|
封印されている霊力 |
原作少年サンデー2007年6月27日(30号)第511話「かごめの霊力」 ☆ ☆ ☆ 最後までテンションが上がらなかったのは正解だったか。 美しさのバトンはかごめから瞳子に移り、瞳子はかごめを導き、自ら救われて死んで行った、それが全て。 奈落も鬼教官としての務めを立派に果たし、引き上げていった、たぶん。 結局瞳子編は、大きなターニングポイントとなる「霊力の封印」へのつなぎに過ぎなかったのだろうか。 かごめは梓山の弓を使いこなすために、その心を試されたように見えた。 今にして思えば、かごめに与えられた2つの選択肢のうち、かごめが選ぶのはひとつしかなかった、最初から。 かごめが自分が助かるために瞳子を見捨てるなどと思う読者はいないだろう。 あえて選択肢を与えてかごめを試す意味が、まずわからなかった。 瞳子にとって奈落の思惑など関係なかったのだろう(操られている間は別として)。 ではここで瞳子が登場する意味は。 「かごめの霊力が生まれた時から封印されている」ことをかごめに知らしめるためだった。 かごめが今回で弓を使いこなせるようになったとは思えない。 今回は瞳子の導きあってのことだっただろう。 その指示に、かごめの瞳子を救いたいという気持ちが同化して矢が放たれた。 ならば中途半端に感じた瞳子の存在が納得できる。 どこかで翠子や桔梗に肩を並べる巫女であって欲しいという気持ちがあったのだろうか。 無理に瞳子を持ち上げようとして悪かったなあと反省してみたり。 けれどそんな瞳子への先生からの感謝の気持ちは美しい描写と静かな死だろう。 もちろん瞳子が中途半端に見えたのは、翠子や桔梗と比べたからで、1人の巫女として捉えるならば、その霊力、眼力はかなりのレベルに達するだろう。 奈落が相手では太刀打ちできるはずもないが、それでもかごめが奈落と戦う上で彼女の力は必要不可欠だった。 そして奈落に囚われぬ強く、美しい心も。 彼女が今後描かれることはおそらくないだろうが、かごめが新たな弓を使いこなすたびに思い出す存在になるだろう。 後半、かごめは瞳子の残した言葉を誰にも告げることなく考え続ける。 かごめは桔梗がこの場ではかごめを助け、同時に生まれた時からかごめの霊力を封印していると思っているようだ。 第1話のかごめが自分が住んでいる日暮神社の御神木や隠し井戸の由来を何度聞かされても忘れてしまうという事実が意味を持ってくる。 特に井戸の側には由来を書いた立て札まであるのに、それでも忘れたとなれば異常である。 しかも十五歳になった今日まではどうして忘れるのかってことすら考えたこともなかったなどと心の中で言っているが、十五歳になったからといって考え始めた様子もない(笑)。 ただ逆髪の結羅編でもわかるとおり、楓に聞かされた井戸の由来はしっかり覚えているので、十五歳を機にかごめの内面で何らかの変化が起こったことは事実だろう。 体内に四魂の玉を得たこと、タイムスリップできるようになったことなど。 もうひとつ、かごめ自身は気づいていないが、いきなり妖怪に襲われるという異常な状況の中での冷静な対応、あまりの恐怖感のなさなどは楓の言葉通り、かごめが桔梗の生まれ変わりであることを予想させるに十分なものだった。 しかし、後になって翠子がかつて存在していたことが明らかになり、裏陶編のようにかごめが桔梗を上回る霊力を見せることが出てきた。 それにより、私はかごめは桔梗の生まれ変わりであると同時に、翠子の生まれ変わりであると思っている。 桔梗は翠子の生まれ変わりであると思うときもあれば、翠子に認められた、全く独立した巫女に見える時もある。 その時々によって揺れ動いているわけだが、今回は桔梗が助けたというより、いつもほどの激しさはないものの、追い詰められたかごめの霊力の爆発と捉えたい。 静謐の世界に去った瞳子は美のバトンをかごめに返し、最終ページはかごめと桔梗の美の競演。 別の漫画か?と思うほどの、特に桔梗の美しさだが、かごめの結論には「違う」と思った。 仮に封印していたのが桔梗だったとしても、その死によって封印は終わっていたはずだ。 四魂の玉や弓にこめた想いとはまた違う。 かごめ自身はこの世にいない桔梗の力の及ぶところではないと思う。 もうひとつ、今回のエピソードで、私はかごめが最後に戦国時代を選ぶことを確信した・・・ような気がする。 自信はないのだ、もちろん。 「ふたつの世界」のように、ここで新たな謎を撒いておいて、次回は新展開になるのかと思っていたら、次週もこのまま続くようでかえってびっくり。 「今、かごめに秘められし驚きの事実が、明らかになる・・・・・・!?」 明らかになっちゃったらどうしよう。 思いがけない展開におろおろしている自分がいるのだけれど。 いずれにしろ瞳子編はあっさり終わり、その後に大きな盛り上がりを見せるエピソードとなった。 瞳子やかごめの苦しみ、がんばりを軽く見る気はもちろんないが、どこか乗り切れなかったのは瞳子が主役ではなく、瞳子がかごめに与えたもの(知識)がメインだったせいだろう。 巫女だからこそ特殊な存在と捉えてしまったが、その存在は花皇や死神鬼とさほど変わるものではなかったような気がする。 キャラとしてはさっき通して読んで好きになった。 最近の「犬夜叉」は通して読んだ方がわかりやすいしおもしろい。 それにしても今回の奈落、一体なんだったのだろう。 軽く笑えた。 (2007年6月27日の日記)
|
本当の力−1 |
原作少年サンデー2007年7月4日(31号)第512話「正しい願い」 ☆ ☆ ☆ かごめの顔から何かが落ちて、ちょっと気抜けな現代タイムって思ってたら、えっ?受験申込書?時はすっかり受験シーズン?願書の受付?かごめがマフラー?そして高校受験まであと一か月ない? クリスマスもお正月もすっ飛ばして「って、いつの間に!」ってかごめの驚きは私の驚き、そしておそらくみんなの驚き。 これだけ戦国時代に長居して(つまり学校を長期欠席して)問題にならない時点で、もう現代はスパイス程度の認識、最後は戦国を選ぶか、いつの間にやら合格かの2つに1つと思っていたけど。 ここであえて現代かごめが追い詰められる展開に、むしろ将来かごめが戦国時代を選ぶ可能性が高まったと思う。 もう行ったり来たりの段階は過ぎ、どちらかを選ぶ段階への突入。 そして私はかごめが戦国時代を選ぶと信じているのだけれど(犬夜叉がいるから)。 いずれにしろ、これだけシリアスに話を引っぱってきた「犬夜叉」だし、行ったり来たりで終わるわけにはいかないのだから、かごめの台詞にもあるとおり。 その頃犬夜叉たちは楓に瞳子の残した言葉を伝えている。 先週かごめだけが聞いた瞳子の言葉、心に秘めたかごめがたまらなくかっこよく見えたのだけど、見えない所でしっかり教えてたんだ、犬夜叉たちに(笑)。 もちろん瞳子の言葉の意味を解き明かすためには、仲間、特に楓の協力は必要なのだけど。 かごめが心に突き詰めて考え抜いて、最後の奈落との戦いで答えがひらめく展開が見たかったな。 かごめの「不思議な力」はすでに発揮されている。 「清めの力」と「破魔の矢」を珊瑚が例に挙げているが、それ以外にも裏陶編や犬夜叉と桔梗の口づけの場面などで桔梗を凌ぐ爆発力を見せている。 楓が言う本来なら今以上の霊力があるはずだという言葉は意味深だ。 犬夜叉や楓がかごめと桔梗の力をどう評価しているかは明示されていないが、常時の力は桔梗、コントロール性が高いのも桔梗、しかしいざとなったら桔梗を凌ぐ霊力を爆発させるのがかごめと思っているのではないだろうか。 そのかごめが桔梗だけの生まれ変わり、桔梗により霊力を封印されたとは考えにくかった。 私はむしろ翠子の生まれ変わり、翠子による霊力の封印を考えていたのだが、楓は四魂の玉そのものが封印したと考えた。 それだけなら四魂の玉の中にいる翠子が、とも思えるのだがそうではなく、四魂の玉の邪(よこしま)な部分がかごめの霊力を恐れ、封印したのだと楓は言う。 つまり四魂の玉の中での翠子と妖怪たちの力関係が逆転したわけで、翠子と桔梗(最初の死の際の)想いよりも邪な部分が強かったのか?かごめの中で。 桔梗による封印と考えたかごめと、四魂の玉の邪な部分による封印と考えた楓、もちろんどちらもはずしたどんでん返しもあるかもしれない。 個人的には翠子説を取りたいが。 意味深な台詞が多いのでわかりにくいが、楓の考えだと桔梗は自分と共に四魂の玉も葬り去るつもりだった。 かごめに生まれ変わったのは桔梗の意思ではなく、当然四魂の玉の復活も望んでいなかったし予想もしていなかった。 だから逆に桔梗が生まれ変わりを想定してかごめの霊力を封印することはあり得ないということか。 犬夜叉はもっとロマンティストだ。 四魂の玉(のストラップ)を見つめながら、桔梗の言葉を思い出す。 邪な妖怪の手に渡れば、ますます妖力が強まる。 玉は決してなくなりはしない。 だがおまえを人間にするために使うなら、四魂の玉は浄化され・・・ おそらく消滅する。 以前はあれほど優しい表情で語られた言葉、でも今犬夜叉の脳裏に蘇るのは厳しく哀しげな桔梗の顔。 犬夜叉に裏切られたと信じて死んだ桔梗がもしも(生まれ変わるべき)かごめの霊力を封印したのなら、それはもう闘いたくないという桔梗の思いを四魂の玉が叶えたのだと犬夜叉は思う。 (2007年7月5日の日記)
|
本当の力−2 |
さて、苦しい時は神頼み?な孫はご利益があるかどうかもわからない自分の神社にお参りし、由来が大好きな祖父は受験に関係ないお守りを持って現れる。 似た者同士のおもしろ会話だが、ここでも興味深い事実が次々と明らかになる。 懐かしの四魂の玉のお守りだが、これまで「何度聞いても忘れてた」由来は、どんな願いもかなうという四魂の玉をめぐって巫女と妖怪が闘い続け、最後に四魂の玉を手にした者が、唯一の正しい願いを選んだ時、玉は浄化され、この世から消え去るというものだった。 受験に関係ないことをかごめに突っ込まれ、話はそこで終わっているが、ここでかごめは初めて祖父の話す由来をきちんと聞き取っている。 祖父は「おまえ最後まで聞いてくれないし。」と言ってるが、かごめ自身は「戦国(むこう)に行く前、玉の由来を何度聞いてもすぐ忘れていたような・・・」と思い、それも「桔梗の封印」のせいかと考える。 前回の考察日記と前後するが、この段階ではまだ犬夜叉が現代に来ておらず、「四魂の玉による封印」という説もかごめに伝わっていない。 ただ、今話を聞いたかごめがこうして覚えていること、何度か書いた、戦国に行ってすぐ楓から聞いた骨喰いの井戸の由来(おそらく日暮神社の井戸の由来と同じだろう)を覚えていること、さらに時折見せる浄化や破魔の矢の力などから考えるに、封印されているはずのかごめの霊力や記憶が、戦国時代に行ったことをきっかけに少しずつ漏れ出しているのではないかと思う。 瞳子からは誰かに(何かに)霊力を封印されていると示唆されただけで、瞳子が封印を解いてくれたわけではない。 しかし封印されていると意識することにより、さらに封印は崩れ始めたように思う。 いずれ劇的な何かが訪れ(奈落のちょっかいとか犬夜叉のピンチとか)、封印が解除されると同時にかごめの中で桔梗や翠子の記憶が意識が目覚めたらいいなと思う。 以前裏陶編で犬夜叉たちがかごめの中に桔梗の人格が入り込むことを危惧していたが、今のかごめなら自分を見失わずに存在できると思う。 もちろん3人の人格が入れ替わり立ち代り現れるのではなく、かごめが他の2人の巫女の魂を受け入れ、同一化するという意味。 話がそれたが、ここで是非かごめに日暮神社自体の成り立ち、その由来を祖父に聞いて欲しかった。 もちろん御神木の由来も。 戦国時代に悪さをした半妖が巫女に射抜かれ、50年間封印され続けた御神木なんて由来だったら笑っちゃうな。 私は日暮神社は桔梗、犬夜叉、そしてかごめを祀っているのだと思っているのだが。 もちろんかごめという名前は出ないだろうが、日暮神社に代々伝わる四魂の玉を守るために闘った巫女を祀る神社。 お供?に犬耳の少年、風穴を持つ法師、猫又を連れた少女、化け狐の子ども、とか。 興味深いのは祖父の言う「代々伝わる四魂の玉」という言葉。 素直に取れば、四魂の玉は未だに消滅せずにこの神社に保存されているとも言える。 つまり四魂の玉は未だ浄化はともかく消滅はしていないということ。 「四魂」という言葉自体があまりにポピュラーなので、「四魂の玉」という「物」が神社のお守りとして売り出されることに何の不思議も感じなかったけれど、こうして見るとおかしなことになってくる。 同時に現代の日暮神社が四魂の玉を狙う悪しき者どもによって襲われる気配もないので、いずれ戦国時代で起きるであろう何事かによって四魂の玉は浄化されたか、力を失い、ただの水晶の玉のようになったか。 もしかしたらかごめの霊力を封印した何者かの意思によって四魂の玉自体も封印されているということもあり得る。 っていうか考えれば考えるほど末広がりなみんなの力(笑)。 その四魂の玉を浄化する条件が「唯一の正しい願い」なのだが、そこに戦国時代から犬夜叉がやって来る。 四魂の玉のお守りを手に犬夜叉は桔梗を想う。 「犬夜叉を人間にするために使うのなら、四魂の玉は浄化され、おそらく消滅する。」と桔梗は言った。 結局桔梗は四魂の玉を使うことなく死んでいったが、ではもし何事もなく使っていたらどうだったろう。 四魂の玉は浄化され、消滅しただろうか。 今週号を読んでしまうと、無理だったのではないかという気になってくる。 犬夜叉を人間にすることはできるだろう。 しかし犬夜叉の体内で四魂の玉は存在し続け、もし抜き取られれば犬夜叉は半妖に戻るだろう。 犬夜叉と桔梗が共にいれば、四魂の玉は汚れることはないだろうが、消滅はしないだろう。 「正しい願い」だけならともかく、そこに「唯一の」の但し書きが付くからである。 犬夜叉を人間にする、邪な願いではないが、どこまでも個人的な願いとなる。 私はむしろ四魂の玉を翠子の骸の中に返してやるくらいのことしか考えつかないが、使うべきはやはり世に仇なす奈落の成敗か。 いえむしろ救い、癒しのために使うべきなのか。 ここまで覚悟ができているかごめなら、唯一の正しい願いは、願うべき時に向こうからやってくるだろうけど。 瞳子編を機に確実にステップアップしたかごめだが、その決意にはまだ「桔梗のいない今」という前書きがつく、まだまだ弱い。 桔梗は関係ない、自らの意思のみで四魂の玉を浄化する強さを身につけた時がかごめのクライマックスだろう。 さっき書いてて思ったのだけど、もしもかごめが最後に戦国時代を選択したとしたら、現代を生きるかごめはかごめ自身の生まれ変わりにもなるのかな? 何らかの形で人間になった犬夜叉とかごめの子孫がかごめという手もあるか・・・。 あっ、だとしたら今のかごめが犬夜叉と恋するわけにはいかないか・・・。 次回はセンターカラーで「衝撃の新章突入!!」。 回り道に感じるエピソードにも確実に結末に関わる何かが加わる最近の展開、飽きを感じて離れた読者も今戻って来たなら再び「犬夜叉」を楽しめること請け合いだ。 ちなみにかごめが言う「バッタもん」、母に聞いたら偽者物、出所の怪しい物なのだそうだ。 なんかかごめが使う言葉ではないような。 高橋先生のアシスタント、まだ決まらないのか・・・。 なりたいなあ、なれないけど・・・。 ☆ ☆ ☆ おまけ。 私も持ってる数年前にアニメイトで買った「四魂の玉ストラップ」をつけた「犬夜叉」システム手帳、中身をとっかえひっかえプライベート用で未だに愛用中。 ロゴが目立たないので、意外に犬夜叉物だと気づかれません(笑)。 保存用1個と携帯につけてるの1個と合計3個。 ここにも3個あるよ、奈落〜。 (2007年7月6日の日記)
|
四魂の玉の邪念の妖怪 |
原作少年サンデー2007年7月11日(32号)第513話「玉の邪念」 ☆ ☆ ☆ 最初に前のサンデーぱらぱら読んでて、狐の試験はやはり大晦日だったのかもしれないなとしれないなと思った。 場所が王子だったとまでは言わないけれど(笑)。 せめて今回のカラー表紙などで、お餅を食べてる犬夜叉たちくらいのサービスをして欲しい。 どうせストーリーに関係ないのなら、犬夜叉が右向きだったり左向きだったりする違いの一人姿だけじゃ物足りない。 他作品はあまり意識したことがないが、サンデー自体の表紙を担当の時は、ケーキを食べたりマフラー巻いたり楽しいものもあったのだし。 カレンダー(アニメ絵)ではいろいろな場面を見せてくれるが、原作絵でももっと見たい。 ストーリーを壊すのは駄目だろうから、弥勒たちが現代にいたりしなくていいけれど、せめて楓の家でお餅を焼くとか食べるとか・・・。 カラーで麗しい上目づかいの殺生丸は良いとして、雑魚鬼までカラーはもったいない。 もともと刀がなくても強かった殺生丸。 刀がないからと言って倒せるほど甘い相手ではないし、大体刀を失ってはいないのだけど、どこかで間違った噂が流れているらしい。 流しているのは奈落自身か夢幻の白夜か。 さらに敵の目的は琥珀のかけら。 琥珀をつれているというだけで、幾多の悪しき者の標的とならざるを得ず、いつの間にやら琥珀の用心棒の立場になってる殺生丸。 それでも琥珀に余計なことを聞かせまいとする優しさを見せる。 なんとなく琥珀とりんの父親、子守は邪見みたいなスタンスが出来上がりつつあるような。 これで足りないのは母親か、う〜ん、神楽が恋しいな。 身の縮む思いの邪見にりんがナイスな突っ込みでほのぼの家族だが、上から見ていたのは夢幻の白夜。 報告に戻る白夜が見たものは、奈落を囲む黒い光。 今回修理は早かった、すでに身体も完成、服まで調達済み。 そしてせっかく作った身体を貫いて出てきたものは復活無双、ではなく人相の悪い獣郎丸というか、巨大化した影郎丸というか。 四魂の玉を使って作った新たな分身かと思いきや、「四魂の玉の中から出てきた、永年玉に封じ込められていた妖怪どもの邪念」だと言う。 奈落の身体を貫いた黒い竜巻のようなものが邪念で、それが奈落の体を形作っていたものを奪い、実体化したのだろう。 そうすることで奈落の意思にある程度従う存在となったのかどうかは今週はわからないが。 邪念が出て行ったのなら四魂の玉は聖なる念ばかりが残るはずだが、玉が汚れているのは奈落のせいか。 邪念の妖怪は、当然四魂の玉を完成させるために動き、琥珀を襲いに行く。 たまたま近くにいたらしい犬夜叉一行、犬夜叉、かごめ、弥勒も気づく。 (犬夜叉は鼻で気づく。) 途中でしっかり服を調達してきた邪念妖怪(名前はまだない)は、素手で戦う殺生丸を弱いと評価。 しゃべるんだ・・・、ちょっと驚いた。 「おまえ弱いな・・・」だけなので、普通にしゃべるのか、途切れ途切れな感じなのかもまだわからないが。 思わぬ強敵に緊張感を隠せない殺生丸と、普通に怒っている邪見の対照がおもしろいところで以下次号。 名前がないからと言って柱で「コイツ」呼ばわりはやめて欲しいなと思う。 「犬夜叉」は片仮名の似合わない作品だ。 今週のベストカットは殺生丸のほとんど全てと邪念に気づくかごめの顔。 189ページのかごめと191ページの殺生丸、同じ角度で空を見上げているのだけれど、切れ長の殺生丸の目と引き結んだ口、かごめのまん丸な目とぽかんと開いた口のかわいらしさの、これもコントラストがおもしろかった。 基本的に新キャラ登場に新鮮なおもしろさは感じないけれど、瞳子編同様読んでくうちにじわじわと謎が解け、結末にまたひとつ近づいていくという最初は低く、緩いカーブを描いて上昇していくエピソードなのかな?と思う。 以前のように最初から飛ばしまくり、ぐいぐい読む者を惹き付ける魅力を望むことはできないのが寂しいけれど、これもまた「犬夜叉」なのだろう。 余談だが、この邪念妖怪、某漫画(Dがつく)の某キャラ(マ行で始まる)に似ているのが笑えた。 もうひとつ、投稿ページのナギが語る「神をも畏れぬ恐るべき所業」にも爆笑してしまった。 でもせっかくのカラーなのに、隣りの作品とのギャップが辛かった。 (2007年7月11日の日記)
|
四魂の玉の支配? |
原作少年サンデー2007年7月18日(33号)第514話「危機」 ☆ ☆ ☆ 出てくるキャラが全てかっこよくあって欲しいわけではないけれど、どうもこの邪念妖怪(今週も名前がないので勝手に命名)、魅力がない。 殺生丸の引き立て役ではないのだし、不気味な怖さはあるのだけれど。 これまで出てきた奈落の分身や妖怪でそれなりの力を持つ者は、命名されていたけれど、この妖怪、もしかしたら名前のないところに意味があるのかもしれない。 さて闘鬼神や闘える天生牙がなく、アニメのような「光の鞭」のない殺生丸は接近戦で挑むしかない。 邪念妖怪に笑顔で飲み込まれた日には殺生丸があまりに不憫。 邪念妖怪を貫いていた腕は、殺生丸の持つ毒より強い毒で焼けただれていた。 そういえば、殺生丸は毒を持っていたんだっけ。 体内ではなく、爪だけなんだ。 体内に持っていたら殺生丸の血に触れた者(りんや邪見)が危ないし、納得できる話だけれど、ならば爪のみの毒はどこで作られてるんだろ。 などと今頃疑問を持ったところで仕方がないが、とにかくこの邪念妖怪は強い毒の持ち主。 奈落、ではないだろう。 だとしたら四魂の玉から生まれた毒か? 翠子と戦っていた雑魚妖怪から生まれたとも考えにくいか・・・。 ならばやっぱり奈落が殺生丸を上回り始めたというところか。 冥道残月破を犬夜叉に与えたと言うことは、同時に戦える天生牙から戦えない天生牙に逆戻りしたことも意味する。 新たな武器(力)を得る前の絶妙なタイミング、これは奈落を褒めるよりも憎々しく感じてしまう。 神楽との絆以来、けっこう殺生丸に感情移入が強いかな?私。 妖怪が狙うのは殺生丸の右腕。 腕を失っても蹴りと牙がある、とは言えないな、殺生丸は。 援護のつもりの琥珀の鎖鎌が見事邪念妖怪の頭部に刺さるが、琥珀の思惑ははずれ、琥珀のかけらが汚される。 琥珀としては、桔梗に清められたかけらに邪念妖怪は触れることはできないだろうと思ったのだが、邪念妖怪は奈落の分身であると同時に四魂の玉の分身とも言える。 四魂の玉自体の持つ力と邪念、奈落の力でかけらを汚すことはたやすいこと。 一方殺生丸の読みは正確で(鼻の効用か?)、囚われた琥珀を助けに向かうが、今度はその腕を尖った骨?で貫かれてしまう、3箇所も。 この絵柄がまた痛々しくて、この時ばかりは犬夜叉の乱入も嬉しかった。 いえおなかに穴あく犬夜叉も十分痛いだろうけども、もっと生理的な嫌悪を伴った痛みがあるな、この絵は。 共に駆けつけたかごめたち。 かごめは琥珀のかけらを浄化しようとするが、逆に邪念妖怪により動けなくなってしまう。 一体翠子は何してるんだ?と言いたくなる四魂の玉妖怪の強さ。 戦う部分の強さだけではなく、類まれな霊力の持ち主のかごめまでも意のままなのか。 さすがにかごめが汚されることはないだろうが、霊力の持ち主だけに通じる弱い部分はあるのだろう。 アニメオリジナルの「巫女封じの洞窟」のように。 そういう意味ではあのオリジナル、おもしろかったな、キャラの使い方には度肝を抜かれたけれど。 ここでもやはり 「四魂の玉の妖怪たちの持っていた邪悪な部分+奈落の力」>「翠子とかごめの力」 の法則が成り立っているのか。 逆にこの攻撃に抗う力の爆発が、かごめの目覚めと「力と記憶」の封印解除につながるのかも。 同時に殺生丸が新武器ゲットもあるかもしれないが、斬れます!刺せます!のこの腕だったら嫌かも。 一応右腕だけど(殺生丸が失ったのは左腕)、あんまり関係なさそうだし。 あと犬夜叉と珊瑚の武器(鉄砕牙と飛来骨)の見せ場となるかも。 珊瑚は前に見せたから、今回は犬夜叉もありきか。 この邪念妖怪、強そうだけど、あまり長生きの予感はないので、是非犬夜叉の豪快な一振りで葬り去って欲しい。 結局奈落を含め、ほとんど全てが四魂の玉の支配を受けている中、唯一犬夜叉だけが受けていないような気がするから。 琥珀のかけらの汚れも気になるし、次回がとても待ち遠しい。 今週は他に「結界師」と「史上最強の弟子 ケンイチ」がおもしろかった。 「結界師」は本当に起伏のある作品で、おもしろい時とそうでない時の違いが極端。 「史上―」のアニメはもう叶翔だっけ?が出てるのかな?って気になって「公式サイト」覗いてきたら、残念まだだった。 声優さんがとっても気になります。 「結界師」や「名探偵コナン」は「犬夜叉」からの流れでなんとなく見ちゃうけど、「史上―」や「ハヤテのごとく」は予約しないと見れないので忘れることが多いです。 「ハヤテ―」はOPがとても好きなんだけど。 少々疲れ気味の今日この頃、元気を出すために高橋先生を見習ってクーリッシュを買ってみた。 おいしかった。 (2007年7月19日の日記)
|
曲霊(まがつひ) |
原作少年サンデー2007年7月25日(34号)第515話「借り物の体」 ☆ ☆ ☆ ストーリーより何より「曲霊」の一言にやられた号だった。 もっときちんと読んでいれば、もっと考えていれば当然気づいてもいい言葉。 これまであえて触れなかったのはこの効果を狙っていたのかと思えるほど見事。 「邪念妖怪」などとまとめていた自分が恥ずかしい・・・。 まずは表紙のかごめの憂いを含んだ表情の美しさと犬夜叉の顔のぎこちなさのギャップがすごい。 次のページ、今週も倒れたままのかごめの表情もいい。 思うに私は口を閉じてる顔が好きなんだ。 笑い顔よりシリアス顔。 麗し顔の筆頭殺生丸は今週は妖犬になるので麗しさとは程遠い。 しかも妖怪の首をくわえて飲み込むでもなく噛み砕くでもない図がちょっと気が抜ける。 一応話を聞く姿勢なのかもしれないけれど。 かごめと琥珀を守りながら(邪見を忘れながら)逃げ出す弥勒と珊瑚はかごめや琥珀の様子から妖怪の正体を推理、真相に近づきつつあるようだ。 あくまでも琥珀のかけらを狙う妖怪は、体を借りた恩も忘れて奈落を半妖呼ばわり。 苦戦する犬兄弟を見つつも、興味は妖怪の正体にどう気づくかその一点だったのだけど、最終ページの犬夜叉の「てめえ、なんなんだ!」に対する答え、 「聞くなら答えよう。 わしは・・・ 曲霊(まがつひ)。」 最初に書いたように、この一言にやられた。 (殺生丸が霧骨に放った言葉と似てるところが兄弟か?)。 曲霊、アニメ「 ついに明かされた四魂の秘密」の考察で調べた時に書いたものをそのまま引用すると 四魂、つまり4つの魂は、誰もが持っているものである。 そのうち荒魂(あらみたま)は、良い方に進むと「勇」になり、悪い方に進むと「争」になる。 簡単に言うと、良い方に進むと勇猛果敢な気質になるが、悪い方に進むと、争いや揉め事を起こしやすい気質となる、とでもいったところだろうか。 和魂(にぎみたま)は、「智」であり、その逆は「悪」である。 奇魂(くしみたま)は、「親」であり、その逆は「狂」。 幸魂(さきみたま)は「愛」であり、その逆は「逆」となる。 この四魂をまとめる役目を持っているのが「一霊」と呼ばれる。 弥勒の言う「直霊(なおひ)、曲霊(まがつひ)」は、この一霊の状態をさす。 勇、智、親、愛に近い安定した状態ならば「直霊」であり、何らかの影響で争、悪、狂、逆に近づいていけば、魂は不安定な状態となり、「曲霊」になる。 そして「魔」に魅入られやすくなる。 しかし普通の人間は、四魂が争、悪、狂、逆に近づいていったとしても、完全に自我を失い、破壊行動に走ったりはしないという。 なぜなら人間は「理性」を持っているからである。 魂が限りなく曲霊に近づいていったところで、必ず少しは直霊の影響が残り、崩壊を食い止める。 ならば妖怪が巨大化するためのつなぎとして使われた(翠子に懸想した)男、そして桔梗を得るために、自ら妖怪を呼び寄せ、体を喰らわせた鬼蜘蛛こそが、曲霊そのものだったのだろう。 つまり曲霊は人が持つ魂の、この場合は四魂の玉が持つ「要素」の中の歪んだ部分である。 奈落から完全に独立したこの妖怪を表現するに、これ以上のふさわしい言葉はないだろう。 ただやはり疑問は残る。 曲霊が抜け出た四魂の玉は今どういう状態にあるのか。 曲霊が抜け出たならば残っているのは翠子の「直霊(なおひ)」の部分のはず。 奈落により汚されているにしても、翠子は四魂の玉になんらかの影響を与えることはできないのか。 こうして考えてみると、「犬夜叉」に登場する「四魂」の玉は「四魂」であって「四魂」でない。 「四魂」をモチーフにし、その用語を「四魂」に沿って活用しているけれど、その「四魂」の玉は世間一般で言うところの「四魂」の玉ではない、「犬夜叉」独自の「四魂」の玉でないかという思いに囚われる。 別の言い方をすれば、高橋先生が自分の好きなように解釈しているということ。 生半可な知識に振り回されていると、「犬夜叉」の本筋とは程遠い所に押し流されていくような気がする。 椅子に寄りかかって読んでいたのが、おっと身を乗り出し、座り直したような気になった最終ページ。 曲霊ならば、これからどう動いていくのか。 殺生丸の牙でも噛めない石頭、このまま口の中から這い出して体に戻るか飛んでくか。 懐かしの無双のように、何度斬っても再生ってのもありかも。 さらに奈落が求める四魂の玉の力が生み出した妖怪曲霊であるから、もしかしたら奈落をも越える存在になるのかもしれない。 弥勒が推理するように、こやつがかごめの力を封印したとは考えにくいのだけれど。 四魂の玉の不可思議な力が曲霊という妖怪の形になってしまった以上、この部分での四魂の玉の神秘性は失われているのだから。 実体化した以上、曲霊は犬夜叉たちにとって倒すべき敵の一人でしかないだろう。 曲霊はかごめに何らかの影響をもたらしてはいるけれど、それは大いなる力の一部でしかないと思う。 今週は「犬夜叉&うる星やつら」複製原画応募者全員サービス」付き。 両方欲しい人はサンデー2冊買わないといけないみたいです。 (2007年7月25日の日記)
|
くすくす笑いが止まらない |
原作少年サンデー2007年8月1日(35号)第516話「曲霊」 ☆ ☆ ☆ 「いやそんな話じゃないだろう」って突っ込まれそうだが、今週はほんと笑った。 それもくすくす笑い。 「犬夜叉」読んで、他作品読みながらもまだくすくす笑って、もう一度「犬夜叉」読むのにまだ笑いが止まらない。 肝心のストーリーがどっかに行ってしまった(笑)。 邪見はこのために置き去りにされたのか。 ナイスだ、琥珀!ナイスだ、りん! 曲霊に絡め取られ、身動きもできぬ妖犬殺生丸。 「斬れ。 この化け犬ごと・・・」 挑発するは影郎丸、じゃなくて曲霊。 ここは是非サンデーで読んで欲しい。 絶体絶命の大ピンチにここまで笑かしてくれる邪見と高橋先生に心からの拍手を。 ここで邪見の台詞を羅列してもサンデーで読む半分もおもしろさは伝わらないと思うけど・・・。 「殺生丸さま おいたわしい・・・」(ここまでは普通。) 「逃れられぬのか!? 犬妖怪の本性のお力を持ってしても・・・」(ここまでも良し。) 「というかあのお姿では手も足も出ぬのでは!? 犬だし。 あまり賢そうではないし。」(え”っ・・・?) 「変化を解けば小さくなってすり抜けられそうなものだが・・・」(「どきどきどき」と小さな胸を痛める邪見。) 「お気づきにならぬのか!? 犬だから。」(何気に馬鹿にしている?) この瞬間、まるで邪見の声が聞こえたかのように人間形に戻り、曲霊から逃れる殺生丸。 嬉し涙を流す邪見を「ギロ」と睨む。 「私はなにも考えておりませんっ!」 咄嗟の言い訳邪見にあきれる犬夜叉@汗つき。 殺生丸もさすがに蹴りを入れたり石を投げたりする余裕はないらしい。 「邪見さま、なにかを考えてたんだな。」byりん。 「はー、心が通じあっている感じですね。」と背後の弥勒。 ここで是非犬夜叉にも突っ込んで欲しかったが、ここで強引に本筋に戻すのが犬夜叉の役割、残念。 本当に心が通じ合っているんだな、邪見と殺生丸は(笑)。 シリアスモードに戻って殺生丸の部分だけを先に拾い上げてみると、この後曲霊に襲われる弥勒たちを助けるために殺生丸が誘導する場面が見られる。 傷ついた顔で「ついて来い。」は麗しいが、さすがの弥勒やりんもここではシリアス。 弥勒たちのために道を作りつつ、冥道残月破を避けるため散り散りになった曲霊の体を一箇所に集めようとする殺生丸。 そして最後のページの独白が衝撃的だった。 「こいつだけはこの手で殺す! それがこの殺生丸の誇りだ!」 これほど追いつめられている殺生丸を見るのは初めて。 以前朴仙翁との会話で、殺生丸は闘いの中で、どのように追いつめられようと、心は冷めたまま、自分を見失うことはないだろうと言う朴仙翁の言葉を肯定してるが、これは妖怪だからというより殺生丸の誇り高き性格ゆえだろう。 追いつめられた闘いの中で殺生丸は冷めたまま、その闘志を燃え上がらせる。 そしてこの台詞はあえて犬夜叉の助勢を断固拒否する姿勢にも見える。 半妖だから、弟だからといったいじましい理由ではなく、その「誇り」ゆえ。 ここまでされると犬夜叉もむしろ見守る立場につかざるを得ないが、せっかく黒い刃(途中で戻ったが)まで披露したのだから、冥道残月破も成功させて欲しい。 冥道残月破の成功は兄弟の連携ってわけにもいかないし、単独だと殺生丸の見せ場を奪う、諸刃の剣だ、使いどころが難しいのかも。 珊瑚の飛来骨はそれなりの効果があるようだが、弥勒の風穴はかけらを汚された琥珀によって阻止。 これは弥勒のために嬉しい。 かごめは最初は動けないだけで意識はいくらかあったけど、今は完全に失神状態。 無の状態での力の覚醒はあるのだろうか。 でもここはやはり殺生丸で盛り上げて欲しい。 惜しむらくは曲霊、たしかに不気味な怖さはあるのだけれど、影郎丸似のルックスや、以前奈落や無双のエピソードで見たような場面ばかりでいまいち迫力に欠ける気がする。 ただの「妖怪」ではない部分、「四魂」に関わる部分をもっと見せて欲しい。 今週も触れられなかった翠子だが、もしかしたら翠子自体も曲霊化している可能性はあるのだろうか。 曲霊が抜けた四魂の玉が未だに汚れているのなら、奈落の邪気に太刀打ちできない翠子ならばないことではないのかも。 案外汚れた玉から抜け出てかごめの中で息を潜めて?いることもあり得るかな? かごめの覚醒と共に翠子復活とか。 奈落や桔梗や四魂の玉に関する力が天井知らずに上昇続ける「犬夜叉」だから(笑)。 (2007年8月1日の日記)
|
誇りゆえに |
原作少年サンデー2007年8月8日(36、37合併号)第517話「曲霊の本体」 ☆ ☆ ☆ 「好きなキャラアンケート」なら迷いなく鋼牙に1票投じる私だけど、最近は自分でも驚くほど殺生丸への感情移入が強い。 犬夜叉と鋼牙で鋼牙の方が好きなのは好みの問題。 犬夜叉と殺生丸で殺生丸が好きなのは、やはり直情型より複雑キャラ振り回されタイプの方が気になるせいだろう。 そんな殺生丸に今週最大の危機が訪れる。 誇りをかけた闘いの中で、殺生丸は奈落とはかすかに違う「邪悪な魂の匂い」を嗅ぎ分ける。 ここは半妖犬夜叉と、完全なる犬妖怪殺生丸の鼻の差か? というより闘いに集中している殺生丸と殺生丸に気を取られ、集中できずにいる犬夜叉との差だろう。 犬夜叉のこういった部分の「甘さ」は以前はたまらなく愛しく思ったものだった。 今は?と聞かれると常にメインで闘っているせいか慣れちゃった気が・・・。 曲霊の本体を見抜いた、いえ嗅ぎ分けた殺生丸は天生牙を抜き放つ。 興味深いのは曲霊が天生牙に関する知識が全くないこと。 「この世のものではない」曲霊の本体は天生牙で斬ることができる。 (ちなみにこの時点で犬夜叉も天生牙が効果的であることに気づいている。) 四魂の玉の中でそれなりに奈落と意思の疎通を図っていたのだと思っていたが、どうもそうではないようだ。 ではかけらが意思を持って宝仙鬼の元に行ったりしたエピソード、四魂の玉の中で翠子と妖怪が闘い続けているという珊瑚の話はどうなるのだろう。 「犬夜叉」を読んでいると、四魂の玉(かけら)の中で眠っていたように見える。 そして何の動きも見せない翠子もまた汚れた玉の中で眠らされているように思える。 話がそれるが、珊瑚の里に語り継がれた四魂の玉の由来、出所はどこなのだろう。 翠子と妖怪たちの闘いを目撃し、生き抜いた何者かがいなくては成立しない話だが。 その何者かが翠子の木乃伊を守り、里を築いて退治屋となったとすれば珊瑚もまた翠子と深い関わりを持つ存在となるのだが。 まあ展開上珊瑚の祖先が翠子と重大な関わりを持って登場するとは思えない・・・か(笑)。 話を戻して、ここで殺生丸に斬られた本体がどうなったのかははっきりしない。 それなりのダメージは受けているのだけど、曲霊の実体の言葉の「中の奴」が本体を指していると思うので、たぶん復活するのだと思うが。 (じゃなかった、砕かれた殺生丸の体がっていう意味か・・・。) では四魂の中に戻るのか、消滅して終わっていたなら、四魂の玉は直霊のみと嬉しいことになるけど、さすがにそれはないだろう。 本体を斬った後、一瞬で天生牙を鞘に戻し、右手で触手を攻撃すれば良かったのだが、ここで実体は斬れない天生牙で攻撃したために、思いっきり馬鹿にされてる殺生丸。 そして遂に触手が殺生丸の胸を貫く。 ここは久しぶりに胸がズキンとした。 たとえば犬夜叉やかごめならどんなピンチに陥っても最後まで死ぬわけがないという安心感がある。 でも殺生丸は神楽や桔梗のように途中退場してもおかしくないキャラ、死の淵に立ってなお揶揄されながら殺生丸は再び触手に包まれる。 我を忘れて飛びかかる犬夜叉、いがみ合いながらも築いてきた兄弟の絆が感じられる。 ただし 「冥道残月破を奪ったおれに助けられるくらいなら、死んだ方がマシだってか・・・」は大きな勘違いだろう。 先週も書いたけど、殺生丸はもっと高い位置にいる。 「意地」ではなく「誇り」が殺生丸を戦いに駆り立てる。 そこは犬夜叉にも気づいて欲しい。 今度は犬夜叉が闘おうとするが、ここでもまだ生きているかもしれない殺生丸を巻き込んでしまうせいか、冥道残月破は発動できない。 高度な技だけに使いどころが難しいと設定したために、戦闘場面としてはもどかしさも感じるが物語としては絶妙な緊迫感が生まれてくる。 犬夜叉も捕まり、ピンチに陥りそうになった瞬間、触手がちぎれ、再び殺生丸が姿を現す。 その左腕からは「激しい光」が発せられているらしい。 (カラーじゃないのでよくわからない。) 遂に天生牙が主を守るために自ら奇跡を起こしたか。 傷は全快、左腕復活なんてことになったら大変だ。 真面目な話、殺生丸の傷が治ったと明示されているわけではないので、ここで殺生丸退場の予感はまだまだ強い。 個人的には神楽の加護が希望だけど、さすがにそれはないか・・・。 今回のエピソード、まだ途中だが考えらせられたこと。 主役(犬夜叉、かごめ)とその他のキャラへの危機における思い入れ度の差。 主役が死なないことはお約束、しかしその危機をいかに切り抜けるか、危機を経てどのように成長するかは描く側の力量次第。 同時に彼らへの強い共感がないと、他キャラ(いつ退場してもおかしくないキャラ)のような危なっかしさを感じることが少なくなる。 大きな意味ではこれもマンネリのひとつなのかも。 (2007年8月8日の日記)
|
爆砕牙 |
原作少年サンデー2007年8月22日(38号)第518話「爆砕牙」 ☆ ☆ ☆ 殺生丸に新武器登場!しかも腕付き!「鉄」砕牙にも優る「爆」砕牙入手! 今回はそれが全てだが、どうも殺生丸の立ち位置が「らんま1/2」の良牙と被ってしまったのが苦しい(笑)。 今まで良牙の立ち位置は鋼牙だと信じていたのだが。 ただ今回の出来事、ちょっと引っかかる何かがある。 解説役で登場した刀々斎の言葉から要点をまとめると ・殺生丸はもともと自分の中に爆砕牙を持っていた。 ・でも爆砕牙を得るためには、殺生丸が真の妖怪としてひとり立ちする必要があった。 ・それは父君の形見(鉄砕牙)への未練を断ち切ること(犬夜叉談)。 ・そして今殺生丸は鉄砕牙を奪おうとして失った左腕と共に爆砕牙を得た。 ・それこそが殺生丸が父君を越え、鉄砕牙から解放された証である。 読む限りにおいて何の疑問もない。 最近の殺生丸に父君を越えていない、鉄砕牙への未練を持っている、爆砕牙を持つ資格はないと思っている読者はおそらくいないだろう。 ではどこに引っかかるのか。 それはなぜこの理由で「今この時に」ということ。 これまで数多くのの戦いの中で、殺生丸に成長のため課せられたものは、ある意味犬夜叉より厳しかったと思う。 犬夜叉はなんだかんだ言っても根本的な優しさ、愛する者を、仲間を守ろうとする気持ちがある。 自分に対してさえ拗ねまくっていた最初の頃にも、かごめや楓の危機に駆けつける場面があった。 宝仙鬼のエピソードで強さを得るか仲間を守るかの選択を迫られていたが、当時は迫力ある描写につられて読んでいたものの、考えてみれば犬夜叉には必要のない試練ではあった。 殺生丸にそういった優しさがなかったとは言わない。 しかしその優しさは意識の底の底の、そのまた奥底にしまい込まれ、今頃出てきたシーラカンスのように長い間「ないもの」として存在していたのだと思う。 その分殺生丸が「父君の形見」を自分の物とするには犬夜叉以上の「精神面での試練」が必要だった。 思い返せば犬夜叉はむしろ優しさよりも「心の弱さ、技術面での試練」が求められていたように思う。 さらに父君が生き永らえていたにしろ、殺生丸には「後を継ぐ者」としての責任もある。 そういった全ての試練を「今」殺生丸はクリアしたのか? そうは思えない。 むしろ曲霊との戦いで殺生丸が経験したのは死の瀬戸際まで追いつめられ、わざわざ意識してこなかった「誇り」を口にするほどの苦戦である。 早い話が危なく死ぬとこだった。 この時の殺生丸が「今鉄砕牙さえあれば。」とか「犬夜叉に冥道残月破をくれてやらなければ。」などとぐちぐち思ってたなら問題外だが、今回はむしろ犬夜叉「風の傷」会得時、天生牙が殺生丸を守ったのと同じ雰囲気を感じた。 さらにその時、殺生丸に盲目状態にされた(追いつめられた)犬夜叉が、無意識のうちに「風の傷」を会得したのと同じ雰囲気も。 だから最初私は天生牙が爆砕牙に変化したのかと思ったくらい。 爆砕牙の持ち主としての資格は十分に兼ね備えた殺生丸の真の危機を救うべく天生牙が変化し、殺生丸を守ると共に攻撃もできる刀、爆砕牙になったのだと。 でも戦いを終えた殺生丸の腰にはちゃんと天生牙が納まっている。 何を理由に「今」父君を越え、鉄砕牙から解放されたのか、爆砕牙に関るつ解説は今週で終わりのようなのでいまいち不完全燃焼な気は残る。 同時に天生牙がなんか不憫。 これまでがんばってきたのに今後邪見も琥珀もりんも救えない(邪見も一度灰刃坊に斬られ、天生牙で救われている)出番のないお助け刀に戻ってしまったではないか。 さらに爆砕牙にはまだまだ力はありそうだが、今回に限って言えば冥道残月破の威力迫力には遠く及ばない雰囲気がちょっと辛い、いえ凄いことは凄いんだけど。 これに浄化の機能もつけたら百人力だけど、それだとかごめの出番がなくなるか(笑)。 父君が犬兄弟の間で、そして彼らの周りで起こるあらゆる出来事を想定して残していった鉄砕牙と天生牙だけど、犬夜叉によって斬り落とされた左腕まで復活するとはあまりにできすぎで、まるで父君もまた生きていて、奈落の対極にいてあれこれ画策しているような気分になってくる。 「四魂の玉に関することは私には関わりのないこと。」みたいな都合のいい解釈つけて。 もちろん画策しているのは高橋先生なのだけど、高橋先生に父君の霊が乗り移っているとか。 それにしてもこの曲霊、今でこそ凶悪相でがんがん攻めてたけど、人間の腕を殺生丸につないだり、鋼牙の足で必死で走ったりしてたんだよな。 満天のおでこでは何考えてたんだろ。 「俺に髪の毛生やせだと?」なんて怒り狂ってたに違いない。 なんてのは冗談だとしても、未だ完成されていない四魂の玉からなぜ曲霊本体が生まれ出てきたのか。 もしかしたら翠子は琥珀の中で眠っているのかもしれないなと思った。 生前の桔梗が翠子の木乃伊から得たもの、それは生きるための糧だけではなかったのかもしれない。 今回は珍しく?ちょっと泣き顔入ってるかと思えるくらい素直に刀々斎の話を聞く殺生丸の顔と、華奢な顔に似合わぬ腕の逞しさに度肝を抜かれた。 殺生丸もそれなりに鍛えられた体型なのだろうけど、鋼牙みたいにむき出しじゃないせいかすごい違和感。 もうひとつ、殺生丸のために喜ぶでもなく、もちろんうらやましがるでもなく(当然!)、厳しい表情で見守る犬夜叉、とてもいい顔している。 殺生丸と殺し合いの再会を果たし、共に傷つけ合いながら成長して、やがて認め合い、時には助け合うようになった兄と弟。 その厳しい道のりの中で二人にしかわからない感情、父への想いがあるのだろう。 ほとんど出番のなかった今回の犬夜叉、けれどぼろぼろになりながらを何かを得た兄の姿を見たことは大きいと思う。 これまで犬夜叉はいつも騒ぎのど真ん中にいて客観的に見守るとかあまりなかったから。 そして曲霊登場の間意識を失っていたかごめがやっと目覚める。 意味深な展開を予感させるその麗しさも良し。 琥珀はまだ目覚めてないので、目覚めたかごめに何かが起こって琥珀に影響を与えることになるのかな? かごめはまだ台詞がないが、翠子の口調で話し始めたりしたらすごいと思う。 毎日酷暑で熟睡できないせいか、変な夢ばかり見る。 先日は殺生丸のレントゲン写真の夢を見た。 骨の間に骨が写ってた・・・。 そっか「自分の中に刀を持っていた」とはこういうことだったのか・・・。 今までよく生きていたね、殺生丸・・・。 シリアスな会話の中でも邪見と刀々斎の会話には笑わせてもらった。 今週はいつも読んでる他作品もおもしろかった。 ★メモ。 爆砕牙の力。 爆砕牙で斬られた体は砕け続け、触れた体にも効果が移る。 この砕けた体を吸収したら奈落も打撃を受けることになる。 しかし曲霊は「逃げおおせた」。 現時点で威力のすごさはうまく伝わってこない。 けれどめでたく最強武器入手の殺生丸に万歳三唱。 (2007年8月27日の日記)
|
置いてかれた邪見 |
原作少年サンデー2007年8月29日(39号)第519話「曲霊の影」 ☆ ☆ ☆ どうでもいいことなのに、タイトルがこれしか思いつかない今週のサンデー。 桔梗復活に続くかごめの夢はむしろ蛇足に思えた。 表紙の美しさにシリアスな期待があまりに大きすぎたゆえか。 もしもこの夢がかごめの「戦国時代を選ぶこと=高校に入って普通の生活を送る選択をとらないこと」の伏線だと深読みすれば、話はまた別なのだけど。 かごめが強制的にどちらかの時代に留め置かれるのではなく、かごめ自身が選択することになると明言されたことは、重大なことだと思う。 桔梗の時は犬夜叉たちの心配をよそに、暢気な夢を見てても微笑ましいだけだったが、今回はちょっとはずしたような気がする、笑えない。 そんなかごめも無事目覚め、琥珀の浄化にかかるが、これまでできたかけらの浄化が、今回できなくなっていることに気づく。 不思議な気がするのは、時には桔梗さえ上回る、奈落さえ恐れるかごめの霊力を曲霊が封印、時にはコントロールできていること。 極端な言い方をすれば、力の連鎖の頂点にいるのが曲霊ということになる。 しかし奈落は曲霊を少なくとも自分より強者とは思っていない。 畏れるけれどコントロールできるかごめの霊力。 四魂の玉とかごめの間には、やはり翠子が関わる何らかのつながりがありそうだ。 一方犬夜叉と弥勒、楓は曲霊の力について語り合う。 死に逝く桔梗が四魂の玉に残した一点の光、それは「奈落が琥珀のかけらに触れることで激しい浄化の光を増幅させ、それが奈落を苦しめる」と弥勒が解説。 ものすごくわかりやすい。 しかし死の間際の桔梗の一念は全て奈落にのみ向けられ、奈落にのみ効果があるものだった。 つまり奈落以外の者には効かない、曲霊にも、夢幻の白夜にすら効果はないということ。 ならば奈落はこれまで散々してきたように、琥珀のかけらに(桔梗に)触れられない自分の代わりに、かけらを奪う(桔梗を殺す)刺客を送り込んできたことになる。 それだけなら相手が強いだけで、どうこう言うことでもないのだが、その刺客(曲霊)が、これまで力の連鎖の頂点にあると思われていた四魂の玉から生み出されたことに問題がある。 そもそも奈落は本物の妖怪になるために四魂の玉を狙っていた。 私はこの「野望?」は桔梗が死んだ時点で完全に消え去ったと思っている。 奈落にとって桔梗のいない戦国時代にはたして生きる意味があるのか?とすら思っている。 犬夜叉への嫉妬や殺生丸との確執などは、奈落に存在価値を与えるためのおまけで、奈落がいなくては作品として成立しないからまだ生きているくらいに思っている(好きだけど、奈落)。 ゆえに曲霊の登場で奈落、かごめ、桔梗、曲霊(四魂の玉に関わる)の力のバランスが微妙にずれているような。 奈落が曲霊(四魂の玉)よりも上にいて見下ろしているような感覚に違和感が残る。 だからおもしろくない、というのではない。 私の読みが全然足りない、パズルのピースが合わさって、あっと驚くような、「さすが高橋先生、さすが犬夜叉!」と手を叩きたくなるような展開を楽しみに待っているところ。 白状すれば、考察不可能(笑)。 これまでは当たっていてもはずれていても、それなりに推理したり予想したりできてたけれど、曲霊に関しては無理だ。 キーワードは「翠子」、それしか思い浮かばない。 というわけで前半は解読不能、後半はひたすら楽しい。 わざわざ楓の家の前で爆砕牙の鞘を作る刀々斎、大人しく待つ殺生丸。 これだけで星ひとつ献上。 出来上がった刀と鞘を「両手に」持つ殺生丸に、さらに星ひとつ(ここの美しさも良し)。 琥珀、りんに続いて置いてけぼりその3で泣き出す邪見に星みっつ。 殺生丸の心を読み取り、「お留守番」と言うりんにも星みっつ。 楓の小屋に馴染んでる邪見とりんに星ひとつ。 「小妖怪」呼ばわりの楓と邪見の会話?に星五つ。 邪見もお椀にお粥や汁をよそってもらって食べてるんだろうか、見たかったな(笑)。 ついでに殺生丸にも上がってもらって、犬夜叉とのおかず争奪戦、名づけて「間違った家族の団欒(アニメより)」やって欲しかった。 「邪見」という名前は覚えてもらいにくいのだろうかね?殺生丸の母君といい楓といい。 (わざとか?) シリアスに戻って去り行く殺生丸に声をかける犬夜叉に殺生丸は答える。 「あれは私の獲物だ。」 一昔前にもおんなじ台詞を言ってたけど、あの頃の殺生丸はもっと傲慢だった。 あの頃の殺生丸なら犬夜叉が同じように問いかけても、返事もせずに去って行っただろう。 そして「怒り狂った犬っころ」が残されただろう。 今の2人気遣う弟、誇りを持って答える兄の静かな男の会話、2人ともとてもいい顔。 そして次はかごめと犬夜叉。 一番のよりどころだった霊力を奪われ、あせるかごめがいい。 おそらく同時に不安も感じているのだろう。 霊力のないかごめは本来ならば小春のように置いてかれる存在だ。 今奈落に襲われたらひとたまりもない、のか? あせりはともかく、こんな不安を感じさせるかごめは新鮮だった。 この時の2人の表情も素敵だった。 そして最後は奈落と夢幻の白夜。 余裕たっぷりな奈落の表情が印象的だった。 (2007年9月4日の日記)
|
かごめの受験 |
原作少年サンデー2007年9月5日(40号)第520話「人生の一大事」 ☆ ☆ ☆ そういう意味の伏線だったか、かごめの夢は(笑)。 長期欠席、「病気」続きのかごめが問題にすらならない学校生活、話の繋ぎ以外の何物でもないとずっと思っていたのだけれど。 お約束の現代小話だけど、「受験」というかごめの未来に関わるキーワードが出てきたことでいつものサイドストーリーとは違う意味を持つのだろうか。 案外かごめは無事受験を終えて戦国時代に戻り、結果が出るまではまた数ヶ月かかりそうだけど。 高校受験、今となっては懐かしい青春の思い出だけど、当時はいっぱい悩んだ苦労した。 父の決めた女子高と自分の行きたい男女共学。 共学の方がレベルも高く、かなりきつい勉強を強いられて、だんだん自信がなくなり、長々続いた反抗期も終わりに近づき、最後は父の言いなりに女子高を選んだっけ。 高校は楽しく、充実した3年間だったし、それを悔やんだことはない。 でも時々ふと自分の想いをあの時押し通していたらと思うことがある。 もしかしたら落ちていたかもしれないし、受かっていたかもしれない。 結局は同じ大学に入って同じような人生を歩んでいたかもしれない。 けれどあれは私にとっては「人生の一大事」、ささやかながらも大きな決断の時だった。 などと懐かしい思い出に浸る間もなく、かごめには大騒動が巻き起こる。 こんな形で犬夜叉の頼もしさを意識するのもいいかもしれない。 こんな形でかごめの愛らしさを意識するのもいいかもしれない。 命をかけた戦いだけが2人を近づけるのではなく、こうした日々の積み重ね、小さな出来事が2人の間を近づけていく。 しかし、しかしである。 こうした2人を見ていていつも思うことは、かごめはともかく犬夜叉。 かごめを女性として意識している場面が全然ない、全くない。 かごめなり桔梗なりを「好き」な犬夜叉、でもその「好き」は女性として認識しているものではなく、ただ「好き」なだけなのだ。 命をかけて守る気持ちが恋ではあるだろうが、守るだけなら珊瑚のことも守るだろう。 犬夜叉がかごめや桔梗に恋しているとは思う、珊瑚に恋してるとは思わない。 けど「恋」に伴い、当然芽生えるべき感情があまりに希薄で、と言うより全く感じられず、物足りなさが残る。 かごめや桔梗が「大切な存在」であるだけなら、以前の奈落や桔梗の嫉妬や愛憎の交じり合ったストーリーが何の意味もなさないような気がしてくる。 あれらのエピソードが犬夜叉の精神面に全く影響を与えなかったとは思わないのだけれど。 犬夜叉とかごめ、桔梗と奈落の対比があるうちはおもしろかったのだけど。。 けれど「犬夜叉」がなぜ幅広い年齢層の支持を得られたか、それはやはり桔梗や奈落の存在が大きいと思う。 綺麗なだけの恋ではすまない、時には哀しく、時には醜くすらある葛藤。 少なくとも私自身は「犬夜叉」という物語のその部分にも強烈に惹きつけられた。 これが「らんま1/2」だったらそんな風には思わないだろう。 普通に2人の幼い恋を微笑ましく見つめていると思う。 でも犬夜叉がかごめに抱きつかれた時の反応を見て、ちょっと寂しくなった。 「いつまでたってもこのままなの?」って感じ。 かごめの方がむしろヤキモチや怒りをストレートにぶつけていたが、それだけ犬夜叉より成長している証なのか(笑)。 まあそこが犬夜叉というキャラの魅力なのかもしれない。 私の友達の1人は「その鈍いとこ、幼いとこが母性本能をくすぐるんです。」なんてハートマーク付きで書いてきたけど。 う〜ん、私には通じにくい魅力だ(笑)。 などと大げさなことを書いてしまったが、今回のエピソードは普通に楽しかった。 というより普通に流して、気持ちはすでに次回の曲霊復活編かな?に向いている状態。 けれどシリアスな長丁場の後で定期的に入るこんなほのぼの現代サイドストーリーもすっかり定着。 待ちわびている読者も多いと思う。 実は私もその1人、考察することがないのが寂しいだけ(笑)。 一番おもしろかったのは最終ページのママと犬夜叉のやり取り。 マフラーで犬耳隠してあげるママと、「・・・今から?」と突っ込む犬夜叉が最高だった。 (2007年9月10日の日記)
|