犬夜叉サンデー感想(第321話〜第330話)
しっとり登場(アニメ)華麗に登場(原作) 〜奈落
原作少年サンデー2003年7月16日(33号)第321話「広がる汚れ」

     ☆     ☆     ☆

今週のサンデーは、映画第3弾のポスター&情報付き。
映画のタイトルは「天下覇道の剣」だそうだが、ここで曹操の顔がボンと浮かんだ人 は、三国無双好き。
あれっ?このポスター、高橋先生の書き下ろしだよね、犬夜叉なんか顔が違うような ・・・。
今回は犬夜叉vs殺生丸をメインに、2人の父君と犬夜叉の母が絡むというストー リーらしい。

殺生丸の母妖怪は出ないんだろうか。
どうせと言っては失礼だが、映画と原作は別物。
高橋先生にキャラ設定をしてもらって、今まで謎とされてきた母君、(ついでにかご めの父も)出してみては?などと思ってしまった。

まあそれは冗談としても「特報」を見る限り、かごめ、弥勒、珊瑚はいてもいなくて も関係ない立場に見える。
商業的な価値を無視して、いっそのことかごめ、弥勒、珊瑚を登場させず、犬夜叉が 桔梗を知る前の話として犬一族の葛藤にテーマを絞り込んで作ったら、おもしろい 「短編」ができるのではないかと思った。

無理なのは承知の上、あり得ないのも承知の上。
アニメにおいて、何でもかんでも5人セットでひとまとめ状態に少し食傷気味ゆえの 繰り言である。
読み飛ばしていただきたい。
実際問題としてそこまで冒険するのは無理だろうが、実は先鋭的な面白い映画が作れ るのではないだろうか、本編のおまけとして。

と夢を語った後で、本編では、麗しの牛頭馬頭再登場。
今度は殺生丸が火の国へ。
「邪(よこしま)」な「魔(妖怪)」と書いて「邪魔」と読む。
神楽と憧れの?殺生丸との長い旅路で、2人だけにして上げるのがお供の心配りと言 うものであろう。

実際は相変わらずの殺生丸は、神楽のことなど歯牙にもかけず、神楽もあっさりさっ ぱり。
殺生丸の身を心配するどころか、自分を安全圏に置くことばかり気にしている。
もっともこれは、殺生丸なら大丈夫という、絶対の信頼の現われと見えないこともな いが。
神楽と共に「お手並み拝見」といったところか。

こんな時は天生牙の出番かと思いきや、殺生丸が抜き払ったのは闘鬼神。
殺生丸編、以下次号に続く。

こちらは犬夜叉。
アニメでも今週から奈落が登場したが、それに合わせたのではないかと勘繰りたくな るほど気を持たせて、原作でも奈落が華麗に登場。
実はこのとげとげ奈落、白霊山に新生奈落として登場した時は、まだ途中の段階だと 思っていた。

あの背中から出ている蛇妖怪の尻尾みたいな部分、あれらも全て取り込むか切り捨て るかして、一応人間体に戻るのではないかと。
だが、どうやらあの尻尾も含めて完成形のようだ。
かっこ悪いぞ、奈落!

奈落は宝仙鬼を汚すために犬夜叉たちをここに呼び寄せ、犬夜叉は奈落をおびき出す ためにあえて姿を消した。
やられたと見せかけて。
まんまとおびき出された?奈落は宝仙鬼を殺してしまうが、かけらを奪う前に犬夜叉 復活。
赤い鉄砕牙で奈落の結界を破れるか、奈落の笑みの意味は?
犬夜叉編、こちらも次号に続く。

最近思うのだが、一応桔梗とかごめは同じ顔とされている。
桔梗復活前は、桔梗の魂がかごめの中にあると、かごめは桔梗の生まれ変わりである と、奈落も知っていた。
にもかかわらず、奈落はかごめに対して、最初から何の感情も持っていないようであ る。
考えてみると不思議である。

犬夜叉ほどでなくても、もう少しかごめに対して複雑な感情を持っても良さそうなも のだが・・・。
顔は同じでも、魂はひとつでも、桔梗ではないと信じているのだろうか。
いじらしいぞ、奈落!
桔梗一筋一直線、純情奈落の真骨頂と言ったところか。
(2003年7月16日の日記)  
ちょっとびっくり
原作少年サンデー2003年7月23日(34号)第322話「破れぬ結界」

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今週のサンデー、何にびっくりしたかと言うと殺生丸の天生牙。
たまたまきのうの考察日記「豹猫族のお館様」において同じ場面について書いたばかりだった。
もちろんあちらはオリジナルだが、殺生丸はお館様に対して最初は天生牙を使わない。
天生牙が合図して始めて天生牙を抜き払うのである。

今日のサンデーでも闘鬼神では牛頭馬頭を倒すことができず、天生牙が合図する。
殺生丸の反応までオリジナルとほとんど同じ。
珍しくアニメが原作を(そうとは気づかずに)先取りした好例だろう。
でもやっぱり先に気づいて欲しかったな、殺生丸。

今ふと思いついたのだが、殺生丸は特別頭が切れるとは表現されていないような気がする。
常に冷静、時には冷酷といったイメージが強いが、父君の墓を探す時もわりに行き当たりばったりだったし、頭が良さそうに見えてちょっと鈍いところがあるのかも?
(ほめ言葉である、念のため)
だとしたら私の中では殺生丸の好感度が一度にヒートアップするのだが。

一方、意外に?切れ者ぶりを披露するのが犬夜叉。
風の傷返しで放たれた妖気を巻き込んで発動する爆流破、かごめたちも思いつかないようだったが、私もすっかり忘れていた。
結局奈落の結界を破ることはできず、宝仙鬼によって重傷を負う犬夜叉。
犬夜叉の方はここで終わり、来週へのお楽しみとなる。
ところで今、間違って「ほうせんき」を「ほうせき」と打ち込んでしまった。
変換したら、もちろん「宝石」と出た。
宝仙鬼の名前は「宝石」がらみ?
だとしたら無性に面白いし、高橋先生のセンスの凄さに脱帽する。

ここでまたまた殺生丸。
天生牙を抜き払った瞬間、麗しの牛頭馬頭は殺生丸の前に跪く。
「この世の刀では斬れぬ」牛頭馬頭も、「あの世の刀を持つ」殺生丸に対しては抵抗すらも放棄する。
あまりに殊勝、あまりの豹変で、なぜか「十二国記」の麒麟を思い出してしまった。

自分の主の王以外には従わず、決して王以外の者の前で膝を折らない孤高不恭の生き物。
このまま殺生丸が邪見、りんと共に、牛頭馬頭もお供として連れ歩いてくれれば嬉しいのだが・・・。
なにせ奈落(白童子)もかなわぬ牛頭馬頭ゆえ・・・。

つまり天生牙とは、あの世のものを斬る刀。
あの世にて殺されれば、この世に戻って蘇る?
「奈落を殺せるのは殺生丸しかいねえ。」
神楽の言葉も気にかかる。

まさか奈落があの世の住人と言うわけではあるまいが。
この世界に来るのに、阿毘親子の力を借りる(阿毘親子を利用するの意)必要があったのだから。
逆に爆流破でさえ傷つかないのは、奈落が「この世のものでないから、この世の刀では斬れない」存在になっているのかもしれないが。
それにしても嬉しそうだな、神楽・・・。

来週は遂に「三強が集う!!」(たぶん)。
奈落の最後はまだまだ先と思いたい。
かごめも今週こそ「桔梗の矢」の出番かと思ったが、闘いに気を取られて思い出しもしなかったらしい。
奈落のためにほっとした。
 (2003年7月23日の日記) 
かっこ良すぎの殺生丸
原作少年サンデー2003年7月30日(35号)第323話「最後のかけら」

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全く1ページ丸ごとぶち抜いて出てきたよ、この人。
「父上、お慕わしゅうございます。」と懐かしげに父の遺骸をじっと見上げるそのせ つないまなざし。
それからいきなり弟めがけて怒りの一撃(しかもこぶしで)。
これぞ正しい兄弟げんか。

しかも「半妖ふぜいが、父上の墓を荒らしおって。」とな。
ほほう、君がそんなこと言う?
ちょっと前にはおなかの中で、毒で溶かすわ妖犬化して噛み砕くわ、散々なことして 荒らしまくったことは忘れたの?

君ならいいのか?中から壊すのはいいのか?
でもそのすっとぼけたところが「らしくて」またいいんだけど。
そんな君、最近ちょっと可愛いぞ。
だから早く「腕」探しなさいってば。

というわけで今週の殺生丸、キラ・・・と輝いてゴッと飛んできて、ドンと奈落にぶ ち当たる。
その豪快さ加減といい、見目麗しさといい、映画を意識しているのか派手さ100% 上がりまくり。
これで絶対ファンは増えただろうし、元からファンは嬉し泣きに違いない。
アニメならともかく動きのない原作であっけにとられるなど滅多にないこと。
それほど今週の殺生丸は凄かった。
さすがの奈落も完全に呑まれていた(汗かいてたし・・・)。

一応犬夜叉一行もそれなりに動くししゃべるが、今週の見どころは、「殺生丸vs奈 落対決!」これに尽きる。
殺生丸さま(急に「さま」をつけたくなった)の「下衆が・・・」の一言が良し。
アニメだとここで「下衆がっ!!!!!」ぐらいにキレまくる殺生丸だが、父の墓を 穢されて本気で怒った殺生丸の、むしろ静かな抑えた怒りはさすがの貫禄。

ただここで、奈落と殺生丸の麗し対決にばかり気を取られているわけにはいかない。
いくつかの重要なポイントが出てくる。

1つ目は、宝仙鬼のかけらを取った奈落の言葉。
「ついに手に入れたぞ。四魂の玉の最後のひとかけら。」
ここでドキッ!

鋼牙と琥珀のかけらはどうした!
ある場所はわかっているから取ったも同じという意味なら良いが、知らないうちに知 らない所でかけらを取ったと言うんじゃないかとドキドキ。
まさか後々回想シーンで語られるなんてことはないでしょうね?と再びドキドキ。

2つ目のポイント。
犬夜叉達と奈落が通ってきた血の河の道はすでに閉じていること。
よって犬夜叉達は当然帰れず、奈落も帰る道はないはず。
ところが奈落は「帰れるのだ・・・ わしだけはな・・・」と余裕の表情。

心臓を置いてきたから、今の奈落は死人状態?
私は奈落の心臓は、白童子ではない方の赤子の中にあるのでは?と思っているのだ が。
だが、ここに来る時は、犬夜叉達同様血の河通ってたし。

3つ目はかけらを取られて正気に返った宝仙鬼が犬夜叉に語りかける。
「小・・・僧・・・ きさま・・・ 闘う力は残っているか・・・?」
もちろん残っているよ、と犬夜叉の代わりに答えたところで今週はおしまい。

ところで最後のページに邪見発見。
刀の持ち主ではないのだから邪見は通れまいと思っていたら、126ページ、ちゃっ かり「もこもこ」にしがみついて一緒に来ていた。
いじらしさもここに極まる、ついでに牛頭馬頭も引き連れてきて欲しかったな・・ ・。

 (2003年7月30日の日記) 
今週の不可解者
原作少年サンデー2003年8月6日(36,37合併号)第324話「試される資格」

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先週は殺生丸がわけのわからんことを言っていたが、今週の不可解者は奈落。
はともかくとして、話自体はそれほど進んでいない。
闘鬼神で奈落の結界が斬れるはずもなし(斬れたら犬夜叉の立場がない)、かけらを取られ、正気に戻った宝仙鬼が犬夜叉側につくのも予想されたこと。

サンデーの夏休みを前に、原作も少々引き伸ばしモードに入ったようである。
ただしアニメと違うところはその先がまだわからないこと。

さて今週の奈落、結界を斬れない殺生丸に対し、「犬夜叉よりはマシ・・・という程度か。」と一応立てることを忘れない。
素直に喜べない言い草ではあるが。

そして何とも不思議なことを始める。
背中から出ている蛇妖怪?をわざと結界の外に出し、殺生丸に斬らせるのである。
噴出した瘴気がかごめ達&邪見を襲う。
一度はかごめの矢で浄化するが、もう矢は残っていない。
さらに桔梗の矢もまだかごめを拒絶していることが明かされる。

殺生丸が奈落を斬れば、瘴気が溢れ、かごめ達が死ぬ。
が、もちろん殺生丸が「では、」と言って闘鬼神を納めるわけもなし。
わかっているはずなのに、なぜ奈落はそんなことを・・・?
見捨てられた?邪見が可愛いやらおかしいやら可哀想やら・・・。

一方、宝仙鬼相手に修行のやり直しに励んでいた犬夜叉、宝仙鬼をほったらかしで奈落に向かう。
ここで主役の座も奪い取りなるか?

今回非常におもしろく感じたこと。
かごめが矢を使い切ってしまうこと。
犬夜叉一行の中で、かごめだけが武器の弓矢は消耗品。
いつもどうやって調達しているのか、突っ込まないのはお約束。

ついでにかごめ達の服装がなぜいつもきれいなのかも、さんざん日焼け生傷たえないだろうに、病気の言い訳で長期欠席できるのも、全て気づかぬふりをするのもお約束。
そういえばアニメ桃果人で、桃果人がかごめのことを「薄汚い小娘」などとけしからぬことを言っていたが、あれなどはアニメという虚構の世界に現実を持ち込んだ珍しい例だろう。

かごめの弓か矢がないのは、対飛天戦、対桃果人戦の時など何度かあったが、ここまではっきり足りなくなるのは初めてではないか?
ひねくれ者の私としては、あまりに立派なアニメの戦士に対する皮肉ではないか?などと考えてしまう。

それにしても弥勒たちは父君の口の中からのどへと避難、殺生丸と犬夜叉兄弟は父君の体を壊しまくり、一番可哀想なのは父君かもしれない。
 (2003年8月6日の日記) 
がんばれ奈落
原作少年サンデー2003年8月20日(38合併号)第325話「金剛槍破」

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鉄砕牙を強くすることよりも、仲間を瘴気から守ることを選んだ犬夜叉。
鉄砕牙は金剛石の槍を放ち、奈落の結界を壊す。
同時に鉄砕牙自体が金剛石の刃(やいば)に変化する。

犬夜叉が刀を強くすることにのみ執着していたら命はなかった。
仲間の命を選んだ犬夜叉に、宝仙鬼は「その半妖の心を持って・・・ わが妖力 金 剛槍破を受け継ぐがよい・・・」と語りかける。

先週、殺生丸は奈落の瘴気がかごめ達や邪見を傷つけることを承知で闘鬼神を振るっ た。
それに対して奈落は「さすがはまじりけのない妖怪だな。心の作りが違う。」と言 う。
犬夜叉と殺生丸、半妖と妖怪の心の違いと言いたいのだろうが、私はこの「妖怪だか ら」「半妖だから」という言い方は好まない。

七宝、雲母、鋼牙、混じりけない妖怪の血を持つ者に優しさはある。
人間の中にも残虐一筋の者もいる。
それに、七人隊でりんを救おうとして苦戦する殺生丸を見る限り、殺生丸にも優しさ はある。
この時点で自分が奈落を倒せると思っているのか、殺生丸の沈黙の意味が気になる が、所詮奈落に殺生丸の心、わかるはずなし。

さて、結界を破られ、大慌てで退散する奈落に犬夜叉の「金剛槍破」、殺生丸の「闘 鬼神」、そして「かごめ」の放つ「桔梗」の矢が襲いかかる。
せっかく作った、しかもアニメで披露したばかりの体を粉砕され、奈落は四魂のひと かけらを残して消える。
同時に桔梗の矢も奈落を追って消える。

残り99%のかけらを奈落がまだ持っていることにまず一安心。
奈落に死なれては困るのである。
「犬夜叉」が終わってしまうから。
だけではなく、やっぱり私も奈落好き。

愛する者に愛されず、求める力に拒まれて、強くなりたいとあがき続け、心 の中の闇だけを見すえて生きる半妖奈落。
半妖の孤独は、実は犬夜叉の比ではないのではないかと思う。
そしてもちろん、奈落がいるから「犬夜叉」はおもしろいのもまた事実。
私は正直言って、奈落と桔梗がいなければ、「犬夜叉」にここまでのめり込めなかっ たと思う。
好きなキャラ、という意味ではなくて、話の深みの問題。
がんばれ奈落!
とりあえず桔梗の矢から逃げ延びて、またどこかに身を隠してくださいな。

犬夜叉たちの奈落探しの旅も再びリセット。
こんな具合に永遠に続いて欲しいと思う今日この頃である。
 (2003年8月20日の日記) 
ほのぼの親子?
原作少年サンデー2003年8月27日(39号)第326話「帰還」

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最初にちょっと気になったこと、今回のサブタイトル「帰還」、実は2度目の使用な のだが、これはわかっていてつけられたものだろうか?
逆髪の結羅に襲われたかごめが骨喰いの井戸に落ちて現代に帰って来る、それを迎え に犬夜叉もかごめの家にやってくる、あのエピソードである。
内容的にはぴったりなので、おかしいとは思わないが。

今週号のサンデー、犬兄弟vs奈落戦に一応の決着がつく。
結論から先に言えば、奈落は桔梗の矢から逃れ、犬兄弟も仲間と共に無事に帰還する ことになる。
宝仙鬼に別れを告げる犬夜叉、「四魂のかけらを守りきれなかった・・・」と嘆く宝 仙鬼に犬夜叉は「終わらねえよ。四魂の玉がなくならねえ限りはな。−(中略)−玉 を狙うやつらがいなくなるまで、闘い続ける。」と言い放つ。

かつて桔梗も命を捨ててまで四魂の玉を守ろうとした。
それでも玉はかごめの体内に蘇り、戦国時代の武蔵の国に戻ってきた。
四魂の玉が500年後の武蔵の国(東京)に蘇ったのなら、そこで四魂の玉 争奪戦が始まるのが普通だろう。
しかし、かごめは戦国時代に導かれた。
翠子の時代でもなく、桔梗が生きていた時代でもなく、犬夜叉が蘇るべき時代に。

かごめはもちろんだが、犬夜叉も自分のためではなく、四魂の玉のために闘うことを 宿命づけられた存在なのだろう。
その前では、かつて言っていた「本物の妖怪になるため」といった目的など消えうせ ていったに等しい。
その宿命を自覚したかのような犬夜叉の言葉は、大きな成長を感じさせる。

次に珊瑚。
四魂の玉の結末に琥珀を思う珊瑚だが、弥勒も誰も天生牙の存在に思い至らないのは なぜ?
天生牙で琥珀を蘇らせるのは不可能という前提があるのか、ここで気づかれては琥珀 の悲壮感が薄れるからか。
だとすれば、カワウソ妖怪のところで天生牙の威力を見せつけたことが失敗になりか ねない。

そしてその琥珀。
記憶を取り戻したことを隠しながら、なお奈落に仕える。
琥珀はすでに心臓=奈落の急所、のありかは「赤子の中」と見抜いているからだが、 常に非道を言いつける奈落に仕えることの苦しさは、犬夜叉たちの比ではないだろ う。
先日書いたように、琥珀の救いが「死」であるならば、その結末はあまりに切ない。

だが、何といっても今週のヒットは奈落と白童子のほのぼの親子。
会話、立場はともかく奈落と神楽の夫婦は琥珀、神無、白童子、赤子の4人の子持 ち、みたいな生活感が妙におかしい。
ここまで悪に徹しながら、どうしても憎めない奈落ファミリー。
「犬夜叉」に登場するキャラが全て(妖怪、村人などのエキストラ?も含め)魅力的 なので、話がちょっと引き伸ばし傾向にあることも全く気にならない。

さて、奈落の次なる狙いは桔梗の追跡。
琥珀が刺客として遣わされるようだが、とりあえず桔梗と赤子は重ならないだろうか ら、話がどのように展開するかは想像できない。
ただ、今まで犬夜叉&かごめが妖怪退治を通して弱者の「体(命)」を救ってきたの に対し、桔梗は白心上人、睡骨など人の「心」を救ってきた。

桔梗と琥珀が出会うことにより、琥珀に救いが訪れて欲しいと思う。
桔梗にはその力があると思う。
まずは桔梗自身の癒しこそが必要であろうが。
 (2003年8月28日の日記) 
何かが違う今日の原作
原作少年サンデー2003年9月3日(40号)第327話「厨子鼠」

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先週、宝仙鬼に別れを告げて現世に戻ってきた犬夜叉一行。
いつの間にか犬夜叉だけが桔梗との思い出の御神木のそばで物思いにふけっている。
もちろん桔梗はそこにはいず、犬夜叉は戻ってくるのだが、先週からの展開に唐突感が否めない。
しかも「桔梗は・・・ いなかった。」の言葉を信じずかごめの「おすわり」。

「心が広い」などと言っているが、これでは「心の広いあたしが、こうして聞いてあげているのに、どうして素直に桔梗に会ったと言えないの!」とでも言いたげなひとりよがりな感じが強すぎる。
以前とは状況が違う、桔梗は再び傷つき、何とか生き永らえ、それでも一人奈落と戦おうとする。
今の犬夜叉なら桔梗がいたらいたと、桔梗に会ったら会ったと、ちゃんと言うだろう。

私はかごめを完全無欠な存在と考えているわけではない。
だが、これまでずっと読んできて、つかんだかごめのイメージからして、今日の態度は違うと思う。
犬夜叉が桔梗を探しに行った、帰って来た、とりあえずいつものパターンで「おすわり」。
これではアニメの「おすわり」連発と同じである。

七宝の「犬は三日飼ったら恩を忘れんとか言うが。」の言葉も許しがたいものがあるが、ここで犬夜叉が戻ってこなかったら、誰かが七宝を諌めていただろうか、いなかったような気がする。
ここは笑うべき場所なのかもしれない、でもやっぱり何かが違う。
アニメで犬夜叉が桔梗の番犬と化したシーンを思い浮かべなかったといえば嘘になるが。

ところで今週のアニメ「犬夜叉」、私は良かったと思っていたが、いろいろなサイトさんの感想を読んでみると、総じて辛口である。
私の目に大甘ベールでもかかっていたのかともう一度見直してみたが、やはり私には好感が持てるものだった。
アニメは、特に心理的描写においては原作にかなうものではない。
それはもちろんわかっている。

ただ、今回のアニメは原作に近づけようとする姿勢を感じた。
かごめがいつもとのギャップが大きくなりすぎたのも確かだが、これでアニメのかごめらしい展開になっていたら目も当てられなかったのではないかと思う。
アニメとしての出来はともかく、私は今回のアニメ、その姿勢を評価した。

なぜこんなことを書き出したかというと、私は今日の原作がアニメに近づいたと思ったから。
ちょうど今、アニメでかごめの「しかたがないのよ」発言が出るが、あの時と同じ葛藤を今日は感じた。
ただし、今日はかごめに味方できない。
かごめだけがかわいそうなのか、かごめだけが辛いのか、仲間と一緒に旅をして、常に犬夜叉のそばにいて。

いっそここで桔梗が今は苦しいから犬夜叉にそばにいて欲しいと駄々をこねたらいいと思う。
桔梗も犬夜叉達と一緒に旅をしたいと、犬夜叉のそばにいる権利があると無理矢理仲間に入ったらいいと思う。
そうなってしまっては話が続かないので、一人孤独に旅を続ける性格に作り上げられてしまった悲劇のキャラ、それが桔梗である。

ネズミ算式に増える(笑)、鼠を飼う大鼠がいい味出していただけに、今日の展開は本当に残念だった。
蛾天丸から復活したかのようなおじいさんと孫も懐かしかったし、おじいさんの声はきっと西前さんだろうな、などと想像するのも楽しかったのだが。
 (2003年9月3日の日記) 
飛鳥、胡蝶、招霊の木
原作少年サンデー2003年9月10日(41号)第328話「魔寄せ」

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二手に分かれて鼠の出所を探し回る犬夜叉一行。
琥珀に会ったのは、桔梗ではなく、珊瑚だった。
話自体はそれ以外に大きな変化はない。

それより興味深かったのが、桔梗の部分。
アニメの真似か、それともアニメでやたらと名前とつけられるのを警戒したのか、お そば仕えの2人組に「飛鳥」と「胡蝶」と名前を与える。
そして桔梗に命じられて胡蝶が取ってくるのが、「招霊の木」の枝。
ハメルンの笛吹きよろしく鼠を引き付け、退治する。

「飛鳥」は有名だろう。
奈良県飛鳥地方は、古代から日本の中心地として知られた場所。
特に「飛鳥時代」と呼ばれる550年ごろから710年(平城遷都)が最盛期だが、 聖徳太子、大化の改新などという言葉を聞けば、「ああ、あの時代」と日本史の授業 を思い出されるのではないだろうか。

私の好きな作家の1人である内田康夫氏がこれを下地に「飛鳥の皇子(みこ)」とい う本を書いておられるが、ミステリー作家としての内田氏にしては奇想天外なストー リーで、私には受け入れることができなかった。
ただし、内田氏自身がとても気に入っている作品であり、内田本愛読者の中でも人気の高い本で あることはたしかである。

次に「胡蝶」は、考察日記にも何度も登場している「土蜘蛛」に出てくる女性の名 前。
何度も書いたように、土蜘蛛自身、妖怪もののけの類として源頼光に退治されるが、 それはあくまでも都から見た逆賊であって、土蜘蛛の正体は土着の先住民族や信仰さ れていた山の神。

ただ、能や謡曲の世界でより脚色されることにより、スケールの大きな悪玉に作り上 げられた。
さて胡蝶、先述の頼光の侍女である。
頼光が病気になった時に、典薬頭に薬を取りに行くが、待ち受けていた土蜘蛛に喰わ れてしまう。
胡蝶に化けた土蜘蛛は、薬と偽って毒を与える。

襲いかかる土蜘蛛を撃退したのが宝刀「膝丸(後の蜘蛛切丸)」。
ここから有名な四天王の土蜘蛛退治につながっていくのである。

こうして調べていくと、高橋先生の名前のつけかたには2つのタイプがあることがわ かってくる。
(もちろん「犬夜叉」に限りの話、日本史がらみ限定であるが)
1つは「飛天」「羅刹(睡骨を意味する)」のように、実際に存在する人や妖(あや かし)、神などをなぞっているもの。
存在するとは、実在という意味ではなく、少なくとも伝承、民話などに登場するとい う意味である、念のため。
そのため、犬夜叉版飛天は、姿形がそのまま「飛天」だし、睡骨の善悪二重人格は羅刹と 呼ばれた神の二面性を象徴している。

2つめは語感の良さから取られたもの。
今回の飛鳥、胡蝶などは、いかにも日本的で美しい語感の言葉だと思う。
「かごめ」なども同様ではないか。
もちろん全部が全部当てはまるとは言わないが。

そして「招霊おがたま)の木」。
もう少し早く登場してくれれば、「一陣の風流 花図鑑」にまとめることができたの に。(笑)
この木も実際にあるのだそうだ。

モクレン科で、白い花弁の厚い花を咲かせ、バナナのような香りがするとか。
日本神話で天照大神が天の岩戸にお隠れになった時、点鈿女命(あめのいづめのみこ と)がお色気たっぷりに「神楽の舞」を踊った話があるが、この時持っていたのが招 霊の木の枝だったとされる。
また、その実は皇子が踊る時に持つ鈴の形を模ったともされている。

そのため、榊より古くから御神木として神社などに植えられていたと言われるから、 案外日暮神社の御神木も招霊の木だったかもしれない。
榊は江戸時代からだそうなので、少なくとも榊でないことは確かである。
映画でも似たような花を咲かせていたが・・・。

案外胡蝶が取ってきたのは、犬夜叉が封印されていた御神木の枝だったりして・・ ・。
ちなみに映画の「花が咲くはずがない」は、あくまでも映画のみの設定であるから問 題ないはず。

このように今回は、桔梗が見えないところで大活躍。
やはり確かな霊力に裏づけされた桔梗の力はかごめの比ではないようである。
かごめは基本的に、自分や犬夜叉がとことん追いつめられないと桔梗以上の霊力を発 揮できないので、不便と言えば不便かも。

あの木があれば、桔梗はそばにいなくても大丈夫ということになるのだろうか。
そして最後の珊瑚の言葉、当然琥珀が鼠を放ったと信じる言葉。
来週は久々に「犬夜叉らしい」展開になりそうである。

最近は登場キャラが決まりきっていて、話の深みだけを語る日記が続いたが、今週は久々に資料など引っ張り出してきて調べるのが楽しかった。
 (2003年9月10日の日記) 
シリアスなのに大笑い
原作少年サンデー2003年9月17日(42号)第3298話「蝕まれた霊木」

     ☆     ☆     ☆

先週、珊瑚と琥珀が再び出会った。
どう見ても厨子から鼠を放ったのは琥珀。
ここでまた珊瑚が琥珀の命を断とうとするのかと心配していたのだが、とりあえず珊 瑚の目的は厨子の破壊。
厨子を背負って逃げる琥珀、追う珊瑚、ここまではドキドキしながら読んでいたが、 「いかん珊瑚!斬ったら鼠が増える・・・」と叫ぶ弥勒に対し、「法師さま 吸っと いて。」にまず爆笑。

風穴もお手軽利用されてるなあ。
その時の弥勒の顔もおもしろい、別に珊瑚の言葉に反応しているようには見えない が。
こういうのって普通「尻に敷かれてる」って言わない?
はい、わかってます。
そんな悠長な場合じゃないってことは。 でもそんな時だからこそ素の部分が出るというか・・・。
「珊瑚、マツモトキヨシでトイレットペーパー安売りしてたぞ。」
「法師さま、買っといて。」
そんなノリ(笑)。
好きです、このコンビ。

続いて登場したのはなんと白童子&巨大ナメクジ。
ここで心の中で絶叫、なんでここで巨大ナメクジ・・・、まさかこれも奈落の分身? なんてことはあるまいが、そうだったら百年の恋も冷めそう。
しかも動じないかごめ、場慣れしすぎ!怖すぎ、強すぎ、もうかごめの前にひれ伏し てしまうしかない私。

今までの「最恐」妖怪No.1は、鱗粉一族蛾天丸&蛾羅丸だったが、これで1位の座 はナ メクジ妖怪が奪取。
私は本当にナメクジが大嫌い、毛虫もミミズも蛇も嫌い、長物系がとにかく苦手。
ところがカタツムリとなれば、可愛いと思うのだから、理不尽な話。
まあ見るだけなら、あまり大きくなければ、の限定付きだが。
蛾は苦手だけど、蝶は綺麗だと思って見るし。
どっちにしても、こんなのがうじゃうじゃいるなら戦国時代も考えものか も。

さて、白童子の挑発に乗った犬夜叉、危うく霊木を切り倒そうとするも、七宝に止め られる。
それに対し、「そんなことわかってる バカ野郎。」と言い捨てる犬夜叉。
でも次の七宝の言葉、「・・・あれは言われて気づいた顔じゃ。」に再び爆笑。

犬夜叉ってばほんと、わかりやすい。
紅達編で弥勒の風穴に助けられた時、影郎丸編でかごめを鋼牙に助けてもらった時、 素直になれない犬夜叉の言葉はいつも笑えて大好き。
こういったおかしさは、アニメでもあまり熱演しないでさらっと流してくれた方がよ り笑えるような気がする。

さらに破魔の矢でナメクジを浄化するかごめ、七宝の「すごいぞ かごめ。」に対 し、「的が大きいからね。」ってそんなすごい台詞、簡単に言われるともう鳥肌が・ ・・。
でもこんな時のかごめも凛々しくてかっこ良くて大好き。
ところであのナメクジ妖怪、アニメで「着色されて出てくるんじゃろか。
ムニョムニョ動くんじゃろか・・・。」七宝言葉で。

犬夜叉の鉄砕牙が白童子を粉砕するも、けろりとして逃げてく白童子。
今まで霊木に集まってきていた鼠たちが厨子に向かって戻り始める。
そこにはもちろん弥勒と珊瑚。
今度こそシリアス展開か?と思ったけど、今日の原作、理屈抜きにおもしろかった。
一時期原作も迷走している気配を感じていたが、これで勢いづいてくれればもう言う ことはない。
 (2003年9月17日の日記) 
すごい迫力 〜鼠とナメクジ(涙)
原作少年サンデー2003年9月24日(43号)第330話「暴走する群れ」

     ☆     ☆     ☆

先週号は、シリアスなのに大笑いだったが、今日の犬夜叉はひたすら「鳥肌」。
最初に1人雲母に乗った弥勒が風穴で鼠を吸いまくる。
これってアニメ化されても怖いし、実映像として想像するだけでもう・・・。
しかもよく見ると、笑っているかのように目まで描かれた鼠までいる。

以前、毒にやられた弥勒について、
「弥勒の風穴は異次元空間のようなものだと思っていたが、どうやら吸い込んだもろ もろの物を瞬時に消化してしまうのらしい。」と言ったようなことを書いた記憶があ る。
前言撤回、それだけはやめて欲しい。

それにしても一応雲母は猫なのに、これだけあふれた鼠を見ても、何の反応もない。
いくら好きでもこんなにいては、食べる前から食傷気味といったところだろうか。
普通の鼠ではないので、おなかの中で増えても大変だし。
なぜわざわざ想像しては鳥肌立てる?
そんな自分が一番怖い。(笑)
弥勒の風穴から逃れた鼠を横目で見ている視線が笑えた。

一方、唯一まともな?戦闘シーンの珊瑚と琥珀。
奈落の弱点を知る琥珀は、記憶を取り戻したことを珊瑚に打ち明けることができな い。
珊瑚はもちろん、そんな琥珀の葛藤を見抜くはずもなく、琥珀の厨子を破壊しようと する。
ここで思ったこと。
もし弥勒がここまで鼠に翻弄されていなければ、あるいは琥珀の変化に気づいていた かも。

次はまたしてもナメクジ(涙)。
犬夜叉の散魂鉄爪にやられるも、なんだか溶け具合、落ち具合がホラーと言うよりス プラッター。
先週はなんとなく、1匹の巨大ナメクジだと思っていたのだが、こちらもうじゃう じゃいるらしい。

暴走する鼠の群れから逃れるために、風船七宝に飛び乗る犬夜叉とかごめ。
犬夜叉が乗るのも珍しいが、「逆髪の結羅」編、全裸のかごめの水浴びシーンをのぞ き込んでたポーズとあまりにそっくりで、ここでも爆笑。
たしかに犬夜叉まで乗っかったら、七宝だって重いだろう。(笑)

弥勒と雲母は珊瑚に合流、珊瑚の飛来骨では厨子は壊せず、琥珀は鼠に襲われる。
琥珀をかばった珊瑚も鼠に囲まれ大ピンチ。
そこへ血の匂い(おそらく琥珀の)を嗅ぎつけた犬夜叉が救出に向かう。
今週はここまでである。

実際のところ、話はほとんど進んでいない。
何度も書いたが、原作もアニメと同様迷走している。
私などには業界のことはわからないが、たとえば「最低映画第3弾が終わるまでは、 連載を続ける」取り決めでもあるのかと思ってしまう。

迷走するにしろ、引き伸ばすにしろ、私は犬夜叉の連載は続いて欲しい。
でもどうせならおもしろく続いて欲しい。
その意味で、最近の(ゲテモノ使用ではあるが、)「絵」のおもしろさと「描写」の 迫力、高橋先生ならではの「会話」のおかしさでテンポ良く進むと、本当に嬉しい。

珊瑚と琥珀、けっこうシリアスな展開なのだが、まさかここで琥珀が鼠に喰われて終 わるということはないだろう。
これで死んだら、琥珀は本当に救われない。
さて、厨子の結界、破れるのは弥勒の法力か、かごめの矢か、それとも犬夜叉の鉄砕 牙か。
案外七宝の狐火も効くのではないかと思ったが、本来狐火は熱いものではないのだそ うだ。
つまり、燐などの「発光現象」であって「発火現象」ではないとのこと。
蜘蛛頭退治などにも使っていたが、これはもちろん七宝自身の武器ということで(笑)。
 (2003年9月24日の日記) 

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