私がアニメで「犬夜叉」に出会った頃、原作がかなり進んでいたこともあり、いろんなサイトさんの感想を読みまくった。
その時けっこう目についたのが「うしおととら」という作品との類似点の指摘。
タイトルからしてもののけなんだろうなあ、戦国時代なのかなあとずっと気になっていた。
先日たまたま古本屋さんで見つけ、1巻を見つけて立ち読み、そのまま家に駆け戻り、アマゾンで全巻+外伝+出たばかりの「画業20周年記念全集 藤田和日郎魂」一気買いの衝動買い(笑)。
土曜日に届いたこともあり、その日は徹夜で全巻読み切った。
いや〜あんなに気持ち良く泣いたのは久しぶりだ。
1つのエピソードが終わるともう一度読み直して改めて泣いて、朝になったら目が真っ赤。
ティッシュも1箱使い切ったし。
「うしおととら」の作者は「からくりサーカス」や「月光条例」の藤田和日郎 先生。
私が「からくりサーカス」を読み始めたときはもう終盤に近かったので、話は全然わからなかったが、「生と死の狭間の描写の凄い人だなあ」と思ったことを覚えている。
特にギイ、コロンビーヌ、パンタローネの死に様は印象的だった。
その藤田先生の「うしおととら」を高橋先生が意識されてる?ってことで私の中では藤田先生=高橋先生の先輩というイメージが画集を読むまでできあがっていた。
実際は高橋先生の「闇をかけるまなざし」を読んだことがきっかけで漫画家になったのだそうだ。
いざ「うしおととら」を読んでみて最初に思ったことは、「犬夜叉ととらの座り方が似てる」ってことだった(笑)。
まあ片方は犬だしもう片方は虎だし、当然なのだけど。
ただ真似というよりも意識して似たような設定にしたのは間違いないと思う。
画集で高橋先生も「うしおととら」を当時好きだったことを書かれてるし。
似ていることは承知の上で「犬夜叉」をあえて「うしおととら」にはほとんど見られないメロドラマ路線に(私は「犬夜叉」の「恋+愛=恋愛」部分はラブストーリー40%、メロドラマ60%だと思っているので)仕立て上げたのだと思う。
そういえば「境界のRINNE」で黄泉の羽織を着たりんねは普通の人には見えないことが強調されるが、「うしおととら」でも同様に「とらは普通の人には見えない」ことが同じパターンで何度も出ていた。
これなども藤田先生承知の上で遊んでるんだろう。
そんなことより度肝を抜かれたのが「うしおととら」が藤田先生のデビュー作だってこと。
あの難解にして壮大なストーリー、最後に集結する人々と見事に完結する伏線、暑くて熱くて、でも読む者を引き込まずにはいられないまっすぐな視線と燃え上がるパワー、魅力的な脇役。
何よりもとらの可愛さ愛らしさに私は夢中になってしまったのだった(笑)。
主人公は蒼月潮、潮と互いに好きなのに素直になれず、喧嘩ばかりのヒロインは中村麻子。
曲がったことの大嫌いな似た者同士のこの2人もとってもいいけど、私が大好きなのは麻子の親友井上真由子ととら、そしてこの2人?の絆。
久しぶりに感想を書きたいなあと私の気持ちも燃え上がった作品。
「犬夜叉」好きには特にお勧めかも。
さてこの「うしおととら」、OVAで10話のみアニメ化されたという。
残念ながらTUTAYAにもなくてがっかりしてたら、本当に偶然なのだけど、8月に「キッズステーション」で放映される。
(8日土曜日の夜中の12時から2時までまず4話、15日の12時から2時まで残りの4話、あと2話は来月?)
これはとっても嬉しいかも。
ところでこの「うしおととら」には「雲外鏡」が登場する。
とらにいじめられていつも涙目の可愛いじいちゃんだが、「雲外鏡」、先日「境界のRINNE」にも登場していた。
他にも京極夏彦著「百器徒然袋―風」のタイトルもそのものずばりの「雲外鏡」、畠中恵著しゃばけシリーズ「おまけのこ」より「動く影」にも出てくる。
こういった「もののけ」ごとにどんな作品に登場しているか、調べてみるのもおもしろいかも、とふと思った。
話がそれたが500年間封印されていたとらは、以前は長飛丸と呼ばれ、人を好んで喰らう恐るべき化け物とされていた。
でも人間から見て恐怖の対象だったはずのとらが意外と常識人(虎)だったりと、「犬夜叉」のもののけ感と繫がる部分もあるのがおもしろい。
たとえばライオンがシマウマを襲う時、いちいち同情したりしないだろうし、もしもシマウマに人間のような意識があったらライオンは「凶悪にして非情な、シマウマを好んで喰らう化け物」として名を残かもしれない。
けれどライオンにとっては普通のことだ。
そういったとらの性格がギャグの部分も真由子への想いも含めて、とても興味深いと思う。
でもその前にまずは大泣きしてしまうけど(笑)。
(2009年8月2日の日記)
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