第8話 最後の夜 決戦控えた最後の夜(よ) 風澄み渡り さえざえと 静謐のみが支配する 焚き火のそばに寄り添いて 笛吹く娘の愛らしさ 若き法師は笑み隠す 邪(よこしま)見抜く力ゆえ あまりに辛い業背負い 孤独に闘い抜く運命(さだめ) 殺生さえも厭えずに 疲れ果てた闇の旅路で 終(つい)に出会えた愛しき娘 若き法師の眼差しに 娘は頬染め優しく微笑む 高雅な笛の音闇夜に響く 苦楽を共に生き抜くか、 峻烈なる死を遂げるのか わからぬままに目を閉じる とうとう最後の夜は明けて 猛々しき眼の退治屋が 昇竜の如き意思持ちて 朝日の中に蘇る 法師の胸で蘇る |