過去のレポート 4

ドイツレストラン エーベルバッハ
今回は「9月の7日間」の感想をちょっとお休みして茨城県つくば市にあるドイツレストラン「エーベルバッハ」についてのレポート。

たまたまドイツレストランを検索していて見つけたのが「エーベルバッハ」。
きっと少佐みたいなシェフが、じゃがいもたっぷりのお料理作って、店内にはさりげなく「エロイカより愛をこめて」や少佐のイラスト入りエーベルバッハの観光案内など置いてあって、日本全国の少佐ファンが集って熱く少佐を語っているに違いない!とオタク頭ですっかり決めつけ、行くことに。
つくば市、近い場所ではないけれど、まだつくばエクスプレスにも乗ったことなかったので、これを機会に乗ってみました。

秋葉原からつくばまで約1時間。
きれいに整備されたつくば市に降り立ちました。
「エーベルバッハ」にはバスで行く手もありますが、天気がいいなら出口2だったか3だったかから出て遊歩道に上がり、「洞峰公園」目指して直進するのが楽しいかも。
つくばエクスプレス開通で気合入れて整備したのか、標識がやたら多いのでまず迷うことはないはず(笑)。

たくさんの木が植えられ、歩道も整備され、つくば国際会議場など眺めながらのんびり歩いて約40分。
冬場のことで花はほとんど咲いていませんでしたが、のんびり歩くにはうってつけ、いい具合におなかもすくし。
わき目もふらず、急いで歩けば30分くらいで着くかな?
洞峰公園に突き当たったら右折してセブンイレブンが見えたらそれを越えて間もなく。

ランチを楽しめるようなレストランが結構あるのでちょっと見つけにくいけど、右側を見ながら歩いて行くと、ドイツ国旗と猪マークとエーベルバッハの文字が見えてきます(建物の2階)。→「こちら
階段を上ってドアを開けると、少佐ファンのたまり場なんてとんでもない、地元の人でにぎわうこじんまりした「普通の」レストランでした。
日本人の女性(たぶん奥様)に案内されて窓際の席へ。
コートを脱いでいると奥で炒め物をしていたご主人と目が合いました。

「ドイツ人だ!」
少佐とは似ても似つかぬ、オリバー・カーン、でもない、でもどう見てもどこから見てもドイツ人のコワモテな。
ところがそのご主人がにかっと突然笑顔になって「イラッシャイマセ!」
なんだか可愛いぞ(笑)。

ランチなのでビールは軽めに「ビットブルガー」。
おつまみにソーセージを欲しかったけど、隣で食べてるハンバーグが大きくてポテトもたっぷり、食べ応えがありそうだったので、今回は我慢。
ハンバーグはこれもボリュームたっぷり「ラタトゥイユソース」で。
パンとサラダにコーヒーのセットで、ちょっと贅沢にデザートつけて2,700円。
次回からは1、050円のおすすめランチにしようっと。

本当はいろいろお話を聞いたり店内の写真を撮ったりしたかったけど、のんびり来すぎてちょうどランチタイムのど真ん中にあたり、超満員とは言わないまでもひっきりなしにお客さんが出入りして席がほとんど埋まっている状態なのでできませんでした。
たとえばアメリカ風なステーキハウスやカジュアルなイタリアンレストランだと、お店の方にもフレンドリーな雰囲気があって話しかけやすいのだけど、そこはさすがにドイツっぽいです。
それにランチタイムにお邪魔したこちらのミス。

壁にたくさんかけてある風景画(のような額)、エーベルバッハの景色じゃないのかなあと気になりつつも、常に前の席に人がいるので立って見に行くわけにも行かず、残念でした。
ご主人の風貌や雰囲気などは私が見つけた「こちら」の記事を参照にして下さい。
いかにもドイツなしっかりしたお料理を楽しめるレストラン、さて「エーベルバッハ」という名前じゃなくてもリピーターになっちゃうかな?と言うとそこは微妙ですが、とってもおいしかったのでまた来たいと思います。

(綺麗な公園の道筋に「猪マーク」はそれこそインパクト大です。)
お店の方も名前目当てで来られても嬉しくないんじゃないかなあと、そんな職人気質の(マイスターな)ご主人でした。
駅からここまでの道も本当に素敵な景色で歩きやすいし。
「年とったらつくばに住んで、毎週このお店通うのもいいかもね。」などと感想言ったら「どこに行っても同じ台詞言って るね。」と返されましたけど(笑)。

★茨城県つくば市二の宮2−14−16 セントラル88 2F(月曜日が定休日)
(2009年2月20日の日記)
少佐決闘立会人〜「9月の7日間」感想
今日から10巻、炎天下のエジプトで伯爵の夢を賭けた少佐との追いかけっこはあえなく終わる。
当然のことながら任務を邪魔された少佐は烈火のごとく怒り、伯爵をこらしめて一件落着、のはずだったがそこにサバーハが再び登場、かなりねちっこい、無理ないか。
少佐にも恨みはあるものの、決闘を申し込んだのは伯爵、華麗な剣さばきを見せる伯爵もサバーハの渡した剣が重過ぎて苦戦する。

結局見せ場は少佐が独り占め。
軽口を叩きながらも何気に伯爵をサポート、もちろんコピーのためだけど。
けれど陽射しを見切ってサバーハの目をくらまし、伯爵の勝利を呼び込む少佐はやはりかっこいい。
武器に囲まれつつも平然としている姿も実はかっこいい。

少佐がサバーハと決闘したらさしものサバーハもかなわないんだろうな。
でも一応決闘という形に持って行ったサバーハの律儀さにも乾杯、かも。
決闘は伯爵の勝利で無事終了のはずだったが、そこに仔熊のミーシャ率いるKGBが登場し、舞台は再び大荒れに。

この決闘に立ち会う前に少佐が日本人と感動の?遭遇を果たしているのが笑える。
この2人の青年にモデルはいるのかな?
英語ドイツ語を話せない日本人のいかにも日本人な反応に少佐は脱力。
「日本に派遣されたらおれは心身症になるだろう」の台詞に爆笑、それでも日本に来て欲しい(笑)。

金髪巻き毛だけじゃなく黒髪も嫌いになったらどうしよう、少佐自身も黒髪だし。
見たくないとか言って坊主頭になったらどうしよう?
でも少佐、浴衣なんて意外と似合いそう(イヴの高杉晋作を強面にした感じで)。

他にも宗教絡みで慎重に行動する少佐とか部下Aの用意した日本車ニッサングロリア(この片仮名のニッサンってなんか意味あるんだろか?)のグロリアに気づく少佐とか相変わらず魅せてくれる。
今回のお気に入り台詞は「よし いい位置だ(サバーハの目くらまし直前)」のカット。
ついでに伯爵の勝ちに10ペニヒ賭けてジェイムズ君から巻き上げた少佐もおいしかった。
(少佐の素敵な7日間の感想も1年越しになってしまったことに今気づいた・・・。)
(2009年4月2日の日記)
少佐がケーキに懲りた夜〜「パラダイス・PARTY」感想
「パラダイス・PARTY」の感想を書こうと久々に「エロイカより愛をこめて」10巻読んでてのけぞった。
96ページの登場キャラ勢揃いのカットでジェイムズ君が持ってるのは「サ、サバ缶(味噌煮じゃなくて水煮だけれど)」!?
といっても「境界のRINNE」読まれてない方には何のことやらわからないかもしれないが、「境界のRINNE」に出てくる主人公の少年はサバの味噌煮が大好きで、今頃はサバとなって回遊しているはず。

彼の今後はいかに人間に捕まって水煮にされずにサバとしての生涯を全うするかということで、「サバ缶」が哀しくも大笑いなアイテムとなっているのだ。
そのサバ缶つながりで六道りんねとジェイムズ君・・・、う〜ん、ごった煮の妙とでも言ってみようか。

本題に戻って「パラダイス・PARTY」。
「9月の7日間」に続く番外編だけど、当時知らなかった意味深なエピソードが絡んでいる。
平行連載されていた「Z」2巻7話で大活躍?したZの直後の話だった。
なんで少佐とZだけがオスロで任務?の謎が解けたのはずっと後になって「Z」の存在を知り、まとめて読んでから。

でもあれほど危険な任務と切ない恋と悲しい別れを終えたばかりのZもこの騒ぎで辛い経験も一気に忘却の彼方へと消えてしまったに違いない。
あるいは別の所に流してしまったか(失礼!)。
そうれほどはちゃめちゃだったこの騒ぎ、ある意味先輩や仲間たちのZに対する(知らないうちの)慰めだったか、いやそんなはずはない(笑)。

早い話が鬼(少佐)のいぬ間のドンチャン騒ぎというわけで、おちゃらけロレンスが中心となって計画?した部長の誕生パーティーがメインとなる。
ところが肝心の時に少佐とZが帰って来たからさあ大変、で幕を閉じるのだけれど、このエピソードにはやはり少佐ファンには忘れられない有名な台詞が残っている。
ジェイムズ君発言の

「少佐を銀行にあずけてマッチがもらえますか!?
 利息に小さい少佐がどんどん増えたらどうします!!」

私が少佐と再会したのは「犬夜叉」で「ファンサイト」の存在を知り、いわゆる「ネットサーフィン」をするようになった頃だったと思う。
6,7年前か、その時「そういえば『エロイカより愛をこめて』ってファンサイトあるのかな?」って検索かけていきなりぶち当たったのが当時の青池先生の公式サイトだった。
それ以来私の少佐熱は再燃、同時にサイト内にあった人気投票コーナー「少佐部屋」と「Z部屋」で少佐やZへの愛を熱く語るようになった。
そこで盛り上がったのがこの台詞。

「ミニチュア少佐がもらえるなら全財産預けてもいい!」とか「利息に小さな少佐がいっぱい欲しい!」とか書きまくり、だんだんエスカレートして「雪の代わりに小さな少佐やZが降ったらいいのに」とか「やっぱり少佐は等身大、少佐等身大抱き枕が欲しい」とかみんなで熱く語ったものだった、懐かしい。
他にも「たわしコロッケ」とか時流に乗った話題も飛び出して、一日1回必ず顔を出していた。
今「青池保子公式キャラクターガイドブック」を見ながら書いているが、この本の56ページにキャラクター投票の名残を見ることができる。

ボロボロンテ部屋に遊びに行けばあまりの濃さに少佐部屋に逃げ帰り、伯爵部屋に遊びに行けばあまりの派手さにZ部屋に逃げ帰り、ロレンス部屋に遊びに行けばあまりのおちゃらけぶりに圧倒され、ジェイムズ君部屋に行けばあまりの清貧ぶりに圧倒される。
私の居場所はやはり少佐部屋とZ部屋しかなかったあの頃・・・。

さて少佐もこの時期はまだ嫌々とは言えケーキを少しは口にすることがあったことが判明するが、この後少佐とZには地獄の一夜が待っていた。
けれど「パラダイス・PARTY」はここまでで終わり、少佐とZの、そして部下たちのその後の悲劇は「笑う枢機卿」で描かれることになる。
そしてずっと後にそんな少佐にケーキ作り任務が与えられ、悪戦苦闘する少佐が楽しいエピソードも登場する。
とりあえずは16日発売の最新刊35巻を楽しみに待つつもり。
(2009年6月11日の日記)
少佐が静かに怒った日〜「笑う枢機卿」感想1
「笑う枢機卿」、このミステリアスなタイトルと暴れ回るだけではない?少佐の心理戦や変装やボーナム君(と伯爵)との共闘が見られる大好きなエピソード。
今回もハードな任務に挑む少佐だが、話の流れとしては「パラダイス・PARTY」から続いているので、冒頭少佐は滅茶苦茶機嫌が悪い。
私も部長や部下たちと一緒に少佐が怒鳴り散らすだろうと、ドキドキワクワク+おどおどしていたが、この日の少佐は静かに怒っていた。
理由はおなかをこわして、まだ力が入らないから。

1センチのケーキでこわれる少佐のおなか。
見かけの割りに意外と繊細?
それともジェイムズ君の選んだケーキがそれほどひどかったのか。
それでも悪いことはみんなロレンスに押し付けて、ロレンスだったらなんでもあり、みたいな展開が笑えた。
ロレンスのおかげで部下たちと伯爵の関係がばれずにすんだというか。

でも少佐の怒りは収まらず、部下たち全員(Zをのぞき)アラスカ決定。
今なら涼しくてうらやましいと思ってしまうパソコンの前の私。
幸か不幸か任務が入り、アラスカ行きはとりあえず「延期」。
ここで出てくる部長秘書の女性が好き。

有能でいい具合に枯れてるせいか、少佐とも部長ともうまくやってる感じがいい。
もしかしたらNATOボン支部で少佐が一番認めている相手かも(笑)。

ここで少佐と部長の恒例漫才を楽しんだ後、いよいよ少佐と一緒に私たちも新たな任務を知ることになる。
少佐に「笑う枢機卿」と謎の言葉を残して殺されたエージェント、オットー。
彼は鉄のクラウスのように東側からおそれられる有能な情報部員として名をあげたかった。
手柄をたてるために自分の仕事のことは人には話さず、危ないヤマを張り、結果的に殺された。

この事実は少佐の誇りを傷つける。
自分の名をあげるために仕事をすること。
しかも鉄のクラウスを目指すだけの手がかりすら残せずに殺されたこと。

「これでよくも『鉄のクラウス』を目標にしてくれたもんだ!」
この表情にこの台詞、青池先生が今書いたら「!」はつけないだろうな、きっと。

同時に鉄のクラウスを目指すために無茶をした結果殺された男に対して哀れに思う気持ちがあるのだろうか。
男が成し遂げたかった仕事を完遂してやろうという気持ちもあるのだろうか。
自分には許さないだろう私情や功名心に囚われた男を語る少佐の表情に感じられる静かな怒りがいい。
ここでも少佐は静かに怒っている。

もうひとつローマのエージェントが皆有能なのが気持ち良かった。
少佐も任務でいろんな国に行くけど、お国柄を表す現地エージェントの個性?には振り回され、それも笑いのひとつとなる。
さすがにこの状況ではシリアス以外の描写はないだろうが、前に少佐がローマに来た時のドタバタ騒ぎを思い出すと・・・(笑)。

少佐は観光ツアーに部下A、Bと共に参加してローマに向かうが、行く先々にKGBの気配を感じる。
少佐の口から「善良な観光客」なんて言葉が出てくると笑ってしまうが、親子連れ以外とはうまくやってる様子にちょっと驚き。
特に善良なコンダクターにとっては癒しの神だったようだ。

そしてスイスはチューリッヒにオットーの足取りを追ったZたちは伯爵というよりジェイムズ君と行く先々で遭遇。
Zはジェイムズ君との「間接○○」の悪夢にうなされることになる。
(2009年7月16日の日記)
少佐ローマからミラノへ、そしてルツェルンへ〜「笑う枢機卿」感想2
ローマ観光ツアーでは「善良なにこにこおじさん」とおじさん自認中(自称するには問題ないらしい)の少佐、最初に接触してきたKGBのコード・ネーム「ラインの夕暮」ことクルト・ルンドルフ(少佐いわく黄昏じいさん)相手に敬老精神全開でお世話する。
ホテルのレストランの中でさえ背景に枯れ木を背負ったこのじいちゃんがなんだか可愛くて、11巻も何度も読んだ記憶がある(笑)。
じいちゃんをうまくあしらいながら、少佐はローマ支部の連絡員から情報を得てヴァチカンの秘密文書保管所に新聞記者として訪れる。

最近映画化されて話題になったダン・ブラウン著「天使と悪魔」を読んだばかりだったので、ローマや法王庁の雰囲気など読み比べるのもかなり楽しい。
法王庁の飾り物に見えるスイス・ガードはよく訓練されたプロの軍人であり、軍用拳銃とガス弾を携帯。
青銅門の陰には弾薬を装填した軽機関銃が隠してあり、穏やかな枢機卿は海千山千。
殺されたオットー風情が接触できる相手でも場所でもなく、やはり鉄のクラウスほどの才覚が必要なのだろう。

当時は法王とか法王庁なんてほとんど知らなかったから、「エロイカより愛をこめて」から得た知識(法王誘拐編も含め!)には目を丸くしていたものだった。
今回のエピソードには「緑のたぬき」に続き、「赤いきつね」も登場するが、少佐の強敵となるのは仔熊のミーシャの愛弟子「明がらす」。
少佐がラインの夕暮と黄昏ている頃、裏でKGBが、少佐の部下が、そして伯爵が活動中、そしてさらに近づいてきている。

少佐が遂にラインの夕暮の尋問に入るが、これがまたかっこいい。
特に強がるわけでもなく、淡々と脅しをかけるところがまた良くて、ラインの夕暮も彼なりにがんばったけど、少佐が相手では荷が重すぎたかな?
任務は少佐の監視だけで、それ以上のことは何も知らされてないってところがいかにも黄昏。
嘘をつき抜くだけの度胸もないと見切った少佐は記念にタイピンをプレゼント、いいなあ。

きっとラインの夕暮はこれで引退したに違いない。
鉄のクラウスに贈呈されたタイピンは一生の宝物となるか悪夢の記念となるか。
でも仮にでも優しくしてもらえるならラインの夕暮に代わりたいと思ったことは内緒。
少佐足止めのための通報を受けたイタリア警察(あの変なの)をかわすべく、そしてローマを脱出するべく少佐の大活躍が始まる。

ホテルの4階から自動車の屋根に飛び降りKGBとのカーチェイス、トラックの運転手を脅して追跡を振り切り、絶対間に合わないはずの飛行機に飛び乗る。
なんとかついて来れた部下A、特にBにとっては地獄の逃避行となったようだ。
っていうか、あの部下Bがついて来れたこと自体奇跡だと思う。
なんだかんだいっても有能なんだな、さすが少佐の1番目と2番目の部下だ。

その頃伯爵は気の進まないことや気の進むことをあれこれこなしていたけれど、結局目的地は少佐と同じ僧院だった。
その気はなくても少佐の任務の邪魔をしてしまう、何の因果か前世の因縁か。
負けじと少佐も「あえて」せこい手を使ったジェイムズ君を買収、この後の変装で、少佐には眼鏡が素敵に似合うことを知る。
そして遂に少佐と伯爵が遭遇、相変わらずの脅しあいの牽制し合いの化かし合いが続くが、物が美術品だけに伯爵がいくらか有利かも。

少佐の目的は当然「笑う枢機卿」の壁画。
平気で触りまくる少佐にKGBとの銃撃戦まで始まって、伯爵のストレスも最高に高まったところで少佐、そして部下たちに大事件が勃発する。
(2009年8月16日の日記)
少佐vs明がらす〜「笑う枢機卿」感想3
少佐は「呆けがらす」なんて馬鹿にしてるけど、仔熊のミーシャの愛弟子「明(あけ)がらす」はとんでもない凄腕だった。
と書いたところで、コミックだと「明がらす」と書いて「あけがらす」と読めるようにしてあるけど、「明がらす」だけだとなんかそぐわないことに気がついた。
「呆けがらす」と対比させる意味でも「明けがらす」の方が良かったような気がするな、彼のコードネームは。
今さら言っても詮無いことではあるけれど。

少佐はせっかく僧院から持ち出した壁画を奪われ、部下も全員連れ去られ、手錠をかけられカーチェイス、挙句の果てに厳寒の湖に飛び込む羽目に。
そういえば前にもあったな、伯爵の目の前で、というか伯爵のせいで厳寒の湖に落ちたことが。
でもそんな少佐を救おうと湖に飛び込む伯爵も健気、でもあんまり意味なかったような(笑)。

今回は少佐と伯爵、ボーナム君の微妙な三角関係?も楽しめるが、この後ボーナム君は部下A、少佐家の執事さんと勤勉トリオを結成、少佐のために働く機会も増える。
なんせ少佐にNATOにスカウトされるという有能ぶりで、私も欲しいな、こんな恋人、じゃなくて友達、もしくはお父さん。
部下と壁画を奪回し、部下全員アラスカ送りにするために、少佐は伯爵と協力して、部下たちが連れ去られた城に潜入する。

この城は現在アメリカ人実業家が所有しているものの、持ち主は留守。
明がらすたちはその城を勝手に使ってマイクロフィルムの回収中。
尋問を受けた部下たちは事前に打ち合わせしてZだけがみんなと違う答えを言う・・・んだけど、みんなばらばらじゃ駄目だったのかな?
2通りしか答えがないのなら、当たった時は大変なことになるし、と思ったら事実そうなるのだが、それとも呼び出された部下がたまたま同じ答えを言うはずだったとか。

部下Eだけがひどい目にあってなんだか可哀そう、まじめだもんなあ。
目立たないけどけっこう好きだったりする。
さて、無事に潜入した少佐だが、持ち主が酔狂で作った仕掛けのせいで、囚われの身に。
ウォルト・ヒューストンという名前しか出てこない持ち主だけど、会いたかったなあ、おもしろそうな人だし。

少佐は城を評して曰く、「13世紀末の城ならおれのうちと構造はそうかわらんはずだが やけに安っぽく改造しとるな」。
芸術音痴とは言え、さすが本物の中で暮らして培った観察眼は鋭い。
そんな少佐が聞いてるとも知らず、ドイツ産の珍獣扱いするKGB、きっと部下Bのようなスタンスの同志なんだろう。

ちなみに明がらすは「西側の酔狂はわしには理解できん」と評価、でも少佐は米ソで自分をからかったと檻!の中で激怒。
ところが伯爵は「この見事な通俗性 時代考証無視の装飾 ここの主人とは気があいそうだ 毎日楽しく遊べるぞ」と大喜び。
もしかして私の感性、伯爵に一番近い・・・?
それはちょっと哀しいぞ(涙)。

少佐に煙草を吸わせてくれる優しい明がらすだが、少佐の危機なことは間違いない。
そこへかっこよく?登場したのが伯爵そしてボーナム君。
無事少佐、そして部下たちの救出なるか!なところで今回はおしまい。
次回から12巻になだれ込む。

ところで明がらすだけど、ああもったいないなあと思ったのが、これだけシリアスに強い少佐のライバルとなり得るのなら、かっこいいエージェントにして欲しかったということ。
これは別にミーハーな意味じゃなく(ないこともないけど)、シリアスな意味での凄腕ライバルと言えば、「魔弾の射手」のオレグ・グリヤノフ。
黒髪の切れ者エージェントは今のところ出ていない(ロレンス・・・?ロンガイ・・・)。
これから登場するにしても、顔の描写が大きく変わってしまった現在ではちょっとイメージが違う気がする。

おかっぱではなく髪の短い黒髪黒眼の凄腕と少佐のシリアス対決、見たかったなあと「笑う枢機卿」を読み返すたびに思ったりする。
(2009年9月25日の日記)
明がらすには勝ったけど〜「笑う枢機卿」感想4
「笑う枢機卿」も12巻に入って最終話。
少佐と明がらすだけならシリアスなヘビー級スパイ合戦なのに、伯爵が絡むとどうしてこうハチャメチャになるのか(笑)。
空飛ぶ伯爵にかき回されながらも何とか決着をつける少佐。
その際KGBに狙撃されそうになるが、伯爵がクロスボウでスナイパーを狙撃、少佐を助ける。

ここでの少佐と伯爵の会話が好きだ。
「また遊んどるのか そんなおもちゃ(クロスボウ)で」
「ウィリアム・テル ―だ」
「りんごのかわりにカラシニコフを撃ったか」

そしてこの時の少佐の顔もとても好き。
ちなみにカラシニコフは銃の名前、KGBのスナイパーが持っていた銃を指すのだろう。
さらにテルに息子を撃つように命じたヘルマン・ゲスラーはハプスブルグ家の皇帝アドルフの時代にテルの故郷ウーリに遣わされて来た代官なのだそうだ。
少佐としても複雑な気分だったろう。

こうして一難去ったがまた一難、これは少佐の部下たちにとっての災難だ。
遂に出た本心からの「アラスカ行き」命令。
一人免除されたZをみんな羨むどころか同情といたわりと哀れみのてんこ盛り。
Zも思いっきり落ち込んでいたりする(例によって壁にすがって)。

実際アラスカに飛ばされた部下たちは寂しいとはいえ暢気な生活。
ドイツに残った少佐とZにはトイレに行く暇もない多忙な生活が待っている。
全てはシベリアの仔熊のミーシャの怨念か、それとも伯爵のかき回し効果か。
次回からはアラスカの部下たちやシベリアの少佐、そしてドイツの少佐やZのエピソードが詰まった番外編が始まる。
(2009年10月17日の日記)
アラスカはドイツではなかった 〜「アラスカ物語」感想
今から考えるとおかしいけれど、当時の私はアラスカはドイツにあると思っていた。
遠く離れていてもドイツ領ってことで(笑)。
でなきゃ少佐が部下たちをアラスカに送ったりできるわけないと。
いかにも子供だったよなあ。

しかも当時私がコミック借りていた友だちの家には、「エロイカより愛をこめて」がこの12巻までしかなく、一気に借りて一気に読んで、少佐に恋して、それで私の初恋は終わってしまった。
本当にあっという間。
探せば13巻以降も出ていたのだけど、きり良く終わっていたこともあり、なんとなく最終巻だと思ったのだった。

それからは漫画自体と縁遠くなり、少佐の記憶も遠くかすんで2000年(平成12年)10月16日、たまたまつけたテレビで「犬夜叉」というアニメと出会う。
鉄のクラウスとは関係ないと思うことなかれ、「犬夜叉」に夢中になった私はこれまでほとんど使うことのなかったパソコンに目覚め、いわゆるファンサイトの存在を知る。
「そういえば昔、『エロイカより愛をこめて』って漫画に夢中になったよなあ・・・。」ってふと思い出して、検索かけてびっくり、一番にぶち当たったのが青池先生の旧公式ホームページ。

そういうサイトがあることにも驚いたけど、「エロイカより愛をこめて」が続いていたことにもっと驚いた。
夢中で通い、投票所で友達もできたものの、その後サイトが閉鎖、仕方がないので自分で「鉄のクラウス一陣支局」を立ち上げた、とこは以前に書いた。
その投票所で新作26巻が出たばかりと聞き、早速書店に行った。

実は目の前に26巻が平積みされてたのだけど、目が素通り、あまりの絵の変貌に気がつかなかったのだ。
正直26巻の表紙の伯爵を見つけた時の衝撃は大きかった、誰?これ・・・。
結局取り寄せで13巻から26巻まで一気に買って、落ち着いて読んでみると少佐の魅力や作品のおもしろさは変わってはいないものの、絵が少しずつ変化しているのを感じたんだっけ。

そんなこんなで少佐、「エロイカより愛をこめて」の全盛期を知らないのが我ながらもったいないけど、少佐との付き合い?も復活、現在に至る。
どちらかというと少年漫画が好きで、少女漫画はほとんど読まなかった私だけど、「エロイカ―」が好きなんだから少女漫画も好きなんだと信じてた当時の私。
実は「エロイカ―」は少女漫画の中では(いい意味で)異端だったことを知ったのはつい最近です(笑)。

今回は感想というより思い出話になってしまったが、少佐の部下たちはアラスカで少佐を想い、仔熊のミーシャはシベリアで少佐への情熱?をたぎらせる。
肝心の少佐はそれどころではない忙しい日々を送るのだけど、その詳細は次回の番外編に持ち越されることとなる。
(2009年11月20日の日記)
少佐の強敵チャールズ・ロレンス〜「ロレンスより愛をこめて・1」感想
KGBが本気で少佐を叩き潰したいのならSISから彼を引き抜くのが一番効果的だと思う。
けれど幸か不幸かKGBも敬遠するのがスパイ史上最強のエージェント、チャールズ・ロレンス。
今で言うならキワモノキャラだけど、ここまでしつこく出まくるとは、当時の私は夢にも思っていなかった。
おそらく青池先生の思考も超えて大活躍(出しゃばりまくるとも言う?)するロレンスのこの愛しさよ(笑)。
残念ながら以前の公式サイトのロレンスの投票部屋にはお邪魔したことなかったけど、どんなコメントが飛び交っていたのか今になって知りたいと思う。

部下たちをアラスカへ追いやったせいで、雑務に追われる少佐の日々。
やっと任務にありついたと思ったら「部下Gを仔熊のミーシャが追うような」、本来ならZクラスの任務のような下っ端仕事。
無理矢理ついてきたロレンスに邪魔されながら、必死でがんばる少佐だけど、少佐のコワモテぶりに恐れをなしたイワノフは、任務を果たさず帰ってしまった。
ちょっと待って、これって少佐が失敗したってことじゃ・・・?

ロレンスがいようがいまいが、あんな目立つなりをして、コワモテ光線ビシバシ放ちながら見張ってたんじゃ、イワノフじゃなくても気づくはず。
本来なら尾行(見張り)してることさえ気づかれないようにして泳がせて、接触の現場を押さえるべきなんじゃ。
私が少佐の上司なら「馬鹿者、何をそんなに目だっておった、アラスカへ行け!」と怒鳴ったりはしないけど(笑)。

そんなことより今回のお楽しみは何といっても少佐とロレンスの珍道中。
ロレンスのおかげで私たちはあんな少佐やこんな少佐を楽しめる。

ハンブルクで夜の帝王ぶりを発揮する少佐(ロレンスの妄想だけど)、夜の歓楽街について博識ぶりを披露する少佐(スパイなら当然のこと)、男前過ぎて夫婦喧嘩の元となる少佐などなど。
でも滅多にないこと、初読した時声まで上げて笑っちゃったのが少佐とロレンスのダブルベッドの一夜。
性格的には思いっきり健全なロレンスとはいえ、その眠りの深さと寝相の悪さで少佐をオカルトまがいの恐怖に突き落とす。

少佐がパニックをおこしかねない状態にするなんて、伯爵やミーシャにもできないこと。
ロレンスにはこれからもどんどん出てきて大活躍してもらいたいと思ったんだっけ。
でも少佐がストレスで任務に支障をきたすのを避けたのか、青池先生は今度はロレンスを伯爵の元へ送り込む。
行け行けロレンス どんと行け。

今回のお気に入り。
・コミック12巻P77の「おれはまだ出世したい」の少佐。
・同P81のロレンスに「にくいですね 少佐っ」と言われて「・・・・・・」状態の少佐。
・同P107のイワノフの脳裏に出没ドイツシェパード。
(2009年12月15日の日記)
1月14日 少佐不在の異次元空間〜「ロレンスより愛をこめて・2」感想
少佐はロレンスを伯爵のところに追っ払ってほっとしているみたいだけど、読んでるこっちは少佐が出てこないのが寂しい(はずの)番外編。
伯爵がどんなに少佐にどつかれようと、どんなにジェイムズ君にいじめられようとあんまし同情しないで楽しく読んでしまう私だけど、今回ばかりは同情度100%に膨れ上がってしまった。

「笑う枢機卿」の壁画と共に、伯爵の元にやって来たのはチャールズ・ロレンス。
ロレンスは少佐に厄介払いされたわけで、でもそんなこと気にするわけもなくおしゃれに登場、さすがの伯爵も絶句する。
しかも見せかけの馴れ合いは、ジェイムズ君にまで「二人そろって人外魔境」なんて言われている。
まずはここでひと笑い。

明るく屈折したロレンスと暗く屈折したジェイムズ君の考えることはパーティーとお金儲けただ一筋。
逃げ出した伯爵のいぬ間に僧たちに歌え踊れの強制、バニーガールまで飛び出すと、もうおなかがよじれそう。
なんとか僧たちを救い出した伯爵に追い打ちかけるはロレンスの余計なひと言、
「ぼくと彼(少佐)とはベッドを共にした仲なのだぞ」

いやここは真に受ける方がどうかしてると思うのだけれど、恋は盲目伯爵すでに白紙状態。
真実を確かめるべくロレンスについてボンに向かう。
やった!少佐が出て来てくれた!と喜んだのも束の間、少佐のためには出て来ない方が良かったんじゃ…(笑)。
聞き耳たててくすくす笑いのZのサービス付きで、哀れな少佐はこの暑いのにさらにヒートアップ。

しまいにはハンブルグの夜の帝王にまでさせられちゃった少佐だけど、いやもう読んでて楽しくて。
伯爵はロレンスとジェイムズ君を厄介者扱いしてるけど、少佐にしてみれば伯爵もセットなんだろうな。

なんとか2人を追い払った少佐は今度はロレンスを部下たちの待つアラスカに送る。
ロレンスが来るなんて夢にも思わないいじらしい部下たち。
飛行機からロレンスが降り立った時の反応まで見たいのだけど、残念ながらロレンススペシャル番外編はここでおしまい。
次回から本編に戻って「第七の封印」が始まるが、part1は番外編の続きみたいな感じなので、自宅でのあんな少佐やこんな少佐が堪能できる。

そういえば自分のお金で初めて買ったパジャマって少佐風味のしましまだっけ、もちろん女性用だけど。
なんせ少佐が初恋だったもんなあ・・・。

今回のお気に入り。
・ロレンスに対して「あいつ おれになついとるのか」な少佐、もちろんそうです!
(2010年1月14日の日記)

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