「MAO」感想(第61話〜70話)
9月18日 第61話「夏野」
原作少年サンデー2020年9月16日(42号)「MAO」第61話「夏野」

   ☆   ☆   ☆

新キャラの少女の名は「夏野」。
全く関係ないが、小野不由美著「屍鬼」が読みたくなった。

前半土門が絡む部分は「人魚」シリーズを彷彿させる。
何年も前に死んでいたのに、土門のためにがんばって「生き続けた」妻、八重。
不自然に見開いていた目が、夏野の言葉にほのかに笑顔となり、目を閉じて 安らかに死んでゆく。

おそらく「人魚」シリーズ続編が描かれることはないだろうけど、「人魚」のテイストは こうして「MAO」に受け継がれていくのか。
さすがに「境界のRINNE」ではこんな話は盛り込めないから。
連載もギャグとシリアスのバランスがとてもいい。

八重の死に絶望し、あえて選んだわけではないだろうが、土門も土と化す。
土門にとっては八重をなくして生き続けるよりは良かったのかもしれない。
大きな罪を犯し続けていたのだし。

そうさせた夏野の真意はここでは明かされない。
土門に同情したとか、そんな単純な事ではないようだ。

そしてこの夏野も大五と同じ土の術者。
「大五」なんて名前だから、大五が五色堂に呼ばれたかと思えばそうではなく、呼ばれたのは 夏野。

その理由は、紗那と大五が人目を忍んで逢う仲だったから。
摩緒の想い人である紗那、私の中ではどこか神秘的な存在だったが、どんどん普通の 少女に見えて来た。
この紗那なら、なるほど後に幽羅子になっても(性格的に)納得できる。
想う相手が大五から摩緒に変っているのが不思議だが。

幽羅子には紗那や妖怪の他に、かつて摩緒と関わった(そして摩緒を想っていた)まだ登場しない 人物も含まれているのかも。

ただこの恋、紗那が恋と言うより、大五の術にかかっているようにも見える。
大五の目の色、肌の色。
外国から渡って来た一族かと思っていたが、もしかしたら魔性の者の目の色なのかも。

この逢瀬がばれて、大五ではなく夏野が五色堂に呼ばれてように思えるが、少なくとも 密告したのは摩緒ではない。
摩緒も紗那を慕っていたが、あきらめがいいというより感情の薄い淡々とした性格に見える。
(今もそうだし)

そして大五はこの後怪死したとされているが、殺された紗那も形はどうあれ復活しているのだから、 大五も蘇っていてもおかしくはない。
話がどんどんおもしろく、かつややこしくなって来た。
通して読めばいいけれど、途中から入るにはなかなか難しい作品。
ここはやっぱりアニメ化でもしてファンを増やして欲しいかも。
(2020年9月18日の日記)
9月25日 第62話「大五の死」
原作少年サンデー2020年9月23日(43号)「MAO」第62話「大五の死」

   ☆   ☆   ☆

今一番謎めいている人物は大五だが、私が今一番気になるのは紗那。

物静かな少女で、御降家を継ぐための摩緒との結婚も喜びも嫌がりもせず、 すんなり受け入れる。
ところがここに来て、かつて紗那には大五と言う想い人がいたことが明かされる。

大五に魅せられている紗那はその死に、悲しみを通り越して大五を殺した者への 怒り、憎しみの表情を見せる。
誰が大五を「呪殺」したのかを知っている顔だった。
そのせいで紗那もまた「殺された」のか。

この二面性が今の「MAO」の中での私の最大の謎。
だからこそ蘇ってからの「幽羅子」が今一つ物足りないのかも。
幽羅子が恋している相手が大五から摩緒に移ったのも不思議。
前にも書いた通り、私は幽羅子の中には紗那の他にかつて摩緒に恋していた、
まだ登場していない少女がいると思っているのだけれど。

そして大五もまた、何らかの形で蘇っているだろう。
紗那を「操って」いたから殺されたのか、紗那と「恋愛関係」にあったから殺されたのか。
いずれも自分の死は予定外だったと思うが、摩緒に「御降家は(地獄みたいなところだ)。」と 言いたかったであろう大五。

その表情にはそこまで悪役感はなく、彼もまた悲劇に巻き込まれた1人なのかと思わせる。
それでもこれまで出て来たキャラの中では一番大物に思えるので、蘇ってから何かが起こったのか。
もしくはさらに上に大物がいて、全てを操っているのか。
少なくとも猫鬼のなせることでもなさそうだ。
というより最近猫鬼は完全に蚊帳の外。
御降家の闇が全てだったのかと思わせる。

そしてまた、摩緒自身も謎めいた存在。
彼自身にわからないことも多いが、それ以前に紗那に想いを寄せながら、結婚を喜ぶでもなく、 大五と紗那の逢瀬に嫉妬するわけでもない。
少し辛いが、2人の恋なら応援したいって感情薄すぎ。
たとえ紗那と結婚していたとしても、仲はいいけどガラスのような透明でおだやかで潤いのない 形式上の夫婦、悪く言えば人間味のない関係であったような気もする。

前に菜花が紗那と付き合ってるの?って聞いた時は、「お前は何を言ってるんだ?」って顔してたし、 今回も、幽羅子を救った後、つきあいたいとか思ってるの?と聞かれて「いったいなにを 言ってるんだ?」とまじめに問い返している。

かつて摩緒が紗那を慕っていたとしても、異性に対する恋ではなく、姉に対するような、もしくは 高貴な存在に対する崇拝の念といったものならば納得できるが、それにしても感情が薄い。
ここが乱馬や犬夜叉なら地面に拳固一発で地割れ起こしてるところ。

りんねはあまり嫉妬がなく、というよりずっと相思相愛モードで嫉妬する必要もほとんどなかったけど、 摩緒に至っては紗那も菜花も女性と言うよりもっと中性的な存在に見える。
高橋キャラとしてはとても新鮮で好もしい。
そばで聞いている乙弥の方が、菜花の乙女心を察していそうなのがおもしろい。

ここから場面が変わって華紋と不知火の対決?へ。
不知火にあまりキャラとしての魅力を感じないのが残念なところ。
(2020年9月25日の日記)
10月2日 第63話「魂(たま)おろし」
原作少年サンデー2020年9月30日(44号)「MAO」第63話「魂(たま)おろし」

   ☆   ☆   ☆

またまた「ゴーストハント」を読みたくなる展開はいいのだけれど、コミック6巻(16日発売)の表紙に 唸ってしまった。
いい意味じゃなく、ね。
不知火が表紙のコミックを見て、「MAO」を知らない人が手に取るかなあ・・・。

ただ、「MAO」はあえてキャラに魅力を持たせず、ストーリーで「読ませる」手法に 打って出たのか、とにかく謎が散りばめられるというよりばらまかれる。
そのおもしろさは私にとっては過去最高。
だから本当にたくさんの人に読んで欲しいので、表紙にはやっぱり摩緒や菜花が欲しい。

10月3日放映開始のアニメ「半妖の夜叉姫」視聴者へのサービスか、摩緒が犬夜叉みたいな 格好で華紋と共に魂おろし開始。
使われるのは華紋が海で採って来た大量のワカメ、ではなく髪の束。
華紋が不知火の関東の社で襲われた時の物で、最初は不知火の髪かと思ったが、不知火の 「邪さ」は感じられないと華紋は言う。

髪の主は、驚いたことに真砂だった。
真砂は華紋と相思相愛の仲だったが、遠い昔、「あの日」、華紋との逢瀬の場に現れなかった。
華紋は華紋なりに真砂のその後を思いやっていたのだが、真砂は不知火により海の底に「捕らえられていた」。

真砂は不知火と同じ水の術師で、不知火を遥かに凌ぐ能力の持ち主。
問題の日より行方不明になった真砂。
真砂が当日殺されていて、でも華紋や百火のように蘇り、その体を「選ばれなかったゆえに」無事だった 不知火に捉えられたのか。

力のない不知火だから、当然誰かに操られているだろうと思っていたが、もし真砂を利用しているとしたら。
真砂が不知火に操られているとしたら、それは不知火の言う通り、華紋への恋心を突かれて 狂ってしまった故なのか。

シリアスな展開の中で、乙弥の「寄生」と菜花の「純愛」に関するところに笑ってしまった。

「妖怪ギガ」。
先が気になるからではなく(もちろんそれもあるけれど)、あまりサイドに飛ばずに本編に集中して欲しい。
サイドはギャグ系が多いけれど、今はちょっと笑えない。
(2020年10月2日の日記)
10月13日 第64話「海底の社」
原作少年サンデー2020年10月7日(45号)「MAO」第64話「海底の社」

   ☆   ☆   ☆

「水」は「木」を育む
ふたりは静かに「愛」を育む。

表紙がなんてロマンチック。
現在の華紋を見てると何だか悩ましいが、この2人が真剣に想い合っていたことは伝わってくる。

そしてもっと見事なのが最後のページの柱の部分。

「社の謎を解き明かすため進む摩緒たち!
立ちはだかる邪気、猫鬼が菜花に伝えた『あれ』に似ているが・・・」

これがなければたぶん気が付かなかった。
まだコミックになっていないが、サンデー31,32合併号第52話「呪いの家」で、猫鬼が菜花の現代の家 を訪れ、紗那の思い出を語る。
当時灰丸と名づけられていた猫が「すでに猫鬼」だったかどうかはともかく、灰丸は少なくとも紗那の 言葉を理解し、自分が見た現象を理解している。

ただの猫ならそうはならないから、やはり当時から灰丸は特別な猫だったのだろう。
その時灰丸が菜花に伝えた「あれ」。

眠っている紗那の口から出る「呪い」は黒い煙と言うには鋭いが、そのような形となって当主の持つ巻物に 巻き取られ、他への呪いの術具となった。
それと似たものが今摩緒達を襲う。
おもしろい。

大五を愛する紗那。
摩緒を愛する幽羅子。
そして華紋を愛する真砂。

想いはどうあれ敵方として摩緒と華紋を待ち受ける。
操るのは不知火だとしたらやっぱり小物過ぎるなあ。
ここまで来たら死んではいないだろう大五か、もしくは御降家当主(紗那の父)が背後にいてもおかしくはない。
大五が紗那や真砂をそんな目に合わせるはずはないか。
いつか味方として登場するのか。

ただ御降家当主だとしても黒幕としては物足りない。
その点夏野はちょっとおもしろい。
クールで何者の束縛も受けていないただ1人の術師。
摩緒達に協力はしてくれるが、同時に平凡な夫婦の平凡な不幸を悲惨な結果に追い込み、何も感じていなさそうだ。

作者は以前はある程度万人受けと言うか、どこから入っても理解できそうなシンプルな物語を紡いでいたと思うが、 「MAO」は違う。
毎週読んでいてさえ下手したら置いてかれそうな謎をばらまき、回収せずにどんどん進む。
伏線と言うほど丁寧でもない。

「MAO」は確かに地味だ。
万人受けはしないと思う。
でももしかしたら、これまで読んだるーみっくの中でも一番おもしろい作品になりそうな予感はする。

最後に突っ込み。
夏野が菜花に「呪文と印は私に倣いなさい。」と言ってるが、あの呪文、絶対菜花は言えてないよね(笑)。
(2020年10月13日の日記)
10月16日 第65話「五色堂の輪」
原作少年サンデー2020年10月14日(46号)「MAO」第65話「五色堂の輪」

   ☆   ☆   ☆

今回は謎がひとつ解ける。
真砂は死んでいた。
真砂の運命?役目?は不知火が引き継いだ。
不知火もまた真砂を想っていたのだろうか。

ただ不知火の言葉から、華紋が五色堂に行っていたら真砂はあんな形で死なずに すんだのかと思わせる。
しかし華紋が五色堂に行っていても、結果的には真砂と殺し合うことになっていた。

結局、摩緒を含めた当事者が真砂を除き、生き残っていることになる。
ああ大五が不明か、あと当主も。
真砂も生きてはいないが「存在する」。
髪を放って華紋に想いを伝えるほどの意識もあるようだ。
紗那も真砂も普通に死んだままではいられなかった。
なのに普通に生きている夏野のポーカーフェイスがある意味気になる。
悪役位置とは思わないが。

そして真砂は見るところ、心臓を取られた形跡はない。
だからあのような形であっても真砂本人として存在しているのだろうか。

真砂が死んで、不知火が引き継いだ「後継者」だが、不知火をその立場に据えたのは誰か。
あの妖怪たちではあるまいし、不知火とその誰かとの間には何らかの会話があったはず。
今回不知火は語らないが。
やっぱり御降家当主が黒幕かな?
それだとちょっと物足りないけど。

不知火は真砂に関して華紋に恨みがあるようだが、それはあくまでも私怨であって、 本来の目的は摩緒。
やはり誰かに命じられているのだろうか。

華紋は殺すけど、摩緒は殺さず連れて行く。
誰に会わせるために?

それにしても罠ではなく、真砂が自らの想いを込めて髪の毛を放っていたのがせつなかった。

今週の妖怪ギガ。
クロは帰ってくると信じたい。
大好きなみんなに再会できると信じたい。

今週の夜叉姫。
楓、じいちゃん、ママはあまり変わらなかったが(じいちゃんもお元気そうで何より)、草太と 琥珀の成長に驚いた。
2人とも大人で草太にいたっては結婚して娘まで。

時間を考えれば当然だが、てっきり昔のままの年齢設定で出て来るものと思い込んでいた。
かごめや珊瑚、弥勒もすっかりお父さんお母さんで出て来るのか。
りんも若いお母さん?(そこは謎?)
まあ半妖なら母親が人間でなければならないから、りんが母親だろう。

もろはは正確にはクォーターなんだろうけど、その辺はどう考えているのだろう。
「半妖と半々妖の夜叉姫」だとさまにならないから仕方がないか。
アニメのノリだと、そのうち鋼牙の娘も出て来そう。
(2020年10月16日の日記)

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