★内容に関してネタバレ含みます。
「小雪舞う日の怪談語り」
この話はとっても好きです、内容もいいけどタイトルもいい。
特にお関の話。
母の愛を書いた話はたくさんあるけど、うまいなあ宮部さん、としみじみ思う。
何の葛藤もなく、当たり前のように自分の寿命を差し出す、そのさっぱり感がたまりません。
それでいてちゃんと幸せに生きて行く。
確かに寿命は10年喰われたけど、これほど素敵な生きざまもそうないのではないでしょうか。
半吉も、宮部物にはありがちだけど、やっぱり最後はちょっと救いがあった方が気持ちよく読めるものです。
おちかが恋してる青野利一郎はあまり印象に残らないけど、井筒屋七郎右衛門は今後もどんどん出て来てほしい。
おちかが黒白の間を離れて外出するのも新鮮でした。
「まぐる笛」。
これは「荒神」の下敷き?になった短編ではないかと思うのですが、私は「まぐる笛」の方がずっと好きです。
決着のつけ方もこちらに軍配を上げます。
長くすればいいというものではないという見本のような作品かと思います。
再読してふと上橋菜穂子著「獣の奏者」を思い出しました。
あそこまでの重さがないのが宮部物の特徴です。
だから宮部さんや上橋さんはすごくその時々の気持ちによって無性に読みたくなります。
「節気顔」。
最終話。
「あの男」が帰って来た。
おちかの前に、ではないけれど。
でも今回この男は善か悪か、さらに謎を残して終わります。
「日本経済新聞」に4作目が連載されているようです。
読みたいですねえ、でも我慢我慢。
「宮部みゆきの江戸怪談散歩」のインタビューで、おちかがお嫁入りして、代わりに伊兵衛の次男が引き継ぐ構想が
あることを語っていましたが、私はおちかに続けて欲しいなあ。
やっぱり女性の方が華があるというか。
男性が主役になってとなると、急に畠中恵さんの「まんまこと」シリーズ思い出してしまいました(笑)。
それに結婚相手がどうやら利一郎じゃないっぽい?
お勝も好きなので、お勝がお嫁入りして幸せになるのは大賛成です。
とりあえず5作までは書く宣言されたので期待してます。
気になります、早く出版してほしいです。
(2016年2月10日の日記)
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