今頃ですが、宮部みゆき著三島屋変調百物語七之続「魂手形」読み始めました。
実は発売日に1話目の「火焔太鼓」を読み始めたのですが、途中でやめてしまったのです。
私はもちろん宮部さんの時代物は好きですが、人外の者(もののけ、妖怪など)が
出てくる話はちょっと苦手です。
霊験お初捕物控の「天狗風」のような、人の念が怨霊化したような話は逆に大好きなのですが。
これは良い悪いじゃなくて個人の好みなので宮部さんには申し訳ないけど仕方ないですね。
さらに聞き手が、おちかから富次郎に交代したことで、またちょっと熱が冷めました。
話の幅が広がって物語としてはおもしろいのですが、富次郎の場合、おちかほどの背景がないので、
どこか軽い。
掘り下げようとすれば、富次郎の日常生活になって来るのもいかにも軽い。
宮部小説の中で、富次郎のような人物は主役じゃないと思います。
主役のそばに控えて賑やかしとして、助っ人として、キーマンとしておちかを支える立ち位置にいるべき
人物。
そう思って来たのですが、今回の「魂手形」で気持ちか切り替わりました。
(作品名としての「魂手形」じゃなくて、本の題名としての「魂手形」です。)
ただ「火焔太鼓」の富次郎はまだちょっと弱いかな。
富次郎の葛藤に引っ張られてしまいます。
物語は予想通り受け継ぐ者がいる展開でしたが、実は語り手が?と思っていたのでちょっと拍子抜け。
意外とあっさり感が。
逆に「次」に継ぐ者の事を考えた時にぞわっとしました。
あと今回の表紙が、これまでの宮部さんの時代物の表紙の中で一番好きです。
富次郎が描いたのかな?と思わせる絵ですね。
時代物に合うかな?と思いつつ、富次郎の心象風景がそのまま描かれているようでとても好き。
(2021年6月29日の日記)
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