「ストレンジャーソレント」感想1
「ストレンジャーソレント」高橋留美子インタビュー感想
遅くなりましたが、「ストレンジャーソレント」感想です。
奇数月1日発売の隔月刊雑誌で、高橋さんがこれまで描いてきたキャラについて語る「高橋留美子のキャラクターBOX!」が連載開始。
第1回は「コタツネコ」ですが、その他に高橋さんの創刊記念インタビューも掲載されています。

インタビューは、まずこれまでの経歴について。
子どもの頃は、あまり動くのが好きじゃなくて、家で落書きしたり漫画を描いたりしたかったが、友達と一緒に渋々走ったりした話(笑)。
この話はお約束のように出て来ますね。

特に好きだったのは「どろろ」「サイボーグ009」で、初めて描いた漫画が「サンダ対ガイラ」。
「サイボーグ009」はスカパーで何話か見て、話も何となく知ってますが、あとは知らないなあ。
「どろろ」は妻夫木聡さんで実写映画化されてましたね。

高校では漫画研究会を作り、大学で劇画村塾に通った話。
印象的なのが、師匠である小池一夫さんに「キャラクターに受けゼリフを言わせない」ことを教わったということ。
たとえば「いい天気ですね」に対して「そうですね」では会話が転がらない。
そこから飛躍した台詞を言わせることによって話が展開していくのだそうです。
これはおもしろい。

キャラクター創りで気をつけることは、自分の手に馴染む絵であると共に、人に不快感を与えないこと、自分なりの道徳観、規範を守ることとあります。
先日読んだ対談でも全く同じことを語ってましたが、やはり高橋作品の根底にあるものを伝えたいという気持ちなのだと思えます。
ただ一方的なインタビューなので、聞き手が高橋さんに言葉を返したり、さらに突っ込んで聞いたりしないために、かなり物足りないです。
高橋さんの一人語りになってる、仕方ないけどもったいないなあ。

後は現在の漫画家生活について。
ネームが3日、作画が2日みたいな、定番の話。
「うる星やつら」と「めぞん一刻」の同時連載の頃の思い出もありますが、ほとんど前にもどこかで読んだことあるような内容です。
まあ、35周年記念や、古いものではあってもこの雑誌に関わっている小池さんとの対談本も出たばかりで、こちらは聞く方もさらっとなので、答える方も基本的な話を 手堅くまとめた感じです、さすが慣れてます。

ただ最後に、「少年漫画の週刊連載はまだまだ続けます、あんまりブランクがあると、席がなくなっちゃいますから。」の言葉は吹き出すと共に、高橋さんの気概を感じさせる いい言葉だと思いました。
あと仕事場のキャラクターグッズ、これも35周年インタビューで見たのもありますが、「うる星やつら」のキャラだるまは可愛かった(笑)。

そしてキャラクターBOX。
私は「うる星やつら」は一通り読んでるし、アニメもほとんど見てるけど、特別に好き!っていう作品ではないんですよね。
「犬夜叉」から入ったからかもしれませんが。
コタツネコもそれほど印象のあるキャラではないのですが、しゃべらないことで他のキャラとの台詞のやり取りがなく、物語に絡んでこないので邪魔にならないとあって、なるほどと思いました。

こういった脇役に持たせる役割は、物語の「緩急」の「緩」、箸休めいたいなものだそうです、うん、わかりやすい。
あとこういったキャラは、読者が似顔絵を描きやすいというのもポイントかも、とのこと。
私が唯一描けるるーみっくキャラは、まんまる七宝なので、まんまる七宝が大好きです(笑)。
次回はラムちゃん、人気キャラだけに楽しみです。

他に気になったのは小池さんのキャラクターワールドレポート。
小池さんがサンディエゴのアメリカンコミックの祭典、サンディエゴ・コミック・コンベンションに参加しましたが、小池さんが2006年に参加した時に比べ、日本のアニメ、ゲーム、漫画のキャラが全く見当たらなかったそうです。
ブースもごくわずか。

アメリカに比べて日本の業界、政府(クールジャパンを推し進めていたはず)の姿勢の甘さが問われているのでしょうか。
私自身も、未だにアメリカで日本のアニメは大人気、と思っていたのでこのレポートはショックでした。
そういえばアメリカ版「犬夜叉」のカレンダーも今年はもう出ないみたいだし(去年までは夏前に予約が始まってましたが、今年は未だに出ていません)。
秋葉原でアニメ大好きな外国人観光客の街頭インタビューなどよくやってますが(テレビでもよく見ますが)、ああいうのを見てると、外国の人は本当に日本のアニメが好きだなあと微笑ましく思ってしまいます。

でもあれは、アニメが大好きで日本に来る、あるいは日本に来てる熱狂的な、ごく一部の人たちであることに気づかなければいけませんね。
これって漫画だけじゃないだろうけど、日本も売り込む姿勢、押し出す姿勢が必要なのかもしれません。

さて、インタビュー目当てで買った「ストレンジャーソレント」ですが、せっかくなので掲載作品も一通り読みました。
私は少年漫画はサンデーだけなのですが、「ストレンジャーソレント」はサンデーに比べるとかなり異質で、読みにくかったです。
っていうか、元々好きな漫画以外はほとんど読まないし、ストーリーより何より絵柄で選ぶ方なので、どんな人気作品でも、絵が合わないと思えば駄目です。
そんな中気になったのは、河合ヨシアキ「霊媒分析師(スペクター) レアード」でした。

そうですね、「ミディアム 霊能者アリソン・デュボア」や「ゴースト 〜天国からのささやき」のような感じ?
と書けば聞こえはいいですが、絵はかなり気持ち悪いし、話もホラーとスプラッターの混合みたいでかなりえぐいです。
被害者を科学的に?一瞬だけ蘇らせ、犯人の手掛かりになるようなメッセージを聞き取ります。
この被害者の蘇りを、他の人が見れるのか、レアードだけが見ているのかははっきり描かれてません。

ファイル1となっているので新連載でしょうか。
でもあまりお勧めはしないなあ(笑)。
犯人より被害者の描写の方が怖いって・・・。
でも連載なら「ストレンジャーソレント」買う楽しみがひとつ増えました。
(2013年8月28日の日記)
「ストレンジャーソレント」第2回「ラム」
「ストレンジャーソレント」創刊2号の「高橋留美子のキャラクターBOX!」第2回は「ラム」。
9月22日に描かれたラムのイラストと、「ラムとあたるの初対面」のイラストを比べると絵がかなり変わったことがわかります。
私は今の絵が好きだけど、ラムちゃんに思い入れのあるファンは、「顔が違う〜」とか言いそうです。

何度か書いたことがありますが、「犬夜叉」に出会うまで、「うる星やつら」についてはほとんど知りませんでした。
高橋留美子という漫画家がいること、ラムという虎縞ビキニの「だっちゃ」つける女の子キャラがいること、「うる星やつら」という漫画があることは それぞれ知ってましたが、一致しなかったというか。

「犬夜叉」にハマってから高橋作品一通り読んで、一通り見ましたが、「めぞん一刻」「人魚」シリーズには夢中になったものの、それ以外の作品は 普通におもしろい漫画という程度。
元々ギャグ漫画というジャンルに興味がないこともあり、コミックもDVDも買ってません。
「最後のデート」やラムが牛になる話?、子ぎつねの話などいくつか大好きなエピソードもありますが。

もちろん当時の社会現象になったとまで言われる人気も知らず、未だにもったいないことしたなあと悔やんでます。
ネットの時代でもなかったので、ファンサイトも少ないし。
当時は同人誌だったのかな?

さてインタビュー。
ラム人気については、ビキニスタイルのヒロインが珍しかったこと、男性キャラクターに従属していないこと、個性的な方言「だっちゃ」を喋らせたことが 人気の理由ではないかと、周囲の人たちに言われたこと、読者から一途なところが好きとの意見を多くもらったとのこと。

ラムは自分とは似ておらす、どちらかというとしのぶやランといった、いかにもA型っぽいキャラにシンパシーを感じるとのこと。
ちなみにA型は几帳面で慎重な性格だそう。
シンパシーは「共感」ですね。

似てないから描きにくいということはなく、プロとしてはより多くのキャラを生み出せる方が得。
ただ共感できるキャラの方が動かしやすい部分はある。
なにより大切なのは、自分がそのキャラを愛せるかということ。

ラムは連載中に、直情型から引くテクニックを身につけたかも。
また、あたるがそれなりに女子への優しさを貫いているところに惹かれたのかも。
お気に入りの台詞は特にないけど、いたずらや悪事をしてしらばっくれる時の「うち知らないっちゃ」という軽さが好きだとか。

そしてファンにはショックかもしれない一言。
後日談を描く気はない。
自分の中で完結しているので、後日談は蛇足になりそうで、描くのは怖いとのこと。

「犬夜叉」は特別に「後日談」描かれましたが、それでも絵の変化が見られたので、「うる星やつら」だと全然違った絵柄になるかもしれませんね。
後日談じゃなくサイドストーリー、外伝的なものだったらいいと思うんですけどね。
でもやっぱり物足りないなあ。
2ページにイラスト入れて、漫画のカットも入れて、質問もうまく作ってるし、高橋さんのコメントもコンパクトにまとめてあるんですが、もっともっと 語って欲しい、というのは無理な願いです、はいわかってますが(笑)。

次回は「犬夜叉」です。
ワイド版と丸被りしそうで怖い。
犬夜叉は後回しにしても良かったのでは?と思いますが。
ただちょっと失礼な言い方をさせてもらえば、奇数月(つまり1ケ月おき)発売で、まだ海のものとも山のものともつかない状態。

実際書店やコンビニでもほとんど見かけないし(私は取り寄せて います)、まだ長く続くという確信は持てないんですね。
それだけに人気キャラ、主要キャラを先に取り上げてしまうというのはあると思いました。

今回は他に小坂伊吹さんの「平安狩人翼鬼丸」がおもしろかったです。
絵も見やすかったし。
あと次号から連載が始まる「地獄楽まんだら」にちょっと興味あり(笑)。

ただちょっと気になったのが、裏表紙に「ますますパワーアップ!創刊第2号!新連載続々!小池一夫&天野喜孝/高橋留美子(以下略)」と名前並べてますが、 これだとまるで高橋さんも漫画の連載受け持ってるみたいです。
「高橋留美子のキャラクターBOX!」も連載と言えば連載だけれども、この書き方だと漫画の連載と誤解する人もいそうな気がしました。
(2013年11月2日の日記)
「ストレンジャーソレント」第3回「犬夜叉」
「ストレンジャーソレント」高橋留美子のキャラクターBOX第3回は犬夜叉。
「犬夜叉」ワイド版も出たし、散々語っただろうに、なぜまた犬夜叉?と思ったが、さすがに同じようなコメントには終わらせず、おもしろく読んだ。
これまでのインタビューと重複するコメントもあるにはあったが、質問が同じでは同じ言葉で答えるしかないんだろう。
でも少年誌よりコメントの自由度も高いのかな?というのが印象。

「タイトルに託した思い」は「犬の妖怪」だから「犬夜叉」、タイトルも主人公の名前が入った方が読者が覚え易いのでそのまま使ったとのこと。
性格は乱暴で、何かに怒っている感じ。
初期設定も「いずれ凄い刀を手に入れる」程度。

長期連載の場合、あまり最初からがっちり決めすぎるより、臨機応変に作った方が話が広がるのだそうだ。
「犬夜叉」がるーみっくとの出会いの私は、犬夜叉でも十分ギャグキャラだと思っていたのだが、犬夜叉は「強くてボケたりしないヒーロー的な主人公」だったのだそうだ。
確かに後で「らんま1/2」や「うる星やつら」を読んだら、犬夜叉はまじめだなと実感(笑)。

犬夜叉の衣装は最初の頃はサーモンピンクで、途中で強い赤に変更したのだとか、気がつきませんでした。
コミック1巻と最終56巻並べてみると、確かに微妙に違います。
でも私などは1巻は色あせしましたと言っても納得しちゃうレベル。
イラスト描く人などは気づくんでしょうね、こういう違い。

長期連載を支えるモチベーション。
同じ週刊連載でも、読み切りを毎週描くより、続き物を描く方が断然楽とのこと。
つまりりんねはしんどいと・・・?

この後の「時代ものを描きたい人」へのアドバイスがおもしろかった。
リアルに描きたければ資料をしっかり揃えるべきだろうし、あえてハズして自由度のある作品を作るのも面白いと思いますとの回答。
ハズすにしてもある程度の基本は押さえたほうがいいと補足はあるものの、そういう描き方って想像つかない。
例えて言うならどんな作品だろう・・・。

一番好きな時代劇映画は黒澤明監督の「椿三十郎」。
他に「七人の侍」「用心棒」も画面構成が素晴らしいとか。
どれも見たことないけど、日本人として黒澤作品は見ておくべきとはよく言われますね。


「犬夜叉」を描くにあたっては、「乱」の写真集や、画家の高橋華宵さんや伊藤彦三さんの武者絵、日本の服飾史の良い図録を参考にしたとのこと。
妖怪図説も探したけれど、水木しげるという偉大過ぎる先達とかぶらないようにしたら、結局捏造妖怪ばかりになったと・・・。
捏造・・・っていうのはまたちょっと違う気がするんですけどね。
伝承を元にしたオリジナル妖怪と私は捉えています。

映画は「犬夜叉」を描くために観たのではなく、好きで見たのだが雰囲気を知るにはもってこいの資料。
絵にするなら資料本や図録を使うにしても、キャラを活かす雰囲気をくみ取って欲しいと締められています。
重みのある言葉です。

次回は「めぞん一刻」の響子さん、これまた楽しみです。
(2014年1月18日の日記)
「ストレンジャーソレント」第4回「音無響子」
1ページの半分使って響子さんの似顔絵がどどんと掲載(2014年1月23日に描いたイラスト)。
「犬夜叉」ワイド版もこれくらいの大きさだと信じてた時期が私にもあった(笑)。
昔の響子さんと比べると、若返ったというか可愛く見える。
その分色っぽさも少なくなってる。

日暮かごめが20代になった顔にも見える。
私は好きだな、この顔。
当時のファンはどうだろう。

先日「ひとりごと」で紹介した「ダ・ヴィンチ」のアンケート。
ラムと響子さんの人気の高さに驚いた。
コメントも、「懐かしい」もありだが、現在進行形で「好き」な人の多さにも驚いた。
その響子さんに関するコメント、おもしろかった。

まずオープニングは物語の舞台と登場人物紹介、状況説明した上でのヒロイン登場。
ややエキセントリックな環境に登場した美人管理人のギャップを狙ったとのこと。
大きなコマを使い、大きな絵を入れる、そして周囲がちゃんとリアクションをとる、が基本。

響子さんのモデルは「うる星やつら」のサクラ。
性格も当初はキツめにしようと思っていたが、ネーム段階で変更。
キツい響子さんってどんな感じだったんだろ。
質問はたぶん、実在する人物でモデルを答えて欲しかったんだろうな。

「めぞん一刻」はリアルタイムで時が経ち、日常の全てがイベントになった。
浪人だった五代くんが年を経るにつれ、環境がシビアになり、それをどうクリアするか考えるのもおもしろかったとのこと。
でも二人が結ばれるゴールは設定済みで、最終回は結婚式から始めようと考えていたそう。

特におもしろかったのが、響子さんの「ワガママ、八方美人、ヤキモチやきなどのマイナス部分」は高橋さんが愛せる許容範囲とのコメント。
なんでこんな風にしたんだろうと不思議だった。
あえてこんな風にしたんだ。

もうひとつ、キャラを描く時注意すること。
作者も驚く意外性が欲しいけど、「このキャラはこんな事をうるのか(言うのか)」と「このキャラはこんな事はしない(言わない)だろう」とは違う。
前者は意外性だけど、後者はキャラのブレ。
雑誌の性格上、漫画化を目指していう読者へのアドバイス的なコメントも多い、さすが。

以前人気キャラアンケートで、響子さんをあまり好きではない女性も多いという結果が出ていたが、その件に関してもコメント。
作者としては嬉しい。
暴走響子に突っ込む朱美は描いていて気持ち良かったとのこと。

最後に、物語を描いている間は一刻館にいて欲しいという願いから、五代くんと響子さんが春香ちゃんを抱いて一刻館に帰って来るラストになった。
「めぞん一刻」を読み返すことはあまりないが、久しぶりに読みたくなった。
次回は同じく「めぞん一刻」から五代くん。
なぜか第4回は「音無響子」で第5回は「五代君」、呼び方の違いはなぜ?
私はかごめ、ラム、乱馬、あかね、りんねと呼ぶが、なぜか「めぞん一刻」のキャラだけは「五代くん」「響子さん」が固有名詞。
(2014年3月3日の日記)
「ストレンジャーソレント」6月号感想
「ストレンジャーソレント」は「高橋留美子のキャラクターBOX!」もおもしろいけれど、その前のページに掲載されている「鼎談」がおもしろい。
と、その前に不思議なことが・・・。
「鼎談」とは「3人の座談会」の意味(2人なら対談)で、「かなえ」という言葉で変換する。
「三国志」などで盃を3つの足で支えている、あれ。

ところが「ストレンジャーソレント」やIEだと「鼎」の上の部分が「目」になる。
ところが、私はいつも「windows live mail」を使って下書きを書いているが、こちらだと「日」になるのだ。
検索して「目」になっている「鼎」をコピペしてこっちに貼ると、なぜか「日」になる。
なんで?

この下書きをサイトのファイルマネージャーに置いた時にどうなるのかは、今はちょっとわからないが、たぶん「目」で表示されるだろう。
もちろんこちらが正しい。
「かなえ」の上は「日」ではなく、「目」である。

小池一夫さんがメインで、今回のゲストは寺田克也さんと、梶研吾さん。
私は知らなかったのだが、寺田さんは「blood the last vampire」のキャラデザインを手がけた人、おおっ!
「Blood+」や「Bloodc」など、この作品をコンセプトとして用いながら、どうしてそうなった!と泣きたくなるほどの出来だったが、この元祖のインパクトは凄かった。
梶さんは、下の甥っ子2人が夢中な「ウルトラマンギンガ」などのシリーズの監督。

小池さんはコミック・コンベンション(以下コミコン)で、2006年には「犬夜叉」や「ポケモン」が注目を集めていたが、2013年には完全に映画のキャラに押されていたと問題提起。
でもこれは、日本の漫画が衰退しているわけではなく、目指す方向がコミコンで求められるものと違ってきた、ということの表れだという。
昔は「コミックファン」という、大きなひとつの括りしかなかったものが、ここ数年でアメコミファンと、日本の漫画のファンとに二極化してしまった。
それを良しとせず、アメコミファンも引っ張れるようなキャラを作っていくのが今後の課題。

ただおもしろいのが、今評判のアメコミは、「アイアンマン」や「スパイダーマン」など、昔作られたヒーローで、そのために盛り上がりも一時的。
新しいキャラクターを創り出すパワーは日本の方が凄いの意見になるほどと頷いてしまった。

日本で盛り上げるにしても、海外の日本漫画に対する関心は強いが、日本人のアメコミに対する関心はそれほどでもないので、アメコミを日本に持って来ても駄目だろう。
ならば今日本中で大人気の「ゆるキャラは?」の小池さんの意見に、そう来たかと笑ってしまった。
いえ小池さんは大真面目に語っているんだけど。

ただ「ビジネス先行でキャラクターを作り出す」というのは、世界観が確立していないのに、キャラだけが独り歩きしているように見えて落ち着かないと、寺田さん。
キャラそのものの魅力だけでなく、商業展開の方法にこそヒットの理由があると小池さん。

「世界観や背景がなくてもキャラに感情移入できる日本人の国民性」と、「ブームに乗せられてお金を落としやすいという危うさもある」、これも小池さん。
海外にもミッキーマウスやスヌーピーなど可愛いキャラは沢山いるが、彼らにはしっかりした世界観があるから、ゆるキャラとは違うと寺田さん。
私はそんな風には考えたことなくて、地域の活性化のためにいいことなんじゃないか、と単純に思っていたのだが、こんなところにも国民性が出て来るんだなあと思った。
「国民性」、ある意味怖い言葉だ。

人間の数だけ個性があるのに、国単位で考えると、確かに「共通性」といったものがある。
ゆるキャラが受けれられるか受け入れられないか、そんなところですんでる分にはいいのだが・・・。

この後は若いクリエーター(漫画化も含め)にどんどん海外に出て行って欲しいけど、現状ではとても難しいことに話が移り、お互いのファン鼎談のような形になるので省略。
長くなったので、「高橋留美子のキャラクターBOX!」はまた次回。
ちなみに私の好きなゆるキャラベスト3は、ひこにゃん、ふなっしー、しまさこにゃん。
(2014年5月3日の日記)
「ストレンジャーソレント」第5回「五代裕作」
「高橋留美子のキャラクターBOX!」第5回は「めぞん一刻」の「五代裕作」。
これマジックで描いているのかな?
イラストの五代くんが「めぞんの五代」→「犬夜叉の弥勒」→「りんねの翼」と進化系になってるみたいで、もはや別人。
ただ私、高橋さんの最近の絵、好きなんだよなあ。

ただこの五代くんだったら、情けない人には見えなくて、むしろ三鷹さんよりかっこいい。
でも設定として特徴のない普通の青年にしたのは、感情移入のしやすさを優先したから。
彼には、今で言う「いじられキャラ」の役割もあったし、多少コンプレックスを持った人の方が、作者としても描きやすい。
さらに最初から特技を設定して、それがしばりになるのも嫌だったとのこと。

結局後付けで「手先が器用」だけが追加された。
大学の人形劇部で作ったお姫様の人形を、響子さんそっくりと評判になり、「手先が器用」設定に。
響子さんと2人で演じる場面はほのぼのしていて可愛い(漫画からこの場面が引用されている)。

めぞんは、リアルタイムで描いていたため、流行歌や服飾はその当時の物を反映させたが、政治や時事ネタはストーリーに関係がないのでほとんど触れず。
「生活感」や「季節感」を大切にし、一刻館の住人たちが、読者と同じ空の下で生きている感じが伝われば良いなと思いながら描いていた。
この言葉がいい。
連載当時の熱狂を私は知らないけれど、当時読んでいた読者はきっとそう感じていたに違いないと思う。

作者が好きな五代くんの魅力は、彼が人を怨んだりもするが、基本的には善人で卑怯なことをしないこと。
傷つきながらも立ち直りが早く、小さなことに幸せを感じられるいいやつ、だそうだ。

2人の恋、勘違いやすれ違いはめぞんだけではなく、「ラブストーリー」の基本。
物理的な障害、心理的な障壁などは誰にでも経験できる弱さ。
恋愛をテーマにした作品を創る時は、どんどん使うべき手法だと思うとのこと。

五代くんがお墓の前で決意を語る場面、最初は作者が力んで、きりっとした顔になったが、肩の力が抜けた表情に描き直したとのこと。
力んだ顔も見たかったかも。
最後に高橋さんは、三鷹さんより五代くんの方がお気に入りらしい(一緒にいてラクそうだから?)。
次回は「早乙女乱馬」。

余談だが、先日神保町をブラブラしていたら、神保町の書店ではたくさん「ストレンジャーソレント」を見かけた。
うちの近所には扱ってるお店がなくて、探すの大変だったのに。
さすが神保町。

めぞんの舞台、特に駅が東久留米駅をモデルとしているのは有名な話だが、私は以前そこに住んでて、毎日通ってた。
でも当時はめぞんどころか「高橋留美子」の名前すら知らなかったから、後になって悔しかった。
駅の北口取り壊しの際は、久々に行ってみたが、確かに漫画の場面とほとんど同じでひどく感動したことを覚えている。
→「こちら
(2014年5月8日の日記)
「ストレンジャーソレント」第6回「早乙女乱馬」
「高橋留美子のキャラクターBOX!」第6回は早乙女乱馬。
イラストがれんげっぽくてちょっと笑った、絵がどんどん可愛くなっていくな。

「らんま1/2」の準備期間は?との質問に、昔のことなのではっきり覚えていないと言いつつ、怒涛の仕事量をひとつひとつ上げて、 「仕事自体はほとんど休まずにとりかかった」とか凄すぎる。
つまり1987年は「うる星やつら」「めぞん一刻」「人魚の森」「1ポンドの福音」「浪漫の商人」そして「らんま1/2」を描いていたと。
編集部からは「なるべく早く、明るい内容で」と言われたとか。

「作品の構想は長く考えるより、瞬発力で、もしくは締め切りを決めて、ここまでにと覚悟を決めて集中的に考える方がいいと思う。」 の言葉は、仕事や勉強する上でいいアドバイスになるんじゃないかと思う。
乱馬初登場は「かわいい女の子がやって来た」方向なのに「走って来て乱闘という形に落ち着いた」と(笑)。
「新キャラは目立たせてナンボ」がよくわかるシーンでしたね。
かなりの試行錯誤はあったようですが。

「乱馬」という名前の由来は、男でも女でも使えて格闘ものっぽい。
「快刀乱麻を断つ」という言葉もあるし、語感がいいので決めたそうです。
ナルシスト、根に持つ性格という設定は描いて行く中で決まったそうですが、乱馬ってナルシストだったんだ。
私はらんまに関しては、一通り読んで一通り見ただけの一通りのファンなので、あまり印象にないけど、そんなシーンあったっけ?

作品を描くにあたって気をつけていることは、たとえば格闘スケートで、スケート靴の刃を武器にしない」などの線引きはあったそうです。
「犬夜叉」や「人魚」シリーズは、「血」はOKだけど、「内臓」は駄目とか。
「犬夜叉」は「骨」はOKでしたね(笑)。
あと敵味方全てのキャラに、必要以上の屈辱を与えないのがルール。
悪党も納得した退場を見せるような場面で顕著に表れていたように思います(奈落とか)。

格闘ものではジャッキー・チェンが好きとか。
ベスト3は「酔拳1」「プロジェクトA1」「ポリスストーリー1」だそうです。
私はあとで見たブルース・リーの悲壮感溢れる映画の方に惹かれましたが、楽しく工夫された格闘を作ったという意味ではジャッキーでしょうね。

乱馬と良牙どっちが好き?との質問にはどっちも好き、正反対の性格で。
自分では順位をつけたりしない、読者が好きなキャラクターを見つけてくれるにうに努力するのが作家の義務とさらりと答えてくれました。
お見事です。
次回は良牙、これは楽しみ♪
ちなみに私は良牙派です。
(2014年7月2日の日記)
「ストレンジャーソレント」第7回「響良牙」
「らんま1/2」は私はアニメが先だったが、当時アンケートがあれば男性キャラは良牙、女性キャラはかすみに入れてたと思う。
山寺宏一さんの良牙に、井上喜久子さんのかすみ、憧れたなあ。
「犬夜叉」を先に見たので、井上さんの無女(後に犬夜叉の母君も)の艶やかな声が好きだったから。
でも当然のことながららんま連載当時、放映当時の事は知らない。

だから今回キャラクターBOXを読んで、良牙がそんなに人気あったんだ、と驚いた。
強くかっこいいのはいいとして、素直で純情、そして「気の毒なほどの」方向オンチが良牙の特徴。
さすがに良牙ほどではないけれど(笑)、私も名だたる方向オンチ、地図が読めない女なので、共感も強い。

良牙が方向オンチに設定された理由は、ギャグやコメディにいてのライバルなので、完全無欠にはしないとのこと。
「女子に弱い」「アガリ症でしゃべれない」などの案もあったが、「強さ」は残したかった、なので「方向オンチ」。
すぐに迷ってうちに帰れなくなるのでテントの入った大きなリュックを背負わせることに。
常に修行のために放浪してると思ってた頃もあったなあ。

ここの部分で驚いたのが、他作品のライバルキャラも引き合いに出したとこ。
「うる星やつら」の面堂は「暗所ならびに閉所恐怖症」、「めぞん一刻」の三鷹は「犬恐怖症」。
ふんふんと読んでて、「犬夜叉」は鋼牙だよなあと思ってたら、なんと殺生丸だった、なんで?
シリアス物の「犬夜叉」ならば、ライバルが魅力的であれば完全無欠でもいいといいと書かれてるけど、ここで殺生丸が出るとなんだか並びが悪い(笑)。

なので「俺さま印」で「空気が読めず」、「思い込みが激しい」けど「一途で男気があるけど報われない」鋼牙の特徴を「犬夜叉」ギャグ面で支えるライバルキャラとして 称えておこう。

弱点を設定することで、ギャグとしておもしろくなる他に、読者が感情移入もしやすいことがあげられる。
方向オンチもそうだけど、水をかぶると子ブタになるというハンデがありながら、決して卑怯なことはせず、他人にもあたらず、真面目に歩き続けるキャラ。
その結果良牙は連載当時も、連載終了後17年経ってる現在も根強い人気を誇るとのこと。

さらに、乱馬とキャラクターの相性が良く、子ブタも可愛くて人気があった、可愛いもんね。
休載しない漫画家として有名な高橋さん、やはり読者が支えてくれたという。
人気がなければモチベーションも下がるし、自信もなくなる。
その上で楽しく読んでもらえるように工夫した。

らんまの場合は「呪泉郷」を作ったことでいろいろなキャラを出せるという強みがあったそうだ。
最後に高橋さんも方向オンチで地図が読めないって。
う〜ん、親近感(笑)。

次回はシャンプー。
「らんま1/2」を知らないうちから名前だけ知ってたキャラは、乱馬とらんまとシャンプー。
それだけ人気があって、いろんな所で名前を見た記憶がある。
(2014年9月10日の日記)
「ストレンジャーソレント」第8回「珊璞(シャンプー)」
「らんま1/2」のヒロインあかねを差し置いて、第8回はシャンプー登場。
今回はなぜかインタビューが少なく、イラストで埋めている印象。
シャンプーって感じでこう書くのか。

今年の9月に描かれたシャンプーのイラストもあるが、昔に比べてすっきりした印象。
有名な?シャンプーが乱馬に「我愛你」と言いながら涙をこぼす場面や、カラーイラストも大きい。
シャンプーは昔の潤いのある表情の方が好き。

なぜ「シャンプー」と名前をつけたのか興味あったけど、それに関してはコメントなし。
基本はチャイナ服だが、飾りがいがあり、格闘もまあまあ強い設定なので、描いて楽しいキャラだった」とか。

初登場で、何の前フリも情報もなく、次回への引きというシンプルな目的で、壁をぶち壊し、「乱馬、殺す」と 凶暴な台詞を言わせたのは、「格闘ペアスケート」完結後、すぐ次に繋げて行きたかったから。
何週かにわたった、物語が終わった回なので、最終ページはまとめと余韻に使うべきところと話しているが、 この手法は結構見かける気がする。
当時はそうでもなかったのかな?

意地っ張りで純情なヒロインのあかねとは正反対で、積極的で情熱的なシャンプーだったが、正反対にこだわったわけではなく、 バラエティに富んでた方がいいかなと思っただけ。
2人とも表現方法は違うけど、「乱馬が好き」という共通項があるから、それぞれの思いが読者に可愛いと思われたらいいなと 思ったそう。

シャンプーの台詞回しは可愛かったけど、あまり特徴的な語尾を使うと、後々苦労するので、語尾をいじるより口癖などを つけた方が良いとのこと。
鳥山明さんの「アラレちゃん」の「んちゃ」「ばいちゃ」は大発明と絶賛していた。

今回他におもしろかったのが「小池一夫・堀井雄二」特別対談。
堀井さんは「ドラゴンクエスト」の生みの親だそうで、私は遊んだことがないが、あの曲は結構好き。

日本とアメリカのゲーマーの違いやゲーム界、ゲーマーの未来について語っているが、これは「ゲーム」に限らず、日本と 海外の差、壁などについていろいろ考えさせられる内容となっている。
小池さんが、いつも対談相手にそれぞれのジャンルの超一流の方を選び、深い内容を引き出しているので、ジャンルを 離れた俯瞰の地点での対談となり、興味深い。

その中で「オープンワールド」という言葉(ゲームシステム)がちょっと出て来るが、最近夢中の「レッドシーズプロファイル」を 思い出して笑ってしまった。
愛すべき「出来そこないのゲーム」だが(笑)、そのオープンワールドの楽しさ、アメリカの田舎の純朴感はこたえられない 味わいだ。

日本でもこんなゲーム、作れるんだよなあ。
完成形で続編出ないかなあ・・・。
(2014年11月4日の日記)
「ストレンジャーソレント」第9回「天道あかね」
前回のシャンプーに比べてあかねの語りが多いというか、やっぱりシャンプー少なかった。
性格が素直でストレートだから、裏付け設定の部分が少なかったんだろうなあと思う。
あかねは純情だけど意地っ張り、シャンプーに比べて複雑、とまでは言わないけれど、素直じゃない部分があって、 それだけに作者としても語る部分があったのかも。

あかねは「らんま1/2」の中で、一番苦労したキャラクターだそう。
基本設定は、明るく元気、純情で男嫌いで武道をやっているというだけでは、作者にとってはどういう娘なのかいまひとつ ピンと来なかった。
そこで男嫌いの設定に片想いのエピソードを後付けで作ったとのこと。

確かに私が初期のらんまで一番印象に残っているのは、あかねの長い髪が切られてしまったところ。
悪気はないとはいえ、乱馬も良牙も罪なことしたもんだと思った。
でもあのエピソードにはこんな意味があったんだな。
あかねは自分の片想いをもふっ切っていく。

片思いの相手の東風先生は姉のかすみが好きだったからだが、原作ではこの東風先生、途中で退場してしまった。
ちなみに私がらんまで一番好きなキャラはかすみです。

いつも喧嘩ばかりの乱馬とあかねだったが、乱馬のセリフは「何を言えば、あかねが怒るか」がポイントだったって、ちょっとひどい(笑)。
それに対してストレートに怒る女の子があかね、彼女はそういう娘だと作者が気づくくだりがおもしろい。
「あかねはセリフと内面、そして表情がほぼ一緒の娘でした。」とあるが、あかねに対して「娘」の連呼がおもしろい。
「少女」でもなく「子」でもなく「娘」。
なんとなくここでの使い方が昭和を感じさせる。
「娘」と書いて「こ(子の意味)」で読ませれば違和感ないが。

長期連載のヒロインとして作者が思う大切な要素は、描いていて発見のあるヒロイン。
短所のないヒロインは相当つまらないのではないかと語る。
私が「犬夜叉」読み始めの頃、「めぞん一刻」「らんま1/2」などの高橋作品を読んで、ヒロインのヤキモチっぷりに驚いたことを思い出した。
当時はかごめが完全無欠の完璧ヒロインだったので、かなり違和感を感じたが、桔梗復活後、かごめもいろいろな表情を見せるようになる。
その振れ幅がの中でのギャップが出ていれば描き手として幸いとのこと。

結論、日常系の作品なら、どこか読者が理解できる部分が必要だし、謎めいたヒロインなら興味を尽きさせない工夫を考えることが大切。
その意味で高橋作品に登場するヒロインは、ぶれがないと思う。

そういえば東風先生はなぜ出なくなったんだろ。
当時語られたことはあるのかな?
私はすごく好きだったのでがっかりした。
あかねが想いを吹っ切ったから、別に出ててもいいと思うんだけど。
かすみとの間も進歩なしなら普通にギャグ要因として(笑)。

次回はお待たせしました、殺生丸です!
個人的に彼については10ページくらい語って欲しい(笑)。
(2015年1月2日の日記)
「ストレンジャーソレント」第10回「殺生丸」 1
いきなりの小池一夫vs楳図かずお対談、私は楳図さんの漫画は苦手だが、高橋さんが楳図さんにアシスタントに行った話が おもしろかった。

小池さん「そういえば、僕の弟子の高橋留美子が一時期、アシスタントでお世話になったとか。」
楳図さん「デビュー当時の高橋留美子さんに1日だけアシスタントをしてもらったことがあります。
普通、アシスタントというと、まだまだ絵が未熟な人が多いんですけど、彼女の場合はきれいすぎて、逆に僕の絵と合わせるのに苦労した 記憶があります。」

どの作品のどの場面か見てみたい。

今回の高橋留美子のキャラクターBOX!は殺生丸。
このインタビューは殺生丸ファンだけでなく、「犬夜叉」ファン、高橋留美子ファンが読んでもおもしろい内容だと思う。
これまでの中で目新しいコメントが多くて読みごたえある。
もしかしたら「犬夜叉」ワイド版26巻に合わせて来たのかもしれない。
(26巻で殺生丸が冥界でりんを救う話が掲載)

キャラとして、「主人公の犬夜叉が野良犬的であったり、熱い性格だったりするのに対して、殺生丸については『冷酷』という コンセプトだけを決めていました。」

犬夜叉が野良犬的!
作者じゃなきゃ言えない言葉(笑)。

「最初は別の名前で、服装もインドの神様みたいな感じでいこうかとも考えましたが、どうもしっくりこないので、和の服装で、時代考証は 無視して、中振り袖を着せた所、「殺生丸」という名前が浮かびました。
字面も良かったと思います。」

インドの神様・・・なんというかカラフル過ぎて限りなく浮きそう。
殺生丸の着物が振り袖という意識はなかったが、時代考証に関しては、振り袖は元々女性が着る物であり、さらに袖丈が長くなっていったのは 江戸時代に入ってかららしい。
確かに犬夜叉の母君も平安時代の着物を着ていたし、これで殺生丸の母君が出て来なければ、母君の形見の振り袖を身にまとう殺生丸に なっていたかも。

「殺生丸には強さと恐ろしさを与えたかったので、『絶対ボケない』『冷や汗をかかせない』『大声で笑わない』など、キャラクターのルールを 決めました。」

自分史上、最もカッコいいキャラクターを描くのが目標だったが、達成できたとのこと。
代わりに「殺生丸に従う『邪見』という妖怪が重要キャラクターで、殺生丸の目的や本音を語る役でした。」

原作では語られることなく終わった邪見と殺生丸の出会い、読みたかったなあ。
人頭杖の持ち主というだけで殺生丸が探したキャラに過ぎない感じだが、それももしかしたら父君のシナリオだったのかも。
つまり邪見のキャラで選ばれたわけじゃないけど、主従関係がパーフェクトだったし。

母君と邪見の会話で泣かせ、弥勒や七宝とのコントで笑わせ。
邪見がいなければ、殺生丸の魅力がここまで花開くことはなかったと思う。

高橋さんがお気に入りのシーンは、霧骨を邪魔だと一撃で倒し、「誰だ・・・?てめえ・・・」と聞く霧骨に 「・・・・・・おまえこそなんだ?」という場面が殺生丸らしくて好きだそう。
私は無視しないで返事してあげてるところが殺生丸も丸くなったもんだと思ったけど(笑)。
アニメでは「なんだ?」が「だれだ?」に変えられていて残念だった。

★この項続きます。
(2015年3月2日の日記)
「ストレンジャーソレント」第10回「殺生丸」 2
殺生丸の行動原理は、平たく言えば「尊敬する大妖怪である父が、直系純血の自分ではなく、半妖の弟(犬夜叉)ばかり優遇するのが許せないということ」。
確かに大人っぽいビジュアルでありながら、大人げないというか、そういう言動が目立っていた初期殺生丸。

私は殺生丸が「自分と母君から、人間と半妖が父君を奪った」ことが人間と犬夜叉に対する憎しみの根底にあるのかと思っていた。
でも殺生丸の母君のキャラ的にも、後に鬼教官となる殺生丸自身の態度から見ても、親(恋愛関係)の事は抜きにして、あくまでも犬夜叉との確執だったのだろう。

「これは読者の方にもわかりやすく、場合によっては気の毒ですらあると思って頂けたと思います。」
出来の良い兄と頼りない弟、この辺の関係は物凄く人間ぽくておもしろい。

「『犬夜叉』における殺生丸の物語は『父からの脱却』ということになりました。」
殺生丸もまた、成長するたびに、ちゃんと父君からの恩恵を受けているのだが、犬夜叉ほど派手な形ではなかったので、確かに目立たなかったかもしれない。

ここでびっくりしたのが次のコメント。

「りんを出した当初は、殺生丸はいずれ、りんを救うために人間に殺されるという展開も考えていましたが、描き進むうちにその案は自分の中で却下しました。」

今だから語れる裏話の最たるもの。
もしこの案が取り上げられていたら、どういう展開になっていただろう。
仮に冥界でりんを救うために命を投げ出すならまだ話はわかるけど、人間に殺されるとは・・・。

人間によって傷つけられたりん、邪見や殺生丸によって癒され、同時に彼らを和ませていく。
その恩人、大切な存在が人間によって殺されたら、それも自分を救うために。
やはり想像つかないし、その死を乗り越えて生きていくりんというのも想像つかない。
ここはやはり

「殺生丸に欠けていた感情が芽生えることで、父から受け継いだ刀が成長するのは、キッカケとして分かりやすかったと思っています。」

これで良かったと素直に思う。
ちなみに「欠けていた感情」は、インタビューする側の
「人間の少女『りん』との出会いで、殺生丸は『大切なものを失う怖れと哀しみ、自分以外のもののための怒り』という情感を得て、さらに強い大妖怪に成長しました。」を受けたもの。
できればここで神楽の名前も出して欲しかったな・・・。

「殺生丸が出てくる場面は楽しんで描きました。
キャラクター的にブレがないので、難しさは感じませんでした。」

あまり長期展望で描かないので、自分でも意外だと思う展開になったりしたが、最終的に失った左腕の跡から「自分の刀」を持った腕が生えてくるエピソードは、連載当初、殺生丸が 腕を失う場面を描いていた時には考えてもいなかったので、得した気分になったそうだ。
最後の感想、父君、凄すぎる・・・。

次回はかごめ。
かごめにも今回並みのびっくり発言期待したい。
(2015年3月3日の日記)

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