犬夜叉サンデー感想(第531話〜第540話)
正念場
原作少年サンデー2007年11月21日(51号)第531話「邪気の雲海」

          ☆          ☆          ☆

今週号は正念場。
犬夜叉たちにとっても正念場だけど、最終回に怯える?こちらにとっても正念場。

またまた急展開な今週号。
気づいてみれば、置いてかれた七宝と琥珀。
後で回想の形で途中経過が語られるが、やはり性急な気は否めない。

あえて七宝を置いていくのも、足手まといとはいえ可哀そうな気がするし。
まあ七宝はもともと奈落と直接因縁があったわけではないのだが(父親を殺したのは雷獣兄弟飛天満天)、雷獣兄弟も四魂のかけらでパワーアップしたわけだし。
それでも上空に広がる邪気の雲海を見ては、七宝も納得出来たろう。
一気にシリアスな心配モードに入った七宝がとても可愛く感じた。
なんだかんだ言っても大好きなんだね、犬夜叉のこと。
霊力を封印されているかごめも心配なのだが、そこは殺生丸に期待をかけ、犬夜叉も守る覚悟を決めたのか。

殺生丸登場の見開きでは紙面が汚くてわからなかったのだが、奈落は蜘蛛に変化したのだった。
琥珀問題も問答無用で解決したらしいが、ここで奈落は犬兄弟にやられたと見せかけて死んだふりを決め込むのだろう。
そして琥珀の体に乗り移り、まんまと逃げおせて、ってどこやらの映画のような展開を想像してしまった。

奈落はお尻から糸まで吐くが、そこまで蜘蛛になりきらなくても(涙)。
この後人間形に戻ってくれなくては、見てるこっちが興ざめしそう。
せめて口をきいてくれなくては。
しかも犬夜叉たちを大口開けて誘ってみたりと、今度は奈落のおなかで戦闘開始か。
奈落は犬夜叉たちを食べてしまいました、おしまい、なんてことになったらどうするんだ?

桔梗や琥珀に決着がつけば、奈落を倒すは犬兄弟か。
考えてみれば当然なのだけど、どことなく最終決戦は心理戦を予想していたので、こてこての戦闘場面が始まってちょっとがっかり。
後半はいかにもアクション漫画な展開で、感想をはさむ隙もない。

そこで支離滅裂な、箇条書き。
まずは犬夜叉、集中的に美しい。
私は犬夜叉は静かな顔をしている方が好きなので、今週の表紙や「わかるな?七宝」のとこ始め、素敵な顔がてんこ盛り。
「卒業」のあたりから、ちょっと突き抜けた落ち着きが出てきたような気がする。

七宝はやっぱり連れて行ってあげたらいいのにって思う。
七宝が後に何かの役割を果たす、その伏線なのかもしれないけど(琥珀や楓を守るとか)、そうでないならやっぱり可哀そうだ。
って言うよりこれだけページ使って描くことなのだろうか。
もしくは一話分みっちり使って描いた方がまだ違和感がなかったと思う。

そして戦闘服を脱いだ琥珀も意味深。
生身の体に戻った琥珀、あの激しい決意はどこへやら、守られキャラに戻ってしまった。
たとえ置いて行かれるにしても、七宝ほどの気概を見せて欲しかったと思う。
命を粗末にすることとは違う、償いの道を模索するという意味で。

体力の節約で、奈落の元へ向かう妖怪の背中に乗ってる犬夜叉とかごめには笑った。
大人しく乗せてる妖怪も妖怪だ(笑)。

さて鬼蜘蛛。
以前奈落があれほど人間の心(桔梗を慕う心)の象徴として忌み嫌っていた鬼蜘蛛の痣、その鬼蜘蛛を謀略の象徴としても多用していたのが不思議だと書いたことがある。
桔梗を慕う心を捨てた今となっては、鬼蜘蛛に対して何の思い入れもないだろうが、こうして最終形態が鬼蜘蛛であるということは、もしかしたら奈落は逆に鬼蜘蛛に最後まで囚われ続けているのかもしれないなんて思った。
深読みのしすぎだな。

奈落を見据えて死んでいったと思ってた桔梗の想いは琥珀にあった。
桔梗に見捨てられた形になった奈落を滅ぼすのは、案外鬼蜘蛛自身だったりして。

やっぱり生きてた夢幻の白夜。
りんが人質になっているとは言っても、白夜を斬るのに支障はないはずなのに、心のどこかで気に入ってるのか?殺生丸。
かごめに続き、りんもただの人質というのにもちょっとがっかりだった。

七宝を残したことは、これがほんとの最終決戦という高橋先生の宣言かもしれないな。
ここでまた奈落が逃げて、仕切り直してなんてことになったらさすがに幻滅だろうし。

私は「犬夜叉」はずっと続いて欲しいと思っているけれど、それはあくまでも「高橋先生が描きたいと思っている限り」という前提つき。
「犬夜叉」が終わったら私はサンデー買うのはやめる、そんな読者は多いだろう。
売り上げを減らさないために無理矢理描かせられる継続ではなく、「描きたいから描く」のならば、どんなに迷走しようがループしようがついて行く。
文句は言うし、批判もするけど終わらないで欲しい。

そんな私にとってはこれからの1号1号が正念場だ。
余談だが、奈落の瘴気、どんなに近づいても触れない限りは大丈夫って奈落弱すぎだ、いえ優しすぎだ。
霧骨の毒の方が効果があるんだろうな、懐かしい。
あんな瘴気だったら、七宝どころかかごめ、弥勒、珊瑚も置いて来られる羽目になるから無理ないことではあるけれど・・・。
(2007年11月21日の日記)
四魂改め蜘蛛の玉
原作少年サンデー2007年11月28日(52号)第532話「奈落の体内」

          ☆          ☆          ☆

なんておちゃらけている場合じゃないのだが、あまりの奈落の蜘蛛っぷりに思わず鳥肌。
特に逆髪の結羅の巣のごとくまん丸姿になられた日には、夢にまで出てきそうだ(涙)。
岩でできた鬼の体内や崩壊寸前の白霊山を思い出させるシチュエーションはそれほど新鮮ではないが、見た目が「蜘蛛」というだけでこっちの方が大げさに反応してあげたくなるのが困りもの。

まず表紙、やっぱり七宝がいなくって、犬夜叉、かごめ、弥勒、珊瑚の立ち姿。
特に犬夜叉とかごめの表情が今まであまり見たことない感じでいいのだが、こうして並ぶと、確かに七宝を守る係がいないな、って思ってしまう。
七宝に後を託すというのは、やはり犬夜叉の優しさで、本音を言えば守り切れない、幼い七宝(しかも奈落と直接の因縁はない)をそこまで踏み込ませたくないという気持ちがメインだったのだろう。
ちょうど四魂のかけらを失った鋼牙が退場したように。

さて、おなかを開けて歓迎する大蜘蛛の体内に躊躇なく飛び込んだのは殺生丸。
「りんちゃんが中に・・・!?」と、かごめは初めてりんが奈落の人質となっていたことに気づいたらしい。
犬夜叉たちはりんのことをどう思っていたのだろう。
もしかしたら殺生丸を追って行ったと思っていたのだろうか。
だとすれば「卒業」の感想もだいぶ変わってくるのだけれど。

続いて犬夜叉とかごめ、弥勒と珊瑚も飛び込んで行くが、その直前、夢幻の白夜に対して風穴を開きかける弥勒の顔の色っぽさにまずドキドキ。
次に「安心しろ。お前なんぞ吸ったところで・・・」と背を向けた弥勒に別の意味でドキドキ。
奈落の仲間である夢幻の白夜を吸い込もうとしないことは、やはり弥勒はまだ曲霊の影響下にあるのだろうかと思ってしまった。
「・・・・・・」と微笑んでいる?ほくそ笑んでいる?白夜の反応も気になったし。

でも次ページ、風穴が限界だと心に思う弥勒、無事終わったら祝言をあげようと珊瑚に伝える弥勒は、間違いなく弥勒自身だ。
弥勒が完全に曲霊を断ち切ったか、意識とは別の部分で曲霊の支配下にあるのか、それともその言葉すらも曲霊が言わせているのか(それはないだろう)、まだ確信は持てないが、この時の弥勒と珊瑚の表情もまた素敵。

そしてそれを「みんなして飛びこんじまった。バカだねえ。」と見送る白夜がまた意味深。
「おれなら人質の小娘ひとり犠牲にしたって、外から奈落を壊すがね。」
もちろん誰も聞いてはいなかったろうが、白夜が奈落に完全服従ではないのではないか、もしかしたら奈落の寝首を掻くこともあるのではないか、今後の犬夜叉たちにとっての大きなヒントとなるのではないか、などといろいろ考えてしまう。
「外からなら」奈落を壊せるのだ、覚えておこう。

さて、鬼蜘蛛改め大蜘蛛のおなかの中では奈落が七変化をお披露目中。
「中から壊すか・・・?それもよかろう・・・」
これはさっきの白夜の台詞と合わせて、外部が弱点だからあえて内部に誘ったと見えないこともない。
お願いだから普通に人間の姿になって欲しい、せめて最後に死ぬ時は。

それはともかく、七変化する奈落が、奈落であって奈落でない、魍魎丸だったり赤子だったり、そんな風に見えるのは私だけだろうか。
いつかスカパーで見た「デビルマン」の可愛いの、みたいに鬼蜘蛛の背中に、今まで四魂の玉に振り回されて死んでいった人間や妖怪たちの顔がぼこぼこくっついてたりしたらそれも嫌だけど、それに近いものがあるのではないか。

ここからの奈落の台詞が興味深い。
奈落の体内で奈落の瘴気を浴びているのに死んでいない犬夜叉たち、その理由は
「四魂の玉がきさまらの魂を望んでいるからだ。」
「きさまらがこの奈落を憎む心・・・ 怒りと・・・ そして、絶望・・・」
「この奈落を倒すということは、四魂の玉と闘うということだ。」
「断ち切れると思うか?
 何百年と続き 時を越えた四魂の玉の因縁を・・・」

そして鎧甲におおわれた奈落の本体らしき者が登場して戦闘が始まるのだが、今週最後の台詞が
「さあ闘おう 犬夜叉、時間はたっぷりある。
 この奈落の体内で・・・ 永遠に。」である。

今この台詞を読んでから、これまでの奈落の行動を振り返ってみると、殺せるのに殺さない、殺せるのに逃がす、このしんねりぐだぐだねちねちしていた奈落の謎めいた行動の意味が見えてくる。
四魂の玉が「憎しみ」「怒り」「絶望」そしておそらく「悲しみ」といった魂の負の部分を欲しているのなら、それらを四魂の玉に与え、同時に奈落自身もそれらの感情を自らの糧として成長していたのだと。

ちょうど犬夜叉たちがそういった個人的な負の感情を克服して、奈落や四魂の玉が存在してはならないものだから、その因縁を断ち切る斬るといったプラスの感情を(全てとは言えないが)自分のものとして成長していったのとは、真逆である。
犬夜叉が成長していったように、奈落もまた成長していたのだと、そのためにもあの回りくどい「悪の美学」が必要だったのだと思えてくる。
奈落としては簡単に殺すわけにはいかなかったのである。
そう考えると、これまでの「マンネリ」「ループ」とされた展開もそれなりに納得できるのだが、その途中で離れて行った読者はどうなのだろう、決して少なくないと思う。

でも高橋先生は、読者が離れることを恐れずに、最後まで読んでくれる読者のために作品を描き続けているのかもしれないな、と思った。
また、それができる立場であり、キャリアを積んだからこそできることなのだろうけど。

奈落の体内で犬夜叉たちが完全に四魂の玉が求める負の感情を越えた時に、奈落の最後が訪れるのだろう。
ただ、普通に戦闘している今の状態ではそうはならない。
ちょうど宝仙鬼のエピソードのように、何かのきっかけがあるのだろうが、今のままでは桔梗は出番がないだろうし。
体内でりんを探して迷子になってる?殺生丸や、どことなく目立ち始めた夢幻の白夜の行動も気になる。

そして鬼蜘蛛大蜘蛛奈落は玉になった。
ってここだけは何度見ても鳥肌だ、奈落がうまく犬夜叉たちを捕らえた時に、この大玉奈落が巨大な四魂の玉と同一化するのか、そんな姿も見てみたい。
その時こそ、普通の人間の姿に戻ってくれ、奈落。
そしてその後の大逆転、犬夜叉の鉄砕牙とかごめの破魔の矢と珊瑚の飛来骨と殺生丸の爆砕牙と桔梗への想いを受け止めて、できれば浄化されて成仏して欲しい(弥勒の風穴は封印)。

気になるのが「永遠に」という奈落の言葉。
場所はすでに異次元となっていて、犬夜叉たちは死ぬことも叶わず、闘い続ける運命を強いられているのだろうか。
ちょうど四魂の玉の中で翠子と妖怪たちが闘い続けているように。
ならば翠子登場もあり得ないことではないかも。

そしてあまりに哀れな「翠子に懸想した男」もまた、奈落が生まれる元になった存在として登場して欲しい。
私はこの男も救われて欲しいと思うのである。

それにしても「鬼蜘蛛」って奈落の生前の男にとって本名ではなく、通称であったはずだ。
その名前がここまで奈落に影響を与え続けることに不思議を感じる。
奈落の謀略の象徴として登場する鬼蜘蛛だけど、結局は奈落が鬼蜘蛛から逃れられない運命であることを暗示しているのかもしれないと思った。
奈落が気づいているかどうかは別として。
(2007年11月28日の日記)
最終決戦というよりは・・・
原作少年サンデー2007年12月5日(1号)第533話「玉の気配」

          ☆          ☆          ☆

「最終決戦というよりは、総集編を読んでる気分。
その心は 見慣れたパターンのくり返し。」

なんて思ってしまう最近の犬夜叉。
結末が近づき寂しい気持ちと、最終決戦に一生懸命盛り上がろうとする気持ちと、実際に読んで全然盛り上がらない気持ちのギャップが大き過ぎて困ってしまう。
奈落の集大成、確かに攻撃のスケールは大きいけれど。

犬夜叉の弱い半妖の血が汚れた四魂の玉の影響を受けて妖犬化し、かごめを襲う。
弥勒と珊瑚は犬夜叉たちから引き離されてしまう。
もしも弥勒が曲霊の支配下にあれば、それは2人にとってとても危険なことだ。

興味深いのは、かごめの台詞

「私も最初は吸収された(四魂の)玉が、体中に溶けて染み渡っているのかと思ってた。
 だけど・・・この体の奥深くから強い気配を感じるの!
 だからきっと玉はそのままの形で・・・」

読んでいくと、それは犬夜叉を暴走させようという奈落の狙いゆえだったことがわかる。
同時にそれは、奈落にとっても諸刃の剣。
完全に四魂の力を自分の体内に取り込んでしまった方が効果的だろう。
四魂の玉が四魂の玉として存在し続けるのなら、それは犬夜叉に奪われる(壊される)危険性を孕んでいる。

もうひとつ、奈落が「完全に」四魂の玉を自分の物にした時に、立場が逆転し、奈落が四魂の玉に支配される可能性もあるわけで。
こうなったら、むしろそっちの展開を期待してしまいたい。

暴走した犬夜叉を止めるのはかごめの役割り、まさか「おすわり」ではあるまい。
最終決戦を堪能するには、キャラに対する強烈な感情移入が必要なのかもしれない。

今後の見所。
かごめの封印解除の瞬間、その形。
桔梗や翠子がどう関わってくるか(きて欲しい)。
弥勒と珊瑚、殺生丸とりんがどう切り抜けるか、残された七宝と楓、邪見は、といったところだろうか。

あと、目覚めてさ迷い歩くりんの心細げな表情が印象的だった。
そのりんを、

「いつか斬りたくなる。
 より大切な仲間を救うために。
 自分が助かるために―」

その手段が犬夜叉の妖犬化だったのだろうか。
願わくば、犬夜叉自身の強い心でこの試練を乗り越えて欲しい。
これまでとは比較にならないほど、半妖にとっては強い邪気だろうが、もはや犬夜叉はそんな立ち位置はとうに越えていることを証明して欲しい。

余談だが、前に書いた「鬼蜘蛛」について、友達とメールでやり取りした。
その結果、「鬼蜘蛛」は奈落が鬼蜘蛛の存在を意識しようが、人の心を捨てようが関係なく奈落を縛り続けているものかもしれないという結論になった。
奈落の意識の外で奈落を縛り続けている存在、それが「鬼蜘蛛」という名前であって、それは全身火傷で動けなかったあの男でもない。

「鬼蜘蛛」は奈落を支配するが、奈落がそれを「桔梗への想い」の部分以外に意識することはなかった。
だからあれほど嫌がってた鬼蜘蛛に(簡単に)何度も化けたりしてたのではないかと。
かなり乱暴な結論だけど、私の中ではなんとなく納得できた気もする。
(2007年12月5日の日記)
憑き物落ちた
原作少年サンデー2007年12月12日(2,3合併号)第534話「瘴気の矢」

          ☆          ☆          ☆

憑き物落ちた、私から。
12月8日の「ひとりごと」に書いたけど、なんか最近何が何でも感動しようとか、何が何でもおもしろく読もうとか、かなり無理してたことに気がついた。
リビングに入った瞬間テレビ画面に犬夜叉(しかも原画)が映った、ただそれだけのことがとても嬉しくて、しまい込んでた「犬夜叉」愛が一気にあふれ出た感じ。
盛り上がらなくたっていいじゃない、どっぷり浸かろう最後まで。

というわけでテンション高く読み始めた今週号。
相変わらず「自分が助かりたかったら相手を殺せ」と通じない姑息な手段を繰り返す奈落。
いい加減学習しなよ、無意味だよその手は、と思っていたら犬夜叉がかごめを突き落とした、これには驚いた。

「犬夜叉を鎮め、浄化すればいいではないか。」と白目の奈落が揶揄するけれど、もしや「おすわり」が通じない状態?
奈落は「おすわり」を知ってるのか?
意外に最猛勝ネットワークなどで見てたかもしれないな。
おなかを抱えて笑ってたりして。

以前悟心鬼戦で妖犬化した犬夜叉をかごめが「おすわり」で元に戻していたが。
同時に犬夜叉を何らかの形で浄化するならば、犬夜叉は朔犬に戻るような気がする。
(ただし犬夜叉がかごめに破魔の矢で自分を射るように言った時はさすがにためらっていた、犬夜叉の死もあり得るのか?)
まあ絵的にここで「おすわり」など使われた日にはクライマックスの迫力も音を立てて崩れ果てるだろうが。

今まではそれなりに邪悪な力に対して抵抗してきた犬夜叉だが、今回は完全に奈落に、というより四魂の玉に操られている状態。
ただ、いつものパターンだと爪で引き裂けばすぐに決着つくものを、あえて突き落とすに止めただけで、奈落からかごめを引き離す、かごめが死んだと思わせるといった策略も感じさせる。
犬夜叉が心の中で必死で抵抗しているからこれで済んだのか、見た目が狂ったように見えるだけで、犬夜叉自身は正気なのではないかと思わせる。
実際にかごめを傷つけているので、前者ではないかと思っているが。

今さらな気がする瘴気の矢、かごめがそれで犬夜叉を射るなんて思う読者はいないだろうが、あえて出し、今回のサブタイトルにまでした。
後でこの矢が重大な意味を持ってくるのだろう。
とりあえずかごめが手にするかと思えば触ることなく落ちてくし・・・。
かつて犬夜叉の目の前で瘴気の底に落ちていった桔梗と、犬夜叉自身の手で突き落とされたかごめ、つい比べてしまう。

かごめが主役の心理戦、奈落はかごめに対し、あまり殺意は持っていないようだなんて書いたの最近じゃなかったかな?、私・・・。
とりあえずかごめは死んだと思ったらしい奈落、私も奈落も相変わらず詰めが甘い。

場面は変わって弥勒と珊瑚。
言葉には出さなくとも、弥勒の風穴が限界に来ていることに気づいている珊瑚。
その珊瑚に奈落は凄まじい光景を見せつける。
弥勒の父が自らの風穴により滅びる瞬間。

弥勒はそれを幻と言うが、それは紛れもない弥勒の記憶。
幼い弥勒が見た事実。
こちらの奈落の攻撃はあまりに卑劣で、読んでいて苦しかった。
珊瑚を動揺させて飛来骨を封じるだけの意図なのか、弥勒の死と珊瑚の恋の終わりを告げるカウントダウンの開始なのか。

そんな2人を奈落の触手が囲むが、これは当然弥勒の風穴を誘う攻撃だろう。
犬夜叉とかごめ、珊瑚と弥勒が別れていることが救い手のいない危機感を抱かせる。
(出番よ七宝!早く来て鋼牙!・・・とは言えないな・・・。)
盛り上がらないのも困ったが、ここまで切実になるとこれも切ない。
特に弥勒や珊瑚はリタイアの可能性がないわけではないキャラなので、余計苦しい。

ところがそんな危機感を一気に吹き飛ばしてくれたのが最終ページ、名づけて「おいしいとこ取りの殺生丸」。
奈落のおなかで迷子になって、りんに会わずにかごめに出会う。
今週から作品タイトルを「犬夜叉」改め「殺生丸」に変えたくなるほどのインパクトだった。
(っていうか最近このパターンが多い殺生丸・・・)。

柱に「傷ついた」かごめとあるのでもちろん天生牙の出番なし。
いるかいないかわからないが、殺かご派待望の殺生丸かごめをお姫様抱っこの図が見られるか。
私としては殺生丸がかごめの「封印」を解くもありかな?と思うけど、なんせ殺生丸には手段がないか。
とりあえずかごめを連れて犬夜叉に会いに行き、犬夜叉を正気に戻すか奈落に問答無用の直談判か。

奈落に殺生丸が斬ってもいい部分がまだ残っているかも見もの。
冗談はともかくとして、ここにいたって最大のキーマンが桔梗ではなく殺生丸になるとは正直予想していなかった。
殺生丸をほったらかしの奈落、これも大きなミスとなるか。
(りんはどこまでも対犬夜叉用の人質だったらしい)。

先日大蜘蛛の体内にぼこぼこ現れる顔は奈落だけではないように見えると書いたが、同様に思った方は多いらしい。
やはり奈落自身も四魂の玉の支配下にあるのだろうか。
どうなっているのかわからない曲霊の存在も気になる。
もちろん外で高みの見物の夢幻の白夜も。

ところが来週はサンデーお休み。
次号はクリスマス明けの26日、久々に長く長く感じる2週間となりそうだ。

          ☆          ☆          ☆

最近ハマっているのがゲーム「戦国BASARA2英雄外伝(HEROES)」だが、これに森川智之さんが片倉小十郎役で出演されている。
これがまた奈落と正反対の、男気があって正義感が強くて古風な武士(もののふ)、独眼竜伊達政宗の右目と言われた男。
森川ファンならずとも惚れまくりのかっこ良さなのだが、今回乱世の梟雄松永久秀(十二国記驍宗の藤原啓二さん)に卑劣な手段で苦しめられ、怒りを爆発させる。
「まるで奈落じゃん」と森川さんが言ったとか言わないとか(言ってません、笑)。

「ゲームはしない」森川ファンの貴方、もったいないですよ〜。
ちなみにやはり「ゲームをしない」松野太紀さんファンの貴方、「真・三国無双4,5」の凌統を知らないなんてもったいないですよ〜。
さらに「ゲームをしない」中井和哉さんファンの貴方・・・、もうやめよう(笑)。
(2007年12月12日の日記)
心理戦より直球勝負が心に響く
原作少年サンデー2007年12月26日(4,5合併号)第535話「奈落の闇」

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今週の「犬夜叉」、一読した感想を図式化(笑)してみると、

「?」「?」「♪」「!」

といったところだろうか。

表紙の犬夜叉の横顔の凛々しさには「やっと目覚めたか?」と期待したものの、その心も体も相変わらず「奈落」の闇に囚われている。
光に包まれて逝った桔梗の思い出さえも闇と化し、さらにかごめを爪にかけた記憶も蘇り、さらに犬夜叉を奈落の底に突き落とす。
この闇を形作るもの、本当に奈落なのだろうか。

奈落だとすれば、あまりに「今さら」感が強すぎる。
四魂の玉が奈落に命じて、あるいは奈落が曲霊と同化して、新たな(かつて犬夜叉が経験したことのない)闇を作り出したのかと思いもしたが、曲霊本体が登場した今となっては説得力に欠ける。
犬夜叉は、その心は未だにこれほど弱かったのか?

それが犬夜叉に関する「?」だ。
この部分は「奈落がこれほど強くなったか」と読むか、「犬夜叉はまだこれほど弱かったか」と読むかでだいぶ感想も変わってくるところだろう。
さっきも書いたとおり、私は後者だ。
「私はずっと犬夜叉のそばにいる。」のかごめの顔もなんだか別人みたいだった。

ただ、ここで興味深く思ったこと。
奈落の

「愛しい女(=かごめ)を引き裂いたことすら覚えていないのか?」という台詞。

奈落というキャラは本当に桔梗一筋で、かごめに対してはひとかけらの恋愛感情もないのは周知のところだろう。
そして犬夜叉と関わる中で、その心の変遷をおそらく当の犬夜叉よりもよく見てきたはずだ。
その奈落でも、犬夜叉が桔梗からかごめへ心を移したこと、あるいは桔梗とかごめを同様に愛したことをすんなりと受け入れていることがおもしろい。

鋼牙は結局最後まで詳しいことは知らされないまま去って行ったが、それももしかしたら犬夜叉の恋の仕方を受け入れることができず、かごめのために怒り出したり犬夜叉と険悪になったりする危うさがあったためだろう。
奈落などは、むしろ犬夜叉のかごめに対する気持ちに感づいた時点で一点勝ち越し!みたいな態度に出そうなものだが、そこが奈落の優しさ(笑)だろうか。

2つめの「?」はかごめの部分。
犬夜叉がかごめを殺さないように、自分からも奈落からもかごめを引き離したのかと思っていたが、かごめはそう信じてはいないらしい。
(実際そうではなかったらしい)。
かごめの犬夜叉に対する信頼感もだいぶ薄れているような気がしたが、これはむしろかごめもまた奈落の闇に影響されていると受け止めるべきだろうか。
表情の弱々しさが気がかりだ。

犬夜叉とかごめに関しては、むしろ「幻影殺」や「心の闇」の危機の方が説得力を持って読む側に迫ってきたような気がする。
今回は危機すらも謎とするべく中途半端に描かれているような気がしてならないのだが。

「♪」は飛ばして最後の「!」。
これはもう弥勒と珊瑚のストレートな危機の部分。
追いつめられた珊瑚に迷うことなく風穴を開こうとする弥勒。
ここで終わってしまいかねない弥勒、それを見てしまうかもしれない珊瑚の心に心を重ねながらまた長い2週間を待つことになるのだろうか。

そして蛇足かもしれないが嬉しい「♪」。
気を失っているかごめを守って律儀に妖怪を追い払っている殺生丸、しかも素手(笑)。
さすがに弟の彼女に遠慮したか、りんが蘇生した時のように抱き上げてくれはしなかったが、特に345ページの「バシ」の横顔には立ち読みしながらくすくす笑いが止まらなかった。
りんを探すよりかごめを守るためにかごめが気づくまでそばについてたのは嬉しい驚き。

というわけで待望の心理戦よりそれ以外の部分で盛り上がってしまった号だった。
つくづく読者(特に私)って我儘だと思う・・・。

あと最近ハマっているのが「お茶にごす。」。
欠かさず読む作品が10個に増えた。
(2007年12月26日の日記)
りんと犬夜叉 危険な遭遇
原作少年サンデー2008年1月9日(6号)第536話「風穴の限界」

          ☆          ☆          ☆

「追いつめられた珊瑚を救うため、弥勒が限界寸前の風穴を」開いてしまった。
風穴に吸い込まれる恐怖を、愛しい女性を救う覚悟が越える。
表紙の決意から風穴を開いている間、そして珊瑚に別れを告げる哀しい笑顔。
風穴がなんとか収まる瞬間の怯えた表情すらも凄絶に美しい。

愛しい女性を巻き込みたくない弥勒。
愛しい女性に悲惨な死に様を見せたくない弥勒の笑顔。
けれど珊瑚は弥勒と共に最後まで足掻いて、それで駄目ならむしろ共に死ぬことを望むだろう。
そうさせたくないからこそ走り去る弥勒、あまりに哀しい弥勒と珊瑚の堂々巡り。

珊瑚は弥勒がいなければ駄目なのだと、強がってはいても本当はこんなに必死な目をして弥勒を追うのだと、わかっていても胸が痛い。
私はむしろ、風穴が暴発すれば、珊瑚どころか犬夜叉たちを含め、弥勒を体内に抱え込んでいる奈落の本体すら危ないのではないかと思っていた。
だから珊瑚に弥勒の父の死に様を見せたのは、同時に弥勒もあの恐怖を思い出し、風穴を開くことがないように牽制したのではないかと。
けれど前回の最後、明らかに弥勒の風穴を誘う手段に出た奈落に首を傾げていたのだけれど。

ずっと前に弥勒の祖父の風穴は、奈落が逃げるのに必死でたまたまできたもので、それが弥勒の一族に受け継がれることだけが奈落の呪いだろうと書いたことがある。
だから奈落自身も風穴から逃れられるわけではないだろうとずっと思っていたのだが、ここでちょっと揺らいできたかな?
奈落自身は風穴に影響を受けないのだろうか。
最猛勝他の奈落の警戒ぶりを見ればそうも思えないのだが。

取り残された珊瑚から場面は転換、遠い村で楓が見たのは「四魂改め蜘蛛の玉(涙)」。
こんな丁寧に描かなくとも、と鳥肌立ててしまったが、遠目に見た蜘蛛の玉の中の光に一瞬期待してしまった。
桔梗?翠子?かごめの覚醒?
残念ながらこの後光は消えてしまうのでただ日の光が反射しただけだったのか・・・。

ガラスかプラスチックのような丸い透明な外殻があってその中に奈落蜘蛛がみっちり詰まっているように見えるのが不思議。
このせいで奈落が四魂の玉と同化したように見えたのだが。
別にまんまるくならなくても、普通に蜘蛛の姿で浮かんでいても良かったのに、まんまるになったことに意図はあるのだろうか。

ところがここからがおかしかった。
こんなにシリアスに押し進めてきたのに、弥勒と珊瑚の想いで胸が痛いのに、いきなり爆笑。
私が不謹慎なのか、高橋先生が凄いのか、もちろん後者。
やはり蜘蛛の玉を見上げてついて行くべきだったかと後悔する七宝、そして邪見。

典型的な弱虫キャラだったこの2人が、犬夜叉たちや殺生丸たちへの想いで強くなる。
あえて危険な蜘蛛の玉の元に行こうとする。
その想いに感動しつつ、でもそのやり取りがあまりにおかしくて、笑いながらちょっとだけ涙がにじんだ。
退治屋装束に着替えた琥珀もまた、ついて行こうとしている。
普通に考えればこの3人が行ったところで仲間の役に立つとは思えないのだが、彼らの想いに応えて、あえて活躍の場を持たせてあげたい。

蜘蛛の玉と同じくらい巨大化したまん丸七宝と蜘蛛玉奈落のにらめっことか、邪見の人頭杖炎攻撃に毛を焼かれてちりちりになる奈落蜘蛛とか。
駄目だ、思い浮かぶのがその程度とは自分で自分が情けない。

ここでまたまた場面は変わり、かごめをお供に従えた殺生丸。
(その前にご丁寧にも蜘蛛の玉のどアップがまた入る)。
「殺生丸・・・
 あんた鼻が利くんでしょ?」
って考えてみればけっこう失礼なこと聞いてない?かごめ(笑)。

「それでも・・・ りんちゃんの居場所がわからないの?」
「この奈落の体内・・・
 外から見る以上に中は奥深い・・・」

心の中ではちゃんと会話が成立してるところがおもしろい。
霊力がないせいか、りんの幻を見るかごめに「(まったく匂いがしないから)幻だ。」と殺生丸。
やっぱり頼りは鼻らしい。
どうもこのコンビはシリアスなのにおもしろい。
意外に殺生丸にとってかごめは苦手なタイプなのかもしれない。
クラスの中で硬派を気取っている番長(殺生丸)に、ただ1人遠慮せずズケズケ物言う優等生タイプの委員長、しかもこれがまた気が強いって感じで。

本物のりんは気づいたところを曲霊と鉢合わせ、殺生丸に助けを求めようと逃げ出したのに、出会ってしまったのは「心を失くした」妖犬犬夜叉。
これがほんとの「危険な遭遇」だな、なんてぼんやり考えたところで今週はおしまい。

仮に犬夜叉がりんを傷つけ、それを殺生丸が目撃したところで、見境なく犬夜叉に襲い掛かる殺生丸ではないだろう。
全てが奈落の策略とわかっているだろうし。
むしろ犬夜叉の目を覚まさせる役割、意外にかごめより殺生丸の方がふさわしいかもしれない、今は。

幸い?次のサンデーはあさって発売、そんなに待たずにすみそうだ。
それにしても最近最終回を迎える作品が多い。
「犬夜叉」もまず作品の表紙、最後のページ、そしてサンデーの最後から2番目の次週予告のページを見て「最終回」の文字がないか確認してから読むのが習慣になってしまった。
今週は「緊迫の次号!」で締めだったので一安心。

でも「今年こそ成し遂げたいこと」の質問には「家を建て替える」だって。
連載抱えた状態じゃあ無理だよなあ・・・。
ということは・・・?
(2008年1月14日の日記)
かごめと殺生丸 夢の連携
原作少年サンデー2008年1月16日(7号)第537話「最後の理性」

          ☆          ☆          ☆

最初に先日頂いたおもしろい質問から。
「瘴気の矢」の感想を読んで下さった人からで、「今のかごめは『おすわり』を使えないのでしょうか。」というもの。
私は「おすわり」は巫女の霊力+言霊を考えたかごめであることの2つの条件が揃って使えるのだと思っている。
霊力があっても楓は使えないだろうし、桔梗が「おすわり」と言ったところで通用しないだろう。

桔梗には桔梗の言霊があって、それはかごめには使えないとか。
よって今のかごめには「おすわり」効果ないのではないかと思う。
シリアスな状況が続くので、「おすわり」自身出番がないけど、仮に使ったところで悟心鬼の時のような効果は出ないのではないかと思う。
一度桔梗に「おすわり」使用中のかごめと犬夜叉を見せたかったなあ。
桔梗のかごめにたいする意識、ストーリーも激変していたような気がするけど(笑)。

今週はものすごくかっこいい半妖犬夜叉の表情が気になる表紙から始まる。
おお、「遭遇」という言葉が出てきたぞってひっそり喜んでみたり。
ついでにかごめも殺生丸と「遭遇」だそうだ。

殺生丸のもこもこに必死でしがみつくという、邪見とりんを足して2で割ったようなお供かごめが今週の役回り。
必死な表情も可愛くて、こんなところもりんみたい。
でももっと印象的なのは、かごめに指示を始めた殺生丸。
通訳(邪見)もいないし、りんのようにツーカーではいかないところを悟ったか、今週の殺生丸はお供に優しい。

「とばすぞ。」の後、ゴッと飛ぶ殺生丸のもこもこに必死でかごめがしがみついてるのが今週一番ツボのカット。
前回「殺生丸はかごめが苦手なのでは?」と書いたけど、こんなとこ読んでるとこの2人のコンビもなかなかだなあと思えてくる。
かごめは殺生丸が犬夜叉を襲うことを心配しているようだが、今の殺生丸の目的は奈落を倒すこと、りんを守ること、そして犬夜叉を戻すこと、その3点に尽きるだろう。
そこまで読み切れないのはかごめと殺生丸の絆の浅さか、仕方がない。

もう一方の新コンビ犬夜叉とりんはそういうわけにはいかず、犬夜叉は荒ぶる心を鉄砕牙の加護で必死に抑える。
「ゴッ」というより「ぽわん」と出てきた曲霊が犬夜叉に鼻の頭を引っかかれたか、鼻面掴んで投げ飛ばされたか期待したけど空振り残念。
逆に曲霊は犬夜叉の中に入り込む。
今まさに曲霊の意のままになろうとする犬夜叉の前に現れたのはやっと間に合った殺生丸。

「りん・・・」の右目と左目の大きさが違う(って書くと変だけど)殺生丸が最高にかっこいい。
しかしりんは再び奈落の肉塊に呑み込まれ、残されたのは犬夜叉と殺生丸。
かごめが無事だったことに気づく心も喜ぶ心もすでにないらしい。
対決する兄と弟、天生牙と鉄砕牙。

「犬夜叉ごとたたき斬ってくれる!」は曲霊に対する脅しの言葉か。
かごめも「やめて殺生丸!」ではなく「やめて犬夜叉!」
さっきの訂正、かごめの中にも十分殺生丸に対する理解&信頼が生まれているようだ。

犬夜叉の冥道残月破が鉄砕牙によって残された「最後の理性」によりはずされ、開かれた奈落の体内に七宝、邪見、そして琥珀が飛び込んだ。
阿吽がいるからひとりで来れたはずなのに、七宝に運んでくれるように頼んだのは、遠回しに誘っていたらしい、これには笑った。
なんて可愛い邪見。
そしてついに蜘蛛玉奈落とご対面したのだが、奈落は冥道残月破に傷つけられたのかあまりダメージはなさそうだ。

冥道残月破は一体何のために存在する技なのか。
殺生丸の方が上手に使いこなせような気がするが。
その一撃の影響もないまま犬夜叉は鉄砕牙を手放し、曲霊と共に奈落の体内に取り込まれてしまう。

「鉄砕牙を拾え!
 犬夜叉と曲霊を追う!」
「うん!」

りんより弟を選んだ殺生丸と勢いを盛り返したかごめが犬夜叉を追う。
殺生丸に「うん」と答えれるキャラもそんなにいないと思うが、結局はこのコンビが今週は最高に輝いていた。
微妙な描写で犬夜叉の心理も描かれてはいたが、他キャラががんばっているだけに、感情移入するより元気のなさだけが目立ってしまったように思う。

こういう時はアニメの動きや音楽や効果音、山口勝平さんの呻きや唸りが入った方がわかりやすく、おもしろいかもしれないなあと思った。
最近はストーリーを追うよりも、意外なキャラの意外な組み合わせの妙が楽しく、まあそんな読み方もあるかと割り切ってる次第。
結局今週は弥勒と珊瑚の出番なしだったが、こちらも琥珀が意表をつく形で関わりそうで期待が持てる。

どうでもいいことだけど、奈落の体内、汚れや匂いが凄いんだろうなあ、本当は。
その中でりんの匂いを嗅ぎ分ける殺生丸の鼻も凄いが、地獄絵師紅達の墨絵に目を回す犬夜叉を思い出してしまった。
あまりの匂いに目を回して戦闘不能の犬兄弟、代わりにがんばるかごめと邪見なんてストーリーも読んでみたいかも。
想像しないのがお約束か(笑)。

犬夜叉が目覚めるきっかけは何か、来週こそ主役の大活躍に期待したい。
(2008年1月16日の日記)
この期に及んで
原作少年サンデー2008年1月23日(8号)第538話「かごめの血の匂い」

          ☆          ☆          ☆

この期に及んで殺生丸派に転向か?
そうではないんだけど、なぜか殺生丸から目が離せない今日この頃。
ところがこれ、私だけかと思っていたら、そうではないらしい。
犬くん大好きAさんも、犬かご奨励Bさんも「後ろめたさ」を感じつつもこのまま殺生丸の、もしくは殺かごの活躍猛進を見ていたいそうだ。

ちなみにこちらの「犬かご」はカップリングで「殺かご」はコンビだそう。
愛があるかないかで区別されるらしい、そうか、そういうものなのか。

表紙の犬夜叉の横顔とかごめの表情には大満足。
奈落のおなかの中、相変わらず殺生丸を「あんた」呼ばわりのかごめと無視してると見せかけてしっかり話を聞いてる殺生丸。
(奈落はおなか痛くないのか?)
かごめって鋼牙や弥勒に対してはもっと丁寧な喋り方するのに、殺生丸への扱いはまるで格下妖怪(笑)。

義兄だけに気を許しているのか?かごめ。
必死ながらも可愛い顔とのギャップが凄い、そこが良し。

「ここにいろ!
 闘いの邪魔だ!」

気づかう?殺生丸に言うこと聞かずに出て行き、落ちてくかごめ、反抗期?
(いえ犬夜叉に鉄砕牙を渡したかっただけなのだが、殺生丸視点で読むとそう見えてしまう)
ここは是非闘いを放棄して殺生丸にかごめを助けに行って欲しかったのだが、さすがにここで犬夜叉が目覚める。

本来ならここでアニメ「犬夜叉のテーマ」が頭の中で鳴り響き、一気に犬夜叉モードに切り替わるところなのだが、そうならないのがちょっと辛い。
かごめを傷つけ、奈落の底に突き落とし、桔梗やかごめを守れなかった負の心に囚われる。
って奈落の体内に入ってから一度やってなかったか?それ。
「永遠に囚われ続ける」とはそういうことなのだろうが、以前から何度も繰り返されてきたことでもあり、「この期に及んで」犬夜叉がその呪いの支配を受けたというのもちょっときつい。

「四魂の玉の因果はこの俺が叩っ斬る!」と言い放った犬夜叉、蜘蛛玉奈落の体内にあえて(かごめを連れて)飛び込んだ犬夜叉が結局己の心の弱さに囚われる。
意外と殺生丸が「負の想い」に囚われてそれを解こうとする犬夜叉との兄弟対決になっていたらおもしろかったんじゃないかとふと思った。
結局かごめを守りたいという気持ちが犬夜叉を目覚めさせ、高らかに半妖犬夜叉が復活するのだろうが、その時に自分がそうなりたいと思うほど盛り上がれるかどうか。

かごめがいるから犬夜叉が復活するのか犬夜叉が自身の力で復活するのか、どちらを望むかといえば私は後者だ。
でも犬夜叉って基本的に守る者があってこそ強くなれる、というより守る者がなくては強くなれないキャラだとずっと思ってた。
守る者がいるから「さらに」強くなれるのは少年漫画の王道としても、守る者がなくては弱くなるのでは私としては物足りない。

犬夜叉にはまず自身の力でしっかり立って、それから大切な存在(かごめや弥勒や珊瑚や七宝、そして兄)に目を向け、彼らを守るためにさらに強くなってがんばって欲しい。
と前述Aさんへのメールに書いたら、そんな不安定なところが犬夜叉の魅力、母性本能をくすぐる魅力なのだそうだ、そうか、そうなのか(笑)。
そういえば最近女性の感想しか読んでないな。
男性読者の物語、犬夜叉に対する感想じっくり読んでみたい気がする。

男性読者にとって今の犬夜叉の魅力、作品の魅力って何だろう。
もうアクション漫画のおもしろさ、鉄砕牙を振るう犬夜叉のかっこよさの時期は過ぎたと思うのだけれど。
感想書き始める前にメールチェックしたら、その数少ない男性の犬夜叉友達の方からサイト閉鎖の連絡メールが届いていた。
某犬夜叉交流サイトさんで知り合い、深く愛情あふれる考察をされながら、その語り口は穏やかで大上段に構えたりしない、とても尊敬できる方だった。

せめて「犬夜叉」が終わるまで感想を書き続けていただきたかったなあと思う。
「犬夜叉」に出会って本当にたくさんのサイトさんを知ったけど、同時にたくさんのサイトさんが閉鎖された。
「犬夜叉」が終わったらさらに多く閉鎖されるのだろうか・・・。

話がそれたが、犬夜叉が意識を取り戻し、かごめはとりあえず大丈夫だろう。
次回は弥勒と珊瑚か、りんかそれとも邪見組?
殺生丸も曲霊追って飛び込んで今度は犬兄弟対曲霊対決見せてくれるかも。

今週は他に「ワイルドライフ」が最終回だった。
なんだかスケールが大きくなり過ぎて、最近はほとんど読んでいなかったが、最後に恋愛模様など日常生活の部分をもう少し描き込んで欲しかったなあ。
終わり方がちょっと唐突な気がした。
「あいこら」もこの後どうなるの?話続くの?ってちょっと心配。
(2008年1月23日の日記)
物足りなさも王道なれば
原作少年サンデー2008年1月30日(9号)第539話「捕らえる」

          ☆          ☆          ☆

ずっと前にアニメで「仰々しさも王道なれば」ってタイトルで感想を書いたことがあるけれど、今回はその真逆。
戦い疲れてちょっと眠そうな殺生丸兄と寝不足で目が充血してるみたいな犬夜叉弟、副題は「捕らえる」、不思議な感じ。

犬夜叉がかごめを守ると誓ったことを思い出し、かごめを救い出す。
鉄砕牙を一時的に手放しているけれど、とりあえず正気は保っているようだ。
臨時パートナーのかごめが心配で?ついて来た殺生丸は心の中でかごめと会話、犬夜叉完全蚊帳の外(でも呼び捨て「殺生丸・・・」)。
かごめが心配で?「離れろ!」と叫ぶ殺生丸に動けないかごめ。

あえてかごめから離れて守ろうとする犬夜叉に天生牙を抜く殺生丸。
曲霊の一部がかごめの中に入り込んでしまうが、犬夜叉の元に戻ってきた鉄砕牙が竜鱗の鉄砕牙に変化。
犬夜叉の「妖穴」に捕らわれた動けぬ曲霊は天生牙の力で遂に消滅、かごめの霊力も解放されたようだ。
今週の「犬夜叉」はそれが全て。

姿を現すまで「曲霊」という言葉はある種「四魂の玉」を支配するがごとき意味を持っていたように思う。
四魂の玉内のバランスが保たれていれば、四魂の玉は本来人に害をなすものではない。
奈落が汚そう汚そうとがんばっていたのは四魂の玉の中の曲霊を育てて?自分に都合のいいようにしたかったからで、奈落こそが曲霊そのものだったと思う。
だから鬼蜘蛛奈落が四魂の玉のような丸型透明ケースにみっちり詰まっている今の姿は「曲霊奈落で満たされた四魂の玉」の象徴とも言えるかもしれない。

ところが曲霊が一個の物体(とは言えないだろうが)として、その辺の妖怪もどきに登場したから「曲霊」の持つ意味が軽くなったような気がしてならない。
しかもこれだけ引っぱった上でのあっけない消滅。
中途半端だったなあ、今週の犬夜叉(キャラの方)と曲霊。
今回のお手柄は殺生丸と鉄砕牙。

こう、なんていうのかな。
頭の中で「犬夜叉のテーマ」が大音響で鳴り響くような復活を期待してたんだけどな。
犬夜叉の目がすごく気になるし。

いっそ弥勒の中に残っていた曲霊のかけらが弥勒を操り、犬夜叉完璧復活につながる大暴走をしてのけると共に、弥勒の体を守る(弥勒の体が風穴によって消滅すると曲霊も存在できない)とか、かごめが翠子の記憶も桔梗の記憶も「何度聞かされても忘れてしまってた」諸々のことを全て思い出して霊力大解放スペシャルとか、行き場のなくなった曲霊が奈落に乗り移って大暴走とか、王道を越えて一触即発大逆転を狙って欲しい。
殺生丸が元気が良すぎるのか。
確かに新鮮さという面ではおしゃべり殺生丸の大活躍の方が一枚上手だろうけど。
「がんばれ犬くん応援団」でも作ってみるか・・・(笑)。

竜鱗の鉄砕牙、妖穴といったキーワードがこの場面でしっかり生かされてるのはさすがと思ったが、これすら犬夜叉の意思ではない。
つくづく犬夜叉って良くも悪くも受動的なキャラだと思う。
「かごめを守る」気持ちだけではかごめは守れない。
実際今週かごめを守ったのは殺生丸ではなかったか。

来週こそ犬夜叉の活躍に期待したいところだけど、どうやら来週の主役はかごめになりそうだ。
それはそれで興味津々なのだが。
最終回に近づきつつも危ういところで踏みとどまってる最近の「犬夜叉」、このまま1年くらい続いてくれたらいいな、本音を言えば(笑)。

他作品では「あいこら」が来週で終了、おもしろかったのになあ。
あと桐幡歩先生の「鬼月」が不思議な感じでおもしろかった。
一応読み切りなんだけど描き直して連載して欲しいくらい。
つくづく私、こういうダークなファンタジーが好きかもしれない。
「クロスゲーム」もおもしろかった、「お茶にごす。」も。
(2008年1月30日の日記)
よし、来た!
原作少年サンデー2008年2月6日(10号)第540話「よみがえった光」

          ☆          ☆          ☆

表紙の気持ち入りまくりのかごめ絵見た瞬間、「よし、来た!」とこっちの期待も盛り上がりまくり。
霊力戻ってなんだか神々しくなったよ、この子。
一瞥しただけで汚れた四魂の玉を浄化しそうな神々しさ。
この後王道お姫様抱っこの犬夜叉かごめ、そして奈落はうっとりするほど美しく描かれる。

これだけで今週は十分堪能できた。
それで終わっては感想にならないので続きを書くと、曲霊が「消え去った」ためにかごめに霊力が戻ったが、動き始めた奈落の体内でかごめがまたまた落ちてしまう。
190ページの最初のカット、殺生丸(ドクン)で殺生丸もかごめを助けに飛び出したかと期待してしまったが、残念ながらこの時の殺生丸、すでにかごめは眼中になし。
りんの匂いを嗅ぎつけ、とっととこちらも消え失せる。
蘇った犬夜叉の腕の中のかごめを、微笑みながら見つめる美しいアップがあればなお良かったのだが(笑)。

かごめに触れたことで犬夜叉も半妖の姿に戻る。
ザァ・・・の効果音に目を見開く犬夜叉、「犬夜叉・・・」と見つめるかごめ。
「犬夜叉・・・顔・・・よく見せて。」とかごめ、「かごめ・・・」と答える犬夜叉。
「よかった犬夜叉・・・ 戻ったのね・・・」と涙を浮かべるかごめ、「ああ、かごめ・・・ おまえの浄化の力のおかげだ。」と微笑む犬夜叉。

感動を通り越して読んでるこっちが気恥ずかしくなるほどの名場面。
この二人って本当に想い合っているんだなあって初めて感じた、本当に初めて。
先週「頭の中で『犬夜叉のテーマ』が大音響で鳴り響くような復活」を期待すると書いたが、犬夜叉復活=戦闘に突入だったらこんな感動はなかっただろうと思う。
嬉しい意味で予想は裏切られ、大満足。

未来の義兄に感謝の言葉もすでに届かず、お邪魔虫、じゃなくて殺生丸はりん探しの旅に再び出かける。
ありがとう、殺生丸。

この後邪見、七宝、琥珀が意識的にかたまたまか離れ離れになってしまい、奈落と弥勒が描かれる。
あの巨大な蜘蛛は奈落の住居だったらしい。
背中からいろんな物が出てるけど、一応人型をした奈落がこちらも見目麗しく四魂の玉とにらめっこ。
蜘蛛が入ってたのも巨大化した四魂の玉ではなく、単なる丸い透明ケースだったらしい。

この姿では狒狒衣も着れないとはいえ、例によって裸の奈落。
これから犬夜叉、よりかごめと出会う可能性があるのだから、せめて何か身にまとうとか、少しは気を使おうよ。
こちらの思惑は我関せず、殺生丸が思ったほどあせってはいない奈落、今度はターゲットを弥勒に定める。

ただこの「かごめの浄化の力が解放されて」できた光が不思議。
桔梗が残した光は琥珀の復活に使われ、真っ黒になった四魂の玉。
かごめの霊力が戻っただけでもう浄化されるのか?
ちゃんと読んでなくて、そんな部分を読み逃した?

そもそもかごめの戻った霊力、全解放ではないんだろう。
曲霊に封印される前の状態に戻ったわけで。
今回のサブタイトル「よみがえった光」は「桔梗が残した光は消えたが、かごめのおかげでまたついた」って意味なのだろうか。
サンデーとっておいてないので、コミック53巻が出るまで待たなきゃならないかな?ドキドキ・・・。
間違ってたらごめんなさい。

それはともかく四魂の玉の光は犬夜叉たちにとって(奈落を滅する)希望の光であると同時に(弥勒を滅する)絶望の光となるらしい。
この光の先に四魂の玉があり、奈落がいる。
奈落の狙い通り弥勒はそう信じた。
最後の1回、自らの命と引きかえに奈落を吸い込もうとするのだろうか、弥勒は。

仮にしたとしてもその先に奈落はいないと、弥勒の命がけの風穴解放は無駄に終わり、弥勒は死ぬということなのだろうか。
犬夜叉やかごめが止めようとしてももはや間に合わないと揶揄する奈落。
次回弥勒に最大の危機が訪れる。

前半の大感動に引きかえ、後半部分は「かごめの光」が私の中であやふやで、いまいち流れがつかめなかったが、それでも勢いは感じることができた。
コミック出るまでサンデー処分すべきではないと深〜く反省(だって置くとこないし・・・)。

弥勒ももちろん気になるが、邪見はりんと殺生丸、どっちに合流するのだろうか、七宝は?琥珀は?
弥勒に集中してた奈落が琥珀に気づかず鉢合わせ、とか殺生丸がまたまた迷って弥勒にばったりとか意外な展開に期待したい。
最近すっかりお助けマンと化した殺生丸のことだから、弥勒も救ってくれるだろう。

今週は出てこなかったが弥勒を必死で探しているであろう珊瑚も気になる。
とりあえず感想書いてる私の頭の中ではなぜか「犬夜叉のテーマ」じゃなくて「鋼牙のテーマ」が大音響ではなくて中音響で鳴っている、懐かしいな、鋼牙。

今週は他に「ハヤテのごとく!」「クロスゲーム」「お茶にごす。」がおもしろかった。
あと興味深かったのがこれまでの人生で何度も読み返した本との質問に高橋先生が答えた曽野綾子著「不在の部屋」、今度読んでみよう。
あまり読むことのない作家なのだけど。
(2008年2月6日の日記)

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