「MAO」感想(第221話〜230話)
3月15日 第221話「別れの言葉」
原作少年サンデー2024年3月13日(16号)「MAO」 第221話「別れの言葉」

☆   ☆   ☆

ああ、寂しいなあと思う。
表紙の夏野の寂しげな後ろ姿。
最後の「面白かったよ・・・」の言葉。
そして砕ける瞬間の笑顔。

もしかしたら夏野の魂もまた大五の中に入って生き続けることができるのでは?と期待してたけど無駄だった。
ただ夏野が何の意思も持たないただの操り人形ではなくて、「夏野」として生きて来られたことは幸せだったろう。
摩緒や菜花や、華紋や百火と出会う前の数百年は孤独だったとしても。
美しい最期だった。
そしてやっぱり神楽を思い出す。

反面、大五に感じる違和感。
蘇って最初に気にかけたのは摩緒。
夏野に想いはないのだろうか。

奇しくも夏野がメインで初登場回(61話「夏野」・コミック7巻第3話)では、紗那と大五の逢引きが描かれる。
紗那が一方的に想いを募らせていて、大五は割とクールに見えた。
最初に見た時、引っかかったことを思い出した。

「継承者候補最後のひとりが目覚め」た今回。
土属性の大五、木属性の華紋、水属性の真砂、金属性の白眉、そして火属性の百火。
(当時の)百火が選ばれたのはある意味不思議、は置いといて。
真砂が死んで候補者は不知火に移ったのだろうか。

ただ、不知火が今生きている理由には謎もある。
あの日に不知火が摩緒を傷つけたのは、「候補者以外は傷つけられない、殺せない」ルールが発動する前なのか、後なのかということ。
確かに不知火も髪が白と黒のミックスとなっているし、今も生きていることがその証?
どうも不知火の生存はいびつな何かを感じる。
真砂があのような形で残っていることも。

逆に、大五が死んでも夏野は後継者候補とはならなかったのだろう。
大五が本当の意味で死んでいないことの証だったのか。

「MAO」は「犬夜叉」以上に何度も読んでしまう。
「犬夜叉」はおもしろいから読み返していた。
「MAO」は難しくて読み返してしまう。
そして、読めば読むほど謎が出て来る。
当時気にならなかったことが気になって来る。

作者の伏線に踊らされているのか、昔の深読みし過ぎ病が再発したのか。
どちらにしてもこの感覚、懐かしい。

それとは別に、生前の大五の記憶が夏野に流れ込み、新たな謎が出て来る。
あのメンバーで摩緒を呪うと言ったら、白眉しか考えられないわけだけど、その呪詛を祓ったのは すでに猫鬼となっていた灰丸。
まあ灰丸が摩緒を護る理由は今ではわかるが、白眉は1人で後継者以外も殺し回っていたのか?
それに比べて百火への呪詛のちゃちかったこと(笑)。

摩緒が生贄というのはわからないことではない。
ただ、なぜ摩緒なのか。
元々能力があった、まるで百鬼夜行に気づいた子供の頃の安倍晴明のように。
摩緒の出生にも何かあるのか知りたいが、おそらく描かれることはないだろうなあ。
母は狐ならぬ猫の妖怪だったなんて話になったら気が抜ける(冗談です)。

最後に今週号は週刊少年サンデー65周年記念号。
表紙に連載漫画のメインキャラ登場で、「MAO」からはもちろん摩緒。
創刊は1959年(昭和34年)。
以下Wikipedia参照、高橋先生は1978年(昭和53年)に「うる星やつら」でデビュー。
創刊当時は手塚治虫先生、石森章太郎先生といったそうそうたる顔ぶれ。
私が「高橋留美子」と出会った思い出の「犬夜叉」は1996年(平成8年)に連載開始だが、当時は読んでなくて、 サンデー連載を読み始めたのはいつからだったかなあ、懐かしい。

当サイトもなんだかんだで22年になりました。
今後ともよろしくお願いします。
(2024年3月15日の日記)
3月26日 第222話「始まりの場所」
原作少年サンデー2024年3月19日(17号)「MAO」 第222話「始まりの場所」

☆   ☆   ☆

あの日、五色堂に呼ばれた弟子たちが今再び集結する。
思わず衝撃のクライマックス、そして怒涛の最終章への展開を予想してしまった。
でも読むうちに感じた、やはり違和感。

大五が蘇るなら、一番先にすべきことは、紗那に関することだと思っていた。
理由はどうあれ、紗那を手にかけたのは幽羅子。
そして紗那の心臓は未だに残っている。
もしかしたら紗那復活の可能性もなくはない。
もちろん、大五は知らないだけかもしれないが、今回に至るまで一度も紗那の名前を口にしていない。

もう一つ、不知火が大五を襲っているが、不知火はあの日五色堂に呼ばれてはいない。
(まだ真砂が生きていた)。
白眉が五色堂に、あるいは大五に呼ばれたのはわかるが、不知火は勝手に来たのか、あるいは五色堂に 憑いて来てしまったのか。
海龍をやられた不知火も心配だが、さらに謎。

あの頃の不知火がなぜ大五を呪殺できたか。
百歩譲って毒殺ならまだしも。
御降家が燃え尽きた日、死を覚悟した不知火は、あの時点まで言い方は悪いが確かに小物だった。
あそこで死んでもおかしくない脇役だった。
さらにここに幽羅子がいない謎もあるが、まあ幽羅子に関しては、大五がまだそこまで知らないということもあるだろう。
摩緒や華紋、百火が大五に不信感満々なのにはちょっと笑ったが、大五の優しい言葉にすぐ懐柔されてしまう百火が可愛い(笑)。

不知火が真砂の代わりになった時点で、五色堂関係者のひとりになったのなら話はわかる。
ここに集結した5人+菜花。
正直菜花の必要性はあまり感じないが、主役の1人として蚊帳の外はちょっと可哀そうな立ち位置なので、呼ばれて良かった。
夏野を失った悲しみに、輪をかけるような大五の言葉は慰めになっていない気はするが。

そしてラスボス感Maxで現れたのが猫鬼。
遂に役者が揃ったか?いえまだ足りない。
猫鬼にも知らないことはたくさんあった。
猫鬼もまた、操られていた者の一部ではないのか。

登場済みの中で幽羅子や紗那や(まだ言うけど)御降家当主がラスボスとは考えにくい。
まだ見ぬ存在を期待しつつ、これはまだ最終章には程遠いなと安心した次第。
(2024年3月26日の日記)
4月5日 第222話「不死の呪い」
原作少年サンデー2024年4月3日(19号)「MAO」 第223話「不死の呪い」

☆   ☆   ☆

今週号を読んで、思わずコミック4巻を引っ張り出したのは私だけではないと思う。
そう、藻久不さん(思わず「さん」付け)。
4巻で「灰丸を猫鬼にしたのは、この藻久不です・・・」の言葉と藻久不の回想が描かれる。
灰丸はすでに猫鬼だったのに、なぜこんな茶番に付き合ったのか。

今読み返すと、確かに謎は多い。
そして気づくことも多い。

藻久不は術を覚えたくて、御降家の弟子たちに頼んでも断られ、でもそんな時「あのかた」に、
「術を教えてやろう。そのかわり・・・」の言葉と共に蠱毒の術を命じられる。
命じたのが御降家の当主だとしたら、「あのかた」なんて言い方はしないだろうと思っていたが、 実際当主はすでに灰丸が猫鬼だと、いえ「猫鬼=びょうき」ではなく「猫鬼=マオグイ」であると知っていた。

マオグイとは陰陽道の木火土金水のどれにも属さぬ猫の妖、陰陽師にとって最凶の蠱毒。
そうなると、藻久不に蠱毒の術を命じた「あのかた」とは灰丸自身ではなかったか。
誰にも懐かぬ灰丸が、藻久不に素直に連れて行かれた謎はここにあるのではないか。
わざわざ蠱毒を繰り返すということは、さらなる力を手に入れるということか。

この当主、本当に優れているのかいないのかわからないけど、陰陽師としての欲は強かったらしい。
猫鬼に賭けを挑む。それが五色堂に後継者候補が集められた日の事実。
当主が勝てば、猫鬼は当主の式神となる。
猫鬼が勝ったら、御降家は猫鬼のものとなる。

ただ、この賭け自体成立するのか?そこが不思議。
この賭けはいわゆる人間の蠱毒で、最後に残った後継者候補と摩緒が戦い、後継者候補が勝てば 当主の勝ち、摩緒が勝てば猫鬼の勝ち。

この時点で水の術者は不知火ではなく真砂。
摩緒を含めた6人で、本気で全員を殺してでも、と思いそうなのは白眉くらいだろう。
白眉が一人勝ちで摩緒に挑めば、摩緒も自分を守るために白眉を殺すこともありえそう。
でもそれ以外のメンバーが、殺し合うとは思えない。

憎み合う術でもかけられたら別だが、その気配もない。
大五は全く関係のなかった不知火に殺され、真砂はその性格上、殺された可能性はある。
でも殺したのは不知火ではない。
不知火はそれなりに真砂を慕っていたし、真砂を殺したのはおそらくだけど、当主に命じられた 幽羅子の邪気(妖)。
他は百火をちゃちな術が襲うくらいだった、「あの日」までは。
そして「あの日」を「あの日」にしてしまったのは当主でも猫鬼でもなく紗那。

ただ、「不死の呪い」の謎には答えが出た。
五色堂に弟子が集まった日に、猫鬼と師匠(当主)は、五色堂を蠱毒の壺として6人を術で封じた。
それが壺結の術。

900年も続く蠱毒の闘いはまだ終わっていない。
互いに殺し合うことはできるけど、それ以外で死ぬことはできない。
この期に及んでも白眉、不知火vsその他の構図が残るから、永遠に決着つかなそう。
そして気になるのがやっぱり大五。

なんとなくだけど、もちろん白眉側ではないが、摩緒側でもなさそうな・・・。
彼には紗那と幽羅子の問題も絡んできそうだから。
でも仮に、猫鬼が負けたら、当主のいない今、御降家は誰のものになるのだろう。
白眉が「御降家そのもの」といった幽羅子が当主となるのだろうか。
うん、大丈夫。
「MAO」はまだまだ先が長い、はず。

それにしても、最初からマオグイだった猫鬼が、摩緒にすりすりしたり懐いていたのを思い出すと なんだか可愛い。
でもきっと、摩緒の体が自分の器としてどうなのか、調べていたんだろうなあ。
(2024年4月5日の日記)
4月11日 第224話「壺結の術」
原作少年サンデー2024年4月10日(20号)「MAO」 第224話「壺結の術」

☆   ☆   ☆

なるほど尽くしの今週号。
次々と謎が解けて、本当にこれ、最終章じゃないよね?もうすぐ終わりじゃないよね?と何度も 高橋先生に届かない確認をしつつ・・・。

おかしいのは御降家当主。
何が何だかわからない。
愛し合っていた華紋と真砂、仲が良かった大五と摩緒、百火と摩緒。
彼らが生き残るためには互いに殺し合わなければならない。
御降家当主となるために、彼らは殺し合うと信じていた人物。
愚直というより愚か過ぎて話にならない。

そして次に大五に謝りたい。
大五は本当に紗那を想っていた。
あまりに淡々としていたから、まさかと思っていた。
今回「紗那」と呼び捨てにした大五に無念の深さを感じる。
大五様、ごめんなさい。

そして今回明かされた一番重大な秘密。
不知火は、当主の息子だった。
そして幽羅子と紗那の兄。
にもかかわらず、御降家を継ぐに足る能力がなく、冷遇されていた。
なるほど、下っ端とはいえ幽羅子と関わる役割が不知火の仕事だったのはそういう理由だ。

でも御降家を継ぐ夢を見ていた不知火は、幽羅子の言葉で事実を知る。
五色堂には、摩緒と5人の後継者候補、他に彼らを襲った妖を操っていた幽羅子もいた。
幽羅子もまた壺結の術に捕らわれていたのか。

今回わかったのはここまで。
次回、なぜ不知火が大五を本当に殺し得たかが明かされる。
(2024年4月11日の日記)
4月20日 第225話「不知火の罪」
原作少年サンデー2024年4月17日(21号)「MAO」 第225話「不知火の罪」

☆   ☆   ☆

ここで全ての謎が明かされて、そのまま結末を迎えてもおかしくないと思わせるほどの緊迫した展開。
そこからふわっと元に戻って、あれ?みたいな。
もちろんここで最終章に突撃せずにリセットされて嬉しい反面、あれ?みたいな。
猫鬼がここで5人を元の世界に戻したのは、猫鬼には術を解けない、5人が殺し合い、最後の1人が残らなければ。
それが理由。
それはわかるんだけど、あれ?みたいな。
でもとりあえず摩緒の物語はまだまだ続く、それは良かった。

大五を「殺した」のは不知火。
でも未だに御降家に囚われている白眉と不知火、対する摩緒、華紋、百火の熱さの差には笑ってしまった、まるでギャグ。
大体この時代、不知火が中心となって御降家はそれなりに存在している。
それで足りないのならば、最後に残ったとしたら白眉と不知火も殺し合わなければならない。
当時の当主もいない今、900年もたって誰かが勝ち残って継いだ御降家はどんな形になるのだろうか。

さらに大五と百火、華紋が残った場合、彼らが殺し合ういかなる理由もないから、彼らはそこでさらに生き続けるしかない。
人魚シリーズや犬夜叉、りんねを読んできた身にとっては、彼らが仮に死神や妖怪のように令和の時代まで生き続けるのも ありかと思う。
さらに摩緒がここで死ぬわけもないし。

でも摩緒は当初、蠱毒の汁がなければ、そして菜花に血をもらわなければ死ぬかもしれない状態だった。
だから猫鬼に襲われた影響で、死ぬというより朽ちるかもしれない体になっているのかもしれない。
結局菜花に出逢ったことで、摩緒は生き永らえている。
言い方は悪いが、猫鬼にとって摩緒が消えても、菜花という新たな器が現れた。
やはりまだまだ謎は多い。

そして摩緒達は元の世界に戻り、改めて夏野の死を噛みしめる。
夏野の遺品を手に家に帰る摩緒と菜花。
迎える乙弥の表情がとても気になる。
彼らが五色堂のそばいいたのはどれくらいの間だったのかはわからないが、乙弥がもし人間だったらとても心配していたのではないか。
なぜか最後の乙弥の顔が一番切なかった。
(2024年4月20日の日記)
4月27日 第226話「御降家の舟」
原作少年サンデー2024年4月24日(22・23合併号)「MAO」 第226話「御降家の舟」

☆   ☆   ☆

新しい事件はともかく、菜花の疑問は私の疑問。
摩緒達が夏野の死を悲しまないことに
「九百年も生きてるから・・・ 死ぬってことの感じ方が違うのかな・・・」
と不満を持っているようだけど、それもあるだろう。

他に考えられるのは、生き続けることに飽いていることか。
前も書いたけど、犬夜叉、りんね、人魚と読んで来ていれば、不老や不死は身近過ぎて摩緒達、 昭和を迎え、平成令和となっても普通に生きてそう。
令和の世界に摩緒登場なんてことになってもおかしくない(なって欲しいかも)。
令和の世界で菜花が迎える、「みんな来たね。」って。
このまま生き続けると体が朽ちて意識だけが残るなんてことがない限り、このまま生きることに支障はなさそう。
まあ十二国記も読んでると、不死に飽きるということは想像つくのがちょっと怖い。

もうひとつはもっと深刻なことで、御降家の完全消滅の役割か。
一番能力がなかった不知火でさえ、曲がりなりにも御降家を続けている。
式神に海龍をつけてる時点でとんでもないことだと思うが、どうしても不知火にはだれかサポート役がいるように思える。

御降家は存在してはならない家。
それならば摩緒、百火、華紋も含め滅されなければならないとの覚悟ではないかと思われる。
もちろん白眉、不知火、猫鬼に幽羅子も含まれるだろう。
菜花も蚊帳の外ではない気もする。
ならばこそこれまでのように仲良くはしていられない間柄となる。

まあそれではぎすぎすし過ぎて作品としてどうかと思われるので、しばらくたてばこれまでのようにギャグも含めて仲良し復活。
御降家が絡んだ事件のときのみシリアスになるのではないかと思うのだけれど。
「死に得た」夏野は、摩緒達にとってはもしかしたら幸せな存在と言えるのかも。
菜花はどうなのだろう、普通に年を取って生涯を終えることができる存在なのだろうか。
ある意味半妖に近い存在、あるいは摩緒達に近い存在、簡単に年は取らない存在になっていそうな気もする。

そして新たな事件は早速御降家絡み、不知火絡み。
こちらの感想は次回に持ち越しで。

ところで今年1号から始まった「サンデー背表紙クイズ」って一体何なんだろう?
毎週戸惑ってしまう。
(2024年4月27日の日記)

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