犬夜叉サンデー感想(第491話〜第500話)
エリートゆえの?
原作少年サンデー2007年1月31日(9号)第491話「鉄砕牙と天生牙」

          ☆          ☆          ☆

「死神鬼により明らかにされた衝撃の事実」、衝撃的だったかと言われれば、むしろ戸惑ったというのが本音かも。
先週友達のサイトさんで感想を読んで爆笑したのが「律儀な死神鬼」についての記述。
確かに殺生丸が冥道残月破をある程度完成させたタイミングで出てくるには、これまでずっと殺生丸を見守っている必要があるわけだ。
意外と冥道残月破を教える時に「何も語らなかった」刀々斎が死神鬼に伝えたのかも。

竜骨精と違い、敵だけど敵じゃない、むしろ冥道残月破完成のための鬼教官のようなスタンスを感じるのはそのせいか。
死神鬼はかつて父君と闘い、負けて冥道残月破を「鉄砕牙」に奪われた。
奪われたけど死神鬼の冥道残月破が消滅したわけではないらしい。
完成形とはいえこの小ささは、奪われた残骸ゆえか?

ところが父君がこの奪い取った「危険にして不吉な技」を冥加は「思案していた」と言い、死神鬼は「もてあましたのだろう」と言う。
2人の言葉は似ているようで微妙にニュアンスが違う。
死神鬼が言いたいのは、せっかく奪った冥道残月破を使いこなせず、結局鉄砕牙から「いらない部分」と共に切り放され、天生牙として「疎んじていた」長男に与えたということ。
奈落の下手な策略よりこの言葉は殺生丸の心とプライドを傷つける。

私はむしろ、人間も妖怪も含め、その生死すらも左右するむしろ神の如き(あり得ないほど)力を持つ刀の持ち主にふさわしいからと兄に天生牙を与えたのだと単純に思った。
同時に初期に表現された、人を癒したい、救いたいと願う心を殺生丸に持って欲しいと願う父の心と。
鉄砕牙に拒まれたのは鉄砕牙が犬夜叉に与えられたものだったから。
仮に犬夜叉がどんなに桔梗を救いたいと願っていたにしろ、犬夜叉が天生牙を手にして桔梗を救えただろうか(りんや琥珀同様の死人の条件は別として)。

犬夜叉というキャラは、実は誰よりも桔梗の死を受け入れていて、天生牙による桔梗復活を願ったことは一度もないのだが、もしもの話。
できなかっただろう、どんなに望んでも、どんなに願っても。
殺生丸にしかできないことだろう。
生と死を司る刀、決していらない刀でも疎んじた息子に与える刀でもないと思うのだが、そんな簡単なことがわからない。
冥加が見ていた「思案する」父君と言うのも、殺生丸と犬夜叉、どちらに冥道残月破を与えようかと思案していたのではないだろうか。
そこがやはり人間の血を持つ半妖犬夜叉には強すぎる刀、力ということで。

私は冥道残月破以前に死んだ者を生き返らせるという力それだけで天生牙に優る刀はないと思うのだが、ここではあくまでも「武器」にこだわる。
これが犬夜叉だったらそんなことでひがんだり拗ねたりしないで、ならばそれを自分のものにしようと単純にぶつかっていくだろう、もしかして玉砕するかもしれないけれど。
そこが幼い頃から揉まれてきた犬夜叉と、エリート妖怪として(たぶん)すんなり生きてきた殺生丸との違いだろう。
ならば今目の前にいる死神鬼を倒せば死神鬼の持つ冥道残月破を越えたことになり、殺生丸の冥道残月破も完成するとは思わず、怒りに任せて突っ込んでいくところがいかにも熱い、幼い殺生丸。

これまでりん、神楽、琥珀や邪見(一応)との関わりの中で、その命を見据えてきた殺生丸にも得たものはあったはずなのに。
りんと母君編での殺生丸にも驚いたが、今回はまるで別人を見るような錯覚に陥りそう。
この無理感がいかにも後付け設定なのだが、この修羅場を見せるために犬夜叉たちがここに呼ばれたのか、そっちの方がよっぽどひどい。

ここで犬夜叉の援護を受けたら余計プライドがずたずたになる殺生丸だろうが、犬夜叉たちがここにいる意味を知りたい。
それにしても死神鬼、昔父君に負けたことに対する悔しさはないのか、ずいぶん負けたことを強調する(笑)。
その仕返しに息子をねちねちいじめているのか?死神鬼は。
妖怪と言うより冥界に生きる者なのだろう死神鬼。

冥界で父君と友達だったりして、「我が息子を鍛えてやってくれ。」と頼まれてたりして。
それにしても父君は「止めを刺さない」主義の妖怪だったのか。
竜骨精にしろ死神鬼にしろ、父君の残した「遺産」が息子たちを苦しめ、同時に成長させる。
生前そこまで考えていたとは思えないのだが。

最近コンビにまで走ることはほとんどなかったけど、来週の水曜日は久々に走るかも、コンビニに。
今週は他に「結界師」がおもしろかった。
(2007年1月31の日記)
殺生丸の最強武器は
原作少年サンデー2007年2月7日(10号)第492話「父の真意」

          ☆          ☆          ☆

拳骨だった、わけではないけどそうだった。
犬夜叉がかつて飛天に頭突き食らわしたシーンを髣髴させ、さすが似た者兄弟微笑ましい、わけでもない、でもおもしろい(笑)。

今週の「父の真意」、明かされるわけではなく死神鬼と冥加の言葉がさらに殺生丸を惑わせ、殺生丸自身もあれこれ考えを巡らせて、さらに墓穴を掘る。
それが前半。
ところが何のきっかけがあったかも定かでないまま、殺生丸は立ち直っているように見える。
しかもその言葉と行動が伴わないというなんとも不可解な展開。
苦悶ゆえか皺まで増えた殺生丸、痛ましいのだが話としてはおもしろい。

犬夜叉物よりおもしろく感じるのは殺生丸エピソードが短期集中連載でマンネリ化するほどないせいだろう。
しかもそのたびごとの殺生丸の行動や考え方が奇想天外で驚かされる分、おもしろ味も増す気がする。
そんな性格や行動をすんなり受け入れることができるかというと、また別問題だが。

父君への恨み言を心に並べつつ死神鬼にかかっていく殺生丸。
「青いな 殺生丸!」
殺生丸にそんな台詞を吐ける人はそんなにいない、もっと言って、もっと言って状態な自分が怖い。
「愚か者!きさまの爪ごときで、この死神鬼を倒せると思うか!?」
殺生丸に「ごとき」と来た。

でもそんな死神鬼の冥道残月破はことごとくはずす、殺生丸どころか阿吽にまで、しかも二度目。
どうも行動と言葉が伴わないのはこちらも同じ。
しかも最初に書いたように拳骨はまともに受けてるし。
殺生丸の誤解を解きたくてあせる冥加に弥勒がナイスな?フォロー。

死神鬼がずいぶん親しげに冥加の名前を呼んでるのも気になるが、直接返事してない冥加が惜しい。
ここで冥加が何か答えたら、父君との関係のいいヒントになったのに。
冥加の言葉は大体予想通りで冥道残月破は、というより「冥界の邪気(by死神鬼)」は半妖の犬夜叉には耐えられないが、殺生丸なら正しく使いこなすだろうと言う。
真の妖怪であることもだが、やはり父君の息子としての能力妖力の評価だろう。

しかしすっかりひがんでしまった殺生丸は納得しない。
ならば冥道残月破をまとった「鉄砕牙」を殺生丸に渡すべきだったと。
奇しくも死神鬼も言い方は違うが同じことを言ってのける。
殺生丸と死神鬼、どこか似た雰囲気というか、考え方とか性格とか共通してるところがあるようだ。

ただここで不思議なのは、死んだ者を生き返らせる力と冥道残月破は同じ一つの力ではないかということ。
冥界を操るからこそ死んだ者を冥界から連れ戻すし、生きてる者を冥界に送ることができる。
この「癒し」と「武器」は離すことができないのは明らかだ。
それを鉄砕牙につけて殺生丸にあげたら犬夜叉がもらえる物はなくなるのではないと思うのだが。

ここで完全に蚊帳の外の犬夜叉だが、なんとか話に絡ませようとするのか、いじらしいほどがんばり状態。
彼らが来たのってまさか冥加をこの場にいさせるため?って思うほどいらない感が強い。

さて殺生丸の心の変化。
傷ついた上に冥加の言葉を聞き、いじけ度アップで「もはや話すことなどない。」
なぜか死神鬼が殺生丸の失われた左腕をチェック、それに対して
「(父君が犬夜叉に残した鉄砕牙によって)失われたが、それを恨んでなどいない、闘いの上でのことだ」からと男気を見せる。

さらに天生牙の秘密を「心卑しいきさまの口から聞くべきではなかったな。
なにもかもがいじましく聞こえる。」と言い放つ。
なぜ急に人が変わったように大人になったのか。
「一発殴ってすっきりした」では答えになってないのだが、具体的な変化のきっかけが見えてこないので、どうしてもそう感じてしまう。

ずっと読んでて、まるで死神鬼=天生牙のように感じ始めた。
単なる敵ではないと感じた死神鬼、鬼教官の死神鬼、冥加と古馴染みの死神鬼、父君の宿敵だった死神鬼。
殺生丸は死神鬼を倒すことによって、天生牙の持ち主としての本当の資格を得るのではないだろうか。

殺生丸の拳骨で堪忍袋の緒も切れたか死神鬼、遂に止めの一撃を放つが、それに応えたのは犬夜叉だった。
立ち尽くす殺生丸。
しかし犬夜叉の金剛槍破も冥道残月破に飲み込まれてしまう。
最大の危機を迎えた犬兄弟だが、この時天生牙が大きく脈打ち、以下次号。

殺生丸がピンチだから反応するでは何の意味もないだろう。
天生牙を信じて捨て身の攻撃を放つか、心の中で父君との大いなる和解を果たすか、なにかのきっかけ、天生牙が殺生丸を認めるきっかけが必要だ。
これまでの鉄砕牙や天生牙の持ち主を救うための反応とは今回は違う、はず、だが・・・。
「天生牙」では冥道残月破の完成形はできないはず。

ここで次回犬夜叉を恨まないから、死神鬼を卑しいと言ったから冥道残月破完成だったらちょっと哀しいかも。
しつこいようだが犬夜叉、なんでここにいるんだろう(笑)。
犬夜叉と殺生丸、鉄砕牙と天生牙の合体形で冥道残月破完成だったらそれも哀しい。
今回は殺生丸一人の力で乗り越えるべきだと思った。

今週は他に「ハヤテのごとく!」「結界師」「イフリート〜断罪の炎人〜」がおもしろかった。
ちょっと見たいのがあって1号(12月6日発売)開いたら漫画の描き方教室「プロ魂」ってコーナーがあってこの回の講師が高橋先生だった。
巫女のコスプレ(矢まで背負って、汗)の高橋先生が漫画の描き方を教えてくれるわけだが、「作者がこう進めたいではなく、キャラが話を展開する」ってコメントが印象に残った。
危ない危ない、危うく読まずに処分するとこだった。
鋼牙のちっちゃなカットも嬉しかった。
(2007年2月7の日記)
不完全燃焼
原作少年サンデー2007年2月15日(11号)第493話「共鳴」

          ☆          ☆          ☆

最近は「名探偵コナン」ばりの推理漫画になってるな、「犬夜叉」。
一応死神鬼編は今週で終結し、次号からは新展開になるのだが、気分はなんだか不完全燃焼。
単なる悪役には見えない死神鬼への期待は大きかったが、最後まで兄弟の仲をごちゃごちゃかき回しただけで、あえなく消滅。
(冥界で元気に生きていそうではある。)

今回犬夜叉が最後まで話を仕切ったのは評価の分かれるところだろう。
何度殺されそうになろうと、いざとなったら恨みつらみはすっぱり忘れて協力を図る犬夜叉。
その裏表のない行動は殺生丸をリードし、結局冥道残月破を完成に導く。
そんな犬夜叉への思い入れの強い読者なら、感動は大きかったと思う。

私は逆に犬夜叉がいたから(鉄砕牙があったから)冥道残月破が完成して「しまった」事実にこだわる。
しかも父君が願ったのは兄弟の連携でもなければ想いの同化でもないらしい。
死神鬼の勘違いかどうかはわからないが、死神鬼は消える間際に「鉄砕牙がそばにあったから冥道残月破が完成した」とみなす。
では今後、殺生丸が一人になったら、そこで完全なる冥道残月破は生まれるのか。
犬夜叉がそばにいなければ、鉄砕牙がそばになければ元の木阿弥か。

ここはまあ天生牙が完全なる冥道残月破の完成を覚えたから、もう犬夜叉がいなくても大丈夫だろう。
そうでなくては殺生丸があまりに哀れ。
「犬夜叉」第一部「奈落編」が終了し、第二部「家族の絆編」に突入かと思われるほど怒涛の家族攻勢だが、死神鬼の残した言葉、そして冥加の「どきどき」は何を意味するのだろう。
昔は西国を支配していた父君、跡取りとして息子のどちらかを選ぶために獅子が谷底へ我が子を突き落とすように刀を与えて争わせるとか。

今現在東国をうろうろしている息子たちの代わりに西国は殺生丸の母君が治めているとか。
最後に勝ち残り、刀もひとつになって得た者が父君の跡を継ぐとか。
それが「犬夜叉と殺生丸が死ぬまで闘い続ける運命にある」ことなのか。
けれどこれまでの物語の流れでは、父君の性格として腑に落ちないような気がする。

どう考えても跡を継ぐなら殺生丸(妖怪&長男)だろうし、それ以前に未だに西国だの東国だの治める妖怪だのが存在するのだろうか、疑問は大きい。
犬夜叉が竜骨精と戦った頃、西国を父君が、東国を竜骨精が治めていて、竜骨精が西国に進出しようとして戦いになったのではないかと思ったことがある。
父君が受けた傷が元で亡くなるほどの強敵だったなら。
その結果父君は勝ったわけだから、日本統一したとか、だから犬兄弟が西も東も適当にふらついてるのだとか(笑)。

でも今の「犬夜叉」の時代は、むしろ妖怪たちも小さな縄張りを持って争い合う戦国時代のように見える。
だからこそ前述の跡取り問題→犬兄弟の最終決着説も却下したくなる。

今回またまた矛盾の泥沼に陥る殺生丸。
父上がなにを思い、殺生丸に天生牙を与えたかはもはや興味はない、と心に思いつつ、最後の最後、死神鬼の一言にまた振り回される。
ただこの繊細と言うかデリケートと言うか神経質と言うか、もしくは影響を受けやすいこの性格、親近感があって好きだったりする。
私が殺生丸だったら犬夜叉に向かって「おまえはいいよな、単純で。」とため息の一つもついてしまうかも。

犬夜叉にしてもこれまで培ってきたものの上に立つ単純明快さなのだけど、それにしてもうらやましい、犬夜叉が。

実は殺生丸の傷ついたプライドに手を突っ込んでぐちゃぐちゃかき回してるのが犬夜叉、追い討ちかけてるし。
今回の殺生丸は犬夜叉と死神鬼の二人がかりでいじめられたと言うか。
死神鬼、強さがよくわからなかったがおもしろさという意味では殺生丸の母君に続くクリーンヒットだっただけに残念でならない。
ここでいきなり天生牙に同化したり、父君の姿になったりしたら良かったのに。

それだけのインパクトはありそうなキャラだったんだけどな。
もしくは逃げ延びて奈落と合流するとか。
奈落のねちねち攻撃は犬夜叉にはよく効いたけど、殺生丸にはあんまり効果がなかったし。
死神鬼には殺生丸用要員で活躍してもらうとか。

ここで死神鬼編は終わり、兄弟の亀裂は謎のまま別のエピソードに入るのだろうが、こういった伏線の置き方、最近どうもすっきりしない。
それだけ話が複雑なせいか、今になって押し寄せてきたせいか。
この後奈落がちょろちょろ出てきて死神鬼並みのインパクトが出せるかどうか、乞うご期待。
それにしても完全なる冥道残月破はでかかった。

ギャラリー組まで吸い込まれてもおかしくなさそうなでかさだった。
これは是非アニメで見たかったな、綺麗だろうな。
闇の中で宇宙がきらきら。
あとりんが琥珀に「姉上にあいさつしなくていいの?」って聞いた言葉にときめいた。

姉上というのは琥珀の呼び方で、りんだったら珊瑚さま、だろうか?普通なら。
いかにもりんにそぐわないその呼び方が可愛かった。
今向き合っても交わす言葉はない、そっけなくすら見える琥珀の想い、そして見上げる珊瑚の想い。
さすがに飛来骨の出番はなし。

今週は他に「イフリート〜断罪の炎人〜」がおもしろかった。
キャラとストーリーのメリハリがすごくいい。
「ハヤテのごとく」はマリアとヒナギクの微妙な緊張感にドキドキ。
最近アニメ「結界師」もおもしろくなってきた。
声優さんに慣れたのか、声優さんが慣れたのか。

最終ページ、地震があったら持って逃げる物、の質問に高橋先生は「自分のキャラクター商品」。
ちょっと意外なコメントだった。
絶対「阪神優勝セールの記念グッズ」だと思ってたので(笑)。
(2007年2月15の日記)
ふたつの世界のどちらかを選ぶ日が?
原作少年サンデー2007年2月21日(12号)第494話「ふたつの世界」

          ☆          ☆          ☆

幻影殺から心の闇を通して奈落や白童子、読者がかごめの心に見たもの。
幻影殺では何もなく、心の闇では恋の辛さだった。
幻影殺当時はかごめの心の強さ、大きさ、清らかさ故だと思っていたが、後になって心の弱さを培う経験がなかったためだと思うようになった。
真由や桔梗を問答無用で救ったエピソードでもかごめの心の特殊性、思いやりの気持ちにはもちろん惹かれる。

けれど前にも書いたが、心に闇がなかったのは人を羨んだり妬んだり、惨めになったり自分を憎んだり、そんな性格でもなく、環境でもなかったからだろう。
可愛いし性格もいい、頭もそこそこ良く、みんなに好かれる女の子。
私は父親が早くして亡くなったのだと思っているが、たとえそうだとしても父親不在が影を落としている様子もない。

そんなかごめが戦国時代にタイムスリップして様々な戦いに巻き込まれる。
犬夜叉に出会い、桔梗の存在を知り、三角関係の渦に巻き込まれる。
そこで初めてかごめの心に闇が生じる。
逆に言うと、かごめの心に闇を持つ経験は恋、それだけである。

犬夜叉は奈落の陰謀により桔梗を殺され、蘇った桔梗に憎まれるようになった。
弥勒は祖父の奈落との戦いで穿たれた風穴を受け継ぎ、死へのカウントダウンを迎えている。
珊瑚は奈落に操られた琥珀により、父や仲間を殺され、琥珀の死も近い(とされている)。
七宝は奈落と直接関係ないと言えば言えるが、雷獣兄弟に父を無残に殺されている。

もともとかごめが戦国時代に持ち込んだ四魂の玉だが、それを砕いたとしてもかごめに直接責任はなく、かごめ自身気にしている様子もない。
そもそもかごめが四魂の玉と共に戦国時代に来る羽目になったのも、元はと言えば奈落と桔梗のせい?いえそれ以前に翠子のせい?

(かごめがわざわざ戦国時代に来る理由にはならないが。
かごめが四魂の玉を体内に抱いたまま現代を生き、現代で死んでも良かった。
かごめが戦国時代に行くきっかけになったのは百足上臈のせいで、これもまた奈落や桔梗は関係ない。)

そんなこんなで、私にとってかごめは常にドーナツの中心部分のような存在だった。
リングドーナツの中心部分、でも無、ではない。
ドーナツ(犬夜叉や桔梗や弥勒や珊瑚や七宝その他)に囲まれているし、その範疇から出ることはない、けど直接関わっているわけでもない。
かごめが奈落と戦う理由は犬夜叉のため、弥勒や珊瑚のためで、ヒロインとして以外の関わりは希薄な気がしていた。

そんな他人のために、本気で命をかけて戦えるところがかごめのかごめたる所以なのだが。
もうひとつ、かごめがいつでも現代に帰れるという設定にもどこか引っかかるものを感じていた。
特に「炎トリッパー」を読むまでは。
帰れるんだから、と言われればそれまでだが(笑)。
以前ある方ともメールでお話したが、個人的には戦国時代で犬夜叉と共に生き抜く、という気概を最後には見せて欲しいと思っていた。

長すぎる前置きになったが、そんなかごめが桔梗の死によりドーナツの中心から扇の要になったのだと思う。
奈落を倒すことは犬夜叉や殺生丸にもできるだろう。
しかし、四魂の玉の封印、消滅ということになればそこにはやはり巫女としてのかごめの力が必要だろう。

そして楓との会話で犬夜叉はかごめの死を想像し、怯える。
できることならかごめにこのまま現代で安全に生きて欲しいと願う。
一方かごめは現代で一人ぼっち、疎外感を感じている。
そんな2人のやり取りの部分、いつもの現代物とは違う雰囲気で読ませる。

かごめに強い決意はあまり感じられないが、桔梗に託された使命はしっかりと受け止めているようだ。
そんなかごめを犬夜叉は命を懸けて守ることを誓うのである。
ここでかごめはくちづけの予感にときめくが、残念ながら?家族が帰ってきて中断。

でもどうだろう。
犬夜叉はどちらかというと命優先モードで、くちづけの気配には程遠いように見えたが(笑)。
ここは読者の想像にお任せ、っていう高橋先生のサービスか。
気持ちを確かめ合って嬉しそうなかごめだが、最後のかごめのモノローグでそれまでのほのぼのムードが吹っ飛んだ。

「この時私はまだ、
ふたつの世界のどちらかを選ぶ日が来るとは思ってもいなかった。」

手法としても珍しい原作かごめのナレーション。
終結に向けた予感と期待感の増大で久々に興奮した、殺生丸編とは別の意味で。
次号は新展開となるが、それがこのモノローグに絡む新展開なのか、とりあえず置いといて新手の妖怪退治か奈落編か。

ただ最近の絵柄が感情移入しにくいのがとても残念。
昔の絵に戻って欲しいな・・・。
それとかごめが作ったキャベツとニンジンとタマネギ、ノンオイルのツナ入りやきそば、塩分ひかえめトマトジュース付き、がおいしそうだった。
明日の夜はこれにしよう。

ツナ入りやきそばって食べたことないし。
パスタはよく食べるけど。
ちなみに検索かけたら「昔ながらのソース焼きそば」はあった、ちゃんと袋入りも。
モデル?はこれかな?
塩分ひかえめトマトジュースはカゴメでしょう。
イラストのトマトの大きさが違うけど。

ドラマCD情報は初回限定盤と通常盤とでそれぞれ結末が異なる完全オリジナルストーリーってことは途中までは同じ・・・?
初回限定盤は高橋先生描き下ろしジャケット、だそうです。
(2007年2月21の日記)
父君の真意と琥珀の危機
原作少年サンデー2007年2月27日(13号)第495話「その先の考え」

          ☆          ☆          ☆

そういえば「連載500回をもって終了」説が出たのはいつだっただろう。
今週で495話、話は確実に終結に向かっているとはいえ、このままでは終われないテーマが山積している状況がわけもなく嬉しい。
ただドラマCDのタイトルが「紅と白の歌合戦」なのか、脱力。
今回も買うだけ買って聴かずに終わることになりそうだ・・・。

表紙を見て夢幻の白夜登場にあれっ?と気抜け状態になったが、今週の「新展開」はおもしろかった。
奈落は最近最猛勝を使わなくなったのか、白夜が地道に情報収集に飛び回っているらしい。
どうせなら戦闘の最中に来ればよいものを(笑)。
最猛勝の代わりに登場したのが冥道残月破から逃れたらしい岩虫。

岩虫っているのかな?と思って検索かけて胃の中から何かが逆流しそうになった(すみません・・・。)
なんて色鮮やかなミミズもどきの写真がたくさん(涙)。
こんなの使って釣りするんですか、私は絶対できそうにないです。
と鳥肌まで立ってくるほどすごい写真。

白夜が使う岩虫とはだいぶ違う、見なきゃよかった。
とにかくこちらの岩虫は喋るらしく、白夜に死神鬼vs犬兄弟の死闘の模様を語ることになるのだろう。
犬夜叉たちは今週はくつろぎタイムか出ては来ず、傷ついた殺生丸が一人刀々斎に八つ当たりに出かける。
この辺は全然変わってないな、殺生丸。

今回殺生丸が放った言葉には驚いた。
殺生丸なら冥道残月破を完成させると父君は見込んで殺生丸に天生牙を託した。
犬夜叉がいなくても巨大な真円を描いているので、殺生丸一人で使えることは明らか。

問題はその先。

「父上の真の目的は、この殺生丸に冥道残月破を完成させ―
そして再び天生牙を鉄砕牙に吸収させる―」

そして刀々斎は肯定する。
殺生丸の感じた屈辱と怒りはよく理解できる。

だが刀々斎が父君の真意、その先の考えが今の殺生丸にはわからないだろうと言った言葉、私にもわからない。
なぜ今の殺生丸に父君のその先の考えがわからないのか、それは形見の鉄砕牙にこだわっているから。
殺生丸が刀への執着も犬夜叉への憎しみも全て捨てた時が殺生丸が父君を越える時。

父君は殺生丸に王としての道を歩ませようとしているのか。
犬夜叉には刀をくれてやれ、おまえは王となれみたいな。
西国を治めていた父君、その死後妖怪世界がどうなったのかは描かれていないが、殺生丸には父君の跡継ぎとして妖怪世界を治める義務でもあるのだろうか。
殺生丸が一人前になるまで母君が代理で治めているとか(そんな風には見えなかったが)。

ただ実際問題として犬夜叉も殺生丸も、奈落がいたからこそいろいろな試練を経ることができたし、心の成長を遂げることができた。
奈落がいなければ、いつまでも兄弟喧嘩で終わっていたような気がするし、父君の求めるものが高尚過ぎて理解できない。
神楽やりんの「死」、死神鬼との戦闘の中で殺生丸は様々な心の葛藤を見せるが、犬夜叉への恨みも刀への執着ももうないように見えたのは気のせいか。
むしろ父君がいろいろいじったせいで、せっかく認め合っていた兄弟の仲がまたこじれてしまったようにすら見える。

なんか無理に難しくしているように見えるのだが、その先にあるものは私にも見えない。
殺生丸が天生牙も冥道残月破も手放して得るもの、個としての強さ?
でもたとえば奈落のような相手と戦う時に、武器がない状態とか、巨大犬専用になるとか?
くるくる回って光の鞭とか飛ばしたらやだな(笑)。
話は難しかったけど、とにかく刀々斎がおもしろくて、猛々も可愛くて、殺生丸には悪いけど何度も笑った。
ただ父君が望むような、あまり出来上がってしまった殺生丸というのも魅力・・・ないかも。

ここはしばらく殺生丸と共に悶々と悩むしかないかと思っていたら、それどころじゃない琥珀の危機。
邪悪な気配に気づいた途端、奈落に背後に立たれてしまった琥珀。
この時の奈落の場面がものすごくかっこいい。
難しい話が続いて奈落の価値も下がったかと思いきや、この出現ぶり。

今後の奈落に期待できるかも。
間に合うのは犬夜叉か殺生丸か、どっちでもいいから琥珀を助けて欲しい。
邪見とりんも危ないし。
冥道残月破で奈落を吸い込んで奈落編終了なんてことになったりして。

今週は他に「ハヤテのごとく」がおもしろかった。
早速お雛様作ってみたり・・・。
(2007年2月28日の日記)
相変わらずな奈落
原作少年サンデー2007年3月7日(14号)第496話「仕掛け」

          ☆          ☆          ☆

最近「殺生丸心の成長物語」のインパクトが強過ぎて、すっかり影の薄くなってた奈落と四魂の玉だが、印象挽回?のためにえげつなさで勝負する奈落。
前より色っぽく成長したような夢幻の白夜も本気の強さを見せ始める。
表紙にいきなり桔梗が登場で、さては蘇り?まさか!って驚いたけど、タイトル「仕掛け」で納得。
死の間際に桔梗がし残していったこと、それはかごめだけではなく琥珀にも関係あることだった。

でも今回の絵がなんとなく好きで、特に桔梗の表情がいい。
奈落の心にいる桔梗なのか、毅然とした厳しい表情。
同時に琥珀の守護神としてかけらの中から見守っているようにも見える。

「おれの四魂のかけらを取りに来たのか!?」
琥珀の問いに
「他になんの用がある。」
奈落のこの答えもいい。

桔梗の死を語る奈落だが、琥珀の心には奈落に対する恐怖よりも、桔梗の死を看取れなかった自分を悔いる気持ちがある。
そんなところに琥珀の大きな成長を感じると共に、珊瑚が越えきれない肉親の情を越えた使命感のようなものを感じる。
琥珀は考えてみれば、奈落と桔梗によって育てられたような少年だ。
奈落によって肉体の強さを手に入れ、桔梗によって精神の強さを手に入れた。

その心が四魂のかけら同様、奈落に汚されることはない。
まだまだ続く琥珀の危機だが、読んでいて清々しい気分にもなる。
桔梗の死を無駄にしないためにも生き抜こうとする琥珀、四魂のかけらを守ろうとする琥珀。
そんな琥珀を守るかのように、奈落に汚されたかけらを浄化する光。

それが桔梗の残した仕掛けだった。
おもしろいのが、琥珀のかけらが奈落を拒むのではなく、完成間近の奈落の四魂の玉の一点の光(桔梗の仕掛け)がかけらを浄化したこと。
もしも桔梗の死の際に、琥珀がそばにいたら、桔梗はかけらの方に「仕掛け」をしていったのだろうか。
その方が琥珀にとって安全なような気がするのだが、それなら最初からすればいい。

あくまで「玉」にこだわったことに理由はあるのだろうか。
奈落は琥珀の首を取り、直接かけらに触れずともじっくり汚すつもりらしい。
こんな時でも笑えてしまう邪見のがんばり、りんと阿吽も必死で琥珀と逃げようとする。

ここで気づいて助けに来るのが犬夜叉たちなのが意外だった。
別れたばかりの殺生丸も戻ってきて奈落の前で鉢合わせしたらややこしいことになりそうだから。
ここで夢幻の白夜が犬夜叉たちの足止めにかかる。
その隙に戻ってくるのか、殺生丸。

冥道残月破に奈落が吸い込まれてしまいました、おしまい、ではないだろうが。
ただ殺生丸は、四魂の玉に犬夜叉たちほど関心はないようだから、奈落と共に吸い込むこともなんとも思わなそう。
犬夜叉たちはあくまでも四魂の玉を完成させて、その上で滅しようとしているのだが、その話はどこまで伝わっているのだろうか。
都合良く弥勒も風穴でかけらを吸ったことはないけれど、全然かまわなかった時期もあるし。

余談だが、四魂の玉を弥勒が吸い込むなり、殺生丸が冥界に送り込むなりしたらどうなるのだろう。
未完成の四魂の玉。
かつて宝仙鬼がかけらを持って墓に入ったが、別に呼び合う風でもなかった。
未完成なのだからかごめの体から出たような「輪廻転生」もなくて、かえっていいような気もするが?

逃げ回るうちに再び汚れてきた琥珀のかけら。
白夜の巨大化した岩虫?に拒まれる犬夜叉たち。
ここはやはり殺生丸に来て欲しい。
完成した冥道残月破と迷える心、そして「命」への想いで奈落にどう相対するか。

りんほどではないにしても、琥珀の命に対する殺生丸の想いも軽いものではないだろう。
もしかしたら犬夜叉と桔梗、珊瑚と琥珀以上に強く結びついているかもしれない桔梗と琥珀の心。
ここは桔梗の加護で守って欲しい。
表紙も含め、4度も登場する桔梗、意外だけど嬉しかった。

特に奈落が桔梗を思い浮かべる
「桔梗―
これがきさまの仕掛けか・・・」
の構図と表情が好きだった。

          ☆          ☆          ☆

「ふたつの世界」の友達サイトさんの感想を読んで思ったことがひとつ。

「この時私はまだ、
ふたつの世界のどちらかを選ぶ日が来るとは思ってもいなかった。」

かごめが語るこの言葉。
かごめが「過去」を語っているのだということに気づかされた。
そうか、そうなんだ。

「犬夜叉」の世界は戦国時代を生きるなり現代に戻るなり、かごめにとってはすでに決着のついた物語なんだ。
第1話の神社の由来だの何だののモノローグはそれほど確かなものではない。
戦国時代に行くようになった時点で語ったといっても通用するが、今回の言葉は違う。

かごめはすでにどちらかの世界を選んでいるわけで、これまで全然語られてこなかっただけにいかにも唐突感を感じる。
感じるが、それ以上にそのサイトの管理人さんの読みの深さに感服した次第。
私はまだまだ読みが足りないなあ・・・、反省。
あせって感想書く必要ないのだけれど。

          ☆          ☆          ☆

今週は他に「ハヤテのごとく」「ワイルドライフ」「あいこら(笑)」がおもしろかった。
読切の「JUNGLE JUCE!」もおもしろかったけど、サンデーさん、なんでそこまで虫にこだわる?(涙)。
(2007年3月8日の日記)
弥勒と琥珀と珊瑚
原作少年サンデー2007年3月14日(15号)第497話「琥珀の首」

          ☆          ☆          ☆

まず表紙の必死な琥珀と厳しい珊瑚の並んだ横顔にせつなくなった。
よく聞く言葉で「高橋作品はハッピーエンドが普通」というのがある。
必ずハッピーエンドというより、残酷な終わり方をしないという意味だろう。
神楽や桔梗の死を彼女らのハッピーエンドと捉える人はいないだろうが、なんて残酷、可哀そうにと思う人もいないだろう。

本人がそれなりに納得して、あるいは幸せに包まれて死ぬのなら、それは高橋作品におけるそのキャラのハッピーエンドとなる。
弥勒と琥珀の今後もそんな形の終わり方になりそうな危機感がこのところ続く。
常に弟と恋人の死の危険にさらされてきた珊瑚だが、実は今回珊瑚だけが奈落の元に行くとは予想していなかった。
犬夜叉と一緒か殺生丸かあるいは全員か、そう思っていた。

飛来骨の変化という今にして思えば今回の伏線となるエピソードもあったのだが。
もはや奈落が人間の珊瑚に太刀打ちできる相手ではないという気持ちがあったのだろう。

たとえば弥勒が風穴で吸い込み、じわじわダメージを受けている瘴気も防毒面で防げる程度だし、そもそも奈落は瘴気で犬夜叉や仲間を殺す気はないようだった。
弥勒の風穴ならまだ奈落と戦えるかもしれないが、飛来骨を用い、雲母を使って空を飛べるだけであとは超人的な体力と退治屋としての技術しか持たない珊瑚では分が悪すぎる。

珊瑚が普通に父や琥珀、仲間と妖怪退治屋家業をしていたとしても、相手になるのはいわゆる「雑魚妖怪」程度ではないだろうか。
たとえば逆髪の結羅、飛天満天クラスではもう相手にならないような気がする。
そんな珊瑚一人が間に合ったところで、下手すれば琥珀をかばって自分が死ぬ、もしくは2人とも殺される、そんな展開になりそうで怖い。
今回の奈落は琥珀を本気で殺す気でいるから、とても危ない展開なのだが、その間際に飛来骨から「なにか」が出てくる。

ちょうど奈落の瘴気のようではっきりしないのだが、少なくとも珊瑚の心を知った妖怪たちは珊瑚の味方、兄弟を救い、奈落を救うための何かをしようとしているのだろう。
ただ飛来骨の材料になった妖怪たちも所詮は名もなき者たち。
奈落に太刀打ちできるとは思えないのだが、犬夜叉が来るまでの時間稼ぎにさえなれば。

一気に最後の感想まで飛んでしまったが、前に戻って夢幻の白夜が地中から生み出すものは巨大岩虫ではなく蔓だった、瘴気の蔓。
白夜は地中に生きる自然物を操る術を持っているようだ。
これまでの奈落一家にはあまり見られなかった術、奈落から直接譲り受けたかな?
久々のかごめの矢も相変わらず当たらない。

ここでまともに当たったら白夜退場で困るのだろうが、たまにはど真ん中を射抜いて欲しい気もする。
二矢目は折鶴の羽に見事命中、白夜は退散モードに入ったようだ。
これで犬夜叉たちもそれほど間をあけることなく珊瑚の後を追える。
心配なのはまた瘴気を吸ってしまった弥勒。

珊瑚を救うために命を捨てるのも恋なら、珊瑚のために何が何でも生き抜く決意も恋だと思うのだけれど。
一方りんと邪見を巻き添えにしないために、離れようとする琥珀にりんと邪見の反応がまたいい。
りんが琥珀の過去を知ってしまう部分も興味深い。
仮に琥珀が生き抜いたら、珊瑚と退治屋の里に戻る選択肢もあるだろうが、このままりんや邪見と共に生きることもできるかも。
かなわず汚れたかけらに操られ、自らの首を刎ねようとする琥珀。
ここで琥珀が自分の首を刎ねることはないにしろ、あまりに惨いシーンと、最早それほどまでしないとストーリーに緊迫感が出ないのか、その狭間で複雑な気持ちになる。

ただ最近は戦闘場面で中途半端な扱いが多かった珊瑚の247ページの立ち姿が懐かしく、嬉しかった。
想いだけで勝てるものではないだろう。
けれど想いでせめて救って欲しいと思う。
(2007年3月15日の日記)
新生珊瑚と新生飛来骨
原作少年サンデー2007年3月20日(16号)第498話「新生 飛来骨」

          ☆          ☆          ☆

ずっと「犬夜叉」を読んできて、「ここはこうなんだろうなあ。」「このキャラはこんな風なんだろうなあ。」などと考えてたことがことごとくはずれ、笑うしかない状態が続いている。
今回も「へっ?そうなの?」って反応が珊瑚と琥珀、両方に対して出てしまった。
奈落の言葉も不思議なのだけれど、私は琥珀はともかく珊瑚の心情は奈落の言葉に近いものがあるのではないかと思っていた。

奈落は言う。
琥珀が救われる方法は死ぬことだけ。

父や仲間を殺したことは琥珀にとって忌まわしい記憶だ。
そして琥珀は生きている限りその記憶から逃れることはできず、同時に珊瑚といる限り珊瑚もまたその記憶を琥珀に意識させる存在となる。
なぜならば珊瑚は操られた琥珀が父や仲間を殺す瞬間を見てしまったから。
そのために琥珀は珊瑚を「避けている」。

まずこの部分。
奈落の言葉は「以前の」琥珀を語っているように思える。
確かに琥珀は桔梗と共に珊瑚の元を去った。
けれどそれは珊瑚から逃げたわけではない。

自身が救われるかどうかは別として、今の琥珀が一番に望んでいることは、使命を果たすことだ。
桔梗が命をかけて守ろうとした琥珀の体内の四魂のかけら。
そのかけらを守り、奈落の目的を阻むことが琥珀の使命であると同時に琥珀にとっては償いともなる。
琥珀を操った奈落への、父や仲間の敵討ちともなる。

それには桔梗と共にいることが必要だった。
だから琥珀は珊瑚に別れを告げた。
癒しより使命を選んだ、そう読んだ。

この後奈落の糸に絡め取られた桔梗は琥珀を逃がすが、琥珀は夢幻の白夜に襲われ、桔梗も死を迎える。
そこで「たまたま」琥珀を助ける結果となったのが殺生丸。
毒にやられた琥珀を殺生丸は「やむを得ず」連れて行くが、途中で桔梗の死を知る琥珀。
さらに殺生丸が母君と出会い、りんと琥珀と共に冥界へ行くことになったから、琥珀としては殺生丸一行に加わったのは自然な成り行きだろう。

その中で殺生丸や邪見、りんと心を重ね、今はもう大切な一員となっている。
嫌な記憶を思い出すのが怖いから姉を避ける琥珀の姿はかけらもない、ように見えるのだが。
だがもちろんこれは奈落の解釈で、滔々と語っている奈落の方が見当はずれと言うこともできる。

次の驚きはその言葉を聞いている珊瑚の視線の強さ。
琥珀が父や仲間を手にかけたことは事実、確かにそうだ。
琥珀は自分のしたことに苦しんでいる、もちろんそうだ。
恥じている?

それはともかく、そんな琥珀が苦しみを乗り越えるまで、珊瑚は奈落と闘い続けると言い放つ。
これまでの琥珀に対する珊瑚の態度は、とてもそう思っているようには見えなかった。
むしろ琥珀を癒し、忌まわしい記憶を忘れることで乗り越えさせる、そのために自分は「琥珀を守る」。
限りなく優しく、でも琥珀を思いやる気持ちがむしろ琥珀を苦しめているようなそんな雰囲気があった。

琥珀が記憶としては苦しんでいても、気持ちの上では乗り越えた過去の過ちに、珊瑚はまだ捕らわれているような、そんな感じ。
今の珊瑚からは琥珀が苦しみを乗り越えるまで、「琥珀と共に」奈落と闘う、そんな潔さ、覚悟が強く感じられる。
私はむしろ、今回の奈落との会話を経て珊瑚の目が覚めた、珊瑚が成長したのだと思いたい。
今週のタイトルは「新生 飛来骨」だが、珊瑚もまた「新生 珊瑚」に生まれ変わった。

なぜか、それは奈落があまりに見当はずれなことばかり言うからだ。
でもそれはもしかしたら珊瑚が無意識のうちに琥珀に押し付けていたかもしれない気持ち。
その気持ちに珊瑚は気づく。
これからの珊瑚となら琥珀は一緒にいられるような気がする。

気持ちの上では邪見との漫才、りんとのほのぼのコンビ、愛想は悪いが実は面倒見のいい殺生丸など見たいので、殺生丸一行といて欲しいが。
しかし奈落が去っても琥珀のかけらは汚れたまま。
ならば必要なのは?かごめの力だ。

琥珀が珊瑚の元を去った時、かごめになかったもの、強い使命感。
桔梗の死を経てもう自分しかいないことを知るかごめなら、かけらの浄化も可能だろう。
動けない琥珀に近寄るかごめ、そこで今週はおしまいだが、次回はかごめの出番となるだろう。

さて今週もうひとつ大切なのが飛来骨。
失礼ながら、飛来骨はもう奈落相手の武器ではない。
そんな飛来骨が変化を見せた先週のラスト。

私はあれは飛来骨を形作る妖怪たちの魂が関係あるのかと思っていた。
けれどいくら珊瑚に想いがあっても所詮は普通の妖怪、奈落に太刀打ちできるのかと。
はっきり言って忘れていた薬老毒仙の毒、情けない・・・。
飛来骨は奈落の邪気を巻きこみ、砕かれた体が再生できないまま奈落は去って行く。

ものが毒だけに、奈落にも深刻なダメージが残りそうだ。
しばらく休養かな?奈落。
でも今回の去り方はマンネリを感じさせない迫力で素晴らしかったと思う。
「ありがたい。
奈落と互角に闘えそうだ。」の珊瑚の言葉が頼もしい。

しかし各キャラにどんどん奈落を倒せるかもしれない最終武器を与えて最後は一体どうなるのだろう。
犬夜叉の鉄砕牙とかごめの破魔の矢と弥勒の風穴と珊瑚の飛来骨と殺生丸の天生牙(その時まであるかな?)と七宝の狐妖術はないか(笑)で一気に片をつけるんじゃ悲しすぎる。
予想されるのは犬兄弟か犬夜叉かごめの連携か。
希望としては最後はかごめの一矢(桔梗の想いも込めて)で決めて欲しいのだけれど、犬夜叉だろうな、やっぱり・・・。

途中体を操られた琥珀が珊瑚を襲う場面がある。
これもかごめがかけらを浄化すれば問題ないわけだが、あえてこの場面を入れることで、そんなにうまくはいかないことを暗示しているようにも見える。
もうひとつ、犬夜叉に踏まれてしまった邪見が哀れで可愛くて吹き出しそうになってしまった。
(2007年3月22日の日記)
読めば読むほどわからない
原作少年サンデー2007年3月28日(17号)第499話「妖(あやかし)の破片」

          ☆          ☆          ☆

先週号でよくわからないなりに奈落、琥珀と珊瑚の言葉や行動を理解したつもりだったが、今週号でまたまたそれがひっくり返った。
おまけに殺生丸までなにがなんだかわからない行動に出る。
読者として予想していた展開が裏切られるのは、本来嬉しいことなのだけれど、どこか不自然に感じてしまうのは気のせいだろうか。

その前に来週号で連載500回を迎える「犬夜叉」。
いつだったか「500回終了」説が出たのは。
マンネリ、ループ(今回の殺生丸でループ説が再浮上する予感大)など最近厳しい評価が目立っているし、私自身も以前のように無条件に楽しむ段階ではなくなってきた。
それでも私は「犬夜叉」は続いて欲しい、終わらないで欲しい。
600回でも700回でも先生が満足して終わることができるまで続いて欲しいと思う。

楽しむことも批判することも、作品があるからできることだから。
物語は確実に終わりに近づいてきているが、499回を迎え、新たな問題(殺生丸との対決)が出てきたことで実はほっとしている。
これでしばらく琥珀の問題はお預けだろうし。
その殺生丸との対決が無条件におもしろいかというとその反対なのだが・・・。

まずは琥珀編から。
先週感想を書いた後、琥珀が珊瑚の元に戻らないのは、珊瑚といることによって使命を果たす決心が鈍ることを怖れている、というのもあるかもしれないなと思った。
珊瑚と別れた段階での桔梗の力と「今すぐにでも」奈落を滅するというあせりも兼ねた強い意志。
それが琥珀を動かした。

桔梗が死んだ時、琥珀は殺生丸といたが、もしも一人だったらどうしていただろうか。
やはり珊瑚の元に戻りはしなかっただろうと思う。
でもそれは珊瑚の「目と記憶」を怖れているためではなく。

作品として、読者として世界を見下ろせば、奈落を倒せる存在はいる。
かごめの霊力や弥勒の風穴、珊瑚の新生飛来骨(ただし疑問符付き)だが。
だがこの世界では奈落と対等に戦える存在は、桔梗亡き後は殺生丸と犬夜叉と見られているだろう。
その片翼殺生丸と琥珀はいるのだから、無理して珊瑚の元に戻る必要はない、それが自然だ。
珊瑚の庇護の下にいると、琥珀の「心が弱くなるから」。

ところが今週犬夜叉と珊瑚の言葉である。
私は琥珀の「使命」と何度も書いてきたが、それは一人で奈落を倒すことまでは意識していなかった。
永遠に続くものではないだろうが、奈落の手に落ちることなく逃げ切れれば、犬夜叉なり殺生丸なりが四魂の玉の力を借りずに倒すまでもてばいいくらいの気持ちだった。
確かに琥珀は奈落を倒すと以前言っていたが、実際問題としては無理だ。

琥珀がかけらの力(桔梗の残した力)を使って奈落を倒そうとしていたとは。
しかも琥珀に珊瑚が「心も(力も)弱い。」と言い放つとは。
珊瑚はただただ琥珀を失いたくなくて琥珀を守りたがっていたように見えたのに。
それが愛情の押し付けであるにしろ、肉親の情としては無理らしからぬことだからこれまで触れないようにしてきたが。

たしかに琥珀が一人で奈落に戦いを挑んだところで、殺され、かけらを奪われて終わりだろう。
全くの無駄死にだ。
けれど「犬夜叉」名うての暴走キャラの犬夜叉と珊瑚がこんなことを言うとは。
失礼ながら先週からの珊瑚はまるで別人である。

作品の中で奈落一家は時折「憑き物落とし」の役割を演じることがある。
奈落が姑息な手段で犬夜叉たちをいじめたり、言葉で苦しめようとすることにより、犬夜叉たちが自分の心と真正面に向き合い、時には醜い部分と対峙し、乗り越える。
かごめの「心の闇」などその最たるものだし、最近では梓山の精霊、死神鬼などもその役目を担っていた。
私は珊瑚にとっての憑き物落としが前回の奈落の嫌味だと思っていた。

たとえば奈落の言葉で珊瑚がはっとするとか、唇を噛みしめるとか、それまでの自分の琥珀に対する言葉や行動を振り返ってから強い視線で強い言葉を吐くのが自然だと思った。
その方がこれまでの理屈ではなく琥珀を守りたい、失いたくないと足掻く珊瑚の行動にマッチする。
ところがその時点で珊瑚はここまで理性的に考え、なのにこれまであんな行動とってたの?と違和感を感じる。

今回はかごめの言うとおり、殺生丸がたまたまいなかった不運と言うこともできるだろう。
犬夜叉と珊瑚はこれからの琥珀に何を求めるのか、今回は明らかにされていない。
かけらという切り札を抱えた命は、もはや琥珀一人の物ではないのだから、自分たちといろと言うのか殺生丸に託すのか。

かごめが琥珀の話と自分の記憶で考えていることもよくわからない。
「琥珀のかけらを浄化するかごめ。
その胸に去来するのは、亡き桔梗の・・・!?」とあるが、結局それは何だったのだろう。

とりあえず琥珀のかけらは浄化する。
奈落の中に、桔梗の力がはいりこんで、残っているのかと推理するかごめ。
神無が見せた汚れた四魂の玉の一点の光。
「あの光は桔梗の・・・」

かごめの思念はここで途切れる。
「魂」「霊力」「想い」など入る言葉はいろいろ考えられるが、ここは素直にわからない。
奈落と対決する時、その光を射抜けばいいと思い当たったのか、他に何か桔梗につながる部分があるのか。
けれど今回の穏やかなまとめ役としてのかごめが久々のおすわりを含め、とても好もしかった。

琥珀のことで頭が一杯の一行は弥勒の傷には気づけないまま場面は変わって殺生丸。
後半読んであれっ?と思った方も多いのでは?
私もそう、「人の腕」のくり返し。
あの時とは違う、今回は罠とわかって乗ってるのだと殺生丸は言うだろうが、それ以前に父君の意図が無理矢理鉄砕牙から奪い取るものだとは思えない。
そこに気づけない成長のなさというより駄々っ子のような姿が悲しい。

そんな殺生丸が悲しいのではなく、そんな風に描かれてしまう殺生丸が悲しい。
説明して得るものではないと父君や刀々斎は言うだろう。
でも何百年も生きてきて、今父君に強い不信感とないがしろにされたという落ち込み感を持て余し、犬夜叉への新たな憎しみ?に捕らわれる殺生丸、哀れである。
この展開だと、後になって全ては奈落の策略を越えて殺生丸が怒って見せたのだとか、刀の秘密を探り出す芝居だったなんてことになってもおかしくないかも。

こんなシリアスな話の中でも笑わせてくれるのが犬夜叉と邪見、時にはりんも加わっての会話。
犬夜叉ってほんと幼い(笑)。
邪見も幼い?
今週表紙のかごめと197ページの夢幻の白夜がとても綺麗でお気に入り。

他に「ハヤテのごとく」が相変わらずおもしろい。
やりたい放題やってる?感じが素敵。

今日は殺生丸版ドラマCDの発売日。
もう聞かれた方も多いだろう。
私は帰りにお店に寄ったけど、やっぱり届いてなかった(涙)。
最長一週間は待たされそう・・・。

高橋先生の思い出の味「盛岡冷麺」、私も大好き。
昔はよく日帰りで盛岡に食べに行ったな、盛岡冷麺「三千里」、まだあるのかな。
先日お気に入りだったケーキ屋さんとパン屋さんが2つも閉店、すごく寂しかった・・・。
(2007年3月28日の日記)
殺生丸の真意 〜祝!連載500回
原作少年サンデー2007年4月4日(18号)第500話「継承者」

          ☆          ☆          ☆

今週の「犬夜叉」は豪華プレゼントつき。
赤と青二種ののオリジナルロゴ入りパーカーか高橋先生イラスト&サイン入りDS lite、やはりサイン入りドラマCD計108名様。
特にパーカーだけで100名に当たる、これは欲しい。
奥義認定試験なるクイズもあって無双や神楽、肉づきの面までカラーで登場する。
コミック派の「あなた」も今週は買って損はないかも(笑)。

さて先週、殺生丸に関して「人の腕のくり返し」と書いてしまったこと、殺生丸に謝らなくちゃ。
私怨じゃなくて、犬夜叉が鉄砕牙の持ち主として認められし者かどうかをその身で確かめる心だった。
犬夜叉が殺生丸を倒せばそれで良し、犬夜叉にその資格がなければ犬夜叉を殺して天生牙と鉄砕牙を捨てる。
それは鉄砕牙の継承者として犬夜叉を「選んだ」父君への意地でもあるのか。

いくつかのサイトさんで殺生丸もリタイア候補の1人かもって予想を読んで、まさかと思ったのがけれど、なんだかありそうなことに思えてきた。
体が砕けた奈落の邪魔も入らないだろうし(邪魔する気もないだろうし)、かごめ達も制止できない世界に2人はいる。
今の殺生丸は奈落の思惑とはかけ離れたところにいるのだけれど、結局は奈落の思惑に乗ってしまったことになる。
今の状態では兄弟の和解も考えにくい。

今週は久々に余計なことを考えずに、ドキドキしながら読むことができ、おもしろかった。
殺生丸の顔がかっこいい時とおもしろい時の2通りあるのがちょっと笑えた。
鉄砕牙の継承者としての立場もあるけど、母君が治めているらしい妖怪王国?を治める意味での継承者は殺生丸しかいないから、風来坊をやめて母君の後を継ぐってリタイアもありかな?なんても思ってみたり。

なお「アニメイト」でも「犬夜叉」連載500回記念キャンペーンとして「犬夜叉」関連のAV商品を予約、購入1,000円ごとに1点、またコミックス、週間少年サンデーは1冊ご購入毎に1点ポストカードをプレゼントとのこと。
ポストカードは全5種類、好きな絵柄を選べるそうだ。
ってもうドラマCDもサンデーも買っちゃったしAV商品持ってるし(涙)。

サンデーの最終ページに高橋先生からのメッセージと共に「犬夜叉と殺生丸、最後の決着へー!!」とあるのがとっても気になる。

今週で終了を噂されてた連載500回。
いろいろ批判や評価を受けながら描き続けること、漫画が好きとおっしゃりながらも楽しいことではないだろう。
そんな批判や評価の全てを受け入れながら描き続けられてきた高橋先生、本当に凄い方だと思う。
「犬夜叉」に出会ってなんだかんだで漫画にハマり、アニメを通して声優さんにハマり、と私の人生までも激変してしまった(笑)。

なんてったって夜の食事や家のことなどした後は、ほとんど毎晩3〜4時間パソコンの前から動かない自分が当たり前な生活。
(最近ちょっとゲームに走ってるけど。)
「犬夜叉」に会うまでは自分でホームページ作るなんて夢にも思ってなかったし。
「犬夜叉」が与えてくれたもの、それは「エネルギー」かな?と時々思う。

夢ででもいいから高橋先生に会えたら、「犬夜叉を描いて下さってありがとうございます。」とお伝えしたい。
そしてどこまでも個人的な要望だけど、連載600回でも700回でも続いて欲しい。
先生に描きたいことがある限り。

今週は他に「ハヤテのごとく」がクリアファイルに執事メモと大盤振る舞い。
アニメはちょっと駄目だったけど、物語は相変わらず常識はずれにおもしろい。
(2007年4月4日の日記)

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