お気に入り資料室(池波正太郎)


池波正太郎真田太平記館(長野県上田市)

池波正太郎記念文庫(台東区立中央図書館内)

池波氏の書籍や絵、資料や遺品などの展示を初め、書斎の復元や池波氏のイラストグッズ販売など、読者には垂涎の資料館です。上田市の真田太平記館は たしか外観を撮った写真がありますので、見つ け次第アップ予定です。ちなみに台東区立中央図書館の2階はバーミヤンです(笑)。おなかすいたね〜、お昼軽く食べたいね〜、あっバーミヤンだ!と駆け寄って記念文庫を偶然見つけました。
「剣客商売」(新潮文庫・池波正太郎)

老剣客秋山小兵衛が悠々自適な暮らしの中で、江戸を生きる人々の様々な人生を垣間見、関わっていく物語。
酸いも甘いもかみ分けたその自在な生き方はうらやましく感じますが、同時にその背に背負うた剣客の宿命に粛然とさせられることも多々あります。
池波三大小説(鬼平、剣客、梅安)の中で唯一完結した物語でもありますが、作者自身が少しずつ小兵衛の年齢に近づくにつれ、影を落とす「死」の存在の重さ暗さもまた事実。
「人は死ぬために生まれる」と見通す作者の言葉が一番実感できる作品でもあります。
私が持っているのは亡き父が買った中一弥氏が描いた風景がそのまま表紙になっているシリーズ。
すっかり黄ばんで煙草の匂いがしみついていますが、大切にしていきたいと思っています。
「江戸切絵図にひろがる剣客商売、仕掛人・藤枝梅安」(鶴松 房治・人文社編集部)

池波氏の賞賛本は本当にたくさんありますけれどもホームページのない時代ならともかく、今となってお金を出してまで買うべき資料はこのシリーズのみと言い切ってしまいたくなるほど池波小説の全ての地名や店や寺社などを網羅してある本。 鶴松氏は池波氏とも関わりの深い人ですけども、シリーズ内ではどこまでも一研究者に徹し、決して自分と池波氏との関係をアピールすることがないのも好感が持てます。
ご自身のホームページは→「こちら」。

なお池波研究本や古地図などが出版されることの多い「人文社」のそばに「時代屋」という歴史書&歴史グッズの専門店ができました。
日本だけでなく三国志など海外の歴史物も充実、まだオープンしたばかりでお店側の宣伝にお客さんがついていけない部分もありますが、一段落したら固定客も着いて落ち着いたいいお店になるのではないかと期待しています。
「鬼平犯科帳」(池波正太郎・文春文庫)

池波正太郎と言えば「鬼平犯科帳」、「鬼平犯科帳」と言えば池波正太郎、中村吉右衛門他数々の名優が演じたドラマも含め、一番有名な作品ではないでしょうか。ジプシー・キングスの「インスピレイション」とエンディングの美しさにも魅了されました。好きな話は数あれど、原作5巻で平蔵がおまさの恋を成就させてやる「狐火」が特に好きです。人とは簡単に割り切れるものではない、白か、さもなければ黒かどちらかに決め付けようとすることの無意味さを池波氏は鋭く描き出します。「蔓」「起こり」といった造語や盗賊の名前などのネーミングセンスの素晴らしさにも脱帽です。ただ池波氏が歌い上げる古き良き時代の義理や人情や、そのようなものが嫌で逃げてきた私にとってはどこか自己嫌悪に陥ってしまいそうな危険も秘めた作品です。
「江戸切絵図にひろがる鬼平犯科帳、雲霧仁左衛門 時代小説シリーズ」(鶴松房治・人文社)

池波研究本、賞賛本は多いですが、一番おもしろくて役立つのはこれです。今なら個人のファンサイトで語るような本が多い中、古地図との比較、現住所、どの巻のどのページに掲載されているかも記されており、池波世界を辿るのに最適な資料です。感想もなく、ただひたすらに資料作りに専念される鶴松氏の姿勢には頭が下がる思いです。他に「剣客商売」「真田太平記」に関する資料本も出されているので、随時紹介していきたいと思います。ただ特に建物があるわけでもなく、地名のみ残っている箇所が多いので、もう少し写真など参考になる物も載せて欲しかったと思いますがこの本を参考に、自分でその地を訪れ、写真を取るのもおもしろいことかもしれません。
「鬼平を歩く」(毎日新聞社)

全然関係ないお店や品物の宣伝など、三分の一はいらないですが、「鬼平犯科帳」の季節にちなんだ風景や場所の写真や、作品中に登場する料理やお菓子を再現してくれるのが嬉しいです。特に「掻堀のおけい」に登場する「一本饂飩(うどん)」は想像できなかったので嬉しいかも。ただ見た目食べてみたいというものではありません(笑)。いくつか長谷川平蔵がらみのコースを紹介しており、全部歩いてみましたが、特に清水門(役宅のあった場所)から菩提寺である戒行寺までのコースがお勧めです。池波夫人のインタビューや、実在の長谷川平蔵との比較もおもしろく、実在の長谷川平蔵が50歳で亡くなったこともこの本で初めて知りました。
西尾忠久氏のホームページは→「こちら」。
「江戸切絵図散歩」(新潮文庫・池波正太郎)

江戸の切絵図に沿った思い出話をご自身の描かれた絵や地図や、昔の写真などで綴ったエッセイ集。小説を書く上での裏話を期待するなら、後に紹介する「銀座日記」がお勧めですが、池波氏がこれだけ素晴らしい小説を書かれる理由、若き日得た経験の底力を感じることができます。池波氏はエッセイの多いことでも有名で、中にはかなり重複する部分がありますが、「江戸切絵図散歩」は資料としても優れたものだと思います。
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