アニメ「犬夜叉」完結編感想 第1話〜第10話
おかえり、犬夜叉!
アニメ「犬夜叉」完結編第1話2009年10月4日放送
「奈落の心臓」

原作少年サンデー2004年4月28日(22,23号)第359話「飛頭根」
原作少年サンデー2004年5月12日(24号)第360話「父の記憶」
原作少年サンデー2004年5月19日(25号)第361話「隠した想い」
原作少年サンデー2004年5月25日(265号)第362話「脱牢」
原作少年サンデー2004年6月2日(266号)第363話「御霊丸の正体」
原作少年サンデー2004年6月9日(28号)第364話「変貌」
原作少年サンデー2004年6月16日(29号)第365話「消えた妖気」
原作少年サンデー2004年6月23日(30号)第366話「器」
原作少年サンデー2004年6月30日(31号)第367話「赤子の居場所」
原作少年サンデー2004年7月7日(32、33合併号)第368話「神楽の決意」
原作少年サンデー2004年7月21日(34号)第369話「白童子の真意」
原作少年サンデー2004年7月28日(35号)第370話「白童子の最後」
原作少年サンデー2004年8月4日(36号)第371話「神楽の心臓」
原作少年サンデー2004年8月11日(37号)第372話「終わらない苦しみ」
原作少年サンデー2004年8月18日(38号)第373話「姉弟」
原作少年サンデー2004年8月25日(39号)第374話「風」
原作少年サンデー2004年9月1日(40号)第375話「胸の穴」
原作少年サンデー2005年6月1日(27号)第411話「やさしい彼」

          ☆          ☆          ☆

コミック36巻第8話(第356話)「邪な気配」で一旦終了したアニメ「犬夜叉」が約5年ぶりに復活した。
アニメ「犬夜叉」完結編(原作が完結しているから仕方がないとはいえなんとも寂しいタイトルだ)と銘打った続編だが、非常に面白い構成になっている。
まず、第1話「奈落の心臓」は、原作上記17話分だが、削除した部分あり、第2話に回すはずの部分ありで、原作で平行して語られるいくつかのエピソードから、基本となるストーリーに関わる部分だけまとめている。

前半は「やさしい彼」より犬夜叉とかごめの現代での生活をたっぷりサービス。
神楽と殺生丸の大切なエピソードは後に回し、殺生丸が主役となる「器」の部分はあっさりカット(邪見がおもしろいのになあ)、その代わり鋼牙一行や殺生丸一行も登場とオールキャストでご挨拶。
残念ながらレギュラー陣で出てこないのは、楓と冥加くらい。
「邪見」と「受験」は夜中に声出して笑ってしまった。

魍魎丸と御霊丸、赤子と白童子、奈落の関係などはそれなりに説明がなされるが、もう対象を「犬夜叉ファン」と決定づけており、初めて「犬夜叉」に触れるファンが話が見えなくてもけっこう、理解したかったら最初から読むなり見るなりして、5年もたって忘れててもけっこう、以前のアニメをもう一度見て思い出して、と強気でいい意味の不親切。
この自信と強気が、そして初期のアニメにあった気合いと勢いがそのまま画面からあふれ出て来るような気がした、嬉しい。
「だるまさんが転んだ」やってる七宝と邪見もかわいかった。

その後サンデーCM劇場に「境界のRINNE」が登場。
りんねと桜、六文が喋ってたけど、声優さんが誰かは不明。
なんせ夜中で音低くして見てたし(笑)、後でもう一度見てみます。

そして懐かしの犬夜叉たちが帰ってきた。
雪野さんは「銀魂」で、桑島さんは「蒼天航路」で、森川さんと能登さんは「戦国BASARA」で、松野さんは「三国無双」で、辻谷さんは「精霊の守り人」とやはり「戦国BASARA」で、それぞれお会いしているけれど、他の声優さんは本当に声を聞くのは久しぶり(アニ犬はのぞく)。
でも全然変わってない、くはないけど少なくとも以前の雰囲気を壊すような人は一人もいなかった、さすがプロだ。

「久しぶりだな。」と登場の白童子には思わず「本当に。」と返してしまった私がいる(笑)。
「高橋留美子展」の「黒い鉄砕牙」にも登場した夢幻の白夜は相変わらず色っぽかったし、何よりも山口さんのタイトルコールにはじわりとするものが・・・。
そしてほとんど動かないにも関わらず、邪悪な(でも素敵な)笑みと台詞の奈落の存在感!

さて内容だが、物語としては37巻第1話(第359話)「飛頭根」から始まる。
琥珀が自分の父や退治屋の里のことを思い、珊瑚にも複雑な思いを抱く大切なエピソードだが、ここは掠める程度、残念ながら朔犬登場もなし。
後半に入ってものすごい急展開となる。
前半の現代版との兼ね合いも賛否両論あるところだろうが、私としては犬かごファンには嬉しいプレゼントだったろうし、いいのではないかと思っている。

そして白童子と魍魎丸が登場して御霊丸との関わりを告げ、奈落を裏切った神楽は白童子をも裏切って琥珀を逃がそうとし、琥珀と珊瑚は言葉を交わし、白童子は弥勒の風穴に吸い込まれて死ぬ。
アニメの最初もこうだったな、ものすごいスピードで1話にぎっちり詰め込んで、後が心配になったものだったけど、残念ながら今回はそんな心配もする必要はない。
さらに桔梗は鋼牙と会い、霊力の低下を意識する。

結局桔梗の結界が凡人(一応僧だけど)に無意識のうちに破られてしまう38巻第7話(375話)まで話は進んで次回はいよいよ「風」だ。
神楽の死は「犬夜叉」の中で私の中でおそらく一番心に残る美しい死の描写だった。
けれど、アニメがどうとかそんなの越えて、もう一度静かにその死を悼みたいと思う。
EDもまた美しく、ああほんとにアニメが始まったんだなあとしみじみ思った。

ただキャストの部分、太一や僧たちのキャスト抜けたような気がするのだけど。
どんなに登場人物が多くても、どんな小さな役でも「犬夜叉」はきちんと紹介してくれていたので、これはとても残念だった。
以前のように「公式サイト」で網羅して欲しい。
ちなみにかごめの学校の先生が西前忠久さんだった、懐かしい。

あとEDの演出に「京極尚彦」の名前があったのを一瞬「京極夏彦」と読み間違えて、京極さんが参加したのかな?と勘違いしてしまった。
最後に神無が詠む

 「心にもあらでうき世にながらへば 恋しかるべき夜半(よは)の月かな」

は百人一首にも取り上げられている有名な句で三条院(第67代天皇)作だそうだ。
意味は「もはやこの世に生きる望みもないけれど、この浮世を長らえたならば 今見ている月が懐かしく思い出されることだろうよ」と訳せばいいのか、退位するときに詠んだ句だと言われている。
この句が最後に神無によって詠まれた意味は・・・はっきり言ってわからなかった(笑)。
なんとも無粋な人間だな、私は。

それと予告を見逃してしまった。
録画もEDの終わりと共に切れていてとても残念。
どんな予告だったのだろうか、見た方、教えてくださったら嬉しいです。
(2009年10月4日の日記)
アニメ「犬夜叉」完結編第2話2009年10月11日放送
「神楽の風」

★今回のアニメはこの範囲(38巻第2話〜41巻全て)ですが、アニメになっていないエピソードはグレーにしています。

サンデー2004年8月4日(36号)第371話「神楽の心臓」
原作少年サンデー2004年8月11日(37号)第372話「終わらない苦しみ」
原作少年サンデー2004年8月18日(38号)第373話「姉弟」
原作少年サンデー2004年8月25日(39号)第374話「風」

★翠子と神楽順番入れ替え
原作少年サンデー2004年9月1日(40号)第375話「胸の穴」
原作少年サンデー2004年9月8日(41号)第376話「同じ魂」
原作少年サンデー2004年9月15日(42号)第377話「使命」

★大蛇(おろち)とか蛟(みずち)とか多分省略、尼寺は?
原作少年サンデー2004年9月22日(43号)第378話「大蛇の巣」
原作少年サンデー2004年9月29日(44号)第379話「かけらの異変」
原作少年サンデー2004年10月6日(45号)第380話「狼の墓場」
原作少年サンデー2004年10月13日(46号)第381話「宝の守り役」
原作少年サンデー2004年10月20日(47号)第382話「五雷指」

★ムジナから奪鬼は省略か後回しか・・・
原作少年サンデー2004年10月27日(48号)第383話「ムジナ」
原作少年サンデー2004年11月2日(49号)第384話「大義」
原作少年サンデー2004年11月10日(50.51合併号)第385話「奪鬼」
原作少年サンデー2004年11月24日(52号)第386話「刀秋」
原作少年サンデー2004年12月1日(1号)第387話「竜人の盾」
原作少年サンデー2004年12月8日(2号)第388話「奪鬼の使い手」
原作少年サンデー2004年12月15日(3号)第389話「亀裂」
原作少年サンデー2004年12月22日(4号)第390話「覚悟」
原作少年サンデー2004年1月5日(6号)第391話「一心同体」

★冒頭七宝が弥勒に化ける場面がアニメ1話に入れられた
原作少年サンデー2004年1月12日(7号)第392話「平和な食卓」

★犬くんもがんばってるのに無視・・・、たぶん後回し・・・夢幻の白夜も後回し・・・竜鱗の鉄砕牙も後回し・・・
原作少年サンデー2004年1月19日(8号)第393話「尼寺」
原作少年サンデー2004年1月26日(9号)第394話「化け猫」
原作少年サンデー2004年2月2日(10号)第395話「竜鱗の鉄砕牙」
原作少年サンデー2004年2月9日(11号)第396話「毒蛟」

原作少年サンデー1998年2月16日(12号)第397話「夢幻の白夜」
原作少年サンデー1998年2月23日(13号)第398話「鉄砕牙の暴発」
原作少年サンデー1998年3月2日(14号)第399話「最強の刀」

★以下の部分はかなり省略と変更、りんじゃけ漫才は「器」から
原作少年サンデー1998年3月9日(15号)第400話「冥王獣」
原作少年サンデー1998年3月16日(16号)第401話「鎧甲」
原作少年サンデー1998年3月23日(16号)第402話「魍魎丸の狙い」
原作少年サンデー1998年3月30日(17号)第403話「奪われた金剛槍破」
原作少年サンデー2005年4月6日(19号)第404話「魍魎丸の変化」
原作少年サンデー2005年4月13日(20号)第405話「拮抗」
原作少年サンデー2005年4月20日(21号)第406話「怒り」
原作少年サンデー2005年5月11日(24号)第408話「逃走」

          ☆          ☆          ☆

何をそんなに急ぐのだろう、とういうのが今回も正直な感想。
なまじっか原作を読んでいるとついていくのがやっと、というよりついていけない行ったり来たりのスピード展開。

まず期待に反して殺生丸のvs魍魎丸戦は「器」じゃなかった。
飛びに飛んで41巻最終話「逃走」まで飛んでった。
しかも哀れ冥王獣はわずか数カットの出演であっという間にやられてしまい、気がついたら魍魎丸はものすごくアンバランスな、ものすごく色合いの悪い、妙な姿で登場していた。
けど私の声が届いたのか(笑)、「器」で見られた七宝と邪見の問答(深い考えとそれがわかれば苦労しない)がりんと邪見に変わってサービス。
殺生丸が兄というより父のような貫禄ある声になってきた。

そしてこの辺に来ると犬夜叉もまた次の鉄砕牙の成長を目指して関わっているのだけれど、思いっきり無視して殺生丸オンリー。
まあこれは犬夜叉編として後でまとめてやると思うけど、闘鬼神が折れるところまできてしまってはもうなにがなんだか。
複雑に絡み合う兄弟の思惑、そして絆はこの際すっぱり切り捨てて、どこまでも兄は兄、弟は弟として作っていくつもりなのだろうか。

話が飛んだけど、今週も入れ替えたり削除したりで、原作をトータルすれば↑こんなに長くなってしまう。
第1話の最後は桔梗が無力な?僧たちに結界を破られてしまう場面で終わったが、今週もこの続きで(38巻第7話「胸の穴」)の退治屋の里での墓参りから始まる。
つまり神楽の部分は後回し、これはいいと思う。

その後、翠子の木乃伊の胸の穴から死魂虫が生まれ、たった一人追う犬夜叉は桔梗と出会う。
この部分が驚くほど原作に忠実で丁寧に作られている。
ただ原作で犬夜叉が桔梗の肩をつかむところが、アニメでは後に立つだけになっていた、どうも遠慮がち(笑)。
そういえば1話2話とついていけないスピード展開の中で、「犬夜叉とかごめ」「犬夜叉と桔梗」「鋼牙」「神楽と殺生丸」の見せ場はきっちり作っているなあ。
思いっきり走って、ある地点で立ち止まってじっくり見せ場を作り、また別地点まで全力疾走って感じ?

話が錯綜しなければいい手法なのかもしれないけれど、これって多分原作知らない視聴者の方がすんなり受け入れることができるんじゃないかと思った。
ただせっかくの美しいシーンで、桔梗の「玉ごと奈落を浄化する」の台詞が「卵と奈落を浄化する」と聞こえてしまって一気にギャグの世界に堕ちてしまった自分が情けない。
けれど桔梗を追う琥珀のまるで悟りを開いたような、穏やかな表情がとても良くて。
珊瑚を始め、仲間たちは(桔梗も含めて)琥珀を殺すまいと必死になるけれど、今の琥珀はそういったある意味執着、妄執といってはいい過ぎか、の外にいる。

琥珀が犯してしまった罪は、父や退治屋の仲間を殺してしまったことだけではない。
もしも死が救いになるならば、死が償いになるならば、ハッピーエンドを大切にする少年漫画といえども死ぬべき時はある。
実は私、琥珀が生延びたことに少しだけ違和感がある。
もちろん生きてて良かった、その生延び方と言うべきか。
琥珀がこんな表情で自らの使命と運命を受け入れることができるなら、ただ生延びればよい、そんな形ではなく琥珀を生かして欲しかったと未だに思う。

そして次は鋼牙の五雷指。
きのうのブログでも書いたけど、五雷指のエピソードは、鋼牙ががんばるという意味では大好きなのだが、話としてはありきたりな感じがする。
いつも犬夜叉が嫌というほどやってることを、今さら鋼牙にやらせなくても、と思ってたのだが、実際にアニメで作ってもらえれば嬉しいし、松野さんの声は聞けるし一石二鳥どころか三鳥四鳥くらい盛り上がる。

けど会話が多いせいか、鋼牙のスピード感を感じられる出来ではなかった、残念ながら。
犬夜叉は刀が大きいせいか、あまり動かないけどその分大げさに効果出せる、鋼牙の場合は攻撃自体は地味だからかなあ、アニメでいいと思った戦闘シーンは豹猫四天王と七人隊と影郎丸のとこくらい。
しかもアニメではこれから出てくるのかな?かごめに「鋼牙くんの足のかけら・・・何かに守られている・・・だけど・・・それは・・・そんなに強い力じゃない。」って言われてしまう(心の中で)。

いやあ妖狼族の格としては仕方がないかもしれないけれど、せっかくがんばった鋼牙にこれでは身も蓋もない。
しかもこの後の五雷指、そんなに目立たないし。
結局「鋼牙だってがんばってるんだよ!」ってアピールにしかなっていないエピソードだった、原作も含め。
いいんだ、それでも。
鋼牙が出てくるだけで、松野さんの声が聞けるだけで・・・。

そして「風」。
奈落が妙にさわやかな表情で神楽に心臓を返し、そして触手で貫く。
すぐには死なず、絶望と苦痛を感じる時間だけを残して。

アニメでは魍魎丸と戦いを繰り広げていた殺生丸が神楽の血の匂いに気づく。
魍魎丸に神楽をけなされた殺生丸は怒りを爆発させ、闘鬼神が魍魎丸がまとっていた冥王獣の鎧甲を貫いて魍魎丸を退散させる。
この部分はあっさり切り上げ、神楽の元に向かう殺生丸。
殺生丸が追って来たのは「奈落の瘴気の匂い」ではなく「血と瘴気の匂い」と言葉を変えることによって、殺生丸がすでに神楽と気づいていたことが強調される、この部分は素敵だと思う。

高橋先生独自の空間が醸し出す雰囲気、そして間、その感動に、1枚1枚絵を重ねていくアニメは及ぶべくもない。
けれどアニメはその代わり、美しい絵と風と音楽と声で感動を膨らませた。

白い花の咲き乱れる野原が神楽の血で赤く染まる。
風が神楽のそばに佇む殺生丸の髪を揺らす。
殺生丸の表情はどこまでも優しく、神楽もただ素直に最後に殺生丸に会えて嬉しいと告げる。
静かに流れる音楽の中、神楽は静かに死んで行く。

その安らかで美しい笑顔とは裏腹に、湧き上がるのは瘴気。
死に臨んでもなお、神楽の体は瘴気から解放されることはなかった。
けれど神楽の魂は1枚の羽となって空に舞い上がる。

あたしは風だ。
自由な風だ。

あれほど望んでいた自由を得て神楽は風になった。
けれど自由に飽きたら神楽は帰ってくるだろう、殺生丸の元へ。
そして殺生丸の心の中でいつまでも舞い続けるのだろう、そう思った。
そしてやっぱり涙こぼれた。
(2009年10月11日の日記)
犬夜叉記憶術試験
アニメ「犬夜叉」完結編第3話2009年10月18日放送
「冥道残月破」

39巻
原作少年サンデー2004年10月27日(48号)第383話「ムジナ」
原作少年サンデー2004年11月2日(49号)第384話「大義」
原作少年サンデー2004年11月10日(50.51合併号)第385話「奪鬼」

42巻
原作少年サンデー2005年5月18日(25号)第409話「分岐」
原作少年サンデー2005年5月25日(26号)第410話「冥道残月破」
原作少年サンデー2005年6月1日(27号)第411話「やさしい彼」

51巻
原作少年サンデー2007年5月16日(24号)第505話「狐の宿」
原作少年サンデー2007年5月23日(25号)第506話「受験番号七七」

52巻
原作少年サンデー2007年7月4日(31号)第512話「正しい願い」

          ☆          ☆          ☆

七宝は妖術昇級試験を受けてたけど、こっちは犬夜叉記憶術試験を受けてる気分。
は〜い、ここ覚えてますか〜。
はい、次はちょっと飛びますよ〜。
次はちょっと戻りますからね、しかもざっくり削除しちゃいますよ、気をつけて〜。

今回は39巻からムジナ、40巻からは殺生丸の冥道残月破会得と「やさしい彼」から冒頭の弥勒と珊瑚、七宝、楓の会話の部分。
メインは冥道残月破じゃなくて狐妖術試験と言っちゃっていいかと思うほどじっくりたっぷり原作通りは51巻。
おまけに52巻「正しい願い」よりかごめの願書提出と祖父との会話。

こうしてまとめてみると、これまでの3話の中でじっくり描いたのは「やさしい彼(1話めの犬かご現代生活)」と鋼牙の「五雷指」、2話の犬夜叉と桔梗の会話と神楽の死、そして3話の妖術試験と冥道残月破。
それなりにレギュラー陣メインのエピソードが繰り広げられていると言えば言える、残りは弥勒と珊瑚か?

今回意外な拾い物はムジナ編だった。こちらもかなり短縮されたけど作りは丁寧、短縮したからといって話に支障があるわけでもなく、楽しめた。
ムジナの声は桑谷夏子さん、艶っぽい声で落ち着いた話し方、アニメの中でムジナの台詞の時だけはせかされてる気がしない。
ムジナを見ていて気がついたんだけど、完結編にスピード感というよりせわしなさを感じるのは、物語の構成もだけど、描写や会話に間、というかゆとりがないからかも。
桑谷さんは「戦国BASARA」のかすがだけど、以前「昔のあやまち」では弥勒と珊瑚の仲を引っかき回してくれた志麻だった。
今回はその憂い?で犬夜叉と七宝の仲を引っかきまわしてくれる。
そしてキャストでムジナから大狸に変身した?すっとぼけはなんと茶風林さん、そう、「昔のあやまち」で志麻に恋した大ナマズである。

2度目のセット共演?しかも今回は一心同体?で大ナマズ妖怪も嬉しかったに違いない(笑)。
志麻は嫌だったろうけど。
ちなみに茶風林さんは怪奇透明妖怪でも出演されてるので、今回で3度目、いつも変な妖怪ばっかし。
目暮警部は普通なのにね。
短いなりに七宝の父親への想いもしっかり出てたし、声はなかったけど飛天満天雷獣兄弟も一瞬登場、嬉しかった。

今回は殺生丸と刀々斎の会話から始まる。
刀々斎も、殺生丸相手だと、犬夜叉の時と違ってシリアスなせいか、声が低めでとってもまじめ。
殺生丸の記憶の中で魍魎丸が神楽を揶揄する言葉、「バカな女」がアニメではなぜか「バカ女」になっており、いっそうひどい気がするのだが・・・?
殺生丸が(珍しく)素直に刀々斎に天生牙を渡したところで物語は「やさしい彼」の冒頭部分に飛ぶ。

珊瑚が弥勒のお尻をなでて尻尾を探し、本人であることを確かめるシーン。
原作では淡々としている珊瑚だが、アニメではかなり可愛さ強調。
楓と七宝を加えた会話の部分も長くなってて嬉しかった、夕日も綺麗。

その頃かごめは現代でクラスメートと一緒に志望校に願書提出、祖父との「正しい願い」の会話に入る。
ここでおもしろいのが祖父から正しい願いに関して聞いた時、かごめが「初耳だ」って言うのに対し、祖父が「おまえ最後まで聞いてくれないし。」って言ってるところ。
かごめが第1話で「(由来を)何度聞いても忘れてしまう」のが、実はくどい話を「聞いてなかった」疑惑浮上か(笑)。
というのは原作では瞳子編があって、何者か(この時点でかごめは桔梗としている)がかごめの霊力を封印していることが明かされているが、アニメではそれがないから。
ある意味物語の順序入れ替えの弊害ではある。

Wikipediaに第8話までのサブタイトルが掲載されていて

第1話「奈落の心臓」
第2話「神楽の風」
第3話「冥道残月破」
第4話「竜鱗の鉄砕牙」
第5話「妖霊大聖の試練」
第6話「魍魎丸の最期」
第7話「梓山の霊廟」
第8話「星々きらめきの間に」

となっていたが、この中に瞳子が入るといえば、第7話の梓山か。
けど瞳子はぎりぎり入れなくても話がつながるエピソードではある、半端に入れるよりは。

話がそれたが、この後戦国時代に戻って妖術試験とムジナに入る。
なんでこんなに力を入れる?と笑えるよりも驚きながら見ていた妖術試験、アニ犬対象年齢の広さか。
原作は大人が読んでも笑える漫画と思って読んだけど、アニメはなんか子供向けアニメを見てる気分になった。
でも七宝が試験の後、犬夜叉のところに戻ってこないでムジナに繋げたのはうまいと思う。

そして最後に殺生丸の天生牙会得。
当然かもしれないけど、殺生丸が天生牙を受け取るのは闇の中。
最後に殺生丸を祝福するように吹き抜けた一陣の風も闇の中。
サンデーで読んだ時、私のイメージでは神楽が最後を迎えた花園のような明るいイメージがあったからちょっと驚いた。
ここで「一陣の風」なんて書いちゃったけど、サンデーでこのページの柱に

「神楽の死がきっかけとなり、武器として覚醒した天生牙。 それを祝福するかの如く一陣の風が舞う・・・」

と書かれていてとても嬉しかったことを思い出したから、お許しを。

今回も当然のことながら次回予告はなし。
上記によると次回は「竜鱗の鉄砕牙」になるけど、こうして犬夜叉は犬夜叉、殺生丸は殺生丸で話を進めて大丈夫なんだろうか。
それと「黒い鉄砕牙」の部分はどうなるんだろうか、改めて作るとか?そのままってことはないだろうけど、絵も全然違うし。
とりあえずはムジナが置いていった刀「奪鬼」のできそこないから刀秋にたどり着き、竜人との戦いにはいるんだろうけど。

そういえば以前のアニメはOPの後、CMなしですぐ本編が始まってたけど、今回はサンデー劇場込みではあるけどCMが入るな。
次回予告がないのもCMが多いのも予算のせいか?それはないか。
ちなみに先日メールで質問を頂いたけど、私もEDの最後の赤い糸には気恥ずかしさを覚えるお年頃です(笑)。

最後にサブタイトルだけど、第8話で正直目が点になってしまった。
いえもちろんどのエピソードかは見当がつくし、言いたいこともわかるのだけれど、8話目になって突然キャラの目が2倍くらいの大きさになって、目の中にまでまばゆいばかりの星がきらめきそうな、花で埋もれたきわめつけの少女漫画の世界になりそうな。
7話まで通してきたタイトルと統一感を持たせて欲しかったけど、もう変えられないんだろうな・・・。
(2009年10月18日の日記)
妖穴はどこ行った?
アニメ「犬夜叉」完結編第4話2009年10月25日放送
「竜鱗の鉄砕牙」

39巻
原作少年サンデー2004年11月24日(52号)第386話「刀秋」
原作少年サンデー2004年12月1日(1号)第387話「竜人の盾」
原作少年サンデー2004年12月8日(2号)第388話「奪鬼の使い手」

40巻
原作少年サンデー2004年12月15日(3号)第389話「亀裂」
原作少年サンデー2004年12月22日(4号)第390話「覚悟」
原作少年サンデー2004年1月5日(6号)第391話「一心同体」

44巻
原作少年サンデー2005年11月2日(49号)第432話「灰」
原作少年サンデー2005年11月9日(50号)第433話「日没」
原作少年サンデー2005年11月16日(51号)第434話「五雷指の威力」
原作少年サンデー2005年11月22日(52号)第435話「翠子の意思」
原作少年サンデー2005年11月30日(53号)第436話「破壊」
原作少年サンデー2005年12月7日(1号)第437話「見えない妖穴」
原作少年サンデー2005年12月14日(21号)第438話「鋼牙の決意」

気のせいかアニメ「犬夜叉」完結編、殺生丸に対する力の入れ具合が半端じゃないような気がする。
次いで意外に目立つのが鋼牙と出番は少ないけど確かな存在感を持つ奈落、やっと出てきた夢幻の白夜。
肝心の犬夜叉がどうも影が薄い。
出番が多いだけ削られる部分も多くて流されてる感が強いためだろうか、がんばれ、犬夜叉。

今回は殺生丸の冥道残月破の練習風景から始まる。
どう見てもこれは殺生丸のサービスカット。
他の部分を削ってまで入れるシーンでもないような。

完結編は第1期「神楽の死(メイン殺生丸)」、第2期「桔梗の死(メイン桔梗)」、第3期「最終話(犬夜叉とかごめ)」と見せ場を完全に分けちゃってるのかもしれないな。
だとしたら1期「殺生丸が主役」編は完全に成功していると思うけど、やっぱり犬夜叉たちが可哀そうだ。

そしてまたまたおもしろいというか不思議だったのが、今回の中心となるエピソード「刀秋」編と「灰」編がこれまたぶつ切りで行ったり来たり。
鋼牙が夢幻の白夜と紅牛鬼と戦うところは鋼牙五雷指最高の見せ場なのに、アニメでは竜鱗の鉄砕牙と平行して起こっているのでかごめたちのギャラリーなしという寂しい状況。
灰は五雷指のことなんか知らないし。
鋼牙の足が動かないのもあたふたしてるのは見てるこっちか。
灰と芯太の兄弟は原作よりひょろっとしていて男の子というより少年ぽかったな、声も。
特に芯太のつぶらな瞳と問答無用の愛らしさが見られなかったのは残念だった。

刀秋編に戻って刀秋は映画「紅蓮の蓬莱島」で凶羅だった飛田展男(のぶお)さん。
竜人は飯島肇さん、「BLOOD+」や「精霊の守り人」で名前を見かけたことのある声優さん。
この2人はすごく良くて、特に狂い始める前の刀秋と、竜「神」ではなく竜「人」である俗っぽさの演技とかぴったりだった。
このエピソードも急ぎすぎたあまり、刀秋が目立ってたというより、やはり犬夜叉が印象薄く、残念だった。

後半犬夜叉と鋼牙が合流してからは、動きはともかく2人の会話が楽しくて一気に盛り上がった。
先日諏訪氏も書かれてたけど、新旧金田一少年の松野さんと山口さん、息もぴったりというか喧嘩するほど仲がいいっていうか。
けど、妖穴はどこ行った?である。
それから赤子は?不妖璧は?
本当はここで犬夜叉が妖穴に翻弄されるのだが、アニメでは妖霊大聖編は次回。
まあそれなりに話は繫がるからいいけど、やはりどうして?という疑問は最後まで頭から離れなかった。
あと犬夜叉と合流するまでの鋼牙の顔が微妙なのにも複雑な心境(笑)。

待ちに待ってた夢幻の白夜もやっと喋り始めた。
声はもちろん真殿光昭さん。
でもあれ?こんな感じだっけ?不思議な感じ。
そっか「黒い鉄砕牙」見たのずいぶん前だもんなあ・・・。
気のせいか柔らかさが増した気がする、成長したかな?夢幻の白夜。

あと「地獄に落ちろ」の台詞の直後のかごめのぽかっと口を開けた顔がものすごく可愛くて嬉しい驚き。
紅牛魔ことぎゅぎゅぎゅぎゅ妖怪は西前忠久さん。
あの「ぎゅぎゅぎゅぎゅ」をどう表現するのかなあと思ってたらさすがにうまい、というかおもしろい。

見終わってから、なんだか影郎丸と獣郎丸編や豹猫四天王編を見直したくなったのは気のせいか。
七人隊の総力戦でもいいかな?
結局金禍銀禍の炎の鉄砕牙はないっぽい、ちょっと寂しい。
(2009年10月25日の日記)
行ったり来たりがまだまだ続く
アニメ「犬夜叉」完結編第5話2009年11月1日放送
「妖霊大聖の試練」

41巻
原作少年サンデー1998年3月2日(14号)第399話「最強の刀」
原作少年サンデー1998年3月16日(16号)第401話「鎧甲」
原作少年サンデー1998年3月30日(17号)第403話「奪われた金剛槍破」
原作少年サンデー2005年9月14日(42号)第425話「刀の成長」

42巻
原作少年サンデー2005年5月18日(25号)第409話「分岐」
原作少年サンデー2005年7月6日(32号)第416話「金禍銀禍」
原作少年サンデー2005年7月20日(34号)第418話「血の効きめ」
原作少年サンデー2005年7月27日(35号)第419話「罠におちた兄弟」

43巻
原作少年サンデー2005年9月21日(43号)第426話「妖霊大聖」
原作少年サンデー2005年9月28日(44号)第427話「封印の鎖」
原作少年サンデー2005年10月5日(45号)第438話「妖穴」
原作少年サンデー2005年10月12日(46号)第429話「本当の敵」
原作少年サンデー2005年10月19日(47号)第430話「妖穴の匂い」
原作少年サンデー2005年10月26日(48号)第431話「修行」

44巻
原作少年サンデー2005年12月14日(21号)第438話「鋼牙の決意」

          ☆          ☆          ☆

今回始まりは42巻の桔梗と琥珀の会話から。
珊瑚の元を去った琥珀は桔梗の元に走る。
自らの四魂のかけらを使って欲しいと桔梗に告げる琥珀。
死を恐れないというよりも、死による贖罪を望んでいるかのような静かな瞳、この時の表情がいい。

琥珀は珊瑚や奈落や犬夜叉たちよりも、そしておそらくは作者よりも自分の罪を知っている。
そしてその心を本当に理解しているのは、おそらく桔梗ただ一人。
ただ生きて欲しいからでなく、琥珀の罪と心を知ってなお生への道を示してやるのが本来の桔梗の務め。
けれど桔梗がしようとしていることはその務めの放棄。
静かな表情に桔梗の無念がのぞく。
私が後期の桔梗で何より好きなのはこの部分だ。

そして44巻に飛んで灰と芯太を送り届ける妖狼族仲間に別れを告げる鋼牙。
犬夜叉や仲間たちの漫才やその表情など、下手なアクション場面よりずっと迫力(笑)があって正直一番おもしろかった。
ここで「鋼牙のテーマ」を流してくれればもっと良かったと思うのだけれど、そんな暇もなく。
しかも45巻冒頭でもう少し犬夜叉やかごめと笑える場面が続くのだけど当然カットで鋼牙も去ってしまう。

次に金禍銀禍編が始まるが、ここからまたあっち行ったりこっちに来たり。
犬夜叉、殺生丸、金禍銀禍と飛び回るのでやっぱり話に追いつけない。
戦いだけ少し見せておいて、カメラは再び犬夜叉へ。
まるで夢幻の白夜の目玉カメラで撮ってるみたい、もうちょっと編集しようよ、いえ編集しすぎでこうなったのか・・・。

刀々斎がやって来て犬夜叉に鉄砕牙の力について語る場面。
治療の「べろん」がないのは残念だったが、そのまま「刀の成長」まで一気に繋げたのは良かったと思う。
ふんぞり返ってる犬夜叉にはテンちゃん思い出したし。
精神年齢同じくらい?
おかげで二枯仙&炎の鉄砕牙の出番はなくなってしまったが。
ただ金禍銀禍の「血の絆」の部分はもっと掘り下げて欲しかった。

なぜ血を浴びただけでこれほど強化されるのか、また犬兄弟の確執と比較し、殺し合わなければ生きてはいけない兄弟の無念や、その想いを受け継いだ犬夜叉や。
たぶん原作を知らない視聴者は金禍銀禍をその血が強かったばかりに殺された仲の悪い兄弟で終わってしまったんじゃないかと思う。

むしろ入れ忘れたので今入れてみましたみたいな殺生丸と夢幻の白夜の初対面のシーンなど削ってもいいのでは?と思う。
その分を金禍銀禍に回すとか、なんて今さら言っても始まらないか。
この場面は本来ならば冥王獣編で描かれてたのだけど、ここから一気に飛んで(話も飛んで)殺生丸は魍魎丸の元へ。

ここまでは感想どころか筋を追うだけで精一杯なのだが、妖霊大聖編に入ってようやく落ち着いた。
何ていうか、不思議なほどきっちり作りこんでるなあ、むしろ何故?と疑問に思うくらい。
妖霊大聖の住処もとても綺麗で、山口勝平さんも嬉々として演じているなあと(笑)。
ただ鉄砕牙を封印された犬夜叉の動きのある戦いっぷりは新鮮だった。
あと相変わらず綺麗だなあ、妖穴、とか。

最初は普通に見て、2回目はコミックと照らし合わせながら見て、さらにもう1回くらい見ないとなにがなんだかわからない展開なのは相変わらずだけど、少しはこっちも慣れたかも。
おとぼけな存在感が素敵な妖霊大聖は「サザエさん」の磯野波平こと永井一郎さん、牛鬼の乃村健次さんは「十二国記」の浩瀚、蛇女の呉林卓美さんは「四魂の玉を狙う者たち」の母親や山犬妖怪(当時は「くらばやしたくみ」)、弦之介は三宅華也(かや)さん、女性なんですね。

金禍は保村真さん、「蟲師」の「籠のなか」のキスケや「さらば青春の日々」の村人でした。
「さらば―」には「サザエさん」のフネ役麻生美代子さんが出演されてます。
保村さんはレギュラー陣以外で唯一サザエさんの磯野夫婦と共演されてることになります。
こういうのってなんだか楽しいです。

銀禍は遠藤大輔さん、アニメでの金禍銀禍は単なる仲の悪い兄弟のまま終わってしまいました。
彼らの血を浴びるとなぜ強化されるのか、「血の絆」の部分は掘り下げて欲しかっただけに残念です。
妖怪は増田隆之さん、侍たちは西前忠久さんでした。
今回はゲストが多くて楽しかったです。

赤子は白童子に続いて小林愛さん、魍魎丸はてらそままさきさんですが、他にかごめが意識して優しい喋り方にしているようで好感が持てました。
3回目は画面見ないで音だけ聞いてたんですが、確かに喋るスピードが速い。
殺生丸と夢幻の白夜の会話などは、「成田さん、急いでいるなあ。」としみじみ思ってしまいました。
あと作画がものすごく綺麗な時とものすごく崩れた時のギャップがすごかったです。
魍魎丸を睨んでる時の殺生丸はまるで別人でした。
気のせいか芯太に関西弁が入ってたような・・・。

それにしてもEDでレギュラー、準レギュラー陣のクレジットは背景色が濃いのでわかりやすいけど、ゲストの部分、ちょうど犬夜叉の髪になってるのですごく読みにくいです。
あれなんとかならないかなあ・・・。

それと神谷明さんが卒業した「名探偵コナン」も見ました。
小山力也さん、私にはどうしてもジョージ・クルーニーや無双孫悟空の印象が強くて、シリアスな時はともかくギャグっぽい場面ではちょっと辛かったです。
コナンは放映時間が変わってからほとんど見てないのですが、そんな私でもそうなんだから、ファンの違和感はかなり強いでしょうね。
けれど小山さんが変に神谷さんを意識せず、小山さんらしく飄々と演じてらしたので、これはもう慣れた者勝ちだなと思いました。

毛利小五郎役に決まった時点でプレッシャーがすごかったと思うので、後はそれに太刀打ちできる声優さんかどうかということが大切。
小山さんは太刀打ちできる声優さんだと思います。 
(2009年11月1日の日記)
立ち読み感覚
アニメ「犬夜叉」完結編第6話2009年11月8日放送
「魍魎丸の最後」

45巻
原作少年サンデー2005年12月21日(3・4合併号)第439話「溶命樹」
原作少年サンデー2005年1月4日(5・6合併号)第440話「溶命樹の力」
原作少年サンデー2005年1月18日(7号)第441話「対峙」
原作少年サンデー2005年1月25日(8号)第442話「吸収」
原作少年サンデー2005年2月1日(9号)第443話「奈落消滅」
原作少年サンデー2005年2月8日(10号)第444話「苦戦」
原作少年サンデー2005年2月15日(11号)第445話「赤子の誤算」
原作少年サンデー2005年2月22日(12号)第446話「侵蝕」
原作少年サンデー2006年3月1日(13号)第447話「加護」
原作少年サンデー2006年3月8日(13号)第448話「瘴気の傷」

          ☆          ☆          ☆

以前のアニメ「犬夜叉」シリーズが放映されていた時、何度も何度も「原作通りに作って欲しい」と書いた。
キャラの性格の過度な誇張、あり得ないオリジナルの挿入だけでなく、アニメにはどこか装飾過多な雰囲気なつきまとっていたものだった。

今回のエピソード、未だかつてないほど原作通りだったのではないかと思う。
45巻の冒頭鋼牙とのやり取り(一部は前に放送済み)と最後の桔梗による弥勒の浄化(次回放送と思われる)以外を、細かい台詞の変更や省略はあるけれど、話が飛ぶこともなく、まるでコミックを1ページごとにめくるように話が進んでいく。

私にしてみれば理想的な展開だった・・・、はずなのになんだかコンビニでぱらぱら立ち読みしたのに通じるそっけなさを感じてしまったのは何故だろう。
間がない、とも言える、余韻がない、とも思う。
懸命に水の表面で足掻いているアメンボみたいって思ってしまった。
(アメンボは逆に水に入ると溺れちゃうらしいけどなんとなく)
もしくは水に混じりたくても混じれない油の気分。
作品に入り込みたいのに入り込めないもどかしさ。

弥勒の捨て身の行動さえもさらっと流れてしまった気がする。
なんだか製作側にも申し訳ない。
ただ後半顔が激変してしまったのもかなり興ざめだった。
そんなこんなで原作通りのプラス部分と心に引っかかるものがないマイナス部分が相殺されて可もなく不可もなくなエピソード。

当然話は溶命樹から始まる。
木でいた頃の禍々しさと裏腹に、顔が出てきて喋り始めたら大笑いなキャラなのも原作通り。
いえ原作よりおもしろい顔だった。

そして犬夜叉たちの前に奈落登場、真昼に奈落。
溶命樹に喰われ、魍魎丸に喰われ、実は自分が喰ってますみたいな展開で相変わらずの脱ぎたがり。
溶命樹の色鮮やかさにも笑ったし、軽めのキャラの割には印象度強し、妖力(結界を溶かす力)も強し。
魍魎丸に向かって「よくぞここまで肥え太ってくれた」って言いながら自分はサソリに変身。
原作の時はそうでもなかったけど、なんせアニメはカラーだし、刺すし赤いし長いしって犬夜叉たちは単なるギャラリー。
こっちもえげつない親子喧嘩を眺めてる気分だけど、放送時間が深夜のせいか、けっこう思い切った描写も多い。

その頃他の場所では鋼牙と桔梗の危険な遭遇が発生。
これまで関わったことのない2人だけに凄く新鮮。
だけど残念ながら鋼牙が桔梗を助けようとダッシュする一瞬はカット。
いや〜アニメで鋼牙が桔梗を受け止めてくれるんじゃないかとひそかに期待してたんだけどなあ(笑)。

そしていよいよ鋼牙、桔梗、琥珀も犬夜叉、奈落たちの元に集合する。
白童子に続く魍魎丸、赤子のあっけない最後、今回は銀色のレオタード姿でフィギュアスケートでも始めそうな新生奈落、足の動かない鋼牙の危機と一度きりの妖狼族の加護発動と続いていくが、ここもやっぱり淡々とした感じ。
印象的なのはかごめの台詞が増えた部分だが、かごめが言葉を尽くすほど、まるで桔梗が犬夜叉を信じていないように見えてしまう危惧を感じた。
アニメのみの視聴者の感想はどうなのだろう。

今回は戦闘においてもかごめが大活躍だが、笑っちゃいけないところで笑っちゃったのが、かごめの矢が当たらずかすった時の奈落の台詞が「無駄なことを・・・」から「相変わらず未熟な矢だ」に変わってたこと。
脚本書いた人の意図って一体・・・(笑)。
そして珊瑚を悲しませないために弥勒が遂に風穴を開く。

弥勒が命を捨てて琥珀を救おうとする。
琥珀は命を捨てて奈落を滅そうとする。
その壮絶な覚悟はどちらになっても珊瑚を悲しませるだけだろうに。
そしてその中でプロとして、巫女としての桔梗の立ち位置が限りなく寂しい。
桔梗が苦しんでいないわけもなく、桔梗が悩んでいないわけでもないだろうに。

余談だが45巻をほとんど網羅している中で、41ページ第3話「対峙」の桔梗の不思議な笑顔とと167ページ第10話「瘴気の傷」の憂いに満ちた弥勒の横顔がとても好きだ。
鋼牙に会った桔梗が微笑む展開になるのかな?なんて期待した記憶が蘇る。
けれど鋼牙は桔梗に対して「噂どおり物騒な女だな」って誰から聞いたのか、そんな噂(笑)。

今回のゲスト声優さんは出て来てすぐ死んでしまう旅僧に高岡瓶々(びんびん)さん、村人に中山将平さんと西前忠久さん、妖狼族の先祖は中博史さんだった。
(2009年11月9日の日記)
原作通りのあっさり風味は変わらないけど
アニメ「犬夜叉」完結編第7話2009年11月15日放送
「梓山の霊廟」

45巻
原作少年サンデー2006年3月8日(13号)第448話「瘴気の傷」

46巻
原作少年サンデー2006年4月5日(18号)第452話「蜘蛛の糸」
原作少年サンデー2006年4月12日(19号)第453話「絡みつく糸」
原作少年サンデー2006年4月19日(20号)第454話「糸のむこう」
原作少年サンデー2006年4月26日(21・22合併号)第455話「切れた弦」
原作少年サンデー2006年5月10日(23号)第456話「梓山」
原作少年サンデー2006年5月17日(24号)第457話「梓山の精霊」
原作少年サンデー2006年5月24日(25号)第458話「桔梗の幻」

          ☆          ☆          ☆

最初に入った「バレーの延長のために15分遅れて開始」を知らせるテロップに顔面蒼白。
しかもこういう時のためにビデオとDVDと両方録画してたのに、ビデオはチャンネル間違えたらしく全然違う番組録画されてたし。
幸い機械がちゃんと働いてくれてて最後まで録画されてた、一安心。

さて今回も山嵐編は省略したものの、それ以外はほぼ原作通りで話はすんなり進む。
ただ場面ごとに切り取ってみると、特に声優さんを意識させられる見ごたえのある展開が多かった。

普通におもしろいところでは鋼牙が入っただけで雰囲気が変わる「犬かご桔」の三角関係。
七宝と鋼牙の新コンビもとってもいいけど、残念ながら(当然ながら)半分くらいカット。
鋼牙の肩で泣いてる七宝や犬夜叉の攻撃を2人してかわしてるとこなどとっても可愛いので原作未読の方は是非!と思わず勧めたくなる。

これまでなかった弥勒と桔梗、珊瑚と桔梗の会話に、仲悪いのになんとなく相性良さげな殺生丸と夢幻の白夜。
常に笑えるオリジナル台詞は毒蛇にかまれたチョーさん、じゃなかった邪見。

そして今回の見所のひとつは奈落と「人間の心」の会話。
キャストが「人間の心」になってるのにも笑ったが、務めるはかつて無双であり、鬼蜘蛛であった家中宏さん。
この新旧奈落の対決はぞくぞくするほど色っぽく(会話は全然色っぽくもなんともない)、ヨハネの首を捧げ持つサロメのごときの奈落のポーズは原作にはないなまめかしさが。
これって森川さんの魔性の声効果か。

そしてそれさえ凌ぐ迫力がかごめvs桔梗というより雪野五月さんvs日高のり子さんの桔梗3役対決。
当時は原作を読んでいて、かごめの心理について行けずに迷走していたような気がする。
桔梗が犬夜叉への思慕の想い以外は一切見せないのもできすぎな気がして、それだけにかごめが一人空回りしていたように見えたものだった。
私がかごめに優しくないって批判のメールも頂いたりしたのだけど、そうなのかなあってけっこう悩んだ。
基本的にその頃の感想と今の気持ちはそれほど変わってはいない。

ただこの直後、桔梗が綺麗な死を迎えるには、そしてかごめが感動の最終話を迎えるためには、ここでどうしてもかごめ自身の浄化が必要だったのだと今は思う。
かごめが「蜘蛛の糸で汚されたから」ではなく、「かごめ自身が桔梗のことをそのように意識していたから」創り出された桔梗の幻。
その幻の憎々しさには驚いた。

犬夜叉と桔梗には、確かにかごめが立ち入ることのできない絆がある。
犬夜叉とかごめにも、桔梗の知らない時間がある。
けれどかごめと桔梗の間にも、これまでの奈落との戦いの間に培ってきた何かはあったのではないだろうか。
この時期この時のかごめ、というより高橋先生の描写には戸惑った。

それをアニメでどう表現するか。
下手すればかごめが、あるいは桔梗がダメージを受けかねない。

日高さんは現実の桔梗に、原作にはなかった優しさやかごめにすがるかのようなニュアンスを加えた。
幻の桔梗は冷たく、怒りに満ちて、かごめのイメージのままの桔梗。
そして梓山の精霊が化けた桔梗はあくまでも中立で淡々と。

対する雪野さんは真っ向勝負に出た。
雪野さんはかごめには声が強すぎるような気がずっとしてたのだけど、こうした場面になると、1人の声優さんとしてやっぱりうまいなあと思う。
かごめの台詞というより全く別物の映画を見ているような気持ちになった。
悪いけど犬夜叉や鋼牙は何となく蚊帳の外な雰囲気(笑)。

かごめの中の負の感情を一気に吐き出して自分自身で浄化してすっきりして、という流れがむしろ原作よりわかりやすかったのではないかと思う。
ああもったいないなあ。
今回こそ、製作スタッフさんに回数を気にせずじっくり作って欲しいなあ。
急ぎさえしなければ、オリジナルに苦慮する必要もなく、話が停滞することもなく、見ごたえのあるシリーズになるだろうに。

少なくとも完結編に以前のような製作側の迷いや不安定さは感じられない。
本当にもったいないなあ。

今回のゲスト声優さんは桔梗への囮に使われる娘咲に古川小百合さん、その母に「魍魎の匣」や「蒼天航路」にも出てらした宮川美保さん、梓山の(顔なし)精霊に宮田幸季さん。
次回は今から涙が出そうだ、桔梗が遂に光の中で死を迎える。
(2009年11月15日の日記)
落日
アニメ「犬夜叉」完結編第8話2009年11月22日放送
「星々きらめきの間に」

47巻
原作少年サンデー2006年5月24日(25号)第459話「絡め捕られた仲間」
原作少年サンデー2006年6月7日(27号)第460話「流れ込む心」
原作少年サンデー2006年6月14日(28号)第461話「開かれた体」
原作少年サンデー2006年6月21日(29号)第462話「玉の行方」
原作少年サンデー2006年6月28日(30号)第463話「浄化の矢」
原作少年サンデー2006年7月5日(31号)第464話「落日」
原作少年サンデー2006年7月12日(32号)第465話「光」

          ☆          ☆          ☆

ああ綺麗だと思った。
前半は相変わらず息つく暇もなく台詞が続く飛ばし感と、顔(特に奈落)が微妙な違和感に淡々と見たけれど。
アニメの再開、ファンの声に押されたとか、きちんと終わらせたかったといった気持ちも確かにあるだろうけれど、この場面も描きたかったんだろうなあと思った。

何度も書いたけど、このあたり原作では2つの居心地の悪さがあった。
ひとつはかごめが描いた桔梗の幻。
かごめ自身が「蜘蛛の糸に絡め取られていた」からあんな桔梗の幻となったのか、そうではないならなぜあれほどまでに?ということ。

ふたつめは何故奈落が桔梗を殺したかということ。
犬夜叉を殺しても、かごめを殺しても、桔梗だけは殺してはならなかった。
そうでなければ奈落に生きる意味などないと思った。

ずっとそんな思いにとらわれていたのだけれど、今回は桔梗はただただ犬夜叉を愛していたのだと、犬夜叉はただひたすらに桔梗を想っていたのだとすんなり受け止めることができる素直さがあった。
さらに音楽もいつもより心に残る聞こえ方だった。
製作側が、いかにこの場面を美しく描くが、このエピソードが好きで好きでたまらない気持ちをどう表現するか、余計なことを考えず、それだけに心を砕いた結果ではないだろうか。
特に原作では曖昧なくちづけのシーンの美しさに胸が痛くなった。

そして楓。
犬夜叉もだけど、楓だって桔梗の死を3度も経験している。
(実際は2度だが、犬夜叉にそう伝えられたことがある)。
楓の姉に対する想いもアニメではきっちり描いてくれた、嬉しかった。
さらに琥珀も。

最後の最後に巫女であることよりも、女であることを選んで桔梗が死に逝く。
そして次回は鋼牙が去って行く。
アニメ化再開は嬉しいけれど、もう一度寂しさを感じるのはちょっと辛い。
でも今回は製作側の皆様に本当にありがとうございましたと伝えたい。
(2009年11月22日の日記)
去り行く鋼牙と殺生丸の激情
アニメ「犬夜叉」完結編第9話2009年11月29日放送
「冥界の殺生丸」

47巻
原作少年サンデー2006年7月19日(33号)第466話「別れの想い」
原作少年サンデー2006年7月26日(34号)第467話「冥道」
原作少年サンデー2006年8月2日(35号)第468話「冥界の闇」
原作少年サンデー2006年8月9日(36・37合併号)第469話「冥界の主」
原作少年サンデー2006年8月23日(38号)第470話「帰還」
原作少年サンデー2006年8月30日(39号)第471話「慈悲の心」

          ☆          ☆          ☆

去り行く鋼牙と見送る犬夜叉。
原作で読んだ時は本当に寂しかったけど、今回はそれほどでもない。
全ては終わった、鋼牙はもう身を隠す必要はない。
今頃可愛いお嫁さん連れて、楓の村に遊びに来ている頃だろう。

今回は作画が綺麗で、みんないい顔している。
メインの殺生丸とりんのためだとしても、やっぱり嬉しい。
それでも声優さんが順番にコミックを読んでいるような、淡々とした雰囲気は否めなかった、残念。
あと鋼牙のテーマをもう一度聞きたかったな。
あの場面には合わないかもしれないけど、前みたいに夕陽バックに走るシルエットかなんかで。
鋼牙には夕陽がよく似合うから。

そして冥界編。
原作を初めて読んだ時は、殺生丸の圧倒的な父性愛とむき出しの激情に振り回された。
りんを愛しく思ってないとは言わない。
りんが奈落にさらわれた時や、七人隊の蛇骨睡骨編での態度からそれは十分わかる。
けれど今回の豹変には感動よりもびっくりで、結局最後までそれが続いてしまった。

むしろ飄々とした(おもしろい)母君と、邪見の愛らしさに胸ときめかせた思い出が(笑)。
邪見と母君の会話を読んでいると、邪見自身は気づいてなくても、邪見は殺生丸にとって、りん同様大切な存在であることがわかる。
(もしかしたら殺生丸も気づいてないかもしれないけれど、笑)。
孤高の貴公子、人間嫌いの妖怪として、共に殺戮をくり返していた頃から、邪見は殺生丸にとって気のおけない存在であると同時に、孤独の道を歩むための「杖」でもあったのかもしれない。

さて冥界の殺生丸だけど、声のトーンをあまり変えないせいか、原作ほど激情むき出し、って感じはせず、むしろ違和感は少なかったような気がする。
難しかっただろうなあ、と思わず成田さんに同情してしまったほど苦しげだった。
りんが息を吹き返した瞬間の表情は絶品。

一方の母君は予告通りの榊原良子さん。
クシャナだけあってうまいなあと思ったけど、ちょっと凝り過ぎ?な気も。

今回見ていて不思議だったのが、りんが一度天生牙で蘇ってることは想定外だったはず。
だとすれば、どの時点で修行は終わっていたのだろうか。
母君の口調だと、冥界の主を斬った時点で終わってるっぽいけれど。
りんを救う=慈悲の心だとすれば、そんなのとっくにクリアしている状態なので、修行にも何にもならない。

二度も救おうとするのはおこがましいといった台詞は、早い話がアドリブで、修行の一環ではなかったはず。
さらに、迷える死人たちを救った殺生丸には、慈悲の心というよりも、むしろ投げやりといっては言い過ぎか、りんが救えないのならもうどうでもいいみたいな空ろな雰囲気を感じてたので、それで慈悲の心を得たとするのはどうだろうと、今にして思う。
それでもりんは蘇った、本当に良かった。

母君に礼など言うはずもなく、立ち去る殺生丸の代わりに「ぺこ」と頭を下げる邪見が可愛かった。
目立たないけど琥珀もがんばった。
死への恐怖がないだけであそこまでできるものではないだろう。

犬夜叉と殺生丸の母君、そして父君の関係は、私はもっと暗いものだと思っていた。
殺生丸の母君が亡くなったかなにかで父君が犬夜叉の母君を見初め、父を取られたと思い込んだ殺生丸が人間や異母兄弟を憎むようになったと思ってたので、あまりにもあっけらかんと登場した母君には驚いた。

実の息子が地上で人間を殺しまわっていたことに対しても無関心だったことになるし。
それこそ「人の心」を超越した、奈落や初期犬夜叉のなりたかった理想の姿なのかもしれないな(笑)。
それともあまりに時がたちすぎて、父君を巡る三角関係も、今となっては懐かしい思い出、なんて笑ってみせるか。
ああ母君の茶飲み友だちになりたい、聞きたいことはいっぱいあるのに、結局この後最後まで出てきてくれなかった、残念。
まあ存在自体がストーリーを越えたゲストっぽい部分があるから仕方ないけど。

アニメ「犬夜叉」完結編も9話まで来たけど、フルスピード展開なのにどこか濃密な気がするのは、こうして要所要所に力を入れて描いていることと、物語が佳境に入り、ほとんどレギュラー陣だけで話が進むせいだろう。
悪く言えばおいしいとこ取りのダイジェスト版。
この時間帯に起きてて見る、あるいは録画してまで見る、となれば原作に対しても思い入れのある視聴者がほとんどだと思うけど、原作未読の視聴者に、果たして物語として心に残るだろうかという危うさを感じる。

たとえば神楽や桔梗の死、たとえばりんと殺生丸、その場面の美しさばかりが残ってしまうのではないだろうか。
26話限定の弊害と言えば言えるけど、原作読破組には、逆に長く続きすぎた「犬夜叉」という物語が理解しやすくなったようにも思う。
こういう作り方がいいとは思わないけど、「犬夜叉」に限っていえば、こういう形でアニメ化して、かえってすっきりしたかな?って。

こうして無事に修行は終わり、りんは殺生丸の元に帰ってきた。
今楓の元で育てられているりん。
将来どちらの世界を選ぶかなんて悩む必要はないだろう。
大人になって、殺生丸にとって妹か娘のような存在でなくなった時に、人として殺生丸と結ばれることは容易だろう。
犬夜叉とかごめのように。
もちろん琥珀を選ぶという選択肢もあるし、邪見を選ぶという選択肢は・・・ないか(笑)。

その頃はそういう世界になっているだろう。
妖怪と結ばれたといって虐げられることもなく、その子供として迫害されることもない。
いえ「犬夜叉」ではとっくにそんな世界になっていたんだけどね。
(2009年11月29日の日記)
救い主 花皇
アニメ「犬夜叉」完結編第10話2009年12月6日放送
「悲しみに濡れる花」

48巻
原作少年サンデー2006年8月30日(39号)第471話「慈悲の心」
原作少年サンデー2006年9月6日(40号)第472話「花皇」
原作少年サンデー2006年9月13日(41号)第473話「血の涙」
原作少年サンデー2006年9月20日(42号)第474話「傷ついた心」
原作少年サンデー2006年9月27日(43号)第475話「鏡」
原作少年サンデー2006年10月4日(44号)第476話「敵は鉄砕牙」

          ☆          ☆          ☆

最初にalanの新曲に乾杯。
久しぶりに朝から何度も聴いている。
「レッドクリフ」で好きになったけど、今回の「Diamond」もとても好きだ。

EDの映像もいい。
原作で描かれなかった風景、だけどとても自然に見せてくれる。
かまくらや雪だるま、雪に埋もれた骨喰いの井戸。
新曲にお金かけるなら1話でも多く作って欲しいのにって実は思ってたけど、キャラの顔も可愛くて、EDとしてはこれまでダントツだった「深い森」と同じくらい好きだ。
逆に本編の方が顔が途中で別人になってしまって「あれっ?」なことがしばしばだった。

さて今回は、神楽の死を悼む神無の場面から始まる。
原作では神無は死に際までほとんど想いを出すことはなかったが、アニメではむしろある種のうらやましさを持って神楽の死を想う。
ここでまた小野小町の句を口にするが、やはり私には余計に思える。
後で鏡の妖と共に犬夜叉に攻撃を仕掛けるが、その時の顔にも感情を込めるなど、全体的に神無に関する描写が素敵だった。
完結編に入ってオリジナルがキャラの感情の膨らませが多いが(おかしなオリジナルは入れる時間がなさそうだ)、大甘な気はしながらも素直に感動できて嬉しい。

一方奈落は瘴気の中で汚れた四魂の玉に一点残った清浄さに苛立つ。
「桔梗 きさま 死んでもなお―」の後にどう続けたかったのか。
「桔梗は死んでもなお貴様に生きる意味を与え続けていると知れ」
私ならその耳元にこう囁きかけたい。
(ちなみに「貴様」は「きさま」じゃなくて「あなた」と読む)

そして場面は花皇編へ。
ここから先は概ね原作通りで、ここでのかごめのかっこよさは絶品。
アニメタイトル「盗まれた鉄砕牙 対決奈落の城!」を思い出した。
琥珀を人質に取られた珊瑚が鉄砕牙を奪って奈落の元に向かう話。

ここでも奈落の前に危機に陥る犬夜叉たちを救ったのはかごめの怒り。
理不尽なもの、人間の痛みを食いものにする者に対する怒りが迸って敵を打ち砕く。
ただ花皇の声になんか違和感、「犬夜叉」世界に合ってないというか浮いているというか・・・。
声はなんと矢尾一樹さん!
と書いても驚く人はそんなにいないだろうが、私にとっては「エロイカより愛をこめて」の鉄のクラウスをモデルとして誕生した「金田一少年の事件簿」猪川将佐を演じた声優さん。

好きなんだけど花皇には合わないって言い切っちゃう自分が嫌だが仕方がない。
ちなみに矢尾さんは最近夢中な「うしおととら」では鎌鼬の十郎でしっかり泣かせてくれた。
なんで合わないかというと、こういう顔は奈落声が定着しているからなんだろうと思う。
別に奈落の一族じゃないんだから、全然違う声でもいいはずなのに。

この花皇はキャラとしては雑魚だが、強敵であると同時に犬夜叉とかごめの救い主。
おもしろいのがって言っては酷か、弥勒と珊瑚の傷にもしっかり触れているのに、今はどうにもならないせいかそのまま放置されていること。
だからこちらの2人は解決もせず、もちろん治りもせず、かといって傷ついたままでもなくそのまま終了する。
花皇が興味を示したのはたった今終わったばかりの悲劇で、今なお血しぶいているような、生々しい犬夜叉の、そしてかごめの心。

そしてこの花皇こそが犬夜叉とかごめが己の心を見つめ直し、互いの心を見つめ合い、桔梗の死を大切な思い出としながらも乗り越え、立ち直るきっかけとなった存在。

なんて素晴らしきタイミング。
ちょっと前だったら問答無用で一刀両断の相手だった。
最後の「強くなんか―」の会話だけは原作でもあーあ、アニメでもあーあ。

原作でもあった場面だが、七宝が囚われなかったのは「バカで悩みがなかったから」なんて言われてるが、仲間との旅の中で、七宝の父のことは昇華してもはや傷ではなくなったんだろうな、良かったね、七宝。

そして早くも鏡の妖登場。
さすがにこういうモノクロ系はアニメの方が綺麗だ。
でも神無の「風の傷」とか「金剛槍破」は笑ってしまった。
言わなきゃ出ない技なのか。

次回は神無が退場する。
けれど神無の死も決して寂しいものではなかった。
今回は他に村人で西前忠久さん、樵で井上剛さん。
村人で女性もいたはずだけれど、クレジットにはなかった、残念。
(2009年12月6日の日記)

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