四魂

四魂の由来を聞きたいか。
四魂の由来を知ることは、四魂の因果に囚われて、
己を失うことになる。

それでも由来を聞きたいか。
ならば入って来るがよい。

人の心の荒魂（あらみたま）。
強き心を持つならば、魂すなわち「勇」となり、
荒くれ者は「争」となる。

人の心の奇魂（くしみたま）。
人に親しく交われば、魂すなわち「親」となり、
孤独に生きれば「狂」となる。

人の心の和魂（にぎみたま）。
賢き道を選ぶなら、魂すなわち「智」と呼ばれ、
愚かに生きれば「悪」となる。

人の心の幸魂（さきみたま）。
人を愛する心なら、魂すなわち「愛」となり、
醜く憎めば「逆」となる。

己の心に問うてみよ。
お前の中の魂は、悪しき「曲霊（まがつひ）」となってはいないか。
心の汚れぬ者だけが、「直霊（なおひ）」を極めた者だけが、
四魂の力を手に入れる。

己の心に問うてみよ。
人を憎みはしなかったか。
人を嫉みはしなかったか。
人を妬みはしなかったか。

己の心を偽って、ここで殊勝に首振って、
それでも力が欲しいと言うのなら、
四魂を奪いに行くがいい。

四魂の因果に囚われて、破滅の道に落ちようと、
それでも力が欲しいなら、
四魂を奪いに行くがいい。

二度と戻れぬ道なれど、
這いずってでも行くがいい。


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