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楓の村で |
原作少年サンデー2007年9月12日(41号)第521話「影」 ☆ ☆ ☆ 七宝と楓のシリアスながらほのぼの会話から始まる今回のエピソード。 楓が弥勒や珊瑚、七宝の名前を呼ぶことはほとんどないのでなんだか嬉しい。 小屋の中では眠り続ける琥珀を見守る珊瑚と邪見の普通の会話、雲母と戯れるりんなど珍しくもやはり嬉しいカットが続く。 アップになった珊瑚の横顔がほのかに桔梗に似て、その優しい表情も愛おしい。 でもって外には子供たちに字を教える弥勒がいた。 感心感心とほめようと思えば「娘」に「姫」に「姉」「妹」「嫁」。 女偏の漢字を次々披露、助平心を子供たちにまで見抜かれる。 でも表情がまた良くて、どこまで続くか見てみたい気もしたのだけれど、そんな弥勒に被さる恐ろしい気配。 怒りの珊瑚、ではなく見学に来たのでもない妖怪の集団だった。 やむを得ず風穴を開く弥勒、駆けつける珊瑚。 のどかだった楓の村が、一転戦闘モードに包まれる。 その頃曲霊の臭いを追って来た殺生丸は待ち受けていた夢幻の白夜と遭遇する。 観察眼の鋭い?白夜だけど、殺生丸の腕復活編は見ていなかったらしい。 自分の趣味で覗き回るのではなく、あくまでも奈落の使令に従っているのだろうか、変に忠実。 なまじっか鼻が効くばかりに曲霊の臭いに惑わされ、幻術にはまってしまう殺生丸。 犬夜叉も人間の匂いに惑わされて煉骨を信用してしまったのを思い出した。 さすが兄弟さすが犬。 もっとも天生牙が効かない時点で殺生丸なら相手の正体に気づきそうだが、殺生丸の部分はここで終了。 本物の曲霊は楓の村で琥珀を襲っていた。 よりによって犬夜叉のいないこの時に。 飛来骨で妖怪を退治しても消えない地面の影。 罠に気づいた弥勒と珊瑚が小屋に戻った時には、琥珀がすでに曲霊に取り憑かれた後だった。 犬夜叉やかごめがいても曲霊を斬れない刀と封印された霊力ではとても太刀打ちできないだろう。 むしろ楓の霊力や弥勒の法力、風穴に期待したくなるが、曲霊が琥珀のかけらを奪うのではなく、琥珀に取り憑くところに驚いた。 これで弥勒は風穴を開けないし、同時に琥珀の命の保証もできる。 琥珀(曲霊)の相手が弥勒と珊瑚、楓に邪見、りんと雲母(たぶん七宝も)であるところはぞくぞくしてしまった。 ここは是非犬夜叉やかごめ、殺生丸は戻って来ずに彼らの力で曲霊を撃退して欲しい。 いずれの決着は犬兄弟&かごめに任せるにしろ、この場は見たい、彼らの「激戦」。 ちょうど今週の「史上最強の弟子 ケンイチ」みたいな主役不在の激戦。 邪見の人頭杖の炎で琥珀の体から曲霊を追い出す手もあるのかも(笑)。 次回の戦闘に期待したい。 (2007年9月12日の日記)
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弥勒と琥珀、その命 |
原作少年サンデー2007年9月19日(42号)第522話「憑依」 ☆ ☆ ☆ 愛する人に自分と同じくらい愛する女性がいることと、恋人は自分だけを愛してくれるけど、弟と共に死んでしまうのと、どちらが不幸せなのだろう。 比べることのできるものではないが、これまでどうしても主役である犬夜叉とかごめにばかり目が向いていたような気がする。 確かに恋だけを考えてみれば、恋する気持ちが半分しか自分を向いてないかごめより弥勒が自分一筋な珊瑚の方が幸せだ。 桔梗退場以降、桔梗は犬夜叉にとって哀しいけれど美しく優しい過去となり、想いがかごめで満たされつつあることはわかる。 桔梗はもう「守る」必要がないから。 桔梗との恋は「完結」したから。 よって現時点で上記のように比較するにはちょっと無理があるけど、ここはあえて押し通そう。 弥勒も琥珀も助かり、珊瑚と共に生き抜く可能性もないわけではない。 でももちろん弥勒も琥珀も死んでしまう可能性だってある。 気持ちを別とすれば、琥珀は死ななければならない存在だと思っている。 本来ならば死んでいる存在。 桔梗ですら自然の摂理に逆らうことはできなかった。 初期の犬夜叉は桔梗に「かごめの中に戻れ」と言っている。 四魂のかけらで生き永らえている、あるいは蘇った琥珀や七人隊を見てさえ、天生牙の存在を知ってさえ、犬夜叉はかけらや天生牙を使って桔梗が蘇ることを望みはしなかった。 犬夜叉やかごめにはそういった、時に浅ましさを感じるほどに突き詰めたものがない。 そこが彼らの魅力であり、初期桔梗や奈落との違いだろう。 私は犬夜叉やかごめの綺麗さよりも、初期桔梗や奈落のそういったどろどろした部分に惹かれて「犬夜叉」にのめり込んだ。 (主役である犬夜叉やかごめが初期桔梗や奈落のような性格だったら、それはそれで問題だ、笑)。 そしてその世界では、やはり琥珀は「綺麗に」生き抜くべきではないと思う。 それでも琥珀には死んで欲しくないし、今週の展開を気にしていたのだが、今度は弥勒の危機だ。 しかも「瘴気の傷が心臓にまで達しつつある(右胸だから心臓までは達してないが)」と「風穴に亀裂が入った(まだ1ヶ所だが)」の致命的な要素が2つも重なっている。 さらに曲霊と共に琥珀は去り、「四魂の玉が完成する」危機と「琥珀の命が奪われる」危機が追い討ちをかける。 弥勒や琥珀は犬夜叉やかごめにとっても大切な仲間だろう。 けれど珊瑚にとっては恋人であり、たった一人の血縁、弟だ。 曲霊を殺生丸に任せ、意識の戻らぬ琥珀を置いて「人生の一大事」を選んだかごめと迎えに行った犬夜叉、高校受験と人の命の重さを量る時に、ここで2人は致命的なミスを犯したように思えてならない。 先週はとてもほのぼのとした雰囲気に浸ることができたけれど、戦国時代を生き抜く覚悟のないかごめの中途半端さを指摘されても仕方ないのだろう。 逆にどんな結末になるにしろ、この件をきっかけにかごめがどちらかの世界を選ぶ選択を迫られるのではないかと思う。 「戦国時代を行き来していてもどこまでも現代を生きる普通の女の子」として描かれてきたかごめの変革期に入っているのかも。 そして戦国時代を捨てるか現代を捨てるか、どちらかの選択をした時にリアルな物語「犬夜叉」が始まる。 奈落を倒して全てが終わってからかごめが生きる時代を選ぶのではなく、今この時にかごめに選んで欲しいと願うのは私のわがままだろうか。 けれどその方が絶対いいと思う、かごめも絶対かっこいいと思う。 でもそのきっかけが弥勒や琥珀の死であって欲しくはない。 高橋先生はこれまで桔梗や神楽、鋼牙などの主要キャラにはそれなりに幸せな引き際を用意してこられた。 神無はちょっと辛い部分があるが、それでも本人は潔く美しく死んでいったと思う。 いわゆる「惨めな死に様」を与えたことはない。 たとえ弥勒や琥珀が死ぬことになっても、彼らはそれなりに満たされて死ぬのかもしれない。 けれど人魚シリーズのようにリアルな世界を求めるならば、彼らの惨めな死だってないはずはない、ない方がむしろおかしい。 「犬夜叉」というシリアスとギャグ、ファンタジーとリアルを融合させた作品も終結に近づき、これまで通り優しさの手法で押し切ることができるかどうか、それでリアルさを保てるかどうか、どうにもこうにも気になって仕方がないというのが本音かも。 後は殺生丸、気づくのが遅すぎ。 殺生丸の落ち度というよりも、気づかない殺生丸にした方が無理があるのでは?と思える一幕だった。 最後に高橋先生、生まれ変わっても漫画家になりたいそうだ、うらやましい。 私も望めるなら高橋先生の100分の1(でもおこがましい?)でもいいから絵の才能が欲しいかも(笑)。 (2007年9月19日の日記)
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想いのままにくちづけて |
原作少年サンデー2007年9月26日(43号)第523話「珊瑚の願い」 ☆ ☆ ☆ 犬夜叉とかごめの、犬夜叉と桔梗の、弥勒と珊瑚の原作者によって描かれるくちづけは、それぞれのカップリングファンの夢だろう。 けれど今回は完全に意表を突かれたのではないだろうか、さしものミロサン派も。 そこに恥じらいや幸せはなく、ただ悲しみと覚悟だけが満ちている、珊瑚からの一方的なくちづけ。 危機感ばかりが先行していたから、まさかここでこんな場面に出くわすとは、という思いが強い。 想い合う心が互いをさらに不幸にする、その象徴のような場面だ。 気づくことなく眠り続ける弥勒。 「ちゃんと苦しみを感じていれば・・・こんなになるまで曲霊を吸ったりしなかったはずだ。」 珊瑚は楓に言うが、たとえ苦しみを感じていたとしても弥勒は風穴を開き続けただろう、珊瑚のために。 なんて愛しい二人だろうと思う、思うけどどうにも馴染めないのがこのシーン。 唇が触れているところをちゃんと描いて欲しいなあ。 前にも何かの少年漫画で口がくっついちゃったの?って思うようなラブシーンを見かけたが。 それはともかく、弥勒のために死の覚悟で奈落に挑もうとする珊瑚、その悲壮な決意は意識を取り戻した弥勒をさらに苦しめるのだろう。 今週のハイライトはこの場面だが、他にも笑える部分、おいしい部分、突っ込む部分がたっぷり。 まずは雑魚妖怪の数増やしても何の役にも立たないのにって思える夢幻の白夜。 奈落からどこまで聞いてるのか、何をどこまで知ってるのか、こんな状態では最早足止めにはならないだろう。 白夜だって危ない、奈落がもう白夜を見捨てたとは思わないが。 方向転換した(するだろう)殺生丸の行く先も気になる。 琥珀の元か、りんの元か、もしかしたら突出した珊瑚を助ける展開もありかも(希望はこれ)。 あと髪を下ろして戦闘服の珊瑚も新鮮で素敵だった、そんな場合じゃないのだけれど。 物置き小屋に文句の邪見に「文句を言うな 小妖怪」と相変わらずの楓。 楓と珊瑚の会話、りんを抱く楓など他にも嬉しいカットが盛りだくさん。 その間に琥珀に追いつく犬夜叉とかごめ。 再び曲霊が登場するが、かごめが霊力を封じられているとは言え、意識がはっきりしているのが興味深い。 曲霊が弱っているのかかごめが強くなって来ているのかわからないが、ここでも意識を失って受験の夢など見てた日には琥珀が救われないだろう。 今は霊力を封じられているから破魔の矢が効かないが、逆に言うと霊力が戻れば破魔の矢は十二分に威力を発揮するはず。 そのきっかけは? 琥珀や珊瑚に対する想いの爆発、曲霊に向ける怒りの爆発がこれまでのパターンだが、ここはもっと具体的な何かが欲しいかも。 やっぱり桔梗や翠子に登場して欲しいな、この場合は翠子か(桔梗は奈落担当だから)。 翠子に懸想しててつなぎになった男=曲霊とまでは言わないが。 いよいよかごめの独壇場か、と久々のワクワク感が味わえた。 とはいえ、それらは全て希望兼予測で、琥珀は曲霊に憑依されたまま、珊瑚は奈落を単身追ったまま(犬夜叉とかごめに合流予定)、殺生丸は夢幻の白夜に足止めされたまま、りんは意識を失ったまま、邪見は置いてきぼりのまま、そして奈落はたぶんどっかでほくそ笑んだまま。 四魂の玉が完成するか、止めに入った犬夜叉が間に合うか、以下緊迫の次号へと続く。 珊瑚が琥珀よりも奈落をターゲットに絞ったところが興味深い。 琥珀は犬夜叉とかごめに任せたという珊瑚の信頼の現われか。 最近は読んでる作品がどれもおもしろいのであえて書いたりしてないが、今週は特に「イフリート〜断罪の炎人〜」と「あいこら」がおもしろかった。 あと高橋先生が会いたい曹操、赤壁を語る夢、是非私も参加したい(笑)。 次作は「三国志」なんてどうでしょう?「人魚」シリーズと「犬夜叉」をミックスさせた雰囲気で。 主人公は曹操、その壮大なる一代記ってそれじゃ「蒼天航路」と被るかも、それも良し。 (2007年9月26日の日記)
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覚醒 |
原作少年サンデー2007年10月36日(44号)第524話「目覚め」 ☆ ☆ ☆ かごめの力の及ばぬ世界で眠り続ける琥珀の夢は、己の過去、父や退治屋仲間の殺戮の再現。 目を覚ませと叫ぶ犬夜叉の前で、琥珀は血の涙を流す。 操られている外面は桔梗の光の届かぬ曲霊の闇の顔、正気でいる内面は苦しみのあまり心が壊れかけている。 いっそそのまま壊れてしまえたら、そう思わせる瞬間、飛び込んできたのは珊瑚。 「それでも・・・ 目を覚ませ 琥珀!」 「残酷な姉上だ。」 血の涙を流しながら笑む琥珀。 それでも 「今闘え 琥珀!!」 珊瑚は叫び続ける。 琥珀の苦しみに同調し、まるでなかったことにするかのように癒すことばかり考えてきた珊瑚の変貌は、珊瑚も苦しみの中で、また成長してきたことを窺わせる。 そして琥珀の心も壊れることはないだろう、そう思わせる。 琥珀をここまで鍛え上げたのは、実は奈落の手柄でもあることに、ちょっと複雑なものも感じるけれど。 その奈落も登場するが、ここでは四魂の玉の桔梗によって残された光によってそれと知るのみ。 主役はあくまでも曲霊で、ここでは言葉もなく、姿も見せない。 にもかかわらず、触手はしっかり伸ばして、琥珀のかけらを奪おうとするのだからちゃっかりしている。 桔梗の術は奈落にしか効かない。 よって曲霊が琥珀を乗っ取り、琥珀のかけらを汚している状態では、桔梗の力は奈落を拒むことができない。 辛うじて飛来骨が奈落の触手から琥珀を守るが、同時に琥珀の心も壊れようとしていた。 そして琥珀の心の中。 怯え、珊瑚にすがろうとさまよう琥珀は、傷ついた弥勒の側でうつむく珊瑚を見つける。 しかし、ここでも琥珀は思い出してしまう。 姉すらも傷つけ、殺そうとしたことを。 しかも珊瑚が好いている弥勒までもが琥珀のせいで傷ついたことを。 崩壊前の、最後の砦であった珊瑚にとっても自分は敵であることに気づいた瞬間、琥珀は壊れるはずだった。 けれど琥珀に向けた珊瑚の表情は優しい。 「助けて。 この男(ひと)を・・・ 私を・・・」 「おれに・・・ できる?」 「できるよ、 間に合うよ 琥珀―」 琥珀は救われた。 琥珀は意識を取り戻し、琥珀のかけらは光を取り戻す。 憑依し切れなかった曲霊もはじき出された。 目覚めた琥珀、そのかけらを照らすのは「一筋の希望の光」。 「やった!!」と手でも叩きたくなるような見事な展開だった。 琥珀に救いの幻を見せたのは何だったのか。 桔梗の力か珊瑚の想いか、それとも琥珀自身の強さか。 それら全てが重なって、琥珀を救ったのだと思いたい。 次回はセンターカラーで琥珀の、そして珊瑚の、かごめの、犬夜叉の反撃が始まる。 今回は、ありし日の退治屋の里の風景が描かれた表紙に始まり、印象的な場面がたくさんあった。 「今は闘え」と叫ぶ珊瑚の琥珀に向けた眼差しの強さ。 以前のいかにして琥珀を守るか、気を回してばかりいた珊瑚の姿が思い出される。 桔梗が負ける・・・!? 「そんなわけないわ!」 かごめの桔梗に向けた絶対の信頼。 以前のかごめは桔梗に対してコンプレックスを持っているのではないかと思えることが、ままあった。 けれど、桔梗が死の間際に託したものは、かけらの光ばかりではない。 桔梗の使命、桔梗の想い、桔梗の信念、桔梗の力、その全てがかごめに託されたかのようだ。 この時のかごめの怒りの表情も、とても好きだ。 そして「間に合うよ 琥珀―」と微笑んだ珊瑚の表情。 琥珀が珊瑚を助けて過去が清算される、そんな生易しいものではないだろう。 けれど琥珀がこんな形で救われるなら、本当に嬉しい。 表紙の気弱な頃の琥珀から壊れる直前の琥珀、怯えながら姉を探す琥珀、そして覚醒の瞬間の琥珀の表情の変化も素晴らしかった。 願わくば戦闘態勢に入った強い琥珀の表情もアップで見たかったと思う。 次回は殺生丸も参加して、遅れを取り戻して欲しいかも。 今週は読んでる作品皆おもしろくてお得な号だった。 (2007年10月3日の日記)
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殺生丸見参! |
原作少年サンデー2007年10月10日(45号)第525話「解放」 ☆ ☆ ☆ 浮いてます。 見下してます。 しかも怒ってます。 無理もないか、あれだけコケにされといて。 一瞬夢幻の白夜が心配になったが、案外邪見の代わりに殺生丸のお供としてついて来てそうだ。 今回の立ち位置がとてもいいです。 今週号はセンターカラーよりも、サブタイトル「解放」が気になった。 縁起でもない話だが、琥珀が遂に忌まわしい過去の記憶から解放されたのか、つまり死を迎えたのか、と思ってしまったのだ。 死と言っても神楽や桔梗のように、幸せな退場を意味する形だろう、形だろうけどやっぱり切ない・・・なんて深読みしながら読んでしまった。 嬉しいことに、これは大きな勘違いで琥珀が曲霊から解放されたのだった(危機であることに変わりはないが)。 かごめが見たもの、琥珀のかけらの桔梗の光。 琥珀が見たもの、琥珀を導く桔梗の光、そして姉珊瑚の想い。 正気を取り戻した琥珀は曲霊を道連れに命を捨てる覚悟を決める。 辛い記憶からの逃避ではなく、戦士としての覚悟、本当に清々しい。 さらに琥珀は犬夜叉と珊瑚に向ける絶対の信頼を曲霊に向けて放つ。 たとえ琥珀の死体から曲霊がかけらを奪おうとしても、犬夜叉と珊瑚が曲霊にかけらを渡さないと。 霊力を封印されているとは言え、ここでかごめのためにも一声欲しかったな(笑)。 「おまえが逃げおおせる前に・・・・・・ 犬夜叉さまと・・・ (かごめさまと・・・) 姉上がかけらを取る。 絶対にお前の手にははいらない!!」希望。 そして身を躍らせる琥珀。 桔梗の光と琥珀の覚悟が遂に曲霊を追い出した。 助けようとする犬夜叉と珊瑚。 そこにちょっかい出すのが例によっておいしいとこ取りの奈落。 犬夜叉の冥道残月破が炸裂する。 正直言って「犬夜叉」における戦闘場面にそれほど迫力を感じたことはない。 むしろ精神のレベルアップのための心理描写に偏り過ぎてて、迫力やスピード感と言ったものが削られているのではないかと思ってきた、これまでは。 でも今回はアニメを見ているかのような迫力ある戦闘シーンが続き、一気に読み切ってしまった。 ストーリーもさることながら、常に皆が動くか喋っている状態で解説役やギャラリーがいないせいだろう。 かごめすら動きはほとんどないものの、内面的な緊張感が読んでいるこちらにまで伝わってくる。 同時にここにいないはずの弥勒や桔梗までがかけらの中で、かごめや珊瑚の中で戦っているかのようだ。 奈落の体はあっさり冥界に飲み込まれ、るはずもなく相変わらず汚れた四魂の玉の気配が充満している。 (邪気ではないところが興味深い。) 奈落の触手は琥珀のみならず、犬夜叉や珊瑚まで襲い、まさかの絶体絶命。 ここまでの場面、曲霊と姿の見えない奈落以外のキャラが全てかっこ良くて、私としては珍しくキャーキャー騒ぎながら読んでいたのだが、本当にかっこ良かったのは、本当のおいしいとこ取りは最終ページの殺生丸だった。 このタイミングを図るために、あえて偽曲霊の罠にはまったか殺生丸(そんなはずはない)。 麗しの太刀持ちは夢幻の白夜か殺生丸(そんなはずもない)。 髪ともこもこが反対向きになびいているのはご愛嬌。 曲霊の歯並びが悪いのもご愛嬌。 何よりも、今の殺生丸には両手があるのだ驚け奈落。 少なくともりんと琥珀、たぶん邪見も含めて3人は、殺生丸の中で何が何でも自分が守ると決めたものがあるのだろう。 (実は面倒見のいい犬的性格?) プラスされた曲霊への怒りと奈落への八つ当たりのパワーが次回は炸裂するのだろうか、期待したい。 今週は「ハヤテのごとく」が3周年か、早いなあ。 連載開始がつい先日のような気がするのだけれど。 (2007年10月10日の日記)
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捕らわれたかごめ |
原作少年サンデー2007年10月17日(46号)第526話「戻らない霊力」 ☆ ☆ ☆ 今週の展開にはちょっと驚いた。 殺生丸と曲霊に決着がついたと思わせて、の方は後回しにして奈落に捕らわれたかごめの方。 曲霊によって霊力を封じ込められているのだから、奈落に背後に立たれても気づかなかったのは当然として、かごめを捕まえた奈落の方。 アニメではさらわれ放題のかごめも、原作では四魂のかけらを取る人質としての雷獣兄弟飛天満天とか、かごめの目が必要な白童子など意外と少ない。 翠子もしくは霊力の加護とも思えるが、私はむしろ奈落の無関心と思っている。 最初の頃はかごめの霊力を恐れている描写があったが、そのわりに時々姿を消す(現代に戻る)かごめの行方を捜すでもなし。 桔梗と瓜二つのかごめを意識することもなく、その想いも憎しみもただひたすらに桔梗に向けられていた奈落(そこが好きだ)。 だから戦闘場面で相対しても口にするのは揶揄ばかりで、かごめに対してどうこうする気持ちはあまりないようだった。 その奈落が何で今頃かごめを? 桔梗がいなくなって、やっとその関心をかごめに向ける余裕ができたか、と興味津々だったのだが、読み進めるうちに「なんだ、ただの人質か。」って実はがっかり。 早い話がかごめの命と引きかえに琥珀のかけらをよこせと犬夜叉に迫っているわけで、わかりましたと犬夜叉が渡すわけもなし。 何を今さら姑息で通じない卑怯な手を、って思ったのだけど、そこは影の鬼教官奈落、さらに犬夜叉たちを追いつめることでさらなる力、さらなる桔梗の加護を引き出す大いなる愛の鞭なのだろう、そう思うことにした。 ごらん、琥珀のかけらが光ってる、ってかごめの怒り爆発凄まじき霊力発動に期待したいんだけどなあ。 奈落の城で奈落の体を打ち砕いたかごめの怒り爆発場面が懐かしい。 さて、曲霊は殺生丸の爆砕牙&天生牙によって消滅したはずなのにかごめの霊力封印が解けないのはなぜ?と思うところだが、実は楓の村で意識を失っていた弥勒の体から何かが湧き出していた。 これは曲霊が弥勒の体内に残っていたことを感じさせる。 曲霊の捨て台詞と共に曲霊が消滅してはいなかったことをさりげなく描く。 珊瑚も弥勒が曲霊を吸ったこと、おまけにりんまで危ないことを殺生丸に告げる。 これがまた素晴らしいタイミングで、弥勒一人危機のの倍のスピードで(おそらく)、殺生丸は愛娘の元に駆けつけるのだった。 こうして殺生丸vs曲霊に乗っ取られた弥勒?、琥珀のかけらvs奈落の2つの戦いが次号で描かれることとなる。 それにしても、殺生丸の爆砕牙も、珊瑚の飛来骨も、奈落の「いらない部分」を斬っていたとはなんともはや。 強くなりすぎた武器だけに、描き方としてはちょっと辛いか。 殺生丸がここにいたら、奈落のこんな台詞を聞いてさぞや煮えくり返ったことだろう、また。 もうひとつ、気になるのは夢幻の白夜。 殺生丸の刃の餌食になったか、それとも無視されたまま置いて来られたか。 「え”・・・ 瞬殺・・・?」の可愛さに免じて後者であって欲しい、というより後者だろう。 蛇骨に似たキャラだけに、仮に死ぬとしてもとぼけた感じで終わるのだろうが。 今週はキャラの顔が表紙を始め、好きなカットが多かった。 特に奈落とかごめ。 弥勒に付き添う楓と大人しくりんのそばに侍る邪見も可愛かった。 やっぱりこの2人、いいコンビだ。 かごめはともかく、琥珀や弥勒は今後退場してもおかしくないキャラだけに、ここはやはり犬夜叉、かごめ、殺生丸のがんばりに期待したい。 そして明日はコミック51巻発売日、今回も評価は高いだろう。 (2007年10月17日の日記)
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これで終わってもいいと思った |
原作少年サンデー2007年10月24日(47号)第527話「なかった命」 ☆ ☆ ☆ 奈落はそんなに脱ぎたいのか、というより体を壊されることが実は楽しくて仕方がないのか(笑)、今回も内臓披露のエピソード。 冥王獣なんてすっかり忘却の彼方に沈んでいた亀もどきまで思い出させてくれて。 今回はあまりに琥珀がかっこ良くて、あまりに奈落が顔が良くて、これで決着がついてもいいとさえ思った。 桔梗(琥珀の目に映っていた桔梗がこれまたかっこいい)の光とかごめの矢が一体となって奈落の体を突き崩し、同時に琥珀の四魂のかけらと奈落の完成間近の四魂の玉がひとつとなって奈落を滅す。 琥珀はそのまま光となって消えてゆく。 救われる弥勒、琥珀の見事な死に様は弟を失った珊瑚にある種の救いすら与える。 そして四魂の玉もまた消滅し、翠子と翠子に懸想した男、玉の中で戦い続けている妖怪たちには結末を与える。 犬夜叉は?殺生丸は?と聞かれそうだが、彼らが関わらなくてもいいや。 一瞬にしてそんなストーリーが頭の中を駆け巡ったくらい今週の琥珀は見事だった。 「どうせもともとなかった命だ・・・ そうだろう 琥珀」 揶揄する奈落。 「なかった・・・命・・・」 つぶやく琥珀。 「父と仲間を自らの手で殺したあの日におまえは死んだのだ。 心も体もな・・・」 調子に乗って(自分が操ったことは棚に上げて)追い討ちをかける奈落。 「ああ・・・ あの時そのまま死んでいたらどんなに楽だったかと、何度も思った・・・」 「毎日・・・ 死ぬことばかり考えていた。」 そしてここから琥珀の心の中での決意に移行する。 「だけど― 今は違う! 姉上も犬夜叉さまもみんな― 生きて立ち向かえと言ってくれる。 かごめ様は必ず救い出す!」 隠し持っていた折れた矢を手にする琥珀。 そんな琥珀を励ますかのように桔梗の光が、四魂のかけらがトクンと反応する。 「桔梗さまの光とかごめ様の矢はおれの手でつながっている!」 「奈落!」 叫んで矢を突き刺す琥珀、 「奈落 おまえを倒す! おれは死なない!」 決意に満ちた琥珀の顔と余裕を失った奈落の顔、そして奈落に微妙に守られているかのように見えるかごめの顔がとてもいい、珍しい組み合わせだが完全無欠のスリーショット。 ついでに書けば、隣りのページの子供の頃の叶翔(史上最強の弟子 ケンイチ)もとても可愛くていい。 残念ながら捕らわれたかごめ、かごめと琥珀を助けようと必死な犬夜叉と珊瑚はとても影が薄かったが、今回は琥珀と奈落の対決メインでいいと思う。 ただなんとなく、奈落はかごめを殺さないんじゃないかなあという気はする。 かごめを桔梗と同一視して好いているわけではないだろうし、当然その霊力を恐れてもいるだろう。 けれどこれまで読んできて、奈落がかごめを殺す展開はないように思う。 いえかごめがヒロインだからとか、奈落が倒されるべきヒールだからという意味でもない。 「犬夜叉」を読んできて私の中で形作られてきた奈落の性格だと、かごめを殺す気持ちはあっても殺すことはないだろうと思う。 桔梗亡き後、奈落に桔梗を偲ぶ何かを与える存在だからだろうか。 犬夜叉は憎いから殺す、弥勒や珊瑚や殺生丸は邪魔だから殺す、そんな奈落は想像できても、かごめを殺す奈落だけは想像できない。 意外と奈落、かごめを気に入っているんじゃないかと思ってみたりして(もちろん潜在意識の底で、という前提付きで)。 今日はコミック51巻を読んで思ったことも書いてみたい。 前は1冊出るごとに何度も何度も1巻から読み返し、台詞を暗記できるほどだったのに、白霊山以降はそんなこともなくなった。 サンデーが出た時とコミックが出た時、出た物を読むだけになった。 そのため、ストーリーの把握ができず、感想も本当にその週だけの単発の感想で、「犬夜叉」のストーリーやキャラの心情の大きな流れ、変化などもつかめなくなって来ていたと思う。 さっきも書いたが、冥王獣なんて存在すら忘れていたほど、情けない。 けれど50巻、51巻を読んで久しぶりに1巻から読み返したくなった。 ストーリーに動きが出たのと、これまであまり描かれることのなかったキャラ(特に殺生丸)の心情が明かされつつあるせいだろう。 そして読んでみたら、やっぱり初期の「犬夜叉」の方がおもしろく感じてしまう不思議。 51巻も七宝がらみの狐のお宿の話が一番おもしろかった。 サンデーでは「犬夜叉」以外では「あいこら」がおもしろかった、泣くほど笑った。 (2007年10月24日の日記)
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あるべき命 |
原作少年サンデー2007年10月31日(48号)第528話「これから―」 ☆ ☆ ☆ 「これから―」生きるのだと思った、贖罪の道。 琥珀の罪はひとつではないけれど、十分すぎるほど苦しんだ、そう思った。 これから生きて償っていけばいい、そう思った。 厳しき巫女、桔梗の加護と優しき姉、珊瑚の想いを受けて、表紙の憂える琥珀が234ページから235ページの穏やかな表情に変わる。 とりあえず奈落は逃げて良し。 落ちてきたかごめを受け止めた犬夜叉、この時の2人の表情にも下手なラブシーンよりときめいた。 (「かごめ ケガはねえか!?」「うん。」のとこ。) 「姉上 おれは・・・ 生きていていいんですか?」 「・・・・・・ 生きなくちゃいけないよ 琥珀。」 この時の姉と弟の表情にも泣きたくなった。 泣きたくなりながら、珊瑚と一緒に退治屋稼業で人助けして償うも良し、仏門に入って供養するのも良し(考えられない展開だが)と一休さんのようなくりくり坊主になった琥珀を想像してみたり。 そんな自分が情けなく・・・。 そこで話はいったん楓の小屋へと移る。 弥勒とりんの妙にさっぱりした表情が気になった。 こちらは穏やか過ぎる。 真っ先に気にするべき珊瑚や殺生丸のことを口にすることもなく、無関心にすら見える表情。 そして次のページで今度はりんの体から「凶々しい気」が立ち上り、りんは白泥鰌妖怪?にまたがり、消えていった。 弥勒から抜けた「気」がりんに取り憑いたのか、なんとなく弥勒もまだ解放されていないような気がするのだが。 琥珀の代わりの人質兼雑用係か、さらったのは奈落か曲霊か。 殺生丸のスピードは時速10キロくらいか、まだ来ない。 そして再び場面は琥珀に戻る。 自分の罪と向かい合い、生きる決意をした琥珀。 「奈落を倒すために四魂の玉の完成が必要」はどうなったのか、今は考えまい。 とにかく良かったね、琥珀。 やっと奈落の呪縛から逃れられて、そう思った瞬間、奈落の残した残骸から飛び出した肉片?が琥珀の喉を貫いた。 四魂のかけらを奪われる瞬間も穏やかな琥珀の表情、今この顔で死に向かおうとしているのか。 だったらあまりに残酷だ。 琥珀の命はあるべきもの。 今ここで、こんな形で奪わないで欲しい、そう思った。 穏やかな表情で死ねることが琥珀の救いなのか。 琥珀もまた光となって、あるいは灰となって消えていくのか。 ちょうど11月のカレンダー、木枯らしの中に佇む珊瑚と弥勒、雲母、そして琥珀のシリアスな表情が予兆だったのか。 なんだかとっても切ないのだけれど、奈落、こんなに簡単に四魂のかけらを奪えるの?って気抜けの部分もかなりある、残念。 今までの長い長い展開は一体何だったんだ? それはともかく、四魂のかけらで命をつないでた琥珀がかけらを奪われて、それでおしまいではない何か、「衝撃の」奇跡に期待したい。 (2007年10月31日の日記)
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嬉しいけれど・・・ |
原作少年サンデー2007年11月7日(49号)第529話「玉の完成」 ☆ ☆ ☆ 琥珀の復活を祈っていたから琥珀の復活は素直に嬉しい。 奈落を滅するために琥珀のかけらが必要だった桔梗が、奈落は犬夜叉とかごめに任せ、琥珀の命を救う道を選んだ、その展開も無理なく納得できる。 理(ことわり)を曲げてまで2度も復活したりんは受け入れるに容易だった。 表紙の珊瑚と琥珀、死んだ琥珀、泣く珊瑚、蘇った琥珀、涙をこぼすかごめの表情の美しさも堪能した。 けれど同時に感じてしまったのは、一言で言うなら「あっけなさ」。 琥珀の苦しみ、覚悟や珊瑚の葛藤や見守る仲間の想いや、長年培われてきた読む側の琥珀への共感の方が灰になって消えてしまった感じ。 「琥珀のかけらを使って、奈落を一気に浄化する。」 以前の桔梗の言葉は周到に用意された伏線だった。 琥珀の死と再生は丁寧に描き込まれたものだった。 「琥珀を生かすための」思いつきや行き当たりばったり感はない。 けれど「生命の重さ」「死ぬことの意味」がずいぶん軽くなってしまった気は否めない。 琥珀は同じく死んで蘇った邪見やりんとは、リアル感が違う。 「死と再生」を登場する者たちの手にある程度委ねている当作品において、その扱いは難しい。 殺生丸の時はあえて母君を登場させ、その意味を読む側にも考えさせた。 大げさに書くならば、これまで虚構の物語でありながら、他者の生死を選ぶ権限をキャラに持たせてなお現実味を伴っていた「犬夜叉」が、一気にただの御伽草子に転落してしまったかのような失望を感じる。 琥珀を生かす必要性はあったのか、あるならばなぜか。 琥珀がいい子だからか、珊瑚が悲しむからか、それとも高橋先生の優しさか。 「犬夜叉」のリアル感を大切にするなら、そんなことは許されないだろう。 逆に琥珀を生かすなら、読んでるこっちが狂喜するような復活をさせて欲しかった。 「琥珀が死んじゃった・・・、えっ?生き返ったよ、わ〜い!」みたいな読み方は当方には不可能だ。 もうひとつの失望感。 琥珀の命を犠牲にしなければ奈落を倒すことはできない、それほどの重みを持っていたはずの四魂の玉の完成が、あっさりと行われ、後は犬夜叉たちに委ねられたこと。 ヒーロー、ヒロインが天井知らずの奇跡を起こして悪を倒すのは常套としても、ここまで引っ張ってきてそれはないだろうという気持ちが残る。 それだけ琥珀というキャラの「これまで」、琥珀を犠牲にしても成し遂げなければならない桔梗の「使命」が、強い現実感を持って読む側に訴えられてきたからだろう。 だからこそ琥珀には生きて欲しい、罪は罪として償って欲しい、犬夜叉たちには四魂の玉を越えたところで奈落を倒して欲しいという強い想いがあった。 けれど、それがこんな形で軽くあっけなく・・・。 同時にこんなに長々続いた後で・・・。 琥珀が蘇ったことは嬉しい。 けれど感動はない。 遂に完成した四魂の玉にも、今特に思うところはない。 最近の「犬夜叉」の大きなテーマだった「四魂の玉の完成」と「琥珀の運命」だけど、今は冷静に今後の展開を見守りたい。 先週までは燃え上がっていたんだけどなあ。 むしろ今後の展開(弥勒やりんや殺生丸や)に期待大。 今週「史上最強の弟子 ケンイチ」で叶翔が死んだが、こちらもなぜ死なせるのかよくわからなかった。 以前ある作家のエッセイを読んでいたら、「小説を書き始めてしばらくたつと、登場人物の方が意思を持って動き始める。 こいつは殺したくない、生かしたいと思っても、その人物は勝手に動いて結果殺されることもある。」と書いてあり、だから登場人物の理不尽な死や勿体無い退場も納得できるんだなあと感心した記憶がある。 同時にそれは、高橋先生に対しても感じていたことだった。 けれど今回はそっか、無理を感じたのかもしれない。 たとえそれが周到に計算されたものであったとしても。 余談だが、コンビニで手にしてぱらっと開いたのが170ページで、そこで 「ねぇハンサムさん。 私達ってずーっと服の汚れの事にはふれずに旅をしていくつもりですか?」という質問に対して 「そ・・・それはそのぉ・・・ 漫画ではタブーな質問で、汚れの事は考えちゃいけないんだよ・・・」って冷や汗流しながら答えているのに笑った。 もちろん「犬夜叉」読む前の話・・・。 (2007年11月7日の日記)
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けじめ |
原作少年サンデー2007年11月14日(50号)第530話「卒業」 ☆ ☆ ☆ 今日の考察日記のテーマは3つ。 1つ目は先週の琥珀について。 5人の方からメールを頂いて感想や意見を交換した。 琥珀の復活そのものは嬉しいけれど、その形に違和感を感じられた方がほとんどで、その理由としては 1、いくら桔梗が凄い力を秘めていると言ってもそこまでできるのは行き過ぎかと。 2、死の間際の桔梗の想いが犬夜叉はともかくとして、奈落ではなく琥珀に向けられていたとは奈落があまりに不憫。 これまでの経緯を考えても割り切れなさが残る。 というのが共通した意見だった。 ところが仮にAさんとしよう、Aさんから「琥珀は生き返って欲しい、でもあんな形じゃ嫌だとおっしゃるえむさんは、どんな形での復活を望みますか?」と質問されてしまったのだ。 ちなみにメールの中で冥道石はすでに却下していたので、それ以外の方法となると、正直言って考えつかない。 「このまま死んではつまらん。」なんて奈落の気まぐれで、四魂の玉を使って生き返らせてもらうとか、さらに突拍子もないアイデアしか浮かんでこないのが辛いところ。 かごめの霊力頼みにしても、やはり「命の重さ」を考えるとそう簡単にはあるべきではなく、どうしてもあるのなら高橋先生の描かれた方法しかなかったのかも・・・なんていきなり気弱になってしまった。 その形に違和感があるのなら、琥珀が生き返る、それ以前に死ぬ展開にするべきではなかったと逆行化しかねないことになる。 何のために先週琥珀を一度死なせたのか、感動を煽るためだろうか、四魂の玉を完成させるためのやむを得ない手段だったのだろうか、、それとも高橋先生のけじめだろうか。 もちろん2番目だとは思っているが、読みようによっては1番になりかねない危うさがあって、それらがどうしようもないもやもや感を生み出しているのだろう。 2つ目のテーマは奈落。 表紙のかごめの満ち足りた笑顔が本当に綺麗で、でもサブタイトル「卒業」とかごめが持ってる卒業証書を入れる筒に「???」状態になったところで、ページをめくると懐かしい場所、懐かしいカット。 「最初は身動きできぬ悪党の見た、あさましくもささやかな夢だった。」で始まる奈落の一人語りに鳥肌が立つほど興奮してしまった。 薬草の入った桶を抱え、洞窟に入って来ようとする生前の桔梗がいる。 全身にやけどを負い、動けぬ体で妄執を募らせる鬼蜘蛛がいる。 鬼蜘蛛は桔梗と「共に生きる」ことを願い、妖怪たちに体を喰わせた。 そして奈落が生まれた。 「長かったな 桔梗―」 50年前に奈落が生まれたその日に桔梗は死に、犬夜叉は眠りについた。 楓の中でもそれは思い出となり、ただ奈落だけが生き続けた。 愛した女性をその手で殺してしまった、手に入れたかった四魂の玉も失ってしまった。 その瞬間奈落に残されたのは孤独と虚無、ずっとそう信じてたけど、この奈落の横顔にやはりそうだったのかもしれないな、と思った。 さらに以前「奈落の生きる意味」で、奈落が四魂の玉を使って本物の妖怪となり、犬夜叉や桔梗、憎い者たち全てを殺して奈落に何が残るのだろうと書いたが、期せずして奈落が答えをくれた。 「なにもない」と。 しかしそこに虚無感や孤独感を見出すのではなく、奈落自身が完全な悪になると同時に虚無となり、孤独となるならば、奈落は虚無感を感じることも孤独感を感じることもないだろう。 つまりはそれが本当の意味での「人の心を捨てる」ことであり、「本物の妖怪になる」ことは、このことを形を変えて言っているのではないかと思った。 さらに冷たく美しく、奈落は語り続ける。 「犬夜叉たちとの因縁が・・・ やつらが怒り、わしを憎むほどに、わしはその怒りや憎しみを喰い― 変化を繰り返し、汚れた四魂の玉は完成した。」 「ならばこの闘いの行きつくところは、やつらをわしの闇で食い尽くす事。」 「その先に何があるのか―」 ここで奈落のモノローグは途切れ、他の場面に移るがこの続きを奈落は語らない。 「光は死んだ」ことを確認し、四魂の玉を体内に入れるだけ。 奈落最後の大改造か? できればあまり仰々しい姿にならず、むしろすっきりさせて欲しい。 「その先に何があるのか―」 何もなくていい。 そう思った。 世界征服も企まず、人や妖怪と直接関わることもなく、心を持たず、虚無や孤独を自身として、完全なる悪として闇に君臨する。 なんて魅力的だろう。 もちろんこれはキャラとしての魅力であって、許されるべきではないのだが。 この奈落の場面で気になることが2つある。 1つは奈落が「犬夜叉たちとの因縁」を語る時、犬夜叉、弥勒、珊瑚はいるが、かごめがいないこと。 桔梗、鋼牙(無理矢理入れておく)、殺生丸がここに出てこないのはなんとなくわかるが、かごめがいないのは意味深だ。 これについては後で書きたい。 もう1つはこの場にりんがいること。 どうやら曲霊の入れ物として運ばれてきただけのようだが、奈落の変身の場にいることで、夢幻の白夜と共に巻き込まれそうな感じがする。 りんを巻き込んだ奈落なら、殺生丸はもちろん、犬夜叉たちにとっても手を出せない厄介な敵となろう。 そして3つ目のテーマが表紙で目が点になったかごめ。 1話分読み飛ばしたか?いやそんなはずはないと見直すほど話が飛んでて驚いた。 大きな事件の後、骨休めの現代話が入るのは珍しいことではない。 特に受験があったから、当然結果も出るだろうとは思っていたが、よりによって今この時に。 琥珀の復活を皆して喜んだり、弥勒と珊瑚の涙の?再会などは描かれなくても脳内補完できる、いくらでも。 けれど完成した四魂の玉を持って逃げた奈落や、何よりもさらわれたりんは? 「また・・・ かごめを井戸のむこうに帰したのか。」 楓の問いはここから来るのだろう。 そんな場合じゃないと言いたいのだろう。 何もなければそんなことを言うはずはない。 犬夜叉にはその意味がわかっているのだろう。 楓に呼ばれて振り返るその表情の厳しさ(と色っぽさ)にこちらの胸が「トクン」と鳴ったことは内緒。 卒業式には出たい、それが前からの約束だった。 でも嬉々として現代にいるかごめの割り切りにやはり違和感を覚える。 たとえばかごめがすでに戦国時代で生きる覚悟をしていて、これだけはやっておきたい、自分の中でけじめをつけたいと願っているなら、それほど切実なものなら話はわかる。 けれど今読んでる限りは、このまま2つの世界を行き来するつもりでいて、そのためにも受からなきゃ、卒業式にも出たいし、くらいの意味合いか。 これがさらわれたのが琥珀だったら別だったろうし、殺生丸が追いかけたから大丈夫という安心感だろうか。 この後かごめと合流した犬夜叉たちにしても、決してりんを案じて急いではいないようなのが気になった。 ここで先程書いた奈落の「因縁」に戻るが、どんなに珊瑚や弥勒や桔梗の傷を自分のことのように思えるかごめであっても、奈落は本当の意味での敵ではないのだろう。 琥珀のために自分を省みず守ろうとするかごめ、恋敵の桔梗のために涙するかごめ、とても素敵なことだけど、やはり奈落はかごめ自身の敵ではない。 前に奈落はかごめを犬夜叉や桔梗たちほど眼の敵にしてないのでは?、殺すつもりはそれほどないのでは?みたいなことを書いたが、それはこんなところから感じたのかもしれないなと思う。 惨い言い方だが、仮に犬夜叉や家族が奈落に殺されたら、そこで初めて奈落はかごめにとって本当の敵、わき目もふらずに追うべき敵になるのだろうか。 そこまで考えて気持ちがすっと引いた。 私はよくかごめに厳し過ぎるとお叱りを受けるのだが、それはやはりかごめに求めるものが大きすぎるのだろう。 というよりかごめなら、という期待が大きすぎるのかも。 最初の頃は妖怪、戦国、タイムスリップといった要素の他に、かごめに対する思い入れだけで「犬夜叉」を読んでた時期もあった。 だからつい、かごめが15歳の普通の少女であることを忘れてしまうのだろうか。 かごめ派の方の感想を読むと、その「普通さ」の中に稀有なもの、優れたものを見抜いておられて、それはそれで凄いと思うのだが、残念ながら私にはできそうにない。 でもやっぱり今週は卒業式よりこっちを選んで欲しかった。 犬夜叉が「約束だから」と言ったとしても、「今はこっちの方が大事よ。」とさらりと言ってくれそうな。 高橋先生は何を意図して今週このエピソードを選ばれたのだろう。 この唐突な展開はむしろ、最終回まで後何話と決まっていて、思い切り端折ったわけではないんでしょうね。 本来ならば、琥珀の復活をもっと喜んで、弥勒と珊瑚も感激の再会を果たして、とりあえずりんぐらいは救って、それから卒業式になりそうだもの。 いずれにしろ結末を予感させる最終ページ、そして柱の煽りが胸に切ない。 もちろん奈落との最終決戦はしばらく続くだろうが、物語は間違いなく終わりに近づいている、今から寂しい。 先日コンビニで「美味しんぼ」の100巻が出てるのにびっくりしたが、「犬夜叉」だってそれくらい続いてもいいんじゃないの?なんて思ってしまった、無理か・・・(笑)。 ☆ ☆ ☆ 追記 すっかり忘れていたけれど、忘れちゃいけないのがかごめのママと北条くん。 実は昨日、夢を見た。 アニメ「犬夜叉」復活してて、それは嬉しいのだけど、全編オリジナルストーリー。 なぜか原作「犬夜叉」は終わったらしい。 で、暇になった犬夜叉一行が日本全国世直しの旅に出ると言うわけ。 先日たまたま見た「水戸黄門」とごっちゃになったか、なずなや小春の名前までサンデーに出てた。 「久しぶり〜、元気?」なんて再会して、今のなずなたちの生活を描く、そこにまたまた妖怪が出てきてってストーリーになるんだろうな。 夢だったけど、おもしろい。 そこでふと思ったこと。 もしかしたら奈落消滅と共に、妖怪自体が消滅するエンディングもあるかもしれない。 わらわらと妖怪が奈落の方に引き寄せられてるカットもあったし。 そうすれば、「現代」に妖怪が存在しない理由付けにもなる。 けどそうしたら犬夜叉や鋼牙もいなくなるわけだ、もちろん七宝や殺生丸も。 それは困る・・・。 さて、アニメでも終わりごろには総まとめみたいにこれまで登場したキャラを揃い踏みさせてストーリーを作っていたが、原作もエンディング近しを感じさせるのが北条くん。 最後まで勘違いのすれ違いカップルだったかごめと北条くんだったけど、これで「かごめ三つ又疑惑」も霧散霧消するのでは? って未だにそんなことにこだわってる人はいないか(笑)。 今までとっても自然体だったかごめのママも、本当は気にしてたんだ、心配してたんだってほのぼの気分にさせてくれるのが、ママがかごめを抱きしめるシーン。 ちょっと「1ポンドの福音」の雰囲気もあってとても好き。 「犬夜叉」では楓やママなど、感情をあまり描かれないキャラも多いけど、こんなところでしっかり魅せてくれるのが高橋先生の魅力かも。 (2007年11月14日の日記)
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