「MAO」感想(第111話〜120話)
10月4日 第111話「巨大な呪具」
原作少年サンデー2021年9月29日(43号)「MAO」 第111話「巨大な呪具」

   ☆   ☆   ☆

やっと来た!菜花のターン。
「地血(あかね)丸を本当に抜く時なのか、こよりを切る時よく考えな」
乙弥が冥命堂(めいめいどう)の言葉を思い出させるが、「そんなの・・・あとから考えるよ!」
だから摩緒が心配するんだよ(笑)。

摩緒も自ら結界を斬って飛び出す。
菜花ほどじゃないけれど、こっちもかなり無鉄砲。
ここは摩緒が変化(へんげ)しないで菜花と共闘して欲しい。

それにしても蟲毒だけじゃなく延命の庭自体が呪具であることには驚いた。
不知火傑物過ぎでしょ。

自分がバタバタしてるせいもあるけれど、不知火とか幽羅子とか夏野とかすっかり忘れてた。
これまでの作品と違い、「MAO」は伏線を散りばめるというより、流しソーメンのように流す感じ。
だからつかまえ損ねるとそのまま流れて行ってしまう。
これらの伏線をどのように絡めて行くのか、ほんと楽しみ。
これまでの高橋作品とは違う読み方をしてる気がする。
蓮次と芽生は、これまで登場した中で一番魅力的な悪役だ。

ひとりぼっち農園、計算しないで自ら苦労に飛び込む横山さん、好き(笑)。
(2021年10月4日の日記)
10月12日 第112話「弱点」
原作少年サンデー2021年10月8日(45号)「MAO」 第112話「弱点」

   ☆   ☆   ☆

今週号の「MAO」のカラー表紙、いいなあ。
美男美女勢揃いで赤と黒のコントラストが映える。
18日発売予定の10巻の表紙、黒髪摩緒も素敵。
表紙で発売が楽しみというのも珍しく。

緊迫の戦闘場面なのに、なぜか菜花に笑っちゃう。
「今が抜く時かなと・・・思った!」
いやここは笑うとこじゃないでしょ。

菜花が摩緒の弱点、まさにそうだけど、今回は摩緒は少なくとも理性的に戦っていた。
蓮次が摩緒の理性を奪うほどの大物ではないことがあったかもしれないし、蓮次の底にある 「理不尽な暴力に対する怒り」を見抜いたのかもしれない。
蓮次がほんとに理性を失うのは、たとえば姉の骨がこの庭に埋められていたとして、それを知った時。

基本的に優しい摩緒と蓮次、それだけに感情を見せない芽生の不気味さが際立つ。
それにしても芽生といい幽羅子といい、服の趣味は作者か不知火か?

そして次に笑ったのが菜花と乙弥の掛け合い。
「じゃあなにを斬ればっ。」
「あくまで斬る気なんですね。」
自分の危機を顧みず斬る気満々の菜花。
乙弥じゃなくても目が離せない(笑)。

結局菜花は百火を捉えていた海龍を斬って百火を救う。
そして気絶。
百火の「ああ!? あんで気絶してんだ!?」にまた笑った。
摩緒の真剣な戦いと菜花の笑える戦いが(いえ真剣なんだけど)これまた見事なコントラストで今回も存分に楽しんだ。

蓮次と芽生は撤退し、ひとまず日常に帰るのか。
次回は息抜きほのぼの編だったらいいな。
(2021年10月12日の日記)
10月19日 第113話「鞄の手」
原作少年サンデー2021年10月13日(46号)「MAO」 第113話「鞄の手」

   ☆   ☆   ☆

菜花を見てるとあまり深刻性を感じないが、
「同じ猫鬼に呪われた血を持つ者同士、血を補い合っている」
「地血丸は持ち手の血を吸いあげ、血刀で敵を斬る」
かなり危険な刀であることがわかる。
逆に菜花の血を使わずに刀を振るう方法があるのか、そっちの方が疑問だ。

そして久々に夏野登場。
夏野が出ると、私も一気にクールモード。
夏野を見てると何となく「名探偵コナン」の灰原哀を思い出す。
彼女が好きという高橋さん、もしかしたら夏野のモデルは灰原哀かも。

鞄の手、というより鞄の腕が新たな事件として出て来るが、今回はそれよりもキャラの会話が 楽しかった。

地血丸を使っても気絶しない方法や血の減らない薬を知りたい菜花に「そんな都合のいい もんがあるかっ!」の百火。
登場当初はずいぶん子どもっぽかった百火も今では菜花の兄のような存在感を見せる。

乙弥が「犬夜叉」の七宝かと思っていたが、百火が七宝で乙弥が弥勒かと思っていた(笑)。
百火の成長は意識的なのか、描いているうちに変化して来たのか、知りたい。
なんとなく後者のような気がするが。

そして芽生と蓮次。
「地獄に行くまでがんばって生きてください」
「おう」
この時の2人の表情も好き。

最後は夏野が珍しく優しい笑顔で、「安心しな 乙弥。
(菜花には)は私がついてる」と言ったのに、
「ああ きっと抜く。
菜花さんはそういう人だ」と乙弥心の声。

乙弥も心配も嬉しさも表には出さない子(式神)だけど、ちゃんとその感情が豊かに表現されていて 嬉しい。

それにしても無理せず刀を使いこなすには・・・。
敵(妖)の血を与えるか、でもそれだと相手が蓮次や不知火のような人間の場合は菜花が 使えないだろう。

それとも摩緒のように殺さずにダメージを与える方に伸びて行くか。
今のところそんな余裕はなさそうだが。
摩緒がいれば菜花に人を斬るような真似はさせないだろうが、その点夏野は容赦がなさそう。
菜花と夏野が組むのは不知火編に続いて2度目だけど、あの時は菜花は戦闘要員ではなかった。
摩緒の優しさ甘さから離れて夏野のクールと非情がどんな風に菜花を変えて行くのかある意味楽しみ。
そして目覚めた時の摩緒の反応も。

ギガはいよいよ回想編突入かっ!
(2021年10月19日の日記)
10月26日 第114話「西洋館の薬局」
原作少年サンデー2021年10月20日(47号)「MAO」 第114話「西洋館の薬局」

   ☆   ☆   ☆

まずい、「MAO」114話を読んで「うしおととら」を読み返したくなった。
「愚か者は宴に集う」。
でも読んだら絶対1話から読み始めて最終話まで読んでしまう。
今は我慢我慢、辛い・・・。

さて、表紙が乙弥が可愛いほのぼのムードだったので、話もほのぼの日常編かな?と思ったらとんでもない。
摩緒が寝てる間に夏野が菜花を連れ出しての妖退治。
おもしろいなあと思ったのが、摩緒、華紋、百火は菜花をかばうと言うか甘やかす。
もちろん菜花の戦闘能力はわかっているけど、そこは異性としての優しさか。

その点夏野は容赦ない。
本当の意味で菜花を鍛え、覚醒させるのはこっちの方じゃないのかな。
もちろん菜花も地血丸という爆弾を抱えているので無茶は出来ない(はず)だが、そこで無茶を やっちゃうのが菜花であり、そこは夏野なら冷静に制御できそう。

今回の相手は山椒魚の妖とたぶん蛇の妖コンビ。
(蛇と思われる妖はまだ正体を現していない。)
人間の姿をしている時は山椒魚型は小柄で蛇型はひょろっと背が高い。

ここで「愚か者は宴に集う」のたゆら(蛇)となどか(蝦蟇)を思い出したわけ。
とはいえこちらの妖には残念ながらたゆらとなどかのような魅力はなく、おそらく夏野の探す「腕」への つなぎだろう。

それでも子どもを人質に取られているような状態で苦戦はするだろう。
ここで菜花が地血丸を抜いて(抜くほどの敵には見えないが)、そしてどうなる。
やはり相手の血を刀に吸わせるのが一番無難そう。
でもそれだと相手が人間だと使えない刀になって困りそう。
(2021年10月26日の日記)
11月2日 第115話「作業場」
原作少年サンデー2021年10月27日(48号)「MAO」 第115話「作業場」

   ☆   ☆   ☆

「MAO」でありながら摩緒が表紙と回想で2カットしか出て来ない珍しい回。
「早っ!」と思った。
早くも地血丸が菜花を認めたようだ。
こういう形になるだろうと思ってはいたものの、展開の早さにちょっと驚いた。

犬夜叉の鉄砕牙や殺生丸の天生牙を思い出す。
どちらも自己より他、他人を思う心で使いこなせるようになった。
まあ菜花の場合、使うことで命に関わるので、そんなに引き延ばしてもいられないか。
っていうか、もはや菜花の方が主人公ポジ。

でもこれって高橋留美子さんのぶれることのない「芯」なのだろうと思う。
少年漫画の王道とはいえ、人を思いやる心、その描写の仕様が好きだ。
まあ夏野と2人で飛び出した時点で想像はついたけど(笑)。

それにしてもこの「呪いの刀」、本当はいい奴?みたいなのがこれまでとはちょっと違うところ。
もしかしたら御降家の他の呪具も使い方次第では人のためになる物となるのだろうか。
御降家が単純な悪ではなく、そこまでの複雑性を見せてくれたらちょっと嬉しい。

最後に地血丸から流れ出て来た血は誰のものか。
一応「鞄の手」を斬った時に血が出ているので、それを吸い取ったのか。
鞄の手が人で作られたのならあり得ないことではないか。
まあ以前書いたように、菜花が人自体を斬ることはないだろうから、そこはやはり地血丸が 菜花の負担にならないように同化したか、そう考えておこう。

今週のギガ。
最後のページでもう泣きそう。
それにしても佐藤さんはリアルな描写が持ち味とはいえ、(いい意味で)残酷な方だ。
「女性の老い」をここまでリアルに描写する作品、これまで私が読んだ中であったかな?
たとえば「犬夜叉」の楓も少女から一気に老女になったが、もう少し遠慮があった気がする。
佐藤さんのリアルな描写は好きだがちょっと落ち込んだ。
(2021年11月2日の日記)
11月9日 第116話「血の一撃」
原作少年サンデー2021年11月3日(49号)「MAO」 第116話「血の一撃」

   ☆   ☆   ☆

こう来たか、血のムチだった。
菜花の血をムチとして、蛇の妖を切断。
菜花の血を使うけど、血を失うことはない。
考えてみればそれ以外の方法はなかった、でも全く想像できなかった。
しかもその力が発動したのは、菜花の自分ではなく、他人を守ろうとする心。

さらに謎が増えたのは夏野。
山椒魚に飲み込まれるが、あえての体内に入って中から攻撃するのかと思ったら、 そうではなかったらしい。
「人でないために」吐き出され、山椒魚の妖自体はあっさり撃破。

ただ夏野の顔にひびが入る。
夏野の体は土でできているのか。
菜花はともかく、摩緒や華紋が気づいてなかったとすれば、それもまた不思議。
乙弥がお茶を出してるから普通に飲食できるんだろうけど、人として失った部分を 土で補っているのだろうか。

こういうシーンは、摩緒や菜花、夏野を描いて、後で乙弥を付け足すのかな?
小さいし、どこにいて何をしててもいいキャラ。
それだけに乙弥を描くのは楽しそう。

菜花は地血丸が護り刀であったことを知る。
やっぱりこの辺はクールな夏野と組んだのが良かった。
摩緒だと菜花を守る意識が強過ぎて、菜花が刀の意味に気づく前に終わっていたかも。
正直言ってその程度の相手だったし。

今回は表紙がカラーで次号は新展開。
とりあえず夏野の顔は治してあげたい、女の子だし。

今週の古見さん。
クラスメートに個性出そうとしてだろうけど、なんだかおかしな人が増えすぎ。
主人公カップルは王道可愛い。
只野くん、電誅(笑)。
アニメ見なくちゃ。

今週のまかないさん。
「そやけどあれ、中身、めがねねえさんどすえ。」に笑った。
アニメ見なくちゃ。

今週のギガ、涙腺崩壊。
最近本当に神経が過敏になってる。
辛くてせつなくて、でもとても優しい物語。
次回妖怪編にしないで描き切って欲しい。
クロ編はきちんと戦争に向き合う物語。
Eテレでアニメ化して欲しい。
延々と続くアニメでなくていい。

今週のひとりぼっち農園。
編集長の市原さんが退任されたんだよなあ。
この漫画はコロナ関連を見るにだいぶ昔のことを描いているみたいだから、当分出演? されるだろうけど、出なくなったら寂しい隠れファン。

でも今日初めて市原さんの写真を見た。
デフォルメしてると思ってたけど、漫画とあまりにそっくりで笑ってしまった。
市原さん、お疲れ様でした。

声優の太田淑子さんがお亡くなりになりました。
出演作品多数の大ベテランですが、私が太田さんを知ったのは「犬夜叉」の裏陶。
アニメで存在感が増した数少ないキャラの1人という事で強く印象に残っています。
御冥福をお祈りします。
(2021年11月2日の日記)
11月15日 第117話「土鈴」
原作少年サンデー2021年11月10日(50号)「MAO」 第117話「土鈴」

   ☆   ☆   ☆

「宿命を背負う二人の少女」。
そっか、夏野も「少女」なんだ。
あまりに落ち着いていて「女性」と認識してたけど、菜花とそんなに変わらないのか。
菜花が敬語使ってる。
表に出さないけれど、優しい性格であることは確かで、ある意味摩緒より菜花を適切に指導してくれる。
そして多くの謎を残したまま去ってしまう。

夏野は土人形との契約があるから、普段は1人で動き回っているんだろうけど、華紋や百火は普段 何をやっているんだろう。
一緒に住むのは無理でも、そばで暮らしててもっとちょこちょこ出てくれてもいいのにな。
特に賑やかしの百火(笑)。

夏野の体は、基本的に人間なんだろうけど、もしかしたら土で補修、あるいは修繕しているのかもしれない。
今はすぐに菜花を連れて来たから治す暇なかったんだろうが。
そう考えたらふと桔梗を思い出した。

でもそんな疑問も吹っ飛ぶ大事件。
菜花の事故があった場所が再び陥没!
そのことよりも、菜花が摩緒の時代に行けるかどうか、そっちが気になる。
「犬夜叉」でもかごめが骨喰いの井戸を通れなくなることがあった。
その時、かごめの恋心が一気に深まるのだが、菜花はどうだろう。
まあ菜花はすでに摩緒大好きを意識してるから関係ないか(笑)。

猫鬼がなんだか六文みたいないい猫に見えて困る。
しかも魚住さんも久々登場。
ただ今の時点で、猫鬼を菜花から遠ざけていいのかな?

今週のギガ、表紙でもう・・。
クロはわかっていたのだろうか。
クロはたぶん誠治の血を引く人間がいる限り、その人間を見守り続けるのだろう。
でもそれはそれだけの別れも意味する。
誠治、直接血の繋がりはないけど誠治が愛し、クロを見ることができた優しい真琴、稔、そして美琴。

限りなく幸せで限りなく辛い生き方。
この物語はどんな形で終結するのだろうか。

クロもある意味「不老不死」。
昔から不老不死は人間にとって永遠の憧れとして描かれて来たけど、そうではないのだと、高橋さんから学んだ。
稔もすでに年老いて、美琴の父母のどちらか、誠治の血を引く親はクロの存在を知っているのだろうか。
ここに至るまで全く出て来ないところをみると、美琴の両親はクロを知らないのかもしれないなあ。
ちょっと寂しくなって来た。

私の父は比較的若いうちに逝ってしまい、母はしっかり年老いてから父の元へ行った。
やはり「私だけ年とって恥ずかしいなあ。」なんて冗談めかして言ってたけど、父の年齢の時の写真を入れてあげれば 良かったかな。
今は若かりし頃の両親が2人で笑ってる写真を飾っている。
(2021年11月15日の日記)
11月19日 第118話「床下」
原作少年サンデー2021年11月17日(51号)「MAO」 第118話「床下」

   ☆   ☆   ☆

菜花がゲートを通って摩緒の時代に行けるのか、そればかりが気になってたので回れ右した 菜花に「あれっ?」。
ついでに摩緒も菜花の時代に来れるようになったかと思えば摩緒も通ろうとすらしないし(笑)。

菜花は祖父が気になって帰宅する。
摩緒はゲートを通ってやって来た猫鬼と相対する。
先日猫鬼が六文みたいなんて書いたけど、さすがにこっちは危険な雰囲気。

菜花の祖父は、猫鬼のことも全く知らない操り人形だと思っていたがそうではなかった。
少なくとも猫鬼の声とは知らないままに、事故の日の記憶もあり、その不可思議さもぼんやりとながら 捉えている。

そして大正時代で摩緒と出会った猫鬼は、摩緒に「待っていろ・・・もう
すぐだ・・・」の言葉を残し、消え去る。
その猫鬼が再び現れたのは五色堂、しかも「右腕」をくわえている。 五色堂から出て来たのは五色堂の番人である土人形。
しかし土人形は猫鬼に襲いかかることなく迎え入れ、猫鬼は五色堂に踏み込む。
その床下には右腕のない人間が埋まっていた。

褐色の肌、摩緒とほぼ同世代と見られる男性。
どう見ても大五だろう。
だがその前に、右腕を探していたのは夏野だったし、かつて夏野が死にかけた時、夏野と契約を交わしたのは この土人形だった。

御降家は闇を司る存在だったが、少なくとも猫鬼はその頃御降家に飼われていた。
現在も御降家のために存在するかと思えば、そうも考えにくい。
さらに摩緒のところからここに来るまでに夏野に会って、夏野が見つけた腕を受け取ったとも考えにくい。

そしてこの人間が大五なら、当然大五は闇を司る存在として蘇るだろう。
生前の大物感からして、大五が奈落クラスのボスキャラ、不知火や幽羅子も大五が操っていてもおかしくないと思っていたが。
猫鬼に救われたなら、猫鬼の傀儡となって摩緒や菜花と敵対するのか。

ただ今週号を読んで、三浦健太郎著「ベルセルク」を思い出した。
三浦氏は今年の5月に急逝されたので、「ベルセルク」は未完のまま終わるだろうとされている。
それはさておき、「ベルセルク」には、キャスカという女性が登場する。
黒髪に褐色の肌、「蝕」により精神が崩壊する。

彼女の心を取り戻すために、魔術師シールケとその弟子ファルネーゼは、キャスカの精神世界に入る。
キャスカの壊れた心は、棺の中の砕けた人形として表現される。
シールケとファルネーゼはかけらを集め、キャスカの人型を造り上げて行く。
人型キャスカが完成した時、現実のキャスカも心を取り戻すのである。

褐色の肌から連想したか。
先日読んだ「少年チャンピオン」の板垣恵介さんと高橋さんの対談を読んだせいか。
高橋さんは青年漫画も読まれるようだが、唐突に途切れた「ベルセルク」に対する想いはお持ちだろうか。

   ☆   ☆   ☆ (ここから「ベルセルク」に関するネタバレ入ります。)   ☆   ☆   ☆

最終話、ガッツとキャスカの失われたはずの息子の正体が明らかになる。
2人と敵対するグリフィスが、あることから2人の息子を体内に取り込んでおり、時にその影響を受けて少年の姿で2人に会いに来ていた。
グリフィス自身も気づいていなかったが、この時グリフィスは自身の姿に戻り、ガッツ、キャスカと共に2人の息子が自分の中に いることに気付いて涙を流すのである。

ここで「ベルセルク」は終わってしまい、もしかしたら続きがあるのかもしれないが、今の段階では読者が想像するしかない。
ここで3人の和解も想像できるかもしれないが、私はむしろ「道ができた」ことが気になった。
グリフィスの中に自分たちの息子がいることを知ったガッツとキャスカは、もうグリフィスを殺すことは出来ないだろう。
そもそもどんなに敵対していてもガッツはグリフィスを殺すほど真っ直ぐには憎めなかった。

でもグリフィスは?
私は彼は涙を流しながらもガッツとキャスカを殺せる存在だと思う。
ソーニャは?シャルロットは?
現在完全無欠の超人、心を乱すことなく己の理想とする姿となったグリフィスは?

その心に傷を作るのがガッツとキャスカの息子。
せめて名前を付けてあげたかったな。

かつてのグリフィス、かつてのキャスカを彷彿させるような無邪気なふるまいをする少年。
やはり最後は幸せに終わって欲しかった。

それにしてもフェムトって一体何だったのだろう。 もちろんゴッドハンドの1人として存在しなければならなかったし、フェムトにならなければグリフィスも自分を取り戻すことは出来なかった から、キャラとしては認めるけれど、通して読めば蝕以前のグリフィスと、現在のグリフィスとの繋ぎに過ぎなかったような存在感のなさだった。
グリフィスの味わった苦痛に、グリフィスもまた救われて欲しいと願ったけれど、こんな形で終わるとは・・・。
三浦氏の御冥福を心よりお祈り申し上げます。

   ☆   ☆   ☆

それはともかく、今週の「MAO」は私の中では「ベルセルク」へのオマージュになってしまった。

そして「妖怪ギガ」は来週が最終回。
もっともっと読みたかった。
誠治と真琴の日常、戦争から無事帰って来て、子どもたちが大きくなって、結婚して子供を産んで、ずっと見守り続ける クロの姿を見たかった。
とても寂しい。
(2021年11月19日の日記)
11月29日 第119話「抜け殻」
原作少年サンデー2021年11月24日(52号)「MAO」 第119話「抜け殻」

   ☆   ☆   ☆

祖父の安全を確かめ、大正時代に舞い戻る菜花。
その先で摩緒が待っていた。
摩緒はゲートを通ろうとしたのか、ぶつかったのか、ゲートを通り抜けても 大正時代のままだったのか。

どちらにしても余裕のない摩緒と嬉しい菜花の素敵なシーンだが、ここで摩緒が どうだったのかが明かされないのも素敵。

それはさておき、猫鬼によって蘇った(おそらく)大五。
ただ彼は抜け殻のようで、ただ一言「さ・・・な・・・」と呟く。

ここで桔梗を思い出したのは私だけではないはず。
彼にとって裏陶の役割を果たすのは猫鬼なのか、さらに誰かが登場するのか。
「犬夜叉」と「似ている」ことは、当然作者も承知だろうから、この状況に どのような味付けをしていくのか、ほんと楽しみ。
それにしても猫鬼がなんだか可愛くて困る。

今回はさらに夏野が登場する。
夏野の傷ついた顔はまだ治っていないらしい。
そしてここで百火に会いに行くという事は、少なくとも猫鬼と夏野は関わり合ってはいないという事。
夏野は猫鬼の腕発見と、「彼」の復活を知っているのか。
今のところ知らないように見えるが。

と思ったら、何らかの形で知ったようだ。
あのゴーレムみたいな土人形が教えに来たのかもしれない。

夏野は百火を誘って「陸軍兵舎」に向かう。
話を聞きたい「ある者」とは?
白眉ではないと思う。
白眉なら今更「そいつ」なんて持って回った言い方をしないだろうし。

それはともかく、陸軍が登場してくるのが気になる。
今まで通りただの「場」の一つなのか、歴史の一面に食い込むのか。

「犬夜叉」は謎を出しつつ解決しつつで進めていたけど、「MAO」は謎を1つ解決するたびに さらなる謎をふりまく感じ。
とんでもなく地味だけど、とんでもなくおもしろい。

「妖怪ギガ」最終回。
お疲れ様でした。
でもどうしても、クロ編をじっくり読みたかったと思います。
戦後から突然令和に飛んでって。

誠治が帰って来ても来なくてもみんなで力を合わせて生きて行く、その日常を もっとじっくり読みたかった。
番外編?集もそれはそれで好きだけど、クロの物語の感動や楽しさが途切れてしまう。
それだけが不満だった。

最終話はクロも離れて妖怪編。
表紙がとても素敵だった。
そして「水曜日のDiary」が私にとっての最終回。
佐藤さんって文章も独特でおもしろい。
漫画エッセイなんかも似合いそう。

高橋留美子さん、荒俣宏さん、水木プロダクションという、いかにもな方々からのメッセージがまさにツボ。
京極夏彦さんからのコメントも欲しかったかも。
佐藤さんの次回作がどうなるかはわかりませんが、佐藤さんの描く妖怪好きだから妖怪物読みたいなあ。
でも2作同じような作品が続くのはきついかなあ(描く側として)。
どちらかというと高橋留美子風な漫画家さんだと思うので、期待してます!
本当にお疲れ様でした。
(2021年11月29日の日記)
12月6日 第120話「睨み火」
原作少年サンデー2021年12月1日(1号)「MAO」 第120話「睨み火」

   ☆   ☆   ☆

12月1日発売1号120話、なんてきりがいい今週の「MAO」。
なごみの表紙と共に、今回の主役はどう見ても百火。
紗那と灰丸、そして百火。
灰丸百火を見て笑ってるよ。
(ちょっと馬鹿にしてるように見えないこともない。)

さらに夏野の前では敬語を使って素直な百火。
こんな百火も見たことない。
これぞ弟弟子の鏡!
芸人時代の衣装より、見た目も落ち着いてかなり成長した描写が目立つ。

それにしても百火は能力もかなり高く、白眉とも対等に戦っているのに、平安時代が 「アレ」なのは、粗忽な性格のせいだったのか。
五色堂に呼ばれた時点で火の術者としては御降家一だったんだっけと改めて認識。
(百火より上級の弟子たちが殺された後で、の条件付きだが。)
ただおびき出す相手が新たな登場人物かな?と思ってたので、普通に白眉だったのは ちょっと笑った。

さて、その白眉。
回想で、逃げ出した幽羅子を捕まえたのが白眉だったことが語られる。
にもかかわらず、今は幽羅子とつるむ白眉。
幽羅子は逃げ出した時、自分を捕まえたのが白眉だと知っているのだろうか。
しっかり視線を合わせているので気づいているとは思うが。
だとすれば、2人の間には、不知火を含め、かなり複雑な関係がありそうだ。
以前幽羅子は不知火を「兄」と呼んでいたが、それも気になる。
便宜上かもしれないが、周りに人のいない時だったから。

摩緒と菜花と猫鬼、そして白眉と幽羅子と不知火、夏野と猫鬼、そして大五と猫鬼。
このあたりの因縁が今後どのように絡み合って行くのか、興味深い。

最後は白眉と夏野の再会。
百火や摩緒は相手を殺すようなキャラじゃないし、華紋も余程のことがない限り自分からは 手を出さないだろう。
夏野と白眉、今はこの組み合わせが一番危険な気がする。
(2021年12月6日の日記)

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