犬夜叉サンデー感想(第471話〜第480話)
愛しき邪見 
原作少年サンデー2006年8月30日(39号)第471話「慈悲の心」

          ☆          ☆          ☆

表紙の殺生丸、激情は去り、静かにりんの死を悼んでいるように見える。
同時にりんが無事蘇り、去り行く母君を見送っているようにも見える。
今回前半部分は登場キャラの表情があまりに美しく描かれていてため息が出るほど。

母君の力により、りんは無事蘇るのは予想通りの展開だが、さすがに見せ方としてはうまいなあと思う。
ただ「本来命とは限りあるもの。
 そなた(殺生丸)の都合で何度も救えるほど軽々しいものではない。」

ここまでは良いとして、それに続く母君の台詞が引っかかる。
「そなた、神にでもなったつもりだったのか?
 天生牙さえあれば、死など恐るるに足らぬと。」

母君による天生牙の使い手としての殺生丸の傲慢を指摘する言葉である。
殺生丸以外知らないことだが、殺生丸はかつて神楽を天生牙で救えなかった。
天生牙をもってなお救えぬ命の存在を殺生丸は知っている。
その時殺生丸は悲しむ様子を見せなかったが、その後の冥道残月破会得に繋がる流れを読めば、神楽の死が殺生丸に影響を与えなかったとは言えないだろう。

その物語を書いた高橋先生が、ここで母君にこの台詞を言わせる理由がわからない。
これまで読んだ限りでも、りんを救ってからの殺生丸が死をないがしろにしていたようには見えない。
殺生丸は何も言わないが、十分に反論できる言葉である。
うまい見せ方とは思ったが、ここにもどこか無理を感じてしまうのだが。

完全なる冥道残月破を会得するために殺生丸に必要なもの、それが何かと聞かれたら答えようがないのだけど、それが「さらなる慈悲の心」だとは思えない。
敵を葬る時に命の重さを知り、慈悲の心を持って天生牙を振るえと言う父君が残した言葉。
これが奈落と対決する時にどう繋がっていくのか、謎は多い。

だがこうして殺生丸=天生牙の極端なレベルアップを読ませられると、奈落と最後に対決するのは犬夜叉ではなく殺生丸なのではないかと思えるほど。
ただ犬夜叉が試行錯誤はあるにせよ、どちらかと言うと「力によるレベルアップ」の雰囲気が強い(特に最近は)のに対し、精神的なレベルアップを遂げたように見える殺生丸、ここに来て兄としての面目躍如といったところか。

殺生丸と母君の問答、殺生丸とりんの心温まるやり取りなど読ませどころは多いが、今回私にとってのベストキャラは邪見だった。
泣けない殺生丸のために泣き、素直にお礼を言えない殺生丸に代わって礼を言う。
なんとなく邪見と言えば、殺生丸が好きでどんなに邪険にされてもくっついているって印象が強いが、殺生丸にとっても必要不可欠な存在だったんだなあとしみじみ思った。
今回は母君、りん、殺生丸、みんな愛しく感じたけれど、一番愛しかったのは邪見、抱きしめて頬ずりしたくなるほどだった(笑)。

こうして無事りんを取り返し、冥道残月破を会得した殺生丸は母君に別れを告げる。
これってすごく残念。
母君には是非息子たちに合流して殺生丸にちょっかいかけまくって欲しかった。
いつか犬夜叉とも会わせたかったし。

ストレスたまるだろうなあ、邪見。
りんは母君になつきそうだが。

そして最後に母君が琥珀にかける言葉が切ない。
琥珀も天生牙では救えぬ命。

四魂のかけらを抜かれたら、琥珀は即座に死ぬ身なのだろう、と言うよりかけらにより生かされているのだろう。
かけらによりつなぎ止められているという意味がいまいちわからなかったのがこれで明確になった。
そして死んだはずの琥珀が生かされているとすれば、確かに琥珀に二度目の蘇りはない。

宣告された時の琥珀の表情、鋭い視線を走らせる殺生丸。
琥珀はもはやこの宣告にも怖れはなく、殺生丸には琥珀を救う意思のあることを感じさせる。

今回一番笑えたのは
「人間の小娘一匹にこの騒ぎ・・・
 変な所が父親に似てしまったな。」

父親の二番目の息子は人間の小娘二匹(失礼!)に毎度大騒ぎ、と言うところだろうがさすがにそこまでの関心はないらしい。
このまま母君退場となれば、映画の父君に続いて出てみましたくらいのサービスで終わってしまう。
ここは是非父君と二人の女性(犬夜叉と殺生丸の母君)の昔の恋物語なども語って欲しいところだ。
殺生丸の母君にはそれだけの価値はあると思うのだが、どうだろう。

後半は久々登場の犬夜叉一行。
良い香りの花に包まれたとある村に辿り着く。
村人たちは旅人たちに親切で、犬夜叉たちを泊めてくれるのだが、それは花皇さまと呼ばれる陰陽師もどきの罠だった。
犬夜叉と(珍しく)七宝は警戒心を募らせるが、「甘ったるくてクラクラするぜ。」の犬夜叉の指の爪が別のものに見えてしまってどうにもならない(笑)。

前半でひとつのエピソードの区切りをつけ、後半に新しいエピソードの冒頭部分を描いて興味を持たせる。
よくある展開だが、今回に限って言えば、殺生丸の母君編で今回のサンデーは終わってしまった。
むしろ殺生丸編で終わらせ、余韻を持たせてくれた方が良かったかな?と思う。

他にはやっぱり「ハヤテのごとく」がおもしろい。
あとアニメ「結界師」情報が掲載されていたが、主役の良守役が妖狼族の銀太だった吉野裕行さんだった。
「BLOOD+」の宮城カイに続いてのレギュラー獲得、おめでとうございます。
「犬夜叉」で出会った声優さんと他作品で再び会えるのはとても嬉しい。

ただアニメの良守、口が気になる、すごく。

あと今月のカレンダーをめくってみたら、アメリカ版犬夜叉カレンダーがすごくいい。
タイトルは「奈落一家の陰気な休日」とでもしようか、奈落、神楽、神無、琥珀が勢ぞろいなんだけどなぜか笑える。
ちなみに「十二国記」は延麒六太と犬狼真君。
日本版犬夜叉カレンダーは弥勒と珊瑚のお月見。
お酒飲んでる?けど絵はちょっと映画っぽくて苦手かも。
(2006年9月2日の日記)  
七宝が花粉症に?
原作少年サンデー2006年9月6日(40号)第472話「花皇」

          ☆          ☆          ☆

今週鼻がぐずぐずして目がかゆい七宝を見たかごめと犬夜叉の会話がすごく笑えた。

 「花粉症?」
 「・・・・・・なんだそりゃ。」

シンプルなのがいい。
戦国時代にも花粉症があった(妖怪のせいかもしれないが)のかと思うと、花粉症のこちらとしても身がつまされる。
ちなみに私は杉じゃなくて草アレルギーで目や鼻は何ともないけど、気管支炎になる(涙)。

久々に登場した犬夜叉たち。
先週からの流れで桔梗の死にどっぷり浸かっているのは犬夜叉、他にも大問題を抱え、次の段階に踏み込んでいるのが弥勒と珊瑚であることがわかる。
微妙なのがかごめで、感動のクライマックスとその余韻が引けた後で、桔梗はなおもかごめにとってある意味「枷」であり続ける。
その複雑な心理が「おすわり」を封印し、犬夜叉への不自然でぎこちない「気遣い」となって表現されているのが大きな変化か。
現実に照らし合わせてみても、このかごめは桔梗の死以前よりも自然でむしろ好もしい。
「桔梗の死」「激変した殺生丸」を描いた後で普通の?妖怪退治、描く側も気が抜けないように苦労するところだろうが、ここでは花皇という「人の弱みにつけ込む」妖怪が登場した。
それ自体は「幻影殺」など奈落のいつもの手口と同じで格別目新しいものではない。
ただ結末に向けて、弥勒の死へのカウントダウンが加速し、琥珀の死の避けられない事態なので、その術?の重みも増してくる。

考えてみれば恋人を失った犬夜叉と比較しても、死んではいないが恋人と弟を失いかねない珊瑚とどちらが悲惨なのだろう。
読者としては弥勒は死なないだろう、琥珀もたぶん死なないだろうという希望的予測があるから、どうしても犬夜叉にばかり目が行ってしまうが。
しかも桔梗の死とその後の展開により、琥珀ももしかしたら助からないのではないかといった感も強い。
琥珀自身はむしろ死が救いとなり、穏やかな心で死に逝けるだろうが、珊瑚が同様に受け止められるかというと、それはあるまい。

それはともかく花皇がこれまでと違うところは、そういった人の苦しみ、悲しみを養分とするが、喰われた人が「安らぎ」を得る部分。
その後花の苗床となって死?を迎えるとしても、悪夢を食べてくれる獏みたいにある種の救いとなるところが厄介だ。
ただし犬夜叉はそうではないらしい。
桔梗を失った悲しみを食べられて腑抜けになる展開には見えない。

それを予期させるのが血のように赤く染まった花の色。
まるで犬夜叉の体から血しぶいたかのように周りを染める。
今回は鉄砕牙を使わない精神の戦いになるのか。
そしてその戦いの中で悲しみ苦しみが削ぎ落とされていくのか。

今の犬夜叉にはそんな戦闘の方が似合うような気がする。
当然そばにいるかごめも影響を受けるだろう。
桔梗の死後最初に出会った妖怪が、花皇のような存在であることは、犬夜叉とかごめにとってある意味「禊」となるのではないかと思うのは過大な期待か。

さすがと思ったのが風穴の恐怖を見透かされながら屈しなかった弥勒の強さ。
気を失った珊瑚を支えながら、かごめに数珠を渡す。
守るべき者を得た男の強さ、そして守られる側の珊瑚の脆さもまた好もしかった。
(2006年9月6日の日記)  
自分の力で
原作少年サンデー2006年9月13日(41号)第473話「血の涙」

          ☆          ☆          ☆

冥界編が終わり、久々に犬夜叉たちが登場すると、あちこちで拍手喝采の感想を読むことができた。
わあ嬉しそう、って微笑ましい反面どこか羨ましさと寂しさを感じてしまう。
その気持ちは花皇編を読むうちにどんどん強くなってきた、なぜだろう。

一番印象的だったのは、「だから― 悲しいままなんだ。」のかごめの表情。
犬夜叉が桔梗を悼む心を知っているから。
犬夜叉というキャラは、気持ちが桔梗を向いている時はかごめの心を推し量ることができない。
逆に気持ちがかごめを向いている時は桔梗の心を推し量ることはなかった。

しかし桔梗の死を迎えたことにより、桔梗の存在はこれまで以上に犬夜叉の心に強い印象を残す。
さらに犬夜叉の心を見抜いた花皇の言葉、「その女(ひと)の後を追って死にたいくらいに・・・」の言葉はかごめを深く傷つける。
花皇の花がかごめに効かないのは、幻影殺と同じくかごめの魂の強さだと思うのだが、今回は弥勒の数珠のせいらしい。
(数珠を持ちながら幻影殺その他にかかってしまう弥勒の立場がない。)

今回かごめ個人に対しては強い感動を覚えながらもいまいちテンションが上がらないのは、桔梗の死が「ネタ」になってしまったからだろう。
未だに私の中で一番印象的なかごめは「出会った場所」。
その後もかごめの凄さ、優しさ、いじらしさを感じるエピソードはたくさんあったが、「出会った場所」に勝るものはなかった。

犬夜叉やかごめが精神的に大きく成長するエピソードはたくさんあるが、そのきっかけのほとんどが他から与えられたものだった。
奈落や白童子、桔梗や梓山の精霊などが彼らに「試練」を与え、それらを乗り越えることにより成長する。
そういう意味では犬夜叉もかごめも非常に受動的である。
「出会った場所」のかごめは全て一人で苦しみ、一人で気づき、一人で受け入れる。

その決断のもたらす意味、過酷さをまだ知らない幼さ、純粋さのもたらすものではあったけれど、あの時のかごめは本当に清々しかった。
それまで漫画という架空世界に対し、悪く言えばどこまでも冷めた見方をしていた私が、初めてヒロインかごめに生きてる人間としての強烈な共感を持ったように思う。
かごめを賞賛する時によく登場する「健気」という言葉、私はこの「出会った場所」のかごめに贈りたいと思う。

そして今回、犬夜叉とかごめは花皇により「桔梗の死」を乗り越えることになるのだろう、それが寂しい。
ずっとずっと犬夜叉は桔梗を想い、かごめはそんな犬夜叉を想い、それでいいじゃない、と思う。
そして長い長い時間が過ぎて、少しずつ少しずつ犬夜叉の傷は癒え、かごめとの絆も少しずつ少しずつ深まっていく、それが理想。
私の理想は犬夜叉とかごめにとって酷だろうか。

けれどたったひとつのエピソードでがんばるかごめ、目が覚める犬夜叉であるよりも、ある日ふとそばにいるかごめに気づいて欲しいのだけれど。
初期の「犬夜叉」における二人の恋はそのように描かれていた。
少しずつ互いの存在を意識し、何事もなければ今頃は「喧嘩するほど仲がいい」カップルだっただろう。
桔梗の復活により一気にそれまで培ったものが崩れ落ちる。

その後は言い方は悪いが「だらだらと」二つの恋が続く。
そして桔梗の死により恋のひとつは昇華した。
ここで大急ぎでもうひとつの恋をまとめなくても、と思う。
何をそんなに急ぐのだろうか。

さて捕らわれた犬夜叉は蔓?に絡め取られている。
不謹慎ながらこの姿に桃果人を思い出し、血の涙に琥珀を思い出してしまった。
悲しみを忘れさせてくれる「安らぎ」に身を委ねる犬夜叉。
その安らぎが偽りであることは涙が血の色をしていることでもわかる。

そしてそんな犬夜叉に叫ぶかごめの「そんなのだめよ。」という心の叫び。
こんな形で犬夜叉を失いたくないかごめの究極の我侭か、こんな形で犬夜叉を失うわけにはいかないかごめの究極の正義か、この表情も切ない。
かつて桔梗に地獄に連れ込まれそうになった時、やはり意識を失っていた犬夜叉の心にかごめの叫びが届き、犬夜叉は意識を取り戻した。
なんだかこれまでの総集編のような展開が続く、これも結末が近いせいか。

外からの援護はかごめの破魔の矢。
結界を破るために「自らを守る数珠を矢にかける」とわざわざ念を押すところに、犬夜叉を守ろうとして危機に陥るかごめを暗示か。
アニメが終了間近になって次々とレギュラー、準レギュラー級キャラの総まとめ的なエピソードが作られたが、最近は原作にも同じ匂いを感じるのは私だけだろうか。

最後から2番目のページ、来週号予告で「犬夜叉」激闘巻頭カラーは嬉しいが、紙面が汚すぎ(涙)。
あと「史上最強の弟子ケンイチ」のアニメ、来週キャスト発表?とか。
たしかサンデーCM劇場では風林寺美羽がたしか雪野五月さんだったような。
「犬夜叉」の他にアニメ「結界師」とか「史上最強の弟子ケンイチ」の感想書こうかな(笑)。

他に今週の「ハヤテのごとく」は「残酷な天使のテーゼ」ネタが嬉しかった。
これまではひとつもわからなかったし。
あと水口尚樹先生の「地底少年チャッピー」が最終回。
最初から読むことはまずなかったけど、サンデーを処分する前にはなぜか読んでる奇作?
水口先生、ご苦労様でした。
(2006年9月13日の日記)  
犬夜叉が、ふり向いた
原作少年サンデー2006年9月20日(42号)第474話「傷ついた心」

          ☆          ☆          ☆

「やわじゃない絆」に脱力、「確かな絆」で持ち直した赤づくしの今週号。
それにしてもせっかくの巻頭カラー、これですか。
もう少し美しく、花に埋もれたかごめとか、花皇戦後の二人とかにして欲しかったな(笑)。
花皇の体から群れて出てきてるのが色つきなだけにどうしても某長物系(ミ○ズ)に脳内変化してしまう。

衝撃的な中表紙に続き(この場面、かごめは見てないんだよなあ)、犬夜叉が見たものは蔓に捕らわれたかごめ。
あれ?っと思ったんだけど、先週号の最終ページ、数珠を手放したことによりかごめが蔓に襲われる危険を感じさせる。
そして今週号ではすでに襲われている。
かごめが蔓に襲われる瞬間が描かれない珍しい展開。

なんとなく巻頭カラーで、同時に今週で花皇編を終わらせようとしているのか?という無理矢理感が強い。
かごめがつかまる瞬間って緊迫感のある必須カットだと思うのだけれど、ここでは切り替えて犬夜叉側からかごめの危機を描く。
かごめの内面を描かないのはどうしてだろう。
見たい反面見たら切なくなりそうな気もする。

これでもか、と描くことの多い最近にしては珍しく読者の想像に任せる手法か、ひさしぶり、ドキドキする。
犬夜叉の腕の中、というより弓を手にした瞬間、かごめの傷ついた魂を嬉々として味わっていた花皇が沈黙する。
このタイミングは絶妙、かごめに自分を取り戻させたのが何だったのか、いろいろ想像してしまう。

花皇の言葉に対する怒りか、犬夜叉の腕の中だからか、それとも弓を手にしたことにより培われ、結ばれた桔梗との「絆」のせいか。
この後のかごめが最高にかっこいい。
「あんたに喰わせる不幸はないわ!」
久々にぞくっとした。

でも「発表」って言葉を使うのはそぐわなくておもしろかった。
たぶん犬夜叉も花皇も意味わからなかったんじゃないかと思う、まじめに聞いてれば。
かごめが感情のままに言葉を爆発させても、現代用語で煙に巻くことって少ないけれど(テストといった単純用語じゃなくて、人に聞かせる言葉として)、今回はわざ使わせたのかな?

それにしてもかごめ、いざという時犬夜叉は必要ないというのが笑える。
もちろんいつも心の中に犬夜叉への信頼感が根づいているからこそなのだろうけど。
もしかしたら桔梗よりも自立している少女なのかもしれない。
ただ次のページ、かごめの顔のそばかすみたいな点々が凄く不思議。

花皇を倒した犬夜叉とかごめが心を開いて語り合う。
花皇、あっけない。
花皇、さようなら。

先週は花皇編で桔梗問題を一気に片付けてしまうの?と心配な気持ちを書いた。
今回互いの恋の告白はなかった(あってもおかしくないと思っていた)。
今回犬夜叉は桔梗をふっ切ることはできなかった。
でも今回初めて犬夜叉は桔梗に心を残したまま、かごめの心を思いやった。

この日のためのこれまでの二人の関係だったのかと思ってしまうほど「やっと」だった。
同時にわかってやれる、受け入れてやれるかごめがとても嬉しい。
これで二人は桔梗に想いを残したままこれまでの関係を続けていける。
そして「衝撃の新展開」にすんなり入っていける。

小気味良い前半としみじみとした後半、行き過ぎずやり過ぎず、でもおもしろいだけでこみ上げる感動も湧き上がる嬉しさも特に感じないのは、あまりにうまくまとまってしまったからだろう。
「どうしてそんなに(優しい)」の部分はいるのかなあ。
「強くなんかないわよ バカっ!」「ぺたっ(効果音)」で終わって欲しかったかも。
最近「おすわり」当然使用の場面でもあまり使わなくなった(シリアスなエピソードが続いたせいもあるだろうけど)けど、最後をギャグで締めるのもお約束にしなくてもいいような気がする。

それだけ心をさらけ出すことができた、やっと以前の気のおけない二人に戻ったという見方もできる、その方がいいのかも。
そして最後、七宝の花粉症も完治?一行の旅は続く。
でも見つめ合う二人の表情はとても優しく、柔らかい。

「犬夜叉」キャラの恋はおしなべてドラマチックだ。
犬夜叉と桔梗しかり、奈落と桔梗しかり、「前回の」殺生丸とりんしかり。
そんな中、いかにも普通の恋をしているのが犬夜叉とかごめ。
ドラマがないと思っていたが、実は一番現実的な恋なのかもしれない。

今回は他に「あいこら」と「結界師」がおもしろかった。
縄太が可愛い(笑)。

あとアニメ「史上最強の弟子 ケンイチ」の声優さん情報が追加。
名探偵コナンの高山みなみさん、殺生丸の成田剣さん、十二驍宗藤原啓二さん、BASARA家康大川透さん、無双家康中田譲治さん他豪華声優陣の勢ぞろい。
主役キャラではBASARAいつきの川上とも子さん、りん&BASARAお市のの能登麻美子さん、めぞんの五代くん二又一成さんなど。
なんか次々にアニメ化されてて把握が追いつかない状態。

その「史上最強の弟子 ケンイチ」がカプコンよりPS2にてゲーム化が決定したとのこと。
最終ページの先生たちの見た夢の話もおもしろかった。
(2006年9月20日の日記)  
桔梗がしていったこと
原作少年サンデー2006年9月27日(43号)第475話「鏡」

          ☆          ☆          ☆

「犬夜叉」この辺かなあとパラッと開いた今週のサンデー。
232ページの奈落の手の黒い四魂の玉のとこだった。
とっさに弥勒の風穴に異変が?とドッキドキ。
弥勒じゃなくて奈落の顔があったので一安心した次第。

「衝撃の新展開」とは「犬夜叉とからくりサーカスが衝撃のコラボ、戦国時代にオリンピア出現!」だった。
表紙といい232ページといい奈落の陰気な表情がすごくいい。
同時に奈落を打ち抜く瞬間の奈落を見据える桔梗の眼差しもすごくいい。
この後の犬夜叉との別れの場面が消滅するほどのかっこ良さ。

奈落は桔梗が死の間際にしていったことを知る。
奈落が穢した四魂の玉の芯に、桔梗の放った矢は一点の清浄を残し、その光は犬夜叉の鉄砕牙に力を与え、奈落の命を脅かす。
おもしろいな、本当におもしろいと思った。
ところがこの桔梗の最後の仕掛けがおもしろ過ぎるあまり、現実の物語のおもしろさの方が半減してしまった気がする。

「犬夜叉」のキーアイテムは当然のことながら「四魂の玉」だろう。
この四魂の玉に影響を与えてきたのは常に奈落と桔梗だった。
時にかごめが浄化したりもするが、基本的に犬夜叉やかごめの仕事はかけらを集めることばかり。
死してなお四魂の玉が桔梗にここまで操られるものならば、四魂の玉に関する犬夜叉とかごめの立場は一体何なのだろう。

穢すのは奈落、清めるのは桔梗。 最後の瞬間に犬夜叉の鉄砕牙が四魂の玉を斬るか、かごめの破魔の矢が四魂の玉を粉砕するかはわからないが、最後にいくらインパクトがあってもそこにつながる仕事がかけら集めでは説得力もない。 主人公犬夜叉の魅力、ヒロインかごめの魅力にぐいぐい惹きつけられる時期も過ぎ、四魂の玉は陰の主役の奈落と死したヒロイン桔梗の間で変化する。
肝心の犬夜叉とかごめが読者である私とかみ合わなくなってきているのだろうか、とても気になる。

さて心がないはずの神無、無であるはずの神無は吹きすさぶ風に神楽を想う。
印象的なシーンだが、現れたのは夢幻の白夜。
白夜が伝えた奈落の伝言は「鏡を開放しろ。」だった。

旅を続ける犬夜叉たち(目的は何?)はある村で不思議な光の話を聞く。
わけのわからない人助けには乗り気じゃないはずの犬夜叉が、今回は積極的。
不思議がる七宝に向けたかごめと珊瑚の台詞がいい。
こうして少しずつ桔梗の死を乗り越えていく姿を見せてくれればいい。

光る場所、神無の鏡が浮いていたその中から現れ出たのは鏡の妖(あやかし)。
神無に妖気がないから鏡のあやかしにも妖気はない、風の傷も出ない。
そればかりかそのあやかしが鉄砕牙を作り出した。

今回は神無の鏡が生み出したあやかしよりも、それをさせた奈落の意図に興味がある。
そして最愛の女性であり、最大の敵であった桔梗の死を迎えながらも怯え、陰気な顔をしている奈落がいる。
それが一番嬉しかった。
障害物は消えた、ばんざい!の奈落ではあまりにつまらない。
(2006年9月27日の日記)  
神無の異変
原作少年サンデー2006年10月4日(44号)第476話「敵は鉄砕牙」

          ☆          ☆          ☆

これまで476話に476サブタイトルが付いてきたサンデー「犬夜叉」だが、こんなサブタイトルは初めてではないか。
アニメっぽいというか語感が違うというか、「敵は鉄砕牙」。
表紙ではなく本編に入って「鏡の化け物が」に続くあおりが入る、これも珍しい。

鏡の枠を背負った姿がなんだかおかしい鏡の化け物だが、さすがにこの時期になると、このエピソードが犬夜叉の危機よりも神無の結末につながるのではないかという予想にとらわれる。
心のない神無ならば、自らの死に対する恐れや哀しみは感じないのだろうか。
先週の神楽の回想を見る限り神無にも死を悼む心はあるように思えたが。

その神無が化け物を操り、化け物は風の傷、弥勒の結界を破る赤い鉄砕牙、そして金剛槍破と立て続けに発動してくる。
映画「時代を越える想い」にも弥勒の風穴のコピーが出てきたが、こちらは本家犬夜叉の鉄砕牙の妖力を写し取られたようなもので、犬夜叉の鉄砕牙は何の妖力も発動しない。
ただし変化はしているので、そこは鏡の化け物の限界か。

恐るべき強敵の鏡の化け物だが、いまいち「犬夜叉」にそぐわないのは戦国時代に似合わぬキャラクターのせいか。
どうも他の漫画のキャラがゲスト出演してるような気がしてならない。

鉄砕牙が使えない犬夜叉に代わり、風穴、じゃなく結界披露の弥勒に珊瑚の飛来骨、そしてかごめの破魔の矢と自然な感じで仲間が援護。
鏡の化け物に効き目はないかに思えたが、かごめの矢は神無にダメージを与えたか。
夢幻の白夜がいるとはいえ、ここで神無まで退場するとなるとあまりに寂しい。
そもそも妖怪を分解してくっつけてできた神無がなぜ邪気も妖気もない「無」になり得たのか解明されてないし(解明されずに終わるだろうが)。

夢幻の白夜、登場時には蛇骨の雰囲気を継いでる感じでいいなあと思ったのだが、出た時期が悪かったのかどうもインパクトに欠けるきらいがするのはなぜだろう。
善ではもちろんないが、悪でもない中途半端故だろうか、好きなんだけどなあ。
このまま見せ場なく終わるのだろうか、夢幻の白夜。

などと「愛のエプロン」見ながら書いてたら、梅沢富美男さんの漁の場面で「犬夜叉」のテーマが流れた。
うわっ、懐かしいなあ。
CDはしょっちゅう聴くけど、アニメ以外の番組で聞くのは久しぶり、嬉しかった。

他におもしろかったのは「ハヤテのごとく」。
ハヤテとヒナギクのデートに1%の危機感もないマリア、いいのか?それで。

最終ページの子供の頃よく注意されたことに対する先生方の回答もおもしろかった(笑えないのもあったけど)。
特に畑先生(ハヤテのごとく)と高橋先生。
ちなみに私はよく忘れ物をして怒られてた記憶がある。
遅刻はなかったけどのんびり屋、なのに小心者で運動会の前の日は眠れなかったり。

性格ころっと変わったのは少佐に出会った思春期からか・・・。
何もかもが懐かしい(笑)。
(2006年10月4日の日記)  
神無に気づけない犬夜叉
原作少年サンデー2006年10月11日(45号)第477話「犬夜叉の妖力」

          ☆          ☆          ☆

鏡の化け物が放った金剛槍破、その槍はかごめたちも犬夜叉も守ったのだろうか。
犬夜叉の鉄砕牙にも当たってないけど力で押し負けてるのだろうか。
とにかく鉄砕牙の守りの結界が働き、かごめたちを救ったが、今回の危機に犬夜叉が変化し始めた。
これにはちょっと驚いた。

これまでの成長の中で、もはやどんな危険にさらされても犬夜叉が変化することはもうないだろうと漠然と思っていたから。
犬夜叉がまだ未熟というのではなく、半妖の本能の為せることなのだとしても、う〜ん、不思議。
変化しても心は失っていないという描写がその辺のバランスだろうか。
パワーはアップ、でも理性はキープならば、妖犬化した殺生丸のようなもので、強くなるならそれでいい。

その犬夜叉、金剛槍破は弾き返すが、自分の攻撃は効き目がない。
悔しがる犬夜叉だが、そのダメージは確実に神無を蝕んでいた。
痛がらないし、騒がない神無だから誰も気づけない。
だが、もしここで夢幻の白夜が犬夜叉に伝えたらどうだろう。

夢幻の白夜がここで見物しているのはその役を(先生に)担わされているからではないだろうか。
神楽に対してはひどい目に合わされても殺す気にならなかった犬夜叉たち。
神無はその感情を見せないこと、犬夜叉たちに直接相対することがあまりないことが神楽とは違う。
そのために、犬夜叉たちが神無というキャラに対してどのような感情を抱いているかはあまり描かれない。

ただ、ビジュアル的にも幼い少女の神無を今の犬夜叉が鉄砕牙で叩き斬るみたいなシーンは想像できない。
むしろ今回みたいに知らないうちに殺してしまうか自滅するか、奈落に殺されるか、やだなあ。
白霊山では琥珀と名コンビだった神無、淡々と生き延びて欲しい。

その頃瘴気のベッドでくつろぎ中の奈落、所は富士山?と思ったけど戦国時代に噴火したのはこの近辺では群馬県と長野県の境に位置する浅間山。
写真で見る限りは違うな、形。
最猛勝ネットで犬夜叉の妖犬化を知った奈落は竜鱗の鉄砕牙を指示?
犬夜叉自身が育てた巨大妖穴を切り捨てられる危機だが、そこは犬夜叉の方が刀の特質を知り尽くしている。

今回は意外なほど(笑)七宝の出番が多く、ここでも竜鱗の鉄砕牙の解説。
鉄砕牙と一体になった犬夜叉の渾身の攻撃が出たところで以下次号。
神無の危機はあるけれど、戦闘メインの今週号は読む方も淡々としてしまった。
ここはやはり犬夜叉キャラへの思い入れ度により、テンションにも差がつくのかも。

私はむしろ表紙のアニメ結界師「10・16(月)歴史的開戦!!!」がインパクト大だった。
10月16日月曜日夜7時、6年前の「犬夜叉」記念日だ。
巡りめぐって月曜日、時は流れた。
(2006年10月11日の日記)  
神無の心
原作少年サンデー2006年10月18日(46号)第478話「鏡の影」

          ☆          ☆          ☆

花皇編あたりから思っていたのだが、なんか展開が唐突でびっくりすることが多い。
今回はいきなりかごめが神無の異変に気づくが、喉の傷はかごめがやったことは、なかったことにしたらしい。
もちろん何話が結末と決まったわけではないが、最終回に向けてストーリーを細かく刻み、振り分けているかのような印象を受ける。
それで話がポキポキ変わるのだろうか。

でもやっと犬夜叉も神無への(鏡の化け物への)攻撃中止、知らずに手にかけてしまうことがなくなってほっとした。
かごめの説得にも反応しない神無だが、あえて「・・・・・・」と入れたことで、むしろ何か思っているように見えないこともない。
妖犬状態にありながら神無の状態を冷静に見ている犬夜叉も神無を止めにかかる。
しかし神無は犬夜叉にさらなる攻撃を仕掛ける。

「犬夜叉が神無を殺さざるを得ないように。」
それが奈落の狙いだった。
奈落はその場にいないのだから、犬夜叉たちもどうすることもできない。
犬夜叉が妖怪化していた、鏡の化け物に鉄砕牙の妖力を奪われていた、という二重の幸運?でなんとかもっている犬夜叉。

鏡の化け物が出て来た時は、その戦国時代にそぐわない姿からあまり好きになれなかったが、攻撃形態のおもしろさで読ませていく。
さらに神無の危機とわかっていても、神無を攻撃(鉄砕牙の結界で攻撃をはね返すことが攻撃となる)せざるを得ない犬夜叉。
鉄砕牙にひびが入ったのと、神無が限界に近づいたのは同時、緊張感が一気に高まる。

自らの命と引きかえに犬夜叉を倒すこと、それが「おまえの生まれてきた意味だと知れ。」
瘴気のベッドでほくそ笑む奈落。
神無の服装とその壊れ方に、どこか桔梗を思い出してしまう。
苦痛に耐えるかのように体を折り曲げている神無、痛々しい。

心がないからと言って痛みを感じないわけではないと思うのだが。
痛みや苦しみや、怒りや悲しみを表現することのできない少女なのだろうか。
神無はどこまでも従順に奈落の命令に従う。

もしも神無が助かるのなら、それは犬夜叉たちよりも、むしろ夢幻の白夜に可能性がありそうだ。
揶揄する白夜に怒りもしない神無に白夜は異常なものを感じ取る。
大体最猛勝が来ているのに、ここに夢幻の白夜がいる必要はないわけで、そこに何らかの意図(奈落の、もしくは先生の)があるように見える。
もしくは奈落のあまりの非情に神無が怒って遂に反旗を翻すか。

神楽と違い、奈落に決して逆らうことなく生きてきた神無だが、ここで退場があってもおかしくない雰囲気が怖い。
犬夜叉は戦うだけで精一杯、その防御すら神無を傷つける。
かごめの破魔の矢もここにいない奈落には届かない。
珊瑚の飛来骨はこの場合問題外だが、注目すべきは弥勒の風穴。

これまで犬夜叉が培ってきた鉄砕牙の妖力と神無の命、弥勒は選べない。
それに風穴で化け物を吸い込もうとすれば、なんだか神無も一緒に吸い込まれてしまいそうな気もする。
やはりここは夢幻の白夜に期待したいが、この性格では望み薄か。
ただ、主役じゃなくても悪役であっても、共感の持たれやすいキャラが後味の悪い最期を遂げたことはない。

神楽、桔梗にしろ蛇骨、蛮骨らにしろ思い入れたっぷりに退場するか、そうでないキャラはあっさり消えた。
ここで本当に神無が惨い最期を遂げるとすれば、それは物語自体に後味の悪さを残すような気がするので、それはないだろう。
登場期間、琥珀との関わりなどにおいて、神無の存在は読者の中に深く食い込んでいると思うのだが、どうだろう。
(2006年10月18日の日記)  
神無に変化が?
原作少年サンデー2006年10月25日(47号)第479話「無」

          ☆          ☆          ☆

神無はなにも感じない。

「神無は痛みを感じない。」
奈落が言えば痛みを感じるように見えてくる。
「神無は恐れを感じない。」
奈落が言えば恐れを感じるように見えてくる。
「神無は悲しみを感じない。」
奈落が言えば悲しみを感じるように見えてくる。

「情けの意味すらわからない。」
奈落が言えば意味をわかっているように見える。

囮となって赤子の元に赴いた瞬間。
神楽の風を感じた瞬間。
犬夜叉やかごめの「優しさ」に触れた瞬間。
そして破魔の矢と鉄砕牙で崩壊寸前の体で犬夜叉の前に立つ瞬間。

今回の戦闘でおそらく神無は滅びるだろう。
自ら滅びるか奈落に殺されるか。
いずれにしろ「犬夜叉に」殺されることはないだろう。

今回犬夜叉を苦しめた鏡の(化け物の)力が全て鉄砕牙に受け継がれたら、それは神無にとって、神楽と自分のための奈落に対する最高の復讐だ。
それとも無として生き、最後まで無として死んでいくのだろうか。
私としては前者であって欲しい。
奈落により作られた者であっても、神楽は生きる意味を見つけた。
神無は生きた証を残して欲しい。

あと夢幻の白夜による優しさのアピールが、少しくどく感じる。
少年漫画のヒーロー像、ヒロイン像を汚すわけにはいかないのかもしれないが、もしも神無が最後まで犬夜叉を殺すべく向かってくるのなら、犬夜叉の手できっちり決着をつけるべきだろう。
都合良く奈落が手を出したり自分から滅んだりしてイメージを守るなら、どうしても無理を感じると思う。

殺したくない相手は自分が殺さなくてもいいという展開も、続きすぎると嘘が生じる。
一部の相手にだけ思い入れたっぷりに苦戦するが、犬夜叉もかごめも、百足上臈、屍舞烏、そして逆髪の結羅とその手にかけた日から否応なしに巻き込まれてきた戦い。
もちろん金禍銀禍や神楽のように、相手の苦しみや悲惨な運命に共感する場合もあるだろう。
神無の場合はそれがあるのか、見た目が少女だからか、以前からのその辺の描写も欲しかったかも。

けれども次号は「最終決着」。
まさか奈落や殺生丸も出てきて最終回?ってなことないよね、と一瞬どっきり。
神無にとっての最終決着かとこれまたどっきり。
ここはやはり犬夜叉やかごめに神無を「救って」欲しい。

それでこそ優しさアピールした甲斐があるものだし、お礼に鏡の力をもらってハッピーエンドの最終決着とか。
私も惑わされてるな、神無のルックスに。
いえそれだけじゃなく、やはり「可哀そうだから」という気持ちが入る。
否応なしに生み出され、こき使われ、理不尽な死を押し付けられる神楽や神無への「同情」。

もちろん彼らのビジュアルにも関係ある。
悟心鬼とか霧骨の時はなんとも思わなかったのに、蛇骨や神楽の死の場面は切なかった。
ここが先生のキャラ作り(悪役であっても)のうまさかも。

鏡の化け物に(神無に)奪われた妖力が戻ってきた、その意味は?
「神無がくれた」と答えておこう。

今週は読んでる他作品が皆おもしろくて、特に「ハヤテのごとく」「あいこら」にときめいてしまった。
「史上最強の弟子 ケンイチ」「結界師」もおもしろかった。
(2006年10月26日の日記)  
感動とは言えない感動
原作少年サンデー2006年11月1日(48号)第480話「最後の言葉」

          ☆          ☆          ☆

読み終えた後の大きな寂しさは何だろう。
神無の死か、もはや作品と感動を重ねることのできない気持ちのずれか。

鉄砕牙を神無に構える犬夜叉に「斬るのか!?」とあえて聞く弥勒。

「ここまで壊れた神無に奈落も未練はないかもしれん。」と弥勒。
「生きのびられるかも・・・」と珊瑚。
「あなたはもう自由なのよ。」とかごめ。

彼らの言葉は作品中では奈落の言葉と対極にある優しさなのかもしれないが、私にとっては奈落と同様残酷だ。
これまでの奈落との対決の中、どこに用済みになった者を放っておくような要素を奈落に見出したのだろうか。
最後のかごめの言葉が神無に「自由」を意識させ、その瞬間神無は滅んだ。

確かに神無は生きた証を残した。
それが鉄砕牙の強さでなく、かごめの目に奈落を滅するヒントを仕込んだという部分はいい意味で予想を裏切られた。
さすがだと思う。
ただ神無が犬夜叉たちの優しさに「心」を得る過程が、すんなりと感動につながらない。

犬夜叉たちの「正」よりも、奈落の「悪」の方がむしろストレートに心に響くものがある。
憎むべき敵として奈落に相対することはできるが、正義の味方としての犬夜叉たちに気持ちを重ねることには抵抗がある。
なぜだろう。
キャラとしての犬夜叉たちが変わったわけじゃなく、読む側のこっちの気持ちが変わったのだろうけれど。

むしろ今回の犬夜叉たちの態度に共感し、感動できた人の感想を読みたい。
こちらの屈託を素直な感動で洗い流して欲しい、そんな風に思う。

神無は死にたくないだけだったのか。
風に神楽を思った時、自分の最後を予感しただけだったのか。
死にたくないだけじゃなく、あの頃から神無の中にはすでにもっといろんな想いが満ちていたと思いたい。

しかしかごめが神無から受け継いだもの、奈落を滅するためのヒントで話はこれから大きく進む。
「神無の想い」「神無の心」は「汚れた四魂の玉の中の光が奈落を殺す」というメッセ−ジ。
桔梗の最後の想いが神無を通じてかごめに受け継がれた。
奈落のために死んで行った者たち、去って行った者たちの想いの全てを受け継いだかごめの顔は凛々しい。
それは同時に犬夜叉たちにも受け継がれ、表紙の凛々しい犬夜叉とかごめへと続くのだろう。

結局夢幻の白夜は何のためにここにいたのか、最後までわからなかった。
犬夜叉たちの優しさにも、神無の最後にも特に感銘を受けた様子のない白夜だが、心に何かを残し、最後の奈落戦の意外な伏兵となることもあり得る。
今ひとつ印象のないキャラだが、神楽や神無のように、奈落を離れて殺されることはもうなさそうだし。
未だにこうして生かされているということは、犬夜叉たちの前に立ちふさがる障害のひとつに留まらない役割があるのかも。

と言っても奈落との直接対決以外残っている問題と言えば、琥珀くらいだが、白夜が琥珀に絡むことも考えにくい。
結局は出不精奈落の代弁者、狂言回しの役どころにおいてのみ生かされているのだろうか。

もうひとつ印象に残ったのは、神無の死後の奈落の言葉。
今週になってもまだ言ってる。
「そんなことも感じていなかったか・・・
 心を持たぬおまえは・・・」

ここまで続くとむしろ奈落は神無に生まれた「心」にすでに気づいていたのではないかと思えてくる。
だからこそあえて神無に自滅の道を与えたのかと。
考えすぎだろうか。

結局読み終えて、全てにおいての感動はあるけれど、ひとつひとつにおいての感動はないという、なんとも中途半端な感想になってしまった。

今週は他に「あいこら」「ハヤテのごとく」がおもしろかった。
(2006年11月1日の日記)  

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