Zに関するレポート

3月23日 「Z 完全版」その他の感想
私はコミックを借りてまとめ読みで「エロイカより愛をこめて」を知り、その後まとめ買いしたので、「プリンセス」掲載のコメントや ライナーノートは全く知らない。
グッズなども出ているのさえ知らない状態だったので、今回の漫画以外の資料もとても楽しめた。
でも一番驚いたのが、「エロイカより愛をこめて」と、「Z」が別の出版社から出ていたという事。

エロイカは秋田書店の「プリンセス」から、Zは白泉社の「LaLa」に掲載されていた。
それはなんとなく知っていたが、LaLaがプリンセスと同じ出版社で、プリンセスの別冊?みたいな本だと思っていたのだ。
とにかく少女漫画自体興味なかったし、当時はコミックを見ても出版社とか見なかったから。
あれ?でもZの完全版は秋田書店から出ているが・・・。

見ていて楽しいのがグッズのイラスト。
インタビューにもあるように、生活的な部分を切り取るような絵になっているので、本編のようなシリアスな絵ではなく、 ふざけた?感じの絵が素敵。
特に少佐サンタが煙突から入らず、ドリルで屋根を壊しているのにびっくりして、窓から逃げ出すパジャマ姿のZの絵。
あわてて枕を抱いて出て来るあたりが可愛い(笑)。

あと「暗号名はほんのジョーダン」も爆笑した。
実は私も銀座のドイツ料理のお店「ケテル」でレアのハンバーグを食べたことがある。
見た目に驚いた記憶ばかりが大きく、味は全く覚えていない。
でも今回このレポートを書くにあたってケテルを検索したら、もう閉店したことを知った。

あの池波正太郎さんも愛したお店。
一度しか訪れたことはないが、緊張しつつも懐かしい、素晴らしい思い出となっている。

さて、この漫画読んでて思ったことは、少佐のモデルは青池さんだなということ(笑)。
モデルとなったドイツ人男性のことは知っているが、この律義さ生真面目さ、そしてとことん現実的なところ。
まさしく少佐そのものじゃない?
青池さんの霊感のなさ?は「ケルンの水 ラインの誘惑」の少佐そのもの、さすが母!

本気で少佐をおちょくることができるのは、伯爵とミーシャと青池さんくらいだもんな。
あっ、もちろんおもしろく感動させる作品を描くに必要な、豊かな感受性もお持ちだってことは承知の上ですよ〜。
超豪華なZグッズ、今からじゃ手に入らないだろうなあ。
凄いプレミアついてそう・・・。
(2014年3月23日の日記)
2月24日 Z―ツェット―VI
Zシリーズ最後の作品。
このまま続けばZには不毛な死に方しか残っていないという青池さんの強い意志で、シリーズは終了となった。
確かに本編でも一人で仔熊のミーシャを追いかける任務を与えられたりしているが、危なっかしいだけで命の危険までは 感じられない。

でもZシリーズはとにかくシリアスなので、Zが死んでしまうこともあり得ない事ではないという怖さはあった。
その意味でも集大成。

ただ最初に読んだ時、申し訳なくもZがZに見えなくて苦労した。
性格は確かにZなんだけど、絵が別人に見えて心苦しかった。

ところがある日?突然気づいたのが、これって少佐やZが年齢を重ねた顔だと思えば無理ないんじゃない?ってこと。
メリンダちゃんの謎を含むエロイカキャラ永久不老計画はもちろん承知の上だが、少佐も伯爵もZも10歳ぐらい年取ったと思えば とてつもなくしっくりくるのだ。

初めてZ第1話を読んだ時、Zは20代前半、少佐は30代前半に見えた。
最終話はZは30代前半、少佐は40代前半だと思えば違和感ない。
さらに経験を重ねた落ち着きと、それでも残っている少年らしさがそのまま最終話のZの魅力となった。

過去に遡って感想を書いているので、絵の変化に関して何度も触れてしまったが、今現在のエロイカ本編にも今はすんなり馴染んでいる。
Zシリーズは終わってしまったけれど、本編で主に部下Gの下で大活躍?してるので寂しいと思わない、と書いておこう。
ちょっと影が薄くなった気がしないでもないが。

内容はZと少年ペーターの心の交流がメインになっているので、これまでほどの難しさ、危険さ、シリアスさは感じない。
もちろん危機一髪な場面はあるのだが、どち
らかというとボディガード的な面が強調されている。
Zらしい、優しい最終話だったと思う。
次回はライナーノートとインタビュー、ミニ漫画?の感想をまとめて、あとは本編のコミック新刊が出るまでお休みかな?
あっ、「魔弾の射手」も書いてなかった(喜)。
(2014年2月24日の日記)
2月3日 Zの幸運
アネリーゼとの辛い別れの後にはZシリーズではないけれど「パラダイス・PARTY」、少佐の部下AからYまでアラスカ送りにされた後は「Zの幸運」と シリアスとギャグの振れ幅が凄かった。
最初はZシリーズの存在を知らなかったから、後でまとめて読んで、そのシリアスさにびっくりした。
でもキャラクターガイドブックなどで話の流れを知ってさらにびっくり。

Zが頼りなくてハラハラさせられるのは同じだけれど、Zシリーズでは命にかかわる危険となり、エロイカ本編では大笑いのギャグになる。
可哀そうというか何というか・・・。

でも読んでてどこが幸運なんだ?と首を傾げるほどZは少佐にこき使われ、沈没寸前となっている。
でも最後の最後、少佐が夕食に誘ってくれた!
なんて素晴らしい!そして羨ましい!

で、思い出したのだが、かなり前に少佐友だちのCさんとメールで話したことがある。
私がAやBのペーペー時代を読みたいという話をした時だったと思う。
そういう時代はないんじゃない?ってことになった。

少佐が少佐になった時点で、A〜Zまで部下が一斉に揃ったんじゃないかと。
途中で誰かがリタイアして繰り上がって、後でZが入って来たため、他の部下はみんなどんぐりの背比べ状態なのに対し、Zのみ格下?扱いなのは そのせいじゃないかと。

だからもちろんそれぞれの青春時代はあるだろうけど、少佐の元では、少佐も含め、みんな一並びにせーので始まったと考えた方がいいかも。
少佐の成長と部下たちの(個人的な伸び代はともかくとして)成長が同時だったから、Bですら少佐にしごかれた時期ってないんじゃないかな?
今しごかれてるのは別として(笑)。

そこまで設定してあるかどうかはともかくとして、そんな風にも読めるよねって話。
懐かしいなあ・・・。
(2014年2月3日の日記)
1月30日 Z―ツェット―V
サブタイトルは「BLACK OUT」。
初めて英語が使われ、そしておそらくZシリーズの最高峰。
「BLACK OUT」の意味は作中で語られる。

描かれたのは1983年(昭和58年)、「笑う枢機卿」の後の話で、当然先輩たちのアシストもなく、少佐もZを突き放したような態度をとる。
自身を含め、人員をさけないということもあるだろうが、それだけZの成長を認めている部分もあるかのようだ。
でも周りに敵対され、見下されているかのようなZはまたまた落ち込む。
小言じじいを通り越して怒鳴りまくる少佐だが、それがZに元気を与える不思議。

以前に比べ、精悍な顔つきになったとはいえ、相変わらず百戦錬磨のベテラン勢に翻弄されるZ。
青池さんがインタビューで答えていた「このままこのシリーズを続けたなら、Zは死ぬしかない」のコメントがまさに実感。
極限まで追い詰められてこそ力を発揮するZのスタイルは少佐じゃなくても危なっかしくて見ていられない。
そこがZの魅力ではあるのだが。

今回は少佐も見せ場たっぷり。
戦闘機ハリアーを操り、かなりのやり手っぽいダグラス大尉も相手にならない。
本編に比べてシリアス満載のシリーズだが、もちろん笑いどころもたくさん。

ダグラス大尉に「ミスター・ゼット」と呼ばれてプロレスラーみたいと落ち込むところ。
こんなかっこいいのに、助けてくれた娼婦に「(借金取りに追われているなら)もう来なくていいわよ」とあっさり言われるところなど(もったいない)。
珍しく?Zが恋する女性が出て来ないので、ロマンス成分は皆無だが、硬質な少佐、そしてZの魅力を堪能できる。
ウィンスロップ大尉も大物感があって、シリーズに置いても一番読み応えのある作品だったと思う。

でもベストショットは残念ながら?Zではなくて少佐。
完全版323ページの「それも近いうちに・・・・・・」の少佐と360ページ、ハリアーから降り立った少佐。
こんな上司がいるなら、怒鳴られてもいい、アラスカに送られてもいいから、その下で働きたい・・・かな?
絶対無理だ(笑)。

今回私のお気に入りムンク少佐がさりげなく登場したのも嬉しかった。
他のキャラのように際立った個性のない、地味な人物だが、堅実で少佐に信頼されている感じがいい。

でもこの後に「Zの幸運」が控えているんだよなあ(笑)。
硬軟併せ持つ少佐の世界を駆け巡るZ、本編ではすっかりおとなしく目立たないキャラになってしまったが、それでもいいか。
生きていてくれれば・・・。

ちなみに「BLACK OUT」はWikipediaによると、「主に航空機のパイロットに見られる症状で、プラス方向(体の軸に対し下向き)の大きなGが パイロットにかかった際、心臓より上にある脳に血液が供給できなくなり、完全に視野を失う症状を指す。
通常はグレイアウトに引き続いて陥ることが多い。」とある。

同時にZが追い詰められて、「目の前が真っ暗になる(どうしていいか途方にくれて、もうおしまいだと思うことの比喩的表現)」との掛詞になっている。
見事。
(2014年1月20日の日記)
12月10日 Z―ツェット―IV
Zシリーズ4作目。
副題は「Das Fraulein, das Z liebte( Zの愛した女性)」。
後のインタビューで初めて知ったのだが、最初に描かれた話に14ページもの加筆があったとか。
加筆前の話が読みたいなあ、でももう無理だろうなあ。

っていうか、加筆部分(完全版266ページ〜280ページ)をないことにしたら、とんでもない終わり方をしたことになるんだけど?
加筆だけではなく、266ページより前の部分もいくらか修正したんだろうか。
そうでなくては大変だよね?ドキドキ。

副題の通りに、今回初めてZが愛した女性が現れる。
アネリーゼ。
ただ初めて読んだ時、266ページのZがアネリーゼの手を取る場面の背景が、「寒い」Zに対して熱を発しているようで笑いのツボにハマり、しばらく続きが読めなかったという 切ない過去がある。

でもその後のシビアさに私の爆笑ゆえの発熱も一気に冷めた。
懐かしい。
ただ、今読み返すと、あまりにもベタな、典型的なメロドラマだなと思う。
年を取ってすれたのか?私。

で、「メロドラマ」という言葉で突然思い出した昔の記憶。
以前も書いた記憶があるけど、昔の公式サイトの「Z部屋」で流行った「真珠婦人」の「たわしコロッケ」。
Z部屋の誰も見たことなかったが、昼メロだったか、そのいびりっぷりが社会現象にまでなった人気ドラマで、なぜZ部屋にたわしコロッケが出て来たのかは覚えていないが 異様に盛り上がった。

他の部屋からも、おもしろそうだからのぞきに来ましたって人が現れて、いつもは3,4人でこじんまりと楽しんでいたZ部屋が一躍大人気になったのもいい想い出。
Z部屋ではたわしコロッケで遊ばれ、切ない恋と別れの後は、部長の誕生日に用意されたいたんだケーキでおなかをこわし、先輩たちはAからYまで残らすアラスカに送られると悲運は続く。
でもこのドタバタ騒ぎとトイレに行く暇もないほどの忙しさで、Zは完全に失恋から立ち直った模様。
実はあれは全て先輩たちの優しさだった?はずはない(笑)。

よりによってきのうアップした、ゲームに登場する声優さんの1人が、俳優として「真珠婦人」に出演していたからたまらない。
Z部屋の思い出が蘇っておなかが痛くなるほど笑ってしまった。

でもこのZシリーズは全て若き日の少佐や先輩たち(BとGはのぞく?)が通った道と思えば、少佐の部下であることの、NATOに生きるスパイであることの凄味もまた伝わってくる。
いつも死ぬほどの目に会わされるZ、いつもやめてもおかしくないほど気持ちを傷つけられるZ、でもだからこそ今の有能なZがいる。
残念ながら本編では、その落着きゆえにあまり目立たなくなってしまったが、スパイとして、少佐の部下としてはその方がいいのかもしれない。
読者的には寂しいが。
(2013年12月10日の日記)
11月30日 Z―ツェット―III
Zシリーズ3作目は髪を少し切り、精悍な顔になって登場。
でも相変わらず周りに対する警戒心が薄く、BND(連邦情報局)のハルトマンにケチをつけられる。
綺麗な女性に見とれたり、と相変わらずの軟弱者(笑)。

パトリシア・コーンウェルの本でも((タイトルは忘れたが)、主人公がそばに止まったパトカーの若い警官に心の中で警告を与える場面があるのを思い出した。
警官にしろNATOにしろ、常に周りを警戒し、しかもその警戒を悟られないようにしなければならないという。
Zもシリアスな任務を通して、かなり成長したかと思ったが、日常ではまだまだ甘い。

前回はくるくる紙テープが出て来るコンピューターに驚かされたが、今回はカセットテープが出て来る。
情報局の最先端でもカセットテープを使っている時代。
モーツァルトが好きなハルトマンに、自分は「戦車行進曲(パンツァーマーチ)」が好きと答える少佐。
今回のサブタイトルであると共に、物語の大きな伏線となっている。
少佐の素顔に触れてにやにやしてるだけだった私、あとになってしてやられたと脱帽した。

今回の任務は、ハルトマンに依頼されたBNDの二重スパイを探す事。
怪しい2人は先輩たちに任され、Zは能天気なエンジン技師の担当となる。
いかにもスパイな物腰と、なまじっかハンサム(これも今では死語か?)なだけに目立ってしまうZ、でも同業者には気づかない。
ディスコまで出て来たよ。

それにしても、よく脱ぐZ。
A先輩には「浮気した現場を亭主に見つかった若いツバメ」って姿だったと報告され(笑)。
いつもは小物っぽいAやぐーたらなBも大ベテランに見えてくるから不思議。

でもZは実は囮で、ペーペーの悲哀を叩き込まれ、傷つくZ。
先輩たちにも、そして少佐にもそんな時代はあった。
少佐が辿って来た道を、今Zが辿っているわけで。
でも少佐の場合は、むしろ猪突猛進の失敗や、無謀な挑戦で失敗することが多かったかもしれないと思う。

最後はやっぱり少佐の凄さをじっくり味わって終了。
その後に、当時の予告が載っているが、青池さんのイラストもまた若い(笑)。
この作品が描かれたのは1981年(昭和56年)。
日本の首相は鈴木善幸氏、アメリカはレーガン大統領。
ダイアナさんがチャールズ皇太子と結婚して、ピンクレディーが解散した年。
あの頃、青池さんはこうやって描いてたんだ・・・としみじみ思った。
(2013年11月30日の日記)
10月28日 Z―ツェット―II
Zシリーズ、2話目からは副題がつく。
今回は"DIE FRAU AUS DDR"
「東ドイツから来た女性の死」と訳すのかな?
こんなネタバレ全開なタイトルのわけないような気がするけれど、お手上げだ。
と思ったら「DIE」は「死」ではなかった、ああ恥ずかしい。
「東ドイツから来た女性」でいいみたい。

さて、1話では一人前気分の青二才が任務の厳しさを叩き込まれるハードな話ではあったけれど、どちらかというとZの顔見せみたいな意味合いが強く、 私はこの2話目からが本筋だと思っている。
前にも書いた、表紙のカラーのZの美しさ。

金色のロングヘアに透き通るような青い瞳。
少女漫画にはよくある絵だろうけど、いかにも少女漫画な繊細さではない美しさと言えばいいのか、骨格の美しさと言えばいいのか、他漫画の美青年とは 一線を画した甘くない美しさで魅入られてしまったことを覚えている。

そしてこの話には、エロイカ史上一番の「いい女」と私が思う女性、レナーテ・ヴェルナーが登場する。
存在するだけでZを翻弄し、その死に様でZの心に深い傷を残す。
かっこいい、こんな女性になりたいなあと本気で思った(笑)。

ところが本編、少佐が主役の方では、いわゆる「いい女」がさっぱり出て来ない。
ああシスター・テレサは別格、彼女は若い時でも女性を超越した存在。
私が言いたいのは、たとえばシャーロック・ホームズが認めたアイリーン・アドラーのように、少佐のライバルとなってスリリングな戦いを見せてくれるような女性。
恋愛になってもいいけど、恋愛にこだわるわけではない。

ギルダ・ラヴァンヌとティリアンの壮絶な恋愛を描き切った青池さんだから、あのクラスの仇敵を作るのはわけないと思うのだけど。
マリー・アントワネットでは役不足だったし、マリア・テレジアは少佐が出会った中では一番の凄腕だったが、スパイとしてのスタンスがちょっと違う。
「魔弾の射手」のようなシリアスな話で女クラウスのような存在が出て来てくれたらいいのにな、と思った時代が私にもあった(笑)。
たぶんこれからも描かれることはないような、そんな気がする。
その代わりにZがスピンオフでせっせと恋をする。

Z以外の部下のペーペー時代も読んでみたい。
BとG以外は似たようなZのような話になるだろうからいいとして、この2人はとっても気になる。
そもそもなぜNATOに入れたのか(笑)。

Bは街を歩いていて、たまたま口に出した言葉が、そばにいたNATOのスパイにとって大きなヒントになってスカウト。
Gは街を歩いていて、部長の目に留まってスカウト、それしか思いつかない。
1人でハードな任務に駆り出されても、あわあわしているうちに解決してしまったBとか、キャーキャー騒いでいるうちに解決してしまったGとか。
どっちにしてもお笑いになりそうだ。

今回の話で一番驚いたのが紙テープの山に埋もれているZ。
昔のコンピューターがこうだったと、この作品で初めて知った。
(2013年10月28日の日記)

10月1日 Z―ツェット― I
今「青池保子 公式キャラクターガイドブック」を見てて初めて気づいたのだが、「エロイカより愛をこめて」と「イブの息子たち」が並行して描かれてる時期があったんだ・・・。
てっきりイブが終わってエロイカの流れだと思っていた。
キャラクターガイドブックも何度も読んでるのに、全然気づいてなかったのだから情けない。

さて「Z―ツェット―」はエロイカ5作目の「劇的な春」と6作目「イン・シャー・アッラー」の間に初めて描かれている。
コミックで言うなら2巻と3巻の間、思ってたより早い。
私はしばらく「魔弾の射手」やZシリーズがあること知らず、エロイカをかなり読んでからその存在を知った。
だから3巻で少佐がZにペルシャ語やアラビア語が話せるかと聞いて、「サラーム(こんにちは)ぐらいです」とZが答え、留守番決定のところでも、ずいぶんかっこいいお兄さんがいるな くらいにしか思わなかった。

とはいえ本編(エロイカ)でもZは顔だけではなく活動自体も存在感があり、並み居る先輩を差し置いて、部下A、B、Gの次くらいには目立っているけど。
私が以前の公式サイトにお邪魔したのは、長いブランクを経てエロイカが再開してしばらくしてからのことだが、そこでの投票部屋では、最初は毎日少佐に投票してた。
でも少佐部屋は常連さんが満ち溢れていたのに比べ、Z部屋は閑散としているのが寂しく、そちらに投票するようになった。
当時毎日のようにおしゃべりしていたSさんKさん、そしてこちらのサイトにも遊びに来てくれたBさんはお元気だろうか。
まだ「エロイカより愛をこめて」を読み続けているのだろうか。

「エロイカより愛をこめて」が大好きな私だが、もしも「本気で好きなエピソード」を聞かれたら、たぶん「魔弾の射手」とZシリーズから選ぶだろう。
伯爵やジェイムズ君が出て少佐の任務を邪魔し、話をかき回す、それがエロイカの醍醐味とは承知の上で、それももちろんおもしろいが、もっと好きなのはお笑いなしのハードな世界。
Zや魔弾のような話ばかりだったら、おそらくエロイカはこんなに長く続かなかっただろうが。

1作目、Z初登場の話は訓練を15週間受けただけの、まさにペーペー、そんな新人にこんな任務をあてがうなんて、さすがはスパルタ少佐。
もしかしてBもこんな時代があったのか?信じられないけれど。
Zが究極の美しさに達するのは2作目からで、1作目はまだ少女漫画風の可愛らしさが残っているが、私が少女漫画の男性キャラを「綺麗」と思ったのは、後にも先にもZ一人。
そう、Z完全版の表紙にもなった2作目の表紙のカラー。

話がそれた。
そんなZシリーズの特徴はとにかくシリアス、そして全てではないがZが恋をすること。
さらに時には敵を射殺する。
1話目でいきなり殺されかけた相手を射殺するエピソードは、Zのルックスと性格の甘さにあまりにもそぐわなくてびっくりした。

魔弾や本編だと、少佐がどんなにピンチになっても揺るがない安定感があるのに。
それだけにかなり「母性的な(笑)」思い入れも加わり、Zシリーズの大ファンになったわけ。
少佐も本編ではあまり見せない優しさ厳しさシリアスさを垣間見せるし、部下AとBすら頼りがいのある大先輩に見えてくるから不思議である。
(2013年10月1日の日記)
9月9日 Zに関するレポート
今だから白状しよう。
2年前の「Z完全版(以下Zと略す)」が出た時に開催された「Z」原画展、私は初日夕方に行ける見込みがなかったので、午前中休みをもらった。
その理由とか、何時間もらったかは内緒にしておいて(汗)、その日私は書店開店と同時に飛び込んだ。
ところが、ところがである。

原画がまだ展示されていなかったのだ。
「あ〜すみません・・・。これから飾るんですよ・・・。」
すまなそうな声音の店員さんの言葉に目の前真っ暗。

ところがなんと、そのおかげで私はガラス越しではなく、原画を直接見る幸運に恵まれたのだ。
積み重ねられた原画を1枚ずつ店員さんが手に取ってお店に飾る。
その間に私は目の前の机30センチ(本当は10センチくらいまで近づきたかったが)の距離で何の障害もなしにじっくり眺めることができたのだ。
もちろんそんな私のそばにはもう1人の店員さんがずっといて、私が触ったり、奪取してダッシュしないように厳しく見張っていたわけだけど(笑)。

青池さんの原画展には何度か足を運んでいるが、ガラス越しでなく直接見たのは初めてだった。
っていうか普通はないだろう、得難い経験だった。

その時に原画のそばに山積みにされていたのが、当然ながら「Z」。
書店に入った時、その表紙の美しさに息を呑んだ。
表紙絵は1980年の「Z II」のZ。
30年以上も前の絵だ。

金色の長い髪、透き通るような青い眼、いかにも現代風な少女漫画がずらりと並んだ中で、「Z」はクラシックな美しさを湛えていた。
そして「魔弾の射手」の表紙の少佐も。
今発売されている「エロイカより愛をこめて」の方がむしろ古臭く浮いて見えるほど、古い「Z」が輝いていたのである、本当に驚いた。
思い返せば1巻あたりの「エロイカ」は確かに「イブの息子たち」の名残りがあって、いかにも当時流行った少女漫画といった顔つきだったが、3巻あたりから まつ毛の長さなどはともかくとして、独特の精悍さを備えて行ったように思う。
私は一気に10巻くらいまでだったか、読んだので余計絵の変化が際立って見えたのだろう。

さて「Z」はもちろん少佐の部下の一番下っ端、いわゆるぺーぺーが主役のエロイカサイドストーリー。
伯爵や仔熊のミーシャなど、本編でおなじみのキャラは一切登場せず、話もかなりシリアス物が多い。
それだけにZが精神的にも肉体的にも傷つき、それを時には怒鳴りつけながら、時にはさりげない優しさを持って導いていく少佐の一面もじっくり描かれる。
全話ではないが、Zの恋の相手となる女性が出て来るエピソードもあり、彼女たちがまた魅力的で、本編にはまず登場しないタイプ(笑)。

話の流れ的に、今後Zのさらに下の部下が現れる可能性は100%ないので、永遠のぺーぺーであるわけだが、こちらでもみくちゃにされ、鍛え上げられたZだけに 今ではすっかり地味かつ有能になってしまってちょっと、いえかなり寂しい。
とはいえ少佐や、いつもコンビを組まされているGとの掛け合いでは持ち前のナイーブさも垣間見せるが。
「Zに関するレポート」では、Zのエピソード6話と、完全版に掲載されているインタビューの感想を書いて行きたい。

★Z原画展のレポートは「こちら」です。
(2013年9月9日の日記)

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