犬夜叉サンデー感想(第501話〜第510話)
父を継ぐ者 刀を継ぐ者
原作少年サンデー2007年4月11日(19号)第501話「還流」

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何に驚いたと言って今週号、「史上最強の弟子 ケンイチ」の最終ページのインパクト。
その隣りの犬夜叉、さすがのどアップもすっかり印象が薄れてしまった。
おもしろいと言えばおもしろいのだけど、納まりが悪いと言うか「犬夜叉」が損してるような気がするのだけれど。

今週も犬兄弟の戦いが続くのだけれど、殺生丸の心に微妙な変化が現れ、というより殺生丸の心の表現により、兄弟喧嘩から鉄砕牙の継承者としての適正試験に昇華したような印象を受ける。
ただそれも、最近の殺生丸の心の揺れ幅があまりに激しいためにすんなりと伝わってこないのだが、ただ拗ねてるだけのように見えた殺生丸の大人化は嬉しい。
それから表情の描き込みがとても丁寧できれいに感じるのも嬉しい。

奈落の体がまだ壊れたままなのも意外、夢幻の白夜が目だけ残して逃げてきてるのも意外だったが、そんなことはどうでもいい。
「風の傷」「金剛槍破」といった「技」は奪われたものの、果たして「妖力」は奪われているのか。
変化はしている鉄砕牙を見ながら考え込んでしまった。
本来ならばボロ刀のままだと思うのだが、奪い切れない妖力が残っていると言うより、奪われたものがどこか中途半端な気がするのは元が同じ物であったせいなのか。

鉄砕牙に力を与えるために妖犬化した犬夜叉、冷静に刀と犬夜叉の様子を分析する殺生丸。
最後のページなど鉄砕牙に(犬夜叉に)冥道残月破を奪い取る力があるならくれてやろう、天生牙もくれてやろうと言わんばかりの崇高さが垣間見える。
刀への執着を超えたとしたら、殺生丸には何が残るのか、どんな道が開けるのか。

ところでその鉄砕牙とは犬兄弟にとってどんな意味を持つ物なのだろう。
前にもちょっと書いたが、犬兄弟の父君は、かつて西国を治める妖怪だったとされている。
父君は竜骨精との死闘を経て亡くなり、今息子たちは武蔵の国、つまり東国をうろうろしている。

だから私は人間界が戦国時代であったように、犬夜叉たちが生きている時代の妖怪界も戦国時代で、特に治めている者はいないのだろうと思っていた。
でも母君の登場で、もしかしたら天下統一して後亡くなった父君の後を受けて、母君が息子たちの成長を待ちながら全国を治めているのかな?などと思い始めた。
それにしては奈落や息子たちのことを知らな過ぎる母君だったから、単なる隠遁者だったのか、とかいろいろ考えている。
(こういった時、高橋先生自身がそこまで意識して設定されているかどうかは関係ないけど。)

いずれにしても家なり世界なりを父君から受け継ぐ息子は必要なわけで、その資格を持つ者に鉄砕牙が与えられるのだろうか。
今週号まで読んでると、どうもそうではないらしい。
ならば鉄砕牙は弟に下げ渡し、兄は父君の後を継いで妖怪界に君臨する、つまり母君のように下界?から離れる未来もあるわけで、それならそれでいい結末のような気もする。

ただ元々鉄砕牙を受け継ぐ者に必要なのは、他者を守ろうとする心ではなかったか。
同時に天生牙を受け継ぐ者に必要なのは、他者を癒そうとする心ではなかったか。
シンプルでありながらもっとも2人にとって必要だったその心、今となっては求めるものが大きすぎて、根本的な何かが失われている気がする。
根っこは同じなんだけど。

とはいえ殺生丸の心の変化、戦うことでいっぱいいっぱいの犬夜叉との対比など今後の流れが気になる展開ではあるので、戦いの決着、その後の奈落(夢幻の白夜)との関わりを楽しみに待ちたい。
(2007年4月11日の日記)
これがほんとの最終奥義?
原作少年サンデー2007年4月18日(20号)第502話「証」

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久々に朝一番でサンデー買いに行った、もちろんコミック49巻も。
(結局読んだのは夜だけど。)

今週も殺生丸はひたすら麗しく、犬夜叉はひたすら怖い。
でもって奈落が気色悪い。
触手を白夜の目に突っ込んでるとこ、さすがの白夜も嫌そうだけど、見てる方はもっと気味が悪い。

それはともかくものすごく強引な展開ではあるけれど、なるほど!と手を叩きたくなるような説得力は確かにある。
もともと殺生丸がいたからこそその存在を知り、入手し得た鉄砕牙。
その成長過程において、殺生丸は常に犬夜叉を導いてきた。

最初はただ欲しいから、邪魔な犬夜叉を殺してでも奪い取ろうとした鉄砕牙。
そのはかり知れない力に気づかせたのも殺生丸。
時には犬夜叉をぎりぎりまで追い詰めることにより、風の傷を会得させたのも殺生丸。
鉄砕牙を手放した犬夜叉が暴走した時は止めに来たり。

時には私欲、時には意地悪(笑)、やがて犬夜叉の力を認め、天生牙の持ち主として鍛錬し、父の真意を測れず葛藤し、そして今犬夜叉に鉄砕牙の継承者としての資格を与えようとしている。
さもなくばそこにあるのは犬夜叉の消滅。

冥界に吸い込まれそうになる犬夜叉、犬夜叉が継承者としてふさわしくないと判断した殺生丸は、天生牙もまた冥界に投げ込む。
あれだけ真摯に育てた刀なのに捨てたこと、未練はないと言いつつも、その寂しげな表情は天生牙に裏切られたと感じているかのよう。
同時にここで潔く手放したことで、もはや父君への確執もない、超えたのではなく、消えたのでもなく、無視したかのような吹っ切れ方を感じる。
しかしその天生牙が鉄砕牙と共鳴し、犬夜叉は竜鱗の鉄砕牙で自らの妖穴を斬り払う。

実はそれだと妖穴のない犬夜叉=朔犬になるんじゃあ、などと思ってしまった私は愚か?
もうひとつ、天生牙は鉄砕牙と一体化したわけではないようだ。
共鳴し、竜鱗の鉄砕牙の力を鉄砕牙に戻し、そのまま冥界に消えてしまったら哀しい。
見えないところで鉄砕牙に一体化したのだろうか。

犬夜叉が妖穴を斬った結果、妖気が犬夜叉の中に流れ込み、殺生丸の目には「妖気が大きくなった」と見え、犬夜叉は「おれの妖気がおれと鉄砕牙の中を駆け巡っている・・・」と感じる。
「冥道が犬夜叉の妖気に侵食されていく・・・?」と奈落は判断し、「これが―刀の継承者の証・・・か。」と殺生丸は結論付ける。
それが何を意味するのか。

犬夜叉が冥道残月破を会得すると言うより、犬夜叉が冥道を自分のものにする、操る、むしろ弥勒の風穴に近いものになるのかな?と思ったが。
犬夜叉復活にも冷静な殺生丸、しかし神楽への想いを経て会得した冥道残月破をも犬夜叉に譲り渡した殺生丸に、一体何が残るのか。
このままこちらの世界に2人して帰ってくるのはあまりに不憫。

奈落との私怨の戦いを超えた世界にいってしまいそうな気もするが、それならそれでいいと思う。
四魂の玉に固執して来なかった殺生丸と奈落の戦いは、最初は犬夜叉の兄だから、プライド傷つけられたからくらいのものだった。
神楽の死を経て、さらに奈落の種々の所業を見てきてそれなりに思うこともあるだろう。

けれど、犬夜叉のような必須なメンバーではないような気がしないでもない。
むしろ鋼牙のような形でのリタイアも十分ありそうだ。
私は殺生丸はそれでいいと思うのだけれど。

今回は犬夜叉を見つめる奈落と殺生丸の顔の美しさと迫力が一番楽しめた。
小さなカットでも丹念に描いた感じがとても好き。
例外は白夜だけど、あれは一抹のホットスペース、あれで良し(笑)。

次週犬夜叉の最終奥義も気になるけれど、この両者の反応、もしくは対決、もしくは今後がとっても気になる展開だった。
ただ今回も殺生丸が天生牙を手放さなければ犬夜叉はどうなっていたかを考えると、キャラのすることなすことがあまりに条件に沿い過ぎていて、父君は一体どこまで想定して刀の成長を設定してたんだと首を傾げたくなる。

まあ行く先々で事件にぶつかる名探偵と同様物語に言っても詮無いことではあるけれど、「犬夜叉」ってその種の偶然幸運がいかにも多い気がする。
このことに関してはいずれテーマとして書いてみたい。
もちろんそれが作品のおもしろさを損なうものではないけれど。

最近他作品もおもしろくって「お茶にごす。」もきっちり読んでる、タマも好き(ハヤテのごとく、笑)。
コミックは「犬夜叉」の隣りに「ハヤテのごとく」11巻が並んでるのにびっくりだった。
もうそんなになったのか。
(2007年4月18日の日記)
真の導き手
原作少年サンデー2007年4月25日(21,22合併号)第503話「黒い刃」

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今週もストーリー以前に殺生丸の美しさを堪能できる18ページ。

取り残されて犬夜叉を案じるかごめたちの前に現れたのは刀々斎。
刀々斎がかごめたちにも犬兄弟の戦闘?を見せてくれるのかと思いきや、そういうわけではないらしい。
ここで奈落の策略とはいえ、2人がかごめたちの手(助力)の届かない所に行ってしまったのはおもしろい展開だと思う。

さて今回もいくつもの「もしも」が登場する。
もしも奈落が犬夜叉を金剛槍破の槍で殺そうとしなければ。
もしも殺生丸が冥道に飛び込まなければ。
もしも殺生丸が犬夜叉に冥道残月破を与えなければ。

犬夜叉の成長、鉄砕牙の成長には欠くことのできない偶然があまりにも強く関わってきている。
同時に犬夜叉、奈落や殺生丸があまりにも運命の命じるままに動きすぎて驚いてしまう。
運命を操る手、それはもちろん高橋先生のものだけど、それを言ってはおしまいなので、それは犬夜叉たちの父君や翠子の遺志となるのだろうか。

ちょうどいい時期に殺生丸が犬夜叉の鉄砕牙を狙いに来る。
奈落がいなければ犬夜叉は桔梗と結ばれ、兄弟の鉄砕牙を巡る戦いももっと低い次元で行われていただろう。
ちょうどいい具合に犬夜叉の強さに応じた敵が順番に現れ、犬夜叉はギリギリ限界までがんばることで成長する。
この都合良さに描く側の「細工」を感じさせない「犬夜叉」、「必然」を感じさせる「犬夜叉」、やっぱりすごい作品だと思う。

冥道に飛び込んだ殺生丸は一度捨てた天生牙を拾い上げ、犬夜叉を攻撃する。
しかしそれは鉄砕牙による、天生牙にまとわせた神無の鏡の妖(あやかし)の破片への攻撃だった。
同時に冥道残月破を犬夜叉に手ずから与えた。
これこそ母君が求めたもの、究極の慈悲の心だろう。

そのかすかに笑んでいるかのような殺生丸の表情は、ひとつ何かを越えたところにある。
同時にかすかに惜しむ表情も。
この瞬間、鉄砕牙は黒い刃(やいば)となり、鉄砕牙と天生牙はひとつになった。
ここで犬夜叉が半妖の目に戻ったのも嬉しかった。
犬夜叉には妖犬としてではなく、本来の姿、半妖の姿でこの大切な段階を超えて欲しい。

犬夜叉を導いたのは殺生丸。
鉄砕牙への確執、慈悲の心を得て使いこなした天生牙、命をかけて奪い取った冥道残月破を犬夜叉に与えた殺生丸が得たものは何なのだろう。
どうしても「昇華」という言葉が離れない。

母君の生きる世界への帰還、修行を終え、父君の後を継ぐ長男としての使命。
そこに人間のついて行く余地はないような気がするが。
肉体的に必死でがんばればなんとかなる犬夜叉と違って、どこか精神の修行を強いられる殺生丸。
その先にあるものはやはり「偉大なる妖怪」として君臨した父君の後を継ぐこと、かな?と思う。
個人的にはそうであって欲しい。

でもそれだと邪見はついて行けるだろうが、りんは無理か・・・。
りんは琥珀と強く生きて欲しいと前から思ってる私はいわゆる殺神&琥りん派になるのかな?
よくわかんないけど(笑)。

もうひとつ、殺生丸が犬夜叉を冥道から脱出させようと全力を出し切り、自分は取り残される展開もないわけではないが、高橋作品の性質上考えにくいか。
仮にそうなっても今度は犬夜叉が殺生丸を会得した冥道残月破で救うとか。
ああ駄目だ、頭の中がぐちゃぐちゃだ。

今日のタイトル、犬夜叉の真の導き手は奈落であり殺生丸であり、桔梗なんだなっていうのが大きな感想。
かごめは導き手、ではないだろう。
では殺生丸を導いたのは?それが謎。
謎だから神楽の死後からの殺生丸の激しい変化について行けてないのだろう。
ついて行けないなりに心地よいものではあるけれど。

余談だが、高橋先生がアシスタントを募集中。
都内通勤可能だけ条件満たしているのだけれど、雇ってくれないかしら?
炊事(下手だけど)掃除に洗濯、使い走りも買い出しも何でもやります、明日からでも通いますって応募してみようかな?

もひとつおまけ。
犬夜叉カレンダーの5,6月の絵がとっても不思議。
犬夜叉なのに犬夜叉っぽくないって言うかどこかのサイトさんで見たことあるような、不思議な絵。
描かれたのは「闘鬼神を振るう殺生丸(作画監督は中島里恵さん)」などにスタッフとして参加されてる方だけどちょっと辛い。
アニメも遠くなりにけり・・・。
(2007年5月1日の日記)
静かな決着
原作少年サンデー2007年5月9日(23号)第504話「冥道の光」

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思ったほどの大団円ではなく、静かな決着となったが、興味深い箇所はいくつかあった。
未だに眼窩に触手を差し込まれている夢幻の白夜、はいいとして閉じた冥道の中に意識を失った犬夜叉と佇む殺生丸がいる。
殺生丸自身は元の世界に戻ることに固執していないように見えるが、だからといってむざむざ奈落に殺される気はあるまい。
殺生丸流の愛ある?起こし方で犬夜叉に活。

冥道残月破を殺生丸に託されたことに気づく犬夜叉は黒い刃を振り抜く。
ここでおもしろいのが、犬夜叉が(いつものように)鼻で出口を見極めるのではなく、天生牙の導きによって見つけること。
殺生丸に折られ捨てられと悲劇の道を辿った天生牙だが、それでも殺生丸を守ろうとするのか、亡き父の意思なのか。
犬兄弟が力を合わせての脱出を予想していたが、これはむしろ二振りの刀が力を合わせての脱出となったところが変わってていい。
健気だなあ、天生牙。

ただしここにはもちろん犬夜叉を導く殺生丸の意思、殺生丸を守ろうとする犬夜叉の意思の融合がある。
犬夜叉の一振りで冥道は開き、2人は無事脱出することを得た。
冥道が開いた瞬間の殺生丸の笑顔もいい。

もはや犬夜叉にも天生牙にも興味はないと、去ろうとする殺生丸だが、刀々斎が持っていくように促す。
殺生丸にも天生牙の導きは当然見えていただろうし、何よりも「父君の形見」なんだけど。
ただ「癒し」の部分が天生牙に残されたのは良かったと思う。
癒しの部分も鉄砕牙に持たせてしまったら、犬夜叉などはかなり気軽にその力を使いそうだ。

たとえば奈落のような妖怪にやられた村の人々がいる。
行く先々で犬夜叉たちは彼らを生き返らせねばならないだろう、彼らはそんなキャラだ。
しかしそれでは「犬夜叉」の持つ危うい命のバランスが崩れてしまう。

初期から中期の、他人を思いやる気持ちなどほとんど持たない殺生丸だったからこそ、天生牙を使ってむやみに人助けをしなくても違和感がなかった。
おそらく「なんでりんだけ?なんで邪見だけ?なんで神楽だけ?」助けようとしたのかって殺生丸に突っ込む読者などいないだろう。
でも犬夜叉は違う。
たとえば天生牙が琥珀に有効だとして、琥珀には使う、でも行きずりの名もない妖怪の犠牲者には使わないといった選択が求められるだろう。
同時に彼らによって大事な存在ばかりを救う展開になれば、読者はそこに居心地の悪さを感じるだろう。

だからといって犬夜叉にまで殺生丸が苦労した「命の重さ」を一から教え直す展開となれば、それは読む側としてはかなり辛い。
特に犬夜叉たちの、というより描かれるキャラの命に対する価値観について、私はかなり悩んでいる部分が多いので。
殺生丸が再び持ち主となるだろう天生牙に癒しの部分を残したのは無難だけど賢い選択だったように思う。

最後の刀々斎の言葉はとても気になる。
殺生丸はまだ気づいていないが、あと一歩で殺生丸は父君の形見ではなく、自分自身の武器を手に入れるところまできていると。
殺生丸が自身の武器を得るエピソードも今後描かれることになると思うが、もう少し「父君の形見」であることも大切にして欲しいな、殺生丸。
力がなければいらないっていうのもどうもね・・・。
まあそこも一時の意地っ張りと思えば可愛いもんだけど。

なんとなく「ハウルの動く城」のぴょんぴょん飛び跳ねてソフィーの後をついて来る案山子を連想した。
天生牙もああやって殺生丸の後をついてきたらおもしろいのに。

さてこうして犬兄弟の確執を読んできて我ながら不思議なのが、最近私の心の視線が、どうも犬夜叉を素通りしているような気がする。

「消えるんじゃねえ 殺生丸!
 刀を譲られた上に死なれたんじゃ目覚めが悪いぜ!」
「殺生丸はどうなる・・・?
 武器をなくして・・・」

今週も犬夜叉のかっこよさ、優しさが伝わる台詞はあるし、2人分の想いを込めて鉄砕牙を振り抜く姿は素敵だと思う。
けれどそれが心に響いてこないのは、やはり「マンネリ」ということなのだろうか、心のマンネリ。
ちょっと寂しくなった。

逆に今の殺生丸がこれだけおもしろいのは、彼に「変化」が立て続けに起こるからなのだろう。
考えてみれば犬夜叉って心の成長はもちろんあるけれど、基本的な部分ではそれほど変わっていないんだ。
思い立ってコミックの地念児編、肉づきの面編など軽く読み返してみたが、この時期の犬夜叉には今でも感動する。
じんわりしたり、胸がきゅんとしたり(笑)。

生粋の犬夜叉(キャラ)ファンの読者はどうなんだろうなあとぼんやり思った。
次号は新展開。
バラバラ奈落、はお休みか。
少なくとも白夜の触手は抜いてもらえそうだ。

立て続けに殺生丸新武器入手のエピソードに入るもありか。
天生牙を捨ててきた息子に母君が怒りの登場もあってもいいけど、ここは無難に犬夜叉一行かな?
今回は犬夜叉以外ほとんど出番がなかったし。
弥勒と珊瑚は辛いものになりそうなストーリーに関わるものではなく、番外編、犬夜叉とかごめの現代物みたいなエピソードがあってもいいかも。
(2007年5月9日の日記)
アニメみたいでおもしろい
原作少年サンデー2007年5月16日(24号)第505話「狐の宿」

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本筋に関わるシリアスなエピソードの直後、何事もなかったかのように日常話にすんなり移行することは難しい。
けれど今回は何もかもがおもしろくって、珍しく2回も読み返して声を出して笑ってしまった。
ほんと久々。
考えてみれば桔梗絡みのエピソードのように、犬夜叉たちが傷ついたわけではないので、すんなり入って当然なのだけど、100%まじりっけのないおもしろさ。

先週初期の「犬夜叉」を読み返したことを書いたが、ちょうどあの頃のタタリモッケや雷獣兄弟飛天満天の新鮮な「犬夜叉」にいきなりタイムスリップした感じ。
などと我ながら大絶賛の嵐なのだけど、実は今週号は「結界師」「ハヤテのごとく!」「史上最強の弟子 ケンイチ」「お茶にごす」「クロスゲーム」「イフリート〜断罪の炎人〜」「ワイルドライフ」「あいこら」と読んでる作品全てがおもしろくて、いつもの2倍も3倍もお得な気がしたサンデーだった。

それにしても七宝メインのエピソードになるとは。
犬夜叉かごめか弥勒と珊瑚だろうと思ってたのでやられたって思うと同時に七宝に失礼だった自分を反省。
気絶した七宝を庭に落としてきた犬夜叉と同じくらい失礼だ。
偽の宿に連れ込んで女性で釣って、あるいは狐で化けてって、アニメやゲーム「呪詛の仮面」でもあったけど、やっぱり原作の見せ方が一番うまいしおもしろい。

ワンパターンの弥勒の女好き&怒れる珊瑚も狐に騙されてると思えば(しかも見え見えで)楽しいし、そこが若い狐なだけにボロもすぐ出る。
弥勒は気づかないのか、見た目が美しければとりあえずいいやと割り切ってるのか、乗せられっぱなし。
でも今週最高のカットは221ページの「・・・・・・」付きのかごめの笑顔。
あまりに可愛くて抱きしめたくなってしまった(笑)。

先週心の視線が犬夜叉を素通りって書いたけど、最近はかごめにも同じようなことを感じてたので、独楽(大きなのじゃなく小さいの)を「かかかかか」と頭の上で回してる犬夜叉と2人まとめて抱きしめて、「ごめんね、ごめんね? ほったらかしててごめんね?」って謝りたい。
高橋先生お得意の個性豊かな?狐たちや化けた姿も楽しいし、1人張り切ってる七宝の結末が今から楽しみだし、「うる星やつら」や「らんま1/2」と「犬夜叉」を融合させたみたい。

可愛い笑顔も「うすら笑い」って言われちゃったかごめとか、七宝だから「七十七番?」とか、もしかしたらここは王子で今日は大晦日の設定なのかな(心の設定)?とかいろいろ考えた。
毎年大晦日に全国の狐が王子稲荷に集まるとされる日。
まあここで犬夜叉たちがいきなり新年を迎える展開はないだろうけど。

ところで今回狐たちが位(官位)を得るための試験を受けているわけだけど、実際に狐に官位ってあるのかな?と思い、ちょっと調べてみた。
そしたら稲荷神社の総本社「伏見稲荷大社」のホームページに稲荷神社で祀られている稲荷大神は天長4年(827年)に淳和天皇から「従五位下」を授かってから上進し、天慶(てんぎょう)5年(942年)に「正一位」になったことが記されている。

ただし狐が祀られているわけではなく、狐は神の眷属なので関係ないかな?と思ったら「正一位稲荷大明神 ―稲荷の神階と狐の官位―(榎本直樹著)」という本の説明に「『正一位』の神階は、伏見稲荷を『狐の本所』とする観念と関わりながら、『狐の官位』として普及していった。」という一文があった。
読んでみたらおもしろいかも。
今回の「狐の宿」のアイデアはこの辺から出てきたのかな?

「宿り蛹」のように本筋に関わるエピソードになるのかどうかはまだわからないが、これは独立した息抜きエピソードとして楽しむだけでも十分だと思った。
(2007年5月16日の日記)
おなかいっぱい大満足
原作少年サンデー2007年5月23日(25号)第506話「受験番号七七」

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さすがに先週ほどの意外性はなかったが、今週も単純明快一気に読ます。
何より表紙の七宝と犬夜叉のツーショットで一気に満腹大満足。
胸がいっぱいじゃなく、おなかがいっぱいになるところがいかにも犬夜叉と七宝だ。
紛らわしい伏線や新展開への繋ぎなどつけずに一気に完結したのも良かった。

これまで鬱々とたまっていた疑問や謎やストレスが一気に押し流された感じ。
気持ちをリセットして、白紙の状態で新展開を迎えられそう。
って感想はこれで終わっていいのだが(笑)。

七宝は犬夜叉に的を絞って妖術だかなんだかわけのわからん攻撃で点数を稼ぎ、他の狐たちは弥勒と珊瑚を組みやすしと見たか、弥勒の助平根性と珊瑚の純情をターゲット。
場慣れしてる?かごめは蚊帳の外、このスタンスもいい。
七宝の狐妖術グッズに珊瑚の雑魚妖怪退治グッズも大盤振る舞い、これも久々。
「七七」とか「五三」とか羽に書いてる七宝蝶々たちが一番うまく化けてると思ったのは私だけ?

たくさんの弥勒に抱きしめられてる珊瑚に爆笑だが、さすがに相手が狐では、弥勒のヤキモチ発動せず。
珊瑚は男の子狐が化けた娘たちにもしっかりヤキモチだったけど、この辺はさすがに大人の弥勒、おもしろい。
4人の偽弥勒に気づいた珊瑚の顔にもう爆笑。
犬夜叉に殴られて飛んでく狐たち、おなじみのポーズ(人差し指と小指だけ立てて飛んでく)っぽくなってるのにも笑った。
狐の指でできるかどうかは別として。

まんまる七宝についてる紐を引く犬夜叉に、「犬夜叉松江ツアー」の武家屋敷、七宝の「札を引いてキーワードを探そう」クイズを思い出した人も多いのでは?
「引くな」と書かれるとつい引いて、「バカは引く」のメッセージと共にドカドカ落ちてきた狐石?の下敷きになる犬夜叉、完全に七宝と対等、と言うより七宝以下の精神レベルだ。

それでも最後の七宝の泣き落としに引っかかる犬夜叉は可愛いし、しっかり最後のお仕置きをされて懲りたらしい七宝もいい。
下手な戦闘よりもスピード感や爽快感があって笑いのツボにはまった気が(笑)。
惜しむらくは採点役の立派な?狐が出てこなかったこと。
猿神様のような老妖怪だと思うけど、ちらっとでも出てきたら嬉しかったかな?

でもここはすっきり謎のまま終わらせて正解だったかな?
かごめの突っ込みやおすわりもおもしろかったし、先週号と続けて読んでまたおもしろい。
新展開がシリアスでも難解でもマンネリでもドンと来い!みたいな気持ちにさせてくれるから高橋先生ってすごい。

でも今週「犬夜叉」に負けず劣らずの衝撃度だったのが何?これ「青春学園」の優勝者の方と「ハヤテのごとく!」のナギのデート。
丹念に読んでしまいました(笑)。
是非次回も優勝してかごめとのデートも実現させて欲しいです。
それとサンデーの表紙も衝撃的。
表紙で普通に会話してるハヤテとナギがすご過ぎです。
(2007年5月23日の日記)
新巫女登場
原作少年サンデー2007年5月30日(26号)第507話「瞳子」

          ☆          ☆          ☆

白状しよう、今週号を読んで一気にテンションが下がった。
でも先週の狐たちのおかげで今の私の心の受け皿はとてつもなく大きい。
ありがとう、狐たち。

ただし今週号に入っても高橋先生の絵に勢いがあって、表紙のかごめの顔などはとても好きだ。
先生も狐編でリフレッシュできたのかな?
そのノリが持続してるのかな、そんな感じ。
残念ながら新巫女瞳子の顔と名前があまり好みじゃないのだけれど。

さて、桔梗ほどのランクではないだろうが、それなりの霊力を持つと思われる巫女瞳子の住む村が今回の舞台。
私の中では、中途半端な力を持つために犠牲者となった晴海や僧無双らと同じポジションかな?
奈落の蜘蛛の糸の犠牲者となった男、その口からあふれ出した蜘蛛の糸が瞳子を襲う。

瞳子が取り出したのは「神楽鈴」。
桔梗が持っているのは見たことがないが、神に奉納する神楽舞を舞う時に用いる鈴で、鈴には古来より魔除けの霊力があるとされ、同時に鈴の音で神を呼び寄せる意味合いがあるのだそうだ。
ちなみに形は稲穂を意味し、五穀豊穣を表現しているのだという。

ただ神具の通販のカタログなど見る限りでは、鈴は3個、5個、7個の3段だけで、瞳子のようにみっちり連なっている物はなかった。
この神楽鈴により瞳子は蜘蛛の糸を撃退するが、一筋残してしまい、死んでしまう。
この辺の中途半端さがいまいち瞳子に興味が持てないところか。
ここまで読んで、瞳子が奈落により蘇らせられることは容易に想像でき、むしろそれからの瞳子に興味が出てきた。

首を斬り落とすようにと言う瞳子の遺言に村人が従わなかったため、瞳子は蘇り、話を聞いていた犬夜叉たちの前に姿を現す。
桔梗との相似、対比がまだはっきりしないが、犬夜叉には桔梗を絡め取った蜘蛛の糸と共に思い出させるものがあるらしい。
犬夜叉は瞳子の身体から噴き出した蜘蛛の糸を斬るが、瞳子は空に浮かんで消えて行く。
今回は犬夜叉の鉄砕牙もただ蜘蛛の糸を斬るだけで、特に新生鉄砕牙としての場面はなく、瞳子も単なる顔見せに終わったようだ。
ここで天生牙の蘇りの能力が鉄砕牙に移っていたらどうだったろうか?なんてふと考えた。

場面は変わって奈落と瞳子。
かごめが見抜いたとおり、瞳子はまだ奈落に完全に支配されてはいなかった。
だが213ページ、目を閉じる瞳子に近づく(首だけ)奈落、このシーンはセクシー奈落の面目躍如といったところか。
こんな奈落に迫られたら、意識あっても言うこと聞きそう(首だけだけど、笑)。

奈落の命令はかごめの「力を奪い」、殺せということ。
ここでテンションがポチッとひとつ上がった。
表紙に続く、かごめの横顔の美しさでもうひとつポチッと上がった。
なんで今頃こんなお手ごろ巫女を見つけたの?とかそんな疑問はどうでもいい。

きっと犬夜叉奈落の行動範囲の半径が武蔵の国を中心に広がってきてるんだ、うん。
もう武蔵の国には犬夜叉に太刀打ちできる相手がいないから、甲斐の国(山梨)とか信濃の国(長野)とかに発掘に出歩いているんだろう。
そのうち武田信玄とか上杉謙信とか出てくるかも、度量が広いぞ、今日の私は。

それはともかく、「衝撃の新展開」となるかどうかは次号以降、今週号はとりあえず様子見といったところか。
けれどかごめ、奈落、犬夜叉を中心とした絵の美しさと勢いだけでも十分堪能できたと思う。
(2007年5月30日の日記)
かごめの戦い
原作少年サンデー2007年6月6日(27号)第508話「巫女の結界」

          ☆          ☆          ☆

最初に今週号は特製Tシャツプレゼント付き。
各作品100枚で24作品、計2,400枚。
「超カッコイイ」かどうかは好みだろうけど、私は「イフリート〜断罪の炎人〜」のTシャツがお気に入り。
「犬夜叉」、う〜ん・・・。
可愛いって言えば可愛いんだけどね、あんまり欲しいとは思わなかったです、はい。

気を取り直して素敵なかごめも3週目。
他キャラはそんなに思わないけど、かごめだけ明らかに顔が違う、すごくいい、まるで別人。
アップだけじゃなく、「来るなら来いってことか。」の仲間たちと並んでいる場面すらかごめだけかっこよく見える不思議。
実は私、かごめの本当の戦いは今回が始めてという印象がある。

もちろんこれまでも数々の戦闘に自ら参加してきたし、奈落や赤子や時には桔梗!と1対1で相対することもあった。
犬夜叉を援護、あるいは共に戦ったことも多い。
けれど私の中でかごめの立ち位置ってどこか中途半端で、いつも仲間や霊力に守られていたという気がする。
霊力がかごめの能力なのはわかるけど、たとえば弥勒は法力を使いこなしている、かごめは霊力が勝手に発動している、みたいな。

今回犬夜叉たちのフォローの効かない場所で、霊力の加護の通用しない相手と戦うかごめ。
かごめが瞳子により傷つけられたことで、やっと戦士としての資格を得たように思う。
その血で結界を張られ、動けなくなるかごめ。
この場面で、最初の結界、かごめが矢で射抜いた結界がかごめへの誘いであったことが改めて認識される。

しかし瞳子の背後にぶら下がる奈落の首(笑う場面ではないのだが、つい笑ってしまった)を見つけ、「殺した巫女の陰に隠れながらのぞいている」奈落にかごめの怒りが爆発する(なぜかここでも笑ってしまった)。
ただ前も思ったことだが、かごめの「卑怯者」発言、どうも説得力がない。
対蛮骨戦同様何を今さらという気が拭えない。

奈落への怒りによってかごめは動けるようになり、奈落を射抜くのだが、この展開だとかごめの怒りで霊力発動というよりも、瞳子の力がたいしたことなかったように見えてしまうのが辛い。
動けないはずのかごめが動く場面(対椿とか桔梗とか赤子とか)はこれまでもあったから、やはりそれなりの葛藤と激情がないと。
もちろんかごめが、死人(しびと)の巫女に桔梗を重ね合わせているのだろうということはわかるが、最終ページのインパクトのためか、ここでかごめの脳裏に桔梗は登場しない。

そして最後の脱力が瞳子はかごめを認めたものの、奈落が恐れているのはかごめでなく弓にこもった桔梗の念という台詞。
たしかに奈落は桔梗を恐れているだろうけど、かごめも恐れていたはずだから、ここではあくまでも標的をかごめに絞って欲しかった。
せっかくのかごめ独壇場なのに、かえすがえすも残念。
前半のかごめに期待が大きかっただけに、後半の展開はほんとに残念。

ただ、これまで犬夜叉や殺生丸に与えられてきた試練、今回はかごめの番かな?という気はする。
恋の面だけではなく、巫女としてかごめは桔梗を超えることが必要だろう。
奈落を倒し、四魂の玉の因果を断ち切るのに、桔梗の念だけでは足りないのならば。
その辺がどう描かれていくのか、おもしろさもこれからだろうか、期待したい。

あとかごめのカットがこれまでのいろいろなエピソードのダイジェスト版みたいなのがおもしろかった。
「そこでのぞいているのね」のとことか奈落を見つけて驚く顔とか椿戦を髣髴させるし。
椿戦の時のかごめの顔も好きだったなあ、そういえば。

ここは最後までかごめ1人でがんばって欲しいと思う。
犬夜叉が飛び込んできてふらりと倒れかかる展開よりも。
かごめの強さの源は犬夜叉、それは十分わかるけど。
特に今回のかごめの試練が桔梗を超えることにあるならば。

やっぱり私、かごめに対する期待が大きすぎるのかな?
でも初期のかごめってそうだったし、そこがとても魅力的だった。
今一度、あの頃に戻ってくれたら嬉しいなと、私は思う。
今回のエピソードはキャラとしてのかごめにとっても大きなチャンスだと思っている。

今週は他に「イフリート〜断罪の炎人〜」と「ワイルドライフ」がおもしろかった。
咎人会、その行為に疑問や怒りを感じる存在は必要だと思う。
宝生沙戸音のキャラも好き。
(2007年6月6日の日記)
3人の巫女
原作少年サンデー2007年6月13日(28号)第509話「弓の霊力」

          ☆          ☆          ☆

「よし、来た!」
表紙で決した。

表紙の桔梗を無理矢理押しやって瞳子の後に立たせよう。
そう、黒巫女椿の再演。
瞳子にはねじり鉢巻き、はっぴにメガホン持たせて覇気注入。

奈落にはデジカメを渡そう。
もちろんビデオカメラも可。
「垂涎」は今の奈落のためにある言葉だ。
できれば今週も奈落には出ていて欲しかったな、逆さまで。
首だけだと写真撮れないから、せめて上半身だけでも登場して。

そして私はかごめ親衛隊に入って旗を振る?紙吹雪飛ばす?、紙テープ投げ?
それが正しい応援の仕方かどうかはよくわからないが、今週3人巫女の揃い踏みによって話も一気に盛り上がった。
というか、私が一気に盛り上がった。

未読の方のために一応書いておくが、桔梗が蘇ったわけではない。
あくまでも表紙とかごめの記憶の中での登場。
それでも物語はかごめと瞳子の戦いから、2人の先輩巫女を相手のかごめの修行と変貌を遂げる。

瞳子の顔がなぜ中途半端に感じたかというと、目を切れ長にすれば桔梗顔になるし、まあるくすればかごめみたいになるからなんだろうな。
目に中途半端を感じる。
それでもこうして3人揃うとそれぞれの個性も際立つ。
というか、先週までのかごめに代わり、今週表情が豊かというか、(いや表情はそんなに変わらないのだが)顔つきが描き分けられていたのは瞳子だったと思う。
瞳子編、最初はむしろ引いていたけど、これだけじわじわ盛り上がってきたのは「犬夜叉」の中でも珍しい展開だ。

前振りが長すぎたか。
本編に入って最初の台詞が「その弓はあなた(かごめ)に・・・」の後には「ふさわしくない」が続くのだろう。
しかし瞳子はわざわざ言い直して「あなたはその弓を持つのにふさわしくない。」と言い直す、かなりきつい。

犬夜叉の鉄砕牙やかごめの弓矢の場合、日常こつこつ練習したところで命中率は高くなっても付属の力(霊力や鉄砕牙のもろもろや)が強まるわけではない。
むしろ普通の人間なら滝に打たれたり座禅を組んだりといった精神的な修行が大切なのだろうが、代わりに鬼教官として登場するのが奈落であり殺生丸であり、多々の優れた妖怪たちである。

そういえばかごめの弓は桔梗の弓じゃなかったって私もここで気がついた。
梓山はあまり気持ちのいいエピソードじゃなかったので飛ばしてしまうせいか、桔梗の弓をそのまま譲られていたのかと勘違いしていた。
「桔梗は― この弓を一度も撃つことなく逝った。」
というかごめの独白でそういえばそうだっけと思った次第。

死に逝く桔梗に託されたものとはいえ、弓はまだかごめの物になっていない。
正しく使いこなせる桔梗の物。
見抜く瞳子の眼力は鋭い。
この時の毅然とした顔も良い。

かごめの弱さはたしかに霊力を使いこなせない点にある。
いざとなると桔梗を凌ぐ威力を見せるが、自在に使いこなせなくては諸刃の剣だろう。
学生時代、部活で「おまえは基本がなってない。」といつも叱られたことを思い出した。
だからといって、いざという時ほめられたこともないけれど(笑)。

そんなかごめに時には奈落に操られながら、時には自分の意思を保ちながら、瞳子は攻撃し、助言する。
姿を見せない奈落はかごめに解説。
気になる台詞が、もしかごめが破魔の矢で瞳子を滅せば
「妖(あやかし)として死んだ巫女の魂は、わし(奈落)の蜘蛛の糸とともに地獄の業火で未来永劫焼かれ続ける。」

そしてそれを知ったかごめが瞳子を撃てば
「おまえ(かごめ)の心は卑しく汚れる事となる。」
もちろんかごめが撃たなければ、かごめは瞳子に殺されるという前提付き。

今回は奈落と瞳子の解説が多く、さらに意味深な台詞が多いので、感想を書くにも難しいのだが、では桔梗は?と思う人も多いだろう。
死んだ時の桔梗の魂はともかく、その身体は墓土と骨で作られたものだった、もちろん人ではない。
しかし桔梗は地獄に落ちてはいないだろうと、すんなり思える。
でも瞳子は妖なのか・・・。
たとえば蜘蛛の糸に絡め取られてはいても、魂が穢れていなければ、滅されることを自ら望んで殺されるのならどうなのだろう、いろいろ考えてしまった。

妖怪とは違う、妖(あやかし)の定義がよくわからない。
というより微妙に揺らいでいるような気もする。
この疑問も今後の展開で解けてくような気もするし。
それにしても巫女として生きる者の厳しさって凄すぎる。

じゃあ椿もいずれは?と思うけどあまりぞっとしないのは、椿の頃はなかった設定だろうなあと思うから。
いずれにしろ椿を死なしたアニメの設定はやはり優しい。

炎に囲まれ、傷つけられ、防戦一方のかごめは奈落にさらに追い詰められる。
蜘蛛の糸の中でも自分を見失わない瞳子を見直したのと同時に、今週もかごめの中に一度も犬夜叉の名前も顔も浮かばないことにも感動した。
でもって私の中で最初に書いた「かごめ応援隊」が結成中なのだけど。

犬夜叉とかごめの絆を大切に育てたい読者なら、むしろ物足りなさを覚えるかもしれない。
でもやっぱり私が惹かれるのはこういうかごめだ。
この苦境の中、恐れも感じず、奈落への怒りと瞳子への想いで凌ぎ続ける。
もともとあり得ないことなのだから、こんな性格、こんな強さ。

そして最後の最後、かごめは瞳子の台詞のひとつ、その込められた意味に気づく。
「あなたはただ撃っているだけ。
 弓の霊力をまるで使えていない。」

それはつまり、
「弓を正しく使いこなせば、瞳子を救える」ことの裏返し。
瞳子の
「矢を・・・ 無駄に撃つな・・・」の台詞も意味深。

かごめの修行の場は「心の闇」「梓山」他何度もあったが、ここまで身体を張って戦うのは珍しく、読んでいてそれも心地よい。
瞳子編が終了した後には、瞳子を救い、桔梗を超えてランクアップしたかごめの姿が見られるのだろう。
総一郎さんのお墓の前で「総一郎さん、あなたをひっくるめて響子さんをもらいます」と宣言した五代君のように。
そんなかごめが見れたらいいなと思う。

瞳子も最初は強いんだか弱いんだかよくわからない巫女だったけど、この死闘の中で得たものもあるのだろう。
美しさ、凛々しさがどんどん増していく。
瞳子が望んでいるのは自らの救いではないのだろう。
かごめが奈落に打ち勝つこと。
霊力の大小はどうあれ、瞳子もまた優れた巫女なのだと思う。

ところで最近思うことだが、一時期の500回終了の噂を超えてから、犬夜叉終了、犬夜叉マンネリ、犬夜叉ループなどの下向きな噂が一気に消えたような気がするのは私だけだろうか。
もちろん全部が全部とは言わないが、もう去る人は去り、コアな?読者が残った。
そしてちょうど500回あたりから話も急速に動き始めた。
意識されたものではないだろうが、なんとなくそれで犬夜叉下火説も一段落したような気配を感じるのだけれど・・・。

今週は「史上最強の弟子 ケンイチ」「イフリート〜断罪の炎人〜」「あいこら」「ワイルドライフ」「結界師」「クロスゲーム」「名探偵コナン」「お茶にごす。」「ハヤテのごとく!」と読んでる作品全てが面白くてお買い得。
そういえば少年サンデー買い始める前って、「東京ウォーカー」買ってたんだよな、週一回。
前は「犬夜叉」終わったら、もうサンデー買うこともないだろうと思ってたけど、どうなるのかな・・・?
(2007年6月13日の日記)
表紙の迫力
原作少年サンデー2007年6月20日(29号)第510話「地獄」

          ☆          ☆          ☆

表紙のかごめがこれまでのかごめの中で1,2位くらいに好きかもしれない。
それくらい迫力のある表紙だった。
そこで一気に盛り上がったテンションが、読み進むうちにだんだん下がっていったのであるけれど。

先週出番のなかった犬夜叉たち(珊瑚以外)をとりあえず登場させるが、結界破りの赤い鉄砕牙でも通用しないことを確認しただけ。
逆さ首じゃおかしいことに気づいた奈落は、今度はまともな角度でかごめを責める。
今回もかごめ、奈落、瞳子の台詞が多く、かごめは地獄にまで落ちるのだが、その前になぜ無理矢理上げてるテンションが下がるのか。
それはかごめの敵を絞り込めないところにあるような気がする。

本来かごめが戦っているのは奈落。
しかし奈落はかごめとは直接対決できないので、瞳子を操っている。
では瞳子は単なる媒体なのかといえばそうではない。
奈落に操られながら、同時に奈落に抗い、かごめを図り、時には導く。

瞳子自身に「個」がないわけではない、ありすぎるほどあるのだが、最初に感じた中途半端さが拭い切れないのはこんなところにあるのだろう。
瞳子編が終わらなければ瞳子を判断できない理由も、エピソードとしてのおもしろさを感じることができない理由も。
殺生丸が相対した死神鬼はもっと単純だったし、殺生丸が目指すべきものも見えた。
桔梗との関わりを含め、かごめが目指すべきものが見えてこないのが辛い。

最終的にはかごめの想いが瞳子を救い、奈落を撃退(さすがに滅することはないだろう)、うまくいけば桔梗への想いごと犬夜叉を抱え込む、そんな結末が予想できないわけではないのだが。

さて、先週からの続きで、かごめは瞳子を地獄に落として救われつつ心を汚されるか、この場で死ぬかの選択を迫られている。
死への恐怖や、生延びることへの執着を全く感じさせない描写をかごめの強さすごさと捉えるか、人間味のなさと捉えるかは読者次第だろうが、私はかごめは元々(犬夜叉や百足上臈との出会いから)そういった感情の希薄なキャラだと思っていたので、さほど違和感は感じない。

ただかごめを幻ではないと言っても幻だろうが、地獄に落としたのにはおおっと思った、激しい違和感。
犬兄弟はともかく、人間であるかごめを地獄に落とす。
珊瑚の飛来骨編のような別世界、別次元ではなく、地獄。
奈落&瞳子ペアというより高橋先生やり過ぎでは?と。

地獄にいてさえ自分を失うことのないかごめ、もはや人間を超えているというか、でき過ぎ感が強過ぎてむしろ現実感がどんどん消えていく。
かごめのがんばりに合ったシチュエーションを、と思っているのは私だけだろうか。
この後普通の生活に戻って犬夜叉たちと旅を続けるかごめを想像し難い。
むしろこれで最終回のエピソードならば納得できるのだけど。

そのかごめが落とされた地獄は、かごめに撃たれたら瞳子が行くべき場所。
この地で瞳子は永遠の業火に焼かれることになる。
それほどの凄まじい責め苦を、今味わっているかごめ、う〜ん・・・。
炎に焼かれながら、かごめは瞳子の深い悲しみに気づく。

その発見は妖(あやかし)となった瞳子に変化をもたらす。
瞳子の背後に透けて見える奈落の顔。
瞳子は自分ごと奈落を撃てとかごめに言う。
かごめが瞳子に悲しみを感じたということは、かごめの優しさの現れであり、それまで見下していたかごめに対する認識が変わったのだろう。

瞳子が求めるのは自分を救うことではなく、かごめが奈落を滅すること。
それはそのまま瞳子の解放にもつながるはず。
これは奈落と瞳子によるかごめのためのエピソードだ。
その匙加減がどうなのか、やはり今後の展開は気になる。

できることなら表紙の迫力にふさわしい、すかっとした展開と終結をお願いしたい。
今週は他に「お茶にごす。」と「ワイルドライフ」がおもしろかった。
最終ページの高橋先生の答えが知りたい疑問「広島のスライリーの正体」にびっくり、なにそれ?
どうやら広島カープのマスコットキャラみたいなんだけど、そんなに知りたいものなのかな?
私としてはズーミンの正体知りたいです(笑)。

今日晩御飯の用意しながら「金田一少年の事件簿」つけてたら、突然「犬夜叉」の劇伴の一節が!
と思ったら金田一少年のフレーズだった。
どっちも和田薫先生だから似てるのもあるか、それにしてもびっくりした。
先日は「犬夜叉」のテーマがメダカのニュースで使われていたな、そういえば。
(2007年6月20日の日記)

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