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日暮神社の不思議 |
12月8日の日記に日暮神社の鳥居のことをちょっと書いたが、あれから少し調べてみた。 犬夜叉関係以外で一番お世話になったのが、川口謙二氏の「鳥居 百説百話」という本。 犬夜叉に関わらなければおそらく読むこともなかったろうが、小説感覚で読んでもおもしろい。 まず日暮神社の全景は、実は「高橋留美子原画集」に設定資料として載っている。 あとは、かごめの家が本殿の後に来るように組み合わせればいい。 資料には載っていないが、骨喰いの井戸は本殿の向かい側。 「アニメ全書」の美術設定から、御神木は自宅の右やや前にあることがわかる。 その後に小さな物置みたいなものがあるが、祖父が肉づきの面と戦った場所にしては貧弱なので、本殿と家の間に(見えないが)蔵のような建物もあるだろう。 骨喰いの井戸の前には立て札が立っている(百足上臈)。 何が書いてあるかはわからないが、たぶん昔退治した妖怪たちを投げ捨てる井戸、何日かたつと骨は消え・・・、みたいなことが書いてあるだろうと推察される。 本殿を出て右側に下に降りる石段が2つ(アニメ全書)、途中で踊り場のような所があり、鳥居がある。 そこから長い石段を下っていくと、下にも鳥居がある(肉づきの面)。 この鳥居がおもしろい。 鳥居はどこでも見かけるものだが、簡単に説明しよう。 縦縦横横の4本の赤い柱(赤とは限らないが)でできていて、上の横木を「笠木」、下の横木を「貫(ぬき)」という。 原作では笠木がまっすぐで、これを「神明系」という。 貫が縦の柱の間におさまっているときもあれば(肉づきの面)、貫が柱から突き出ているときもある。(狼野干) ところが同じ場面をアニメで見ると、笠木は弓なり、上に向かって沿っている。 これは「明神系」と呼ばれる。 ただし、明神系ならば「島木」と呼ばれる笠木に密着する横木がなくてはならない。 その点アニメの鳥居はずいぶん中途半端である。 また、両方とも縦柱がまっすぐ等間隔で立っているのが、「ころび」がないと言うのだそうだ。 「ころび」とは、「足を開いたように、内側に傾斜をつけた建て方」のこと。 ここに図を載せれば一目瞭然なのだが、そんな技術がないので似たような鳥居を紹介しておく。 原作の鳥居は春日大社や靖国神社の鳥居に似ている。 靖国神社の鳥居は貫が突き出ていないし、春日大社の鳥居は突き出ている。 アニメの鳥居は三囲神社や稲荷神社など。 アニメ版では上の笠木の下に「島木」がないことに気がつかれると思う。 ちなみに戦国時代の鳥居は丸太でできているようだが、形は明神系に近いようである(百足上臈)。 ところで鳥居には、看板のような物がかかっているが、これを「額束 (がくづか)」という。 ここには「日暮神社」と書いてあることがわかる(肉づきの面)。 本殿の方はまだ資料を見つけていないので、これからの課題としたい。 これで大体の位置関係をおわかりいただけたと思うが、ここで大きな疑問が生じる。 私はさっき、こう書いた。 資料には載っていないが、骨喰いの井戸は本殿の向かい側。 「アニメ全書」の美術設定から、御神木は家の右やや前にあることがわかる。 お気づきだろうか。 戦国時代と現代では、骨喰いの井戸と御神木がある場所が異なっているのである。 現代ではかごめは御神木や井戸を見ながら石段を降りていっているが、戦国時代では、その場所には桔梗の墓がある。 御神木と井戸は神社から遠く離れた森の中、しかも平地である。 現代では高台、戦国時代では平地、移したと考えるには、あまりにも無理がある。 もちろん私は重箱の隅をつついてあら探しをしているわけではない。 ただ、いろいろ考えたり、調べたりして、自分なりの世界をイメージしていくのは楽しい。 ところで「パラレルワールド」という言葉をご存知だろうか? 多次元的平行世界、つまり、私たちが生きているこの世界と全く同じ世界が、他の次元に存在するという考え方である。 ただし、それらの世界は全く同じようでいて、微妙に違う。 かごめが入り込んだ戦国時代は、違う次元の戦国時代だったのかもしれない。 普通であれば、仮に戦国時代にタイムスリップしたところで、そこに妖怪など日常的に存在はしないだろう。 弥勒に風穴などなく、珊瑚も妖怪退治屋などしておらず、桔梗や楓も普通に生きている。 鬼蜘蛛はいたかもしれないが、犬夜叉、七宝、鋼牙、奈落、その他数多の妖怪達の存在しない世界。 かごめが異次元の戦国時代に迷い込んでくれたおかげで、私たちは「犬夜叉」に会えた。 自分で描いた日暮神社の地図を、とことん眺めているうちに、ふとそんな考えが頭に浮かんだ。 そうそう、神社で何を祀っているのかも大きな課題である。 犬夜叉の木を御神木と言うからには犬夜叉か、とも思ったが、神社自体が犬夜叉が桔梗相手に暴れ回っていた頃からあるので、どうも違うようである。 皆さんはどうお考えだろうか? (2002年12月11日の日記)
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「日暮神社の不思議」追記 |
11日の日記で日暮神社についての考察をしたが、その後わかったことを追加してみたい。 まず本殿、外山晴彦氏の著書によると「平入り」と「妻入り」のうち、「妻入り」であることは間違いないようだ。 アニメ全書の美術ボード集の図がわかりやすいのだが、映画用に別の作りにしてあるので、ちょっとわかりかねるのだが、「権現造り」であろうか? だとすれば、いやに立派な神社になる。 本殿の横、上から見た図があればはっきりしたことがわかるのだが。 あと、屋根に反りがあることがわかる。 神社の特徴をもっともよく表しているのが「千木(ちぎ)」と「堅魚木(かつおぎ)」である。 これは拝殿の屋根の図が、アニメ全書にはっきり描かれている。 まず「千木」、屋根の上に交差して突き出て交差した2本の柱で、頭部を水平に切ってあれば「内削ぎ」で女神を祀っていることになり、垂直に切った「外削ぎ」は、男神を祀っている事を示す。 日暮神社はこのことから、男神を祀っていると思われる。 次に「堅魚木」は屋根にそってまっすぐ並べて置かれる装飾用の木材で、偶数は女神、奇数は男神である。 日暮神社のこれは6本と偶数なので、女神を祀っていることになる。 つまり、日暮神社は男神と女神の両方を祀っていることになる。 ただし男女の神を祀っている神社もけっこうあるらしい。 日暮神社はどうなのだろう。 設定ミスなのか、あるいはこの後の展開により、結局犬夜叉とかごめが祀られることになったりしたらおもしろいのだが・・・。 戦国時代の楓の家も「外削ぎ」で、男神になっているところが怪しい。 桔梗の墓の後の神社も男神。 ちなみに水神の社はちゃんと内削ぎで、水神が女神であることがわかる。 もうひとつ、これは私にもはっきりしたことはわからないのだが、「古神道」は太陽信仰とされるので、「天照大神」を祀った神社ということも考えられないことではない。 なぜここで日暮神社が「古神道」の流れを汲む神社と言い切れるか。 原作の1巻それも最初の方、かごめと祖父の会話のシーンで「四魂の玉」のキーホルダーを発売する話が出てくるが、今にして思えばあれが重要な伏線であったことに気付く。 次に御神木。 サカキ、スギ、マツ、クスノキなどの常緑樹や、イチョウなどが多く指定されるという。 御神木は神の宿る木や御神体そのもの、または神の依り代とされるが、神前に供える榊(さかき)はサカキの名前ではなく、神前に供える常緑樹の総称だった。 しかし、特に多く使われたのがサカキで、それに対して「榊」の字を当てるようになったという。 それもあって私は榊ではないかと思っているのだが、断定はできない。 賽銭箱の正面に神紋(家紋のようなもの)がないこともそうだが、特定の神社と思われないように、あえて御神木の木の種類なども伏せているのかもしれない。 (2002年12月15日の日記)
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「雪の下」と殺生丸の着物の柄 |
プレステRPG「犬夜叉」に「雪の下」という万病に効く薬草が出てくる。 先日、ある植物について調べていて「雪の下」が本当にあることを知った。 「雪の下」は、ユキノシタ属の多年生植物で、やはり山地の湿地帯に自生しているという。 目立たないが、初夏になると愛らしい白い小花を咲かせるとのこと。 ゲームでは小枝(ゲームキャラ)の母親が咳き込む場面があるが、たしかに昔から民間薬として利用され、しぼり汁は百日咳の良薬だとか。 ただし夜にならないと花が咲かないというのは、ゲーム用に設定したらしい。 続いて殺生丸の着物の柄。 前から家紋か、神紋ではないかと思っていた。 父親が西国の大妖怪という事から、西日本の神社でどこか一致するのではないかと思い、調べてみた。 まず六角形の外側だが、これは「亀甲紋」と呼ばれる。 亀が不老長寿の象徴と考えられていた平安時代、亀甲紋の中に、花を描いた文様が流行した。 ちなみに亀甲紋は出雲大社の神紋として有名で、このことから、犬夜叉の父が祀られているのは出雲系の神社だったらおもしろい。 実際は出雲大社に祀られているのは、「因幡の白兎」で有名な「大國主大神(おおくにぬしのみこと)」。 ただ出雲系神社は島根県に多い。 もしかしたら犬夜叉の父妖怪は、京都まで出かけていって母親を見初めたのかもしれない? 殺生丸の場合は、亀甲紋が3つで1セットになっているので、「三つ盛り亀甲」と呼ばれる。 次に中の花だが、殺生丸の着物の花は花弁が6枚だが、私が調べた限りでは桜紋、唐花紋などで花弁が5枚、花菱紋で4枚などしか見つけることができなかった。 これなども、神紋のない賽銭箱のように、特定の神社を指定できないように、わざと花弁が6枚の花にしたのではないかと思う。 そう考えると、前述の亀甲紋も、出雲大社とは関係なくなる。 強いて似ている神紋を持つ神社をあげてみると、「三つ盛り亀甲に花菱」の広島県「速谷神社」だろうか。 花弁の数が4枚ではあるが、それ以外は殺生丸の着物の柄に一番近いと思われる。 身近な?ところでは浅井長政の浅井家もこの紋。 高橋先生の好みで漫画ばえのする模様をただ思いついたままに描かれたのかもしれないが、たくさんの種類の神紋や神社、その由来などを調べるのは、楽しい作業だった。 |
パラレルワールド 〜妖怪の分類 |
12月11日の日記でパラレルワールドについてちょっと触れたが、先日妹と電話で話していて、その話が出た。 「各地に点在する妖怪伝説や殺生石などの遺物は、パラレルワールドが存在することの証なのか。」といったようなことを聞かれたのだ。 おもしろい質問である。 答えは2つある。 「YES」と答えるならば、それはまさに「犬夜叉」の世界。 私たちの世界、幽霊などのいわゆる「霊界」、妖怪などの「魔界」などが、それぞれ存在し、ある時間、ある場所でそれらの世界がリンクする、という考え方。 魔界と繋がれば私たちはそこに河童や鬼を見るし、霊界ならば幽霊に出会う。 まかり間違ってそっちの世界に入ってしまい、戻れなくなれば「神隠し」である。 もう一つの考え方、それは全ての妖怪の由来を分類、考察し、その正体を解明していくやり方である。 これが簡単なようでいて難しい。 難しいが、私なりの知識を総動員してやってみようと思う。 簡単なところから言えば、まずは「見間違い」。 有名どころでは「飛天満天」に出てきた雷獣。 雷にびっくりしたムササビが飛び回っていたり、気絶したりしたのを見た人々が、雷が鳴ると出てくるということで、雷獣と思い込んだといわれている。 ジュゴンを人魚と見間違えたのも、その中に入るだろう。 次は「自然現象」。 妖怪とは異なるが、鬼火や人魂など「燐が燃える説、プラズマ説」などがある。 また、家の木材が乾燥してピシッと鳴ったりすると、それも狐や狸のせいにされたという。 3つめは思い込み。 現代でも共通することだが、いわゆる心霊スポットと呼ばれるところへ行って「幽霊が出るはず」と思い込むことによって、ちょっとした事象を幽霊と勘違いするような場合。 まあ上の3つは互いに共通点もあるので、分類したとは一概に言えないだろう。 たとえば、「ここには河童が出る。」という噂の川に行って水浴びしている動物を見て河童が出たと騒ぐなら、見間違いと思い込みが原因になっていることになる。 4つめが一番奥が深く、種類も多い、いわゆる「人によって作られた者」。 歴史を紐解いていくと、上記3つのような単純な解釈では通用しない、大物妖怪も多々存在することに気付く。 第1に有名な「天狗」。 私たちが「天狗」という言葉でイメージするのは赤ら顔で鼻の高い天狗だが、天狗の元祖は実は「烏天狗」、つまり邪見(殺生丸の御供)型である。 烏天狗が登場したのは平安時代、仏教、特に天台宗と大きな関係がある。 平安時代の天狗は、仏教を貶めようとして人間界に出没する妖怪として出現する。 天皇や貴族の憑き物となって病気にしたり、狂わせたり、さんざん悪行を成す。 しかも、未熟な僧をたぶらかす。 そんな天狗に戦いを挑み、勝つことによって、自らの力を誇示したのが天台宗の僧なのだ。 安倍晴明といえば、何を連想されるだろうか。 陰陽道にのっとり、式神を駆使して物の怪を退治する。 では、源頼光と言えば? 武士として鬼退治である。 同じことを、僧たちが、天狗を相手にやってのけたのである。 ある意味、「天狗」の存在は天台宗の宣伝活動の一環であった。 ちなみに、現在一般的にイメージされる鼻高天狗が登場するのは、山伏(修験道の行者)の存在が一般化してから。 だが、後に宣伝活動などとのんきなことを言ってられない恐ろしい天狗が登場する。 実在の人「崇徳上皇」である。 元永2年(1119年)鳥羽天皇の第1王子として生まれたとされるが、不遇の人生を送って後、保元の乱にて後白河天皇に敗れ、讃岐に流されてその地で果てる。 崇徳上皇の怨念は、魔界に落ちて天狗となり、都に災いを成したのである。 ところでこの話、どこかで聞いたことがないだろうか? そう、「飛天満天」の考察で書いた「菅原道真」である。 道真が恨み死にしたのが903年、崇徳上皇は1164年。 死んで後、怨霊と化して都に祟るのは同じだが、道真は雷神(鬼)になったとされ、崇徳上皇は天狗になった。 それぞれの時代で何が一番恐ろしい存在かがよくわかる。 第2は「酒呑童子」。 大江山に住む鬼で、源頼光に退治される。 源頼光は山伏姿に化け、まんまと酒呑童子を騙してもてなしを受ける。 さっき「天狗」の項で書いた、比叡山天台宗がまたもや出てくる。 酒呑童子がする身の上話で、「比叡山を先祖代々の所領としていたが、最澄がやってきて延暦寺を立てたので、追い出され、大江山に来た。」と語られている。 酒呑童子を天狗と同じ、仏教の宣伝活動の一環とする考え方もできるが、私はむしろ土着の神、あるいは征服された先住民と捉えたいと思う。 そういった意味で、酒呑童子は、「人により作られた妖怪(鬼)」ではあるが、都側から見て一方的に悪者にされた被害者といった側面もあるのではないかと思う。 翠子と共に木乃伊となった妖怪の中に「土蜘蛛」もいたが、土蜘蛛も、元はと言えば、非征服民を指す。 当時の三大妖怪といえば、この酒呑童子と、九尾の狐が化けたとされる「玉藻前」、そして鈴鹿山の「大嶽丸」である。 「犬夜叉」に出てくる百鬼蝙蝠「大獄丸」は字は少し違うが、ここから名前を取ったのではないかと思っている。 他にも猫や狐が100年生きると化け猫や妖狐になるのはどう分類すればいいのか、などといった課題は残るが、まあこういったところだろうか。 私が一番好きなのが「付喪神(つくもがみ)」。 有名な「百鬼夜行」などに出てくる鍋や楽器に手足がついて歩き回っている、あれである。 「つくも」とは、「九十九」を指し、物や道具も99年もたてば霊が宿ると考えられていたことを表す。 前にも書いたが、逆髪の結羅、原作では鬼の「魂移し」だったが、アニメでは付喪神として存在する。 これは、物を粗末に扱うと付喪神になって化けて出るから物を大切にするように、という戒めだと思っていたが、どうもそうではないようだ。 「戒め」といえば、「山の神」や「神隠し」「河童」。 遅くまで帰ってこない子供や、危険な場所に行きがちな子供に対して妖怪を引き合いに出すことによって生まれた。 あくまでも私論である。 きちんとした分類は図書館や書店に行って、民俗学の分野、「妖怪学」に関する本を探すべきかも。 柳田国男氏、「ゲゲゲの鬼太郎」で有名な水木しげる氏などの専門家による書籍がたくさん出版されている。 「犬夜叉」と関係があるかどうかということは、高橋先生の承認がない限り言い切れるものではないが、調べてみるだけでもおもしろい。 (2002年12月20日の日記)
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飛天の滑車 |
先日、薐守さんから「飛天の滑車」についてメールをいただきました。 薐守さんのメールによると、 「以前飛天・満天のお話が出ていましたが、飛天の服装?についてひとつ心当たりが・・・。 飛天の滑車の事なのですが、私はあれ、中国古代史の伝説に出てくる『なたく』(『口』に『那』が「な」、『咤』で「たく」です)が元ネタだと思ってたんです。 で、その「那咤」が脚につけてる輪っかが、飛天のものと殆ど同じなのです。 これについてはジャンプのマンガの「封神演義」に「那咤」と共に出てた気がするので、そちらで調べると良いかもしれません。 ただ、ホントに関係があるかどうか分からないので、あくまで余談として受け止めて下さい。」 とんでもない、すごいヒントです、早速調べてみました。 まず、「那咤」は正確には「なた」と読みます。 (本当は「那」に「口編」が付くのですが、残念ながらパソコンでは出てきませんので、便宜上「那咤」とします。) 那咤は七福神の1人、毘沙門天の三男と言われています。 「西遊記」の最初の頃、那咤は孫悟空との勝負に負け、その後、三蔵法師を助けによく登場するのだそうです。 私は子供向けの「孫悟空」も、大人向けの「西遊記」も読んだことがありますが、どんな場面に登場したのか、残念ながら覚えていません。 この那咤が装備しているのが、飛天の滑車とよく似た、「風火輪」と呼ばれる乗り物です。 左足で風の輪を、右足で火の輪を踏んで操縦します。 ただし、風火輪によって飛べると書いてある文章を見つけることはできませんでした。 那咤の武器は斬妖剣他数種類ありますが、「雷撃刃」の名前はありません。 ところが中国の絵を見てみると、孫悟空との戦いで、雷撃刃とそっくりの武器を持っています。 飛天と違って、「らんま」のシャンプーみたいなおだんご頭をしている絵もあります。 服装も、飛天に似た感じの服もあれば、女の子みたいなものもあり、いまいちしぼりきれません。 ただ、那咤は少なくとも雷神ではないようです。 「火の精」「風の神」としているところもありましたが、同じ中国の神「華光」とごっちゃになっているところもあるようです。 風火輪自体が、華光の影響を受けているという説もあります。 私は飛天は那咤と雷神の混合体との印象を受けましたが、断定はできません。 これからの課題としてもう少し調べる必要がありそうです。 薐守さん、ありがとうございました。 (2002年12月25日の日記)
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2002年の終わりに 〜2000HIT報告ほか |
今日で2002年もおしまいですね。 あっという間の1年でした。 最初に2000HIT報告を。 12月22日に2000HIT達成しました。 どなたかはわからずじまいでしたが、本当にありがとうございました。 次のキリ番は3000です。よろしくお願いします。 続いてリンク報告。 TOPに出ている「漢塾」「飛べない鳥ーキウイー」「犬夜叉大百科」「時計坂通信社」は、私がHP立ち上げ以前からお邪魔しているサイト様です。 「漢塾」の徹元さんとは、巫法札合戦の掲示板で知り合いました。 カードゲーム関係のサイトですが、カード考察が充実しているのでとても参考になります。 「飛べない鳥ーキウイー」の薐守さんも巫法札合戦のメール友達です。 HP自体はゲーム「ベアルファレス」関係で、「犬夜叉」とは関係ありませんが、素敵な小説を書かれているので遊びに行っています。 オスタさんの「犬夜叉大百科」は、つい先日2周年100万HITを迎えたばかり。 楽しいコンテンツがたくさんあります。 絵下手な私が一番楽しみにしているのは、感想画、センスがすごいです。 七尾葉介さんの「時計坂通信社」はとにかく資料が充実しています。 会員同士の交流も盛んで、犬夜叉以外の情報もたくさんあります。 私も考察日記を書く時参考にさせていただいてます。 すでにTOPや「はじめに」で紹介しましたが、2000HIT企画として、皆さんの「アニメと原作」の違いについての御意見を募集、HP上で公開したいと考えています。 詳しいことは「はじめに」を参照してください。 特にアニメ派の方の御意見をお待ちしています。 「はじめに」と「写真の小部屋」を新設しました。 写真と言ってもチャチですので、期待しないで下さいね。 今までTOPで紹介した犬夜叉グッズなどの写真ですから。 増えるかどうかは未定です。 また、今までTOPで日替わり日記みたいにこちゃこちゃ書いてましたが、 「ひとりごと」として日記帳を置くことにしました。 項新記、リンク報告なども兼ねてます。 感想を書き込むこともできますので、伝言版にも利用してくださいね 立ち上げてから2ヶ月ちょっとですが、毎日楽しくて仕方がありません。 「更新しなきゃ。」と思うと、夜遊びの回数も減ったかな(笑)。 地味なHPですが、これからもよろしくお願いします。 (2002年12月31日の日記)
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日暮かごめの2ヶ月め |
昨年11月25日の日記で、かごめの戦国時代での最初の1ヶ月を書き出してみた。 今回はその続き、蜘蛛頭戦の翌日から始まる。 旧暦某月(おそらく10月か11月、理由は11月の日記参照) 1日(朔の日) 犬夜叉人間になる。蜘蛛頭に苦戦。 2日朝 犬夜叉半妖に戻る。蜘蛛頭撃退。なずなとの別れ。 夜 裏陶、桔梗の霊骨盗む。 3日朝 犬夜叉達楓の村に帰る。霊骨取り返しに出発する。 夜 野宿。 4日目 桔梗復活。裏陶撃退。楓を村に送る。 夜 野宿。 5日目 楓の村を出発。弥勒化けイタチ退治。 夜 温泉。かごめ、弥勒のかけらに気付かない。 6日目 弥勒、かごめのかけら取る。犬夜叉弥勒戦闘。 夕方 弥勒の話を聞く。弥勒合流。 夜 紅達、鬼を使う。 7日 犬夜叉弥勒、死骸を見て仲間割れ。 夕方 犬夜叉、紅達の鬼と戦い、鼻が利かなくなる。 夜 弥勒合流。紅達墨に食われて死ぬ。 8日 弥勒と仲直り。殺生丸、奈落に腕もらう。犬夜叉との戦闘。 9日 殺生丸、奈落を襲う。犬夜叉達、八衛門に乗り楓の村へ。かごめ井戸に落とされる。 昼 かごめ学校に行く。 10日 11日 12日 かごめ、北条君とデートの約束。 (あれから3日 byかごめ) 13日 14日 この間鬼蜘蛛の洞穴。狼野干登場。 15日 犬夜叉封印。 16日 朝 パワーアップした狼野干との戦闘。 昼 かごめ、北条君とデート。戦国時代に戻る。奈落との戦闘。 (もう1週間も byかごめ) 4日くらい余るが、何もなかった日として適当に配分。 この後、桔梗が夜登場したときの月の感じ(半月と満月の中間くらい)から、桔梗が晴海に会うのは18〜20日頃と推測される。 20日頃 桔梗、晴海に会う。 夜 桔梗、晴海を殺す。小夜に見られ、村を出る。犬夜叉死魂退治。 21日 犬夜叉達、晴海の弟子を助ける。桔梗との再会。かごめと桔梗。 夜 桔梗、楓に会う。 22日 朝 犬夜叉かごめ仲直り。 この後、朔の日(次の1日)の桃果人まで、1週間ほど何もない日が続くことになる。 2ヶ月目の特徴は、前半いろいろな事件が起きて犬夜叉達が忙しく、後半は桔梗の件以 外は暇なことだろうか。 こう見てくると、かごめは最初の1ヶ月は10日ほど、2ヶ月目は1週間ほど続けて学校に行っていることになる。 アニメでは桃果人が後回しのため、犬夜叉達は原作2か月分を1ヶ月でこなすハードスケジュールになる。(しかもタンポポ咲いてるし)。 3ヶ月目は正確には珊瑚の登場から始まるがいずれまた。 (2002年1月2日の日記)
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狸伝説 〜八衛門狸 |
今日はアニメ名八衛門狸について書いてみたい。 弥勒の相棒、狸の八衛門、映画のパンフレットでは「阿波の国(現在の徳島県)出身らしい。」 と書かれている。 さっそく徳島県の狸伝説について調べてみた。 すると出るわ出るわ、42もの伝説伝承が飛び出してきた。 おもしろかったものをいくつかあげてみよう。 1 爪を長くのばすと爪の間に狸が宿る。 2 枝を折ると血がでる枇杷の木があった。また、正月の飾り海老が壁をはい、三方が壁に吸い付いたりした。狸のわざだという。 3 徳兵衛という古狸が、夜更けて豆腐を売りに化け、豆腐を売りに行くに行く声を聞くことがある。 4 畑にあった柳の古木から、4の日と9の日の雨の夜に火がでた。火は青白く、燐火のようであった。狸の火であったと言われる。 5 狸が子供に化けて通りがかりの人におんぶしてくれと頼む。おぶってやると大変重く、そのまま平伏して小僧を投げた。 夜が明けてみると、丈ほどの石塔が2つに折れて倒れていた。それが今でも「お負しょ」の墓としてある。 「お負しょ」の墓については不明) まあこのような話がたくさんあるのだから、八衛門のふるさとに間違いないだろうと思っていたら、なんとお隣香川県にも同じくらいあった。 そればかりではない、高知県、愛媛県、いえ全国に同じような話がたくさん散らばっていたのである。 これには驚いた。 しかも有名な「かちかち山」、宮城県と山形県が「発祥の地」と宣言しているようだし、 「しょうじょう寺の狸ばやし」は、千葉県木更津市にある證誠寺がモデルなのだそうだ。 (私は猩々寺だとずっと思っていた。猩々=オランウータンのような想像上の動物。大酒飲みだという。) 昔、證誠寺の和尚さんが月夜の夜に庭を除くと、何匹もの狸が腹鼓を打ったり葦の葉の笛を吹いたりして踊っていた。 三味線自慢の和尚さんもつられて加わり、大合奏となった。 この大合奏は毎晩続いたが、4日目の夜はタヌキたちが現れなかった。 和尚さんが心配して次の朝庭を見て回ると、なんと音頭をとっていた大タヌキが破れた太鼓腹のまま横たわっていたというのである。 今でも證誠寺では、このかわいそうな大タヌキの供養のために毎年10月末か11月上旬にタヌキ祭りを開催しているとのこと。 徳島県はどこに行った? 私が調べ切れなかった有名な狸伝説でもあるのだろうか? もうひとつ、ずっと気になっているのが「タタリモッケ」。 「原画全集」には、「青森県に伝えられている怪異のことで、モッケとは方言で赤ん坊のことを指している。」と書かれている。 これについて詳しいことを知りたいのだが、わからずにいる。 ☆ ☆ ☆ 「竹取物語」で「飛天」発見。 かぐや姫を迎えに来る天からの使い(天人)が飛天なのだそうだ。 飛天は如来の姿で、京都大原来迎院の良忍上人の念仏により来迎、散華を行う。 散華とは、天華(天上界に咲く霊妙な花)を降らせ、仏に供養すること。 平等院の梵鐘にも飛天の姿を見ることができる。 なんだかずいぶんイメージが違う。当然だが。 (2002年1月8日の日記)
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鏡の中の夢幻城 1 |
11日に映画を再見することができなくなったため、不確かながら調べたことを、何回かに分けて書いてみたいと思う。 映画「鏡の中の夢幻城」には3つのキーワードがある。 「竹取物語」「羽衣伝説」そして「五芒星(ごぼうせい)」である。 「五芒星」は陰陽師「安倍晴明」で有名だが、(晴明桔梗印とも呼ばれる)が、西洋でも魔除けの印(ペンタグラム)と呼ばれて昔から存在していた。 その意味を理解するには、まず陰陽五行について知る必要がある。 陰陽五行とは、中国古来の思想である。 まず、「陰陽」とは「世界を陰と陽に分ける」という意味を持つ。 つまり、相反する2つの性質ではあるが、どちらかが欠けても世界は成り立たない、陰も陽もあってこそ世界は成立するという考え方である。 さらに「五行」とは、この世の森羅万象を「木火土金水(もっかどごんすい)」を「5つに分けた」ことを言う。 実際映画の中でも弥勒が説明しているのだが、私もはじめに観た時は、聞き取っていなかった。 干支(えと)なども、陰陽五行に関係しているらしい。 ここでやっと「五芒星」にたどりつく。 五芒星は 陰陽五行(木火土金水)に基づいて作られた除災清浄を表す。 つまりこの5つがお互いに支えあい、お互いを無限に生かす「相生」と、逆に相手に無限に勝つ「相克」の循環を表しているのである。 それにより、魔が入り込めないようになっているのである。 この五芒星、神久夜にも関わりがあるが、ある意味犬夜叉達5人を象徴しているかのようにも思える。 実は巫法札合戦、ブースター第1段のタイトルが「必殺!五星集結」で、わけわかんないタイトルだなあと思ったものの、5つの星つまり、犬夜叉、かごめ、七宝、弥勒、珊瑚が、まるで五芒星のようだと思った記憶があるので、今回映画に出てきて嬉しかった。 さてそこで「竹取物語」である。 「かぐや姫」といえば、知らない人はいないだろうから、あらすじは省略するが、映画の中で重要なのはかぐや姫が求婚者たちに求めた5つの秘宝。 神久夜や神無が詠む歌は、意味は映画とは直接関係ないが、謎かけのようで、非常に興味深かった。 まずパンフレット冒頭に掲載されている句。 「逢ふことも なみだに浮かぶ わが身には 死なぬ薬も 何にかはせむ」 実はこれ、かぐや姫が去った後、不死の薬を贈られた帝が詠んだ歌。 「姫に二度と逢えない辛さで流した涙が海となり、そこに浮かんでいる自分には、不死の薬などなんになろう。(何にもならない)」という意味。 そして不死の薬を駿河の国(今の静岡県)の山頂で燃やすことを命じる。 「不死ー富士」から富士山の語源とされているのは有名な話。 本編に入り、神久夜は封印を解くために神楽と神無に5つの秘宝を集め、富士五湖にそれぞれ沈めるように命ずる。 2人はまず「命鏡」が祀られている祠を訪れて、命鏡とそばに供えてあった「蓬莱(ほうらい)の玉の枝」を手にする。 ちなみにいつも神無が手にしているのは「死鏡」である。 次に2人が得た物は「竜の首の玉」。 龍の首に五色に光り輝く玉で、まず竜を探し、首から取って来なければならない。 「我が弓の力は、竜あらば、ふと射殺して、首の玉は取りてむ。」 竹取物語では「首」はパソコンでは出てこなかったが、「頚」に似た字、「玉」は「珠」と出ている。 ただし、ここではパンフレットに従うことにする。 上記の言葉は竜の首の玉を頼まれた「大伴の御行の大納言」が、家来を取りに行かせたが、なかなか戻ってこないため、「自分の弓の力ならば、竜がいたら、簡単に射殺して、首の玉を取ってしまおう。」と自ら舟を漕ぎ出したことを指す。 ただし、大嵐に巻き込まれ、これは竜神の祟りかと、やっとのことで逃げ帰り、かぐや姫をもあきらめたというオチがつく。 家来たちは怖くて、竜など探しに行かずに隠れていたが、主人も失敗したと聞いて安心して帰ってくるのである。 このところだけが歌ではない、大納言の言葉である。 大納言は姫に逢わずしてあきらめたから歌を贈っていないし、当然姫からの返歌もない。 この竜の首の玉は、山中湖に沈められる。 そして2人が最初に手にした蓬莱の玉の枝は、精進湖に沈められる。 蓬莱の玉の枝とは、東にある蓬莱という山に、白銀の根に黄金の茎、白き玉の実がなる木のこと。 「まことかと 聞きて見つれば 言の葉を 飾れる玉の枝にぞありける。」 蓬莱の玉の枝を頼まれたのは「車持の皇子」。 この皇子は、なかなか賢い人で、「蓬莱の木の枝を探しに行く。」と宣伝して出て行ったのはいいが、すぐにこっそり帰ってきてしまう。 そして腕のいい職人ににせものを作らせるのである。 危うく姫も騙されるところだったが、職人たちが褒美をもらいに押しかけてきたことから嘘がばれ、姫が「本物かと思ってみたら、同じ葉は葉でも(本物の葉ではなく)言葉を飾った玉の枝でした。」と皮肉った手紙を送るのである。 3つめがおなじみ「火鼠の皮衣」 「限りなき 思ひに焼けぬ 皮衣(かわごろも) 袂(たもと)かわきて今日こそは着め」 左大臣阿倍のみむらじは大変な金持ちだったので唐の国のまで手を回し、買い求めた。 はりきって姫のもとに持っていき、添えた歌がこれである。 「限りない思いに私の体は焼け焦がれていますが、それでも焼けない皮衣を手に入れたので、今日は涙で濡れた衣も乾いて今日こそは着ることができるでしょう。」の意味。 しかし、燃えないはずの火鼠の皮衣、燃やしてみたら、きれいに燃えて灰になってしまった。 火鼠の皮衣は犬夜叉関連の主役のせいか、ここでもう1句、映画では詠まれる。 原作では姫の返歌になっている。 「なごりなく 燃ゆと知りせば 皮衣 思ひの外に 置いて見ましを」 「あとかたもなく燃えてしまうとわかっていれば、皮衣を疑ってみたりしないで(思いのほかと、火のほか、焼かないの意味の掛詞)見暮らすようにしましたのに。」 これもきつい。かぐや姫は相当な皮肉家のようだ。 ところで「犬夜叉」原作では、犬夜叉の衣は「火鼠の毛で織った」衣に設定されている。 気持ち的にも皮衣より、赤い糸だけを使って織ってくれた方が見ていて気持ちがいい。 皮衣のイメージだと、なんだかごわごわした感じがする。 神楽が犬夜叉から切り取った衣のきれっぱしは、本栖湖に沈む。 続きは、また次回。 (2002年1月10日の日記)
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鏡の中の夢幻城 2 |
「仏の御石の鉢」、天竺(インド)にあると言われる。 桔梗が入手して後、自ら神楽に渡し、河口湖に沈められる。 このことについても後で書く。 石作の皇子に対し、贈った歌。 「おく露の 光をだにぞ 宿さまし 小倉山にて なにもとめけむ」 「草の露ほどの光があればまだいいのに。 なぜ小暗いという名前の小倉山で求めたのですか。」と、労を惜しんで、その辺の山寺から適当に拾ってきた皇子を責めている。 ☆ ☆ ☆ 「燕の子安貝」。 実は琥珀が持っていたが、神楽に奪われる。 「年をへて 波立ち寄らぬ 住の江の まつかひなしと 聞くはまことか」 5人の中で一番まじめだったのが「中納言石上のまろたり」。 自ら籠に乗り、引き上げさせて自分で取ろうとしたのはいいが、綱が切れて落下、腰骨を折ってしまう。 しかも取ったと思ったのは、燕の糞だった。 病床についた中納言を哀れと思った姫が送ったのが上記の歌。 他の4人に対してより、ずいぶん優しい。 「年月が流れても、あなたは立ち寄ってくださいませんが、波が一向に立ち寄らない住の江の松のように、私も「待つ(掛詞)」かいがないと聞くのは本当ですか。」という意味。 ちなみに「住の江の松」というのは、波が松の木の高さを超えることがあるという絶景で有名な場所。 波が来なくては価値がないの意味か? 歌をもらってよろこんだ中納言だったが、病状が悪化、そのまま死んでしまう。 子安貝は西湖に沈む。 ☆ ☆ ☆ 最初に書いたように、歌自体は、物語に何の関係もない。 しかし、原田美枝子さん、ゆかなさんにより読み上げられたこれらの句が一種独特な雰囲気をかもし出していて良かったと思う。 神楽が詠まなかったのは、やはり神秘的なイメージではないからだろう。 良い選択だったと思う。 5つの秘宝が富士五湖にそれぞれ沈められた時、封印は解かれ、巨大な五芒星が出現する。 この五芒星と竹取物語には、実際に因果関係があるのか、残念ながらわからなかった。 パンフレットで脚本を担当した隅沢克之氏が、「かぐや姫が望んだ五つのアイテムも、陰陽五行(中略)という考え方の象徴らしいとわかったりして、これは面白いなと。」と答えておられる。 ここのところ、もう少し明確に答えていただきたかった。 五芒星と5つの秘宝、ただし、冒頭に書いたように、五芒星は魔除けの意味を持つ。 邪妖「神久夜(この意味についても後で書く)」の象徴となっていいものかどうか。 ☆ ☆ ☆ そして3つめのキーワード、「羽衣伝説」。 竹取物語では、かぐや姫は、月に帰る時、「飛天」に「天の羽衣」をを着せられた瞬間、こちらで暮らした記憶も、哀しみ、慈しみといった全ての感情も失ってしまう。 一方羽衣伝説では、天女の水浴びをのぞき見ていた男が羽衣を奪い、天に帰れないようにする。 そして嘆き悲しむ天女をそ知らぬ顔で慰め、結局妻にする。 しかし天女はやがて隠していた羽衣を妻が見つけ、天に帰ってしまうというストーリー。 ☆ ☆ ☆ 映画では、まず奈落と同じ敵を喰らって、敵の持つ妖力を自分のものにしてしまう「妖怪」神久夜が存在する。 神久夜は昔、天女を喰い、不老不死となったが50年前弥勒の祖父「弥萢(みやつ)法師」により、命鏡に封印される。 5つの秘宝との関係により、もしかしたら喰われた天女は再来したかぐや姫?などと思ってしまった。 そして封印の場所の近くに祖父の墓があり、近くの村には異様な羽衣伝説が残っている。 水浴びしていた天女を覗き見したか、羽衣を奪ったかした男に怒った天女が村の人間を襲って喰ってしまったというのである。 そこで封印したのが弥勒の祖父。 きっと神久夜の水浴びを見るだけ見たうえで、殺すにしのびず、封印したのだろう。 おかげで50年後、孫の弥勒がこんな目に合っているのだから因果な一族である。 神久夜の復活をより完璧なものにするために必要だったのが6番目の秘宝、天の羽衣となる。 しかし天女の羽衣は意外な所にあった。 北条君のご先祖?北条秋時の家に家宝として代々伝わっていたのである。 このたびの異変により、羽衣を富士山頂で焼く使命を持った戦国版北条君もかごめたちと合流する。 一方神楽と神無によって秘宝が湖に沈められ始めてから、満月の夜が続くようになる。 犬夜叉は「俺はその方が都合いいぜ。」などとのんきなことを言っている。 朔の日は妖力を失う犬夜叉、やはり満月の日には最大限にパワーアップするのだろうか。 「犬夜叉」原作には、そんなことは一言も書いていないが。 ちなみに兄殺生丸は、三日月の夜に出歩くことが多い。 月の光に影響を受けないのか、三日月が自分に一番似合うと思っているのか。 話が戻るが映画の冒頭、奈落との最終決戦らしきものが始まる。 朔の日の犬夜叉は隠れて出て来ないし、弥勒は決死の覚悟で風穴を開いたりしないし、途中でセクハラなどするし、まことにもって生ぬるい最終決戦。 それでも一応鬼蜘蛛に化けた奈落を倒す。 前にも書いた、なぜ鬼蜘蛛なのか、奈落が一番消したがっていた過去の象徴である。 もうこの時点で、奈落の死を疑うべきだったろう。 途中の細かいストーリーは省略する。 奈落は死に、風穴も消え、珊瑚は琥珀を助ける。 琥珀は子安貝を奪われた時に、「封印が解かれてしまう。」などと言っている。 奈落の謀略を感じさせる。 ここに秘宝集めの神楽と神無が登場するのである。 おもしろいのが神久夜の命鏡と神無の死鏡、両方が揃って「合わせ鏡」となる。 神久夜と対になっている死鏡を奈落がどこからか持ち出して、神無に与えたと、考えるとオリジナルとして面白い話が作れそうだが、どうだろう。 また、桔梗は相変わらずわけのわからない行動。 たまたま手に入れた仏の御石の鉢をあっさりと神楽に与えるのである。 後で犬夜叉を破魔の矢で助けたりもするが、原作の桔梗が映画やアニメを見たら「私は一体何を考えているのだろう・・・?」と首をかしげるに違いない。 子供を谷底に落として鍛える獅子の如く犬夜叉に無理難題を吹っかけて、犬夜叉を鍛えているようにも見える。 私たちは犬夜叉が死なないことを知っている。 しかし桔梗は違うだろう、もし仮に桔梗の与えた四魂のかけらの力で、奈落が犬夜叉を殺したら、桔梗は一体どうするのだろう。 殺生丸と桔梗、犬夜叉の鬼教官的存在である。 蘇った神久夜は神楽と神無を封印、前半大活躍だった神楽、結局最後まで出てこない。 神久夜が死んでも出て来ない。 いずれ奈落に助けられるのだろうが、神楽復活の場面は入れて欲しかった。 神楽のおかげで映画のグレードが上がったのだから、それくらいはしてもいいだろうに。 犬夜叉達も神久夜の「明鏡止水の法」の前に大苦戦する。 「曇りのない鏡の如く静かに湛えた水の如き心 」の意味。 いったん神久夜を倒した時に奈落復活。 奈落は一度死んで見せることによって、神久夜をおびき出したのである。 神久夜を取り込もうとするが、まるでかごめを守るように出てくるのがおもしろい。 この映画で、奈落の隠れ場所に使われた琥珀が今回最大の被害者だろう。 観ていて本当に痛々しかった。 もちろん最後は犬夜叉達の力で神久夜を滅ぼし、奈落も撤退する。 それにしてもかごめの矢、今まで2度も奈落の四魂のかけらを射抜きながら、滅ぼす力はないらしい。 厳島神社がモデルとの夢幻城や、背景、アクションシーンなどは映画ならではの醍醐味だった。 もちろん和田薫氏の音楽も。 正直言って「時代を越える想い」のときは、そんなに映画について書きたいとは思わなかった。 今回こんなに長々と書いてしまったのは、やはり今回の映画がおもしろかったからだろう。 これでアニメの絵だったら、もっと良かったのだが。 5回くらい観たら慣れるだろうか。 (2003年1月11日の日記)
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3000HIT報告 〜「逆髪 の結羅」再追記ほか |
3000は自分で踏んでしまいました。 というわけで、次のキリ番は4000です。 よろしくお願いします。 「短いおはなし」を書くようになって、何人かの方から質問をいただきました。 ほとんど毎日日記や短編をUPできるのはどうしてか、ということなんですけども短編に関しては、前からちょこちょこ書き溜めておいたものです。 だいたい昔から書くことが好きで、本を読めば本の感想、映画を見れば映画の感想、日記に家計簿、手紙にメール、暇さえあれば何か書いています。 以前テニスをしていて手首を捻挫し、半月ほど書くことができなかった時は、ストレスで5キロも太ったくらいです。 「犬夜叉」に関しても「救われぬ魂」を読んだ時「闇」、小春が出てきたときに「娘」を書いてました。 あとアニメを見ながらメモっていたことが、考察日記を書く上で役立っていると思います。 考察日記は時間のある時にまとめ書きしています。 毎日書くのは無理です・・・。 でも感想や意見などをいただけるととても嬉しいです、ありがとうございました。 ☆ ☆ ☆ 「逆髪の結羅」再追記 ひいらぎさんより「逆髪( 杉本苑子著)」を勧めていただいて、読み終わりました。 蝉丸版の「逆髪」をモチーフにした短編です。 緑なす黒髪が女の存在価値として今とは比べ物にならないくらい重みをもっていた時代、いわゆる巻き毛だったばかりに地獄を見た女性の不幸、人を2人殺してはじめて救われるやるせなさ、後味に苦味が残ります。 さらにひいらぎさんによれば、この「逆髪」という女性、奈良豆比古神社に祀られていて、美容師さんの信仰対象になっているそうです。 あと能面のHPで「野干」の面も発見されたとか、どんな顔でしょうね。 私は見つけることができませんでした。 気長に探してみます。 もうひとつ、薐守さんより全く異なる逆髪情報をいただきました。 「日本古来の怪異の一つに「逆柱」(さかばしら)というのがあって、<『西鶴織留』巻4「家主殿の鼻ばしら」>の中に出てくる逆柱の話があり、その挿絵に逆さに描かれた襖、灯火などとともに「逆髪」の女の絵が描かれているという事です。」 こちらの逆髪に関しては、いけにえにされた女がさかさまに入れられて、髪が下にたれさがったという説、大工が間違って逆柱にしたために出てきた妖怪が逆髪という説があるようです。 また、日光東照宮の陽明門のように魔除けのために、あえて逆柱にする場合もあるとのこと。 逆髪、逆柱、まっすぐ立つべきものを、あえて逆さにすることによって生まれる「魔」の雰囲気・・・、おもしろいですね。 ひいらぎさん、薐守さん、ありがとうございました。 (2003年1月14日の日記)
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