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奈落は桔梗を殺せるか |
原作少年サンデー2000年6月7日(28号)第171話「桔梗の危機」 ☆ ☆ ☆ アニメオリジナルの洞窟に巣食う巫女封じの妖怪共々むしろ反則とも言える、対桔梗戦の最強妖怪。 どっから連れてきたんだ?こんなの、今頃(笑)、と突っ込みいれた人も多いはず、の巨大死魂虫が奈落によって放たれる。 桔梗恋し憎しと共に桔梗を慕う人の心、弱い心を捨て去りたい奈落、桔梗さえ殺すことができれば、奈落は人の心から解放されると奈落は信じる。 もしもだが、ここで桔梗が死魂を奪われて死んでいたらどうだったろう。 奈落は嬉しいかもしれないが、桔梗を慕う鬼蜘蛛の心が後に奈落を苦しめるだろう。 愛する女を手にかけた鬼蜘蛛の苦しみは、奈落誕生直後の比ではないだろうと私は思う。 所詮奈落に人の心はわからない。 だからこそ理解できない鬼蜘蛛の心、人の心に苦しめられるこの頃の奈落は、私にとって魅力的だった。 さらに桔梗の言うのが正しければ、奈落は桔梗を殺しきれない。 ならばもしもここで犬夜叉と出会っていなければ、死に至る桔梗を最後に救っていたのは奈落自身だったのかもしれない。 奈落は自分が桔梗に手をかけずとも、死魂を吸い尽くされて勝手に死ぬのはかまわないと思っていたのだろうが、果たして桔梗を救っていただろうか、それとも見捨てていただろうか。 犬夜叉と桔梗の恋は深いけれど、たしかに奈落の桔梗への想いも深い。 そして桔梗はそんな奈落の心を読む。 かつてかごめや犬夜叉にぶつけたような露骨な怒りや憎悪の念がもう見られないのがおもしろい。 桔梗はおそらく見かけ以上に早い時期から自分を取り戻していたことを窺わせる。 かごめファン同様桔梗ファンが多いのも、桔梗にこうした自分を抑えた大人の魅力が感じられるからだろう。 一方鋼牙問題で大喧嘩になったかごめは犬夜叉を懲らしめるために現代に帰るが、ふてくされる犬夜叉は弥勒と珊瑚にあしらわれ、井戸のそばに行く。 全て犬夜叉が悪いとは私は思わないが、弥勒や珊瑚はこの頃からすでにかごめのことしか頭にない。 この辺は仲間意識でしかたのないところか。 かごめを想う犬夜叉の前に現れたのは桔梗。 死魂を奪われ、弱りきった桔梗は自分の生まれた村、そして犬夜叉と出会った村へと逃れてくる。 桔梗の危機、そして何より桔梗を想う奈落への怒りと嫉妬の念を爆発させた犬夜叉が次回、死魂虫を倒すことになる。 この頃はかごめもけっこう私服姿を見せていたし、楓の家に勢揃いした犬夜叉一行の団欒(この時かごめはいないが)の図が楽しかった。 ゲームでは弥勒が初めて楓の家に来た時、たしか「弥勒です、お世話になります。」といった台詞があったように思う。 いつの間にやら楓に馴染んでいる弥勒たちだが、最初は桔梗を失って一人ぼっちになった楓が、この年になってかごめ、犬夜叉、七宝、弥勒、そして珊瑚という5人の「孫」に囲まれている図がなんだか嬉しい。 楓の心情は本筋とあまり関係ないので描かれることは少ないが、いつも淡々としている楓、見えない部分で喜んでいるんじゃないかなあなどと思ったりしている。 そのうち是非鋼牙や殺生丸も紹介してもらって団欒して欲しい(笑)。 それにしても同じ巫女でありながら、なぜ桔梗ばかりがあれほど孤独だったのか。 霊力が高いほど感情を揺さぶられることないように努力しているように感じていたが、こうしてかごめや楓を見ていると、桔梗の場合は巫女の立場とか霊力の高さ以前に人間としての不器用さだったんだなあと思う。 (2006年2月12日の日記)
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人間の心と妖怪の心 |
原作少年サンデー2000年6月14日(29号)第172話「鬼蜘蛛の心」 ☆ ☆ ☆ かごめを追って来た犬夜叉が死魂を抜かれた桔梗と出会う。 巨大死魂虫は犬夜叉によりあっさり退治され、小さな死魂虫が桔梗に死魂を集めて来る。 桔梗はこの虫を手なづけて飼っているのだろうか。 犬夜叉の腕の中で桔梗は2人を憎しみ合わせた奈落の意図を語る。 四魂の玉を汚すだけなら、邪悪な奈落が手にすればいい。 奈落は恋する2人を憎しみ合わせ、桔梗の手で犬夜叉を「殺させた」。 「そんなくだらないことで・・・」 犬夜叉は愕然とするが犬夜叉自身が鋼牙への嫉妬、そして桔梗に恋する奈落への嫉妬に翻弄されていることに気づいてはいない。 しかしこれが人間だからなのか、桔梗の言葉には疑問を感じる。 「犬夜叉」という作品において「人間」と「妖怪」の境目が嫉妬する心、嫉妬しない心に組み分けするならそれはおかしいと思う。 たまたま鋼牙や殺生丸やその他登場する妖怪はあまり嫉妬といった感情を見せることはないが、それとも先生の中でしっかりした組み分けができているのだろうか。 人間の心と妖怪の心というより、むしろ人間の心と動物の心ろ組み分けされているような気がする、興味深いことだと思う。 私たちの世界に昔いた伝承系の妖怪ならともかく「犬夜叉」に登場する妖怪のほとんどは感覚的にむしろ人間に近いのに。 犬夜叉はここで初めて奈落の行動に隠された本当の意味を知るのだが、「くだらない」と言い切るところに、どうしても私は犬夜叉の幼さを感じてしまう。 むしろ桔梗の方が理解しており、だからこそ怒りにかられることなく冷静に奈落に接することができるのだろう。 それを奈落は上から見おろされたと感じ、さらに憎しみを募らせることになる。 桔梗への想いと奈落への嫉妬で犬夜叉は桔梗を力一杯抱きしめるのだが、それを見ていたのは奈落、見てしまったのはかごめ。 奈落とかごめもまた嫉妬の心に苦しめられる。 かごめにしてみれば、犬夜叉の心が「桔梗にある」と頭では理解していても、実際に見てしまうのは辛いだろう。 しかも犬夜叉、今この瞬間かごめのことはひとかけらも心になく、その愛情はひたむきに桔梗に向けられている。 原作で最初にこの場面を読んだ読者は、当時どのように受け止められたのだろうか。 これで恋のステージからかごめは退場、桔梗が恋の主役に登りつめるだろうと感じたのだろうか。 それとも恋の邪魔者桔梗が台頭してきたと思ったのだろうか。 私は読んだ時点ですっかりネタバレ状態だったので、あれこれ悩むことがなく、悔しかったなあの時は(笑)。 一番驚いたのは、アニメ初回死んだはずの桔梗が蘇った時で、これはさすがに「犬夜叉」との初めての出会いだからネタバレしようがなかった。 私は最近「BLOOD+」にも夢中なのだけど、これこそ毎回新鮮な展開で本当におもしろい。 「犬夜叉」にも欲しいな、こんな新鮮さ。 話はそれるが、いろいろと制約の多かった「犬夜叉」に比べて、「BLOOD+」は好き放題に作っているような気がするが、これって私の誤解かな? 少なくとも「子供を意識したアニメ」には思えないのだけど。 こんな感覚で作ったアニメ「犬夜叉」も見てみたい。 (2006年2月13日の日記)
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見つめていたのは・・・ |
原作少年サンデー2000年6月21日(30号)第173話「嫉妬」 ☆ ☆ ☆ 抱きしめ合う犬夜叉と桔梗を見つめていたのは、かごめと奈落。 嫉妬の心を持て余すのは、かごめと奈落、そして犬夜叉。 こういった内面を描くエピソードになると、キャラの表情も特に丹念に描かれる。 儚さを感じさせる扉絵のかごめと、最終ページの侮蔑の笑みで奈落を見据える桔梗、今回2人の少女の美しさは絶品。 ショックを受けたかごめは、目をそらすことができない。 桔梗が気になる奈落も、神無に鏡を持たせて見入ってしまう。 かごめも奈落も辛いんだろうなあとつい奈落にまで同情してしまった。 桔梗と別れた犬夜叉は桔梗と生きる覚悟を決め、かごめをまっすぐに見据える。 なぜここで犬夜叉が桔梗と別れて仲間の元に戻らなければならないのか、ある意味不思議。 その結果、桔梗はまたしても瘴気の底に落とされることになるのだが。 本当ならば、ここで犬夜叉は仲間と別れて桔梗と旅を続けるはずなんだろう。 ここはやはり犬夜叉とかごめの物語であることが前提にあるのか、犬夜叉はかごめの元に戻ることになる。 かごめの辛さが胸に痛い。 一方桔梗はかつて鬼蜘蛛と過ごした洞穴に戻る。 鬼蜘蛛の妄執のしみこんだ土は桔梗を奈落の妖気から守り、余計に奈落を苦しめる。 愛される女の余裕に満ちた桔梗が、やはり自分を愛する奈落に宣戦布告する。 犬夜叉の腕の中の桔梗、奈落に挑む桔梗の凛々しさ美しさは、最近の感情を全く見せなくなった桔梗には見られないもの。 ここで奈落を殺すことも可能だったと思うが、殺すことなく桔梗は城を出る。 この頃から桔梗はすでに四魂の玉の完成を待つことに決めていたのだろう。 そして見つめあう犬夜叉とかごめ。 犬夜叉はこの後どうするつもりだったのか、今読み返してもわからない。 桔梗に心を残したままかごめたちと旅を続けるつもりだったのだろうか。 とりあえずはかごめに、そして仲間たちに別れを告げるつもりだったようにも見える。 かといって桔梗と合流するようにも見えず、ここはやはりまず犬夜叉とかごめの旅ありきで、それに合わせて登場キャラの心が動かされていったのだろう。 犬夜叉とかごめの心のつながりは次回からだが、今回の私の一押し感情移入キャラは、やっぱり奈落。 神楽に顔を見せたがらない部分、鬼蜘蛛の心を消そうと背中の皮を剥ぎ取る部分などやはり今のサイボーグ戦士奈落にはないもので、この頃の主要キャラの感情の生々しさには強烈に惹かれる。 何度も書いているように、桔梗と奈落がいなかったら「犬夜叉」は私にとってただのおもしろい漫画に過ぎなかったろうし、毎週サンデーを買うこともなかったろうと思う。 その意味で、「犬夜叉」連載が終わったらこの2人に「感謝状」及び「特別功労賞」をあげたい気分(笑)。 主演は人じゃないけど四魂の玉で、助演女優賞は楓かな? 他キャラもちろん好きだけど、あまりに王道で思い入れという意味での興味は特にない。 いつか奈落の側から描かれる「犬夜叉」も読んでみたいと思う。 どなたか書いてくださらないかな。 (2006年2月16日の日記)
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なぜかなかった土の結界 |
原作少年サンデー2000年6月28日(31号)第174話「土の結界」 ☆ ☆ ☆ アニメからファンになった方のために説明しておくと、アニメでは桔梗が犬夜叉と別れた後、鬼蜘蛛がいた洞穴に行って土を身につけたことは省かれている。 奈落に会いに行った桔梗は奈落の分身に襲われるが、土にしみこんだ鬼蜘蛛の想いがこめられた土が桔梗を守り、分身妖怪は崩壊する。 なぜこの部分がカットされたのか、ずっと疑問に思っていた。 結局アニメは途中で終わったからこういった課題も解決されないまま終わってしまったが、他にも雲母と翠子の関係や消化不良の部分は多い。 ただ土の結界があってもなくても奈落は桔梗を殺せないというアニメ設定はむしろわかりやすくておもしろい気もする。 桔梗を殺す気がない時の奈落は普通に桔梗を抱き上げたりしていたから、殺すことはできないけど、殺意がなければ触れることはできるということなのだろうか。 さて「土の結界」、表紙の犬夜叉の男っぽい顔立ちがとても好き。 いつもこんな顔なら桔梗とも年相応に見える気がするのは私だけ? コミックも40間を越えているが、こんな表情の犬夜叉って見たことがない気がする。 シリアス犬夜叉のベストカット。 そして相対する桔梗と奈落。 桔梗にとって「あさましい妄執」であった鬼蜘蛛の恋。 桔梗は破魔の矢で奈落を撃つ、撃つが殺そうと思えば殺せたのではないか。 殺せるのに殺さない桔梗。 ここですでに奈落に四魂の玉を完成させると同時に消滅させる意図があったことが伺える。 今となっては理解できるが、当時はなぜ桔梗が奈落に四魂のかけらを渡すなどして犬夜叉を苦しめるのかわからなかった。 今奈落は完全な妖怪になってはいないが、人間の心は一応捨て去っているのだが、桔梗を喰らうという目的は忘れているらしい。 もっとも奈落の「喰らう」という意味が、どちらかというと「取り込む」ことを指していることに気づいたのは最近だったりする(笑)。 妖狼族や雷獣兄弟とは、「喰らう」の意味が違うわけだ。 妖怪奈落が巫女の桔梗を取り込んだ時、桔梗の霊力は奈落にどんな影響をもたらすのだろうか」。 一方傷ついたかごめは荷物だけ置くとまた現代に帰ってしまう。 楓とともに桔梗の死魂を見ていた弥勒が犬夜叉と桔梗の逢瀬を指摘するが、犬夜叉はこれまでのように慌てふためくことなく、肯定する。 犬夜叉は桔梗を選んだ。 選ぶという意味が犬夜叉にとってどういうことなのかはこれから明らかにされていくのだが、現代でかごめも苦しむ。 命をかけたからかなわないというかごめの言い分にはちょっと首をかしげた。 抱き合う恋人たちを見てしまったこと、犬夜叉が桔梗を選んだことを感じ取ってしまったこと、それらの全てがかごめを苦しめる。 かごめが葛藤を乗り越え、犬夜叉の元に帰ってくるのは次回。 犬夜叉の新たな決意が生まれるのも次回。 同じ18巻でも以前読んだ時とは大分感想が変わってきているので、その辺をどうまとめていくのか、私の中でも葛藤になりそうだ。 当時は犬夜叉とかごめの恋に涙していたが(笑)、最近はむしろ桔梗と奈落の愛憎劇の方に気持ちが向いてしまっているのかも。 (2006年2月17日の日記)
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かごめの想い |
原作少年サンデー2000年7月5日(32号)第175話「出会った場所」 ☆ ☆ ☆ かごめの恋、犬夜叉の恋、そして桔梗を加えた三角関係に関してはこれまで何度も書いてきたし、メール、掲示板、そして他サイトさんでもとにかく議論した。 お互い熱くなり過ぎて、まずいなと思ったこともあったし誤解されたことも多々あるが、今あれほど熱く語れる相手もいないし自分の中にもないのが寂しい。 初めてこの場面を読んだ時、苦しむかごめ、健気なかごめ、凛々しいかごめに本当に感動した。 同時に私の中でかごめはひたすら清らかで汚れのない、むしろ人を超えた善性の持ち主だと認識されたように思う。 だからこそ後のかごめに対する失望感もまた強いものもあった。 桔梗に嫉妬するのはいい、犬夜叉に八つ当たりするのも当然。 ただその後で、そんな自分を振り返る女の子だと思っていた。 今の一方的に犬夜叉を責めるかごめの様子を見ていると、この時の感動は何だったのだろうと思ってしまう。 もう少し「あたしが桔梗のことを承知で犬夜叉といると決めたんだ。」と思い出してくれたらいいのになあ。 私はいつもこう書くのだが、ほとんどの友だちがそれをかごめに望むのは酷だとか、だって普通の15歳の女の子なんだよって言って下さる。 そう思えればいいのだけれど、それまでに培ってきたかごめのイメージと今の姿が違い過ぎてとても寂しい。 元々そういう人間臭さも十分に持ち合わせていると思えるキャラだったら私もこれほど違和感を感じないのだろうが。 たとえば珊瑚が弥勒に同じ台詞を言って、その後嫉妬三昧したところでどうこうは思わないだろう。 珊瑚は凛々しさ可愛さの中にそういう曖昧さのある女の子だという意識が私の中にあるから。 桔梗が犬夜叉に同じ台詞を言ったら、桔梗はむしろ嫉妬の心を自分の中に押さえ込むだろう。 珊瑚や桔梗が弥勒や犬夜叉にひたすらおすわり発動したとしても、犬夜叉や弥勒は可愛そうだけど自業自得だよなあとか思ってしまいそう。 かごめが好きなだけに厳しすぎるのかもしれないが、かごめの嫉妬があからさまに表現されるようになってから、恋に関するおもしろさが半減してしまったのは事実。 むしろ高橋先生の作り上げたキャラの行動に違和感を感じるこちらの方が間違っているのだろう。 それはさておきアニメでも人気の高かった「出会った場所」、表紙のかごめの儚げな美しさがまず堪能できる。 現代で悩むかごめ、戦国時代では弥勒が犬夜叉にけじめをつけるように促す。 不思議なのは楓の言葉で、桔梗はこの世のものではないと言う。 桔梗が生きていようが死んでいようが、生身であろうが死人(しびと)であろうが心は関係ない。 妖怪だからと「心」を差別するのと同じように、ここでも「死人」だからと桔梗や、いずれの琥珀を差別する表現が見られる。 問題は桔梗とともに地獄に行くことを決意した犬夜叉の言葉。 もしかしたら犬夜叉は、ここで決めたのかもしれない。 結局かごめの言葉に救われて行動を共にする形に戻るが、桔梗が死ぬ時は桔梗とともに死ぬと。 そうなってくるとかごめと旅を続けることも二股でもなんでもなく、最後に桔梗が犬夜叉が後を追うことを望まないという結末になりそうだ。 それにしても今にして気づくかごめの想い、「犬夜叉が好き」。 誰が見てもどこから見ても、知らないのは犬夜叉と本人だけというかごめの恋。 今では遠い記憶になってしまったが、私にもこんな純粋な時代があったのだろうか。 残念ながら、私は中学時代は部活に燃え、高校時代は女子高で大学時代はバイトに燃えという思春期を過ごしてしまったが、今犬夜叉やかごめ世代の読者ならば、もっと純粋に犬夜叉やかごめに共感できるかもしれない。 そんな気持ちを大切にして頂きたいと思う。 当時の読者はこの時どう思われたのだろうか。 かごめに代わって犬夜叉と桔梗二人だけの旅がこれから始まると捉えた方はどれだけいらつしゃるのだろうか。 あまりいなかった気がする。 少々辛口になってしまったが、この時のかごめにはとにかく感動する。 何度読んでも胸が切なくなって、報われて欲しい、かごめの恋って思ってしまう。 桔梗が苦しむ時は、同様のことを桔梗にも思ってしまうのだけれど。 (2006年2月18日の日記)
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犬夜叉が好き |
原作少年サンデー2000年7月12日(33号)第176話「かごめの心」 ☆ ☆ ☆ 今回もいつもとは別人のような表情の犬夜叉とかごめが再び出会う。 「犬夜叉が好き」と気づいたかごめだが、戻ってきて犬夜叉に好きとは言わない。 ただ一緒にいたいと告げるだけ。 告白することが犬夜叉の負担になるのを恐れたのか、それとも高橋先生の完全なる二股になってしまうための回避策なのか未だにわからないが、桔梗を想う犬夜叉の心を受け入れた上でかごめは犬夜叉に一緒にいたいと告げる。 アニメの感想でも書いたが、この時いつもは自分のことを「あたし」と言うかごめに「私」と言わせることにより、大人への道を一歩踏み出したかごめの成長が感じられた。 そしてもちろん桔梗もまた、犬夜叉が好きなかごめが犬夜叉と一緒にいることを許す。 犬夜叉は、この同じ魂を持つ2人の少女に支えられることによって恋も戦いも続けることだできるんだということを感じさせる一瞬。 犬夜叉は本当にかごめと桔梗と、2人のことが大好きでどちらかといる時はもう1人のことを完全に失念しているのだけれど、それでも許してしまうのがかごめと桔梗の優しさであり、犬夜叉を憎めない由縁なのだろう。 ただ作品としてはこの後の桔梗キャラがあまりにも感情を表面に出さなくなる所が都合良過ぎる気がし、そこにどんな意味があるかはあかされていない。 けれどこうしてストレートに自分の気持ちを犬夜叉にぶつけるかごめ、なんて素直ないい娘(こ)だろう。 こんな可愛い少女にここまで言われて、しかも犬夜叉もかごめを好きなのであれば、どうして断ることができようか(笑)。 そして桔梗と共に生きることの意味はどこかに消え、犬夜叉とかごめは何事もなかったように旅を続け、桔梗は1人旅を続けることになる。 (そして再び瘴気の底に落とされる=殺される)。 これは結局、全ての決着がついた時、かごめは今握りしめている犬夜叉の手を放し、桔梗に渡す覚悟を決めたということなのだろう。 それまでは犬夜叉と一緒にいる、一緒にいたい、ただそれだけ。 そして犬夜叉はもちろん、桔梗もそんなかごめを受け入れることになる。 ここでかごめの「片思い」キャラは確定した、はずなのだがこの後の三角関係は不可思議な展開を見せる。 こういった恋心の機微を描くことにかけては天才的と言われた高橋先生であるが、私はむしろ「めぞん一刻」「らんま1/2」から続くキャラの「好きなのに素直になれない恋模様」に関してはあまり心地よさを感じない。 どうしても鋼牙や桔梗、良牙のようなさや当てキャラの方に思い入れが強いせいなのかもしれないと最近気がついた。 それにしても犬夜叉もかごめも「好き」とか「愛してる」といった言葉を一言も使わず、なんて見事な愛の告白。 「かごめといると楽しい。心が安らぐ。」 「(一緒に)いてくれるのか?」 これって告白以外の何物でもないじゃない? こんなかごめに対してもひたむきで、桔梗に関してもひたむきな男の子、やっぱり好きにならずにはいられないんだろう。 そういえばずっと前に夢を見たことがある。 かごめ、桔梗はもちろん珊瑚までが犬夜叉大好きで、弥勒はなぜかかごめに片思いという設定の「犬夜叉」世界だった。 当然のことながら、犬夜叉一行も今のように団結はしておらず、しかも桔梗まで犬夜叉たちと一緒に旅をしていたから、もうどろどろねちねちにもほどがある泥沼ドラマ。 私の主張するパラレルワールドには、もしかしたらこんな世界もあるかもしれない。 (2006年2月20日の日記)
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仕切り直して |
原作少年サンデー2000年7月19日(34号)第177話「城の跡」 ☆ ☆ ☆ かごめは犬夜叉の元に戻り、一行は再び旅を続ける。 まずは狸が持って来た情報、一夜にして消えた人見家の城の跡を探りに来る。 表紙絵の狸の背中で飛ばされそうになって?鉄砕牙にしがみついている七宝がすごく可愛い。 とぼけた犬夜叉の顔も可愛く、楽しく読んだが、城跡に着くとムードは一変する。 匂いではなく瘴気や気配、邪気でもなく退治屋の人々の形見を見つけたのは珊瑚の目。 奈落に操られ、父や仲間を殺して消えた琥珀の記憶が珊瑚に重くのしかかる。 供養を提案し、珊瑚を慰める弥勒。 こういったさりげない部分で2人の心が少しずつ、でも確かに近づいていることを感じさせる。 一方琥珀。 奈落の策略ではあるけれど、記憶を失ったまま城から逃げ出し、行き倒れたところを人のいい老夫婦に救われる。 本当に束の間、まるで孫のように楽しいひと時を過ごす琥珀。 たとえ死人(しびと)でもいいから、このままこの静かな生活が続いて欲しいと願ってしまうような場面が続く。 しかしついに最猛勝に先導された?奈落6番目か7番目の分身が登場、琥珀に襲いかかる。 神無、神楽、悟心鬼、獣郎丸に影郎丸、桔梗に瞬殺されたこやつとそっくりな分身にお完成型がこの妖怪だとすれば6番目、別妖怪だとすれば7番目。 そうなると夢幻の白夜は8番目の分身か、意外に多い。 神無と神楽の印象が強くて、他はいまいちピンとこない。 ここでの救いが琥珀がこの老夫婦を殺さずにすんだことだけとは、琥珀のためにあまりに辛い。 けれど珊瑚が間に合った。 もちろん犬夜叉、かごめ、弥勒に七宝も。 次回になるが、犬夜叉たちに助けられた琥珀は記憶は戻らないながらも再び珊瑚と共に過ごすことができる。 前回から一転、琥珀の登場で一気に緊迫したストーリーに次週のサンデーが待ち遠しくてたまらなかった人、数知れず、だったろう(笑)。 ☆ ☆ ☆ 最近の考察日記に関してメールを頂きました。 仕方のないこととはいえ、「出会った場所」などは新鮮な感想を読みたかったというもので、たしかにもう何十回も読み返し、もちろんアニメも何十回も見た後では感想も冷めてくる。 しかも現在の恋模様を知ってしまうと、この時の感動は何だったんだろうかという気持ちになってしまい、書きづらいものがある。 ただ今初めて来てくださった方は、当時の感想を期待されてるんだろうなあと思うと内心忸怩たる思いがする。 むしろ「原作アニメ比較」の方が原作に対する素直な感想を綴っていたかもしれない。 「はじめに」などにその旨書いておけばいいのかもしれないが、いまいちいい文章が思い浮かばず、苦労している。 なにかいい方法ありませんか? (2006年2月21日の日記)
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束の間の |
原作少年サンデー2000年7月26日(35号)第178話「琥珀の記憶」 ☆ ☆ ☆ 珊瑚や犬夜叉たちに救われた琥珀だが、今の琥珀は珊瑚の弟としての記憶を持つ琥珀でも、魂を抜かれた操り人形としての琥珀でもなく、記憶を失った優しい少年。 奈落が記憶の記憶を消して追い出した意図がどこにあるかは今回はまだ明かされない。 しかも琥珀に仕込まれた四魂のかけらはそのままだから、城が消滅した時に必死で逃げ出したというよりは奈落によって放たれたのは容易に想像できる。 桔梗によって一度消滅させられた分身の進化系みたいな超手抜き妖怪が出てくるのもおかしい。 しかし奈落の謀略により、珊瑚と琥珀は束の間の安らぎのひと時を得ることができた。 珊瑚を姉として認識することのできない琥珀は恥ずかしがるが、珊瑚は琥珀に寄り添う。 珊瑚のとても嬉しそうな表情が印象的。 琥珀を信じ切れない犬夜叉は二、三発殴ればなんて物騒なことを言うが、さすがに弥勒は奈落の罠を感じ取る。 気遣うかごめと七宝と、メンバーの性格や役割がきちんと描かれていて好ましい。 だが、やはり安らぎはひと時でしかなかった。 妖怪の群れを引き連れてやってきたのは神楽。 後に憎めないキャラに変貌していく神楽だが、この時期は奈落の手先としてけっこうむごいことも平気でするキャラ。 読者にも好感度キャラとして定着した神楽、犬夜叉たちにまで最後には好かれてしまうには少々無理があるような。 ここで琥珀が自分が出て行くと言い切る強さには驚いた。 珊瑚の弟だった頃の琥珀は気弱で大人しくて頼りなげな少年だった。 それが今はこんなに心が強い。 現在では自らかけらを渡してでも奈落を倒す覚悟に満ちている琥珀。 ある意味琥珀は奈落によって鍛えられたと言えるかもしれない。 神楽が心に呟く「奈落のかいた芝居」がどんなものなのかも今回は語られない。 今回で18巻も終わりだが、犬夜叉鋼牙対影郎丸と獣郎丸の息詰まる戦いに始まり、鬼蜘蛛の心に苦しめられる半妖奈落、死の一歩手前で犬夜叉に救われ、抱きしめ合う犬夜叉と桔梗、見てしまったかごめ、桔梗と共に生きる覚悟を決めた犬夜叉、しかしかごめの言葉に犬夜叉の心は揺れる・・・。 桔梗を殺せず桔梗を恐れた?奈落は城と共に消え、記憶をなくした琥珀が解き放たれる。 琥珀を助けた珊瑚の束の間の安らぎ、そして神楽登場。 微妙で複雑な感情の表現と展開の速さで本当におもしろかった。 絵もストーリーも一番好きなのは未だに18巻かもしれない。 次回は琥珀と珊瑚の兄弟愛をメインに、再び産後の悲劇が始まってしまう。 犬夜叉の悲劇、桔梗の悲劇、弥勒の悲劇、七宝の悲劇も切ないが、琥珀の出番があるたびに新たな悲しみを意識させられる珊瑚が一番辛いのかもしれない。 いえ本当ならば毎日が死へのカウントダウンの弥勒も辛いものがあるはずなのだが、この期に及んで弥勒は覚えているのだろうかと思う人も多いはず(笑)。 弥勒はまず大丈夫だろうが、琥珀の場合はいつ死んでもおかしくない状況にあるので、余計辛い。 琥珀も死ぬことはないだろうと思っていたが、神楽のこともあるし。 (2006年2月23日の日記)
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琥珀が再び・・・ |
原作少年サンデー2000年8月2日(36号)第179話「疑い」 ☆ ☆ ☆ 19巻表紙、かっこいい笑顔の犬夜叉と心配そうなかごめ、戦闘態勢の弥勒と珊瑚が揃い踏み。 あれっ、七宝は? 琥珀を信じ切れない犬夜叉だが、犬夜叉が信じないのは琥珀自身ではなく、琥珀自体が奈落の罠ではないかということ。 信じたい珊瑚との対比が興味深い。 それでもかごめを守りながらでは神楽と思うように戦えない犬夜叉は、琥珀にかごめを託す。 そして相変わらず鉄砕牙は重く、使いこなせていないことを神楽にも見抜かれる。 弥勒や珊瑚も無数の妖怪相手に奮戦するが、かごめと琥珀が隠れているお堂は壊されてしまう。 かごめを連れて逃げる琥珀。 そしてここで弥勒が気づく。 神楽の狙いは琥珀のはずだったのに、神楽は逃げた琥珀を追わない。 むしろ犬夜叉たちの足止めをするかのように見える。 ならば神楽の、いえ奈落の真の目的はかごめ、そして四魂のかけら。 さらに琥珀ならばかごめを殺せる、そしてかごめは琥珀を殺せない。 周到に考えられた奈落の謀略にまんまとかかった犬夜叉たち。 琥珀を使うことでよけい珊瑚は傷つくし、犬夜叉たちは怒りをかき立てられる。 今に至っても琥珀は生きているし、奈落の謀略がことごとく失敗していることを考えても、奈落にとっても道のりは長かった。 実際にはかごめが戦国時代に来てからどれだけの月日が流れているのかわからないが、どうやら気候も変わらないようだし、この世界は時間の流れが遅いとか勝手に法則作ってみたくなるけれど(笑)、以前は定期的に来ていた朔の日もうやむやになってしまったし。 次回は再び琥珀が奈落の操り人形に戻ってしまう。 ☆ ☆ ☆ 最近お気に入りのサイトさんを新しく見つけ、入り浸ってます。 書き込みやメールもしたことがないのでお名前を出すことは控えますが「三国志」「ブラックジャック」「BLOOD+」「からくりサーカス」の各ファンサイトさんです。 「三国志」関係のサイトさんは正史と演義の比較、さらにゲームとのキャラ比較、「ブラックジャック」サイトさんでは原作を踏まえた上での感想がとてもおもしろいです。 「からくりサーカス」は最近読み始めて話のよくわからない私には最高の資料でもあるし、なによりも「BLOOD+」、余裕があれば私も感想書きたいくらいハマっているのでもう感激。 どこもとてもシリアスで深い考察&感想ですが、特に「ブラックジャック」の管理人さんのはじけっぷりがたまりません(笑)。 その「ブラックジャック」、最近は見たり見なかったりですが、来週はなんと「真・三国無双」シリーズ趙雲役の小野坂昌也さんが登場します、必見です。 ところで今感想書きながら「テニスの王子様」って小野坂さん出てらっしゃるんだよなあと思って見てました。 そしたら一声?でわかりましたよ、桃城武って役なんですね。 趙雲以外の小野坂さんの声を聞くのは初めてなのでとても新鮮でした、けっこう熱い役どころ? ただEDのクレジットが速くてほとんど読み取れなかったことが不満です・・・。 声優さんネタもうひとつ。 「ネコの気持ち」っていうCMのナレーションが鋼牙&凌統の松野太紀さんでした。 これは全然気づかず、教えてもらって「えっ、えーっ!?」 でも注意して聞いてみたら確かに松野さんでした。 ネコも可愛いけど松野さんの声もとても可愛いです。 今度CM見つけたら是非気をつけて聞いてみてください♪ 声優さんネタさらにもひとつ。 「BLOOD+」で人気爆発のハジですが、無表情で寡黙でもちろん美青年。 小夜(刀を振り回すセーラー服の女子高校生)の僕(しもべ)とくればどうみても景麒! ただしこちらの僕(しもべ)は異形の手を持ち戦います、血も全然平気です、戦う麒麟? ってこのハジの声優さんは小西克幸さん。 そう、「呪詛の仮面」のウツギ男性バージョンを演じた声優さんです。 あの時もほんと喋らないキャラでしたが、今回も寡黙。 でもハジ人気爆発!のせいか?最近よく喋るようになりました。 「犬夜叉」に登場した声優さんはどうしても応援したくなるので、小西さんの大ブレイクは本当に嬉しいです。 もちろんその前から人気のある声優さんでしたが。 「十二国記」ファンにはお勧めかもです、「BLOOD+」。 公式サイトは→こちら。 最後にもひとつ。 妹からメールで「ハイジのCMが気になる〜ぅ。」 チューリッヒのCMでおじいさんの声が違うような気がするとのこと。 残念ながらおじいさん役だった宮内幸平さんは亡くなっているので他の声優さんが担当されているんだけど、どなただろ。 アニメのシーンを使ってハイジのテンションがやたらと高い爆笑CMですが、どなたかご存知ありませんか? (2006年2月24日の日記)
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傷つけられたかごめ |
原作少年サンデー2000年8月9日(37,38号)第180話「消された心」 ☆ ☆ ☆ まずは表紙「消された心」のかごめの横顔が好き。 今回も琥珀といる時の不安げな表情などがとてもいい。 琥珀がやはり奈落の手先であったことを知った犬夜叉は、その琥珀にかごめを託してしまったことに気づく。 しかし神楽と無数の妖怪たちに足止めされ、かごめを助けに行けない。 珊瑚も琥珀がかごめを傷つけることを恐れる。 この場を救ったのは弥勒。 最猛勝の毒を覚悟で風穴を開く。 危なくなった神楽も逃げ出し、犬夜叉と珊瑚たちはやっとかごめの元に向かうことができた。 一方隠れているかごめと琥珀。 記憶はなくても珊瑚をすごくなつかしいと口にする琥珀。 描かれてはいないがこの後きっとかごめはこの言葉を珊瑚に伝えたことだろう。 珊瑚と琥珀の絆はまだ切れていない。 次回琥珀がかごめを傷つけたことで逆上する珊瑚は、琥珀を殺して自分も死ぬとまで思いつめるのだが、やがて琥珀にはまだ人の心が残っていることを知ることになる。 そして先に1人かごめを追った犬夜叉は、奈落の結界の中に入り込んでしまった。 だがここで優しい?奈落は琥珀が自分の意思で犬夜叉たちを欺いていたのではないと教えてくれる。 これがなければ犬夜叉は琥珀を許せなかったろうから、奈落に感謝、である。 奈落の説明(琥珀自身が裏切りを知らない)により、犬夜叉は誤解せずにすんだ。 もうひとつ奈落がおもしろい説明をする。 操っているのは奈落だが、記憶を失っているのは忌まわしい記憶を消してしまいたいとする琥珀自身のせい。 その弱い心、まっ白な心だからこそ操るのは容易い。 たしかに奈落も珊瑚は操ることができず、騙すことで犬夜叉を殺させようとしていた。 ただ奈落にしてみれば、かごめと桔梗以外の者は、神無の鏡で魂を吸い取ることによって操ることができそうだ。 以前の幻影殺は、あの木があったからこそできたことなのだろうか。 ここで都合良く神無は出て来ないが、もしここで神無が鏡で犬夜叉の魂を吸い取ろうとしていたらどうだったろうか、考えてみるとおもしろい。 もうひとつ興味深いのが、かごめが傷つけられたこと。 いえいいことではないのだが、奈落が殺せぬ桔梗に巨大死魂虫を放ったように、殺せぬかごめには琥珀を放った。 嘘みたいに傷つくことのないかごめ、まるで霊力に守られているかのよう二、だが人であれば容易に傷つけることができるという解釈なのだろうか。 殺生丸の巻き添えで吹っ飛んでこぶを作った時と、鬼の岩の腹の中で酸にやられた時、それくらいではないだろうか。 もちろん細かい擦り傷などはあるようだけど。 戦闘要員でないことはあるだろうが、何度も死ぬような目に合わされる珊瑚があまりにも痛々しい。 それでもそんな珊瑚の傷や心の痛みに同化できるのも、またかごめなのだけれど。 (2006年2月25日の日記)
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