犬夜叉考察 27
3月7日こんなはずでは
ビッグコミックオリジナル春の吉例スペシャル読み切り!!
「高橋留美子劇場」今年のタイトルは「こんなはずでは」。

カラーの表紙はノートパソコンに小説の出だし。

「妻殺し(仮)

男は妻の暴力に耐えていた。」

したたる血の跡まで描かれている。
どう見てもホラーかサスペンス。

でも読者はこの時点で「今回はどうやって笑わしてくれるのかな?」って期待むんむん(笑)。
しかし4ページも使って奇麗な人が出て来ない、このシュールさ。
なんか見たことあるキャラ、見たことある設定、見たことあるストーリー。
いつものパターンだなと思いながら読んでいるのに、じわりと笑いがこみ上げて来る。

犬も可愛いし、若き日のりんねの父鯖人みたいなのも出て来る。
いろいろと巨大な妻もいいけど、結局主役はこのいちばん地味で目立たないお父さんというところがらしくていい。
こう見えても「絶対夫婦」なんだと思わせてくれるところにうまさがあるんだと思う。

ただやはり年に一度のお祭りだからいいのかな?とも思う。
これが週一連載だったら、意外に読む方も描く方もきついかも。
少年漫画家の高橋さんの年に一度の息抜き、じゃないけど青年漫画家としてのお仕事、理想的な形かもしれない。

お父さんは小説家志望だけど、奥さんは邪魔はするけどやめろとは言ってないのね。
作品もけなすし、批評家としても一流?っぽいけど。
なんだかんだ言って才能ない亭主の好きにやらせてる気がする。
この底の底にある見えない優しさがいい。

っていうかこの小説読んでモデルに気付かないのは鈍感なのか度量が広いのか。
そのわからなさもいい。

ちなみに新人賞に応募したのは「小説文潮(笑)」。
これはともかく微妙に時事ネタあったり、常にアンテナ張ってるんだろうな。
最後のページの柱に受けた。

「物書きは、浅き夢見し、老いもせず」

「物書き」をいろいろ変えて、自分の人生にも生かせそう。
(2016年3月7日の日記)
6月7日 今夜彼女がやってくる
★ネタバレ含みます。★

「ビッグコミックスピリッツ」掲載作品。
前に「ビッグコミックスペリオール」に掲載された「鏡が来た」の赤江奈々や、今回 表紙に登場した七瀬晴果の顔、好きだなあ。

「犬夜叉」から入った私が初期の頃の作品(特にホラー系)を読んだ時、この頃の絵は 土着的なホラーに似合う、まるで横溝作品のような絵だなあと思った。
その後当然のように絵の変化はあるわけで、たとえば「境界のRINNE」などはかなり都会的な? 絵になっていると思うのだけど、私が一番好きなのは、この奈々や晴果のような、さらに シャープになった絵。
この顔でりんねや桜を描かれたら、またちょっと違うと思うけど。

1ページ目に「ミステリー仕立てのラブコメ?それともラブコメ風のミステリー?」とあるけど、 たしかにラブコメ風であり、ミステリー風であり、そこに時事ネタばらけて軽いノリがあって、 普通におもしろい。
同じネタで他の人が描いたらそこまでおもしろいか?となると首を傾げるけど、独特の 持って行き方が、るーみっくに慣れた身には心地よい。

りんね風絵柄の彼女と、シャープな絵柄の謎の女性に翻弄される主人公鴨門。
「カモ」をイメージさせる苗字がそれっぽいし、彼女の「白鳥」が「白い鳥→鷺→詐欺」になって しまったのは、りんねで変な苗字にイメージつけてるのの、これも慣れてるせいか。
友だちは軽石だし、実際軽いし(笑)。

そのせいもあって、作者が彼女の怪しさ全然隠す気ないのがちょっと変わってておもしろい。 どう見ても怪しいし、実際危ない人だった。

ただ最後、謎なのが晴果の姉の春奈、彼女がなんで鴨門の危機を知っていたのか。
結局彼女も被害者の1人だったのだけど、妹は普通に事故で死んでるし、白鳥優花に お金だまし取られるような人には見えないのだけど。
そこがちょっと弱かったかな。

まあそうでなければ鴨門の事件に関わっては来れないけれど、そこにもうひとひねり欲しかった。

(2016年6月7日の日記)
12月5日「高橋留美子×白井勝也対談」感想 -1
雑誌「月刊ヒーローズ」が5周年を迎えたことを記念して行われた高橋留美子×白井勝也対談→「こちら」。
白井氏の経歴は、「週刊少年サンデーの編集部に在籍後、1980年の創刊時より10年間、週刊ビッグコミックスピリッツ(ともに小学館)の編集長を務め」、 さらに「今年6月にヒーローズの代表取締役社長に就任」とあります。

2人が初めて会ったのは
「1980年にビッグコミックスピリッツが創刊されて、『めぞん一刻』の連載2回目か3回目を描いていたときでしょうか。
担当者と打ち合わせをしている小学館近くの喫茶店に白井さんが姿をあらわして、挨拶したのが最初だと思います。
白井さんは『編集長です』とおっしゃっていた。」
なるほど、記念対談にふさわしい古い付き合いなのですね。

当時はサンデーの苦戦期で、他誌の充実ぶりに比較して本格的なストーリーマンガがあまり得意ではなかったと白井さん。
現代美術風のシュールな表紙を狙って「便器の中に卵がいっぱい詰まっている写真の表紙」にしたとか・・・。
見てみたいけど、画像検索にはさすがに引っかからなかったです(笑)。

その後小池一夫さんの劇画村塾の話になり、高橋さんが学んだこととして
「子供の頃は、マンガそのものがテキスト(教科書)になりますよね。好きなマンガのコマ割りや構図を、理屈はわからないなりに真似して描いていた。
小池先生は、その理屈を言葉にして教えてくれる人なんです。
『これはなぜこうなっているか』『これはどういう効果があるか』という説明を細かくしてくださって、『ああ、そうだったのか!』とすごく納得できました。
小池先生がよく言われるのは、『キャラクターを立てるとはどういうことか』について。
“キャラクターが立っている(個性ある人物として特徴づいている)”具体例をいくつも挙げてくださるんですが、そうすると正解は無限にあることがわかるんです。
キャラクターとなる要素はさまざまにあるし、作者の試行錯誤の結果“立ったキャラクター”は無数にいて、それぞれが正解です。
だけどほかの人が考えて発表したものは新味がないので、既に出た正解は使っちゃいけないものになる。
ですから答えはどんどん減ってゆくのだけれども、そんな中でも、キャラクターづくりの決まりごと・方程式はあるのだな、とわかってきました。」

小池氏の主張は「ストレンジャーソレント」でかなり読み込みましたが、いまひとつわかりにくいものでした。
でもここで高橋さんの言葉で読むととてもわかりやすい(笑)。

ここから高橋さんもアシスタントとして呼ばれたことのある楳図かずおさんの話題へ。
私は楳図さんの絵もキャラも苦手で読んだことないのですが、テレビで御本人を見ても不思議な人だなあとしか思えませんでした。
でも白井さんによれば

「本当に繊細な方でね。
車は人の匂いがこもるから一切ダメで、タクシーにも乗ったことがない。
ひたすら歩くんです。」

その後楳図さんに関するエピソードが延々と続きますが、連載をいくつもかかえた売れっ子漫画家、編集者(白井さん)を含めての修羅場な雰囲気がおもしろいです。
このおもしろさは是非↑の対談を直接読んでくださいね。
ただ高橋さんに関しては、あまり修羅場って感じがしませんね。
これまでのインタビューを読んでも漫画を描くのが楽しくて楽しくて、連載掛け持ちも全然苦じゃないって雰囲気しか伝わって来ない。
これが不思議です。

次のテーマ?は高橋さんが大好きな池上遼一さん。
白井さんが
「池上先生は当時『ひとりぼっちのリン』(原作:阿月田伸也)を月刊少年マガジン(講談社)で描いてたんですけど……。」
と話したのにすかさず
「いえ、週刊です。」
と突っ込むなど、さすがに大ファンなだけあります。

長くなるので続きます。

(2016年12月5日の日記)
12月6日「高橋留美子×白井勝也対談」感想−2
雑誌「月刊ヒーローズ」が5周年を迎えたことを記念して行われた高橋留美子×白井勝也対談→「こちら」。
私は高橋さんと同世代ではないですが、もし同世代だったとしても高橋さんの漫画談義にはついて行けなかったと思います。
子供の頃漫画やアニメ見た記憶がほとんどない。
家でつけなかったのか、自分が興味なかったのか。

さて、池上さんへの熱い思いを語る高橋さんですが、
「私はマガジンに投稿したこともあったんです。」
この話は有名ですね。

たしかに入選していたら漫画史が変わっていたかもしれません。
そしたら高橋さんも劇画っぽい漫画描く漫画家になっていたかも?

白井さんの
「今でこそサンデーとマガジンは50周年記念の企画を一緒にやったりしてフレンドリーな関係になってるけど、その頃はもう敵対関係どころじゃなかったから。
当時の編集長は「マガジン」と聞いただけで顔色が変わった。
同じ喫茶店に講談社の人が来ていたと知ったら「空気を入れ替えてくれ」と言う(笑)。
それくらい激しくてね。
そして“打倒マガジン”を旗印にして逆転の下地ができてきたときに、高橋先生がいらっしゃったんです。」

ってすごいお話です。
私が中学生の頃は自分の認知度ジャンプ>マガジン>チャンピオンかな?
サンデーはたぶん知らなかったと思う。
書店に行った時に目につく頻度かもしれません。

「高橋先生のあと、』陽あたり良好!』などの少女マンガと、少年ビッグコミックで『みゆき』を描いていたあだち充先生が『タッチ』を始めたことが、 200万部を発行するサンデー黄金時代をもたらしたんです。
『うる星やつら』『タッチ』が2大看板になって、ラブコメはマガジンやジャンプには真似できない。
サンデー独自の路線が引けて、読者にも好意的に迎えられました。」

って少年漫画誌にそんな得意なジャンル、苦手なジャンルってあるんですか、初めて知りました。
私の中では「うる星やつら」がジャンプに掲載されても「ワンピース」がサンデーでも全然違和感ない感じ。
漫画家がどの出版社に入ったかくらいの違いだと思ってました。

高橋さんの言葉で印象深いのが
「(プロとして描くようになって)やっぱりうれしかったですね。
もちろん、怖さもありましたけど。
描き始めると、自分が今まで読んでいた雑誌ではなくなるんです。
読者だと人のマンガに好きなことを言えるじゃないですか。
載り始めたら一切それがなくなって、尊敬しかなくなる。
なぜこの作家たちが載っているのかがわかるんです。
そういう、プロとアマのラインが身に迫ってくる。」

素人でも評論家でいれるのは、自分が描かないから。
仮に二次小説や同人誌だとしても、自分が描いた瞬間からもう評論家ではいられない。
ましてプロなら、そんな怖さを感じるものなのでしょうね。
描かずに語る幸せ、でも漫画でではありませんが、そういうプロの厳しさというのも感じてみたい気がします。

(2016年12月6日の日記)
12月7日「高橋留美子×白井勝也対談」感想−3
雑誌「月刊ヒーローズ」が5周年を迎えたことを記念して行われた高橋留美子×白井勝也対談→「こちら」。
「プロになってわかる作家たちのすごさ」では、高橋さんがデビューしてから学んだことが語られます。

「面白さを(保てるか)、ですね。
作品の面白さは、描いてみて反応をもらえないとわからない。
『わからなくても、これを描かなくちゃ続けられないんだな』っていう怖さがありました。
そういう“保つ”恐怖は感じたんですけど、でもやっぱりサンデーに載るうれしさが先に来ましたね。」

たしかにどんなに素晴らしい作品であっても、本人以外の人が読んで初めておもしろいか、素晴らしいかわかる。
これって目から鱗でした。
逆に自己満足で終わっては作品として成り立たないのでしょう。

白井 「『うる星やつら』は1話完結型でしたが、ネタに詰まったらどうしていたんですか?」

高橋 「最初は5話の短期集中連載として始まったんですけど、4話目でもう弾切れを起こしまして(笑)。
それまでの4話は劇画村塾で描きためていた原作みたいなものがあったので、5話目からがホントに0からのスタートだったんです。」

なんかすごいことさらっと言いますね(笑)。
私が「犬夜叉」で高橋さんを知った頃から、高橋さんは「休まない漫画家」として有名でしたが、高橋さんに限らず、週刊連載で どうしてネタが尽きないのか、は常に疑問でした。

もうひとつ、高橋さんが教わったこととして、
「初代担当の三宅さんはコマを削ることを教えてくれました。」をあげています。

これも漫画に限らず、ですが足すのは簡単でも削るって勇気がいると思う。
かくいう私も「文章がくどい」と言われ続け(笑)、でも文章が長くなることはあっても短くすることはなかなかできない。
伝えたいことを全て書こうとするからなんだと思います。
短い文章でぴしっと伝えることができればいいのですが・・・。
ゲーム「戦国無双」シリーズの毛利元就は文章が冗長でそれがネタにされてますが、って書き始めるから長くなる(汗)。

微笑ましかったのが
「創刊日の前日が確か台風でした。
家の隣の雑貨屋さんには1日早く雑誌が入荷されていたんですけど、台風の中、待ちきれなくて創刊号を買いに行きました(笑)。」

高橋さんほどの大ベテランがこういう思い出を語ると可愛くて仕方ない(笑)。
でもわかるなあ、その気持ち。

続いて話題は「めぞん一刻」に移ります。

白井「『めぞん一刻』のヒットの手ごたえは、1話目からありました。
アパートの奇抜な住人たちと、主人公の五代くんに未亡人の響子さん。
練りこまれた設定で、1話目から“持っていかれる”感じがありました。
新しい世界に連れて行ってくれる感覚ですね。
傑作と一緒に仕事できるというのは身に余る光栄でした。
これだけの青春ものの傑作は、もう出ないのではないでしょうか。」

「めぞん一刻」の作品としての素晴らしさは誰もが認めるところでしょうが、白井さんのこの評価がまた素晴らしい。
私は「犬夜叉」の後で読み始めたので、最初に響子さんが登場した時は、その顔にびっくりしましたが。
「犬夜叉」や「境界のRINNE」は続けてい読んでいるせいか、あまり絵の変化は意識しませんでしたが、「めぞん一刻」は 作中の絵の変化にかなり驚かされた記憶があります。

最初はちょっと怖い顔だった響子さんがどんどん可愛くなり、それから綺麗になる。
慣れもあるかもしれませんが、その絵の成熟が響子さんのキャラの変化や成長に重なって感情移入しやすくなったように思います。

(2016年12月7日の日記)
12月9日「高橋留美子×白井勝也対談」感想−4
雑誌「月刊ヒーローズ」が5周年を迎えたことを記念して行われた高橋留美子×白井勝也対談→「こちら」。

「犬夜叉」の後「うる星やつら」を読んで、その後「めぞん一刻」を読んだ時は衝撃受けました。
少年物から青年物へのその変わり身の早さに、そして「人魚」シリーズを読んでさらに衝撃。
この人の頭の中にはどれだけ引き出しがあるんだと思いましたもん。
「犬夜叉」も私の大好きな「戦国時代」と「妖怪」が関わるストーリーだったし。

高橋さんは
「もともとはアパート人情ものをやりたかったんですが、結局のところは青春ものが正解だったのかなって思います。
人情ものを描くにはあまりにも子供というか、経験値が少なかったですから。」
と話していますが、経験値溢れていますよね。
っていうか溢れすぎてるほど溢れていると思いました(笑)。

あと嬉しかったのが、高橋さんの紙媒体へのこだわり。
私も100%とは言えませんが、紙媒体、書籍が好きです。
手に取る喜び、目を通す喜び、振り返った時書棚に並んでいる喜び。
たしかに収納がないので、服を減らしてチェストに詰め込むなんて悲惨な事にもなってますが。
(先日引き出しを開けようとしたらプラスチックなので割れました、重すぎた)。

高橋さんは他の漫画家に対して、対抗意識よりも読者としての意識を持っているようです。
「たまにいるじゃないですか、『潰してやる』とか言う作家。
どの口が言ってるのかと(笑)。
どの程度のものを描いてる作家が言うのかなと思ってしまいますね。」

笑顔でものすごいこと言ってます。
誰でしょうね、気になります(笑)。
それでも他社の作品の方が競争がないので気楽に読めるって言うあたり、意識せざるを得ない部分もあるようです。

高橋さんにヒーロー像とは、
「子供のときから考えると、『あしたのジョー』の矢吹丈は永遠のヒーローですね。
自分が描くヒーローとなるとやっぱり、なんというんですかね……『ヒーローらしからぬ』というか、“外してる”ヒーローになるんですよね。」
だそうです。

同時に白井さんの「長く愛されたものが、結果としてヒーローになる」という言葉にも説得力を感じました。
そう考えるとサザエさんだってヒーロー、なるほどねえ・・・。

最後に高橋先生は「ウルトラマン」よりさらに前の「ウルトラQ」世代なんだそうです。
最近スカパーでやってたので2,3見てみましたが、う〜ん、よくわかりませんでした。
そういえば私、特撮物やロボット系?は全く興味ないんだった(汗)。
子供の頃リアルタイムで見たのと、大人になって初めて見るのはどうしても感じ方が変わります、残念です。
自分の趣味や感性を高橋さんに重ねたいけど、残念ながらお笑い系も興味ない(泣)。

高橋さんの理想は
「願わくば少年マンガをできるだけ長く続けたい。
最後まで描いていたいなあ、と思っています。」

是非是非お願いします。
でも無理はしないでくださいね。

(2016年12月9日の日記)
3月23日 千年の無心 1
少年サンデー17号(2017年3月22日発売)は高橋留美子コミックス2億冊突破記念号。
本誌、「公式サイト」共に書きたいことはいっぱいあるけど、まずは「千年の無心」前編から。

久々のシリアスホラーに近いストーリーでおもしろかったが、かつての絵に比べて可愛くて、というか洗練され過ぎてて怖さがちょっと足りない気がする。
藤田さんの寄贈イラスト見て、「笑う標的」読み返したが、やはり横溝正史から東野圭吾に変貌したようなちょっとした寂しさを感じた。

「境界のRINNE」に終わって欲しくはないけど、次回作があるとしたら「千年の無心」の連載に入って欲しい。
もしくは定期的に単発読み切りで。
絵が慣れてこなれて行ったら大化けしそう。
そろそろ初期のホラーや人魚シリーズに続くシリアス物を期待したい時期かと思う。
読者も高橋さん自身も。

ちなみに「鏡が来た」は都会的なスタイリッシュ?ホラーなので今の絵で十分楽しめた。
「千年の無心」はもっと土着的な絵で見たい。

さて、「千年の恋」の舞台は現代と平安時代。
登場するのは女子高生と呪道師。
「犬夜叉」や「境界のRINNE」他、高橋作品の集大成という雰囲気もある。

呪道師という言葉は初めて知ったが、調べてもなかったので作者の造語だろうか。
無心とは名ではなく、その役名のようなもの。
呪いの木偶(でく)を封じるのが呪道師、そのために自らの地を鬼神に捧げ、かわりに鬼の血を得てその血で木偶を制し、滅する。
しかし、平安時代でその木偶を奪われた無心は現代までやって来る。

とはいえ、無心は「犬夜叉」のように、ぽんと来たのではなく、千年の時を生き続けて来た。
木偶は人の邪な心の集まり。
ひとつひとつは取るに足らない人と人の諍い、妬み、嫉みだが、そうして人を呪う者たちが、呪詛の札を貼り、願を掛けた木の人形(ひとがた)が呪柱。
呪いの木偶とはその呪柱の収め処。

その恐ろしさは、無心が呪柱を狩っても砕いても減らないこと、むしろ増えていること。
人の邪心を喰って増える呪柱だが、「邪心を持たない人などいない」、その事実が無心を苛む。
とここまで書くのに1時間、まだストーリーが頭に入って来ない(笑)。

無心とその式神に強制的に?なってしまった愛が挑む木偶との戦いについてはまた次回。
っていうか後編も読んでから感想を書きたい。

(2017年3月23日の日記)
3月24日 祝! 高橋留美子コミックス2億冊突破
少年サンデー17号(2017年3月22日発売)と「 公式サイト」での記念企画は次の通り。

・完全新作読切「千年の無心」2号連続掲載。
・総勢29名のサンデー連載陣がるーみっくキャラを描く。
・応募者全員サービス企画“るーみっくわーるど”ヒーロートランプ。
・プレゼント企画「るーみっく印のお仕事場ヒミツ道具セット」
(サンデー特製ちびキャラマスキングテープ&高橋先生特製ネーム用紙&特製原稿用紙)
・応募者全員サービス企画“るーみっくわーるど”ヒロイントランプ。
(3月25日発売少年サンデーS5月増刊)
・るーみっくわーるど特製キャラクターバラエティーシール(サンデーSとじこみ付録)
・高橋留美子デビュー作『勝手なやつら』完全再現掲載!(サンデーS)
・高橋留美子番My P-1(サンデーS)
(高橋留美子歴代担当者が選ぶ思い出の1ページ)
・「サンデーうぇぶり」で『犬夜叉』最終話 &『境界のRINNE』第1話直筆ネームを初公開。
・全タイトル電子化記念高橋留美子全タイトル1話試し読み。
・限定るーみっくしおりがもらえる書店キャンペーン(詳細未定→公式サイトで近日発表)
・山口勝平スペシャルインタビュー(サンデー)。
・直筆サイン入りるーみっくキャンバスプレゼント(サンデー&サンデーS)
(Wチャンス賞はスペシャルるーみっくブロマイド4点セット)
・・総勢29名のサンデー連載陣によるメッセージ集(サンデー)。
・「サンデー非科学研究所」で3回にわたって高橋留美子特集。

まあこれだけあれば、読んだり見たり応募したりしてるうちに軽く2時間はたってしまうという充実ぶり。
その中で気になったのが何と言っても犬夜叉とりんねのネーム。
犬夜叉のネームは2008年(平成20年)の高橋留美子展で数ページ展示されたが、あの「生の」感じは素晴らしかった。
今回はパソコンで見ることになるので、多少の物足りなさは残るものの、やっぱり犬夜叉の最終話に懐かしさを覚えてしまう。

そういえば先日「飛来骨」と打とうと思ったら「平遺骨」になっていた。
私のパソコンも犬夜叉から遠ざかったか、寂しい・・・。

逆にりんね1話は別の意味の懐かしさ。
りんねが今よりワルっぽい顔してたり、桜の喋り方などもっとサバサバした感じ。
魂子さんの髪が架印の母の形になってたり、桜の名前を「七穂?」と書いて消してる部分も気になる。
ここから「ミホ=美穂?」が生れたのかな?とか。
りんねを「りん」にしてるのは普通にミスだろうね、タイトルからしても。

山口さんのインタビューもおもしろかった。
私はらんまは再放送しか知らないが、犬夜叉で多感な少年を演じ、りんねでいい加減な、でも憎めないお父さんを演じる山口 さんに時の流れを感じた。
「境界のRINNE」の次の作品があれば、「うる星やつら」の錯乱坊(チェリー)や「らんま1/2」の八宝斎ような「元気なおじいちゃん 役」でぜひ参加できるようにがんばりたいとのこと。
これは見たい、応援したい。

「サンデー非科学研究所」にはもう爆笑。
「今はもう高橋留美子おおお!!だから!」ってノリが良すぎでしょ(笑)。
ファンは必読のエピソード。

とにかく高橋さんの大偉業、3億冊でも4億冊でも目指して欲しい。
でもくれぐれもお体には気をつけて。

(2017年3月24日の日記)
3月27日 少年サンデーS増刊号1
2年前に出たサンデーSりんね特集号?は表紙とるーみっく新聞だけで「えっ?」と思ったけど、今回は同じ580円でも買って悔いなし!
まず表紙が素敵、歴代の主役がモノクロで登場する疾走感がいい。
カットは既存のものだと思うけど、うまくまとめたなあ、かっこいい。
そして裏表紙は、今度はカラーで歴代主役が勢揃い。
仕方のない事だけど、人魚シリーズがないのは淋しいな。

こちらでもるーみっくキャンパスのプレゼントがあって、るーみっくわーるどトランプの応募者全員サービスがあって(こちらはヒロイン)、付録のシールがあって、 「うる星やつら」の前身となったデビュー作「勝手なやつら」が掲載されてて、でも一番嬉しいのは歴代担当が選ぶ「私の1ページ」。
担当が1作品の中でこんなにコロコロ変わるものだとは知らなかった。

★「うる星やつら」
・「最後のデート」(6代目担当編集有藤智文さん)

「犬夜叉」から入った私は、「うる星やつら」は1度読んで1度見ただけです。
コミックもDVDも持ってません。
遡って初期の絵が馴染まなかったことと、元々ギャグ漫画は苦手なせいもあったと思います。
そんな私なので「最後のデート」や高橋さんが言及している子ギツネの話は好きだったなあ。

・「少年サンデー1983年32号表紙」(5代目担当編集大島誠さん)

可愛い女の子の水着ネタが大好きな高橋さんに怒られて(笑)、選んだのは「ラムの夏」。
高橋さんの描く女の子は、極端に胸が大きいわけじゃないのに健康的なセクシーさがありますね。
このラムもとてもキュートです。
(るーみっくに関して書いてると、選ぶ言葉もそこはかとなく昭和になってく・・・)。

・「明日へもういっちょ」(7代目担当編集久保田滋夫さん)

最終回近くになると絵にも馴染んで、特にこのウエディングドレス姿のラムはほんとに奇麗。
でもこの後どうなるっけ、忘れてる自分が情けない・・・。

★「めぞん一刻」
・「事件」(3代目担当編集鈴木総一郎さん)

名前が素敵な(笑)鈴木さん。
「めぞん一刻」は原作を揃えました。
響子さんの愛らしさと嫉妬深さの狭間で、一読者として振り回された記憶があるなあ。
でも今読み返すと、響子さんは最初から五代君だけだったのかな?とも思います。
でもこの話、こんなに前のエピソードだっけ。

・「P.S.一刻館」(4代目担当編集大島誠さん)

大島さんは「うる星やつら」に引き続いて担当されたのですね。
私にとってめぞんのクライマックスはお墓の前の2人の会話で、その後はあまり記憶に残ってないのです。
最後に読んだのは、もう10年以上前か。
引っ張り出して再読しようと思います。

★「らんま1/2」
・「けがはなくとも」(初代担当編集久保田滋夫さん)

久保田さんも「うる星やつら」からの再就任、というよりうる星終了とらんま開始の掛け持ち任務だったのですね。
「らんま1/2」はめぞんとは逆に原作は1度読んだだけで、アニメはスカパーでちょこちょこ見てました。
「犬夜叉」にハマった後だと、年齢的なこともあり、らんまは単純におもしろいアニメの枠を超えることはなかった気がします。
高橋作品に限らずですが、見る(読む)順番って大事ですよね。

・「火車王の挑戦」(4代目担当編集瀬尾俊之さん)

らんまで好きなキャラはかすみと東風先生だったなあ。
「犬夜叉」で犬夜叉の母を演じた井上喜久子さんの声というだけでテンション上がった懐かしい記憶が蘇ります(笑)。

★「1ポンドの福音」
・「子羊どもの夢のあとPart1」(3代目担当編集八巻和弘さん)

申し訳ないことにこの作品はさらっと読んで終わりました。
やはり私にとって高橋留美子と言えば「犬夜叉」「人魚シリーズ」「めぞん一刻」そして「境界のRINNE」なんです。

・「子羊どもの夢のあとPart5」(6代目担当編集由田和人さん)

ピンドンがわからなかった(笑)。
何かの丼?って思ったらピンクのドンペリ、「ドン ペリニヨン ロゼ」のことですってよ。
普通に買って、安くて3万高くて5万ですってよ。
まあ上を見たらきりがないでしょうが。
「後でスタッフと美味しく頂きました」のコメントにりんねを思い出した人多いはず。

長くなったので次回に続きます。

(2017年3月27日の日記)
3月28日 少年サンデーS増刊号2
★「犬夜叉」
・「封印された少年」(初代担当編集瀬尾俊之さん)

懐かしの「犬夜叉」第1話。
日暮神社が担当編集者だった瀬尾さんの自宅の近所にある神社をモデルとしていることが明かされます。
私は伊東市にある実在する日暮神社&音無神社がモデルだったらいいなあと、はるばる見に行ったりもしたんですが、 モデルの神社自体おそらく都内である事になりますね。
実家でなく自宅なら、高橋さんの編集担当するために近場に住んでいるでしょうから。

石段と言えば愛宕神社、歴史が古いと言えば出雲大社他いろいろ思い浮かびますが、1300年の歴史となるとそこまで有名な 神社が出て来ないのが正直なところです。
モデルの神社はいわゆる「聖域」になるのを避けたのか、明言されてないのが辛いところですが仕方ありませんね。

・「死の匂い」(2代目担当編集縄田正樹さん)

裏陶により桔梗が復活した場面です。
2大ヒロインのかごめと桔梗。
かごめは「成長」はあるものの、基本的なキャラ設定はほとんど変わりませんでしたが、桔梗の「変化」は本当に目まぐるしかったです。
読者としてかなり翻弄された記憶が蘇ります。

・「凶骨」(4代目担当編集村上正直さん)

蛇骨初登場のシーン。
ファンが「私の1ページ」を選ぶ時に、これを選ぶ人はまずいないと思う。
感動した場面を選ぶんじゃないかな。
ここであえて蛇骨が出て来ただけの場面を選ぶところに「読む側」ではなく、「読ませる側」のプロとしての立場を感じます。

・「風」(5代目担当編集熊谷崇さん)

やっと私の選ぶ感動シーンが出て来ました。神楽の死の瞬間です。
犬夜叉たちですら添え物に過ぎなかった、神楽と殺生丸の心通わせた場面。
「犬夜叉」は当時ですら私にとっては「ちょっと若い(笑)」物語でしたが、桔梗と奈落、神楽と殺生丸、桔梗と睡骨、そして楓の存在によって 引きずられた感があります。
もちろん戦国時代と物の怪も大事な要素でしたが。
今なおこの世代の恋を描ける高橋さんはやっぱりすごいです。

・「冥王獣」(6代目担当編集近藤秀峰さん)

ここで冥王獣登場、私びっくり、おそらく皆さんもびっくり(笑)。
当時新人だった?近藤さんが初めて扱ったエピソードとして登場するので、他の編集さんとはちょっと違った意味合いですね。
冥王獣冥利につきますね、まだ骨だけど(笑)。

・「傷ついた心」(7代目担当編集飯塚洋介さん)

当時は「犬かご」だの「犬桔」といったカップリング推し派に分かれて喧々諤々の大論争があったな・・・。
(犬夜叉に限らず)今もあるのかな?
個人的にはかごめの心理、桔梗の心理の描写に関してはいろいろ思うところもありました。
作品の感想というよりも、作者に議論を挑む構えで書きまくってたなあ、お恥ずかしい限りです。
もう語り尽くしたと思ったけど、ここで書き始めるとまた止まらなくなるのでこの辺で(笑)。

・「奈落の死」(8代目担当編集茂木俊輔さん)

奈落よやっと気づいたか。
誰もが思わず突っ込みいれたと思う奈落の最後。
ただ読者の立場としては、「犬夜叉」に関しては私と一致したのが「神楽の死」しかなかったというのがおもしろかったです。
かごめも桔梗も私なら別の場面を選ぶかな。
もちろん担当者さんの立場もあるでしょうけどね。

★「境界のRINNE」
・「謎のクラスメート」(初代担当編集茂木俊介さん)

りんねと桜はいろんな意味で新鮮でした。
おもしろいんだけど曖昧なキャラ、曖昧なストーリー。
高橋作品の良くも悪くも「強く鋭い」設定のない作品、と感じました。
未だにりんねを新作と感じてるけどもう8年になるのか、早いなあ。

・「りんねはどこに?」(2代目担当編集横山真義さん)

りんねの場合、泣いてしまうような感動はないのですが、ほのぼのした、心があったかくなるような感動作は多いですね。
霊が見えなくなるキャンディーもそのひとつ。
さらに普段はあまり見せない桜の恋する気持ちが描写されるので私も好きです。
アニメももうすぐ始まりますが、りんねは本当にアニメに恵まれた作品だと再認識。
Eテレさん、ありがとう!

・「ナスロマン」(3代目担当編集板谷真人さん)

このビジュアルは衝撃的でした(笑)。
でもいい人なんですよね、ナス男さん。

・「黒猫秘密集会の裏歴史」(4代目担当編集森脇健人さん)

最後は思いっきりプライベートなお話でした。
りんねは担当編集さんが全員出てますが、過去作品はいろいろ抜けてますね。
事情はあるのでしょうが、できれば全担当者さんの「私の1ページ」を読みたかったです。
あとやっぱり「人魚」シリーズや短編もお願いしたいなあ。

(2017年3月28日の日記)
3月30日 千年の無心 2
前編が素晴らしくて期待が大きかったために、後編の失速は残念だった。
内容が悪いのではなく、やはり短かすぎたのだと思う。
高橋さんは、短編なら短編のキレの鋭さで読ませる人で、それはギャグもシリアスも変わらないと思う。
でも今回は強いて言えば、物語が始まったところで終わったような、そんな残念さを感じた。

私だけかもしれないが、私はこの作品に「犬夜叉」を見ていたと思う。
無心は犬夜叉であり桔梗であり、師は奈落であり白心上人であり、見た目だけなら宝仙鬼でもある。
あの描き切った壮大なストーリーを読んだ後だと、あらすじをキャラを変えて描いてみましたみたいな 物足りなさを感じても仕方ない気もする。

むしろテーマは不変なのだから、不定期連載でもなんでも長編として描いて欲しい。
特に愛のキャラがもったいない。
読みたいなあ読みたいなあ、もっともっと読みたいなあ。

サンデー非科学研究所はおもしろい。
高橋さんは一応まじめに答えてるのかもしれないけど、漫画のノリがまさにギャグ。
素顔が見れた?そんな感じ。
もちろん作品の裏側に関しても情報たっぷり。
買ってない方もこの高橋留美子3部作?はお勧めですよ。

今週は他にりんね役の石川界人さんと、架印役の斉藤壮馬さんのインタビュー。
斉藤さんのめぞんが好き、はともかく理想のヒロインがめぞんの朱美というのにはびっくりした。
この顔でめぞん世代?と一瞬思ったけど、そんなことはなかった(笑)。

今週の古見さん、メイド喫茶に行く人の心境がおもしろかった。
「ごめんなさい」が「ご明察」に聞こえた所と、只野くんのメイド姿に興奮している?古見さんが笑えた。
こちらは湯神くんと違って少しずつ恋愛面でも近づいてきてるみたい。

ハヤテは話がよくわからないけど、マリアが出てきていかにも彼女らしい台詞を言ってくれたので嬉しい。
だがしかしは今週休みで来週は湯神くんもやって来る、もちろんりんねも帰って来る、楽しみ♪

(2017年3月30日の日記)
4月7日 不定形ファミリー
「逃避って言うのか、『うる星』描く時は『めぞん』のことがよく思いついて、『めぞん』の時は逆にっていう・・・」

サンデー非科学研究所で、タイプの違う2作品を同時連載していた時のことを聞かれて答えた言葉。
この両極端な雰囲気の作品を描くことが楽しいとか刺激になるというようなニュアンスのコメントはこれまで何度か見たことがある。
今回の「不定形ファミリー」もまさにそれ。

青春真っただ中の純な恋を描く「境界のRINNE」と、ある意味リアルで生々しい大人の世界。
ギャグ?コメディ?という根底は一緒ながら、相容れない磁石のN極とS極みたいに、1つの存在でありながら、両作品をくっつけようとすると、 反発し合って吹っ飛ぶような、そんな世界。
まさにるーみっく。

不定形とは「 形や様式が定まっていないもの」。
そんな家族の物語。
というよりお父さんの物語。

子どもが巣立ち(無事結婚し)、親も看取り(妻が介護してくれ)、妻と二人きりになったお父さんが突き付けられたのは「離婚届」。
去年(平成28年」の話になってるから、妻が55才、お父さんもそれくらいかちょっと上だろう。
お父さんにとっては突然の話でも、妻はこの日に備えて介護ヘルパーの資格を取り、自立の準備を進めて来た。
女性読者の立場で読むと妻の気持ちもわかるが、男性読者はどうなのだろう。
ニュースやワイドショーで「熟年離婚」なる言葉が取り上げられる機会も一時多かったので、否応なしに意識させられるテーマではある。

さて、妻と別れたお父さんは、行きつけの定食屋さんのママと一夜のあやまちを・・・。
悶々と思いつめるお父さんとあっさりさっぱりのママ、俵小町(25歳年下)、6人の子持ち。
なんやかんやで同棲?同居を始める2人だけれど・・・。
もうこの時点でりんねとは世界が違う。

でも子供の名前が光、錦に中(あたる)、双子のゆめ・ぴりか(新潟のお米ではない)、天(てん)。
しかもホストとプロレスラーまで出て来る。
ホストとプロレスラーの出没率高いなあ。

そういえばサンデーSで、「1ポンドの福音」の担当編集の由田さんが、「ホストクラブに取材に行きましょう。」と誘うと、「だいたいは分かります。」と やんわり拒否されたエピソードを書いていた。
なぜわかるのか、そこで突っ込んでほしかった(笑)。

最初は能天気に思えた小町にもいろいろあることがわかり、お父さんはその問題に立ち向かい、いろいろ学ぶ。
全て妻に任せっきりにして安穏としていた(仕事一筋だった)お父さん、「無意識のうちに」に学んでいくところがいい。
ここで妻がお父さんを見直して元の鞘に収まるなんてハッピーエンドに終わらない苦さもるーみっく。
でも初孫に会いに行くお父さんはなんとなく幸せそうで、ほんわか終わった。

りんね世代の読者はこの作品をどう受け止めるかな?

(2017年4月7日の日記)
3月20日 「季刊エス」より高橋留美子インタビュー1
9年前の「犬夜叉考察」で、「『季刊エス』より高橋先生インタビュー(2009年=平成21年1月16日)」という記事を書いています。
「犬夜叉」が完結した後の「犬夜叉」を語るインタビューです。
この時「季刊エス」って雑誌を初めて見ましたが、高橋さんのインタビューが浮いて感じる不思議な雰囲気だったことを覚えています。
ちなみに公式サイトではこのように説明されています。

「『季刊エス』は、年4回刊行の季刊雑誌です。
『季刊エス』は、ストーリー&キャラクター表現の総合誌です。
漫画・イラスト・アニメ・ゲーム・映画・舞台・写真など、クロスジャンルな世界を紹介しながら、物語とビジュアル表現をレポートしています。」

「犬夜叉」を総括するのに、小学館ではなく徳間書店のこの雑誌が選ばれた理由って何なんだろうって当時考えました。
定期的に高橋さんを取り上げている雑誌にも見えなかったしなあ。
私が知らないだけなのかもしれないけれど。
と思ったら平井和正著「高橋留美子の優しい世界」や「アニメージュ」も徳間書店なんですね、じゃあ不思議でもなんでもないか・・・。
というわけで?今月はなんと!高橋さんが「境界のRINNE」を総括する筆記インタビューが「季刊エス」の61号に掲載されました!

インタビュアーさんが、とにかく愛を語る部分が長くて(笑)見た目の割に高橋さんのコメントを少なく感じてしまいましたが、A4サイズの画集みたいに上質な紙を使用しての8ページ。
イラストや漫画のコマ、最終話のネーム(りんねが桜が転生したと誤解するあたり)もあるので、おもしろかったです。
ただ1,350円とちょっとお高いです。
全て写すのは問題かと思うので、要点だけをまとめていきます。
(かっこ内は私のコメントです。)

1、連載を終えての感想。
A、大変すがすがしく、悔いなく描き切れて良かった。

2、犬夜叉はシリアスな冒険活劇だったが、りんねは原点に戻ったコメディ作品、アイデアの発端は?
A、犬夜叉がハード系だったので、脱力系にしようと打ち合わせで決めた。

3、スタート時点でのキャラ設定は?
A、決まっていたのは1話目のりんねと桜と魂子だけ。

4、キャラを描く上で大事にしたこと、発見したこと、楽しかったことなど。

A、・りんね 戦う人というよりは説得して成仏させる交渉系なので、これまでの感情の起伏の激しいキャラとは違う脱力系にした。
あと不正が嫌な「結構まじめな子」。
(後半になるといろいろやらかしていたような、笑)。

・桜
霊が視えるので、いちいち驚いていたら話が進まないので、あまり驚かない子にいたら、だんだん「無表情」キャラになった。
自分でも桜は「謎の人」だったけど、そこがおもしろいのでは?

・魂子
りんねの保護者的立場なので、なんだかんだで頼りになる人になってくれれば良いなと思った。

・六文
これまでとは違い、主従関係にきちんと従った素直なキャラ(丁寧語、りんねを敬う)。
でもイヤなモノや自分が損することは断ったりする合理性のあるキャラなので描いていて凄く楽しかった。

〜この項続きます。〜
(2018年3月20日の日記)
3月22日 「季刊エス」より高橋留美子インタビュー2
・魔狭人
早めに登場したわりには、単行本のカバーになるのが遅かった(笑)。
定着するのか怖々確かめながらやっていたが、かなり描きやすいキャラだった。
(私はアニメで好きになったキャラです。)

・翼
最初はりんねのライバル的な立ち位置だったが、描いているうちに「ポジティブな子」だと思うように。
それからは伯母差が傷つくエピソードでも明るいリアクションをとるようにした。
(外道成分もほのかにありましたね、笑)。

・鯖人
りんねとへ正反対に。
どちらかというと「悪」のキャラだが、本人に悪いことをしているという自覚がないと気づき、どこかかわいげのある人に見えるようにした。
越えてはならない最後の一線は越えないように。
(ある意味難しいキャラでもあったのかも。)

・鳳
桜のライバルにするつもりがそうはならず(笑)。
すごいバカなんだけど、可愛いんですよね。
(作者からバカな子発言、笑)。

・架印
りんねのライバルにするつもりが、「小役人」感が浮き彫りに。
でも逆にそれで描くのが楽しくなった。
(最初アヒルじゃなかったら、殺生丸のポジションに思えるキャラですもんね。)

・翔真
子供死神を出そうと思って出したが、描いて行くうちに大物狙いで地味な努力が嫌なんだとわかり、描くのが楽しくなった。
(架印にしてもそうですが、描くうちに設定が変わって行くキャラ、描くのが楽になるキャラがいるのが興味深いですね。)

・来兎と零不兎
「うさぎ」なのは単純にビジュアルが可愛いから。
カマ打ちはキャラとして必要だから。

・れんげ
最初は敵の立場だったが、どんなときでも努力する凄くマジメな子なんだと気づいた。
悪いことが好きなわけではなく、自分がいる地で咲こうとしている花、倫理観のある子。
(時には容赦なく魂を・・・。)

・沫悟
距離の取り方が分からない人というのは意識した。
りんねの過去を知る人を出そうとしたらこうなった。

〜この項続きます。〜
(2018年3月2日の日記)
3月26日 「季刊エス」より高橋留美子インタビュー3
・アネット
先生キャラを出そうと思っていたが思いつかず、魔女の末裔という設定を思いついた後は楽に描けた。
ダメな大人は大好きなので描きやすかった、もっと早く出したかった。

・乙女/苺
設定が思いつかず、ずっと出せなかったが、この漫画が輪廻転生の話と気づき、アイデアが出た。
(しりとり輪廻転生は受けました、笑)。

5、あの世の設定(商店街のイベント、死神に組合がありといった社会が臨場感を持って描かれているが、その世界観を構築する時に大切にしていること。
A、どこか昭和感のある風景と、人間界とルールが変わらない方が描きやすいので、その点を意識した。

6、霊とのバトルに関してどんなことを意識したか、お気に入りの道具は?
A、カマを持って切るだけなので、道具がないと持たないと思った。
お気に入りは九十九神シール。
依代人形も使えるが、これを使えば何でも解決なので、価格を高く設定した。

7、りんねのカマのデザインや機能、自分で面白いと感じるカマについて。
A、架印の物は亡者の生前の行いを映し出す「浄瑠璃の鏡」を意識してデザイン。
モブはアシスタントが楽しく描いてくれた。
キャラに合うデザインを意識したが、鳳はいろんな装飾があって楽しかった。

8、描いてい楽しかった霊や印象的な霊など。
A、坂道の上にピザを宅配する霊、「お届けせねば・・・」の一心で動くマジメな霊は好きだった。
他に百物語の霊やメッセージ花火など。
(確かに地味ですね、百物語は私も好きでした。)

9、霊の事件を考える時に、どうやって考えているのか。
A、季節や行事を生かせる話や、登場するキャラが面白く動きそうな展開を中心に考えた。

10、コメディ作品の中で霊や死を描く上で、何か意識したこと、決めていたことなどあるか。
A、「死」を笑ってはいけないので、敬意と思いやりをもって扱うことは意識した。
りんねは霊を説得するが、生きていた人の話を聞くという点は大事にした。

11、霊が成仏できない理由に「恋愛」が多いのはなぜか。
A、一番わかりやすいと思ったので。
凄く扱いやすいテーマだった。

12、契約黒猫について、ビジュアルや性格はどのように考えていったか。
A、死神との組み合わせを考えた。
楽しかったのは黒猫段位テスト、それぞれのキャラクター性が出しやすく面白く描けた。

13、りんねと桜の関係を描く上で意識したこと、楽しかったことなど。
A、桜は何を考えているか分からないので、りんねもそうなんだろうなと。
りんねがドキドキするところは私もドキドキしていて、最終回まで桜の思いが読めず、楽しかった。
あと2人は恋のライバルがいないので、恋愛の進展が自分たちだけの問題なので大きく進みもせず。
ただ、今までにないタイプの2人だったので楽しく描けた。
(翼と鳳の立場が・・・、笑)。

〜この項続きます。〜
(2018年3月26日の日記)
4月4日 「季刊エス」より高橋留美子インタビュー4
14、れんげと架印の関係で意識したこと、楽しかったこと。
A、れんげは素直に架印が好きで、それを気づかれたくないというピュアな一面があるので、リアクションがとれる子。
架印は恋愛に関して無頓着。
なので最終回で、架印の職場でれんげが働いているが、その先はわからない。
自分なりにほのぼの描けて良かった。
(最終回は無事カップルとして成立と思っていたんですが・・・。)

15、沫悟と杏珠のこの後は?
A、分かりません。
(本当にこの一言だけです、身も蓋もない、笑。)

16、翼とあやめの今後は?
A、同じくわからない、結論が出ない。
皆さんの想像にお任せする(笑)。

17、美人秘書は?
A、彼女の今後もわからない。
名前はずっと付けようと思っていたが決まらず、最終的に彼女のエピソードの時について良かった。

18、キャラの関係性を描く上で、意識していること、ルールなど。

A、りんねに限らず、主人公を取り巻くキャラ(親、兄弟、幼なじみなど)と他の人をうまく絡めるかどうかを大切にする。 キャラ同士で言葉のキャッチボールが成立するかどうか。
(確かにたとえば、桜と翼の関わりができた時に、桜とだけでなく翼がりんね、鳳、れんげ、魔狭人といった他のキャラと うまく絡んでるなあって思いながら読んでます。)

19、一話ごと、コマごとの演出で意識していること。
A、無駄なコマを描かないようにしている。
よく一コマの情報量が多いと言われるが、なるべく場面の流れを切らないように気をつけている。
コマ割りも一台のカメラで撮っているようなイメージで。
結局は読みやすさ優先、セリフを言う順番に合わせてキャラの立ち位置を決めたりしている。

20、キャラのデザインのとっかかりや、どういうところからデザインを進めていくのか。
A、性格や状況の設定から考えていく。
わかりやすい記号的なモノをつける。
(翼の十字架とか?)

21、りんねで好きなエピソード。
A、メインキャラでは「冥界の約束」。
ふりむいてはいけない設定で段々とキャラが追い詰められていく様はすごく好き。
(私はラブコメ要素が強いエピソードが好きです。あと夢魔捕縛実習とか。)

22、次の連載に向けて。
A、また楽しいモノが描けたらいいなと思っている。
とにかく自分が楽しめるモノを描きたい。
(楽しみに待ってます!)

〜この項続きます。〜
(2018年4月4日の日記)
4月8日 「季刊エス」より高橋留美子インタビュー5
23、ジャンルを問わず、最近興味を持っていることやはまっていること。
A、相変わらず阪神が好きで、スポーツ観戦が好きで、舞台を見に行くのも好きです。

24、(2013年43号のアンケートの時から)カラー原稿、モノクロ原稿で使用画材に変化があれば教えて下さい。
A、パソコンで色を塗るようになっている。
(モノクロ原稿→人物:ゼブラGペン/背景:ゼブラGペン、丸ペン/使用インク:パイロット製図用/ベタ:ゼブラマッキー極細、ピグマ)

インタビューは以上です。
トップのカラーイラストは、りんね最終回の表紙の輪廻の輪をバックに主要キャラ勢揃いの図。
コミック最終40巻の表紙折り返しでも見れますね。

作品内から使用カットは、りんねは懐かしの「死神・・・みたいな・・・」他9枚。
桜は「怒ってないから。」他なぜか無表情カットばかり(笑)3枚。
六文は化け猫モードが2枚。
魂子さんはぐりぐりモードとアザラシの着ぐるみで2枚+黒星。

鯖人は私の大好きなラーメン店長編も含め6枚。
美人秘書がハンコで名前がわかるとこ(笑)1枚。
翼が「おれとつきあってください。」他3枚。
あやめは生霊モードも含め3枚、

魔狭人が5枚、鳳が5枚、朧1枚、架印2枚、鈴2枚。
れんげ4枚+タマ、来兎と零不兎が2枚+カマ2枚。
翔真2枚+黒洲、苺5枚に乙女1枚。
沫悟5枚+黒蜜で杏珠はなぜかなし。

アネット5枚と、キャラの立ち位置と枚数の差が微妙に噛み合ってないのが気になります。
(編集部の好み?キャラの人気度?)。
可哀そうなのが杏珠、好きなんだけどなあ。
もちろん沫悟のカットに出番はあるのですが、なんだか不憫。

最終話のネーム(自筆原稿)は、りんねが桜が転生したと誤解する場面から、気絶していた桜が目覚めるまでの4枚。
原作では2話に分れている場面ですが、コミックで言うなら40巻の「三途の川」の最終ページと、最終話の表紙を飛ばして冒頭3ページ。
鳳と翼、六文も描かれています。
こうして並べて見ると、りんねキャラも随分顔が変わりましたね。

あとなぜか、黒洲、鈴、六文、朧の黒猫達が揃ったカラーイラスト(コミック12巻の表紙)があって、黒猫愛を感じます。
黒猫段位テストの時の話ですね。
何もかもが懐かしい。
りんねが終わってもう4ヶ月か、早いなあ・・・。
(2018年4月8日の日記)

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