート 1

クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐について
クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐。
ハプスブルク家の流れをくむ名門エーベルバッハ家現当主。
ドイツのボンにあるNATO支部情報部所属。
陸軍戦車部隊出身、マグナムを片手で撃つ射撃の名手。
数ヶ国語を操り、旅客機やミグ戦闘機などの操縦も可能。

知る人ぞ知る、知らない人は知らない(笑)、のカルトな有名人である。
青池保子作「エロイカより愛をこめて」の主役の一人で私の初恋の人。
26人の部下にA〜Zと名前をつけ、口癖は「アラスカに行け!」と「ばかものーっ!」と怒鳴ること。

スパイとしては極めて有能だが、異常なほどの硬派で態度もでかい。
エーベルバッハ(イノシシの川の意味)のとおりの猪突猛進型。
実は、今年のワールドカップで大ブレイクしたオリバー・カーン選手がまさに少佐そのものと、少佐ファンの間では大変な人気だった。

私はずっと後になってからコミックで読んだので、当時どれだけ人気があったかは知らないが、社会的現象にまでなったらしい。
有名なのが「パタリロ」や「金田一少年の事件簿」への特別?出演。
「黒死蝶殺人事件」では「猪川将佐(まさすけと読む)」と名乗り、これは私もテレビで見た。
ただこちらは傲慢なくせに無能な損な役回りで、かなり印象が変わっていたように思う。

私たちがドイツ人に対して抱くイメージ(頑固、融通が効かない、ジャガイモ好きなど)を極端にデフォルメ化した存在が少佐だった。
潔癖症で0.1ミリのゴミやシミも見逃さず、カーテンのひだは必ず上下等間隔に揃えるなど実際にそんな人がそばにいたらこっちがノイローゼになりそうな性格。
(モデルになったドイツ人が本当にいるらしい・・・。)

ところで少佐が大好きなジャガイモ、先日テレビで特集されていたので思わず見入ってしまった。
ドイツでは当然ジャガイモが主食とされ、日本人がご飯を食べる感覚でジャガイモを食べるとのこと。
ドイツのレストランで働くためには、最低100種類のジャガイモ料理が作れなくてはならず、一流シェフとなれば400〜500種類はこなすそうだ。

私は・・・、お味噌汁と肉じゃがと粉ふきいも、コロッケそれから・・・?もうやめておこう。
ドイツ人のために存在するかのようなジャガイモだが、実はドイツに入ってきたのは400年前と比較的新しい。
しかも最初の頃は、醜いとか種もまかないのに勝手に出てきて不気味とか、聖書にも出てこない悪魔の食べ物とか散々な言われようだった。
しかし、厳しい気候にも耐えて育つジャガイモはやがて見直され、政府の奨励もあってドイツになじんでいくのである。

今では普通の八百屋とは別にジャガイモ屋が独立してあるとのこと。
料理の種類によって使い分けるとのことだから、一度のぞいてみたいものである。
ドイツ料理が特別好きなわけではないが、一度銀座の「ケテル」に行ったことがある。
妹がハンバーグを注文したら、なんと生肉のハンバーグが出てきてびっくりした。

話がそれた。
少佐についてお笑いネタのようなことばかり書いてきたが、本質的には硬派の漫画である。
高橋先生もそうだが、この世代の漫画家はプロの職人だと思う。
先日青池先生のトークショーに参加してつくづく感じた。
とにかく真摯に勉強されている気がする。
大人が小説感覚で読める漫画は本当に少ない、と言うより少なくとも他に私は知らない。
(2003年9月5日の日記)
少佐の母君
クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐、鉄のクラウスの生みの親は漫画家青池保子先生。
青池先生には2度お目にかかったことがある。
1度は前公式サイト時代のトークショー、もう一度は渋谷で行われたサイン会。

周りはみんなグループで来ていて、何となくいたたまれない思いで原画などのぞいていたが、原画のあまりの素晴らしさにたちまち夢中になり、気詰まり感など吹き飛んでしまった。

トークショーでは何となく女らしい先生をイメージしていたのだが、さばさばした話し方に思わず「少佐みたい♪」と目がハート。
握手していただいた手もしなやかで、ああこの手が少佐を描いてくれてるのね、と思うと離したくない気持ちでいっぱいになったりした。

サイン会では書店の中で2時間半並んで待つ。
この時は一人で来た人がたくさんいて、なんとなく前後の人と「誰のファンですか?」なんてお喋りしたり。

ところが途中で小野不由美コーナーにぶつかった。
うずたかく積まれた「屍鬼」上下巻ハードカバー。
早読み自慢の私、そこにいる間に上巻読み上げたという記憶がある。
今思えばそのそばに、ホワイトハート文庫の十二国記シリーズが並んでいたのだが、そのイラストにコバルト文庫の類かと思って素通りした記憶も(笑)。

ちょうど複製原画スペシャルパックが発売された時期で、皆さんお気に入りの原画を持参していたが、なぜか私は少佐のイラスト入りネスカフェゴールドブレンド(少佐の愛飲品)。

「えっ、これ?
ほんとにこれにサインするの?」
素っ頓狂な声を出された先生に顔中火がついたが、それでも優しくサインと握手のプレゼント。

この時の写真がこれ。→「サイン会での青池先生
もちろん隣には真っ赤な顔をした私がいる。
かっこいいお兄さんが小さな小さなネスカフェを「記念に」と渡してくださった。

私の前の人はドイツ軍の軍服を来た女性で、しかも巨大な青池先生の原画、正真正銘の原画を持ってきていて、先生が、「あれ、これ私だわ。 覚えてないけど私だわ。」とやはり驚かれたのも覚えている。
その次が私のネスカフェゴールドブレンド(涙)。

実は私、原画には先生のサインといえど書いてはいけないと信じていたのだった・・・。
並んでいる皆さんが堂々と原画を持っているのを見て「しまった」と思ってはいたのだけれど・・・。

全てがとても懐かしくて楽しかった思い出。
こちらはコミック派で、新刊が出るのを首を長くして待っている状態だが、最近立て続けに素晴らしいプレゼントがあった。

ひとつは新しい公式サイト開設。
そしてもうひとつはBSで放映されたBSこだわり館「THE少女マンガ!」 「作者が語る名作の秘密」青池先生版。
この番組に関しては次回内容や先生の言葉を紹介したい。
エロイカより愛をこめての創り方 1
アメリカとソ連の国旗をバックに「東西冷戦」の文字、空飛ぶ戦闘機に地を走る戦車。

「第一次世界大戦後、アメリカとソ連は厳しく対立し、東西冷戦の時代と呼ばれた。」のナレーションで始まる「エロイカより愛をこめての創り方」。
知らずに見れば、東西冷戦を語る歴史ドキュメンタリーと思ってしまうほど重厚な幕開けである。

「その最中(さなか)の1976年、ひとつの漫画が少女漫画界を震撼させた。」
ナレーションと共にぽんと出てくるのが「ビバ・プリンセス」1977年冬季号。
「その作品は『エロイカより愛をこめて』。
 主人公は怪盗エロイカことドリアン・レッド・グローリア伯爵。
 そしてもう一人、NATO軍情報部クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐。
 人呼んで『鉄のクラウス』。」

ここでショックだったのが、私はずっと「てつの」のアクセントを「て」において「つのクラウス」と読んでいた。
ところがナレーションでは、アクセントをどこにもつけずに平板な読み方。
これが本当かもしれないが、なんだか別人みたい。

紹介用の少佐の絵は「魔弾の射手」の表紙絵。
トレンチコートに革の手袋を脱ごうとしている私が大好きな少佐なのでこれは嬉しい。

「魔弾の射手」と比べると、テレビのせいかもしれないが、目の周りが明るくて、ずっと優しそうな雰囲気。

続いて「ガガガガガ」とマシンガン掃射の効果音と共に「来た 見た 勝った!!」で少佐が追っ手のKGBにマシンガンをぶっ放す爽快カット(コミック4巻133ページ)が披露される。
私は少佐の髪がなびいている時がとても好きなのでこのカットもお気に入り。
この「来た 見た 勝った!!」はもちろん古代ローマ帝国の英雄ジュリアス・シーザーの名文句より取ったもの。
作品内でも伯爵にゼラの戦いでシーザーの戦勝報告が「来たり 見たり 勝ったり」だったことを言わせている。

舞台はもちろんローマ。
怪盗エロイカは、なんとローマ法王をターゲットに、という話は置いといてさらに、10巻「9月の7日間」66ページ、砂漠でジープから飛び降り、ジープを撃って爆発させる少佐、11巻203ページ、ガラスを割ってど派手に登場ターザンエロイカ、1巻に戻って115ページ、催眠ガスを喰らった少佐と相対する伯爵(エロイカ)、4巻10ページやはり「来た 見た 勝った!!」でお風呂で石鹸にこけた少佐と立て続けに主役の2人のカットが入る。

次は5巻の表紙、薔薇を手にした伯爵と少佐の後姿、「スパイアクション」、「泥棒物語」、「痛快コメディー」とテロップが入り、「少女漫画に似つかわしくない冷戦下のスパイアクション、そこに華麗なる大泥棒がからんだはちゃめちゃなコメディー、これまでなかった新しい少女漫画の世界。
そこに少女たちは夢中になった。」

ここでセーラー服の少女たちが教室で雑誌に夢中になる再現ドラマが挿入される。
さらに有名どころのエロイカファンのインタビューが、ここで注目されるのが軍事評論家の方。
この方に関しては後で取り上げられている。

次は「エロイカより愛をこめて」のコミックがずらりと並び、
「連載開始から29年、単行本は30冊、70年代から今なお読み次がれている名作、『エロイカより愛をこめて』」とナレーション。
ここまでがいわば前振りで、次の瞬間念願の青池保子先生ご本人が登場する。
窓際の机に向かった後姿、がっしりとした黒っぽい机に画板?をしいて、そこに原稿が載っている。

周りには漫画を描くのに必要らしい画材がたくさん。
先生は黒っぽいセーターにベージュのエプロン、よく自画像で見るように髪は肩につかない程度。
左手には書棚があって漫画?資料?がぎっしり、机の上にライトは2つ。
出窓にはカセットデッキ?CDプレーヤー?

出窓の下にはヒーター、後にも資料がぎっしり、書棚をはさんで隣にはやはり机と椅子。
壁にはさまざまなメモらしきものが貼られているが、そこは今はきれいに片付いてて誰もいない。

資料を置いてあるのは藍色のソファーかな?今はまだはっきりわからない。
とここまで書いたところで今日は時間切れ。
BS放送を見られなかった方のために書き始めた「少佐に関するレポート」だが、予想以上に時間がかかってしまったので、この続きはいずれまた。
こんな内容でよろしいでしょうか・・・?
(2005年3月21日の日記)
少佐との出会い 1巻ーNO.1感想
社会現象にまでなったという少佐人気だが、残念ながらその当時のことは知らない。
ある程度人気が落ち着いた頃、たまたま13巻あたりまで借りて読み、病み付きになった。

とはいえ、最初の印象はさほどのものではなかった。
シーザー・ガブリエル、シュガー・プラム、レパード・ソリッドの3人の超能力者に魅力は感じなかったし、表紙のくるくる巻き毛の麗人は、むしろ苦手なタイプだった。
(ちなみに私と青池先生の出会いは「エロイカより愛をこめて」から。)
ただせっかく借りたのだから、とりあえずは全部読んでみよう、それくらいの気持ちだったことを覚えている。

特にNO.1には少佐もまだ出てこない。
裏表紙に茶色いストレートヘアでくわえ煙草の少佐の「笑顔」があるが、それも印象に残らなかった。
感想としては、「少女漫画なのに変わった恋愛描いているなあ。」くらい?
あと顔の長いキャラの絵も変わってるなあと思ったりもした。

1巻1話では、ただ読んでみた漫画に過ぎなかった「エロイカより愛をこめて」が、今十数年の時を越えて、ホームページの一コンテンツになるのだから自分でも不思議。
他に興味深いのは、「タラオ・バンナイ」なるキャラと、すでにジェイムズ君が登場してること(まだ長身で、一応美形、でも宇宙人的性格はすでに出ている・・・)。
後で「イブの息子たち」を読んで、私の大好きな諸葛亮やアレキサンダーがどうしてこうなっちゃうの?って涙目になった反面、けっこう歴史の勉強にもなったけど。
もしも少佐が出てこなかったら、「エロイカ〜」は素通り漫画のひとつで終わっていただろうと思う。

元々漫画は読む方じゃなかったし、慣れるまで絵柄も苦手だったし。
でもこの3人の超能力者、少佐、伯爵と揃い踏みするのは最初のうちだけ。
少佐の勢いに押されたように、3人組は消えていく、そりゃそうだ、迫力が違うし(笑)。
伯爵の恋心も、いつしかシーザーよりも少佐に移ってしまったし。

この3人組はなんとなく「イブ〜」のヒース、バージル、ジャスティンをそのまま踏襲したようで、所詮消え行く運命だったのかな・とは思うけど、あまりにあっさり消えてしまって、それはそれで哀れなり。
私は高橋留美子先生もそうだけど、青池先生のような職人気質で硬質な絵の漫画が好きで、少女漫画よりむしろ少年漫画が好き。
(青池作品は少女漫画雑誌掲載だけれど、その枠を超えた男性漫画の匂いがする。)

「エロイカより愛をこめて」「イブの息子たち」他数ある青池作品を読んでいると

1、ドイツに行きたくなる。
2、世界史の知識が増える。
3、やっぱり黒髪が一番!と連呼したくなる。
4、NATOやドイツのエーベルバッハ市のホームページにアクセスしてみたりする。

などの兆候が現れる。
以前の公式サイトでは、毎日欠かさず少佐部屋やZ部屋に投票し、メール友達もたくさんできた。

少佐が当時、いかに人気があったかを髣髴させるエピソードには事欠かないが、ここではやはり他の漫画やアニメに登場した少佐のことを書いてみたい。
とは言っても以前に書いているのでちょっとだけ。

鉄のクラウスことクラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐は「金田一少年の事件簿」の原作とアニメに登場する。
猪川将佐、まんまエーベルバッハ(猪の川の意味)と「しょうさ」と書いて「すけまさ」と読む。
大好きな「金田一少年の事件簿」見てたらいきなり少佐もどきが出てきたのには驚いた。

そして「パタリロ」、これはたしか探してそこだけ見たのだが、少佐の姿はなかったけれど、声だけ2度ほど本に登場。
同業家にも愛されてたんだろうな、少佐。
青池先生の原画展
先日池袋ジュンク堂書店で開かれている青池先生の原画展に行ってきました。
サイン会は残念ながら旅行とぶつかってしまって行けませんでしたが、原画は見たい!見たい!見たい!と5日ほど通いました(笑)。
書店に入って地下に降りて、結構漫画家の先生方のいらっしゃる書店らしく、他にも萩尾望都他たくさんの漫画家の原画やサインが飾ってありました。

11額に14カット、パン作り中の可愛い少佐や、飛行機と一緒の少佐&伯爵や、少佐@乗馬中や薔薇を見上げる伯爵や・・・、「PLUS ULTRA 」収録の原画がずらり。
印刷ではわからない絵の微妙な陰影や、何ていうのかわかりませんが、少し生成りの色味がかかったごわごわした紙?に鉛筆の下書き、サイズや注意事項の書き込みがあったり、髪の毛の一本一本を辿ることができるような丁寧な、それでいて勢いのある線が素晴らしく、何度見ても飽きません。
原画を見たのは3度目ですが、これまでで一番堪能できたような気がします。

さて「PLUS ULTRA」ですが、懐かしのヒースやジークフリートや、これまで見たことのないオリジナルの絵や・・・、一度に見てしまうのがもったいないような素晴らしい絵ばかり。
その中で少佐の目や顔の長さやZの髪型の変遷を見ることができます。
原画展でもZの原画見たかったな。

まずは14ページ。
夜景をバックに煙草に火をつけたばかりの少佐、こちらを見据える眼差しが愛しいです(笑)。
24ページの銃を手にした鉄のクラウスとナイフ使いの伯爵、なにげに小熊のミーシャも好きだったり。

そしてなんと言っても「魔弾の射手」ですよ、29ページ。
まだ可愛かった頃と三白眼の迫力に目覚めたその移行期でしょうか、微妙な視線がたまりません。
次ページは、車のそばでライフル構える少佐、これぞ少佐!のベストカットです。

それからZ、ヘアスタイルの変化はZの成長の証、Zには雪がよく似合う。
そしてタキシード姿の少佐とZ、赤いリボンのプレゼントは誰のために?
少佐だったら嬉しいな、私だったらもっと嬉しい(#^.^#)。

他にも銃が似合う少佐、おちゃらけ少佐?可愛い少佐などもう全てが素敵過ぎ、で細かいところまでおもしろさ満載で、これじゃあ「LANDHAUS(公式サ イト)」の日記、なかなか書いてくださらないのも仕方がないなあとか思ってしまいました。

でもこうして少佐の歴史をたどってみると、私が一番好きな少佐&ストーリーは3巻から17巻くらいまでかな?と思いました。
もちろん全部好きですけどね、その中で特に、です。
同時に私はやっぱり「エロイカより愛をこめて」「Z」のに作品が特別なんだと感じました。
青池作品はほとんど網羅してますけど、この二作以外はそこまで思い入れがないんです。

何しろ少佐は私の初恋でしたから(笑)。
架空キャラで「この人と結婚したい♪」などと目をハートにしたのは、クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐と実は無双の趙雲と2人いるところが不届きものですけど。
最初の頃は伯爵やAくんにヤキモチ焼いてた懐かしい思い出。
でもぐーたら性格&だるだる根性の私ではとてもとても・・・(涙)。
原画一枚欲しいなあ、売ってくれないかなあなどと思いながら帰ってきました。
もちろん飛行機バックの軍服少佐です、あっ、「魔弾の射手」の表紙も可!
少佐登場 1巻ーNO.2感想
一気に10冊以上読んだ「エロイカより愛をこめて」、NO.2にいきなり少佐が登場するが、少佐が初恋と言ってもここですぐ恋に落ちたわけでもない(笑)。
絵がまだ可愛かったし、伯爵の毒気に当てられっぱなしでむしろ少佐の真っ当さにほっとしていたくらいしか記憶にない。
少佐もまだまだ(シーザーをはさんで)伯爵と抱き合ったり歌を歌ったり「GOOD LUCK!!」と言ったりするなどまだまだ性格が柔らかい。
けれど少佐が登場したことでもう少し読んでみようという気持ちが湧いた。

今回わかった少佐プロフィールとしては

1、本名クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ。
2、NATOの少佐で東側のスパイからは「鉄のクラウス」と呼ばれ、怖れられている。
3、貴族の出で軍人で部下A(アー)とB(ベー)がいる。
4、ドイツ・ハプスブルグ家の流れをくむエーベルバッハ家の当主で「紫を着る男」を始め西ドイツでも指おりの美術品のコレクション(国家的文化遺産)を持つ。
5、少佐にとって芸術品の価値は戦車を買えるかどうかに換算される。

6、伯爵が大嫌い。
7、ヘビースモーカーで「アラスカ送り」が口癖だが、その傾向がすでに見られる。
8、伯爵いわく「あきれるほどぶっそうな男」。
9、「バルジ大作戦」のドイツ第二戦車隊の歌が好きで三番まで歌える。
10、戦車の磨きぬかれた鋼鉄の色が好き、意外とロマンティスト。

などなど。
それでも伯爵を嫌いななりに好敵手として認めており、今後もさまざまな形で伯爵と関わることになる。

まだ少しだけ美青年の面影を残すジェイムズ君、ちょっとてっぷり気味の執事さんや髪の毛が多い部長も懐かしい。
読者にとっては部下AとBが今とは逆であることも有名な話。
「エロイカ―」アニメ化や実写化は大反対だが、低音が魅力的な少佐の歌声は聞いてみたい。

今回もまだシーザー、レパード、シュガーの超能力トリオが出てくるが、伯爵に愛され、少佐に囚われるシーザーにしても影が薄く、やがて消える運命を感じさせる。
同じ三人組でもヒース、バージル、ジャスティンの方が確固たる存在感を持っているのに、と思うがこれはやはり少佐と伯爵の個性が強烈過ぎるのだろう。
「あの」バージルさえ少佐には圧倒されていたし。

伯爵にもまだ部下がたくさんいて、ボーナムさんらしき部下もちらっと見えるけど今はJくんとボーナムさんしか残っていないのは何故?
でもまだみんながまだこなれてなくて可愛くて、今読み返すと本当に懐かしい。
9月8日 アキレス争奪戦 1巻ーNO.3感想
感想を書こうと「エロイカより愛をこめて」1巻を出してきたら、本が少し黄ばみ、古本の匂いがするのに驚いた。
私が買ったのは平成8年度に出た57版だが、連載&初版が出たのは1978年(昭和53年)、今から28年前だ。
この年何があったか調べてみたら、映画「スターウォーズ」が公開された年だった。
エピソード4、つまり第1作、かなり古い。

この巻でもMFS(東独国家保安局)だの東側だのという言葉がぽんぽん出てくる。
1990年(平成2年)ベルリンの壁が崩壊し、東西ドイツが統一された。
ちなみにトロイ戦争で活躍するギリシャの英雄アキレスはブラッド・ピット主演で映画化されている。

MFSの秘密情報を入手したものの、MFSに追われた少佐の部下は大英博物館に逃げ込み、アキレスの中に隠す。
それを取りに行くのが今回の少佐の任務であり、アキレスが欲しくて盗みにかかる=少佐の邪魔をするのが伯爵と言うのが今回のストーリー。

一気読みした中で、この辺もまだ特別おもしろいとは感じなかったのが正直なところ。
まだ伯爵が主人公で超能力青年シーザーも登場し、少佐もどちらかというと事件に振り回されてる状態だったので、印象もそれほど強くない。
印象的なのは少佐と伯爵のワイン談義。

「きみならモーゼルのウェルナー・ゾンネンウールあたりか
 きれいな緑だ」
「そうだな
 モーゼルはボトルの色から気に入っている」

と会話を写していてふと気がついた。
青池先生の作品の会話には句読点がない。
ちなみに今そばにある高橋留美子先生の「犬夜叉」には句読点がある。
どっちが一般的なのだろうって思って、家にある漫画をいろいろめくってみた。

吉田秋生先生「BANANA FISH」、ない。
少年サンデー、全部ある。
って家中探しても漫画これしかないけど(笑)。
これってどっちが一般的なのだろう。

それぞれの先生の好みなのだろうか。
もちろん句読点があるから読みやすいとか読みにくいとかじゃなくて、すごくおもしろい。

コミック1巻は私にとっていわば導火線。
読んでて意識はしなかったけど、少佐の魅力がじわじわと体に染み込んでいたのに気づかなかった時期。

私はあまりワインは飲めないが、ドイツワインはどちらかというと甘口の印象がある。
モーゼルワインには薄い緑の色素が入っていて、それもあってボトルの色が緑になっているそうだ。
少佐の好きなウェルナー・ゾンネンウール、どんなワインか見てみたかったが、残念ながら検索かけても見つからなかった。
(2006年9月8日の日記)
「ようし いい位置だ」 2巻ーNO.4感想
少佐も伯爵もアキレス像から撤退、この時こそ像を(マイクロフィルムを)奪う最高のチャンスなのだけど、互いにそれとは知らぬまま、またしても2人は同じ任務(趣味)に引かれて敵対(協力)することになる。
エロイカ物には珍しく?丹念に描かれた美女マイヤ・ブルガコワが結構好きだが、実は少佐がマイヤに直接会ったり言葉を交わしたことはほとんどなく、そこが物足りなかった。
まだまだ主役は伯爵で、マイヤ&ヤニスのカップルにちょっかい出すのも伯爵の役目。

私もこの派手で気障な伯爵はむしろ邪魔(失礼!)な存在で、伯爵がいなきゃ少佐がもっと活躍できるのになあと思いながら読んでいた。
伯爵が絡むところに「エロイカより愛をこめて」のおもしろさがあるのだが、まだ「イブの息子たち」も知らなかったし、むしろ「魔弾の射手」のようなシリアス物にして欲しかったのだと思う。

今となっては懐かしいK・G・Bの腕ききの女スパイで「現代のマタ・ハリ」と言われるマイヤはギリシアの海運王ヤニス・フェルチスに取り入り、ヤニスの恋人の座におさまる。
しかしその目的はギリシア最大の海運力と少佐は推理する。
K・G・Bがそんな仕事?をするんだっていうのも驚きだった。

少佐と伯爵の盗聴合戦、伯爵のお友達作戦、少佐の部下G女装作戦と、どこかせこくも華やかなドタバタ劇が演じられていくが、最後は伯爵と部下Gをまとめて殺そうとしたマイヤに2人は最大のピンチに陥る。
もちろん2人が死ぬはずもなく、最後は少佐が伯爵の狙っていたヒスイの仏像を、伯爵が少佐のターゲットのマイヤを取り違えて奪ったところでジ・エンド。
この後の大騒ぎが目に浮かぶようだ(笑)。

今回の見せ場は何といっても少佐のお絵かき!と片手でマグナムを「ぶっ放す」場面。
車から身を乗り出して「ようし いい位置だ」とマグナムを構える少佐のカットは有名。
少佐の顔もこの「NO.4」を描いているうちにこなれてきているというか、整った顔に変化してきているのも興味深い。
表紙のあたりはまだ子どもっぽいのだが、Gが女装してヤニスの前に現れるあたりから少しずつ変わってくる。

2巻の少佐にもそれなりにときめいたが、まだ恋には落ちてなかった(笑)。
片手でマグナムを撃つすごさも全然わかっていなかった。
ちなみにこの「ギリシアの恋」が出たのは1978年(昭和53年)。
Wikipediaで調べてみたらサンシャイン60が完成し、ピンク・レディーが「UFO」を出した年だった。
あの頃私、何してたっけ・・・。

          ☆          ☆          ☆

おまけ。
青池先生にサインして頂いたネスカフェゴールドブレンド。→「こちら」。
(2006年10月13日の日記)
白クマとボロボロンテ 2巻ーNO.5感想
「エロイカより愛をこめて」の中では比較的印象の薄いエピソード。
おもしろいし、後の重要キャラクター?も出てくるのになぜかは自分でもよくわからないけれど。

伯爵の贅沢さと部下の多さは初期のみだが、今回は伯爵のノース・ダウンズの城で開催される「おたずね者の」国際会議。
一方その近所のロンドン大学総長の家ではアメリカとソ連の平和会議が行われ、鉄のクラウスこと少佐もノイエ・ナチスの爆破予告を受け、警備に駆り出される。
少佐とNATO、KGBの確執漫才、伯爵たちとの絡みがおもしろいのだけれど、まだ主役が伯爵だからかな?少佐の印象薄いのは。

今回伯爵は少佐の妨害する気などさらさらなく、むしろ迷惑がっているのだが、その気はなくともやることなすこと全てが少佐の足を引っ張る。
苛立ちながら伯爵を追う少佐。
何より必要なのは伯爵の男性用下着!だったりする。

けれど最後は組織に縛られる少佐にはできないことを華々しくやってのけた伯爵が世界を救う。
素直に感謝もできない少佐だが、このようにして2人の奇妙な「友情」が育まれていくことになる。
前述の重要キャラクターとはKGBの白クマとボロボロンテの2人。

今でこそダンディな老紳士のイメージが強い白クマだけど、この時は少佐に「発情期のパンダみたいに腹をこすりつけるな 気持ちが悪い」などと言われている。
(もちろん白クマがわざわざ腹をこすりつけてるわけではない、笑)。
後で白クマが再登場した時、同一人物とは気づかなかったほど雰囲気が違う。
ボロボロンテといえば、以前の青池先生の公式サイトでは人気投票所があって各キャラの部屋ではチャットのようにおしゃべりしていたものだった。
私はほとんどZ部屋の住人で、時々少佐部屋に遊びに行くくらいだったが、のぞくだけならあちこちの部屋に遊びに行った。

その中で一番圧倒されたのが?ボロボロンテ部屋。
濃厚な葉巻と香水がパソコンの中から押し寄せてくるような熱い部屋で、コメントも熱いと言うか暑いと言うか。
部外者は気軽に書き込みできないような濃厚さだったけど、それがまた楽しくて(笑)。
ある日突然なくなったしまった公式サイト、今は全く別の形で復活しているけれど、あの頃が懐かしい。

ところで来年、2008年は猪年、少佐の年。
全国の鉄のクラウスファンにとってもめでたいめでたい年になりそう。
少佐祭りとかやらないかなあ。
とりあえず私はドイツ料理の店めぐりでもしようかな?
本当はエーベルバッハ市に行きたいのだけれど。

次回3巻「イン・シャー・アッラー」で私の少佐愛が爆発する。
(2006年11月11日の日記)
来た! 見た! ハマった! 3巻NO.6感想−1
私の人生にもいくつかの大きな転機があったが、最初の転機はこのエロイカ3巻だった。
特別大人しい子どもでもなかったけれど、小心者でのんびり屋で遅刻や忘れ物もする、運動会の朝は熱を出す、そんな子。
一気に10冊くらい借りて読んだエロイカも、最初は「主役」の伯爵の派手さや歎美さ、そこはかとない同性愛の匂いを受け付けず、2話で少佐が出てこなかったら投げ出していただろう。

それがいきなり3巻の少佐の黒いコートを着てバラを背景にした横顔の表紙でビジュアル的に惚れた、それが私の初恋(笑)。
それより何より惚れ込んだのが少佐の台詞

「おれはあさってのことまで今日中にかたづけてしまいたがる男だ」

これに惚れた。
「少佐になりたい!」
これが私の大きな転機。

とはいってもドイツ人になりたいとかNATOに入りたいとか、そんな望みじゃなくて、「少佐のような性格になりたい」。
たかが漫画、でも思春期のど真ん中、少佐が私に与えた影響は大きかった。
今の私を語る時、誰もが「せわしない、律儀、短気、行動が早い、融通が利かない、頑固」などと言ってくれる。
(もちろんその後には「小心者、早とちり、人見知り、不器用などが続くのだが、さらに少佐のような魅力はないし)

「今日できることは今日やる。
 明日することもなるべく今日やる。
 あさってすることもできることなら今日やる。」

かなわぬまでも人生のモチーフになった瞬間、それがこの3巻NO.6の少佐だった(今はだいぶ変わったが)。
ちなみに最初は少佐の障害物としか思ってなかった伯爵との、薔薇と鋼鉄のコントラストのおもしろさに目覚めたのはかなり後。

さて今回のエピソードでは伯爵と少佐の私生活が少し描かれた後、2人がそれぞれの目的を持ってイランに向かうところから始まる。
まだ部下の多い伯爵や、髪の量が今と変わらぬ執事さんがおもしろい。
この頃から薄かったけど、今も同じ本数を保ち続けてるってある意味すごいことでは?

「Z」に登場した頃のロングヘアのZも登場するが、残念ながらペルシャ語とアラビア語が話せないためお留守番。
少佐はもちろん部下Hと部下Lは堪能だったらしい、ちょっと以外?
少佐の奥さん役は、げじげじ眉毛の部下H、顔を隠しているとはいえ「美人」と言われてさすがの少佐もびっくり。

まだ人間が柔らかいせいか?現地人のお芝居もそつなくこなす。
ところがその後からやって来た伯爵一行がばれそうになり、その瞬間を見てしまったばかりに伯爵の魔の手に・・・。
ジェイムズ君や伯爵、少佐のキャラも固まってきて、ストーリーにも一気におもしろさを感じたエピソードだったと思う。
(2006年12月4日の日記)

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