犬夜叉ワイド版11〜20感想
11月22日 犬夜叉ワイド版11巻感想
★「ひとりごと」に写真を掲載しています。

「犬夜叉」ワイド版11巻はコミック19巻「しみついた血」から21巻「夜明け」までです。
蛾天丸戦で妖犬化してしまった犬夜叉を殺生丸が静め、その後犬夜叉は竜骨精との戦いを通して爆流破を会得。
黒巫女椿、石の花(七宝の初恋)、そして神楽と鋼牙の戦闘になだれ込みます。
犬夜叉の成長という意味でも大事なエピソードが続きますが、心理的、恋愛っぽい部分でのおもしろさの多い時期です。

妖犬化した犬夜叉を、実は助けに来たとしか思えない殺生丸。
桔梗と椿の確執(というより椿が一方的)。
「あたしはかごめよ!ほかの誰でもないわ!!」
七宝の男気と犬夜叉のさりげない優しさ。

鋼牙を助けるために、神楽の前に朔犬の姿を現す犬夜叉。
神楽と殺生丸の微妙な駆け引き。
そして奈落が感じる神楽裏切りの気配。

実は私、悪役でありながらきっぷのいい姉御肌の神楽と単純狼の鋼牙のコンビはいいなあと思ってました。
鋼牙はどうせ?報われないだろうし、神楽といい感じになるんじゃないかな?と。
でも神楽はこの頃から殺生丸にご執心でしたね。
鋼牙は神楽にはちょっと子供っぽすぎるかも、今思えば。
桔梗、神楽、奈落、殺生丸は他の面子とはちょっと精神年齢的に高い壁があるように思います。
あと黒巫女椿、原作では老いさらばえた椿をなお生かす原作者の残酷さ、死なせてあげた男性アニメ脚本家の優しさの対比が興味深かったことを覚えています。

さて今回の概論とインタビューは「鬼蜘蛛」です。
高橋さんに「鬼蜘蛛は、気持ち悪くて好きです。」と言われちゃってる鬼蜘蛛です。
扱いいいんだか悪いんだか(笑)。

鬼蜘蛛だけでなく、奈落の分身も取り上げていますが、神楽や神無は後で改めて登場すると思います。
おもしろいのが「桔梗に触れただけで消し飛んだ分身等、明らかに失敗作もあるが、(奈落は)意に介していない。」って忘れられてなかったのね、良かったです。
神楽、神無、夢幻の白夜は成功、↑の消し飛び分身や悟心鬼?は失敗作、なのかな?
微妙なのが影郎丸と獣郎丸でしょうか。
失敗作とは言えない強さだったけど、奈落のために役立つことなく退治されましたからねえ。
悟心鬼もの原料になったと思えば役だったかな?殺生丸に(笑)。

奈落が生まれるまでのつなぎに過ぎなかった鬼蜘蛛が、奈落の中の「桔梗を殺せない心」として生かされたのが素晴らしかったと未だに思います。
複雑なキャラとしての奈落の葛藤と、桔梗との壮絶で、同時に一途な確執は奈落の大きな魅力となりました。

インタビューはこれまでの中で一番おもしろかったです。
ただ鬼蜘蛛のようなあさましいキャラは、「犬夜叉」でなければ描けないと言っていますが、「人魚」シリーズや「笑う標的」のようなシリアス短編、ホラー短編で これからも描いて欲しいなあと思います。
高橋作品は「性善説」に基づいたキャラ作りをしていますが、とことんあさましく、とことん悪役にして、最後の最後に善のかけらを見せる、その手法が たまらなく好きなので、もっともっと描いて欲しいです。

奈落は分身たちに慕われていないって言っていますが、この括りに夢幻の白夜は含まれていませんね、明らかに。
さっき書いたように、神楽、神無、夢幻の白夜は後で1人ずつ登場すると思うので、その時に夢幻の白夜について語って欲しい所ですが、彼だけは他の分身とは立ち位置が違う気がします。
分身は結局自分だから、自分に裏切られる奈落、あわれと言ってますが、それでいて悟心鬼は鉄砕牙折るというひと仕事やったからもういいやって作者に消される、ある意味奈落より哀れです(笑)。
まあ闘鬼神の元になるってふた仕事しましたけどね。

しかし仲間がいないので自分の体を作り変えて分身を作るって可哀そうな話ではありますね、しかもほとんど全てに裏切られ・・・。
うん、でもだから好きです、奈落。

そういえばワイド版、30巻で終わりますが、今後概論とインタビューで取り上げられるキャラ、用語もあと20くらいに限られてくると思います。
そう考えると意外に少ない。
まあ後半は新キャラは少ないとはいえ夢幻の白夜、曲霊、白童子、魍魎丸あたりは出るかと思いましたが。
これまで犬夜叉、かごめ、弥勒、七宝、珊瑚、殺生丸、骨喰いの井戸、戦国時代、琥珀、鋼牙が出ています。

今後出るとすれば、桔梗、奈落、神楽、神無、翠子?楓?神無、四魂の玉、邪見、りん、刀々斎、冥加、破魔の矢、鉄砕牙、天生牙、日暮神社、犬兄弟の父、犬夜叉の母、殺生丸の母など?
かなり希望が入ってますが。
あと七人隊はひとまとめでいいから出て欲しいな。
キャラ作りの話を聞きたい、特に睡骨。
なんか全然足りなくないですか?

というか、鋼牙が出たのが実は意外。
鋼牙好きだし、いいキャラとは思いますが、重要度という意味でどうなんだろ。
(2013年11月22日の日記)
犬夜叉ワイド版12巻感想
★「ひとりごと」に写真を掲載しています。

今日は水曜日だけどサンデーはお休み、ということで今日発売のワイド版12巻と「境界のRINNE」19巻買って来ました。
今日はワイド版の感想行きます。
12巻に収録されているのは205話「半妖の秘密」から223話「残された城」まで19話、コミックで言うと21巻から23巻にかけてですね。
2001年(平成13年)2月から始まってます、21世紀に入ってます。

神楽との戦いでピンチに陥った鋼牙を助けたのは朔犬の姿を見せた犬夜叉、そして犬夜叉に殺されそうになった神楽を助けたのは神楽の裏切りを知る奈落。
鋼牙はともかく神楽は犬夜叉の秘密を奈落に告げるのか、そして奈落は裏切った神楽をどうするのか、ぞくぞくする読み応えです。
「半妖の秘密」の「半妖」は犬夜叉と奈落、両方にかかっているわけです。
そして神楽は犬夜叉が奈落を倒すことに期待して口をつぐむ、鋼牙はもちろん男気から口をつぐむ、かっこいい展開です。

死闘が終わると今度は一転山犬妖怪編。
珊瑚のヤキモチ炸裂です。
ただ山犬になってしまった姫を苦しめることなく助けるためとはいえ、目の前でキスされては珊瑚はたまらないですよね。
全然その辺考えてない弥勒の気持ちが今ひとつわかりかねるところです。

余談ですが懐かしのゲーム「呪詛の仮面」でもこの山犬妖怪編がアレンジされて使われてますが、お酒で妖怪を1匹ずつ誘って退治×6回だっけ?
けだるいけだるいギミックがあって退屈したことを思い出しました(笑)。

そしてこの後お待ちかね?の無双登場。
奈落に捨てられた「鬼蜘蛛」の部分でしたが、さすが顔を奪うにもかっこいい顔を選ぶというナルシストぶりを披露。
だったら殺す前に選べばいいのにと思いましたが、結局は殺戮を楽しむ凶人格だったことに変わりはなく。
この時「無双」の名と端正な「顔」を奪われた僧が、後煉骨として登場する杉田智和さんでした、銀さんです。
そしてその顔で無双するのはおなじみ家中宏さん、美声対決でした。

ただ奈落にしてみれば、桔梗に執着する自分の中で一番いらない部分、嫌な部分だったにもかかわらず、無双(鬼蜘蛛)がないと自分の体を 保てないようです。
パン粉や卵を入れないハンバーグのようなものですね。
キャラとしては凶悪残忍ながらある意味純粋でおもしろかったのに、犬夜叉が倒す前に奈落に再び取り込まれ、あっさり退場してしまいました。

その後再登場を心待ちにしていましたが、結局無双の姿で出ることは二度となく。
まあまた出るとしたら、名前はともかくまた顔探しから始めなきゃならないだろうし、たぶん無双の記憶もなくしてるだろうから話が煩雑になりますからね。
無双編に続くのは感動の百鬼蝙蝠編。
犬夜叉の紫織を守ろうとする想いが赤い鉄砕牙を生み出します。

旅をしながら犬夜叉はほとんどの村々で受け入れられるので時々忘れますが、本来半妖は人にも妖怪にも虐げられる存在。
紫織や地念児の話にはせつなくなりました。
地念児はそれでも村で受け入れられましたが、紫織親子はどうなのでしょうね。

そしてりんが奈落にさらわれる話。
りんと琥珀の出会いです。
どうでもいいことですが、瓜を食べてるとこ、原作では床にたたきつけて割ってますが、アニメでは琥珀がきれいに切ってくれたらしいことに笑いました。

殺生丸が奈落の言いなりに犬夜叉を殺すでもなく、りんを探すでもなく、奈落を殺しに来ることを読まれてます、殺生丸ってわかりやすい。
プライドが高いだけに(笑)。
奈落と殺生丸の戦いに犬夜叉が合流して奈落が逃げ出し、琥珀も消えたところで終了。
最後に桔梗が出て来て疑問を投げかけるところまでですね。

はっきり言って「シンプルな犬夜叉」はこの辺までです。
七人隊登場あたりのエピソードはシンプルですが、話を形作る大きな流れがどんどんややこしくなっていきます。

さて今回の概論とインタビューはりんと邪見。 概論いやに鋭いと思ったら、インタビュー読んだ後に書きましたね?と思わず突っ込んでしまいました(笑)。
村人にいじめられ、人と口もきけなかったりんが、殺生丸(妖怪とはいえほぼ人間型)には最初から懐いているのがよくわからなかったけど、 高橋さんいわく、「神様にお供え物をしているような気持だったのかなと思います」。

でも作者に挑むようで恐縮ですが、それもちょっと違うような気がします。
だって殺生丸は最初りんを脅したりしてるもの。
あれだけ怯えきっているりんがそれでも殺生丸に近づいて行くには、それ以外の理由が必須だと思う。
まありんが殺生丸のお供になるには、最初から怯えてない状態じゃないと、まず殺生丸の存在に慣れる事から始めなきゃならないし。

そんなことしてたら殺生丸いなくなっちゃうだろうし。
村で普通に暮らす子だったら殺生丸に付いて行く必要ないし、怯えていたらそれも付いて行けないし、ということでかなり端折った展開になったのかなと 個人的には思ってます。

邪見に関しては笑いました。
殺生丸の代わりに喋るために必要なキャラ。
違っていたら殴られ、図星でも殴られという立場ですが、ある意味不器用な殺生丸の心情を代弁する存在としてやはりなくてはならない存在です。
特に殺生丸の母君が登場した時は邪見は素晴らしかった。

最初は人頭杖で人間を焼き殺したりしてけっこう非情に見えたけど、怖いのはその時だけでしたね。
虎の威を借る狐ならぬ殺生丸の威を借る邪見、出会いを原作で読みたかったなあ。
作者も認める和み系のりんと邪見、大好きです。
(2013年12月18日の日記)
犬夜叉ワイド版13巻感想
「犬夜叉」ワイド版13巻はコミック23巻第6話「休息」から25巻第4話「煉骨の寺」まで。
現代物ほのぼの話は数あれど、私が一番好きなのはこの「休息」。
妖怪のいない(いた時もあったけど)現代だからこそ、あたりを警戒することなくぐっすり眠れる犬夜叉、その安らぎのひと時。
前後のギャグも楽しくてお気に入り。

妙に可愛い奈落の「いらなくなった分身」を退治した鋼牙、さらに犬夜叉達と桔梗、殺生丸までもが消えた奈落を追って「白霊山」に向かう。
「鬼の首城」は珊瑚のヤキモチとお祓いお婆のコント?が炸裂、可愛い三猿ととぼけた村人の猿神編、そして七人隊登場とこの13巻はとにかくおもしろい。

鋼牙にあっさりやられた凶骨は、原作よりもアニメで輝いたキャラの1人。
続いて登場の蛇骨は、その残虐性と子どものような愛らしさ、そしてその嗜好ゆえに単純でありながら複雑な、とんでもない魅力を持つキャラに仕上がった。
正直こんなキャラ出していいの?って心配になるような台詞がここかしこに見られる。

三番手は霧骨。
かごめを襲う変質者でありながら、これまたなんだか愛らしく、殺生丸にあっさり殺されたのが残念。
七人隊は、仲間同士の会話が楽しいので、霧骨と蛇骨の会話などもっと聞きたかった。
かごめが霧骨に連れ去られた後、しっかり着替えてから助けに来る珊瑚にちょっと笑った。

頭脳派煉骨と機械派銀骨と惜しげもなく投入して13巻は終了。
今読んでもおもしろいし、何度も読み返してしまう。
七人隊編は間違いなく前期「犬夜叉」のクライマックスだった。
表紙にも犬夜叉以外凶骨、蛇骨、霧骨、煉骨、銀骨と5人が登場、個性豊かな面子が揃う。

残る2人がどんなタイプか全く想像つかなかったが、私の中では二重人格の睡骨が鋼牙、奈落と並んで「犬夜叉」男性キャラのベスト3。

余談だが、七人隊はアニメでもとことん映えて、声優さんもとことん豪華だった。
草尾毅さん、折笠愛さん、杉田智和さん、江川央生さん、稲田徹さん、平田広明さん、そして今は亡き郷里大輔さん・・・。
私にとってはゲームでもおなじみ声優さんなだけに思い入れも強かった。
特に杉田さんと平田さん。

当時は「銀魂」を知らなくて煉骨はきまじめな役だと思っていたけど、「銀魂」銀さんの、いざという時の凄まじさ、その迫力に啞然としたものだった。
最近、でもないか、見た「5本の指」も凄かった(続きはまだ見てない)。
そして睡骨は、私自身が犬夜叉達よりだいぶ大人なだけに(笑)、犬夜叉やかごめの恋よりも、目線はどうしても奈落や桔梗、神楽に向いたが、その二重人格ゆえの苦悩も 含めて睡骨の複雑な性格が好きだった。
平田さんの声は本当に素敵だったと思う。
さすがにアニメも見返すことはほとんどないが、スカパーで放映してると七人隊の部分は未だに見ている。

今回の概論とインタビューは七人隊より蛮骨と蛇骨。
七人隊のメンバーを考えるのは、本当に楽しかったと高橋さんのコメント。
その楽しさが紙面からあふれ出るような時期だったなあ。
デザイン画は作らなかったが、特に銀骨が楽しかったとのこと。

蛮骨が最後に登場した時は、「乱馬?」と思ったけど(笑)、「他のメンバーが変わった武器なりなんなりを持っている中、一番ストレートな武器を持たせて、 ストレートな戦い方をさせたかった」そう。
確かに犬夜叉と同じ「力技で犬夜叉に対抗できる、パワータイプで親分気質」のキャラ。
単純で何も考えてないように見えながら、煉骨の裏切りを読み、個性的で曲者揃いの七人隊をまとめ上げる技量はさすが、なキャラだった。

蛇骨はもしかしたらは女性キャラかもしれなかった?
でも基本的に犬夜叉たちは人間ぽい女性は殺さないし、神楽の時みたいに、その退場に苦労しそうなので男性にしたのは良い設定かと。
蛇骨刀、一応紙で作ってみたそうです(笑)。
紙で作って動きがわかるのか?
三日月型をたくさん作って繋いで実際に試してみたとか。
私も今度挑戦してみようかな?
紙の質は何だったのか書いて欲しかった・・・。

蛇骨は犬夜叉と弥勒が好みで鋼牙や殺生丸は苦手。
どういう基準でこの好みにしたのかももっと詳しく書いて欲しかった。
「彼なりに、人を見る目があった」とまとめてはいるが。

蛮骨と蛇骨はなんとなく話も噛み合ういいコンビで、そこそこ人気があったとコメントしてるが、冗談じゃない、人気爆発だったと思う。
まあ編集部に届いたメールや手紙は読んでも、ネットで感想を検索したりはしないんだろうな(笑)。
「あの日の犬夜叉」は仲良く酒盛りをする蛮骨と蛇骨の後ろで見て見ぬふりをする?犬夜叉。
こんな風になって欲しかったな、って思わせるいいイラストになっている。

凶骨、霧骨、銀骨は内面をあまり語ってもらえなそうなので、次回は煉骨と睡骨かな?
この2人は蛮骨&蛇骨と違って内面が複雑な大人のキャラなので今から楽しみにしている。
(2014年1月19日の日記)
犬夜叉ワイド版14巻感想
★「ひとりごと」で写真を紹介しています。

七人隊もクライマックス14巻は、コミック25巻第5話「七人隊の臭い」から27巻「顔」まで。
かごめたちを助けたと思わせておいて犬夜叉から話を聞き、遂に正体を現した煉骨から、第3の顔を見せ始めた睡骨のところ。
何度読み返しても勢いがあっておもしろく、蛇骨と蛮骨、犬夜叉、鋼牙、珊瑚のおもしろ漫才も全開であの頃の熱気が自分の中で懐かしい。

霧骨の毒にやられるも冥加のおかげで助かったかごめたち。
初めて見せる犬夜叉の涙や桔梗と睡骨のスリリングな?出会い。
蛮骨登場に白霊山の謎。
蛇骨の犬夜叉、鋼牙、殺生丸評価にも笑ったし、話がどんどんクライマックスに向かって進んでいく。
犬夜叉一行+鋼牙vs七人隊の激突はアニメでも大迫力だったなあ。

私の中で気になるのはやはり睡骨。
14巻では睡骨のパートはまだ途中だが、当時睡骨編をここまで掘り下げて描いてくれるとは思ってなかったのでとても嬉しかったことを 覚えている。
寡黙な人だったが、アニメではせっかく平田広明さんに演じてもらうのだからと製作スタッフさんが思ったのか、やたら喋るキャラになってた 事も思い出す。

奈落、桔梗、神楽、殺生丸、そして睡骨。
いわゆる精神的な意味での「大人のキャラ」がいなかったら私はここまで「犬夜叉」にのめり込まなかっただろう。
桔梗と睡骨の会話を読みながらつくづく思う。

そうそう鋼牙が大ピンチに陥り、ハラハラさせられるのもこの巻。
タペストリーにもなった「激突」は和風カラーで見たい。

前回のインタビューは蛮骨と蛇骨だったので今回は睡骨と煉骨かな?と思っていたら、残り5人ひとまとめ。
睡骨は、「いい人の時は、描いている自分ですら騙されるくらいいい人」だったそうだ。

確かにいい人睡骨にしてみれば騙してるつもりないのだし(笑)。
そして「七人隊のメンバーというのは、犬夜叉達のメンバーと相対していくのですけども、睡骨は、桔梗にぴったりはまる相手だったのかなと 思います。」
確かに最後に睡骨を射抜ぬいたのは桔梗だった。

四魂のかけらのことさえなければ、私は睡骨は生き延びて医者として償いの人生を送る結果もありかと思った。
同じ死人でありながら、使命のために歯を食いしばって生き抜いていく桔梗と、「死ねる」睡骨。
睡骨の穏やかな最期は結果的に桔梗の「生」の凄絶さを際立たせるものだったと思う。

次に凶骨、もう笑うしかない。
「瞬殺でしたが、あれはもう、そのためのキャラクターでしたからね。」
確かに(笑)。
でもアニメでは大物声(郷里大輔さん)で出番も増やしてもらったおいしいキャラだった。

霧骨は「ああいう変態のような人は、やっぱり、そんなに余り(原文まま)長くいて欲しくないなというね、そういう事ですよ。」と身も蓋もない(笑)。
って作ったのは自分でしょ?と思わず突っ込み。
銀骨は描いてから考える余地があったけど、「いつかこいつは乗り物にしたいと思ってましたけどね。」

最後は煉骨。
グループの中に一人はいて欲しいという二心を持った人。
グループが仲良くちんまりまとまっているよりいいなと思ったとか。
確かに七人隊の軍師格でありながら、さりげない小物感も醸し出していて、アニメでは特にそれが顕著だった。
なのに声は銀さんの杉田智和さんと超大物。

蛮骨、蛇骨、睡骨、煉骨と凶骨、霧骨、銀骨の間には目には見えない大きな壁があるようだ。
表紙のコメント(インタビューから
の引用)に「悪党はこうであって欲しいなというのはありましたね。」とあるが、これだけでは何を言いたいのか わからないだろう。

遠いビジョンは誰も持っておらず、死ぬ以前は何も考えておらず、生き返ってからも「犬夜叉を倒せ」という目標を与えられて行動していたという。
それも指示されたからというより戦いが好きだったから。
それが高橋さん流「悪党」の理想の姿。
私は初めて読んでいて「刹那的」という言葉が浮かんだ。

高橋さんが憧れていたのは少年ジャンプ的な仲間集めとか、車田正美さん的な一人一人倒していくというパターン。
「リングにかけろ」だったかな?
読んだことないけど、その世界が七人隊を生み出す原動力になったそうだ。
次巻はいよいよ善人顔の殺人鬼睡骨の独壇場、楽しみだ。
(2014年2月18日の日記)
犬夜叉ワイド版15巻感想
★「ひとりごと」で写真を紹介しています。

待ってました!表紙にも鋼牙が登場!
話も七人隊編クライマックス!
コミック27巻第3話「睡骨の村」から28巻全話「新生」まで。
七人隊編の後白心上人が成仏し、新生奈落が登場しての大ピンチ。

ちょうど話もコミックも、そしてワイド版も折り返し地点に到達する。
ここが「犬夜叉」最終章と思った読者も多かったのではないか。
神楽や桔梗や殺生丸も登場して決着がつく。
終わらないで欲しいと思い続けつつも、実は私もそう思っていた。

それほどのじっくり練った内容となっている。
つまり話は進まず、この地点にとどまって続くのである。
今読み返すと、回収されていない伏線も多く、最終章であるはずがないことがわかる(笑)。

この巻、私にとって特筆すべきは睡骨の最後。
前にも書いたかな?
もし高橋さんに1枚好きなイラスト描いてもらえるなら、262話「黒い光」の表紙の睡骨、というくらいこのあたりは好きだ。
(顔の前に立っている桔梗はちょっとよけて欲しいとものすごくワガママな注文も付けたい)。

善人顔の殺人鬼であり、二重人格者であり、この時の桔梗には許されぬ死ぬことで救われた男。
私は元々好きなキャラとは別に、年齢層の高めなキャラに感情移入が強いが、神楽と殺生丸、奈落と桔梗、桔梗と睡骨に 関しては未だに思い入れが強い。
(特に恋愛を意識したものでなくても)
あと単独で楓(笑)。

同じく年齢高めでも、冥加や刀々斎はちょっと違うかな?
邪見も含めて可愛いとは思うけれど(笑)。

さて今回読んでて気になったのだが、殺生丸がりんを救うために、邪見と睡骨を襲っているが、四魂のかけらのないところを 突き刺している。
実はこれは殺生丸にとって致命的なミス。
桔梗がいたから良かったものの、下手したらりんは睡骨に殺されていた。

殺生丸ともあろう者が四魂のかけらを見切れないわけないので、これは作者側のミスでないかと思う。
まあ殺生丸が睡骨蛇骨を倒していたら、2人の劇的なエンディングは訪れなかったわけだから、確信犯的な事だろうが。
ここはあせった殺生丸が急所を外したということで、私の中でも一件落着。

それにしても、りんもここでかなり怖い目に合っているのにトラウマになることもないのは、やはり殺生丸や邪見と一緒にいることで 影響を受けなくなっているんだろう。
同時に強くたくましくもなっているんだろう。

でもシリアスな戦いと感動的な場面の間にも相変わらず笑える場面が満載。
爆発に巻き込まれて大けがを負った鋼牙と、鋼牙を運んだ犬夜叉が大喧嘩するところなど、何度読んでも笑ってしまう。
さらに弥勒の「愛しいおなご」発言をスルーした神楽にも、ここは笑うところではないが。

ここで重要な役目を果たした白心上人もまた桔梗によって成仏する。
そして成仏の許されぬ桔梗が残る。
今読むと、以前より感情を出さない桔梗の感情が、いくらか見えるようになったと思う。
犬夜叉達や鋼牙は奈落の「胎内」に絡め取られ、最大のピンチを迎えるところで今回は終了。
呼吸を忘れて読み込む迫力とおもしろさがある。

そして今回の「犬夜叉概論」とインタビューは「人間達」。
今回の概論はおもしろかった。
いろんなエピソードに出て来た名主や侍や村人たちのカットがたっぷりあって懐かしい。

息子の代わりに末吉を水神様に捧げようとする太郎丸の父と村人達、犬夜叉達にサツキの境遇を説明する名主、かごめの 自転車を盗んだ弥勒が美女?を従えて豪遊?する場面、邪気の効かないお祓いお婆など、みんな個性豊かで表情豊か。
悪人でさえお人好しの顔に見えるのがいい。

インタビューで高橋さんが一番言いたかったことは、帯にもある「人間達は身勝手だったり、ずるかったり、でも皆頑張って いるんですよ。」だと思う。
具体的に出て来たのが地獄絵師紅達、桃果人、刀秋。
一般人では水神編の名主と、地念児の村の人々。

紅達は普通の人だったのに、描いた鬼が実態化(原文まま、たぶん実体化の間違い)する墨を手にしたばかりに「調子に乗っちゃった」。
哀れだけれど、許したらいけない人。
でも犬夜叉は紅達を斬らなかった、そしてそんな犬夜叉を弥勒は見ていた。
弥勒が犬夜叉を理解する場面が必要だった。

桃果人も「調子に乗っちゃった」人だけど、あれは朔犬が追い詰められるためのエピソード。
刀秋は、夢を見過ぎて悪い投資話に乗っちゃった人みたいな立場の人、たとえが凄い。

前記の名主や村人は、犬夜叉たちと「からむけれど、一緒に旅することのない人々」だった。
その土地その土地に住んでいて、自分の居場所がある人。
それぞれその場所で生きるために頑張っている人。
サツキも小春も紫織もみんな自分の生きるべき地に残る、生きて行く。

一方的にやられて泣いている人はいない。
それなりに強くあって欲しいと思いながら描いた。
だからみんな個性があって表情があって、単なるモブで終わってないんだ・・・。
今回のテーマをキャラではなく「人間達」にしてくれた(選んでくれた)人には感謝。

描き下ろし「あの日の犬夜叉」がちょっと変わってておもしろい。
畑を耕す村人と、弥勒と珊瑚が話をしているのを、木の上から犬夜叉が見下ろすカット。
ちょっとゲーム「呪詛の仮面」を彷彿させる。
いろんな種といろんな肥料を持ってって、畑にまいてもらうのがめんどくさいけどおもしろかった。
組み合わせによって収穫物が変わるんだもんな。

さすがに「犬夜叉」ゲームはもうしてないけど、「呪詛の仮面」は好きだったし、PS版のミニゲーム、いかに北条くんに合わずにいろんなアイテム入手するか、 にはかなりハマった。
実はこのPS版、よく考えられた見事なエンディングだった。
PSゲームってPS2で遊べるんだっけ?
(2014年3月18日の日記)
犬夜叉ワイド版16巻感想
★「ひとりごと」で写真を紹介しています。

「犬夜叉」ワイド版も16巻に入って折り返し地点。
七人隊&白霊山に決着がつくが、桔梗は奈落に瘴気の底に落とされ、この時点では「死んだ」こととされる。
桔梗の死に苦しむ犬夜叉の隙をついてかごめが囚われ、神楽に奈落の赤子を抱かされる。
かごめを操って、四魂のかけらを探させようとする赤子。

かごめの危機は乗り切るが、なんとなくぎくしゃくする2人、そして関係修復。
「鬼女の集落」では弥勒の浮気と珊瑚の嫉妬からとんでもない事件が起きるが、おかげで?遂に弥勒からのプロポーズ。
赤子は白童子と2人に分かれ、カワウソ妖怪の甘太と七宝のほのぼの話の後に、いよいよ「あの世とこの世の境」が出て来る。
ということで16巻はコミック29巻第1話「妖気の渦」から30巻第9話「あの世とこの世の境」までなので、29巻と30巻のほぼ全話。
そのせいかワイド版の表紙、裏表紙も29巻、30巻からのみ使われている。

耳千里や宝戦鬼など懐かしい妖怪も出て来るけれど、さすがに七人隊の後だとインパクトが薄く、やはり気になるのはストーリーよりも 桔梗のその後と弥勒のプロポーズだった。

16巻の概論とインタビューは「四魂のかけら」。
よく考えて作られたアイテムと思いつつ、概論読んでると、なんとまあ都合のいいアイテムとも思ってしまう(笑)。
四魂の玉(かけら)を使えばほぼ何でもできるの世界。
でも連載当時はそういう風に感じさせなかったのはさすがだ。

インタビューでまず笑ったのが「あの日の犬夜叉(イラスト)」が砕けた瞬間の四魂の玉なんだけど、なぜか逆髪の結羅の巣に見えたこと。
なんなんだ私は(笑)。
キャラについては何度も語っている高橋さんなので、アイテムについて語っているインタビューの方がおもしろい。
四魂の玉が砕け散ったというニュースは妖怪たちにとって、歩道橋の上から札束をばら撒いている人がいるってニュースに等しいとか(笑)。

四魂のかけらは、物語の中では主人公に目的を与えるという縦糸。
かけらを探すという目的があり、かけらのある場所では何かよろしくない事が起こっている。
かけらがあってハッピーに暮らしているなんてことは本来ない。
まあ犬夜叉が人間になるのに使ったり、鋼牙などは普通にハッピーな気もするけれど(笑)。

高橋さんは連載中は意識しなかったけど、もしかけらのおかげでハッピーな状態になる人(妖怪)がいたら、犬夜叉達も無下に取り上げることができずに ジレンマだっただろう。
今回高橋さんの口調おもしろい。
「何かよろしくない事」とか「ハッピーに生活している」とか。

まあ幸せかどうかは別として、琥珀がその状態に近かったかな?
逆に飛天満天の雷獣兄弟みたいに強くなって強さを主張するのは不良、「そういう程度」もちょっと笑える。
ただ妖怪たちは強くなければ生きていけない(食われてしまう)こともあり、刹那的に生きている、強さを求めている=生存本能というのは納得だった。

四魂のかけらが負のエネルギーを必要としているからかけらを持つ者は大抵不幸になる。
古来から願い事を叶えるアイテムは、何かを代償に差し出さなければならないし、昔話でも望んでいない人には福が来るし、その福を奪おうとした人には 不幸が訪れるという話が多い(舌切り雀など)。

これは胡散臭い投資話みたいなもので、奈落は桔梗にもらったけれど、良くない融資を受けたみたいなもの、そうまとめるかと(笑)。
ただこれは別に願いを叶えるアイテムじゃなくても、つまり四魂のかけらが負のエネルギーを必要としなくても、強くなれるのだったら狙う者は多い。
結局持ってしまった者はみんなに狙われることになるだろうから、かけら自体が望むものではないだろう。
でもそこに翠子と妖怪たちのエピソードを組み入れることによってうまくまとめた。

それにかけらにある程度意思があることも納得できるし。
一応願ったことがかなってるし、たとえば鋼牙が人間になったり、飛天が足速くなったりしたら、それはそれでおもしろいけど(笑)。

唯一残念だったのは、四魂のかけらを見たり手にしたりできる能力について語ってくれなかったこと。
妖怪だったらとりあえず「妖怪の匂い」かなんかでわかるのかな?
人間だと特殊な力が必要だったし、その辺が曖昧だったので一言触れて欲しかった。
あと今後翠子と「つなぎにされた男」について是非語って欲しい。

もうひとつ、無理だろうけれど「現在の、現代の妖怪」を概論抜きでじっくり語って欲しい。
「犬夜叉」を離れた世界だとやっぱり無理か・・・。
(2014年4月18日の日記)
犬夜叉ワイド版17巻感想
★「ひとりごと」 で写真を紹介しています。

先日京極夏彦原作・志水アキ作画の漫画「魍魎の匣」を読んだ。
いろいろ思うことがあったので、それは京極感想で書くとして、モチーフとなっている鳥山石燕「今昔画 図続百鬼」に掲載されている魍魎の絵を見て、いきなり「犬夜叉」の桃果人編に出て来る人面果を思い出し た。
石燕の絵は亡者の頭にかじりついている魍魎の絵だが、その亡者が人面果にそっくりなのだ。
まあ痩せこけてざんばら髪で、目を閉じていれば、大体似たような顔になるだろうが、それにしても似て いる。

思わず「犬夜叉」9巻桃果人編を出してきて読み始めた。
ワイド版も買ってるけど、やっぱり私が読むのはコミックだ。
ワイド版に比べると、少し黄ばんでいるけれど、コミックには私の勢いと情熱がこびりついている(笑)。
で、9巻を読み終えた後、また1巻に戻って読み始めた。

私のよくあるパターン。
でも最近は七人隊編で大体終わる。
七人隊以降は、気になるところだけ拾い読みはするけれど、最後までじっくり読み返すことはほとんどな くなった。
私にとっての「犬夜叉」は、七人隊までが一区切りだったんだなあとつくづく思う。

さて17巻はコミック第10話「宝仙鬼」から32巻第8話「託された矢」まで。
298話から316話までだから、ちょうど折り返し地点を過ぎて後半に入ったあたり。
宝仙鬼の気の長い息子に会い、麗しい牛頭と馬頭に会い、阿毘姫が登場し、聖様が式神を従えて現れ、 かごめは聖様=桔梗を救い、琥珀は城で束の間の幸福を味わうが、その後血の涙を流す。
奈落の目的は相変わらず不明で、犬夜叉が会った桔梗は、かごめに矢を託す。
後半部分はかごめの葛藤と、珊瑚の琥珀に対する苦悩がかなり重く描かれる。

おもしろさで印象的なのが、宝仙鬼が宝玉作るのに百年かかると言い、犬夜叉とかごめがばたっと倒れる場 面。
そして女性だと思っていた牛頭と馬頭が、アニメでは男性の声になっててびっくり、コミックを見直したら 胸がぺったんこだった、とか(笑)。

あと重要なのが、琥珀が働いていた城が襲われ、「赤子」がさらわれること。
阿毘姫は魅力的だが、奈落が何の目的で阿毘姫に近づいたかということも気になる。
そしてかごめと桔梗と犬夜叉の三角関係。
楓や神楽、殺生丸も登場するが、話が大きく進むのは18巻に入ってから。

今回の概論とインタビューは「犬夜叉の父」と「冥加」。
殺生丸の父でもあるんだがのう・・・。

私は東国の竜骨精の方が西国を野心的で、西国を攻めて来たのだと何となく思っていたら、逆で父君の方 が攻め込んだとのコメントが一番驚いた。
ヤクザの勢力争いみたいなものって言い切っているけれど。

もうひとつ、父君と母君の関係は、描かないことは考えないので、何があったのかはわかりませんとあっ さり、気が抜けた(笑)。
過去に戻って過去を語るだけのエピソードって「犬夜叉」の物語にあまりそぐわないので、あえて描かな かったのだそうだ。
となると、殺生丸の母君登場、唐突な登場は、ある意味タブー破りだった可能性もあるけれど、父君が亡く なって、犬兄弟もふらふらしてて、「日本」を治める者がいない前提があるので、 父君に代わり、統治者として登場する形になった。

もちろん役割はそちらではなく、あくまでも殺生丸の母としての顔を持っての登場だったけど。
おかげで殺し合いする兄弟も放任主義な、なんともわけのわからないお母様という印象が強かった。
その分?とっても魅力的な女性だったけど。

彼女が出るまでは、私は「源氏物語」形式で、犬夜叉の母君に嫉妬した殺生丸の母君が殺しに向かい、犬母 を守る安倍晴明のような陰陽師に倒される。
そこへ竜骨精との死闘で、重傷を負った父君が駆けつけ、陰陽師と契約して自らの残された命を犬母と殺母 に分けて死んでいく、みたいな過去を想像していた。
そうでなくては、殺生丸の人間に対する嫌悪と憎悪がおかしくなるからで、あのキャラなら普通なら無関心 が普通だろうと思ったわけ。

幼かった殺生丸が、両親のいさかいや、泣く母君などを見ていたとすれば、人間憎悪も納得できると。 まあそんな過去も含めて、小説もどきをちょっとだけ書いてもみたが、あまりの文才のなさにあっさり挫折。
でも頭の中には、楓視点の様々な、様々な物語が未だに渦巻いている。

ただ高橋さんも、父君は犬夜叉には甘く、殺生丸には厳しかったことは書いている。
妖怪の殺生丸、半妖の犬夜叉の差もあるだろうし。
「殺生丸って、意外と可哀想な扱いを受けているんですよ。」って、それは父君ではなくて高橋さんですよ。
まあ初期殺生丸がなんかすね者で、幼稚な感じがしたのも仕方のないことか。
犬夜叉はまっとうに幼かったけど。

冥加に関しては、概論は父君と半々でページを割いているけど、インタビューは6行で終わり(笑)。
父君の代から仕えていた語り部で、犬夜叉達にいろいろな事を教えてくれる役回り、確かにそれが全て だ。

今回の「あの日の犬夜叉」は、木の枝に腰かけたチビ犬が見上げる妖犬姿の父君。
満月をバックにかっこいいと言いたいところだが、らんまのPちゃんの大人バージョンみたいな、ちんま りした感じで可愛い。
この構図だと、あまりダイナミックに描けなかったのかも。
(2014年5月17日の日記)
犬夜叉ワイド版18巻感想
★「ひとりごと」で写真を紹介しています。

18巻は第317話「鉄鶏」から第335話「消えた山」まで。
コミックだと32巻9話から34巻7話まで となる。
阿毘姫親子が奈落に殺され、血の河に乗った奈落と犬夜叉達はあの世とこの世の境へ。

最後の四魂のかけらを巡って宝仙鬼、奈落との死闘に殺生丸まで加わって犬夜叉は金剛槍破を会得する。
一方かごめが放った桔梗の矢で危うく死ぬところだった奈落は、桔梗をおびき出すために琥珀に厨子鼠を放つ。
桔梗や犬夜叉達の働きで厨子鼠は退治されるが、桔梗とのことでもやもやするかごめは現代にり、追いかけて来た 犬夜叉がかごめの友達と会ってしまうハプニング。

さらに新たな展開として宿り蛹が七宝に取り憑き、大騒ぎになるがこれは次回への大きな伏線となる。
大筋以外で気になるのは、神楽が殺生丸を牛頭馬頭の元に案内するとこ、長旅なのでじっくり見たかった(笑)。
あと奈落を斬れば、邪見(やかごめ達)が瘴気にやられてしまうと知りつつ、奈落をがんがん斬りつける殺生丸。
犬夜叉が瘴気を払ってくれるはずという信頼関係と見れば微笑ましいが。

かごめのもやもやは、読んでる方もいろんな意味でもやもやするが、七宝主役の大騒ぎは可愛く、かつおもしろかった。
犬夜叉の竹コプター(笑)。
あとシリアスなのに「(厨子鼠を)法師さま吸っといて」はけだし名言。
現代では犬夜叉が掃除の手伝いで可愛くスカーフしてたので、犬耳もばれずにかっこいいと認めてもらい、かごめは嬉しい。
かごめの部屋って二階じゃなかったっけ、二階の窓から入って来るとか、裸足とか爪とか言葉とか、そういうのは問題外。

ちょうど今回の概論とインタビューのテーマが「現代」なので、この辺がうまく説明されている。
概論はほとんどインタビューの受け売りなのでパスして、インタビュー。
犬夜叉は現代を、別の国というように捉えていて、いちいち驚かない設定にしたそう。

見た物触れる物にいちいち驚いていたら話が滞りそうだから。
これは、半妖犬夜叉や現代人かごめが最初はともかく、どこに行っても普通に受け入れられていることともつながりそう。
別の村に行くたびに、半妖だと言われたり、変な着物と言われてたら話が進まない。

なので犬夜叉は現代を「ごちゃごちゃして、うるさい場所」とは思っていてもありのまま受けとめていたし、かごめの家族も 犬夜叉をすんなり受け入れた。
これはかごめの友達もそうで、おかげでちょっととぼけたいい人たちという付加価値もついた。

現代は犬夜叉にとっては息抜きの場で、現代ではダラダラごろごろしているそう。
戦国時代では、いつ妖怪に襲われても対応できるように柱や壁にもたれて眠っていた犬夜叉は現代ではちゃんと横になって眠る。
犬夜叉リラックスの象徴。
自分にとってというよりかごめにとって安全な場所、これが大事。
アニメの戦国時代、大の字で寝ている犬夜叉とかね、見ていろいろ考えたことを思い出した。

現代でも肉づきの面とタタリモッケの話はあったが、肉づきの面は四魂のかけらをどうするかがややこしくなるので、あくまでも例外。
タタリモッケは四魂のかけらは関係なく、かごめの能力や、やれる事見せるためのエピソード。
私はそれだけでなく、かごめの精神面、優しさや強さを強く打ち出したとてもいいエピソードだったと思っている。

イラストはかごめの部屋で転がっている犬夜叉、これが笑える。
連載当時はかごめの部屋で横になるにしてももっとつつましい?感じだったのに、今回はかなり態度がでかい。
結婚して10年目の雰囲気か?
でもここはもうかごめが戻れない部屋でもある。
かごめの家族はこの部屋を、かごめが住んでたままにしてあるんだろうなあとふと思った。
(2014年6月19日の日記)
犬夜叉ワイド版19巻感想
★「ひとりごと」で写真を紹介しています。

「犬夜叉」ワイド版19巻は第336話「岳山人」から第353話「鬼の岩」まで。
コミックだと34巻第8話から36巻第5話までとなる。
アニメがそろそろ最終回(完結編が出るまで)にさしかかったあたりか。

内容は岳山人から妖気の結晶をもらい、桔梗が琥珀と出会い、魍魎丸が登場する。
ここで鋼牙が腰の刀を使う場面が見られるが、アニメで「妖狼牙」なんて立派な名前をつけられてたし、てっきり鋼牙の一族に 伝わる刀と思いきや、飾りに人間からぶん捕ったとあっさり、ここはかなり笑った。
魍魎丸に苦戦する犬夜叉と鋼牙だが、なんとか撃退、しかし妖気の結晶を取られてしまう。

白童子と赤子、魍魎丸、神楽と琥珀も様々な思惑が絡み合い、複雑な様相を呈してくるが、ここで神楽が殺生丸「ほめ殺し作戦!」に出る。
さらに癒し系弥勒と珊瑚の「昔のあやまち ある意味ほのぼの」物語を挟んで御霊丸編に突入。
御霊丸も気になるが、死にかけた神楽が殺生丸に助けられるくだりにはときめいてしまう。
奈落を裏切った神楽、神楽の裏切りを知っている奈落、赤子、白童子、殺生丸の心も測りがたい。
けれども去りゆく神楽を目で追う殺生丸が心配そうに見えたのは気のせいか。

そしていよいよ犬夜叉達と奈落が鬼の岩の体内で対決するところまで。
今回一番気になった台詞は、弥勒が神楽に関して
「敵である我々ですら何度か関わるうちに、命まで取る気は失せていたのにな。」

犬夜叉達の甘さを象徴すると共に、今回のインタビューのテーマである神楽の魅力をもっとも象徴していると思う。
神楽に関しては、概論に詳しいが、インタビューを読んでから書いているのだと思う。
前から気になっていたが、なるべくインタビューの作者の言葉を、自分の意見として概論に入れないでほしい。
たとえば今回も
「神楽は自分の生に対して一生懸命だった。」の部分、神楽の本質を突いた鋭い言葉が急に飛び出して驚いたが、 インタビューで「神楽は一生懸命生きていたと思います。」と答えている。

珍しい言葉ではないが、概論筆者の言葉とするにはやはり浮いている。
概論筆者の方が作者の言葉を受け売りしたい気持ちもわかるが、個人的には概論は概論として御自分の言葉で語って欲しい。

そしてインタビュー。
私は神楽の死を思うたびに、感動と共に思い出すのが鋼牙のこと。
仲間を殺され、屍舞で操られ、もてあそばれた鋼牙が前述の弥勒の言葉に賛同できるだろうか。
そのために神楽は奈落を裏切り始めてから、鋼牙に会うことなく死んだのだろう。

奈落に心臓を握られ、操られていたことは不幸だけど、確かに神楽自身が残忍に殺しを楽しむ面もあった。
どんなに自由を求めていても、神楽自身が変わったとしても、幸せな死を与えていいものだろうかという気持ちも正直ある。
それでもいいのだと、それなりの償いもしたのだと、それだけの魅力もあったのだと言い切れるところが高橋作品の凄いところ。

その神楽は前もって準備をしていたキャラではなくて、奈落側にも綺麗な女性を、ということで生まれたキャラだそう。
最初に鋼牙と会う時に、「妖狼族が皆、ヤンキーみたいなガーッとして連中で、そんな中で野郎が待っていても面白くもなんともないので。」とのこと。
野郎=奈落ね(笑)。
でも神楽を出したおかげで、奈落が壷からいろんな分身を出すっていう発想に繋がったのだそうだ。

神楽は最初から最後まで奈落に反発していたキャラで、それだけにこの2人のやり取りは自分でも緊張感を持って描けたとのこと。
そして作者自身、どんどん情が移って行ったらしい。
神楽はずっと自由になるって希望を抱いていたが、それは絶対無理なこと。
奈落から心臓を返してもらえば、奈落が死んでも生きていられたかもしれないが、それでも神楽は「一生懸命生きていたと思う」。

神楽の最後に関しては、どうするかその数か月前からずっと考えていて、本当にその時を迎えた時はシミュレーションをやり過ぎたというところはあるけど 盛大に送ってあげることはできたとまとめている。
できればもう少し殺生丸との関係について触れて欲しかった。

「あの日の犬夜叉」は神楽と戦っている犬夜叉。
今回はいろんな人が出て来るので、表紙も賑やか。
犬夜叉一行の他に、鋼牙、魍魎丸に白童子、神楽、御霊丸、羅漢像も5体出て来るのでかなりおもしろいことになっている。
(2014年7月20日の日記)
犬夜叉ワイド版20巻感想
★「ひとりごと」で写真を紹介しています。

「犬夜叉」ワイド版20巻は、第354話「破れぬ壁」から第372話「終わらない苦しみ」まで。
コミックだと36巻第6話〜38巻第4話まで。

ちょうど第一期アニメの最終回のあたりで、犬夜叉達は一段落したものの、神楽に危機の予感でドキドキしてた頃。
ところが一転「薬売り」で爆笑。
酔っ払ってほぼ犬と化した犬夜叉、嫉妬に燃える弥勒など、普段あまり見られない姿を見ることができる。

そして本編に戻って魍魎丸と朔犬達の戦闘の合間に親子の情愛に揺れる琥珀や、葛藤する神楽の姿が描かれる。
犬夜叉のピンチにさっそうと現れたのは殺生丸。
殺生丸の妖力を取り込もうとする魍魎丸に放った一言が死ぬほどかっこいい。
「この殺生丸の妖力が、きさまの如き小さな器に納まりきれるか。」
成長したなあ、殺生丸(涙)。

魍魎丸は退散するが、より力を得るため、神楽に琥珀の四魂のかけらを奪うように命じる。
最初は従おうとするものの、白童子にも逆らって琥珀を逃がす神楽。
もう後戻りはできない。

神楽を庇おうとする犬夜叉達は、白童子と赤子までも奈落を裏切ろうとしていることを知る。
けれども全ては奈落の手の中だった。
弥勒に「白童子を殺させた」奈落。

そして犬夜叉達と和解した神楽が会ってしまったのは奈落。
神楽に心臓を返し、その上で貫く。
自由=死、奈落が最後に与えた苦しみ、そこで殺生丸が気づく。

一方珊瑚と雲母は魍魎丸に殺されそうになるが、助けに来たのは琥珀。
琥珀もまたたくさんの罪を犯したけれど、死を覚悟の上で償おうとしている。
本当にかっこいい少年になった。
琥珀は逆に四魂のかけらを奪われそうになるが、助けに来たのは犬夜叉、間に合ったか・・・。

次巻は私にとって一番のクライマックス、一番泣いた場面が入る。

「犬夜叉語り」は神無。
インタビューでちょっと驚いたのが、神無は最後まで奈落に従順だった、心がない設定だからというところ。
神楽を失ったことで「悲しいとまでは思えないのだけれども、何かちょっと欠けてしまったような・・・とか、それぐらいは感じていたと思います。」
とはあるが、私は神無の最後に、さすがの神無も怒りを持って奈落を裏切った、とまではいかなくても何らかの感情を得た、と解釈したので。

いつもとは逆に概論の
「神無は痛みを感じない。
神無は悲しみも感じない。
そう思っていたのは、奈落の誤算だった。」
と書いてある方が、私の解釈にも、そして読者の解釈に近いんじゃないかなと思う。

いつもは概論がインタビューに引っぱられてる感じだけど、今回はインタビュー読む前に書いたのかな?
インタビューで、神無本人に関しては、他の分身が自己主張が強くてみんな裏切ったけど、神無だけ従順の繰り返しで(笑)、あまり言う事なかったのかなあと。
ただ登場期間が長いので、神楽と共に忘れられないキャラになった、情が移ったというのは説得力があった。
「あの日の犬夜叉」は奈落と犬夜叉と神無。
キャラの顔がだいぶ変わったけど、神無は目が黒塗りなのであまり変わらない。
(2014年9月12日の日記)

過去の日記目次へ

ホームへもどる