犬夜叉サンデー感想(第241話〜第250話)
アニメの銀骨可愛かった
原作少年サンデー2001年11月14日(50号)第241話「銀骨」

    ☆     ☆     ☆

原作の銀骨は憎たらしいだけなんだけど、アニメの銀骨はお散歩シーンや煉骨をかばう健気な場面もあったりして、可愛かったなあというイメージしかない。
犬夜叉なんて原作以上に苦労させられているんだけど。
なんか表紙、ぐったりしたかごめを抱える犬夜叉、かっこいいのになぜか笑えるのは、B級アクション映画の宣伝ポスターによくある構図だからか。

動けないかごめたちをとにかく安全な所に避難させようとする犬夜叉と七宝、雲母だが、そこに煉骨が放った銀骨が立ちふさがる。
マジックハンドのような銀骨の鉤爪?に捕まえられた雲母も痛々しければ、落とされたかごめたちも骨折しないのが不思議なくらい。
がんばるのは七宝だが、煉骨の計略どおりに寺の中に誘い込まれてしまう。

煉骨の作戦は、かごめたちを殺し、四魂のかけらを完全に手にする以外に、奈落の意図を知りたいという気持ちがある。
その前に入った蛇骨との会話がその重要な伏線となっており、七人隊の軍師煉骨の面目躍如と言ったところか。
ただ、どうしても奈落と比べると七人隊は人が良い。
四魂の玉の意味するところを知らないのだから無理もないと言えるが、たとえ犬夜叉一行と鋼牙を殺したとしても、あの奈落がおとなしくかけらを渡すわけもなし。

このまま七人隊が生きていたら、阿毘姫の二の舞道をまっしぐらだっただろう。
それを前提として読むと、七人隊編も最初から哀れを感じるエピソードとなる。
その七人隊だが、これで蛮骨と睡骨以外の5人が出揃った。
蛮骨や睡骨も結局霧骨や凶骨と再会することがなかったわけだ。

この時点で首領となる正統派悪党の存在はなんとなく予想できたが、睡骨には驚かされた記憶がある。
おとなしめな凶骨タイプか、氷のように研ぎ澄まされた冷酷一筋タイプのインテリ悪党を想像してた気がする。
どちらかと言うと殺生丸のような雰囲気の。

今回は寺に担ぎ込まれたかごめが煉骨の四魂のかけらに気づくところまで。
かごめの危機は何度もあったが、ここまでの危機はおそらく最初で最後だろう。
逆に言うと、いくら優れた霊力や法力や基礎体力があっても、やはり犬夜叉なしでは妖怪退治の旅はできないなあと妙に実感させられたエピソードだった。
まあ奈落がいなければ、弥勒も珊瑚も雑魚妖怪クラス相手にそれなりに生きていけただろうが。

今回のベストカットは錫杖持ってる七宝と、いつもはきっちり首のとこまで止めている珊瑚がちょっとだけはずしているところ。
普通にポロシャツ着たくらいしか開いてないのだけど、いつもきっちりしてるだけに妙に色っぽくてドキドキしてしまった。
(2006年6月13日の日記)  
煉骨の策略
原作少年サンデー2001年11月21日(51号)第242話「煉骨の寺」

    ☆     ☆     ☆

今回の表紙もピンチのかごめを背景にがんばる犬夜叉の図。
なんとなく思ったのだけど、「犬夜叉」の表紙ってその時々のキャラが1人、あるいは2,3人ぽんと出てるだけのことが多いから、たまにストーリー性のある表紙だと、妙に居心地が悪いみたい。
もちろんそれが悪いと言うのじゃなく、ただおもしろいと思った。

意識を失った仲間の中で、辛うじて正気を保つかごめは寺の僧侶の喉に、穢れた四魂のかけらを見てしまう。
読者もあらかじめ煉骨と蛇骨の会話の場面を読んでいるから煉骨が七人隊であることを知っているが、それがなければ騙されてもおかしくないほど見事に化けた。
あせるかごめだが、煉骨の置いた香炉のせいか、遂に眠ってしまう。
「安心しな。すぐに殺しゃしねえ。」の煉骨の台詞が意味深。

奈落との単純な取引に飽きたらず、その陰にある奈落の真意を探ろうとする策士煉骨の行動はおもしろい。
しかし、これが蛮骨の指図ではなく、自分の意思でやってるところがさらにおもしろい。

仲間を蘇らせたのは蛮骨という蛇骨の言葉などから、まだ出てこない蛮骨が首領であることはすぐわかるが、キャラがわからない時点では、煉骨の立場はむしろ蛮骨の上を行くようなしたたかさを感じさせる。

仲間が大活躍している間、手紙書きに勤しんでいた蛮骨だったが、蛮骨登場前後の煉骨の雰囲気を読み比べると、これもおもしろい。
蛇骨や銀骨を駒として動かし、犬夜叉も騙してのける大物ぶりと、蛮骨登場後のあまり相手にされず、こそこそとかけらを隠す小物ぶりと。
複雑な持ち主の煉骨も蛮骨や蛇骨とは異質の人気者だったように記憶しているが、私の中ではあまり印象にない。

さて、銀骨を倒した犬夜叉は七宝たちの後を追う。
銀骨は後で復活するのだが、戻ってくるのが早すぎて、煉骨が犬夜叉から十分に話を聞けないまま終わってしまった。
一度は煉骨を疑いながらも、「生きた人間の匂いがする」煉骨を信用する犬夜叉。
いい人に化けた煉骨と犬夜叉の会話は、狡猾な煉骨にだまされる犬夜叉のお人よしぶりが好もしい。

銀骨との戦闘に犬夜叉が飛び出して行った後、煉骨はゆっくり四魂のかけらを奪う。
私の中では、ここまでが煉骨、凄い奴だった。
この後はどんどん小物っぽくなっていき、むしろアニメの方が感情移入しやすかったような気がする。
 (2006年6月15日の日記) 
鋼牙と蛇骨が出会うとき
原作少年サンデー2001年11月28日(52号)第243話「七人隊の臭い」

    ☆     ☆     ☆

ストーリーを追いかけると、今回はかごめたちの大ピンチの巻なのだが、どうしても気になるのが鋼牙と蛇骨の会話。
鋼牙は蛇骨の好みのタイプじゃないらしい。
ワイルド系は苦手で、殺生丸のような美青年も嫌い、琥珀は子供過ぎ?で七人隊仲間も蛮骨と仲はいいけど、兄弟みたいな雰囲気。
もしも奈落と会ってたら、殺生丸と似たタイプの奈落も好みじゃないなんて言いそうだ。

となると、やっぱり犬夜叉と弥勒しかいないわけ?
可愛い系とセクシー系、どちらかと言うとウエットなタイプが好きなのか。
鋼牙が蛇骨に目をつけられないのは良かったけど、蛇骨の好みは許せない?
などと鋼牙のために怒ってみた(笑)。

犬夜叉戦で倒された銀骨だが、死んではおらず、犬夜叉を追いかけてくる。
戦う犬夜叉に七人隊の正体を現す煉骨。
「それまで生きていた」僧侶の袈裟をまとった煉骨に、犬夜叉の鼻は見事に騙され、ここは犬夜叉が大変な場面なのだけど、策士煉骨が小気味いい。
やはり悪役に魅力がなくては、話もおもしろくならないわけで、煉骨タイプの悪役はこれまであまりいなかったし。

残念ながら、煉骨大活躍はここまで。
蛮骨登場と共に、サポートに回ってもあまり相手にされず、意外なほどの小物ぶりを発揮することになる。
そこはやはり七人隊を束ねていた蛮骨のダイナミックな押しの強さと、蛇骨のあくの強さにかすんでしまったせいだろう。
歴史物にもよく登場する知恵者タイプの典型だが、こんなタイプが天下を取ったためしがないのも同じだろうか。

煉骨は犬夜叉に正体を現す前に、お寺に火をつけてしまう。
「あの世への送り火」などとかっこいいけど回りくどい殺し方を選んだおかげでかごめたちは助かったわけだが、こんなところが奈落と似ている。
とっても都合よく現れた冥加のおかげでまず七宝が目覚め、雲母が目覚める。
この1人と1匹が犬夜叉が来るまでかごめたちを守ったわけだが、妖怪だから目覚めることができたのだろうか。

そして火事と七人隊の匂いに気づいた鋼牙が蛇骨と出会う。
蛇骨の微妙な趣味に、全然気づかない鋼牙がおかしいって気づいたらそっちの方が大変だ。
蛇骨刀も鋼牙のスピード感にはかなわないだろう、もしかしたら鋼牙が蛇骨を倒すかも、と思ったりもしたが、次回鋼牙はいかにも鋼牙らしい展開を見せることになる。

今回のベスト会話。

蛇骨「その短(みじけ)ー腰巻はいー感じなんだがなー。
    は〜 微妙〜におれの趣味じゃねーんだよな〜」(ため息)

鋼牙「(仲間に向かって)おい・・・このバカなんの話してんだ?」

仲間「さあ・・・」

この時の鋼牙の表情が最高にかっこいい。
 (2006年6月16日の日記) 
ちょっといい話
原作少年サンデー2001年12月5日(1号)第244話「仲間の命」

    ☆     ☆     ☆

煉骨と銀骨の間で苦戦する犬夜叉だが、再び銀骨を倒し、煉骨は無視して寺の中に飛んでいく。
一瞬死を覚悟した風の煉骨だったがとりあえずは命拾い。
不完全ながら話も聞いたし、四魂のかけらも手に入れたし、煉骨は大満足。
砕け散った銀骨も死んではなかったというこ、とで最猛勝に運ばれていく。

寺の中で犬夜叉が見たものは、息が止まったかごめたちを身を挺して守る雲母と七宝の姿。
冥加の言葉に従って仲間を寺の外に引き出すが、ここから冥加が大活躍。
一生懸命がんばったのに皆を死なせてしまったと泣きじゃくる七宝が可愛くて。
3人分の毒血を吸って巨大化した冥加が怖いけど、かつて犬夜叉もこうして助けられたことがあったっけ。

こんな時でも「おなごの夢」を忘れない弥勒もいいけど、やっぱりここは犬夜叉の涙。
七宝が自分を責めたように、犬夜叉も自分を責めてた。
煉骨に騙されたのは自分も同じ、仲間が死んだら自分のせい。
けどみんな助かった、冥加のおかげで助かった。

嬉しくて犬夜叉は泣く、でも見られるのは恥ずかしい。
112ページのぽかんと意識を取り戻した仲間たちを見つめ、どさっとかごめを地面に置き、ばっと背中を向ける。
そっとしといてあげればいいものを、御注進に及ぶ七宝と見たがるみょうがのおかげでばれた犬夜叉の涙。
これまで一度も泣いたことのない犬夜叉が泣いた、嬉しくて泣いた。

辛くて泣くことは絶対ない少年だろう、悲しくても耐える少年だろう。
でも嬉し涙は止まらなかった、そんな犬夜叉がとても愛しい。

一方予想通り蛇骨刀を上回るスピード披露の鋼牙に警戒する蛇骨、シリアスな顔が始めて見られる。
けれどかごめの危機を知った鋼牙はもはや蛇骨など眼中になく、とっとと退散、相変わらずの逃げっぷり。
「今はてめえなんぞにかまってる暇はねえが、次会う時は覚悟しとけ、馬鹿野郎―っ」の啖呵が小気味いい。

今回は表紙の犬夜叉一行も表情がみんないい。
いつもの勢ぞろいした記念写真みたいな顔じゃなく、一人ひとりに表情があって。
ちょっとやんちゃが入ってる犬夜叉と対照的な大人っぽい弥勒、いたずらっぽい瞳の珊瑚に優しいかごめ。
弥勒の陰からこっちをのぞく七宝もあまり見ることのない表情。

きっとカラーページだったんだろうな、物語がカラーを白黒に落としたような絵でしばらく続いた後、突然真っ白なページに後姿の犬夜叉と、見上げる七宝の顔のカットが入る。
なんかの宣伝に使われたページだろうか。
 (2006年6月17日の日記) 
お医者の睡骨
原作少年サンデー2001年12月12日(2.3合併号)第245話「七人塚」

    ☆     ☆     ☆

冥加のおかげで助かったかごめたちが蛇の生血で精力をつけている頃、先行する桔梗は七人塚にたどり着いていた。
白霊山の麓、雇われ傭兵七人隊の亡骸を納めた塚、しかしそれは壊され、骨も(墓土も)消えていた。
そこに住む人々は怯えていたが、桔梗はそこに邪悪な気配のないことを知る。
桔梗が見せるいくつかの顔のうち、こうして一般の人に見せる巫女としての顔が好きだ。

おそらく内面が窺い知れない、生前の桔梗に一番近い顔。
頼る人々に安心感を与える優しい顔なのだろう。
あたりを清浄すぎるほどに清める白霊山の気配、そこに桔梗は四魂のかけらの気配を感じる。

子供に囲まれ、村人の手当てをするお医者の睡骨。
その首には四魂のかけらが埋め込まれ、しかしそのかけらは一点の汚れもない。
お医者の睡骨がどんな善人であったとしても、一点の汚れがないわけはないだろう。

どんな正義の味方であれ、心に負の感情がない者は、もはや人ではない。
一点の汚れもないならむしろ異常だろう。
白霊山の影響を受けなければ、そこそこ善人の医者の睡骨として存在していた睡骨、見てみたかった。
ちょっとだけアニメオリジナルで見られたけれど。

描かれてはいないが、桔梗は睡骨のかけらだけでなく、その体の異常性にも気づいているのだろう。
犬夜叉や鋼牙は匂いで気づいていたが。
様子を見るべく桔梗は睡骨に接近する。

このまま何事もなく、桔梗と睡骨の生活が静かに続いて欲しいような、そんな二人の雰囲気だった。
もちろん桔梗の方は最後まで警戒感が強かったが(睡骨死の瞬間は除く)、アニメではその部分を膨らませ、もう少し和やかな雰囲気を強めていた。
この部分のオリジナルはとても好きだった。

そしてかごめを心配してやってきた鋼牙。
かごめを守りきれない犬夜叉に激怒するが、鋼牙とかごめの二人旅だったらかごめはもっと危ない目に会いそうな気がするのは気のせいか・・・?

先日白霊山が福島県の霊山をモデルとする説(諏訪氏のコメント含め)を紹介したが、櫻崎さんが許可してくださったので写真も紹介。
こちら」と「こちら 」です。
櫻崎さん、ありがとうございました。
 (2006年6月19日の日記) 
桔梗と睡骨
原作少年サンデー2001年12月26日(4.5合併号)第246話「汚れなき光」

    ☆     ☆     ☆

白霊山の麓にいながら、煉骨や蛇骨のかけらは全く浄化されなかったらしい。
白霊山に近づくといい子になる蛇骨とか、いい人になっちゃう煉骨だったらすごくおもしろいのに。
結界が浄化のものでありながら、奈落の都合に合わせたものであることが、おもしろいけど物足りなさもある。

現在翠子の魂が、鋼牙のかけらを問答無用で浄化していたが、そもそも白心上人にそこまでの力があるのか。
この七人隊編は、中期「犬夜叉」の中でも、読めば読むほど味が出る何度読んでもおもしろいエピソードだが、それはやはり「七人隊の個性、白霊山の存在、そして白心上人の心」が三つ巴に組み合って複雑な物語に仕上げているからだろう。

これで「犬夜叉」が終わって欲しかったとは思わないが、白霊山の底から奈落の顔が浮かび上がって来た時に、これで完結しても良かったと思わせる第一段階。
第二段階は鬼の腹で、もちろん終わることを想定していない以上、未解決の問題はたくさんあったけど。

睡骨、早めに出てきたような気もするけれど、実は蛮骨の前、後から2番目。
蛮骨と蛇骨がトップクラスの人気で、凶骨、霧骨、銀骨が忘れ去られ組(原作当時)、地味だけどコアな人気のあったのが煉骨と睡骨だったように思う。
私はもちろん睡骨で鋼牙を別格とすれば「犬夜叉」の中で一番惹かれるキャラ。
元々「羅刹」という言葉が好きだ、語感がいい。

そして光と闇の二面性にはとても惹かれる。
でも「睡骨は年配の女性に人気がある。」なんて書き込み、あちこちで見つけたな、当時。

今回興味深いのは、睡骨を何日もそばで見ている桔梗。
アニメではどっかから(野宿?)通ってきた雰囲気だったが、原作では子供たちと睡骨と共に過ごしていたらしい。
で、アニメでは睡骨に桔梗を慕う心が仄見え、しかし原作では最後の瞬間まではお互いにすっきりさっぱり。
桔梗の警戒感などどこ吹く風の睡骨に、桔梗も死人であることを確認しながらどうすることもできない。

そしていよいよ生き残り(蛮骨以外)の七人隊と犬夜叉一行が、桔梗と睡骨の元に集結する。
自分が「死人」であることも気づかない睡骨も不思議。
七人隊が復活してから犬夜叉たちに出会うまで、どれだけ日がたっているのだろうか。
睡骨が復活してからこの村に来て馴染むまでの睡骨の変遷を知りたい気がする。

さて犬夜叉、子供たちを守ろうとする睡骨に攻撃を仕掛けるが、これはやはり煉骨に騙された不信感が強いのだろう。
「どうもガラの悪いおまえが善良な男にからんでるようにしか見えんな。」の弥勒ので台詞がらしくていい。
こんな時、犬夜叉とかごめの二人旅ではなく、仲間がいることが非常にありがたい。
制止役がかごめだけならそれはもう「おすわり」しかないのだから。

当初は犬夜叉とかごめだけしか設定していなかったとされる「犬夜叉」だが、いずれ冷静な仲間が登場するのは間違いなかっただろう。
睡骨についてかなりの話を聞いた桔梗と、かけらが汚れていないことしか知らない犬夜叉が再会するのは次回となる。
 (2006年6月19日の日記) 
目覚めた睡骨
原作少年サンデー2002年1月9日(6号)第247話「睡骨」

    ☆     ☆     ☆

蛇骨が「お目覚めだぜ。」と言っているので、「遂に睡骨が目覚めた。」と言っていいのだろうが、どちらが睡骨の主たる人格だったのだろうか。
悪の睡骨(隈取睡骨)は、善人である睡骨が自分を押さえ込んでいるのを知っていた節がある。
アニメでは別解釈だったが、原作において善人の睡骨は自分の別人格を知らなかったようだ。
ただ死の間際にたくさんの人を殺す別人格の睡骨をどうすることもできなかったと言っているのは不思議。

しかもやっと思い出したと言っている。
生前は両方の人格が、それぞれ別人格表に出ている時も意識があり、行動や考えを知りながらもどうすることもできない状態。
四魂のかけらで生き返ってからは、悪の人格は蛇骨により目覚めさせられるまで、意識はあったものの出ては来れなかったということなのだろう。
生前も七人隊にいる限り、ほとんど悪の人格が支配していたとは言え、常にそれを善の人格が意識していたとすれば、その葛藤は凄まじいものがあったのではないかと思う。

物語では、そういった内面の複雑さはあえて描かず、「羅刹と呼ばれた」男としての存在に、光と闇の二面性を持たせていた。
だからこの辺はそれほど睡骨というキャラに特別な興味は持たなかったのだが、27巻になって死の間際の桔梗との会話に忘れ難い印象が残った。
もし「好きなキャラ投票」ではなく、「心に残るキャラ投票」なるものがあったら、間違いなく睡骨に一票投じたい。

睡骨の場合、犬夜叉たちより設定年齢が高いので(26歳)こちらも感情移入がしやすい。
睡骨、桔梗、殺生丸、そして直接睡骨と絡むことはなかったが、奈落が加わる心理描写はこっちも読みやすいし感想も書きやすい。
今「主要キャラ性格分析書」をひっぱり出しているが、それによると睡骨を「町医者」と設定している、どっから町医者なんだろう。

さて今回は犬夜叉たちが桔梗と合流、睡骨を(目覚めさせようと)襲う七人隊との戦闘の中で隈取睡骨が目覚めるところまで。
血を恐れ、血に怯える医者の睡骨が目覚めるきっかけとなったのは自ら流した血だった。
それまでも村人の怪我などで血を見るとパニックに陥るのは、目覚めることへの恐怖心だったのか。

七人隊は生きていてはならず、琥珀は生かしておきたい、四魂のかけらを使っても。
犬夜叉たちを支配するのはそんな意識だが、琥珀にかけらを使う以上、四魂の玉の完成は望めないのだから、もう1個使って善の睡骨を生かしておけたらいいのになあ、この時代医者は貴重だ、などと思った記憶がある。
少なくとも琥珀のかけらを清めるように、睡骨のかけらも桔梗は浄化できるだろう。

そんな期待も27巻で見事に打ち砕かれることになるのだが。
 (2006年6月21日の日記) 
白霊山の秘密
原作少年サンデー2002年1月16日(7号)第248話「ふたつの心」

    ☆     ☆     ☆

ついに目覚めてしまった「七人隊の」睡骨。
「口のききかたに気をつけろ、小僧―っ!」の台詞がいいが、実は睡骨の方がずっと小僧だ、なんせ犬夜叉軽く見ても500歳以上。
知らないって恐ろしい。

ただ犬夜叉が鉄砕牙を抜かないところを見ると、まだ睡骨の善性、人としての睡骨に望みを残しているのか。
いえむしろ戸惑っていると言った方がいいのだろう。
桔梗と知り合いの様子、目覚めてからの睡骨の「押し込めやがって」発言などから容易に想像がつくが、やはり犬夜叉、人がいい。

さらに睡骨も自分を慕う子供に手をかけることはできず、殺人鬼になってもわずかばかりの人の心が残っていることを伺わせる。
「多重人格」という言葉を意識したのは「24人のビリー・ミリガン」を読んだ時だっただろうか。
その後大学で自分が受けるべき抗議は無視して、他大学の心理学の講義にばかり通ったり研究室を訪れたりし、単位を落としそうになって補習を受けたという情けない思い出もある。
結局心理学という深遠の一掻きもできずに終わったが(当然だ)、七人隊の中に睡骨というキャラが設定されたのは非常に興味深い。

後半は七人隊は去り、死魂虫が入って来れずに弱った桔梗を助け、話を聞くところまで。
話といっても今回は桔梗がかごめに睡骨のかけらの変化を問いかけるだけ、メインは次回。
今回はほとんど桔梗をめぐる犬夜叉とかごめ、ギャラリーの心理描写に力が入れられる。
最近はほとんど見ることのなくなった死魂虫だが、アニメでの描写はとても綺麗ですごく好きだったことを思い出した。

今アニメが再開しても満足できる自信はないが、部分的にはとてもアニメで見たいものがある。
それは戦闘シーンだったり綺麗な場面だったりいろいろだが、サンデー今週号、奈落に捕らわれた鋼牙の危機などは見たいなあと思う。
鋼牙の危機が見たいとは問題発言だが、やはりあの迫力と音楽、そして犬夜叉や鋼牙の声、弥勒の風穴発動などはアニメもまたいい。
 (2006年6月21日の日記) 
弥勒もはじく?結界
原作少年サンデー2002年1月23日(8号)第249話「白霊山の結界」

    ☆     ☆     ☆

今日から26巻、表紙は血に染まった(大胆!)、それも他人の血、蛮骨と犬夜叉、蛇骨、煉骨、銀骨に見返しの睡骨と合わせて七人隊が勢ぞろい。
犬夜叉までも七人隊の一人に見える。
そして七宝、弥勒、珊瑚と雲母が続き、あれ?かごめは?と思ったら背表紙にしっかり登場。
さらに第1話の表紙は桔梗も登場する、かなり豪華。

前半は睡骨から聞いた話と桔梗の推理(事実)が語られる。
白霊山は周辺の土地の気を浄化しているため、邪なもの、妖気を発するものを寄せつけない。
睡骨は真実汚れ(の)ない心を持っていたからここで暮らしてこれたが、七人隊の睡骨が目覚めたために、ここにいられなくなった。
よって七人隊は睡骨を連れて早々に退却する・・・のだがこの後七人隊はさらに白霊山に近づいて行くので、ここで桔梗が言うほど苦痛なわけではないことがわかる。

なんせ邪なものどころか非常に奈落にとって都合の良い結界なので、桔梗のどこが邪なのか妖気なのかわからなくても×、汚れた性格でも?七人隊は○、法師様でも弥勒は△?半妖犬夜叉も△で朔犬になってしまうという別名奈落専用バリア。
もちろん奈落自身も結界に触れるわけにはいかないが、ドーナツ型の結界にして、その中に奈落が鎮座ましますのならば、これほど都合がいい保護はない。
ともかく体力の回復しない桔梗を子供たちの元に残し、犬夜叉たちは先に進む。

途中でかごめの複雑な乙女心の描写が入り、白霊山へ。
まずは七宝と雲母が影響を受けてしまう。
その結界のあまりの清らかさに誤解してしまう犬夜叉たち。
その先に奈落はいないと、いるはずがないと。

後でやって来る殺生丸と共に犬夜叉たちが奈落の仕掛けにどう気づいていくかも大きなポイントとなってくる。
重要な伏線となるのが琥珀の存在。
今は七人隊と奈落のつなぎのような役目をしている琥珀、蛮骨登場のお膳立てが済んだところで次回に続く。
最終ページ、私の一押し睡骨がいないのが寂しい。

後の方に乗ってるし、吹き出しの陰に隠れたりしてるのだけど、どう見ても「高橋先生が描き忘れた」ようにしか思えないのはなぜ?
勢ぞろいした時はすでに五人隊になってしまったが、武闘派凶骨、毒作りの霧骨、策士煉骨、戦車の銀骨、羅刹の睡骨、おかしな蛇骨に続く7番目の七人隊蛮骨。
出てくるまでイメージしたのは「大兄貴」だし、蛾天丸みたいなタイプだったかな?

最終ページの隣りは第2話の表紙犬夜叉だが、これがまたかっこいい。
サンデーの大きさで見てたらもっとかっこよかったんだろうけど、この時期買ってなかったのがほんと悔やまれる。
 (2006年6月22日の日記) 
蛮骨登場
原作少年サンデー2002年1月30日(9号)第250話「蛮骨」

    ☆     ☆     ☆

以前七人隊にからんだ戦国の武士たちの家紋を考察してみたが、それを福島県限定としてもう一度調べてみた。
まず蛮竜を取り戻した蛮骨が一人で大暴れする場面、黒いひし形で武田菱かと当時思っていたが、陸奥大内氏の唐花菱からイメージしたように見えないこともない。
その蛮竜を飾っていた床の間には三日月のマーク、反対向きにして黒い丸をつければ会津佐瀬氏の月星紋となる。
ついでにやはり福島県の二階堂氏の紋は三つ盛亀甲に花菱、殺生丸の着物の柄の花びら4枚バージョンだった(「日本の家紋大全」他参照)。

そういえば煉骨もお寺を襲い、殺した僧の袈裟を身に着けていたが、あれも丸に菊の紋だった。
もしかしたら福島県伊達市の霊山そばに、丸に菊紋の小さなお寺があったりして。
いつか霊山に行きついでに探してみたいと思っている。
そこまでモデルを意識しているとはとても思えないが、ないならないでいいし、なんとなくちなんだ土地を歩き回るのが楽しいのかも。

さて本題。
表紙の犬夜叉のかっこ良さを堪能した後、ついに蛮骨登場。
凶骨や霧骨が死んだり、蛇骨や煉骨が働いていた間、ずっと手紙のことで悩み続けていたのだろうか(笑)。
なんとなく乱馬っぽいって言うか、幼い感じの蛮骨だった。

七人隊の頭領、大兄貴と呼ばれてる雰囲気からして、もっと大人で落ち着いた青年を予想してたのかも。
実は蛮骨、初登場シーンはその破天荒な暴れっぷりからキャラとしての期待も大きかったのだが、その後は意外に活躍の場も少なく、最後の決闘までの間、実はあまり印象にない。
むしろアニメの色の黒さと声の低さでアニメの方がインパクト大。
蛇骨とのセットで大ブレイクしたが、蛮骨一人だったらそれほど人気も出ないまま終わっていたのではないかと思う。

七人隊を討ち、蛮竜を保管しておいた「お館さま」が私の推理通りに(笑)、佐瀬氏だとすると、「犬夜叉」の物語の頃どんな登場をしていたのか、それもとても興味があるのだが、これもやはり福島の資料館などで郷土史など調べないとわからないようだ。
今「金田一少年の事件簿」を見ながら書いてるせいか、やたらと推理しているが、その前にまず感想。

と言っても後は七人隊が暴れて犬夜叉たちが駆けつけるだけなので特に書くこともないか。
大の男三人がやっと持ち帰った大鉾蛮竜を軽々扱う怪力ぶりくらい。
七人隊が十何年前に東国から流されてきて殺されたことは明示されているが、それでもかけら1個でこんなに完璧に蘇るんだとびっくり。
みんなで1個ずつ使って犬夜叉は人間になり、桔梗と琥珀は生き続け、鋼牙も突っ走り、弥勒は風穴を消していってもいいような気もする。
奈落退治は大前提だが・・・。

それにしても何のための予告状だったのだろう。
援軍も集めて大量殺戮を楽しむためにしか見えないところが怖い。
 (2006年6月28日の日記) 

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