6月14日 ギモーヴ〜BLOOD-C |
今回は、本ではなくてアニメの話。 ずっと前に、たまたま見た映画「BLOOD THE LAST VAMPIRE」がおもしろくて、その後テレビアニメになった「BLOOD+」も見たが、 話が全然違って「はっ?」て感じ。 Wikipeiaによると、「小夜という名前の少女が日本刀で怪物を倒していく」という基本設定だけが継承された別物らしい。 何度も挫折しつつ見終わって、こちらはそこそこおもしろかった。 そして次に始まったのが、「BLOOD-C」。 こちらは「はあっ?」て感じであっさり挫折してしまった。 3話まで見て、最後に戦う怪物だけが毎回違うけど、後は同じパターンが続き、正直キャラに魅力が感じられなかった。 何よりも暴力的な描写が必然とすら思えた「BLOOD THE LAST VAMPIRE」に比べて痛々しさばかりが目立つ。 ところが「BLOOD-C」が終わって数ヶ月後、「BLOOD+」で知り合ったNさんから衝撃のネタバレメールが(笑)。 もちろんNさんに罪はない。 前のメールで「BLOOD-C」も見るよと書いておいたので、当然最後まで見たと判断してのメールなのだから。 まあ見るつもりなかったし、と思いながらメールを読んでいたら、その衝撃的な展開と結末に、逆に興味を惹かれた。 Nさんいわく、筋だけ拾えばこれだけ衝撃的なのに、見てしまえばこれだけ後味の悪い作品も珍しいとのこと。 逆に興味が湧いて来るじゃない? そう言いつつ未だに見てないのは、山ほどダビングしたDVDのどこにあるのかまだ見つけてないのが主な理由。 1枚ずつ抜き出して探すほどの熱意もなく、でもきっと見始めたら止まらないのかなあとは思う。 そんな「BLOOD-C」だが、ヒロイン小夜が通うカフェ「ギモーヴ」が出て来る。 ここのマスターがとても素敵な人で(でも限りなく怪しい人で)、小夜にいつも「ギモーヴ」というお菓子を出してくれる。 実は私、ギモーヴが実在するお菓子とは知らなくて、作品オリジナルだと思っていた。 ヴァンパイアのアニメなだけに、血液とか入ってるんじゃない?怖い!みたいな、馬鹿らしいけど(笑)。 ところが先日西武池袋店のデパ地下をぶらぶらしていたら、「ブールミッシュ」というお店でギモーヴを売っているのを見つけたのだ。 何のことはない、「ギモーヴ」はフランス語でマシュマロのことなのだそうだ。 現在は使われていないが、元々はアオイ科のマシュマロという植物の根をすり潰してつくったもので、この植物をフランスでは ギモーヴと呼ぶのだ。 でも、比べてみると全然違って、マシュマロは円筒形で色も薄く、よく映画で串にさして焼いたり、ココアに浮かべて飲んだりしているが、 ギモーヴは果汁を入れているため、色も濃く、果物の味が強い、形も四角。 アメリカとフランスの違いかな? マシュマロはカジュアル、ギモーヴはおしゃれ。 ギモーヴの方が舌になめらかで濃厚な感じだが、基本的に私はどちらもそんなに食べないかな。 味というより食感が。 ![]() マシュマロもギモーヴも種類としてはソフトキャンディーだが、「ブールミッシュ」さんのサイトで見ると、「コンフィズリー」としてジャンル分けされている。 これもWikipeiaで調べたら、現代欧風菓子は、小麦粉などの焼き菓子を主体としたパティスリー、糖質が主体となった糖菓であるコンフィズリーと 氷菓であるグラスと分けられるらしい。 パティスリーはよくケーキ屋さんの名前に使われる。 コンフィズリーには他に、マカロン、ヌガー、フルーツゼリーなどがあった。 この辺の薀蓄を語ってくれるコージーミステリー出ないかなあ・・・。 |
5月26日 桃のシチュー〜料理人の失踪 |
アガサ・クリスティーの短編集の中でも、「教会で死んだ男」はお気に入り。 「料理人の失踪」も、あまりに庶民的な依頼に最初はすげなく断ったポアロが、依頼人の女性に 言い負かされて引き受ける羽目になるくだりは、何度読んでも笑える。 この短編で気になるのが、失踪した料理人が言い残した、桃のシチューが余っていたら食べようという言葉。 桃のシチュー? それまで読んだ中でも、一番想像できない料理名だった。 スコーンなどは、全く知らないことでむしろ簡単だったが、シチュー自体は家でよく食べるメニューだったから、桃との 違和感が謎で謎で(笑)。 後で落ち着いたのは、桃のカスタードタルトのしょっぱいの。 シチューだもん、お料理だもん、デザートじゃないもん。 あまりおいしくなさそう・・・。 そんなある日見つけたのが北野佐久子著「アガサ・クリスティーの食卓」。 目次を見て、桃のシチューが載ってる!と嬉しくなって早速買ったが、写真を見て少々がっかり。 「シチュー」には、肉や魚、野菜をソースで煮込んだ料理としての意味の他に、果物をシロップなどで煮た物、という 意味があるのだそうだ。 コンポートみたいなのかな? 写真は、桃の缶詰をシロップごとお皿にあけた感じ。 なんというか、シンプルでおいしいんだろうけどなあ。 ところでこの冬行ったオーストラリアで、ホストさんの知り合いのうちのランチに呼ばれた。 綺麗に手入れされた小さな庭でビールやワインを飲みながら小さなキッシュやサラダをつまみ、メインはダイニングでナイフとフォーク。 と書くといかにもおしゃれだが、どこを見ても知らない顔顔顔、飛び交う英語、山のように盛り付けられた料理。 体調が悪いこともあって、かなりしんどい時間になった。 しかも一応主賓?なので、話しかけられるわお料理やお酒を勧められるわ。 申し訳ないほど萎縮してしまって情けないやら悲しいやら。 自分で自分を2年ほど英語圏に放り込みたい。 少しは勘が身につくのでは?と思った。 で、後片付けを手伝いながら気になったのが、写真のデザート。 桃の似たのとクッキーの重ねたのに、アラザンをふりかけた物。 見た目は派手だけど、あっさりした甘さでとてもおいしかった。 もしかして、これってピーチコブラー?と思って聞いてみたら、なんとこれが「桃のシチュー」だった。 ![]() コブラーは下がクッキーやスポンジケーキなどで、上が果物を煮たもの、オーブンで焼くのが定番? 確かに上下が逆だ。 でも「桃のシロップ煮」と考えればすんなりくる。 いつも言われるように、アメリカ風、イギリス風、オーストラリア風で桃のシチューも違うのかも。 何となく思ったのは、オーストラリア風は適当というかおおざっぱ。 写真が、今冷蔵庫にしまおうとしてる瞬間なので、ラップがかかってたりして申し訳ないです。 お願いすれば、綺麗に盛り付けてくれたと思うけど、もうへろへろで、とにかく早く帰りたかったという・・・。 何とも情けない話です。 |
5月2日 きつねうどん〜姑獲鳥の夏 |
★「ひとりごと」で写真を紹介しています。 「そういえばもうこんな時間だ。 君も腹が減っただろう。 店を閉めるついでに隣に出前でも頼んで来ようじゃないか。 君は狸蕎麦にしたまで。 僕は狐饂飩にしよう」 京極堂は勝手にそう決めるとさっさと店の方に行ってしまった。(「姑獲鳥の夏」」) ☆ ☆ ☆ ・眼鏡をはずしてハンカチでぬぐいながら、「てんぷらうどんがうまいですよ」と言った。 お冷やを手にやってきた女子店員に、本間はそれを頼んだ。(火車」) ☆ ☆ ☆ 以前も書いたが、京極夏彦著「姑獲鳥の夏」と宮部みゆき著「火車」を同じ頃に読んだ。 そしてきつねうどんを食べる京極堂と、天ぷらうどんを食べる本間の描写に、その辺の蕎麦屋さんでテーブルに向かい合って 狐うどんをたべる京極夏彦さんと天ぷらうどんを啜る宮部みゆきさんの姿が頭に浮かんだものだった。 さらに関口にもちょいとどいてもらって代わりに私が、としゃしゃり出て、古本屋「京極堂」の座敷で、京極さん(きつねうどん)、 宮部さん(天ぷらば)と共にたぬきそばをすすっている自分を勝手にイメージしたものだった(笑)。 小説やアニメ、漫画やゲームなどの趣味の世界では、こういった夢?を言い方は悪いが「妄想」とまとめたりする。 そのことで昔ある人(Bさん)とチャットで話したことがある。 「えむさんはそんな妄想に萌えますか?」と聞かれた私。 当時は「萌え」の意味を知らなかったから、「燃え」と勘違いして、上記の事をとうとうと語り、「私はこんな妄想に燃えますねえ。」と結んだ。 Bさんはドン引きしたらしい。 「えむさんは萌えじゃなくて燃える人なんですね。」と言われ、Bさんからチャットのお誘いは二度と来なかった(笑)。 ちなみにこういう場合の妄想は、原作にない展開や、原作ではあり得ないカップリングなどをイメージして熱く語ることだと後で知った。 でも私の場合、登場人物は結局架空という大前提もあることだし、あまりカップリングに興味もないので、どうしても「燃える展開」の 方を妄想してしまう。 さて同じ「大極宮」に所属していてもののけも大好きな京極さんと宮部さん。 方や理論を語り、方や人情に訴えるという違いはあるものの、2人の作品には似た雰囲気がある。 そんなところが好きな理由。 京極堂が選んだきつねうどんだが、私はなんとなくできたメニュー?だと思っていた。 稲荷信仰も関連して、どこのうちでも食べてたメニューがお店でも一般的に出るようになったのだと。 そしたら菊地 武顕著「あのメニューが生まれた店」で、大阪いさみ亭マツバヤが元祖と書いてあって驚いた。 初代が、うどんと一緒にお稲荷さんの揚げ(甘く似たの)を出したら、お客さんが一緒に食べてしまって、でもおいしいと大好評だったと いうエピソードが綴られている。 たぬきそばの方は、明確な語源は見つけられなかったが、Wikipediaの説のひとつ、種(タネ)抜きの天ぷら(いわゆる天かす)を載せて 、たねぬき蕎麦→たぬき蕎麦になったと洒落たのだったらおもしろいと思う。 ところで私、お蕎麦屋さんできつねうどんも、たぬきそばも見たことがない。 と言っても、蕎麦やうどんを食べ歩く方ではなく、せいぜいデパートのレストラン街で天ぷらやお刺身とセットで出すようなお店しか行かない せいもあるかもしれないが。 もっと個人的なお店、それこそ近所にあって出前をしてくれるようなお店にならあるのかもしれない。 ![]() 今回はきつねうどんをたぬきそばは自分で作ってみた。 見た目は悪いけど、しょっちゅう作るので、味はそこそこ。 天ぷらうどんは、目黒不動前の丸福さんで。 おまけに「赤いきつね」と「緑のたぬき」(笑)。 「エロイカより愛をこめて」のファンなら必ず一度は買ったことがあるんじゃないかな? 「緑のたぬき」は「天かす」ではなくて、たねのある「天ぷら」みたいだけど。 私は「どん兵衛」の揚げの甘さの方が好きだ。 |
4月17日 カップケーキ〜ウェディングケーキにご用心 |
★「ひとりごと」で写真を紹介しています。 ジェン・マッキンリー著カップケーキ探偵シリーズ1作目。 個人的には苦手な作品。 1作目のプロポーズの動機とか、いきなり世界的なスターと付き合い始めるアンジーとか、主役の三人の恋の勘違いっぷりとかが無理矢理すぎる。 あとどんなに気に入らない人でも、やはりカップケーキ店を経営するライバルの宣伝を妨害したり、仕事を奪ったり、主役なら何をしてもいいの! みたいな展開は好きになれない。 それを無理なく読めて笑い飛ばせるほどこなれた小説でもないと思うし。 これは完全に作者に問題ありだよなあと思っていたが、2作目「恋するベーカリーで謎解きを」の最後でしてやられた。 主役の2人が、このライバルに「手ひどくやられて」終わるのだ。 へえ、作者やるじゃない、とちょっと見直した。 あとこれは完全な好みの問題だけど、会話によく出る映画の台詞の引用が苦手。 ほどほどなら気にならないけど、でもこれ、映画好きにはたまらないだろうなあ。 相性の問題だと思うけど。 メルとジョーの恋や、アンジーの兄弟など好きな要素もたくさんあるので、出る限りは読むつもり。 この本が出る前から、さまざまなコージーミステリーにカップケーキは出て来るが、以前はカップケーキを売っているお店は あまり一般的じゃなかったような気がする。 個人のお店ではないが、ドーナツならミスドやクリスピー・ドーナツがあったし、マフィンならエリザベスマフィン、あと普通の ベーカリーやカフェで買えた。 以前池袋西武で「N.Y.STYLE FAIR」が開催された時、「ビリーズ・ベーカリー」のカップケーキも売っていたが、 あまりにどぎつい色合いに買う気になれず、後で後悔しきりだった私。 そんな私が初めて見つけたカップケーキのお店はルミネ有楽町の「フェアリーケーキフェア」 だった。 ただ数年前私が買った時は、カップケーキはミスドのように、その場で作った物ではなく、温泉みやげの お菓子みたいに日持ちのするお菓子だった。 スコーンはバラ売り?してて、「その日のうちにお召し上がりください」だったが、カップケーキは5個で1箱になっている焼き菓子だったのだ。 (サイトを見たら、今はその日限りの「フレッシュカップケーキ」も売っているようだ。) だからおいしかったけど、しっとりしたケーキというよりカステラのような食感で、「食べたことないけど本に出て来るカップケーキとは違う気がする。」と 思ったことを覚えている。 で、今回オーストラリアに行って、「BEECHWORTH BAKERY」で見つけた(ブログ参照)。 常に混んでる人気のお店なので、人の切れ目に入り込むようにして写真を撮ったが、やはり他のお客さんにうさんくさそうに見られた(笑)。 アップルターンオーバーの時も書いたが、日本だとだいたいどこでも写真撮れて、ブログやツイッターにアップするのは普通だけど、向こうは こんな普通のお店で普通に食べてる物の写真なんて撮らないみたい。 もうひとつ、オーストラリアだけではないと思うが、「こちらの人たちは写真を撮られることにとても神経質だから気をつけてね。」とは ホストさんにも言われた。 なにげなく風景やお店の中の写真を撮る時も、とにかく人が写りこまないように、気にする人は気にするらしい。 特に子供には気をつけて、と言われてなんだか緊張してみたり。 その後見つけたのがメルボルンの駅の中だったかそばだったかにある「JOY」。 こちらは本当に素敵だった。 綺麗だしおいしいし、というのもあったけど、とにかく合成着色料を一切使わない優しい色合いと、グルテンフリーのカップケーキに驚いた。 一種類だったけど、これならアレルギー体質の子供でも食べられる。 メルボルンのスーパーでも驚いたけど、こちらは本当にアレルギー対応の食材や食品が多い。 多いだけじゃなく、普通にスーパーにコーナーがあってたくさんの種類の中から選べるのには感動した。 確かに値段は少々高いけど、日本だとどうしても通販に頼るか、特別に扱うお店を探すしかない。 その意味で永谷園は、レトルトだけど、アレルギー対応食品にかなり力を入れてくれているのでがんばって欲しい。 ![]() 話がそれたが、店員さんがまた可愛らしい女の子で気さくで親切。 後で一緒に写真を撮ってしまったくらい(笑)。 でも今一番のお気に入りは、「東京えんとつ」。 私はスカイツリーソラマチ店で買ったが、見た目はシンプル。 クリームはなんとシフォンケーキの中にたっぷり詰まっているのだ。 お店の人に、「これカップケーキですか?」と聞いたら、「いえシフォンケーキです(にっこり)」と答えてくれたが、なるほど「カップ型クリームシフォンケーキ」と 書いてある(笑)。 でもオーストラリアでもカップに入った一口サイズのレモンメレンゲパイを「カップケーキ」として売ってたし、まあこだわらなくてもいいのかな? ちなみに写真は「JOY」のカップケーキ。 |
4月1日 チートス〜ベーカリーは罪深い |
2012年(平成24年)倒産したランダムハウスから出版されていたJ.B. スタンリー著ダイエットクラブシリーズ。 というよりデブファイブの名前の方が有名か。 後にクレオ・コイル、ローラ・チャイルズと共にコージーブックスで発売決定!のニュースには驚いた。 そんなに人気あったのか、恐るべし!デブファイブ! 私もコージーミステリー、いえダイエットミステリーとして嫌いではないが、コイル&チャイルズに比べて華やかさがないし、 あまり話題になることもないようだったので、まさかと思っていた。 ダイエット、切ない言葉である。 ダイエットに関しては、若気の至りというか、苦い苦い思い出がある。 栄養補給のための某ダイエットドリンクを朝夕飲んで、その代り朝ごはん晩ごはんを抜くというダイエットに挑戦したのが20代の時。 まあ嬉しいほどに体重が減った。 1ヶ月ほど続けて、さあそろそろドリンク終了しようかと思った翌々日から悪夢は始まった。 朝夕の食事をとるようになった途端、体重がどんどん戻って顔色が変わった(笑)。 冷静に考えれば、食べてなかったのが食べるようになったのだから、体重戻るのが当たり前。 質や量を工夫して、少しずつ折り合いをつけて行くべきだった。 でも慌ててまたドリンク再開、終了で体重戻る、あせってドリンク再開を繰り返し、体重が30キロ台になってしまった。 こうなると、もう痩せ枯れたって感じで、「えむさん、マッチ棒みたいだよ?」と心配されるほど。 一番悪いのは、この時以来痩せにくい体質になってしまったこと。 まあこの経験から、「折り合いをつける」ことは学んだが、今は逆の意味でダイエットと格闘中。 この通り食べることが大好きだから、常にダイエットを意識している状態。 時折「今日はプールに行ってみようかな?」なんて殊勝に思うこともある。 でも 1、がんばるとおなかがすいて食べてしまう。 2、がんばった自分へのご褒美につい食べてしまう。 3、がんばったのに、翌日体重が減ってないと、ストレス感じて食べてしまう。 のパターンが多い(涙)。 ![]() こんな私が「同志よ!」と思わず抱きつきたくなったのが、デブファイブの面々。 さすがに私は彼らほどは太ってないが、体重を気にしつつ食べる、言い訳をしつつ食べる、ちょっと痩せると嬉しくなって食べるの彼らが まるで自分を見ているようで(笑)。 でも登場人物以上に印象が強烈だったのがチートス。 早い話が「チーズビット」を物凄く味を濃くした物、かな? 当時は普通のスーパーでは売ってなくて、どこだったか輸入物を扱うお店で買った気がする。 (今は売ってるスーパーもある、どこだっけ?)。 元々チーズは好きだがたくさんは食べない、クセのある物は食べない、チーズケーキは好きだが、それ以外のチーズのお菓子は食べない私。 開封した時のチーズの強烈な匂いにくらくらしながらつまんでみたが、一言でいえば駄目だった。 濃い、そしてしょっぱい、いかにもアメリカンな味すぎる。 好きな人はたまらなく好きだろう、その中毒性もわかる気がするが、私は駄目だ。 ちなみに周りの人たちにも食べてもらったが、残念ながらおいしいと言った人皆無。 ものすごくチーズが好きって人はいなかったので、チーズ好きの感想も聞いてみたい。 1作目はデブファイブの強烈さと、チートスの印象ばかりが強くて、話はほとんど記憶にない(笑)。 まだ読んでいないが、先日最終巻「カップケーキよ、永遠なれ」が出て、無事完結したようだ。 |
3月16日 セイボリー〜カモミール・ティーは雨の日に |
★「ひとりごと」に他の写真も載せてあります。 ★クレオ・コイルの最新作「謎を運ぶコーヒー・マフィン」の内容に触れている部分があります。 「セイボリー」という名前はハーブの一種として知っていたので、「カモミール・ティーは雨の日に」を読むまで、コージーに出て来る セイボリーは、このハーブを使った軽食みたいなものだと思っていた。 以前読んだ「シャーロック・ホームズとお食事を」では、「ケーキの後で出す香辛料をきかせた、あるいはぴりっと辛い一口 =オードブルやデザートにだす辛口の料理)となってたし。 そしたらローラ・チャイルズの「お茶と探偵」シリーズ第6弾「カモミール・ティーは雨の日に」でセオドシアが説明する場面があった。 一般的に、小ぶりのサンドイッチや前菜のたぐいをさす。 つまり、ティー・サンドイッチやチーズパフ、肉料理をパイ生地で包んだもの、さらにはスモーク・サーモンやクリームチーズ入り渦巻きパイ などがそれにあたる。 反対に?甘くておいしいもの(ケーキ、クッキー、ショートブレッド、プチフールなど)が「ペストリー」となる。 この本を読む前に、「自由が丘ベイクショップ」で聞いたのだが、やはりキッシュやサンドイッチなど、「甘くない、どちらかというと お惣菜系のパンやパイなどをさします」と教えて頂いた。 ただし日本では、サンドイッチならサンドイッチ、カレーパンならカレーパンと名前で呼ぶので、あまりセイボリーという言葉は使わないのこと。 確かにそうだよなあ。 たとえば「今夜はお鍋にする?」と聞いた時に、その「お鍋」の中にすき焼きや寄せ鍋やキムチ鍋など全てが入っているように、総体的に まとめた言葉なのだろう。 作品内でもお客さんがセオドシアに「セイボリーって具体的にはどういうもの?」と聞いてセオドシアが「嬉々として、得意の初心者向けの 薀蓄を披露した」とあるので、アメリカでもわざわざ使うような言葉ではないのだろう。 ところでかなり前の話になるが、池袋東武のパン屋さん「リゾッタ」で「セイボリーメンチカツ」なるパンを見つけた。 もしかしてハーブのセイボリーを使っているのかな?と思って店員さんに聞いてみたら、私はわからないので、とわざわざパン作りの 担当スタッフさんを呼んできてくれた、恐縮! で、「セイボリーは使ってません。」とのお返事だったので、「じゃあなんでセイボリーメンチカツなんですか?」と聞いたら一瞬詰まったスタッフさん(笑)。 「ワンダフルとか、スペシャルとかそういう意味で、とってもおいしいということです!」と両手を広げて教えてくれた。 今一瞬詰まったよね?と心の中で突っ込み入れつつお礼を言って買って帰ったが、うちで辞書で調べてみたら、「savor」で「香り、風味」という意味。 「savory」と副詞になって「風味が良い」という意味がちゃんとあった、疑ってごめんなさい! さて内容はいつも通りミステリーとしてより雰囲気で読ませる展開でおもしろいが、今回は恋人ジョリーとの間にある変化が訪れる。 これが意外な展開で、2人が別れてしまうのだが、別れ方が後味が悪いというか、ジョリーらしくない言動が目立った。 別れるにしても、これまで培ってきたキャラ設定からして、もっとセオドシアのことを思いやる人物に思えていたのに。 さらにコージーにしては珍しく?恋愛に関して堅実だったセオドシアが本作以降どこかふらふらした、いかにもコージーヒロインらしい?女性になったのも残念。 以前も書いたが、作者はある日突然デレインが嫌いになり、ある日突然ジョリーが嫌いになったかのように急に冷たくなる時がある。 雰囲気で読ませる作品としてはマイナスポイントだと思うが、アメリカではまた受け取り方が違うのだろうか。 先日出たばかりのクレア・コイル著「謎を運ぶコーヒー・マフィン」でも同じような展開になり、いかにもマイクとクレアらしい結論になった。 ジョリーとセオドシアも本来なら、こんな風にお互いを思いやりながら話をするんじゃないの?とお手本のような展開。 一瞬コージーつながりで「カモミール〜」を読んだクレア・コイルが私ならこんな風に、とオマージュではないけれど意識して書いたのでは?と思ったくらい。 余談だが、クレアのライバルの嫌がらせに対する対処も大人の対応でかっこいいと思う。 カップケーキ探偵とつい読み比べてしまった。 ![]() ただし逆に「謎を〜」では敵のスケールが大きすぎて明らかにコージーの域を超えている。 いかにヒロインが正義感が強くて勇気があっても、できることとできないことがある。 後を引かずにやっつけるには相手が悪すぎ、逆にコージーとしての世界を壊していた。 その点お茶と探偵シリーズは、犯人もどこまでも等身大の敵であり、動機もプライベート、組織的なものにしてもスケールは小さい。 それだけにセオドシアががんばって捕まえる、その過程に理論的に無理はあっても、形としては無理がない。 その意味で安心して読めるシリーズだと思う。 ★写真は新宿高野のランチよりサンドイッチ。 |
2月11日 ハリボーゴールデンベア〜スリー・パインズ村の不思議な事件 |
クリスティーのミス・マープルシリーズを彷彿させると鳴り物入りで登場だったらしいルィーズ・ペニー著「スリー・パインズ村とガマシュ警部」のシリーズ。 私が読んだのはだいぶ前だが、特にクリスティーを思い出すこともなく、淡々と読み終えた記憶がある。 主人公のガマシュ警部が落ち着いた個性の持ち主なので、周りの個性的な女性たち(部下のニコルも含む、笑)の中に埋没してしまっていた。 ただ風景や日常生活の描写は確かに懐かしい感じがして好きだった。 ところがこのシリーズ、「あの」ランダムハウス出版だったので、日本では4冊発売されて打ち切られてしまった。 (本国では7冊出ている)。 ローラ・チャイルズやクレオ・コイルと違って他の出版社が引き継いでくれなかったので、今のところ日本語版が出る予定はない。 寂しいが、確かにお茶と探偵、コーヒー探偵のようなおしゃれな華やかさはないので仕方がないとは思う。 でもあの古風な奥ゆかしい雰囲気も嫌いではなかったので返す返すも残念。 なんとなくこのシリーズは創元社に合うような気がするので(笑)、創元社で引き継いでくれないかなあ。 表紙イラストも一緒に。 さてこの本にこんな文章がある。 ☆ ☆ ☆ この部屋の奥の長い木製カウンターうえにレジスターが置いてあった。 そのカウンターには、パイプ型や捩じり阿多の甘草(リコリス)キャンディー、シナモンスティック、鮮やかな色のグミベア(熊のグミキャンディー)を入れた広口瓶などが、シリアルの一回分の小箱とともに並んでいる。 「食べ物と?それなら毎日浮気してるわ。わたしはグミベアと特別な関係にあるの。」 ☆ ☆ ☆ 友だちが送ってくれた銅線のようなリコリスの味は私は全く駄目で、ひとなめしてやめたが、グミベアは確かたしかカルディコーヒーファームで買ったんじゃないかと思う。 「ハリボーゴールデンベア、たぶんこれ。 ![]() でもかじってみて驚いた。 固い、とにかく固いのだ。 かじったことはないが、車のタイヤかじったらこんな感じじゃないかと思うくらい固かった。 ハリボーはドイツの製菓会社だが、丈夫な歯を育てるがコンセプトなのだそうだ。 ドイツらしいというか何というか・・・。 母などは歯が丈夫になる前に折れるかと思ったなどと本気であせってたし、友達にあげてもお代わりの手は出ない(笑)。 でも青池保子漫画の「エロイカより愛をこめて」では、NATOの少佐の部長と言えば聞こえはいいが、甘いもの大好きなメタボ上司が平気で食べていた。 いったん好きになるとやめられない止まらないの中毒性があるらしいが、私はまあいいかな?って感じ。 |
1月28日 アップルターンオーバー〜アップルターンオーバーは忘れない |
★「ひとりごと」で写真を紹介しています。 これが作者の理想、これが作者が考える世の女性の理想の恋愛、とばかりに延々と綴られてきたハンナと2人の恋人の円満関係?が だんだん雲行きが怪しくなってきた、と思ったら「アップルターンオーバーは忘れない」と最新作「デビルズフード・ケーキが真似している」 において、ハンナが強烈なしっぺ返しを食らってびっくりした。 私はハンナの恋愛のスタンス(作者の描き方)が苦手なのであって、ハンナ自身はけっこう気に入っているのでこれではハンナが 可哀想と思う。 作者が三角関係の終結を図るにしてもこれはひどい。 ノーマンの過去に関することよりも、もう1人の女性が登場して、その女性がハンナと同じ立ち位置になることに、ハンナは嫉妬し、落ち込む。 そしてそれを普通に認めているノーマンに違和感がひどい。 作者はハンナのこと嫌いになっちゃった? いっそノーマンは元の鞘に納まり、マイクとハンナはそれぞれ新恋人が登場の展開にして欲しい。 さてアップルターンオーバー。 最初どんなお菓子かよくわからなくて、目玉焼きのひっくり返して両面焼くのをターンオーバーと言うのを思い出し、アップルパイをひっくり返して 両面焼くのかな?などと思った(笑)。 そうではなくてターンオーバーには「折りたたむ」と言う意味もあり、アップルターンオーバーはりんごのフィリングを挟んで焼いたお菓子らしい。 私はこれを「自由が丘ベイクショップ」で買った。 折りたたむというより、りんごのフィリングを中に詰めたアンパンみたいな感じ(写真参照)。 丸くはなく、厚みのある平らな葉っぱ型をしていて、買ったことはないがコストコのターンオーバーも同じ形だった。 思ったよりパイ生地に厚みがあり、りんごは甘みが強くなくあっさりした感じ。 軽く温めて食べたらとてもおいしかったが、私はどちらかと言うとしっかり甘いアップルパイの方が好きかも。 ところでこの冬、オーストラリアのお宅にショートホームステイをした。 今年の目標は、コージーミステリに出て来るお料理やお菓子をしっかり味わうこと! いつもはむしろ「甘い大きい色がどぎつい」と三拍子揃ったお菓子との先入観が強く、ほとんど食べることがない。 とても楽しく過ごしたのだが、滞在数日で肉と根菜メインの料理、そして英語に囲まれているストレスで胃をやられ、食べ物をほとんど受け付けない状態に なってしまった。 素麺とお寿司屋さんで買うカリフォルニアロール(刺身は食べれなかった)、そしてヨーグルトとフルーツのみという情けなさで、1週間で2キロ減ったり(笑)。 後半は元気になって、いろいろ食べることができたが、お菓子屋さんに行っても買わずに写真撮るわけにもいかず・・・。 仕方がないのでお菓子を買ってホストファミリーにプレゼント。 そんなある日「BEECHWORTH BAKERY」で見つけたのがオーストラリア風のアップルターンオーバー。 「ひとりごと」で写真を紹介してあるが、こちらでいうバナナボートやオムレットケーキという感じ。 えっ?これアップルターンオーバーなの?と驚いた私にホストファミリーのSさんは、日本の人は英語圏を一緒にしがちだけど、オーストラリアとアメリカ (コージーミステリの舞台)だおだいぶ違うと思うよと教えてくれた。 たしかに他にもキャセロールやクッキーでああ違うなあと思ったことが何度かあったので、それらも今後紹介したい。 ちなみにリーフ型はアメリカンスタイル、オーストラリアはあまりこだわらず、自由に作っているようである。 ![]() 日本と違ってお店の写真を撮ってブログでアップなんて習慣はあまりないのかな? とても混んでるお店で店員さんは快くOKだったけど、他のお客さんがけっこうじろじろ(笑)。 カフェやレストランでみんなで撮ることはあっても、お店のケーキだけ撮るなんてことは珍しいかもしれない。 このアップルターンオーバーもおいしそうだったけど、この日もおなかが受け付けない状態だったので写真だけ。 代わりに日持ちのするクリスマスプディングやクッキーを買い込んだ。 オーストラリアのお菓子、確かに甘くてくどくて色が凄いカロリー高そうで大きいものもたくさんあったけど、普通に綺麗でおいしいものも たくさんあった。 何にしろ先入観はいけないと反省。 |
12月21日 京の華〜千寿せんべい |
美世は、校男が焼き肉製造機で作ったせんべいに「千寿せんべい」という名をつけ、まずは「友の会」の会員に送ってみることにした。 ☆ ☆ ☆ 上京して間もなく、あるお宅にお邪魔することになった。 手土産を探してうろうろしたのが池袋東武の食品街、いわゆるデパ地下。 羊羹だとちょっと大げさだし重いし、でもお年寄りだから煎餅は固くて食べれなかったら困るし、クッキーやチョコレートも食べるかどうかわからないし。 お酒、コーヒー、紅茶も飲むかどうかわからないから無難なところでやっぱりお茶かな?などと考えていて目に留まったのが「鼓月」だった。 東武だけに和菓子屋さんも多かったが、まず名前に惹かれ、それから「千寿せんべい」に惹かれた。 名前が何となくおめでたいし(笑)、和菓子なのに「せんべい」だから会話のネタにもなりそうだし(かなり緊張していた)、柔らかいからお年寄りでも大丈夫だろう。 これが私と「鼓月」の出会い。 後で私も千寿せんべいを買って食べたが、元々「ワッフル(ヴァッフェル)」を参考にできたものらしい。 軽い甘さと、ぎざぎざの通りにぱりんと割れる軽さがやみつきになった、本当においしい。 今日の和菓子にしてはノリの軽い(失礼!)雰囲気と味わいに、未だに差し上げ物にはよく使う。 まあ京都のお店だし、ここも京都の老舗のひとつだろうくらいにしか思っていなかったが、ふと「鼓月」という名前の由来はどんなものだろうと思ってホームページをのぞいて驚いた。 なんと戦後間もなくできた京都の中では新しいお店なのだそうだ。 そんないわゆる新参者が、どんな風にしてここまで大きなお店のひとつになったのか、興味が出て来た。 ちなみに「鼓月」の屋号の由来は、「打てば響く鼓に想いを寄せ、その名あまねく中天に響き、月にも届け」という社業発展を願う意味だという。 そんなこんなでますます「鼓月」に興味を持ったが、ホームページではそれ以上は調べようがなく、それきりになっていた。 そんなある日、アマゾンで偶然見つけたのが蒲田春樹著「京の華―京菓子司『鼓月』中西美世あまから奮闘記」。 京都には何代、何十代と続く老舗(しにせ)がある。 伝統、格式、歴史の重み…そこには他者(よそもん)、新参者(素人さん)をたやすく受け入れない毅然とした土壌がある。 しかし、そんな京の土地で、たった一代で新しい老舗像を作りあげた女性がいる。 京菓子「鼓月」、中西美世。 「出る杭は打たれる。しかし出過ぎた杭は打たれることなく、次の礎となる…」どんな試練にもいつも前向きに生き続け、しかもただガムシャラではなく、常に謙虚に生き続ける、女創業者の『あまから人生』。 アマゾンから引用した本の紹介。 「あまから人生」なんて俗っぽい言葉はこの本には不要だが、ある意味閉鎖的で保守的な京都の和菓子界の中で毅然と生き抜き、「鼓月」を育て上げた創業者の生き様は気持ちがいいほど凄絶だった。 そして「千寿せんべい」にも通じる軽さ、かしこまっていない甘さ、ちょっと変わったこだわりなどがすとんと腑に落ちる。 「出過ぎた杭は打たれることなく、次の礎となる」、京都老舗和菓子界にいてこれだけのことをしてのける女性は他にいるだろうか。 いえ他にもいるかもしれないが、こうして活字なり映像なりにしてもらわないと、その本質を知ることはできない。 その意味でもこの本が世に出たことが、素直に嬉しい。 ![]() 伝記、と言っていいのかを書くのは難しいと思う。 本人が書けば自画自賛になりかねず、他人が書けば阿諛追従になりかねない。 現代に近づけば近づくほど、関わりのある人の生存率も高いだろうし、うかつなことは書けないという意識が強くなるのは当然だろう。 子供の頃読んだ世界の偉人全集だか何かで、出る人出る人全てが偉業を成し遂げただけでなく、人としても立派なことに驚いた。 子どもなだけにそれを信じ込んだわけだが(笑)、大人になってある程度実態を知り、幻滅したことも数知れず。 むしろ欠点は欠点としてきちんと書いた方がむしろ親しみが湧くのに、と思いもしたが。 やはり実在の人物ががんばって何かを成し遂げる本を読むのはいい。 パワーをもらえる、エネルギーをもらえる。 どんなに美化されたとしても、その偉業に変わりはない。 より「鼓月」が好きになり、さらにせっせと通うようになった。 ああいくら親しみやすいからと言って、そんなせっせと通えるような店ではないか(笑)。 中西美世さんは2007年(平成19年)2月15日に91歳でお亡くなりになったという。 (2013年12月21日の日記) |
12月6日 東京下町殺人暮色〜白菜の樽漬け |
二人は、家の裏手にある一坪ほどの庭にいた。 商店街の八百屋から譲ってもらってきた樽を据え、その横に新聞紙をしいて、四つ切りにした白菜を積み上げてある。 新鮮な白菜は、ほんの少し薬くさいような香りがした。 ☆ ☆ ☆ 先日「宮部みゆきと時代物」ってコンテンツを作ったけれど、もしろん宮部さんの現代物が嫌いなわけではありません。 時代物が、より好きなのと、「江戸」にこだわってみたいなあと思った結果で、本当は本の感想だけでなく、宮部物に出て来る土地もいろいろ歩いて みたいなあと思ったゆえでした。 でもほとんど池波正太郎物と被っていることと、江戸散策(笑)の時間が限られているために、思うように歩けず、時代物に限定した意味なかったなあと 今頃思ってます。 宮部さんの現代物、好きです。 特に子供とお年寄りの関わり方が好き。 今回取り上げた「東京下町殺人暮色〜白菜の樽漬け」の家政婦のハナさんと順(中学1年生)の仲良しコンビは特に好き。 「家政婦」なんて言葉を使うとなんか仰々しくて、私などロッテンマイヤーさんをイメージしてしまうのだけれど(笑)、要はほとんど家にいない父(刑事)と2人家族の 順の世話や家事の切り盛りをしてくれる「通いのお手伝いのおばあさん」である。 このハナさんが気骨があって頼もしく、かつ優しく家事も上手で、年はとってもまだまだ元気でという理想のおばあちゃんであり家政婦さんであり。 また順もこれまた素直で賢く正義感も強く好奇心旺盛で、とまさにいい子。 なのに実際にいそうな現実感をちゃんと持ってるところが宮部さんらしくていい。 2人が登場するのは、上で引用した白菜の樽漬けを作っている場面。 ハナさんを手伝うつもりが、料理の楽しさに目覚めた順がいろいろ学ぶと言うこれまた楽しい場面である。 あまりにいい子過ぎて、怪しい人物(いわくつきの人物)篠田東吾と初対面で「東吾さん」「順ちゃん」と呼び合うなんて気恥ずかしい以外の何物でもないのだが、 もしかしたら宮部さんの実体験(深川の子の人懐っこさみたいな)なのかなあと思って読んだ。 海外のミステリと比較しても、日本の一般人が殺人事件の捜査に関わるのは難しく(海外物だとなんだかんだと揉めても、警察組織は意外とフレンドリー)、作家の 苦心を垣間見る機会が多い。 日本の警察組織の生真面目さがミステリに関しては足を引っ張ってるわけで、それゆえ十津川警部(西村京太郎)のような警察の人間か、浅見光彦(内田康夫)、江戸川コナン (探偵の家に居候)など警察に関わっている人物の家族だったり親しかったりする。 この作品もその例にもれず、父道雄が刑事なので、順も否応なしに事件に関わることになるのだが、その他にも積極的に動いて、まるで当事者のような立場に身を置くのである。 さらにハナさんも事件解決のための重要な人物となり、ちょっと出来過ぎ感も強いが、宮部さんの初期の作としては十分楽しめた。 さて白菜の樽漬け。 うちにはもちろん樽なんてないし、いっぱい漬けても食べきれないから、漬物用の小さなプラスチックのバケツ(蓋付き)を買って来た。 実は私、野菜が苦手、特に生野菜が嫌い。 もちろん体にいいことはわかってるから、積極的に食べてるけど、サラダなどはドレッシングをかけるんじゃなくて、あらかじめからめて、なるべく野菜の味をなくして食べている。 漬物も元々あまり食べないけど、浅漬けよりも味噌漬けや糠漬けなどしっかり味のついた方が好き。 だから白菜も漬けること自体初めてだけど、まあ簡単だし楽しかった。 でも楽しすぎて?用意しておいた鷹の爪と昆布を入れるの忘れて、ただの塩漬けになってしまった(笑)。 写真は漬けた翌日のまだしゃきしゃきしていて味もそんなについていない状態。 ![]() だから見た目もほとんど生? それでも自分で漬けたと思えばおいしくて、もりもり食べた。 どうせなら、そばにお茶とか、熱いご飯とお味噌汁でも置いて、もっとおいしそうに撮ればいいものを、相変わらずどんと置いて真上からパシャッ。 センスのなさばかりが目立つ人。 余談だが、映画好きな宮部さんらしく、あちこちで映画の場面を語る部分がある。 先日読んだ海外ミステリで、登場人物たちが、映画の台詞をあいさつ代わりに掛け合って、それがとにかく多い本があった。 好きな人にはたまらないだろうが、興味のない私には作者の自己満足に見えて気になった。 (私は小説書きじゃないけど、自分にもそんな癖があるように思う・・・。) でも宮部さんの場合は、なぜこの場面を思い出したが、どんな意味のある場面だったかの説明があるし、むしろ引用された映画を見てみたくなるようなおもしろさがある。 うまいなあと改めて思った。 (2013年12月6日の日記) |
11月24日 幽霊探偵と銀幕のヒロイン〜ポップコーン |
★「ひとりごと」にも写真を掲載しています。 「ここは映画館だ、パーカー。 映画とポップコーンは切っても切れない関係だってこと、知らないのか?」 ☆ ☆ ☆ 1940年代のアメリカにはあまり興味がなく、ハードボイルドはむしろ苦手な私ですが、アリス・キンバリー著「ミステリ書店」シリーズは好きです。 「幽霊探偵」シリーズと言った方がわかりやすいかも。 ミステリ書店で働く未亡人ペネロピーと、その場所で50年前に殺された私立探偵ジャックの幽霊が主人公で、ちょっと変わっているのはペネロピーもタイムスリップ?してジャックの時代に行き、 実体の?ジャックと触れ合ったり一緒にそちらの事件を解決したりする部分。 ペネロピーが多くの素人女性探偵に見られるような押しの強い性格でないところ、落ち着いた物腰の大人の女性であるところが好き。 その反面、巻き込まれ型の典型的なタイプでもあるので、見ててハラハラ読んでてハラハラと危なっかしい所も好き。 「銀幕の〜」は5冊出ているうちの4冊目ですが、ジャックとの関係にもなじみ、ミステリとしてもおもしろいということで、この話が一番好きかも。 ところでコージーミステリー好きには衆知ののことですが、このアリス・キンバリーは、マーク・セラシーニとアリス・アルフォンシの夫婦合作のペンネームです。 そう、あの「コクと深みの名推理(別名コーヒー探偵)」シリーズのクレオ・コイルの別ペンネームなのです、これには驚きました。 別ペンネームで別シリーズを書くこと自体は驚くことじゃないのですが、この2つのシリーズには大きな違いがあります。 コーヒー探偵では、メインのコーヒーはもちろん、いろんなお料理やお菓子、ペストリーなどコージーの名に恥じないおいしい食べ物がたくさん出て来るのに比べ、幽霊探偵はさっぱりなのです。 せいぜいピーナツバターのサンドイッチやアイスクリーム、そしてポップコーンなどありきたりの名前だけ。 同じ作家でて、コージーミステリーというジャンルでこれほど違うのも珍しいのではないかと。 もしかしたら、奥様のアリスさんがおいしい物が大好きで、コーヒー探偵のメインを執筆し、幽霊探偵はハードボイルドが大好きな旦那様のマークさんがアイデアを出してるのかな?などと いろいろ想像して楽しんでいます。 コーヒー探偵の方が圧倒的に有名なので、幽霊探偵がコーヒー人気に乗じて後で翻訳されたのかと思っていたら、意外なことに幽霊探偵が先でした。 クレアが活躍する華やかなコーヒー探偵と、落ち着いた雰囲気の幽霊探偵、うまく作られているのは、やはり夫婦合作の賜物でしょうか。 そんな幽霊探偵シリーズから今回はポップコーンを取り上げます。 (前述のように、あまり変わった料理が出て来ない、笑)。 ポップコーンは特に好きでも嫌いでもなく、ディズニーランドか映画館に行った時でもなければ食べない私です。 でも最近どちらにも行ってないので、先日原宿に行ったついでに「ギャレットポップコーン」に行って来ました。 ![]() いつ行っても長蛇の列で、並ぶくらいなら買わなくて(食べなくて)いいや、って主義の私ですが、この日は朝早かったせいかわりとすいててがんばって並びました。 シカゴを拠点とする「ギャレットポップコーン」日本上陸のニュースは、一時あちこちでやっていて、食べてみたかったんですよね。 有名なのはキャラメルクリスプとチーズコーンを混ぜた「シカゴミックス」ですが、実は私、しょっぱい系のポップコーンは食べません。 そこで大好きなキャラメルクリスプをクォーター缶で。 ここに来たかった理由の一つはこの缶が欲しかったから。 ポップコーンを食べた後は、もらってくるポケットティッシュを袋から出して、缶の中に積み重ね、机の上に置いてあります。 もうちょっとおしゃれに使いたいけど(笑)、以前書いたように、私、缶に固い物を入れて鳴る音が苦手なのです。 だからリモコン入れやペンスタンドなどいろいろ試してみたけど、結局ティッシュ入れに落ち着きました。 キャラメルクリスプがおいしかったので、今度はアーモンドキャラメルクリスプを試してみたいけど、あの日すいてたのが奇跡のように、いつ行っても長蛇の列。 結局買ってません、残念。 本当は映画館で食べるのが一番おいしいのだけれど、スカパーかレンタルに慣れて、ほとんど行かなくなりました。 最近?行ったのは「犬夜叉」関係、「レッドクリフ」「Xファイル」ですからね、それ以前と言えば「タイタニック」ですよ(笑)。 映画館でみんなで見る楽しさはわかってるけど、やっぱり安さ&お手軽感に傾いてしまいます、駄目ですよね。 ★東京都渋谷区神宮前1丁目13番18号 |
10月15日 海自レシピ お艦(かん)の味〜護衛艦「たかなみ」特製カレー |
不肖・宮嶋ことフリーカメラマンの宮嶋茂樹さん(この本の前書きも書いている)や、有川浩さんの自衛隊三部作などの影響で、自衛隊に関心を持つようになりました。 というより持たなくてはいけないことなのですが、漠然とした知識はあってもいまいちつかみどころがないイメージがあります。 それで自衛隊に関する本を時折読むようになりましたが、その中でもこの「海自レシピ お艦(かん)の味 元気が出る! 安くて美味しい力めし」は異彩を放っています。 「陸海空三自衛隊の中で、内外から旨いと評判の海自ごはん。それもそのはず、狭い艦で長い航海もあり、唯一海自だけが調理の専門職を育成訓練しているのだ。 (アマゾンの商品紹介より)」とあるだけに、各艦ごとに自慢の「海自カレー」と「和、洋、アジアごはん」のレシピが綺麗な写真と共に紹介されています。 どれもおいしそう。 早速作ってみたのが護衛艦「たかなみ」特製カレー。 ひき肉とと素揚げにしたナスを使ったキーマカレーです。 料理は苦手な私ですが、カレーはよく作るしとっかかりやすいかなあと思って。 タマネギ、炒めます、炒めます、根性で炒めます。 真夏なので汗ダラダラです。 自分で作ってこんなに長時間炒めたことないっていくくらい時間をかけます。 だっておいしく作りたかったんだもん。 ナスを素揚げにすると油っこいんじゃないかなあと思ってましたが、そんなことなかったです。 甘くなっておいしかった。 カレーにナス、意外と合います。 ただ、いつもルーで作る私、分量通りに作ってもどこか味が薄っぺらになっちゃいました。 で、市販のキーマカレーの素でちょっぴり調整、うんおいしい。 元々料理が苦手で凝った料理も作らないし、いかに手早くいかに手軽に作れるかが大事だった私ですが、最近ちゃんと作ってみようと思い始めました。 難しい料理じゃなく、できる料理を丁寧に。 そしたら慣れて来たのかな?けっこうおいしくできれば楽しいし、おいしいねって言ってもらうと嬉しい。 ![]() 今度は何に挑戦しようかなあなどとレシピ本揃えてあれこれ首をひねってみたり。 ところが電気代ガス代水道代が一気に上がってこれまたびっくり。 そうですよね、皿数増えれば水も使うし、ガス、電気も使う。 グラタンに凝った時期は、エアコン並みに電気代が跳ねあがってあわわな状態になりました。 いえ、前に使わな過ぎただけで、今が普通なのかもしれないけれど(笑)。 |
9月21日 チョコチップクッキーは見ていた〜チョコチップクッキー |
その光景を目にしたハンナは、ごくりとつばを飲み込んだ。 レイク・エデンのフットオールのスター選手、ロン・ラサールは、配達用トラックのシートの上で仰向けになっていた。 ―(中略)― ロンがクッキーのひとつをまだ手に持っているのがわかって、ハンナは眼を見開いた。 ☆ ☆ ☆ ジョアン・フルーク著お菓子探偵、またはクッキー探偵シリーズの第1作。 コーヒーショップ「クッキージャー」のオーナー、ハンナ・スウェンセンが主人公のコージーミステリーである。 ハンナは特別美人でもなく、スタイルが良いわけでもないが、気持ちが優しくて頭も良く、みんなに好かれているヒロイン。 そして何と言っても、かっこいいマイクと優しいノーマンの2人の恋人がいる?ことが大きな特徴となっている。 家族や友人、恋人たちを初め、ハンナを囲む人々も個性豊かで気取りのないストーリーが気軽に読める楽しいシリーズ。 例によって表紙の可愛さに引いてしまって、しばらく手が出なかったが、読み始めたらおもしろく、お気に入りのシリーズとなった、途中までは。 今は出ればとりあえず読むけど、読むとうんざりしてしまうという困ったループが続いている、残念だけど。 ハンナは好きだし話はおもしろいし、クッキーに関する薀蓄も楽しいけれど、13巻になってなお、恋人2人の間でふらふらしてるのかい、とどうしても突っ込みたくなるのである。 こちらが現実的過ぎるのかもしれない。 素敵な恋人2人に愛されていいなあと目を輝かせて読むべきなのかもしれないが、いい年して、いつかどちらかを選んだ時に、選ばれなかった方はどうなるの?と余計な心配をしてしまう。 そこはコージーだから、そっちにも素敵な彼女が現れるかもしれないけど、どちらも好き、選べないけどどちらかが去って行くのも嫌、が延々続くといい加減にせいと(笑)。 この恋愛部分も最初の頃はいいスパイスだったけど、もしこれがコージーじゃなかったらとっくに読むのやめてるレベル。 でも本国でも15冊、日本でも13冊出版されてるのだから、そこが人気なのかもしれないなあ。 ちなみに私はマイクもノーマンもどっちも苦手。 って私の好みなんて全然関係ないか(笑)。 さて1作目の主役?チョコチップクッキーは、というよりクッキーが食べたくなると、私はステラおばさんのクッキーに買いに行く。 そこにはチョコチップクッキーはもちろん、ミルクティー、コーヒー他クッキーじゃないけど、これもよくコージーによく出るブラウニーまでいつもたくさんのクッキーが揃っている。 しかも味も見た目も素朴で優しい感じが気に入っている。 前にジョアン・フルークのホームページを見て、チーズバーガークッキーやクリスマスクッキーのどぎつい色合いにびっくりしてしまった。 もちろん綺麗な色や形のおいしそうなクッキーもたくさん紹介してたけど、少なくともチーズバーガークッキーは食べてみたいと思わなかっ た。 でも自分で作るジョアン・フルークの楽しそうな表情は、まるでハンナを見ているようで、こっちまで楽しい気分になったことを覚えている。 ![]() 池袋駅地下のステラおばさん、ギフト商品も充実しているし、少量でも可愛いラッピングをしてくれるので、よく差し入れやおみやげに使っているが、そのついでについ自分用に買ってしまうのがチョコチップクッキー。 カフェやインテリアショップにもいつか行ってみたいと思っている。 ところでハンナはクッキーにコーヒーをセットで出すことが多いが、私は断然ミルク派! ケーキにはコーヒーでもクッキーにはミルクがとても合う、それは絶対譲れない(笑)。 ★ |